説明

光学粒子計数器を較正検証するためのシステム及び方法

気体又は液体粒子計数器の較正状態を検証するための、持ち運び可能であり電力消費が小さい光学粒子計数器較正検証システム、及び信頼性が高く感度の良い方法が本明細書に記載される。本発明に記載する較正検証システムは、光学粒子計数器の使用場所で光学粒子計数器の較正状態を迅速に決定するため、及び推奨される較正スケジュールにおいて示唆される前に、光学粒子計数器を再較正する必要があるかどうかをエンドユーザが判断できるようにするために有用である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、全体を参照として本明細書に組み込む2007年11月16日出願の米国特許仮出願第60/988515号明細書に対して、米国特許法(35U.S.C.)第119条(e)の下で優先権を主張するものである。
【連邦政府の後援による研究又は開発に関する陳述】
【0002】
[0002]該当なし
【技術分野】
【0003】
[0003]本発明は、光学粒子計数器の分野にある。本発明は、一般に、光学粒子計数器の較正状態及び性能を検証するための較正検証システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]マイクロ汚染に関連する産業の大部分は、米国特許第3851169号明細書、第4348111号明細書、第4957363号明細書、第5085500号明細書、第5121988号明細書、第5467188号明細書、第5642193号明細書、第5864399号明細書、第5920388号明細書、第5946092号明細書、及び第7053783号明細書を含めた多くの米国特許に記載されているものなど、光学粒子計数器の使用に依拠する。また、米国特許第4728190号明細書、第6859277号明細書、及び第7030980号明細書も光学粒子計数器を開示しており、それらの特許の全体を参照として本明細書に組み込む。クリーンルーム及びクリーンゾーンでの気中粒子汚染を測定するために、エアロゾル光学粒子計数器が使用される。水処理及び化学物質処理産業においては、微粒子汚染を光学的に測定するために液体粒子計数器が使用されることが多い。
【0005】
[0005]これらの用途のための光学粒子計数器は、通常、1年の較正サイクルを有する。JIS B 9921:Light Scattering Automatic Particle Counter(光散乱式自動粒子計数器)、ASTM F328−98:Standard Practice for Calibrating an Airborne Particle Counter Using Monodiperse Spherical Particles(単分散球状粒子を使用する、気中粒子計数器を較正するための標準的技法)、及びISO/FDIS 21501−4:Determination of particle size distribution−Single particle light interaction methods−Part 4:Light scattering airborne particle counter for clean spaces(粒径分布の測定−光相互作用による単一粒子測定法−第4部:クリーンスペース用の光散乱式気中粒子計数器)など、光学粒子計数器に関する較正要件を詳述する国際標準を使用可能である。
【0006】
[0006]光学粒子計数器に関する較正プロセスは複雑であり、通常は、粒子計数器製造業者からの熟練した代表技術者が較正を行う必要がある。較正プロセスは、認可された粒子サイズ標準の使用を中心とする。米国では、これらの標準は、米国国立標準技術研究所(NISI)が定めた水中に縣濁させたポリスチレン球である。エアロゾル光学粒子計数器に較正標準粒子を提供するための典型的な粒子発生システムが、図1に示される型式PG−100粒子発生器100として例示される。
【0007】
[0007]図1を参照すると、空気がポンプ102によって位置101からシステムに引き入れられる。この空気は濾過されて(103)、流れ中の粒子がすべて除去される。較正標準粒子は水中に縣濁されているので、エアロゾル光学粒子計数器によって検出するためには、粒子発生器によってエアロゾル化しなければならない。水と粒子の混合物がネブライザ104に入れられ、ネブライザにより、粒子発生器ポンプによって生成された加圧された空気の流れと共にエアロゾル化される。弁105が、ネブライザ104を通る流量を調整する。粒子発生器ポンプ102は、典型的には大きく、重く、電力消費が大きく、一般にAC電源を必要とする。ネブライザからの空気と水のミスト(ポリスチレン球を含有する水滴)は、次いで、粒子発生器ポンプ102からバイパス弁106を通った任意の余剰の気流と混合され、1つ又は複数の乾燥室107及び108に通されて水滴を蒸発させる。水滴が蒸発すると、粒子発生器の気流中にはポリスチレン球のみが残る。図2に示されるように、この粒子気流は、次いで、フィルタT形アセンブリ109によって提供される濾過済みのより大きな気流と混合されて、粒子計数器(LASAIRモデルの粒子計数器110として図2に例示される)に、粒子計数器が必要とする気流の全量を提供する。
【0008】
[0008]このようにして、既知のサイズの単分散粒子が、粒子計数器の各対応する粒子チャネルを較正するために使用される。例えば、1.0μmの粒子が、1.0μmのチャネルを較正するために使用される。これは、試験を受けるユニットの各粒子チャネルが正確に粒子を分粒することを保証する。
【0009】
[0009]また、上述した試験に加えて、試験計器を基準粒子計数器と相互比較することも一般に必要とされる。これは、例えば、試験計器が、その定められた第1のチャネル粒子サイズで50%の計数効率を実現し、その定められた第1のチャネル粒子サイズの1.5〜2.0倍で100%の計数効率を実現することを保証するために行われる。濾過された空気と粒子との均質な混合物が、試験を受けるユニットと基準計器との両方に送達されることを保証するために、比較試験の実施には、図2に示されるものに加えて全く別のフローシステムが必要である。
【0010】
[0010]また、一般に、試験を受けるユニットの流量を、NISTが定めた流量計を用いて測定及び確認すること、及びゼロ計数(誤計数率)試験を行うことも必要とされる。ある用途では、計器は、5分間で1カウント未満の実現可能な誤計数率を、95%の上側信頼限界で実証することが一般に要求される。この試験は、非常に時間がかかり、1時間を超える長い総サンプリング時間を要することがある。
【0011】
[0011]完全な光学粒子計数器の較正は複雑であり、したがって一般に、粒子計数器製造業者からの熟練した代表技術者が行われなければならない。完全な較正は、典型的には、持ち運び可能でないかなりの試験機器を必要とする。一般に、試験を受ける光学粒子計数器を、較正機器のある場所まで持っていかなければならない。
【0012】
[0012]コスト面での理由及び実現の容易さから、典型的には粒子計数器製造業者が推奨しているように、粒子計数器の使用者は一般に1年の較正サイクルでの較正に限っている。エアロゾル粒子計数器の較正に関する業界での費用範囲は、1回の較正につき1計器当たり300ドル〜1200ドルである。粒子計数器の使用者は、粒子計数器が1年の較正サイクルを通じて適切な較正を維持していると仮定しなければならないが、時としてそうならないこともある。
【0013】
[0013]エアロゾル粒子計数器の使用者は、いくつかの産業に分けられる。例えば、半導体産業と製薬産業が、粒子測定が大きな役割を果たす2つの産業である。半導体産業での使用者は、一般に、ウェハ歩留まりレベルを改善又は維持するためにエアロゾル汚染を監視する。エアロゾル光学粒子計数器は、これらのクリーンエリアの1つにおいて較正範囲外にずれる場合、そのクリーンエリアでの粒子レベルを過大又は過小に計数することがある。粒子計数器が過小に計数している場合、クリーンエリアは、使用者が考えるよりも汚れていることがある。最悪のシナリオでは、この検出されなかった粒子汚染により、使用者は、ウェハ歩留まりの低下を被ることがある。歩留まりの低下が望ましくない一方で、使用者は、少なくともウェハ歩留まりの品質制御監視からリアルタイムフィードバックを与えられ、その特定のクリーンエリア内における生じ得る問題を検査するための何らかのシミュレーションを有する。最終的に、較正範囲外の粒子計数器がウェハ歩留まりの低下の原因として現れることになる。
【0014】
[0014]また、較正範囲外の粒子計数器は、製薬産業での使用者にとっても大きな問題をもたらす。製薬産業での使用者は、調合薬が取り扱われる又は処理されるクリーンエリアを監視しなければならない。米国では、この監視は、米国食品医薬品局(FDA)によって義務付けられている。プロセスエリアは、特定の医薬品に関して定められた指定の清浄度レベルで保たれなければならない。粒子計数器が過小に計数している場合、クリーンなプロセスエリアは、使用者が考えるよりも汚れていることがある。問題を示すプロセスのリアルタイムフィードバックがないので、使用者には、較正範囲外の粒子計数器を検出する手段がない。使用者は、粒子計数器の1年の較正サイクルの残り期間にわたって、疑いのあるクリーンエリア内で調合薬を処理し続け、その後、最後になって、粒子計数器の次の定期較正の際に、粒子計数器が較正範囲外であったと通知されることがある。
【0015】
[0015]純化された水及び化学物質の流れ中の微粒子汚染を光学的に測定するためにしばしば液体粒子計数器が使用される際、液体粒子計数器が過小に計数しているとき、水又は化学の流れは、使用者が考えるよりも高い微粒子レベルを含むことがある。例えば、液体源が予想よりも高い粒子レベルを含む場合、その結果、この液体を一成分とする最終生成物が予想よりも高い汚染レベルを有することがある。上述したのと同様に、これは、例えば最終生成物が医薬組成物である場合に大きな問題となることがある。或いは、この液体が例えば半導体デバイスの処理中のリンス、洗浄、又は溶剤として利用される場合、半導体デバイスの粒子汚染が生じることがあり、その結果、半導体デバイス歩留まりが低減される。
【0016】
[0016]粒子計数器が較正範囲外と定義されると、その較正サイクル全体(典型的には1年)にわたってその粒子計数器が監視していたクリーンエリアの状態が疑われる。粒子計数器が、観察した実際のクリーンエリアを、FDAで指定された許容汚染限度を超えないものとして十分に過小に計数していたと確定された場合、その1年の間にそのエリア内で製造されたすべての製品が疑われる。使用者は、疑いのある領域内で製造された1年分の医薬品をリコールせざるを得なくなることがある。これは、製薬産業での使用者にとって、無駄になった製品について数百万ドルの損失をもたらすことがある災害である。
【0017】
[0017]光学粒子計数器の較正状態を評価するための較正システム及び方法は、米国特許第4360270号明細書、第4434647号明細書、及び第5684585号明細書で見ることができる。米国特許第4360270号明細書は、光学粒子計数器の較正状態を決定するのに有用な一定の再現可能な信号を与えるために、細い半透明ファイバを光学粒子計数器のレーザに通すことを開示する。同様に、米国特許第4434647号明細書は、正確にサイズを定められた不透過性の円形スポットを有するプローブを光学粒子計数器のレーザに通すことを開示する。米国特許第5684585号明細書は、既知のサイズの粒子の検出をシミュレートするためのレーザビーム強度の変調を開示する。これらの粒子タイプイベントを、粒子計数器が適切に較正されていると分かっていたときに事前に決定されたイベントと比較して、粒子計数器が適切に較正された状態のままであるかどうかを検証することができる。これら及び同様の方法及びシステムに関する主な欠点は、それらが、光学粒子計数器を試験するために実際の粒子を採用しないことである。較正中に使用される粒子と同様の粒子の使用は、粒子計数器の較正の継続(又は較正不良の識別)の正確な尺度としてその較正検証に依拠することができることを保証するのに有用である。
【0018】
[0018]米国特許第5747667号明細書に記載されるように、粒子計数器の較正検証に関する他の方法が知られている。この特許は、既知の数の粒子を粒子計数器に通し、検出された実際の粒子数と比較することを開示する。この方法は、有用であり、標準化された粒子を使用するが、計数精度しか考慮しないものと考えられ、液体中に縣濁された粒子を測定する粒子計数器に関してのみ実用的である。光学粒子計数器は、検出電子回路内でのドリフトを含むいくつかの原因により較正不良となることがある。そのような較正不良の粒子計数器は、依然として粒子の総数を適切に計数することもあるが、実際の粒子サイズを誤認することがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
[0019]気体又は液体粒子計数器の較正状態を検証するための、持ち運び可能であり電力消費が小さい光学粒子計数器較正検証システム、及び信頼性が高く感度の良い方法が本明細書に記載される。本発明に記載する較正検証システムは、光学粒子計数器の使用場所で光学粒子計数器の較正状態を迅速に決定するため、及び推奨される較正スケジュールにおいて示唆される前に、光学粒子計数器を再較正する必要があるかどうかをエンドユーザが判断できるようにするために有用である。
【0020】
[0020]一実施形態では、較正検証システムは、光学粒子計数器内に組み込まれる。別の実施形態では、較正検証システムは、光学粒子計数器と別個である。これらの実施形態はどちらも、光学粒子計数器の較正状態を検証するための本明細書に記載する方法で有用である。
【0021】
[0021]一実施形態では、光学粒子計数器の較正状態を検証するための方法が、光学粒子計数器を用意するステップと、予め選択されたサイズ分布を有する粒子を光学粒子計数器に通すステップと、予め選択されたサイズ分布を有する粒子のパルス高さ分布を測定するステップと、1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを決定することによってパルス高さ分布を分析するステップと、1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを1つ又は複数の基準値と比較し、それにより光学粒子計数器の較正状態を検証するステップとを含む。
【0022】
[0022]一実施形態では、この態様の一方法は、さらに、光学粒子計数器の較正状態を使用者に表示するステップを含むことがある。別の実施形態では、この態様の一方法は、さらに、1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータ、或いは1つ又は複数の基準値を、後の検索、比較、又は他の用途のために光学粒子計数器のメモリシステムに記憶するステップを含むことがある。
【0023】
[0023]一実施形態では、有用な較正検証及び/又は基準パラメータは、以下のものを含み、しかしそれらに限定されない。予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の中央値、予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の幅、光学粒子計数器のノイズフロアの傾き、光学粒子計数器のゼロ計数不良点、パルス高さ分布の中央値と光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点との比に等しい信号対雑音比、及びこれらの任意の組合せ。
【0024】
[0024]一実施形態では、有用な基準値は、予め較正された光学粒子計数器又は基準の光学粒子計数器に関して予め決定された較正検証パラメータである。一実施形態では、有用な基準値は、評価を受けるのと同じ光学粒子計数器に関して、しかし良好な較正状態であることが分かっているときに事前に決定された較正検証パラメータである。一実施形態では、有用な基準値は、光学粒子計数器又は較正検証システムのメモリシステムに記憶及び/又はメモリシステムから検索される。
【0025】
[0025]一実施形態では、1つの較正検証パラメータ又は1組のパラメータが基準値と比較される。一実施形態では、比較は、規定されたサイズ分布を有する粒子の測定されたパルス高さ分布の中央値を、基準のパルス高さ分布の中央値と比較することを含む。一実施形態では、測定されたパルス高さ分布の中央値が基準のパルス高さ分布の中央値の10%以内、又はいくつかの実施形態では25%以内である場合に、光学粒子計数器が良好な較正状態であるという表示が使用者に提供される。一実施形態では、測定されたパルス高さ分布の中央値が基準のパルス高さ分布の中央値の110%よりも大きい又は90%未満である、或いはいくつかの実施形態では125%よりも大きい又は75%未満である場合に、光学粒子計数器が不良の較正状態であるという表示が使用者に提供される。
【0026】
[0026]別の実施形態では、比較は、所定のサイズ分布を有する粒子の測定されたパルス高さ分布の幅を、基準のパルス高さ分布の幅と比較することを含む。一実施形態では、測定されたパルス高さ分布の幅が基準のパルス高さ分布の幅の15%以内、いくつかの実施形態では5%以内、又は他の実施形態では25%以内である場合に、光学粒子計数器が良好な較正状態であるという表示が使用者に提供される。一実施形態では、測定されたパルス高さ分布の幅が基準のパルス高さ分布の幅の115%よりも大きい又は85%未満である、いくつかの実施形態では105%よりも大きい又は95%未満である、或いは他の実施形態では125%よりも大きい又は75%未満である場合に、光学粒子計数器が不良の較正状態であるという表示が使用者に提供される。
【0027】
[0027]一実施形態では、較正検証を受ける粒子計数器は、粒子計数器内に粒子が存在しないという条件下で試験される。そのような条件は、粒子計数器の誤計数率の決定に有用である。一実施形態では、様々なしきい値電圧/パルス高さに関して一連の誤計数率が決定され、1本の線又は曲線に適合される。ここで、最良適合線の傾き(すなわち、ノイズフロアの傾き)は、例えば、誤計数頻度がより小さく実際の誤計数率の正確な決定に長時間かかることがあるより大きなしきい値への外挿を可能にするので、有用である。一実施形態では、誤計数率は、許容計数率よりも大きな誤計数率となるように予め指定され、外挿により、そのようなゼロ計数不良点、すなわち予め指定された誤計数率がそこで下がると予想されるしきい値電圧の決定が可能になる。一実施形態では、ゼロ計数不良点は、粒子計数器のノイズレベルと等しく、有用な信号対雑音比は、予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の中央値と粒子計数器のゼロ計数不良点との比から決定することができる。
【0028】
[0028]一実施形態では、この態様の一方法に有用な比較は、粒子計数器のノイズフロアの傾きを基準のノイズフロアの傾きと比較することを含む。一実施形態では、ノイズフロアの傾きが基準のノイズフロアの傾きの10%以内、又はいくつかの実施形態では25%以内である場合に、光学粒子計数器が良好な較正状態であるという表示が使用者に提供される。一実施形態では、ノイズフロアの傾きが基準のノイズフロアの傾きの110%よりも大きい又は90%未満である、或いはいくつかの実施形態では125%よりも大きい又は75%未満である場合に、光学粒子計数器が不良の較正状態であるという表示が使用者に提供される。
【0029】
[0029]別の実施形態では、比較は、粒子計数器のゼロ計数不良点を、基準のゼロ計数不良点と比較することを含む。一実施形態では、ゼロ計数不良点が基準のゼロ計数不良点の10%以内、又はいくつかの実施形態では25%以内である場合に、光学粒子計数器が良好な較正状態であるという表示が使用者に提供される。一実施形態では、ゼロ計数不良点が基準のゼロ計数不良点の110%よりも大きい又は90%未満である、或いはいくつかの実施形態では125%よりも大きい又は75%未満である場合に、光学粒子計数器が不良の較正状態であるという表示が使用者に提供される。
【0030】
[0030]別の実施形態では、比較は、測定されたパルス高さ分布の信号対雑音比を、基準のパルス高さ分布の信号対雑音比と比較することを含む。一実施形態では、測定されたパルス高さ分布の信号対雑音比が基準のパルス高さ分布の信号対雑音比の10%以内、又はいくつかの実施形態では25%以内である場合に、光学粒子計数器が良好な較正状態であるという表示が使用者に提供される。一実施形態では、測定されたパルス高さ分布の信号対雑音比が基準のパルス高さ分布の信号対雑音比の110%よりも大きい又は90%未満である、或いはいくつかの実施形態では125%よりも大きい又は75%未満である場合に、光学粒子計数器が不良の較正状態であるという表示が使用者に提供される。
【0031】
[0031]一実施形態では、較正検証パラメータのいずれかが、個々の較正検証パラメータそれぞれに関する許容範囲外にある場合に、光学粒子計数器が不良の較正状態であるという表示が使用者に提供される。同様の一実施形態では、較正検証パラメータのすべてが、個々の較正検証パラメータそれぞれに関する許容範囲内にある場合にのみ、光学粒子計数器が良好な較正状態であるという表示が使用者に提供される。一実施形態では、使用者は、どの較正検証パラメータがそれらの較正検証パラメータに関する許容範囲内にあるか、又は許容範囲外にあるかに関する情報を提供される。
【0032】
[0032]一実施形態では、有用な予め選択された粒子サイズ分布が、単分散分布を含む。一実施形態では、有用な予め選択された粒子サイズ分布が、複数の単分散分布を含む。一実施形態では、較正検証方法は、粒子計数器をその稼動場所から取り外すことなく行われる。一実施形態では、較正検証方法は、光学粒子計数器が設置又は稼動される場所で行われる。
【0033】
[0033]別の態様では、光学粒子計数器の較正検証に有用なシステムが本明細書で提供される。一実施形態では、そのような較正検証システムは、予め選択されたサイズ分布を有する粒子を光学粒子計数器に提供するための粒子発生器と、予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布を測定するための、光学粒子計数器に動作可能に接続されたパルス高さ分析器と、1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを決定し、1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを1つ又は複数の基準値と比較することによってパルス高さ分布を分析するための、パルス高さ分析器に動作可能に接続された較正検証分析器とを具備する。一実施形態では、本発明のシステムで有用な粒子発生器は、振動メッシュ式ネブライザを備える。
【0034】
[0034]本明細書で説明する方法は、光学粒子計数器の較正検証に限定する必要はない。一実施形態では、計器の較正状態を検証するためのビジネスモデルとして方法が例示される。そのような方法は、測定計器を提供するステップと、計器に較正標準物質を提供するステップと、測定計器を用いて較正標準物質の複数の測定を行うステップと、1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを決定することによって測定値を分析するステップと、1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを1つ又は複数の基準値と比較し、それにより測定計器の較正状態を検証するステップとを含む。1つの例示的実施形態では、測定計器は、その使用場所に提供される。
【0035】
[0035]一実施形態では、測定計器の較正状態を検証するための上に例示したビジネスモデルで有用な較正検証及び/又は基準パラメータは、以下のものを含み、しかしそれらに限定されない。較正標準物質の複数の測定値の中央値、較正標準物質の複数の測定値の幅、測定計器に関するゼロオフセット、測定計器に関するノイズレベル、複数の測定値の中央値と測定計器に関するノイズレベルとの比に等しい信号対雑音比、及びこれらの任意の組合せ。
【0036】
[0036]さらなる一例として、計器の較正状態を検証するための上述したビジネスモデルは、以下のものを含み、しかしそれらに限定されない測定又は監視計器に有用となり得る。光学粒子計数器、圧力測定デバイス、温度測定デバイス、速度測定デバイス、距離又は長さ測定デバイス、サイズ測定デバイス、体積測定デバイス、時間測定デバイス、計数器又は量測定デバイス、頻度又は繰返し数測定デバイス又はモニタ、加速度を測定するデバイス、濃度を測定するデバイス、流量測定デバイス、応力測定又は監視デバイス、歪み測定又は監視デバイス、圧縮率又は圧縮測定デバイス、力、質量、又は重量を測定又は監視するデバイス、抵抗、コンダクタンス、電流、電圧、電荷、キャパシタンス、又はインダクタンスなど電気的特性を測定又は監視するデバイス、吸収、吸光度、強度、エネルギー、周波数、又は色など光学的特性を測定するデバイス、強度、体積、ピッチ、トーン、又は周波数など音響的特性を測定するデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】典型的な粒子発生システムを例示する図である。
【図2】典型的な粒子発生用の較正システムを例示する図である。
【図3】持ち運び可能な粒子噴霧システムの断面図である。
【図4】本発明の較正検証システムの一実施形態を示す図である。
【図5】本発明による較正検証方法の一実施形態を示す図である。
【図6】典型的なエアロゾル光学粒子計数器の機構を示す図である。
【図7】パルス高さ分析器データの一例を示す図である。
【図8】パルス高さ分析器の誤計数率試験の結果の一例を示す図である。
【図9】流量と中央値信号振幅の関係を表すデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[0046]一般に、本明細書で使用する用語及び語句は、それらの技術分野で認識される意味を有し、当業者に知られている標準的な文章、刊行物での論及、及び文脈を参照することができる。本発明の文脈におけるそのような用語及び語句の特定の用法を明確にするために、以下の定義を与える。
【0039】
[0047]「パルス高さ分析器」又は「PHA」は、入力パルスの高さを分析するために使用されるハードウェア又はソフトウェアを表し、入力パルスの高さを表す信号を出力する。また、「パルス高さ分析器」は、入力パルスの分布の幅、中央値、又は形状を分析するために使用されるハードウェア又はソフトウェアを表すこともあり、分布の幅、中央値、又は形状を表す信号を出力する。一例として、光学粒子計数器で、粒子によって散乱された光が光検出器によって検出され、光検出器が電流を出力する。電流電圧変換器がこの電流を電圧に変換し、この電圧が増幅され、次いでパルス高さ分析器に提供されることがある。このとき、パルス高さ分析器は、検出された粒子のサイズに比例する信号を出力することができる。パルス高さ分析器は、特定の強度のイベントの数、例えば光学粒子計数器によって検出された粒子の数及びサイズを計数するために使用することもできる。一実施形態では、パルス高さ分析器は、単一の入力パルスの高さ又は最大電圧を表す信号を出力する。一実施形態では、パルス高さ分析器は、散乱された電磁放射に対応する、例えば粒子によって散乱された電磁放射に対応する複数の入力パルスを光学粒子計数器から受け取り、入力パルスの分布の中央値、又は入力パルスの分布の半値全幅若しくは他の幅を表す信号を出力する。1つの例示的実施形態では、パルス高さ分析器は、10000以上のイベント、1000以上のイベント、いくつかの実施形態では100以上のイベントの分布の中央値及び/又は幅を決定するのに有用である。本発明の方法及びシステムで有用な1つの例示的なパルス高さ分析器は、Canberra Multiport IIの型式MP2−2Eである。
【0040】
[0048]「パルス高さ分布」は、パルス高さ分析器によって検出されるパルス分布を表す。一実施形態では、パルス高さ分布は、パルス高さ分析器の出力である。これは、xが電圧値域であり、yがイベントの頻度又は数である表の形式で表すことができる。パルス高さ分析器の出力のヒストグラムプロットとして視覚的に表されることが多い。パルス高さ分布のヒストグラムプロットのx軸は、ある範囲の連続する電圧値域、例えば0〜10Vである。パルス高さ分布のヒストグラムプロットのy軸は、イベント、例えば光学粒子検出イベントの頻度又は数を表す。「パルス高さ分布」と「パルス高さ分析器」は、本明細書では交換可能に使用され、パルス高さ分析を行うソフトウェア/ハードウェア、実際のパルス高さの分布、表の形式でのデータ、及びヒストグラムプロットのいずれを表すこともできる。
【0041】
[0049]「パルス高さ分布の中央値」は、パルス高さ分布の電圧レベルを表す。パルス高さ分布の集団の半数が中央値よりも上にあり、集団の半数が中央値よりも下にある。
【0042】
[0050]「パルス高さ分布の幅」は、パルス高さ分布の2つの電圧値の間の差を表す。一実施形態では、パルス高さ分布の幅は、パルス高さ分布の標準偏差である。一実施形態では、パルス高さ分布の幅は、パルス高さ分布の半値全幅である。一実施形態では、パルス高さ分布の幅は、パルス高さ分布の上限及び下限カウント又は計数率に対応する電圧値の間の差に等しい。一実施形態では、上限及び下限計数率は、分布の中央値と比較したイベント活動の特定の減少に対応するカウント又は計数率、例えば中央値の25%、33%、50%、又は60%の特定のカウント又は計数率と定義される。
【0043】
[0051]「ノイズフロアの傾き」は、光学粒子計数器の一連の誤計数率(すなわち、粒子計数器内に粒子が存在しないときに決定される計数率)への最良適合線の傾きを表す。一連の異なる電圧しきい値レベル(すなわちパルス高さ)に関して複数の誤計数率が決定され、これらの点が、1本の線に適合され、粒子計数器のゼロ計数不良点を決定するために外挿して使用される。
【0044】
[0052]「ゼロ計数不良点」は、粒子計数器内に粒子が存在しない指定の期間内に粒子計数器が所定数未満のカウント(すなわち誤計数)を検出するしきい値電圧レベル又はパルス高さを表す。ゼロ計数不良点は、必ずしも、すべての用途に同じ誤計数頻度を表すわけではない。一実施形態では、ゼロ計数不良点は、粒子計数器内に粒子がないときに粒子計数器が5分間で1カウント(すなわち毎秒0.00333カウント)未満を検出するしきい値電圧レベルを表す。
【0045】
[0053]「信号対雑音比」は、予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関して粒子計数器によって測定されたパルス高さ分布の中央値と、光学粒子計数器のゼロ計数不良点との比を表す。
【0046】
[0054]「較正された状態」及び「良好な較正状態」は、較正検証システムの選択された要件又は望まれる要件のすべてを満たし又はクリアし、較正されていることが判明した光学粒子計数器の状態を表す。良好な較正状態である光学粒子計数器は、再較正する必要がないことがある。
【0047】
[0055]「不良の較正状態」は、較正検証システムの選択された要件又は望まれる要件の1つ又は複数を満たさず、較正不良であることが判明した光学粒子計数器の状態を表す。不良の較正状態である光学粒子計数器は、再較正すべきである。
【0048】
[0056]「予め較正された光学粒子計数器」は、良好な較正状態である粒子計数器を表す。予め較正された光学粒子計数器は、較正検証を受けるのと同じ粒子計数器又は異なる粒子計数器、或いは基準光学粒子計数器であってよい。予め較正された光学粒子計数器は、較正検証を受ける光学粒子計数器に対する比較対照として有用であり、また基準較正検証パラメータを提供するのにも有用である。予め較正された光学粒子計数器として有用な基準光学粒子計数器は、較正プロセスで使用される対象の最小粒子サイズで100%の計数効率を有することが好ましい。
【0049】
[0057]「粒子」は、しばしば汚染物質と呼ばれる小さな物体を表す。粒子は、例えば2つの表面が機械的に接触して機械的な移動が生じるときに摩擦作用によって生み出される任意の物質であってよい。粒子は、ダスト、汚れ、煙、灰、水分、すす、金属、鉱物、或いはこれら又は他の物質又は汚染物質の任意の組合せなど、物質の凝集物から構成されることがある。また、「粒子」は、生物学的な粒子、例えばウィルスや、胞子や、バクテリア、菌類、古細菌、原生生物、他の単細胞微生物を含めた微生物、特に1〜15μm程度のサイズを有する微生物を表すこともある。粒子は、光を吸収又は散乱し、したがって光学粒子計数器によって検出可能である任意の小さな物体を表すことがある。本明細書で使用するとき、「粒子」は、搬送流体の個々の原子又は分子、例えば水分子、酸素分子、ヘリウム原子、窒素分子などを除外するものと意図される。本発明のいくつかの実施形態は、50nmよりも大きい、100nmよりも大きい、1μm以上、又は10μm以上のサイズを有する物質の凝集物を含む粒子を検出、分粒、及び/又は計数することができる。特定の粒子は、50nm〜50μmから選択されるサイズ、100nm〜10μmから選択されるサイズ、又は500nm〜5μmから選択されるサイズを有する粒子を含む。
【0050】
[0058]「光学的に連絡」は、光又は電磁放射を構成要素間で伝達させるように構成された構成要素を表す。
【0051】
[0059]用語「エアロゾル光学粒子計数器」、「光学粒子計数器」、及び「粒子計数器」は、本明細書では交換可能に使用され、流体中に縣濁された粒子を検出することができるシステム、流体中に縣濁された粒子のサイズを求めることができるシステム、流体中に縣濁された粒子を計数することができるシステム、流体中に縣濁された粒子の分類を可能にするシステム、又はこれらの任意の組合せを表す。
【0052】
[0060]典型的な液体又はエアロゾル光学粒子計数器は、電磁放射のビームを発生するためのビーム発生源や、流体試料が流れる領域、例えば液体又は気体がフローセルを通って流れる領域内にビームを向けるための光学系など、複数の構成要素を具備する。また、典型的な光学粒子計数器は、ビームを通過する粒子によって散乱又は放出された電磁放射を検出するための光検出器及び収集光学系と、電流電圧変換器と信号フィルタ及び増幅電子回路とを含む光検出器によって発生される電気信号を処理及び分析するための他の電子回路とを具備する。また、光学粒子計数器は、電磁ビームが存在する検出領域に流体試料を導入するための流れを生成するためのポンプを具備することもある。
【0053】
[0061]一実施形態では、光学粒子計数器較正検証システムは、粒子発生器を備える。一実施形態では、粒子発生器は、不動の粒子発生源である。一実施形態では、粒子発生器は、持ち運び可能である。エアロゾル光学粒子計数器で有用な特定の実施形態では、粒子発生器は、図3に示されるような持ち運び可能な粒子噴霧システムとして例示される。一実施形態では、粒子発生器は、単分散分布など、予め選択されたサイズ分布を有する粒子を発生する。そのような粒子は、例えば、水中に縣濁させた、NISTが定めた規定されたサイズ分布を有する単分散分布のポリスチレンラテックス球などの較正標準物質を霧化し、得られるエアロゾル粒子から水を蒸発させることによって生成することができる。一実施形態では、水/粒子エアロゾルは、霧化室から乾燥室内に流れることができるようにされ、続いて乾燥室内で水が蒸発される。必要であれば、粒子は、濾過された空気で希釈し、次いで、続いて分析するために光学粒子計数器内に導入することができる。1つの好ましい実施形態では、必要とされるいかなる流れも光学粒子計数器によって提供される。すなわち、粒子発生器がポンプを必要としない。1つの好ましい実施形態では、粒子発生器はまた、粒子を含まない濾過された流体源を提供することもできる。
【0054】
[0062]1つの特定の実施形態では、本明細書で説明する方法は、液体粒子計数器の較正検証に有用である。一態様では、液体光学粒子計数器で有用な粒子発生器は、NISTが定めた単分散分布のポリスチレンラテックス球など較正標準物質の水中縣濁物を含む。一実施形態では、液体粒子計数器で有用な粒子発生器は、例えば、液体粒子計数器内に較正標準物質を注入するのに有用なシリンジを備える。別の実施形態では、液体粒子計数器で有用な粒子発生器は、例えば、液体粒子計数器内に導入される液体の流れの中に較正標準物質を導入するのに有用なポンプを備える。1つの一般的な実施形態では、液体粒子計数器で有用な粒子発生器は、続いて液体粒子計数器によって分析するために液体の流れの中に粒子を導入するためのデバイス又は方法を備える。
【0055】
[0063]一態様では、好ましい粒子発生器は、低出力であり、エアロゾルを発生するための追加のポンプを必要としない。例えば、粒子発生器は電池駆動式であってよい。一実施形態では、本発明で有用な粒子発生器は、ネブライザであり、好ましくは振動メッシュ式ネブライザである。1つの例示的実施形態では、本発明で有用な粒子発生器は、Omron社製の型式NE−U22 Micro Air振動メッシュ式ネブライザを備え、これは、その電源として2つのAAサイズの電池を使用する。電池電源を有することにより、そのような粒子発生器は特に持ち運び可能になり、サイズを小さくすることができる。好ましくない場合もあるが、いかなる粒子発生器も、本発明の粒子計数器較正検証システムで使用するのに適している。
【0056】
[0064]また、本発明の光学粒子計数器較正検証システムは、パルス高さ分析器を具備する。一実施形態では、パルス高さ分析器は、光学粒子計数器の一体型構成要素であり、好ましくは、光検出器及び/又は光学粒子計数器内の他の検出及び信号処理電子回路に動作可能に接続される。一実施形態では、パルス高さ分析器は、光学粒子計数器の電磁放射のビームを通過する粒子によって散乱された電磁放射の強度に対応する、光検出器によって始めに提供される電圧パルスを分析することができる。一実施形態では、パルス高さ分析器はディスプレイを含み、パルス高さ分析の結果をヒストグラムとして使用者に表示する。
【0057】
[0065]また、本発明の光学粒子計数器較正検証システムは、パルス高さ分析器によって提供されるパルス高さ分布を分析するための較正検証分析器又はシステムも具備する。一実施形態では、パルス高さ分布を分析するための較正検証分析器又はシステムは、1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを決定する。一実施形態では、本発明の光学粒子計数器較正検証システムは、パルス高さ分布を分析することができるコンピュータ、ハードウェア、又はソフトウェアを具備する。一実施形態では、較正検証分析器は、パルス高さ分析器を具備する。
【0058】
[0066]一態様では、分析は、光学粒子計数器内に粒子が存在しないという条件で行われる。別の態様では、分析は、予め選択されたサイズ分布の粒子が粒子計数器に入れられるという条件で行われる。
【0059】
[0067]1つの好ましい実施形態では、光学粒子計数器較正検証システムに有用なパラメータは、以下のものを含む群から選択され、しかしそれらに限定されない。予め選択されたサイズ分布を有する粒子のパルス高さ分布の中央値、予め選択されたサイズ分布を有する粒子のパルス高さ分布の幅、光学粒子計数器内に粒子が存在しないときに得られる一連の誤計数率から決定される光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾き、光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きを使用して決定される光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点、粒子のパルス高さ分布の中央値と光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点との比に等しい、予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関する信号対雑音比、及びこれらの任意の組合せ。
【0060】
[0068]一実施形態では、光学粒子計数器較正検証システムは、メモリシステムを具備する。有用なメモリシステムは、較正検証パラメータ及び/又は基準値を記憶することができる。そのようなメモリシステムに記憶される有用な基準パラメータは、較正された状態の光学粒子計数器に関して決定されるパラメータ、好ましくは、較正検証を受けるのと同じ光学粒子計数器に関して事前に決定された基準パラメータに対応する。
【0061】
[0069]一実施形態では、光学粒子計数器較正検証システムは持ち運び可能であり、1つ又は複数の光学粒子計数器に関する較正検証を行うことができる。1つの好ましい実施形態では、光学粒子計数器較正検証システムは、光学粒子計数器の一体型構成要素である。一実施形態では、光学粒子計数器較正検証システムは、使用者に光学粒子計数器の較正状態を示すためのディスプレイを含む。
【0062】
[0070]ここで図面を参照すると、図4は、較正検証システム400の一実施形態を示し、図5は、較正検証方法の一実施形態を示す。この実施形態では、較正検証システム400は、粒子発生器410と、パルス高さ分析器420と、較正検証分析器440と、メモリシステム450と、ディスプレイ460とを具備する。較正検証システム400を使用して、規定されたサイズ分布を有する粒子を含む粒子源480を提供することによって、光学粒子計数器470の較正状態を決定する。光学粒子計数器470は、粒子のサイズを測定して計数し、電圧パルス490をパルス高さ分析器に提供し、パルス高さ分析器は、予め選択されたサイズ分布を有する粒子のパルス高さ分布430を決定する。パルス高さ分布430は較正検証分析器440に提供され、較正検証分析器440で、パルス高さ分布の中央値及び幅が決定される。続いて較正検証分析器440によって比較を行うために、パルス高さ分布の中央値及び幅の基準値がメモリシステム450から検索される。パルス高さ分布の中央値及び幅が基準の中央値及び幅のそれぞれ10%及び15%以内にある場合、較正検証が継続される。そうでない場合には、光学粒子計数器が不良の較正状態であるという表示が、使用者に向けてディスプレイ460に提供される。パルス高さ分布の中央値及び幅が基準値の許容限度内にあると判明した後、粒子発生器は、光学粒子計数器470に提供される粒子源480に粒子が存在しないモードに切り替えられる。光学粒子計数器470内に粒子が存在しない状態で、一連の誤計数率を求めて、電圧パルス490としてパルス高さ分析器420に提供することができる。一連の誤計数率のパルス高さ分布430が較正検証分析器440に提供され、較正検証分析器440は、ノイズフロアの傾き及び粒子計数器のゼロ計数不良点を決定し、続いて、予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関する信号対雑音比を決定する。較正検証分析器によって比較を行うために、信号対雑音比の基準値がメモリシステム450から検索される。信号対雑音比が基準の信号対雑音比の10%以内にある場合、光学粒子計数器が良好な較正状態であるという表示が、使用者に向けてディスプレイ460に提供され、そうでない場合には、光学粒子計数器が不良の較正状態であるという表示が、使用者に向けてディスプレイ460に提供される。
【参照としての組込み及び変形形態に関する陳述】
【0063】
[0071]本出願を通じてすべての参考文献、例えば、発行又は付与された特許又は均等物や特許出願公報を含めた特許文献、及び非特許文献又は他の原資料は、各参考文献が本出願での開示と少なくとも部分的に不一致でない範囲で、個別に参照として組み込まれているかのように、それらの全体を参照として本明細書に組み込む(例えば、部分的に不一致の参考文献は、その参考文献の部分的に不一致の部分を除いて、参照として本明細書に組み込む)。
【0064】
[0072]本明細書に記載するすべての特許及び刊行物が、本発明が係る技術分野の当業者の水準を示している。本明細書に列挙する参考文献は、現況技術、いくつかの場合にはそれらの出願日の時点での現況技術を示すために、文献全体を参照として本明細書に組み込み、この情報は、必要であれば従来技術における特定の実施形態を除外する(例えば否認する)ためにここで使用することができるものと意図される。
【0065】
[0073]本明細書でマーカッシュ形式の群又は他の群が使用されるとき、群のすべての個別の要素、並びに群の可能なすべての組合せ及び一部組合せ(subcombination)が本開示に個別に含まれるものと意図される。
【0066】
[0074]別段の指定がない限り、説明又は例示する構成要素のあらゆる編成又は組合せを、本発明を実施するために使用することができる。当業者は、特に例示したもの以外の方法、デバイス要素、開始材料、及び合成方法を、過度の実験に依拠することなく、本発明の実施に使用することができることを理解されよう。任意のそのような方法、デバイス要素、開始材料、及び合成方法の当技術分野で知られているすべての機能的均等物が本発明に含まれるものと意図される。本明細書で、ある範囲、例えば温度範囲、時間範囲、又は組成範囲が与えられるときは常に、すべての中間範囲又は部分範囲、及び与えられた範囲内に含まれるすべての個別の値が本開示に含まれるものと意図される。
【0067】
[0075]本明細書で使用するとき、「備える」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的(inclusive)又は制約のない(open−ended)用語であり、挙げられていない追加の要素又は方法ステップを除外しない。本明細書で使用するとき、「からなる」は、特許請求の範囲の要素には指定されていない要素、ステップ、又は成分を除外する。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」は、特許請求の範囲の基本的特徴及び新規の特徴に著しく影響を及ぼさない物質又はステップを除外しない。特に組成物の成分の説明又はデバイスの要素の説明において、本明細書での用語「備える」の使用は、挙げられている成分又は要素から本質的になる組成物及び方法、並びに挙げられている成分又は要素からなる組成物及び方法を包含するものと理解される。本明細書で例示的に説明する方法は、適切には、本明細書で具体的に開示していない1つ又は複数の要素、1つ又は複数の制限が何もない状態で実施することができる。
【0068】
[0076]採用している用語及び表現は、限定のためではなく説明のために使用され、そのような用語及び表現の使用には、図示して説明する特徴又はその一部の任意の均等物を除外する意図はなく、特許請求される本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって本発明を特に開示しているが、本明細書で開示する概念の修正及び変形を当業者が行うことができること、及びそのような修正及び変形が、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲内にあると考えられることを理解すべきである。
【0069】
[0077]本発明は、以下の非限定的な例によってさらに理解することができる。
【0070】
例1:持ち運び可能な粒子計数器較正検証システム
[0078]図6は、散乱された電磁放射に基づいて粒子を検出するエアロゾル光学粒子計数器の主要な設計機構を詳述する。一般に、レーザダイオード602を含むレーザ源601が採用されてレーザビーム603を発生し、レーザビーム603は、次いでビーム成形光学系604によって成形されて、光学試料室605内に合焦される。周囲空気が、計器のフローシステムによって噴入口606を通して試料室内に引き入れられる。噴入口606は、気流のすべてがレーザビーム603に通されることを保証するように試料気流を成形する。
【0071】
[0079]粒子は、試料気流によって試料室605内に運ばれると、レーザビーム603を通過するときに光エネルギーを散乱する。散乱された光エネルギーは、試料室の収集光学系(図6に示される例では、4つのマンジャンミラー607及び逆反射器ミラー608)によって収集され、フォトダイオード609に合焦される。
【0072】
[0080]次いで、フォトダイオード609の電流パルスが、電流電圧変換器(回路板610上に位置される)によって電圧パルスに変換される。次いで、電圧パルスは、回路板610上の追加の回路によってフィルタされて増幅される。次いで、最後に、電圧パルスはパルス高さ分析器(PHA)に送られる。
【0073】
[0081]この組込型のPHAは、較正検証システムでの特徴的な機構である。図7は、PHAから入手可能な出力情報を詳述する。PHAは、粒子電圧パルスを計数する。各粒子パルスは、個別に認識されて評価され、その後、計数された総パルスの集団に加えられる。PHAのx軸は、ある範囲の連続する電圧値域である(例えば、左から右へ0〜10V)。PHAのy軸は、計数されたイベントの頻度を表す(例えば、下から上に0〜1000の粒子イベント)。
【0074】
[0082]PHAは、各粒子パルスの最大電圧レベルを測定し、次いで、適切な電圧値域にその粒子イベントを入れる。単分散分布のポリスチレン球が発生され、エアロゾル光学粒子によってサンプリングされるとき、図7に示されるものと同様の分布がPHAによって測定される。すべての粒子のサイズが同様であるので、電圧パルスのサイズが同様である。1つの理想的な状況では、粒子が全く同じであり、粒子計数器は、すべての粒子に関して全く同じ光エネルギーを測定し、すべての電圧パルスが単一のPHAチャネル内に入れられる。
【0075】
[0083]実際には、ポリスチレン球自体が、典型的には1%〜2%の変動係数を有する。さらに、粒子計数器自体が、いくつかの理由から、分布自体を広げる。レーザビームは、典型的には、粒子がレーザビーム内のどの位置を通過するかによって、強度のばらつきを有する。噴入口プロファイルにわたる気流速度は変化し、また、電流電圧変換器が限定された帯域幅を有することがあるので、速度の差により粒子パルスの振幅が変化する。収集光学系は、フォトダイオードの像をぼやけさせずに光を収集することができる能力について実用上の限界があり、したがってこれも、粒子がレーザビームを通過するときの光学システムに対する粒子の相対位置に依存して粒子パルス振幅のばらつきをもたらす。
【0076】
[0084]これらの原因はすべて、理想ではない粒子分布の広がりをもたらす。粒子サイズに関して、10%が、光学粒子計数器に関する典型的な分解能測定値であり、図7に示されるPHA分布とほぼ同様に見える。
【0077】
[0085]2つの非常に重要な測定値を、粒子計数器から発生される単分散粒子分布から得ることができる。最初の測定値は、分布の中央値電圧である。これは、粒子計数器のチャネルサイズを較正すべき電圧である。例えば、粒子計数器が0.5μmのチャネルを有する場合、そのチャネルサイズの電圧は、認可された粒子サイズ標準の0.5μm単分散分布の中央値に等しくなるように較正すべきである。粒子計数器が較正されるときに、チャネルサイズに関するこの中央値電圧が粒子計数器のメモリに記憶される場合、その粒子サイズを後で試験して、元の記憶された較正値と同様の中央値電圧を有する分布を生成し続けることを保証することができる。
【0078】
[0086]単分散粒子分布PHAデータから得ることができる第2の重要な測定値は、粒子分布の幅である。一例として、分布の幅は、粒子分布の上限701及び下限702と定義することができる(各限度に関する電圧値によって表される)。ここで、上限701及び下限702は、分布の中央値703と比較したイベント活動の特定の減少を定義することによって決定される。この測定値は、粒子計数器の分解能を表し、粒子計数器が較正されるときにメモリに記憶することができる。粒子計数器が較正されるときに、粒子サイズに関するこの分解能測定値が粒子計数器のメモリに記憶される場合、その粒子サイズを後で試験して、元の記憶された較正値と同様の分解能測定値を生成し続けることを保証することができる。
【0079】
[0087]得ることができる第3の重要な測定値は、システムのノイズフロアの傾きである。PHAのx軸(ある範囲の連続する電圧値域)チャネルを粒子計数器のピークノイズに分布させることができる。y軸は、一連の連続するカウント(頻度)値域である。この電圧対カウントのデータは、様々な電圧しきい値レベルでの粒子計数器の誤計数率の測定値であり、毎秒当たりのカウント(カウント/秒)として表現することができる。一実施形態では、5分で1カウント未満というエアロゾル粒子計数器に関する業界標準のゼロ計数要件は、毎秒0.00333カウントと計算することができる。誤計数率がいくつかの異なる電圧レベルで求められた後、図8に示される例と同様にデータをプロットすることができる。
【0080】
[0088]既知のデータ点に1本の線を適合させ、毎秒0.00333カウントとして例示される実際の予測される不良点まで外挿することによって、ゼロ計数不良点(図8の例では380mVDC)を決定することができる。対数線形グラフに示されるとき、線は、(図8に示されるように)直線として現れるべきである。この予測されるゼロ計数不良点と(前述した)単分散粒子分布に関する粒子計数器の中央値チャネルの中央値との比率が、粒子計数器の信号対雑音比であり、粒子計数器の相対健康状態の優れた尺度である。
【0081】
[0089]この測定は、完全なゼロ計数試験ほど徹底的ではないが、ゼロ計数に関する粒子計数器の能力の良好な指標であり、実際のゼロ計数試験が必要とするような長時間ではなく、数分の試験で達成することができる。また、この測定は、長時間のゼロ計数試験でさえ検出することができないことがあるシステム性能の劣化を検出することもできる。粒子計数器が較正されるときに、この信号対雑音比測定値が粒子計数器のメモリに記憶される場合、信号対雑音比を後で試験して、元の記憶された較正値と同様の測定値を生成し続けることを保証することができる。
【0082】
[0090]上述したこれら3つの重要な測定値をメモリに記憶できる能力を有する粒子計数器は、概して、後で自己較正検証チェックを行うことができる能力を有する。粒子計数器を較正範囲外にすることがあるほぼすべての環境が、試験粒子の中央値電圧測定値と分解能測定値の一方又は両方の測定可能な差を生じる。システムノイズレベルの大幅な増加は、信号対雑音比検証試験によって検出可能である。
【0083】
[0091]レーザビームパワーの変化、レーザビーム強度、収集光学系効率の損失(例えば、収集光学系汚染によるもの)、又は関連の電子回路の故障が、すべて、中央値電圧測定値を変化させる。レーザビーム形状、レーザビーム位置、噴入口位置、噴入口流れプロファイル(噴入口での障害物によって変わることがある)、及び収集光学系位置及び/又は相対健康状態(損壊)の大幅な変化が、すべて、試験粒子の分解能測定値を変化させる。
【0084】
[0092]計器の流量の大きな誤差を検出するためのメカニズムも必要とされる。中央値電圧測定値を、概してこの目的のために使用することができる。計器の流量の変化による粒子速度の大幅な変化は、中央値電圧測定値を変化させる。これは、特に電流電圧変換器回路の電子回路の帯域幅限界によるものである。図9に示されるように、計器の流量と、公称値からの計器の流量の中程度(+/−30%)のずれに対する中央値信号強度との間には、本質的に線形減少の関係が存在する。
【0085】
[0093]計器の流量の10%の減少は、中央値信号強度をほぼ10%増加させる。したがって、中央値信号振幅の大きなずれが生じていない場合、計器の流量の大きなずれが存在しないと確定することができる。
【0086】
[0094]粒子計数器のノイズレベルの大幅な増加は、ノイズ関連カウントを誘発する可能性を有し、これは、報告される計器の粒子カウントのレベルを増やす。ノイズレベルは、レーザ強度の増加、電子構成要素の故障、光学ブロックでの重要な汚染、又は光学ブロックでの実際の流体漏れ(噴入口以外の経路を通って粒子計数器に入る粒子)に関係することがある。信号対雑音比検証試験は、これが起こっていないことを迅速かつ簡単に保証することができる。
【0087】
[0095]これら3つの測定値は、エアロゾル光学粒子計数器の相対健康状態及び較正精度を決定する重要な因子である。必要なのは、粒子計数器に単分散試験粒子を容易に送達するためのシステムである。システムは、任意の粒子計数器の位置で試験を行うことができるように、持ち運び可能にすべきである。システムは、粒子計数器の場所で使えるAC電源の必要性をなくすために、コードレスにすべきである。システムは、ある場所から別の場所に容易に持ち運べるようにするために、小さく軽量にすべきである。システムは、粒子計数器使用者が迅速かつ容易に作動させることができるものにすべきである。図3に示されるのが、そのようなシステム、すなわち持ち運び可能な粒子噴霧システム300である。周囲空気301が、濾過された気流を発生するためにフィルタ302を通して、噴霧システム300内に引き入れられる。
【0088】
[0096]持ち運び可能な粒子噴霧システムは、Omron社製の型式NE−U22 Micro−Air振動メッシュ式ネブライザ303を利用して、ネブライザ303内に使用者が入れたポリスチレン粒子と水の混合物をエアロゾル化する。Micro−Airネブライザは、従来の粒子発生システムで使用される空気ポンプを必要としない。ポンプがないので、このシステムに関する電力要件は最小である。ネブライザ303は、2本のAAサイズの電池で長時間にわたって動作することができる。システムで必要とされるすべての気流が、試験される粒子計数器によって、噴霧システム300を通して引き入れられる。
【0089】
[0097]水/粒子混合物が霧化されて霧化室304内に入った後、濾過された小さな気流が、制御された量を霧化室304から引き出し、乾燥室305内に引き入れる。乾燥室305内に入った後、水滴を蒸発させることができ、後にはポリスチレン球のみが気流中に残る。次いで、粒子気流306は、混合室307内で、濾過されたバイパス気流308と混合され、次いで、試験される粒子計数器内に引き入れられる。
【0090】
[0098]このデバイスは、濾過された空気を粒子計数器に提供するために使用されることもあり、信号対雑音比測定のために計数器のノイズフロアが測定される。このデバイスは、単分散試験粒子及び濾過された空気を粒子計数器に迅速かつ容易に送達する持ち運び可能なシステムに関する要件をすべて満たす。
【参考文献】
【0091】
[0099]Omron−Instruction Manual−Micro Air Vibrating Mesh Nebulizer Models NE−U22V and NE−U22VAC(オムロン−取扱説明書−Micro Air振動メッシュ式ネブライザ、型式NE−U22V及びNE−U22VAC)
[0100]JIS B 9921:Light Scattering Automatic Particle Counter(JIS B 9921:光散乱式自動粒子計数器)
[0101]ASTM F328−98:Standard Practice for Calibrating an Airborne Particle Counter Using Monodisperse Spherical Particles(ASTM F328−98:単分散球状粒子を使用する、気中粒子計数器を較正するための標準的技法)
[0102]ISO/FDIS 21501−4 Determination of particle size distribution−Single particle light interaction methods−Part 4:Light scattering airborne particle counter for clean spaces(ISO/FDIS 21501−4粒径分布の測定−光相互作用による単一粒子測定法−第4部:クリーンスペース用の光散乱式気中粒子計数器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学粒子計数器の較正状態を検証するための較正検証システムであって、
予め選択されたサイズ分布を有する粒子を光学粒子計数器に提供するための粒子発生器と、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関するパルス高さ分布を測定するための、前記光学粒子計数器に動作可能に接続されたパルス高さ分析器と、
1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを決定し、前記1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを1つ又は複数の基準値と比較することによって前記パルス高さ分布を分析するための、前記パルス高さ分析器に動作可能に接続された較正検証分析器と
を具備する較正検証システム。
【請求項2】
前記粒子発生器が、ネブライザを備える請求項1に記載の較正検証システム。
【請求項3】
前記ネブライザが、振動メッシュ式ネブライザである請求項1に記載の較正検証システム。
【請求項4】
前記較正検証パラメータが、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関する前記パルス高さ分布の中央値と、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関する前記パルス高さ分布の幅と、
前記光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きと、
前記光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点と、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関する前記パルス高さ分布の前記中央値と前記光学粒子計数器に関する前記ゼロ計数不良点との比に等しい信号対雑音比と
からなる群から選択される請求項1に記載の較正検証システム。
【請求項5】
前記1つ又は複数の基準値が、
予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の中央値と、
予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の幅と、
予め較正された光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きと、
予め較正された光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点と、
予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関する前記パルス高さ分布の前記中央値と予め較正された光学粒子に関するノイズフロアの前記傾きを使用して決定されたゼロ計数不良点との比に等しい信号対雑音比と
からなる群から選択される請求項1に記載の較正検証システム。
【請求項6】
さらに、前記較正検証パラメータ、前記1つ又は複数の基準値、又は前記較正検証パラメータと前記1つ又は複数の基準値との両方を記憶するためのメモリシステムを具備する請求項1に記載の較正検証システム。
【請求項7】
前記較正検証システムが、前記光学粒子計数器の一体型構成要素である請求項1に記載の較正検証システム。
【請求項8】
前記光学粒子計数器が、エアロゾル光学粒子計数器である請求項1に記載の較正検証システム。
【請求項9】
光学粒子計数器の較正状態を検証するための方法であって、
光学粒子計数器を用意するステップと、
予め選択されたサイズ分布を有する粒子を前記光学粒子計数器に通すステップと、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に対応するパルス高さ分布を測定するステップと、
1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを決定することによって前記パルス高さ分布を分析するステップと、
前記1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを1つ又は複数の基準値と比較し、それにより光学粒子計数器の較正状態を検証するステップと
を含む方法。
【請求項10】
さらに、前記光学粒子計数器の較正状態を使用者に表示するステップを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記1つの較正検証パラメータ又は前記1組の較正検証パラメータを前記光学粒子計数器のメモリシステムに記憶するステップを含む請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記較正検証パラメータが、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関する前記パルス高さ分布の中央値と、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関する前記パルス高さ分布の幅と、
前記光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きと、
前記光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点と、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関する前記パルス高さ分布の前記中央値と前記光学粒子計数器に関する前記ゼロ計数不良点との比に等しい信号対雑音比と
からなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ又は複数の基準値が、
前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の中央値と、
前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の幅と、
前記予め較正された光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きと、
前記予め較正された光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点と、
前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関する前記パルス高さ分布の前記中央値と前記予め較正された光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点との比に等しい信号対雑音比と
からなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記比較ステップが、前記光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の中央値を、前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の中央値と比較するサブステップを含み、
当該方法が、さらに、
前記光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の中央値が前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の中央値の10%以内である場合に、前記光学粒子計数器の良好な較正状態を示すステップと、
前記光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の中央値が前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の中央値の110%よりも大きい又は90%未満である場合に、前記光学粒子計数器の不良の較正状態を示すステップと
を含む請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記比較ステップが、前記光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の幅を、前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の幅と比較するサブステップを含み、
当該方法がさらに、
前記光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の幅が前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の幅の15%以内である場合に、前記光学粒子計数器の良好な較正状態を示すステップと、
前記光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の幅が前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記パルス高さ分布の幅の115%よりも大きい又は85%未満である場合に、前記光学粒子計数器の不良の較正状態を示すステップと
を含む請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記比較ステップが、前記光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きを、前記予め較正された光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きと比較するサブステップを含み、
当該方法が、さらに、
前記光学粒子計数器に関する前記ノイズフロアの傾きが前記予め較正された光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きの10%以内である場合に、前記光学粒子計数器の良好な較正状態を示すステップと、
前記光学粒子計数器に関する前記ノイズフロアの傾きが前記予め較正された光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きの110%よりも大きい又は90%未満である場合に、前記光学粒子計数器の不良の較正状態を示すステップと
を含む請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記比較ステップが、前記光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点を、前記予め較正された光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点と比較するサブステップを含み、
当該方法が、さらに、
前記光学粒子計数器に関する前記ゼロ計数不良点が前記予め較正された光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点の10%以内である場合に、前記光学粒子計数器の良好な較正状態を示すステップと、
前記光学粒子計数器に関する前記ゼロ計数不良点が前記予め較正された光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点の110%よりも大きい又は90%未満である場合に、前記光学粒子計数器の不良の較正状態を示すステップと
を含む請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記比較ステップが、前記光学粒子計数器に関する信号対雑音比を、前記予め較正された光学粒子計数器に関する信号対雑音比と比較するサブステップを含み、
当該方法が、さらに、
前記光学粒子計数器に関する前記信号対雑音比が前記予め較正された光学粒子計数器に関する信号対雑音比の10%以内である場合に、前記光学粒子計数器の良好な較正状態を示すステップと、
前記光学粒子計数器に関する前記信号対雑音比が前記予め較正された光学粒子計数器に関する信号対雑音比の110%よりも大きい又は90%未満である場合に、前記光学粒子計数器の不良の較正状態を示すステップと
を含む請求項9に記載の方法。
【請求項19】
電磁放射のビームを発生するためのビーム発生源と、
前記ビームに通される予め選択されたサイズ分布を有する粒子を発生し、それにより前記粒子によって散乱される電磁放射を発生するための粒子発生器と、
前記粒子によって散乱された前記電磁放射を検出し、前記粒子によって散乱された前記電磁放射の強度に対応する出力信号を発生するための光検出器と、
前記光検出器に動作可能に接続された一体型のパルス高さ分析器であって、前記光検出器からの前記出力信号を受信し、前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関するパルス高さ分布を測定する一体型のパルス高さ分析器と、
1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを決定し、前記1つの較正検証パラメータ又は1組の較正検証パラメータを1つ又は複数の基準値と比較することによって前記パルス高さ分布を分析するための、前記パルス高さ分析器に動作可能に接続された較正検証分析器と
を具備する光学粒子計数器。
【請求項20】
前記較正検証パラメータが、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関する前記パルス高さ分布の中央値と、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関する前記パルス高さ分布の幅と、
前記光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きと、
前記光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点と、
前記予め選択されたサイズ分布を有する前記粒子に関する前記パルス高さ分布の前記中央値と前記光学粒子計数器に関する前記ゼロ計数不良点との比に等しい信号対雑音比と
からなる群から選択される請求項19に記載の光学粒子計数器。
【請求項21】
前記1つ又は複数の基準値が、
予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の中央値と、
予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関するパルス高さ分布の幅と、
予め較正された光学粒子計数器に関するノイズフロアの傾きと、
予め較正された光学粒子計数器に関するゼロ計数不良点と、
前記予め較正された光学粒子計数器に関する前記予め選択されたサイズ分布を有する粒子に関する前記パルス高さ分布の前記中央値と予め較正された光学粒子計数器に関するノイズフロアの前記傾きを使用して決定されたゼロ計数不良点との比に等しい信号対雑音比と
からなる群から選択される請求項19に記載の光学粒子計数器。
【請求項22】
前記粒子発生器が、ネブライザである請求項19に記載の光学粒子計数器。
【請求項23】
前記ネブライザが、振動メッシュ式ネブライザである請求項22に記載の光学粒子計数器。
【請求項24】
さらに、前記較正検証パラメータ及び前記1つ又は複数の基準値を記憶するためのメモリ記憶システムを具備する請求項19に記載の光学粒子計数器。
【請求項25】
さらに、前記粒子を電磁放射の前記ビームに通すためのフローセルを具備し、前記フローセルが、前記光源と光学的に連絡して提供される請求項19に記載の光学粒子計数器。
【請求項26】
前記光学粒子計数器が、エアロゾル光学粒子計数器である請求項19に記載の光学粒子計数器。
【請求項27】
前記光学粒子計数器が、液体粒子計数器である請求項19に記載の光学粒子計数器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−503622(P2011−503622A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534241(P2010−534241)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083669
【国際公開番号】WO2009/065062
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(506061299)パーティクル・メージャーリング・システムズ・インコーポレーテッド (8)