説明

光学的粘度測定システム

【課題】光学的粘度測定システムにおいて、基材が不透光性である場合、あるいは粘性物質の光透過性が低い場合でも、効果的に粘度測定を行うことを可能とすることである。
【解決手段】基材の上に塗布された粘性体と、粘性体の内部に混合して配置される蛍光粒子を含んで構成される測定対象物10の粘度を測定する光学的粘度測定システム20は、対物レンズ22と撮像装置24を結ぶ光路に沿って、落射照明用光源26、励起光用フィルタ素子28、励起光用半透過光学素子30、レーザ光源32、レーザ光用半透過光学素子34、結像レンズ36、検出光用フィルタ素子38が配置され、対物レンズ22に向かい合って測定対象物10を搭載しレーザ光に対し相対的に移動駆動される試料載物ステージ40と、これらの要素の動作を制御して粘度を求める制御装置60を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的粘度測定システムに係り、特に、レーザ光による粒子のトラップ効果を利用して液体の粘度を測定する光学的粘度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体の粘度を測定するには、細い流路を有する容器に液体を入れて、重力で液体が落下する速度から粘度を求める方法、液体を入れた容器を回転させて、遠心力によって液体表面が変化することから粘度を求める方法等が知られている。また、液体の中にマーカとなる粒子を入れて、粒子に力を作用させ、そのときの粒子の速度から液体の粘度を求めることができる。この方法は、粘度ηの液体中を半径Rの球が速度vで動くとき、その球に作用する粘性抵抗力Fは、F=6πηRvで与えられるというストークスの法則を利用するものである。この方法によれば、マーカとなる粒子の速度を検出すればよいので、光学的に非接触的に液体の粘度を測定することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、粘度測定方法として、レーザトラッピング法を用いて、測定対象中に分散した粒子にレーザを集光照射してトラッピングした状態で、粘性体をレーザ集光位置に対し相対的に移動させ、トラップされた粒子がその相対的移動に追従できなくなることを測定者の目視等によって観察して追従できなくなる臨界条件を決定して(速度vと粘性抵抗力Fから)粘度を求めることが従来技術として述べられている。
【0004】
ここでは、粘性体はいずれもガラス板あるいは光を透過するプラスチックの上に塗布されるものとしてある。そして、レーザ集光位置と、粘性体の中の粒子の位置とを3次元的に正確に合わせるために、対物レンズを含む光学系を共焦点系とし、対物レンズの焦点に粒子が存在するときの検出光強度と、対物レンズの焦点に粒子が存在しないときの検出光強度が敏感に変化するものとしている。なお、粘性体をレーザ集光位置に対し相対的に移動させる機構としては、ガルバノミラー、ピエゾ素子等の微動手段を用いることができると述べられている。
【0005】
また、本発明に関連する技術として、特許文献2では、落射蛍光顕微鏡として、蛍光観察のための励起光を反射しかつ蛍光を透過する第1のダイクロイックミラーと、レーザピンセット用のレーザ光を反射しかつ蛍光を透過する第2のダイクロミックミラーとを用い、測定対象の標本に第1のダイクロイックミラーを介して落射蛍光観察用の光源から励起光を反射させて入射し、また、第2のダイクロミックミラーを介してレーザ光源からレーザ光を反射させ、第2のダイクロミックミラーを透過させて標本にレーザ光を入射する構成が開示されている。
【0006】
ここで、光ピンセット法は、レーザ光を標本上に集光させると、標本中のビーズのような微小な物体と水のような周囲の溶液との屈折率の違いにより、ビーズと水の境界面においてレーザ光の屈折が生じ、このレーザ光の屈折によりビーズにモーメント力が作用し、これによってレーザ光の焦光点の近くにビーズを光学的に捕捉できる、と説明されている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−265712号公報
【特許文献2】特開平8−234110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に示される光学的粘度計では、ガラス板または光を透過するプラスチックの上に塗布した測定対象について、光トラッピング法を用い、粘性体をレーザ集光位置に対し相対的に移動させている。この方法によれば、非接触的に測定対象の粘度を測定できるが、ガラス板または光を透過するプラスチックの上に塗布した測定対象に限られるので、例えば、紙の上、皮革製品の上、布の上における塗料等の粘性体の粘度を知りたい場合のように、粘性物質の粘度についてそれが置かれる基材との関係を測定することができない。特に、特許文献1では、基材が不透光性である場合には、光学的に粘度を測定することが困難または不可能となる。
【0009】
特許文献2では、レーザピンセットを用いることができる落射蛍光顕微鏡が述べられているので、透過照明光に代えて落射照明光を用いて、不透光性の基材上の粘性物質の光学的粘度測定を行うことが考えられるが、そのためには、レーザ光を走査する機構と、粘度測定のための速度測定部等を組み込まねばならない。
【0010】
本発明の目的は、基材が不透光性である場合でも、効果的に粘度測定を行うことを可能とする光学的粘度測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光学的粘度測定システムは、基材上に蛍光粒子を含む粘性体が塗布されている測定対象物を搭載する試料載物ステージと、試料載物ステージの上方に設けられる対物レンズと、対物レンズの上方に設けられ、対物レンズを通して測定対象物を撮像する撮像装置と、対物レンズと撮像装置との間に設けられ、落射照明用光源からの蛍光励起光を反射して対物レンズを介して測定対象物に導き、測定対象物からの蛍光を含む光を透過させて撮像装置に導く励起光用半透過光学素子と、対物レンズと撮像装置との間に設けられ、レーザ光源からのレーザ光を反射して対物レンズを介して測定対象物の蛍光粒子にレーザトラップ光として導くとともに、測定対象物からの蛍光を含む光を透過させて撮像装置に導くレーザ光用半透過光学素子と、落射照明用光源と励起光用半透過光学素子との間に設けられ、落射照明用光源からの光を蛍光粒子の励起波長領域を有する蛍光励起光として出力する励起光用フィルタ素子と、撮像素子と励起光用半透過光学素子との間に設けられ、測定対象物からの蛍光を含む光を蛍光粒子の発光波長領域を有する検出光として出力する検出光用フィルタ素子と、試料載物ステージを速度指令に応じた移動速度で移動させ、移動速度を増加変更して、撮像装置の画像においてレーザトラップ光によって捕捉されている蛍光粒子が試料載物ステージの移動に追従できなくなるときの限界速度を検出し、その限界速度に基いて基材上の粘性体の粘度を求める制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光学的粘度測定システムにおいて、撮像装置によって撮像される画像データを処理し、レーザトラップ光の照射領域の蛍光粒子の像が変化することを検出し、そのときの微小移動機構の移動速度を限界速度として求める限界速度検出手段を備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る光学的粘度測定システムにおいて、試料載物ステージは、印加される電圧に応じて一方向に沿って伸縮する圧電素子によって微小移動駆動されることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る光学的粘度測定システムにおいて、蛍光粒子は、粘性体のレーザ光に対する屈折率に応じて予め定めた基準に従って設定される屈折率を有することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係る光学的粘度測定システムにおいて、試料載物ステージは、対物レンズの光軸に相当する部分にステージ開口部を有し、試料載物ステージの下方に設けられ、ステージ開口部を介して照明光を測定対象物に導く透過照明用光源と、撮像装置が検出する測定対象物からの光の強度に応じて、測定対象物を照明する光の供給源を透過照明用光源と落射照明用光源との間で切り替える切替手段と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記構成により、光学的粘度測定システムは、測定対象物を搭載する試料載物ステージと、試料載物ステージの上方に設けられる対物レンズと撮像装置と、対物レンズと撮像装置との間に設けられ、落射照明用光源からの蛍光励起光を反射して測定対象物に導く励起光用半透過光学素子と、レーザ光源からのレーザ光を反射して測定対象物の蛍光粒子にレーザトラップ光として導くレーザ光用半透過光学素子と、落射照明用光源からの光を蛍光粒子の励起波長領域を有する蛍光励起光として出力する励起光用フィルタ素子と、測定対象物からの蛍光を含む光を蛍光粒子の発光波長領域を有する検出光として出力する検出光用フィルタ素子と、試料載物ステージを速度指令に応じた移動速度で移動させ、移動速度を増加変更して、撮像装置の画像においてレーザトラップ光によって捕捉されている蛍光粒子が試料載物ステージの移動に追従できなくなるときの限界速度を検出し、その限界速度に基いて基材上の粘性体の粘度を求める制御装置とを備える。
【0017】
このように、落射照明用光源のからの光を蛍光粒子の励起波長領域を有する蛍光励起光に絞って測定対象物に照射し、測定対象物からの蛍光を含む光を蛍光粒子の発光波長領域を有する検出光に絞って撮像する。落射照明用光源と蛍光粒子を用いるので、基材が不透光性である場合でも、光学的粘度測定を行うことができる。また、例えば白色光、蛍光励起波長と異なる波長を有するレーザ光等を蛍光粒子に照射してその反射光を検出する場合に比べ、蛍光粒子の発光効率を高め、また蛍光粒子からのノイズ光を抑制して蛍光発光の検出感度を高めることができ、精度のよい粘度測定を行うことができる。
【0018】
また、光学的粘度測定システムにおいて、撮像装置によって撮像される画像データを処理し、レーザトラップ光の照射領域の蛍光粒子の像が変化することを検出し、そのときの微小移動機構の移動速度を限界速度として求める。これによって、目視観察によって限界速度を求める場合に比べ、正確に粘度を求めることができる。
【0019】
また、光学的粘度測定システムにおいて、試料載物ステージは、印加される電圧に応じて一方向に沿って伸縮する圧電素子によって微小移動駆動されるので、実績のある移動駆動機構を用いて、速度指令を実行させることができる。
【0020】
また、光学的粘度測定システムにおいて、蛍光粒子は、粘性体のレーザ光に対する屈折率に応じて予め定めた基準に従って設定される屈折率を有することとする。一般的に、粘性体の屈折率と粒子の屈折率との差が大きいほど、レーザ光によるトラップ力が大きい。上記構成によれば、予め定めた基準に従って屈折率の差を確保できるので、粘度測定の際の粒子の捕捉を安定して行うことができ、粘度の測定精度が向上する。
【0021】
また、光学的粘度測定システムにおいて、試料載物ステージは、対物レンズの光軸に相当する部分にステージ開口部を有し、試料載物ステージの下方に透過照明用光源が設けられ、撮像装置が検出する測定対象物からの光の強度に応じて、測定対象物を照明する光の供給源を透過照明用光源と落射照明用光源との間で切り替える。これにより、測定対象物を構成する基材及び粘性体の光透過性に応じて、適した照明用光源を切り替えて用いることができ、幅広い範囲の光学的粘度測定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、測定対象物として、表面状態が異なるセラミック上にコーティングされた粘性体を説明するが、これは不透光性の基材の上の粘性体の一例として用いるものであって、これ以外の材質、材料の基材、粘性体であっても構わない。また、基材が透光性であっても構わない。また、以下で説明する光の波長等は一例であって、測定対象物の特性に合わせ、適当に変更できるものとしてよい。また、レーザ光に対し、測定対象物を構成する粘性体を相対的に走査させる微小移動機構としてピエゾ方式のものを説明するが、これ以外の方式であっても、電気信号によって制御可能で、測定対象物を構成する粘性体を機械的に移動駆動できる機構を用いることができる。例えば、精密なマイクロモータ等を用いてもよい。
【0023】
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0024】
図1は、測定対象物10の粘度を非接触的に測定する光学的粘度測定システム20の構成を説明する図である。光学的粘度測定システム20は、対物レンズ22と撮像装置24を結ぶ光路に沿って配置される光学素子と、対物レンズ22に向かい合って配置され測定対象物10を搭載して移動駆動される試料載物ステージ40と、これらの要素の動作を制御して粘度を求める制御装置60を含んで構成される。
【0025】
図2は、測定対象物10の様子を説明する図である。測定対象物10は、基材12としての薄いセラミック板の上に塗布された粘性体14と、粘性体14の内部に混合して配置される蛍光粒子16を含んで構成される。ここで粘性体14は、コーティングに用いられる粘性体で、例えば適当な塗料である。測定を行いたいのは、基材12である薄いセラミック板の表面状態を変化させたとき、あるいは、温度、湿度等の環境を変化させたとき、あるいは、粘性体を塗布した後の時間経過によって、粘性体14の粘度がどのように変化するかである。そのためには、基材12として、表面状態の異なる薄いセラミック板を複数種類用意し、それぞれに同じ条件で粘性体14を塗布し、それぞれについて粘度を測定すればよい。
【0026】
ここでは、基材12である薄いセラミック板は光を十分に透過しない不透光性であるので、透過型の光学的粘度測定法を用いることができない。そこで、図1の光学的粘度測定システム20では、落射照明用光源26を用いて測定対象物10を上方から照明し、その反射光を撮像装置24で観察する構成となっている。また、粘性体14の粘度を光学的に測定するために、レーザによってトラップされ、そのトラップから離脱することを効果的に検出するために、ここでは、粘性体14の中にマーカとなる蛍光粒子16が混合されている。蛍光粒子16は、落射照明用光源26からの光のうち、特定の励起波長の光である励起光に反応して、特定の発光波長の光を発光する物質である。
【0027】
蛍光粒子16として、ここでは、デューク(Duke)社の型番B0200のものを用いた。これは、材質がポリスチレン、屈折率が1.59、粒子直径が2μm、励起波長が412nm、発光波長が445nmである。
【0028】
後述するように、蛍光粒子16は、レーザ光源32からのレーザ光によってトラップされ、その運動が拘束されるが、レーザ光によるトラップ力の大きさは、粘性体14の屈折率と蛍光粒子16の屈折率の差が大きいほど大きくなる。したがって、粘性体14の屈折率が高くなるほど、蛍光粒子の屈折率を高い値とすることが望ましい。光学的粘度測定に適したレーザトラップ力の大きさは、粘性体14の中を蛍光粒子16が移動するときに受ける粘性抵抗力の大きさを考慮して設定できる。したがって、予め、粘性体14の大体の粘度と、屈折率を与えておき、その条件の下で、光学的粘度測定に適した蛍光粒子16の屈折率を定めるマップ、または計算式等を求めておくことができる。これを、粘性体14のレーザ光に対する屈折率に応じて予め定めた基準と呼ぶことにすれば、この予め定めた基準に従って、蛍光粒子16の屈折率を設定することが好ましい。実験によると、粘性体14を水、あるいは水と同じ粘度1.33を有する液体とすると、蛍光粒子16の屈折率が1.59程度ないと、光学的粘度測定として、十分なレーザトラップ力を蛍光粒子16に与えることができない。例えば、粘度1.44の粘性体のとき、蛍光粒子16の屈折率が1.59程度では、光学的粘度測定として、十分なレーザトラップ力を蛍光粒子16に与えることができない。
【0029】
再び図1に戻り、対物レンズ22と撮像装置24とを結ぶ光路に沿って配置される光学素子は、落射照明用光源26、励起光用フィルタ素子28、励起光用半透過光学素子30、レーザ光源32、レーザ光用半透過光学素子34、結像レンズ36、検出光用フィルタ素子38を含んで構成される。
【0030】
対物レンズ22は、試料載物ステージ40の上方に設けられ、測定対象物10に向かいあって、測定対象物10に蛍光粒子に対する励起光を照射し、また、レーザ光を測定対象物10に照射し、また、測定対象物10からの光を取得して撮像装置24の側に送る機能を有する光学的レンズ素子である。かかる対物レンズ22としては、一般的な顕微鏡用対物レンズを用いることができる。
【0031】
撮像装置24は、対物レンズ22の上方に設けられ、対物レンズ22を通して送られてくる測定対象物10から光を受け取って、これを2次元分布の光情報として出力する機能を有する光学的装置である。具体的には、例えば、縦横それぞれに撮像素子を数100個ずつ配置したものを用いることができる。撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device)等を用いることができる。撮像装置24によって出力された2次元の光情報データは制御装置60に適当な信号線を介して伝送され、画像処理等が行われて、2次元的分布のディジタルデータとして利用される。
【0032】
落射照明用光源26は、測定対象物10を照明するための光源である。落射照明用光源に対して透過照明用光源があるが、測定対象物10に対して光を照射する点では両者に相違がない。測定対象物10の物性等を観察するために用いられる光が、前者は、反射光であるのに対し、後者は透過光であることが相違点である。したがって、図1における落射照明用光源26は、対物レンズ22を介して測定対象物10の上方から光を落として照明する機能を有し、測定対象物10から上方に反射される光が対物レンズ22で再び取得されてその上方の撮像装置24に送られて測定対象物10の特性、ここでは粘度を検出するために利用されることになる。かかる落射照明用光源26としては、市販のキセノンランプ等を用いることができる。
【0033】
励起光用フィルタ素子28は、落射照明用光源26と励起光用半透過光学素子30との間に設けられ、落射照明用光源26からの光を蛍光粒子の励起波長領域を有する励起光として出力する機能を有する光学的フィルタである。上記の例では、蛍光粒子16の励起波長は412nmであるので、励起光用フィルタ素子28はこの波長を中心にした光のみを選択的に通す機能を有する。かかる励起光用フィルタ素子28は、光学的ガラスに適当な膜厚と光学的性質を有する薄膜またはフィルムを積層し、所望の透過波長特性を有するものとしたフィルタを用いることができる。
【0034】
励起光用半透過光学素子30は、対物レンズ22と撮像装置24との間に設けられ、落射照明用光源26から励起光用フィルタ素子28を介して励起波長帯域に絞られた光を反射して対物レンズ22を介して測定対象物10に導く反射機能と、測定対象物10からの蛍光を含む光を透過させて撮像装置24に導く透過機能とを有するハーフミラーである。かかる励起光用半透過光学素子30も、光学的ガラスに適当な膜厚と光学的性質を有する薄膜またはフィルムを積層し、所望の半透過特性を有するものとしたハーフミラーを用いることができる。
【0035】
レーザ光源32は、レーザ発振によって安定した特定の波長と光強度とを有するレーザ光を出力する装置である。レーザ光源32から出力されるレーザ光は、測定対象物10において、粘性体14中の蛍光粒子16に入射し、粘性体14の屈折率と蛍光粒子16の屈折率との差に応じて屈折し、その際にモーメントを発生して、蛍光粒子16をトラップし、その運動を拘束するために用いられる。すなわち、いわゆるレーザピンセットにおけるレーザトラップ力を蛍光粒子16に与えるために用いられる。かかるレーザ光源32としては、例えば波長532nmの市販のレーザ光源を用いることができる。勿論、これ以外の波長のレーザ光を出力するレーザ光源を用いてもよい。
【0036】
レーザ光用半透過光学素子34は、対物レンズ22と撮像装置24との間に設けられ、レーザ光源32からのレーザ光を反射して対物レンズ22を介して測定対象物10の蛍光粒子16にレーザトラップ光として導くとともに、測定対象物10からの蛍光を含む光を透過させて撮像装置24に導く機能を有するハーフミラーである。かかるレーザ光用半透過光学素子34も、光学的ガラスに適当な膜厚と光学的性質を有する薄膜またはフィルムを積層し、所望の半透過特性を有するものとしたハーフミラーを用いることができる。
【0037】
結像レンズ36は、測定対象物10から対物レンズ22、レーザ光用半透過光学素子34、励起光用半透過光学素子30と順次通過して戻された光を集光し、撮像装置24の撮像面上に結像させる機能を有する光学レンズである。かかる結像レンズ36は、適当な凸レンズまたは組合せレンズを用いることができる。
【0038】
検出光用フィルタ素子38は、励起光用半透過光学素子30の後で撮像装置24の手前、すなわち結像レンズと撮像装置24との間に設けられ、測定対象物10からの蛍光を含む光を蛍光粒子16の発光波長領域を有する検出光として出力する機能を有する光学フィルタである。上記の例では、蛍光粒子16の発光波長は445nmであるので、検出光用フィルタ素子38はこの波長を中心にした光のみを選択的に通す機能を有する。これによって、撮像装置24に、発光波長以外の光をノイズとして除去された光を検出光として供給することができる。かかる検出光用フィルタ素子38も、光学的ガラスに適当な膜厚と光学的性質を有する薄膜またはフィルムを積層し、所望の透過波長特性を有するものとしたフィルタを用いることができる。
【0039】
試料載物ステージ40は、上記のように、測定対象物10を保持し搭載して移動駆動される可動台である。ここでは、測定対象物10の粘性体14の中の特定の蛍光粒子16を速度検出用のマーカとして撮像装置24の撮像範囲の中に移動する蛍光粒子位置決め機能と、測定対象物10にレーザ光を照射した状態で移動駆動して、レーザ光に対し、測定対象物10の粘性体14を相対的に走査させる粘性体走査機能とを有する。
【0040】
図3は、試料載物ステージ40の様子を示す図である。試料載物ステージ40は、精密ネジ送り機構を用いたX軸方向送り部42、Y軸方向送り部44、Z軸方向送り部46とピエゾ方式微小移動機構48とを備えるXYZ移動可能ステージである。ここでは、X軸方向送り部42、Y軸方向送り部44、Z軸方向送り部46は、3段積層構造となっており、例えば、X軸方向送り部42によって、Y軸方向送り部44、Z軸方向送り部46を共にX方向に移動させることができ、その状態でY軸方向送り部44によってZ軸方向送り部46をY軸方向に移動させることができる。なお、X軸方向送り部42、Y軸方向送り部44、Z軸方向送り部46は、手動操作するものとでき、あるいは小型モータを用いて、それぞれを電気信号によって移動駆動するものとできる。
【0041】
ピエゾ方式微小移動機構48は、Z軸方向送り部46に取り付けられるステージであるが、電圧を印加することで微小変位する圧電素子をアクチュエータとして、Z軸方向送り部46に対し、X軸方向とY軸方向に微小移動することができるステージである。このステージ上に測定対象物10が固定保持されることになる。図3においては、測定対象物10を固定保持するための保持部50が示されている。保持部50としては、例えば適当な機械的保持機構で測定対象物10の外形を保持固定するものとでき、また、真空チャック機構を用いて測定対象物10の底面の適当な部位を吸着して固定保持するものとできる。なお、図3において、保持部50に囲まれた領域に設けられた開口部52は、後述する透過照明用光源82を選択的に用いるときに利用されるもので、落射照明用光源26を専ら用いるときには特別な機能を有しない。
【0042】
試料載物ステージ40において、X軸方向送り部42、Y軸方向送り部44、Z軸方向送り部46は、蛍光粒子位置決め機能、すなわち、測定対象物10の粘性体14の中の特定の蛍光粒子16を撮像装置24の撮像領域の中に位置決めする粗調整位置決め機能のために用いられる。ピエゾ方式微小移動機構48は、粘性体走査機能に用いられる。例えば、ピエゾ方式微小移動機構48は、撮像装置24の視野の中で固定位置をとるレーザ光の照射領域に対し、測定対象物10の粘性体14を、±数nmから±数100μmの移動幅で、±数nm/sから±数100μm/sの速度で移動させる機能を有する。
【0043】
ピエゾ駆動部58は、ピエゾ方式微小移動機構48を移動駆動する駆動回路である。粘度測定においては、レーザ光に対する測定対象物10の粘性体14の速度vが重要であるので、ピエゾ駆動部58は制御装置60から速度指令を受け取り、その速度指令に応じて、ピエゾ方式微小移動機構48を移動駆動する。移動駆動は、速度指令で示される速度vを実現すればよいのであって、必ずしも速度vの等速度で移動駆動しなくてもよい。例えば、±数μmの往復移動を行わせるときに、その最高速度が速度指令によって指示される速度vであるように制御を行うものであってもよい。速度指令を実行するために、適当な速度センサをピエゾ方式微小移動機構48に取り付け、フィードバック制御を行うものとしてもよい。
【0044】
再び図1に戻り、制御装置60は、光学的粘度測定システム20を構成する要素の動作を統合的に制御して、測定対象物10を構成する粘性体14の粘度を求める機能を有する。かかる制御装置60は、適当なコンピュータを用いることができ、例えば、適当なインタフェース回路を備えたPC(Personal Computer)を用いることができる。
【0045】
制御装置60は、試料載物ステージ40、特にピエゾ方式微小移動機構48に速度指令を与えてその移動速度を増加変更して移動駆動するステージ移動駆動モジュール62と、撮像装置24の画像においてレーザトラップ光によって捕捉されている蛍光粒子16が試料載物ステージ40の移動に追従できなくなるときの速度である限界速度v0を検出取得する限界速度取得モジュール64と、その限界速度v0に基いて測定対象物10を構成する基材12上の粘性体14の粘度を求める粘度算出モジュール66を含んで構成される。かかる機能は、ソフトウェアによって実現でき、具体的には、粘度測定プログラムを実行することで実現できる。上記機能の一部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
【0046】
粘度測定の手順は、以下のようにして進めることができる。最初に、粘性体14の中に、予め定めた基準で選択された蛍光粒子16を混合させた測定対象物10を準備する(試料準備工程)。次に、測定対象物10を試料載物ステージ40に搭載する。具体的には、図3で説明した試料載物ステージ40のピエゾ方式微小移動機構48の上面に測定対象物10を置き、保持部50によってしっかりと保持固定する(試料保持工程)。
【0047】
次に、落射照明用光源26を作動させ、励起光用フィルタ素子28によって蛍光粒子16の励起波長に絞られた励起光を、励起光用半透過光学素子30と対物レンズ22を介して測定対象物10に照射する(励起光照射工程)。そして、撮像装置24において、その撮像範囲に少なくとも1つの蛍光粒子16が入るように、試料載物ステージ40のX軸方向送り部42、Y軸方向送り部44、Z軸方向送り部46を操作する。好ましくは、撮像装置24の撮像範囲の中心位置に1つの蛍光粒子16が来るように、試料載物ステージ40を位置決めすることがよい(蛍光粒子位置決め工程)。このようにすることで、この蛍光粒子16を、限界速度v0を求めるときのマーカとして利用することができる。
【0048】
蛍光粒子位置決めが行われたときの様子は図4に示されている。図4における左側の図、右側の図にそれぞれ円形で示されるのは、撮像装置24の撮像範囲を示す撮像画面70,72である。これらの撮像画面70,72には、互いに直交する一組のヘアラインが設けられているが、その交点が撮像装置24の撮像範囲の中心位置である。図4の右側と左側の図は、後述するピエゾ方式微小移動機構48を用いて粘性体14を矢印の方向に移動駆動したときの様子を示す図であるが、図4の左側の図は、移動駆動の速度が小さいときの様子を示す図で、蛍光粒子16がヘアラインの交点のところに位置決めされ、その位置から移動していない様子が示されている。
【0049】
ここまでの手順は、観察者による手動操作で行うことができる。勿論、場合によっては、撮像装置24の撮像データについての画像処理と、試料載物ステージ40にマイクロモータ等を設けてその位置決め制御とを用いて、自動的に蛍光粒子位置決め工程を実行するものとしてもよい。
【0050】
蛍光粒子位置決め工程が行われると、次にレーザ光源32を作動させ、レーザ光用半透過光学素子34と対物レンズ22を介して測定対象物10に照射する(レーザ光照射工程)。レーザ光は、対物レンズ22と撮像装置24とを結ぶ光軸に沿って測定対象物10に供給されるので、図4で説明した撮像装置24の撮像範囲の中心、つまりヘアラインの交点を中心とした照射領域で測定対象物10にレーザ光が照射される。したがって、位置決めされた蛍光粒子16にちょうどレーザ光が照射され、粘性体14の屈折率と蛍光粒子16の屈折率に応じたレーザトラップ力が蛍光粒子16に作用し、これによって蛍光粒子16の運動が拘束される(レーザトラップ工程)。なお、場合によっては、落射照明用光源26の作動と、レーザ光源32の作動の順序を上記と逆にしてもよく、あるいは、両者の作動を同時に行うものとしてもよい。
【0051】
撮像装置24の撮像領域の中心に1つの蛍光粒子16が位置決めされて、レーザ光によってその運動が拘束される状態となった後に、試料載物ステージ40のピエゾ方式微小移動機構48に対し速度指令が与えられる。これによって、測定対象物10の粘性体14はレーザ光に対し、その速度指令に対応する移動速度で相対的に移動駆動される(移動駆動工程)。この工程は、制御装置60のステージ移動駆動モジュール62の機能によって実行される。
【0052】
上述のように、ストークスの法則によれば、粘度ηの液体中を半径Rの球が速度vで動くとき、その球に作用する粘性抵抗力Fは、F=6πηRvで与えられるが、この粘性力がレーザトラップ力よりも小さいときは、蛍光粒子16はレーザ光にトラップされ、その運動が拘束される。すなわち、撮像装置24において、その撮像範囲の中心に位置決めされた状態のまま、移動することがない。その様子が図4の左側の図に示される。
【0053】
そして、移動駆動において、速度指令によって試料載物ステージ40の移動速度が次第に増加変更される。速度指令による移動速度が高速になると、粘性抵抗力Fがそれに応じて増加し、ついには、レーザトラップ力を超える。このときの速度を限界速度v0と呼ぶことにする。限界速度v0は、粘性抵抗力Fがレーザトラップ力と等しくなるときのレーザ光に対する粘性体14の相対的速度である。速度が限界速度v0を超えると、蛍光粒子16はレーザ光による拘束を離れて、試料載物ステージ40の移動に連れて移動を始める。その様子が図4の右側の図に示される。
【0054】
図4の左側の図の状態から右側の図の状態に移ることの検出は、撮像装置24によって撮像される画像データを処理し、レーザトラップ光の照射領域の蛍光粒子16の像が変化することを検出することで行うことができる。図4の例で説明すると、速度指令が限界速度v0未満のときは、蛍光粒子16の像は変化せず円形のままであり、速度指令が限界速度v0を超えると、蛍光粒子16の像が円形のままで移動駆動方向に移動する。撮像のサンプリングタイムが十分速いときは、蛍光粒子16の像は、円形のままで、その位置を変化させるので、元の位置で像を検出できなくなる。また、撮像のサンプリングタイムがゆっくりのときは、蛍光粒子16の移動する円形像が接続して、あたかも長円形の像となる。この蛍光粒子16の像の変化を画像処理によって検出することができる。そして、蛍光粒子16の像が変化したときの速度指令の値を限界速度v0として取得することができる(限界速度取得工程)。この工程は、制御装置60の限界速度取得モジュール64の機能によって実行される。
【0055】
蛍光粒子16の像の変化の検出は、撮像装置24の撮像範囲における蛍光粒子16の像の位置の変化または像の接続状態を検出することで行うことができる。あるいは、撮像装置24の撮像範囲における蛍光強度の変化、つまり撮像範囲全域における画素値の合計の変化を検出するものとしてもよい。これら以外に、適当な画像処理技術を用いて、蛍光粒子16の像の変化を検出することができる。像の変化の検出には、適当な閾値を設定し、閾値を超えたときの速度指令を限界速度v0として取得するものとできる。
【0056】
限界速度v0が取得されると、既に分かっている蛍光粒子16の半径Rと、粘性抵抗力Fとに基いて、基材12の上の粘性体14の粘度ηがストークスの法則に従って求められる(粘度算出工程)。この工程は、制御装置60の粘度算出モジュール66の機能によって実行される。
【0057】
限界速度v0の下における粘性抵抗力Fはレーザトラップ力と等しい値となっているので、粘性抵抗力はレーザトラップ力の大きさを求めることで求められる。ここで、レーザトラップ力の大きさは、ストークスの法則を逆に利用し、レーザ光の強度を同じとして、予め粘度ηが分かっている粘性体に予め半径Rが分かっている粒子を用いて、そのときの限界速度を求めることで逆算できる。したがって、同じレーザ光の強度、同じ半径Rの蛍光粒子16を用いることで、そのときのレーザトラップ力で粘性抵抗力Fが与えられる。この粘性抵抗力Fを用いて、基材12の上の粘性体14の粘度ηがストークスの法則に従って求めることができる。
【0058】
上記では、落射照明用光源26を用いて蛍光粒子16を励起し発光させるものとして説明した。測定対象物が光を透過することができるものであれば、透過照明用光源を用いることができる。ここで、光学的粘度測定システムを落射照明用光源と透過照明用光源とを備える構成とすれば、広い範囲の測定対象物に対して粘度を測定できるシステムとできる。
【0059】
図5は、透過照明用光源82を選択的に用いることができる光学的粘度測定システム80の構成を示す図である。ここでは、図3に関連して説明したように、試料載物ステージ40の中央に開口部52が設けられる。この開口部52は、試料載物ステージ40の下方に設けられる透過照明用光源82からの照明光を測定対象物10に導くためのステージ開口部である。
【0060】
透過照明用光源82としては、落射照明用光源26と同様な市販のキセノンランプ等を用いることができる。また、透過照明用光源82と試料載物ステージ40との間に、図1に関連して説明した励起光用フィルタ素子28を設けるものとすることが好ましい。
【0061】
制御装置60には、照明用光源切替モジュール68を含むものとできる。照明用光源切替モジュール68は、撮像装置24が検出する測定対象物10からの光の強度に応じて、測定対象物10を照明する光の供給源を透過照明用光源82と落射照明用光源26との間で切り替える機能を有する。例えば、測定対象物10が光を透過することができるものであれば、透過照明用光源82を用い、透過照明用光源82を用いたときに、撮像装置24において蛍光粒子16を検出するのに十分な光強度が得られない場合には、照明用光源を落射照明用光源26に切り替えるものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る実施の形態における光学的粘度測定システムの構成を説明する図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において適用される測定対象物の様子を説明する図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、試料載物ステージの様子を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、ピエゾ方式微小移動機構を用いて粘性体を矢印の方向に移動駆動したときの様子を示す図である。
【図5】本発明に係る実施の形態において、透過照明用光源を選択的に用いることができる光学的粘度測定システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
10 測定対象物、12 基材、14 粘性体、16 蛍光粒子、20,80 光学的粘度測定システム、22 対物レンズ、24 撮像装置、26 落射照明用光源、28 励起光用フィルタ素子、30 励起光用半透過光学素子、32 レーザ光源、34 レーザ光用半透過光学素子、36 結像レンズ、38 検出光用フィルタ素子、40 試料載物ステージ、42 X軸方向送り部、44 Y軸方向送り部、46 Z軸方向送り部、48 ピエゾ方式微小移動機構、50 保持部、52 開口部、58 ピエゾ駆動部、60 制御装置、62 ステージ移動駆動モジュール、64 限界速度取得モジュール、66 粘度算出モジュール、68 照明用光源切替モジュール、70,72 撮像画面、82 透過照明用光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に蛍光粒子を含む粘性体が塗布されている測定対象物を搭載する試料載物ステージと、
試料載物ステージの上方に設けられる対物レンズと、
対物レンズの上方に設けられ、対物レンズを通して測定対象物を撮像する撮像装置と、
対物レンズと撮像装置との間に設けられ、落射照明用光源からの蛍光励起光を反射して対物レンズを介して測定対象物に導き、測定対象物からの蛍光を含む光を透過させて撮像装置に導く励起光用半透過光学素子と、
対物レンズと撮像装置との間に設けられ、レーザ光源からのレーザ光を反射して対物レンズを介して測定対象物の蛍光粒子にレーザトラップ光として導くとともに、測定対象物からの蛍光を含む光を透過させて撮像装置に導くレーザ光用半透過光学素子と、
落射照明用光源と励起光用半透過光学素子との間に設けられ、落射照明用光源からの光を蛍光粒子の励起波長領域を有する蛍光励起光として出力する励起光用フィルタ素子と、
撮像素子と励起光用半透過光学素子との間に設けられ、測定対象物からの蛍光を含む光を蛍光粒子の発光波長領域を有する検出光として出力する検出光用フィルタ素子と、
試料載物ステージを速度指令に応じた移動速度で移動させ、移動速度を増加変更して、撮像装置の画像においてレーザトラップ光によって捕捉されている蛍光粒子が試料載物ステージの移動に追従できなくなるときの限界速度を検出し、その限界速度に基いて基材上の粘性体の粘度を求める制御装置と、
を備えることを特徴とする光学的粘度測定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の光学的粘度測定システムにおいて、
撮像装置によって撮像される画像データを処理し、レーザトラップ光の照射領域の蛍光粒子の像が変化することを検出し、そのときの微小移動機構の移動速度を限界速度として求める限界速度検出手段を備えることを特徴とする光学的粘度測定システム。
【請求項3】
請求項1に記載の光学的粘度測定システムにおいて、
試料載物ステージは、印加される電圧に応じて一方向に沿って伸縮する圧電素子によって微小移動駆動されることを特徴とする光学的粘度測定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の光学的粘度測定システムにおいて、
蛍光粒子は、粘性体のレーザ光に対する屈折率に応じて予め定めた基準に従って設定される屈折率を有することを特徴とする光学的粘度測定システム。
【請求項5】
請求項1に記載の光学的粘度測定システムにおいて、
試料載物ステージは、対物レンズの光軸に相当する部分にステージ開口部を有し、
試料載物ステージの下方に設けられ、ステージ開口部を介して照明光を測定対象物に導く透過照明用光源と、
撮像装置が検出する測定対象物からの光の強度に応じて、測定対象物を照明する光の供給源を透過照明用光源と落射照明用光源との間で切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする光学的粘度測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−38868(P2010−38868A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205401(P2008−205401)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(391051441)株式会社東京カソード研究所 (40)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)