光学素子の製造方法、光学素子成形用型セット、及び、光学素子の製造装置
【課題】光学素子製造時の稼働率の低下を防ぐと共に、安定した品質の光学素子を製造する方法及び装置を提供する。
【解決手段】対向して配置された上型11及び下型12と、胴型13、14と、を有する光学素子成形用型セット10に収容された光学素子素材100の加熱を行う加熱工程と、加熱された光学素子素材100の加圧を行う加圧工程と、加圧された光学素子素材100の冷却を行う冷却工程と、を含み、加熱工程、加圧工程、及び冷却工程は、成形用型セット10を複数のステージに順次搬送して行われ、胴型14の底面には、溝14cが形成されており、溝14cの形成方向における溝14cの両端は、胴型14の外周面で開口しており、溝14cは、胴型14の底面視において下型12の底面の全体を含み、複数のステージでは、溝14cの形成方向が光学素子成形用型セット10の搬送方向と平行になるように成形用型セット10がスライドして搬送される。
【解決手段】対向して配置された上型11及び下型12と、胴型13、14と、を有する光学素子成形用型セット10に収容された光学素子素材100の加熱を行う加熱工程と、加熱された光学素子素材100の加圧を行う加圧工程と、加圧された光学素子素材100の冷却を行う冷却工程と、を含み、加熱工程、加圧工程、及び冷却工程は、成形用型セット10を複数のステージに順次搬送して行われ、胴型14の底面には、溝14cが形成されており、溝14cの形成方向における溝14cの両端は、胴型14の外周面で開口しており、溝14cは、胴型14の底面視において下型12の底面の全体を含み、複数のステージでは、溝14cの形成方向が光学素子成形用型セット10の搬送方向と平行になるように成形用型セット10がスライドして搬送される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子を製造するのに用いられる光学素子成形用型セット、並びに光学素子を製造する光学素子の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非球面などのレンズを効率よく製造する場合に、光学素子素材を加熱軟化させ、一対の成形型にて加圧し、冷却することで光学素子を成形する方法が用いられている。
従来、光学素子の成形を行う際、上型と下型とを第1の胴型に嵌合させて型セットとして用いて、或いは、更にその型組を第2の胴型に嵌合させて型セットとして用いて、上型と下型との間に狭持された光学素子素材の成形を行う手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載されているように胴型を有する型セットを用いて光学素子素材を成形する場合、それぞれ加熱プレート、加圧プレート(加熱、押圧が同一プレートの場合もある)、及び冷却プレート等の成形プレートを有する複数のプレートによる成形工程に間欠なく同期して、型セットが順送される。
【0004】
また、型セットから成形された光学素子を取り出した後、再度、光学素子素材を型セット内の上下型間に供給し、再び、成形工程に型セットを導入し成形を行う方法、つまり、同一の型セットを繰り返し順送する循環型の成形技術を用いた方法が知られている。
【0005】
なお、上記特許文献1には、熱伝導を抑制して、ガラス内部に温度差を生じにくくするため、上下型の背面に凹部を形成する手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−111635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているように胴型を有する型セットを用いて光学素子素材を成形する場合、ステージ上を搬送させる際、下型及び胴型の底面に対しステージ表面が擦れる。このとき、下型及び胴型は、磨耗による磨耗粉の発生と、ステージ表面への固着とにより、ステージ表面の平滑性が損なわれる。
【0008】
表面が荒れたステージ上では、上下型の姿勢が傾くことや、ステージから型セットへの熱の伝達が経時変化するなどの問題が発生する。このため、平滑性を保つためのメンテナンスが必要となり、稼働率を低下させてしまう。
【0009】
本発明の目的は、光学素子製造時の稼働率の低下を防ぐことができると共に、安定した品質の光学素子を製造することができる光学素子の製造方法、光学素子成形用型セット、及び光学素子の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光学素子の製造方法は、対向して配置された上型及び下型と、これら上型及び下型の周囲に配置された胴型と、を有する光学素子成形用型セットに収容された光学素子素材の加熱を行う加熱工程と、加熱された上記光学素子素材の加圧を行う加圧工程と、加圧された上記光学素子素材の冷却を行う冷却工程と、を含み、上記加熱工程、上記加圧工程、及び上記冷却工程は、上記光学素子成形用型セットを複数のステージに順次搬送して行われ、上記胴型の底面には、溝が形成されており、上記溝の形成方向における上記溝の両端は、上記胴型の外周面で開口しており、上記溝は、上記胴型の底面視において上記下型の底面の全体を含み、上記複数のステージでは、上記溝の形成方向が上記光学素子成形用型セットの搬送方向と平行になるように上記光学素子成形用型セットがスライドして搬送される。
【0011】
本発明の光学素子成形用型セットは、対向して配置される上型及び下型と、上記上型及び上記下型の周囲に配置される胴型と、を備え、上記胴型の底面には、溝が形成されており、上記溝の形成方向における上記溝の両端は、上記胴型の外周面で開口しており、上記溝は、上記胴型の底面視において上記下型の底面の全体を含む。
【0012】
また、上記光学素子成形用型セットにおいて、上記溝は、一直線状に形成されているようにしてもよい。
また、上記光学素子成形用型セットにおいて、上記胴型は、第1の胴型と、この第1の胴型の周囲に配置された第2の胴型と、を含み、上記溝は、少なくとも上記第2の胴型に形成されているようにしてもよい。
【0013】
また、上記光学素子成形用型セットにおいて、上記溝は、上記第2の胴型のみに形成され、上記第2の胴型の材質は、上記下型の材質よりも軟らかいようにしてもよい。
また、上記光学素子成形用型セットにおいて、上記上型、上記下型、及び上記第1の胴型の材料は、超硬合金、サーメット、及びセラミックスのうちの少なくとも1つを含み、上記第2の胴型の材料は、オーステナイト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼を含み、上記超硬合金は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とし、上記サーメットは、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、及びアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とし、上記セラミックスは、アルミナ(Al2O3)、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、窒化珪素(Si3N4)、及び窒化硼素(BS)のいずれかであるようにしてもよい。
【0014】
本発明の光学素子の製造装置は、上記いずれかの光学素子成形用型セットと、上記光学素子成形用型セットが順次搬送される複数のステージと、を備え、上記複数のステージの各々では、光学素子素材の加熱、加圧、及び冷却のうちの少なくとも1つが行われる。
【0015】
また、上記光学素子の製造装置において、複数の上記ステージでは、上記溝の形成方向が上記光学素子成形用型セットの搬送方向と平行になるように上記光学素子成形用型セットがスライドして搬送されるようにしてもよい。
【0016】
また、上記光学素子の製造装置において、複数の上記ステージの少なくとも1つには、上記光学素子成形用型セットの上記溝を挟んで位置する一対の凸部に当接し、上記光学素子成形用型セットの搬送方向に延び、上記溝よりも浅い一対の搬送ガイド溝が形成されているようにしてもよい。
【0017】
また、上記光学素子の製造装置において、上記一対の搬送ガイド溝には、傾斜面が形成され、上記光学素子成型用型セットの上記一対の凸部は、上記溝の上記傾斜面に当接する傾斜面を有するようにしてもよい。
【0018】
また、上記光学素子の製造装置において、上記光学素子成型用型セットの上記一対の凸部には、上記ステージの上記一対の搬送ガイド溝に当接する当接面と、非当接面である凹部とが交互に複数ずつ形成され、上記光学素子成型用型セットの上記凹部は、上記搬送方向に交差する方向に延びるようにしてもよい。
【0019】
また、上記光学素子の製造装置において、上記光学素子成型用型セットの上記凹部は、上記搬送方向の後方側で上記光学素子成形用型セットの外周面に開口するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学素子製造時の稼働率の低下を防ぐことができると共に、安定した品質の光学素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学素子の製造装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光学素子成形用型セットを示す断面図である。
【図3A】本発明の第1実施形態における第2の胴型を示す底面図である。
【図3B】本発明の第1実施形態における第2の胴型を示す側面図である。
【図3C】本発明の第1実施形態における第2の胴型を示す斜視図である。
【図3D】図3CのA部拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る型セット10−2を示す底面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の第2変形例における、突出部が設けられた上加熱板を示す断面図である。
【図6A】本発明の第2実施形態に係る型セットを示す断面図である。
【図6B】本発明の第2実施形態に係る型セットを示す底面図である。
【図7A】本発明の第3実施形態における下加熱板を示す斜視図である。
【図7B】図7AのB部拡大図である。
【図8A】本発明の第3実施形態における下加熱板及び型セットを示す斜視図である。
【図8B】図8AのC部拡大図である。
【図9】本発明の第4実施形態における下加熱板及び型セットを示す斜視図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係る型セットを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る光学素子成形用型セット並びに光学素子の製造装置及び製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学素子の製造装置1の内部構造を示す断面図である。
【0024】
図2は、本実施形態に係る光学素子成形用型セット10を示す断面図及び底面図である。
図3A〜図3Cは、成形用型セット10の第2の胴型14を示す底面図、側面図、および斜視図である。
【0025】
図3Dは、図3CのA部拡大図である。
図1に示す光学素子の製造装置1は、成形室2と、加熱・加圧ステージ3と、冷却ステージ4と、エアシリンダ5,6と、気体流入部7と、気体流出部8と、光学素子成形用型セット10と、を備える。加熱・加圧ステージ3及び冷却ステージ4は、型セット10が順次搬送され光学素子素材100の加熱、加圧、及び冷却のうちの少なくとも1つが行われる複数のステージの例である。
【0026】
成形室2の内部には、加熱・加圧ステージ3及び冷却ステージ4が配置されている。成形室2には、搬入口シャッタ2a及び搬出口シャッタ2bが設けられている。これら搬入口シャッタ2a及び搬出口シャッタ2bは、閉鎖位置と、この閉鎖位置の上方の開放位置と、を往復移動する。
【0027】
加熱・加圧ステージ3は、光学素子成形用型セット(以下、単に「型セット」と記す。)10に当接する当接部材の一例である上加熱板3a及び下加熱板3bと、基台3cと、光学素子素材100を加熱する加熱部の一例であるカートリッジヒータ3d,3eと、を有する。
【0028】
上加熱板3aと下加熱板3bとは、対向して配置されている。上加熱板3a及び下加熱板3bには、円柱形状のカートリッジヒータ3d,3eがそれぞれ2本ずつ挿入されている。
【0029】
上加熱板3aは、エアシリンダ5に連結され、このエアシリンダ5によって上下方向に移動する。エアシリンダ5は、光学素子素材100を加圧する加圧部の一例である。下加熱板3bは、成形室2の底面に固定された基台3cに固定されている。
【0030】
冷却ステージ4は、型セット10に当接する当接部材の一例である上冷却板4a及び下冷却板4bと、基台4cと、光学素子素材100を冷却する冷却部の一例であるカートリッジヒータ4d,4eと、を有する。
【0031】
上冷却板4aと下冷却板4bとは、対向して配置されている。上冷却板4a及び下冷却板4bには、円柱形状のカートリッジヒータ4d,4eがそれぞれ2本ずつ挿入されている。
【0032】
上冷却板4aは、エアシリンダ6に連結され、このエアシリンダ6によって上下方向に移動する。エアシリンダ6は、光学素子素材100を加圧する加圧部の一例である。下冷却板4bは、成形室2の底面に固定された基台4cに固定されている。
【0033】
気体流入部7は、成形室2に窒素(N2)等の不活性ガスを流入させる。また、気体流出部8は、成形室2内のガスを流出させる。このように、成形室2の内部は、不活性ガスにより置換可能である。
【0034】
図2および図3A〜図3Dに示すように、型セット10は、上型11と、下型12と、上型11及び下型12の周囲に配置される胴型の一例である第1の胴型13及び第2の胴型14と、を有する。
【0035】
上型11と下型12とは、対向して配置されている。上型11及び下型12は、略円柱形状を呈する。
上型11の底面には、鏡面研磨が施され光学素子素材100に凸形状を転写する凹型の成形面11aが形成されている。また、上型11の上端には、フランジ部11bが形成されている。
【0036】
下型12の上面にも、鏡面研磨が施され光学素子素材100に凸形状を転写する凹型の成形面12aが形成されている。また、下型12の下端にも、フランジ部12bが形成されている。
【0037】
第1の胴型13は、円筒形状を呈し、上型11及び下型12の周囲、例えば、フランジ部11b,12bの間に配置されている。第1の胴型13の内周面には、上型11及び下型12が外周面において嵌合する。第1の胴型13は、上型11及び下型12を摺動させることができる。
【0038】
第2の胴型14は、外周が8角形で内周が円形の筒形状を呈し、第1の胴型13の周囲に配置されている。第2の胴型14の内周面には、第1の胴型13のみが、或いは、第1の胴型13と上型11及び下型12のフランジ部11b,12bとが、外周面において摺動する。第2の胴型14は、上述の上加熱板3aに当接することで、プレスによる光学素子素材100の押し込み量が調整され、光学素子が所望の厚さになる。
【0039】
図3Aに示すように、第2の胴型14の底面には、溝14cが例えば一直線状に形成されている。この溝14cは、溝の形成方向(例えば、溝の長手方向であり、搬送方向Dと同じ方向)の両端において第2の胴型14(型セット10)の外周面に開口し、底面視において下型12の底面12c(引き出し線を点線で図示)の全体を含むように形成されている。即ち、第2の胴型14の底部には、第2の胴型14の外周面の一部から、それに対向する外周面の一部まで、連続して開口された溝14cが形成されている。そして、溝14cの内側に下型12の底部が位置している。従って、ステージ上での型セット10では、下型12の底部から搬送方向Dを見ると、第2の胴型14の底部はステージから浮いている(ステージと接していない)ということができる。第2の胴型14の両端には、溝14cを挟んで位置する一対の凸部14a,14bが形成されている。
【0040】
溝14cは、両端において型セット10の外周面に開口する。溝14cの幅は、下型12の外径以上で、第2の胴型14の外径から内径の間の大きさである。このように、溝14cは、下型12の底面12cの全体を含むように形成されている。
【0041】
上型11、下型12、及び第1の胴型13は、例えば、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金によって作製されている。なお、「主成分」とは、例えば、90wt%以上の成分を有していることを言うものとする(以下同じ)。第2の胴型14は、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)によって作製されている。
【0042】
なお、上型11、下型12、及び第1の胴型13の材料は、超硬合金、サーメット、及びセラミックスのうちの少なくとも1つを含むことが望ましい。また、第2の胴型14の材料は、オーステナイト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼を含むことが望ましい。
【0043】
上記サーメットは、例えば、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、及びアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とするものがより望ましい。また、上記セラミックスは、アルミナ(Al2O3)、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、窒化珪素(Si3N4)、及び窒化硼素(BS)のいずれかであることがより望ましい。
【0044】
上記の材料を用いることにより、第2の胴型14の材質は、下型12の材質よりも軟らかくなる。従って、第2の胴型14の方が下型12に比べ、磨耗し易く、磨耗粉も発生し易くなる。
【0045】
以下、光学素子の製造装置1を用いた光学素子の製造方法について説明する。
まず、図2に示すように、型セット10の下型12の外周面に、第1の胴型13が内周面において嵌め込まれる。ついで、下型12の成形面12a上に、光学素子素材100が、成形面12aの中心に一致するようにして載置される。なお、本実施形態では、光学素子素材100は、球形状をなしている。
【0046】
次に、光学素子素材100の上方から上型11が外周面において第1の胴型13の内周面に嵌め込まれる。さらに、組み合わせた上型11及び下型12のフランジ部11b,12bと第1の胴型13との外周面に、第2の胴型14が内周面において嵌め込まれる。こうして、光学素子素材100の型セット10への導入(収容)が完了する。
【0047】
次に、光学素子素材100を型セット10の中で成形し、光学素子を作製する工程の説明を行う。
まず、カートリッジヒータ3d,3eを予め所定温度に加熱してある上加熱板3aと下加熱板3bとの間に、前述のように組み立てた型セット10が搬入口シャッタ2aの開放時に搬入される。
【0048】
次に、エアシリンダ5が上加熱板3aを下降させ、上型11の上面に上加熱板3aが接触することで、型セット10内で挟持され収容された光学素子素材100が、例えばガラス屈伏点以上の温度(光学素子素材100がガラスの場合)に加熱され、加圧可能な状態になる(加熱工程)。
【0049】
次に、加熱・加圧ステージ3にて、エアシリンダ5が上加熱板3aを介して上方から下方に型セット10を押圧(挟圧)することで、光学素子100が加圧される(加圧工程)。このとき、上方から下方に向かい上型11が押圧されると、ガラス屈伏点以上の温度に加熱されている光学素子素材100は、加熱軟化しているため、上型11及び下型12の成形面11a,12aに押しつぶされ、光学素子形状となる。
【0050】
また、光学素子素材100を押しつぶしていくと、上加熱板3aが第2の胴型14の上端面に接触し、光学素子素材100が予め所定の中心肉厚になる位置で停止する。
その後、型セット10は、下型12の底面12cが加熱・加圧ステージ3及び冷却ステージ4に接触した状態でスライドして搬送される。このとき、型セット10は、溝14cが搬送方向Dと平行になるように搬送される。
【0051】
そして、冷却ステージ4において、光学素子素材100は、所定の温度に低下するまで冷却される(冷却工程)。この冷却工程においては、例えば、エアシリンダ6が上冷却板4aを下降させ、上型11の上面に上冷却板4aを接触させる。そして、型セット10内で挟持され収容された光学素子素材100が、冷却用の温度に設定されたカートリッジヒータ4d,4eや自然冷却によって冷却される。
【0052】
このとき、上型11及び下型12(タングステンカーバイド)と第2の胴型14(オーステナイト系ステンレス鋼)との材質が異なり、冷却による体積収縮量は第2の胴型14の方が上型11及び下型12よりも大きい。そのため、第2の胴型14が大きく収縮することで、冷却ステージ4の上冷却板4aには上型11のみが当接するようになる。これにより、冷却時にも上型11により光学素子(光学素子素材100)へ圧力をかけることができる。
【0053】
取り出し可能な温度域まで型セット10が冷却された後、型セット10は、溝14cが搬送方向Dと平行になるようにスライドして搬送され、搬出口シャッタ2bの開放時に成形室2の外に搬出される。そして、型セット10から、製造された光学素子が取り出される。
【0054】
なお、以上のように光学素子を製造し、下加熱板3b及び下冷却板4bの品質評価を行った結果について以下に記す。
上述したように型セット10に溝14cを設けて溝14cを搬送方向Dと平行になるように型セット10を搬送して光学素子の製造を行った場合と、溝14cを設けずに光学素子の製造を行った場合(従来)との比較を行った。
【0055】
従来のように溝14cを設けずに型セット10をスライド搬送させて光学素子を成形により製造した場合、型セット10を5000個回、光学素子の製造装置1に搬入し、光学素子を成形した段階で、下加熱板3b及び下冷却板4bと第2の胴型14の底面とが擦れた。また、これにより、第2の胴型14から発生した磨耗粉が下加熱板3b及び下冷却板4bの表面に固着し、下加熱板3b及び下冷却板4bに型セット10を載置した状態での上型11及び下型12の姿勢が傾く現象が確認できた。したがって、光学素子の所望の精度を維持することが困難となり、メンテナンスを実施した。
【0056】
それに対し、本実施形態のように成形を行った場合、型セット10を50000回(従来の10倍)、光学素子の製造装置1に搬入し、光学素子を成形した段階まで、光学素子の精度を維持できた。これにより、従来の手法に比べ、メンテナンス回数が減り、稼働率が向上した。
【0057】
以上説明した本実施形態では、第2の胴型14の底面には、両端において外周面に開口し、底面視において下型12の底面12cの全体を含む溝14cが形成されている。これにより、溝14cが型セット10の搬送方向Dと平行になるようにすることで、型セット10がステージ(下加熱板3b及び下冷却板4b)上を搬送される際、第2の胴型14は、下型12とステージ表面との接触面以外の部分でステージ表面と接触する。そのため、磨耗による磨耗粉の発生、ひいては磨耗粉のステージ表面への固着を防ぎ、ステージ表面の平滑性を保つことができる。
【0058】
したがって、下加熱板3b及び下冷却板4b(ステージ表面)が荒れて上型11及び下型12の姿勢が傾くことや、ステージから型セット10への熱の伝達が経時変化することを抑えて、安定した品質の光学素子を製造することができる。更には、ステージの平滑性を保つためのメンテナンスを省略して、稼働率の低下を防ぐこともできる。
【0059】
よって、本実施形態によれば、光学素子製造時の稼働率の低下を防ぐことができると共に、安定した品質の光学素子を製造することができる。
【0060】
また、本実施形態では、溝14cは、一直線状に形成される。そのため、ステージ表面の平滑性をより一層保つことができる。
【0061】
また、本実施形態では、上型11、下型12、及び第1の胴型13の材料は、超硬合金、サーメット、及びセラミックスのうちの少なくとも1つを含み、溝14cが形成された第2の胴型14の材料は、オーステナイト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼を含む。
【0062】
なお、上記超硬合金は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする。また、上記サーメットは、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、及びアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とする。また、上記セラミックスは、アルミナ(Al2O3)、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、窒化珪素(Si3N4)、及び窒化硼素(BS)のいずれかである。
【0063】
そのため、上型11、下型12、及び第1の胴型13の材料によって光学素子を高精度に製造しながら、第2の胴型14の材料によってステージ表面との擦れを抑えることができる。
【0064】
なお、図4(第1変形例に係る型セット10−2を示す底面図)に示すように、第2の胴型14−2は、内周のみならず外周も円形の筒形状を呈するものであってもよく、第1の胴型13の周囲に配置されるものであれば、特に限定されない。また、図4に示すように、溝14c−1の幅は、下型12の底面12cの幅より大きくともよい。
【0065】
また、図5(第3変形例における、突出部3fが設けられた上加熱板3a−3を示す断面図)に示すように、当接部材の一例である上加熱板3a−3(及び図1に示す上冷却板4aのうちの少なくとも一方)に、これよりも小さな突出部3fを設け、この突出部3fを第2の胴型14の内部に挿入させて上型12を押圧するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、光学素子の製造装置1は、型セット10が順次搬送される複数ステージの例として、加熱・加圧ステージ3と冷却ステージ4との2つのステージを備えるが、3つ以上のステージを備えるようにしてもよい。その場合、加熱・加圧ステージ3をそれぞれ加熱ステージと加圧ステージとに分けてもよいし、加熱,加圧,冷却のいずれかのステージが複数配置されるようにしてもよい。
【0067】
<第2実施形態>
図6A及び図6Bは、本発明の第2実施形態に係る型セット20を示す断面図及び底面図である。
【0068】
本実施形態は、型セット20が胴型として第1の胴型23のみを有する点、及び、溝23cが第1の胴型23に形成される点において第1実施形態と主に相違する。第1実施形態と共通の点については説明を省略する。
【0069】
図6A及び図6Bに示すように、型セット20は、上型21と、下型22と、第1の胴型23と、を有する。
上型21と下型22とは、対向して配置されている。上型21及び下型22は、略円柱形状を呈する。
【0070】
上型21の底面及び下型22の上面には、第1実施形態と同様に、光学素子素材100に凸形状を転写する凹型の成形面21a,22aが形成されている。なお、上型21及び下型22には、本実施の形態では、フランジ部は形成されていない。
【0071】
第1の胴型23は、外周が8角形で内周が円形の筒形状を呈し、上型21及び下型22の周囲に配置されている。第1の胴型23の内周面には、上型21及び下型22が外周面において嵌合する。第1の胴型23は、上型21及び下型22を摺動させることができる。
【0072】
図6Bに示すように、第1の胴型23の底面には、溝23cが例えば一直線状に形成されている。この溝23cは、溝の形成方向(例えば、溝の長手方向であり、搬送方向Dと同じ方向)の両端において第1の胴型23(型セット20)の外周面に開口し、底面視において下型22の底面22bの全体を含むように形成されている。第1の胴型23の両端には、溝23cを挟んで位置する一対の凸部23a,23bが形成されている。
【0073】
本実施形態における型セット20の溝23cも、両端において型セット20の外周面に開口する。溝23cの幅は、下型22の外径以上で、第1の胴型23の外径から内径の間の大きさである。このように、溝23cは、下型22の底面の全体を含むように形成されている。
【0074】
なお、光学素子の製造方法は、第1実施形態と同様であるが、上型21を押圧するために、図5に示すように、突出部3fが設けられた上加熱板3aを用い、突出部3fが第1の胴型23の内部に挿入されて上型22を押圧する構成を採用するとよい。
【0075】
以上説明した第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、型セット20がステージ(下加熱板3b及び下冷却板4b)上を搬送される際、第1の胴型23は、下型22とステージ表面との接触面以外の部分でステージ表面と接触する。そのため、磨耗による磨耗粉の発生、ひいては磨耗粉のステージ表面への固着を防ぎ、ステージ表面の平滑性を保つことができる。
【0076】
よって、本実施形態によっても、光学素子製造時の稼働率の低下を防ぐことができると共に、安定した品質の光学素子を製造することができる。
【0077】
<第3実施形態>
図7Aは、本発明の第3実施形態における下加熱板3bを示す斜視図である。
図7Bは、図7AのB部拡大図である。
【0078】
図8Aは、本実施形態における下加熱板3b及び型セット10を示す斜視図である。
図8Bは、図8AのC部拡大図である。
本実施形態は、加熱ステージ3(冷却ステージ4)の下加熱板3b(下冷却板4b)に、上述の第1実施形態の型セット10の一対の凸部14a,14bに当接し、搬送方向Dに延び溝14cよりも浅い一対の搬送ガイド溝3g,3hが形成されている点において第1実施形態と主に相違する。第1実施形態と共通の点については説明を省略する。
【0079】
図7Aに示すように、下加熱板3bには、搬送方向Dに延びる一対の搬送ガイド溝3g,3hが形成されている。図7Bに示すように、一対の搬送ガイド溝3g,3hは、断面矩形状であり、その矩形の長辺で下加熱板3bの表面に開口する。
【0080】
図8A及び図8Bに示すように、搬送方向Dに直交する断面において、下加熱板3bの一対の搬送ガイド溝3g,3hは、型セット10の第2の胴型14の凸部14a,14bよりも幅が広い。
【0081】
また、溝3g,3hの深さは、凸部14a,14bの突出量よりも小さいため、型セット10の溝14cは、下加熱板3bに非接触である。
【0082】
なお、下冷却板4bにも、下加熱板3bの一対の搬送ガイド溝3g,3hと同様の一対の搬送ガイド溝が形成されるようにするとよく、複数のステージのうち少なくとも1つのステージに上述の一対の搬送ガイド溝3g,3hが形成されればよい。また、本実施形態において上述の第2実施形態の型セット20を用いてもよい。
【0083】
以上説明した本実施形態では、加熱・加圧ステージ3の下加熱板3b(複数のステージの少なくとも1つ)には、型セット10の凸部14a,14bに当接し、搬送方向Dに延び溝14cよりも浅い一対の搬送ガイド溝3g,3hが形成されている。そのため、上述の第1実施形態と同様の効果を得られるのに加え、発生する磨耗粉を一対の搬送ガイド溝3g,3hに溜めることができるとともに、一対の搬送ガイド溝3g,3hによって型セット10をガイドすることもできるという効果を得られる。
【0084】
<第4実施形態>
図9は、本発明の第4実施形態における下加熱板3b及び型セット30を示す斜視図である。
【0085】
本実施形態は、加熱ステージ3(冷却ステージ4)の下加熱板3b(下冷却板4b)に、型セット30の一対の凸部34a,34bに当接し、搬送方向Dに延びる一対の搬送ガイド溝3i,3jが形成されている点において第1実施形態と主に相違する。第1実施形態と共通の点については説明を省略する。
【0086】
図9に示すように、下加熱板3bには、搬送方向Dに延びる一対の搬送ガイド溝3i,3jが形成されている。一対の搬送ガイド溝3i,3jには、傾斜面3k,3Lが形成され、一対の搬送ガイド溝3i,3jの断面形状は、下底よりも長い上底でステージ表面に開口する台形状を呈する。
【0087】
型セット30のうち、上型31、下型32、及び第1の胴型33については、第1実施形態の型セット10のものと同様である。
型セット30の第2の胴型34も、第1実施形態の型セット10の第2の胴型14と同様に、外周が8角形で内周が円形の筒形状を呈し、第1の胴型33の周囲に配置されている。
【0088】
但し、本実施の形態の第2の胴型34では、一対の凸部34a,34bは、中心側から外周端に近づくほど突出量が大きくなり、凸部34a,34bの底面は、一対の搬送ガイド溝3i,3jの傾斜面3k,3Lに当接する傾斜面である。
【0089】
図9に示すように、一対の搬送ガイド溝3i,3jの深さは、凸部34a,34bの突出量よりも小さいため、型セット30の溝34cは、下加熱板3bに非接触である。なお、本実施の形態では凸部34a,34bの先端(下端)間の領域(型セット30の搬送方向Dに直交する幅にほぼ一致)において両端が外周面に開口するが、ステージに非接触になる部分の溝34cは、下型32の底面32aよりも幅が大きく、一対の傾斜面3k,3Lに亘る。
【0090】
なお、下冷却板4bにも、下加熱板3bの一対の搬送ガイド溝3i,3jと同様の一対の搬送ガイド溝が形成されるようにするとよく、複数のステージのうち少なくとも1つのステージに上述の一対の搬送ガイド溝3i,3jが形成されればよい。
【0091】
以上説明した本実施形態では、加熱・加圧ステージ3の下加熱板3b(複数のステージの少なくとも1つ)には、型セット30の凸部34a,34bに当接し、搬送方向Dに延びる一対の搬送ガイド溝3i,3jが形成されている。そのため、上述の第1実施形態と同様の効果を得られるのに加え、上述の第3実施形態と同様に、発生する磨耗粉を一対の搬送ガイド溝3i,3jに溜めることができるとともに、一対の搬送ガイド溝3i,3jによって型セット30をガイドできるという効果を得られる。
【0092】
また、本実施形態では、一対の搬送ガイド溝3i,3jには、傾斜面3k,3Lが形成され、凸部34a,34bは、一対の搬送ガイド溝3i,3jの傾斜面3k,3Lに当接する傾斜面を有する。そのため、型セット30を確実にガイドすることで、型セット30の凸部34a,34bががたつきにより一対の搬送ガイド溝3i,3jと擦れるのも抑えることができる。
【0093】
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態に係る型セット40を示す底面図である。
本実施形態の型セット40は、凸部44a,44bに凹部44c,44dが形成されている点において主に第1実施形態の型セット10に相違する。そのため、この相違点を中心に説明する。
【0094】
凸部44a,44bには、ステージに当接する当接面と、非当接面である凹部44c,44dとが交互に複数ずつ形成されている。これらの凹部44c,44dは、搬送方向Dに交差する方向に延び、搬送方向Dの後方側で型セット40の外周面に開口する。
【0095】
そのため、凸部44a,44bがステージに擦れるのを抑えながら、磨耗粉が凹部44c,44d内を通って型セット40の外側に排出され易くなり、磨耗粉が凸部44a,44bに溜まるのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0096】
1 光学素子の製造装置
2 成形室
2a 搬入口シャッタ
2b 搬出口シャッタ
3 加熱・加圧ステージ
3a 上加熱板
3b 下加熱板
3c 基台
3d,3e カートリッジヒータ
3f 突出部
3g,3h 搬送ガイド溝
3i,3j 搬送ガイド溝
3k,3L 傾斜面
4 冷却ステージ
4a 上冷却板
4b 下冷却板
4c 基台
4d,4e カートリッジヒータ
5,6 エアシリンダ
7 気体流入部
8 気体流出部
10 型セット
11 上型
11a 成形面
11b フランジ部
12 下型
12a 成形面
12b フランジ部
12c 底面
13 第1の胴型
14 第2の胴型
14a,14b 凸部
14c 溝
20 型セット
21 上型
21a 成形面
22 下型
22a 成形面
22b 底面
23 第1の胴型
23a,23b 凸部
23c 溝
30 型セット
31 上型
32 下型
32a 底面
33 第1の胴型
34 第2の胴型
34a,34b 凸部
34c 溝
40 型セット
42 下型
42a 底面
44 第2の胴型
44a,44b 凸部
44c,44d 凹部
44e 溝
100 光学素子素材
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子を製造するのに用いられる光学素子成形用型セット、並びに光学素子を製造する光学素子の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非球面などのレンズを効率よく製造する場合に、光学素子素材を加熱軟化させ、一対の成形型にて加圧し、冷却することで光学素子を成形する方法が用いられている。
従来、光学素子の成形を行う際、上型と下型とを第1の胴型に嵌合させて型セットとして用いて、或いは、更にその型組を第2の胴型に嵌合させて型セットとして用いて、上型と下型との間に狭持された光学素子素材の成形を行う手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載されているように胴型を有する型セットを用いて光学素子素材を成形する場合、それぞれ加熱プレート、加圧プレート(加熱、押圧が同一プレートの場合もある)、及び冷却プレート等の成形プレートを有する複数のプレートによる成形工程に間欠なく同期して、型セットが順送される。
【0004】
また、型セットから成形された光学素子を取り出した後、再度、光学素子素材を型セット内の上下型間に供給し、再び、成形工程に型セットを導入し成形を行う方法、つまり、同一の型セットを繰り返し順送する循環型の成形技術を用いた方法が知られている。
【0005】
なお、上記特許文献1には、熱伝導を抑制して、ガラス内部に温度差を生じにくくするため、上下型の背面に凹部を形成する手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−111635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているように胴型を有する型セットを用いて光学素子素材を成形する場合、ステージ上を搬送させる際、下型及び胴型の底面に対しステージ表面が擦れる。このとき、下型及び胴型は、磨耗による磨耗粉の発生と、ステージ表面への固着とにより、ステージ表面の平滑性が損なわれる。
【0008】
表面が荒れたステージ上では、上下型の姿勢が傾くことや、ステージから型セットへの熱の伝達が経時変化するなどの問題が発生する。このため、平滑性を保つためのメンテナンスが必要となり、稼働率を低下させてしまう。
【0009】
本発明の目的は、光学素子製造時の稼働率の低下を防ぐことができると共に、安定した品質の光学素子を製造することができる光学素子の製造方法、光学素子成形用型セット、及び光学素子の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光学素子の製造方法は、対向して配置された上型及び下型と、これら上型及び下型の周囲に配置された胴型と、を有する光学素子成形用型セットに収容された光学素子素材の加熱を行う加熱工程と、加熱された上記光学素子素材の加圧を行う加圧工程と、加圧された上記光学素子素材の冷却を行う冷却工程と、を含み、上記加熱工程、上記加圧工程、及び上記冷却工程は、上記光学素子成形用型セットを複数のステージに順次搬送して行われ、上記胴型の底面には、溝が形成されており、上記溝の形成方向における上記溝の両端は、上記胴型の外周面で開口しており、上記溝は、上記胴型の底面視において上記下型の底面の全体を含み、上記複数のステージでは、上記溝の形成方向が上記光学素子成形用型セットの搬送方向と平行になるように上記光学素子成形用型セットがスライドして搬送される。
【0011】
本発明の光学素子成形用型セットは、対向して配置される上型及び下型と、上記上型及び上記下型の周囲に配置される胴型と、を備え、上記胴型の底面には、溝が形成されており、上記溝の形成方向における上記溝の両端は、上記胴型の外周面で開口しており、上記溝は、上記胴型の底面視において上記下型の底面の全体を含む。
【0012】
また、上記光学素子成形用型セットにおいて、上記溝は、一直線状に形成されているようにしてもよい。
また、上記光学素子成形用型セットにおいて、上記胴型は、第1の胴型と、この第1の胴型の周囲に配置された第2の胴型と、を含み、上記溝は、少なくとも上記第2の胴型に形成されているようにしてもよい。
【0013】
また、上記光学素子成形用型セットにおいて、上記溝は、上記第2の胴型のみに形成され、上記第2の胴型の材質は、上記下型の材質よりも軟らかいようにしてもよい。
また、上記光学素子成形用型セットにおいて、上記上型、上記下型、及び上記第1の胴型の材料は、超硬合金、サーメット、及びセラミックスのうちの少なくとも1つを含み、上記第2の胴型の材料は、オーステナイト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼を含み、上記超硬合金は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とし、上記サーメットは、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、及びアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とし、上記セラミックスは、アルミナ(Al2O3)、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、窒化珪素(Si3N4)、及び窒化硼素(BS)のいずれかであるようにしてもよい。
【0014】
本発明の光学素子の製造装置は、上記いずれかの光学素子成形用型セットと、上記光学素子成形用型セットが順次搬送される複数のステージと、を備え、上記複数のステージの各々では、光学素子素材の加熱、加圧、及び冷却のうちの少なくとも1つが行われる。
【0015】
また、上記光学素子の製造装置において、複数の上記ステージでは、上記溝の形成方向が上記光学素子成形用型セットの搬送方向と平行になるように上記光学素子成形用型セットがスライドして搬送されるようにしてもよい。
【0016】
また、上記光学素子の製造装置において、複数の上記ステージの少なくとも1つには、上記光学素子成形用型セットの上記溝を挟んで位置する一対の凸部に当接し、上記光学素子成形用型セットの搬送方向に延び、上記溝よりも浅い一対の搬送ガイド溝が形成されているようにしてもよい。
【0017】
また、上記光学素子の製造装置において、上記一対の搬送ガイド溝には、傾斜面が形成され、上記光学素子成型用型セットの上記一対の凸部は、上記溝の上記傾斜面に当接する傾斜面を有するようにしてもよい。
【0018】
また、上記光学素子の製造装置において、上記光学素子成型用型セットの上記一対の凸部には、上記ステージの上記一対の搬送ガイド溝に当接する当接面と、非当接面である凹部とが交互に複数ずつ形成され、上記光学素子成型用型セットの上記凹部は、上記搬送方向に交差する方向に延びるようにしてもよい。
【0019】
また、上記光学素子の製造装置において、上記光学素子成型用型セットの上記凹部は、上記搬送方向の後方側で上記光学素子成形用型セットの外周面に開口するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学素子製造時の稼働率の低下を防ぐことができると共に、安定した品質の光学素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光学素子の製造装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光学素子成形用型セットを示す断面図である。
【図3A】本発明の第1実施形態における第2の胴型を示す底面図である。
【図3B】本発明の第1実施形態における第2の胴型を示す側面図である。
【図3C】本発明の第1実施形態における第2の胴型を示す斜視図である。
【図3D】図3CのA部拡大図である。
【図4】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る型セット10−2を示す底面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の第2変形例における、突出部が設けられた上加熱板を示す断面図である。
【図6A】本発明の第2実施形態に係る型セットを示す断面図である。
【図6B】本発明の第2実施形態に係る型セットを示す底面図である。
【図7A】本発明の第3実施形態における下加熱板を示す斜視図である。
【図7B】図7AのB部拡大図である。
【図8A】本発明の第3実施形態における下加熱板及び型セットを示す斜視図である。
【図8B】図8AのC部拡大図である。
【図9】本発明の第4実施形態における下加熱板及び型セットを示す斜視図である。
【図10】本発明の第5実施形態に係る型セットを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る光学素子成形用型セット並びに光学素子の製造装置及び製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学素子の製造装置1の内部構造を示す断面図である。
【0024】
図2は、本実施形態に係る光学素子成形用型セット10を示す断面図及び底面図である。
図3A〜図3Cは、成形用型セット10の第2の胴型14を示す底面図、側面図、および斜視図である。
【0025】
図3Dは、図3CのA部拡大図である。
図1に示す光学素子の製造装置1は、成形室2と、加熱・加圧ステージ3と、冷却ステージ4と、エアシリンダ5,6と、気体流入部7と、気体流出部8と、光学素子成形用型セット10と、を備える。加熱・加圧ステージ3及び冷却ステージ4は、型セット10が順次搬送され光学素子素材100の加熱、加圧、及び冷却のうちの少なくとも1つが行われる複数のステージの例である。
【0026】
成形室2の内部には、加熱・加圧ステージ3及び冷却ステージ4が配置されている。成形室2には、搬入口シャッタ2a及び搬出口シャッタ2bが設けられている。これら搬入口シャッタ2a及び搬出口シャッタ2bは、閉鎖位置と、この閉鎖位置の上方の開放位置と、を往復移動する。
【0027】
加熱・加圧ステージ3は、光学素子成形用型セット(以下、単に「型セット」と記す。)10に当接する当接部材の一例である上加熱板3a及び下加熱板3bと、基台3cと、光学素子素材100を加熱する加熱部の一例であるカートリッジヒータ3d,3eと、を有する。
【0028】
上加熱板3aと下加熱板3bとは、対向して配置されている。上加熱板3a及び下加熱板3bには、円柱形状のカートリッジヒータ3d,3eがそれぞれ2本ずつ挿入されている。
【0029】
上加熱板3aは、エアシリンダ5に連結され、このエアシリンダ5によって上下方向に移動する。エアシリンダ5は、光学素子素材100を加圧する加圧部の一例である。下加熱板3bは、成形室2の底面に固定された基台3cに固定されている。
【0030】
冷却ステージ4は、型セット10に当接する当接部材の一例である上冷却板4a及び下冷却板4bと、基台4cと、光学素子素材100を冷却する冷却部の一例であるカートリッジヒータ4d,4eと、を有する。
【0031】
上冷却板4aと下冷却板4bとは、対向して配置されている。上冷却板4a及び下冷却板4bには、円柱形状のカートリッジヒータ4d,4eがそれぞれ2本ずつ挿入されている。
【0032】
上冷却板4aは、エアシリンダ6に連結され、このエアシリンダ6によって上下方向に移動する。エアシリンダ6は、光学素子素材100を加圧する加圧部の一例である。下冷却板4bは、成形室2の底面に固定された基台4cに固定されている。
【0033】
気体流入部7は、成形室2に窒素(N2)等の不活性ガスを流入させる。また、気体流出部8は、成形室2内のガスを流出させる。このように、成形室2の内部は、不活性ガスにより置換可能である。
【0034】
図2および図3A〜図3Dに示すように、型セット10は、上型11と、下型12と、上型11及び下型12の周囲に配置される胴型の一例である第1の胴型13及び第2の胴型14と、を有する。
【0035】
上型11と下型12とは、対向して配置されている。上型11及び下型12は、略円柱形状を呈する。
上型11の底面には、鏡面研磨が施され光学素子素材100に凸形状を転写する凹型の成形面11aが形成されている。また、上型11の上端には、フランジ部11bが形成されている。
【0036】
下型12の上面にも、鏡面研磨が施され光学素子素材100に凸形状を転写する凹型の成形面12aが形成されている。また、下型12の下端にも、フランジ部12bが形成されている。
【0037】
第1の胴型13は、円筒形状を呈し、上型11及び下型12の周囲、例えば、フランジ部11b,12bの間に配置されている。第1の胴型13の内周面には、上型11及び下型12が外周面において嵌合する。第1の胴型13は、上型11及び下型12を摺動させることができる。
【0038】
第2の胴型14は、外周が8角形で内周が円形の筒形状を呈し、第1の胴型13の周囲に配置されている。第2の胴型14の内周面には、第1の胴型13のみが、或いは、第1の胴型13と上型11及び下型12のフランジ部11b,12bとが、外周面において摺動する。第2の胴型14は、上述の上加熱板3aに当接することで、プレスによる光学素子素材100の押し込み量が調整され、光学素子が所望の厚さになる。
【0039】
図3Aに示すように、第2の胴型14の底面には、溝14cが例えば一直線状に形成されている。この溝14cは、溝の形成方向(例えば、溝の長手方向であり、搬送方向Dと同じ方向)の両端において第2の胴型14(型セット10)の外周面に開口し、底面視において下型12の底面12c(引き出し線を点線で図示)の全体を含むように形成されている。即ち、第2の胴型14の底部には、第2の胴型14の外周面の一部から、それに対向する外周面の一部まで、連続して開口された溝14cが形成されている。そして、溝14cの内側に下型12の底部が位置している。従って、ステージ上での型セット10では、下型12の底部から搬送方向Dを見ると、第2の胴型14の底部はステージから浮いている(ステージと接していない)ということができる。第2の胴型14の両端には、溝14cを挟んで位置する一対の凸部14a,14bが形成されている。
【0040】
溝14cは、両端において型セット10の外周面に開口する。溝14cの幅は、下型12の外径以上で、第2の胴型14の外径から内径の間の大きさである。このように、溝14cは、下型12の底面12cの全体を含むように形成されている。
【0041】
上型11、下型12、及び第1の胴型13は、例えば、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金によって作製されている。なお、「主成分」とは、例えば、90wt%以上の成分を有していることを言うものとする(以下同じ)。第2の胴型14は、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)によって作製されている。
【0042】
なお、上型11、下型12、及び第1の胴型13の材料は、超硬合金、サーメット、及びセラミックスのうちの少なくとも1つを含むことが望ましい。また、第2の胴型14の材料は、オーステナイト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼を含むことが望ましい。
【0043】
上記サーメットは、例えば、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、及びアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とするものがより望ましい。また、上記セラミックスは、アルミナ(Al2O3)、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、窒化珪素(Si3N4)、及び窒化硼素(BS)のいずれかであることがより望ましい。
【0044】
上記の材料を用いることにより、第2の胴型14の材質は、下型12の材質よりも軟らかくなる。従って、第2の胴型14の方が下型12に比べ、磨耗し易く、磨耗粉も発生し易くなる。
【0045】
以下、光学素子の製造装置1を用いた光学素子の製造方法について説明する。
まず、図2に示すように、型セット10の下型12の外周面に、第1の胴型13が内周面において嵌め込まれる。ついで、下型12の成形面12a上に、光学素子素材100が、成形面12aの中心に一致するようにして載置される。なお、本実施形態では、光学素子素材100は、球形状をなしている。
【0046】
次に、光学素子素材100の上方から上型11が外周面において第1の胴型13の内周面に嵌め込まれる。さらに、組み合わせた上型11及び下型12のフランジ部11b,12bと第1の胴型13との外周面に、第2の胴型14が内周面において嵌め込まれる。こうして、光学素子素材100の型セット10への導入(収容)が完了する。
【0047】
次に、光学素子素材100を型セット10の中で成形し、光学素子を作製する工程の説明を行う。
まず、カートリッジヒータ3d,3eを予め所定温度に加熱してある上加熱板3aと下加熱板3bとの間に、前述のように組み立てた型セット10が搬入口シャッタ2aの開放時に搬入される。
【0048】
次に、エアシリンダ5が上加熱板3aを下降させ、上型11の上面に上加熱板3aが接触することで、型セット10内で挟持され収容された光学素子素材100が、例えばガラス屈伏点以上の温度(光学素子素材100がガラスの場合)に加熱され、加圧可能な状態になる(加熱工程)。
【0049】
次に、加熱・加圧ステージ3にて、エアシリンダ5が上加熱板3aを介して上方から下方に型セット10を押圧(挟圧)することで、光学素子100が加圧される(加圧工程)。このとき、上方から下方に向かい上型11が押圧されると、ガラス屈伏点以上の温度に加熱されている光学素子素材100は、加熱軟化しているため、上型11及び下型12の成形面11a,12aに押しつぶされ、光学素子形状となる。
【0050】
また、光学素子素材100を押しつぶしていくと、上加熱板3aが第2の胴型14の上端面に接触し、光学素子素材100が予め所定の中心肉厚になる位置で停止する。
その後、型セット10は、下型12の底面12cが加熱・加圧ステージ3及び冷却ステージ4に接触した状態でスライドして搬送される。このとき、型セット10は、溝14cが搬送方向Dと平行になるように搬送される。
【0051】
そして、冷却ステージ4において、光学素子素材100は、所定の温度に低下するまで冷却される(冷却工程)。この冷却工程においては、例えば、エアシリンダ6が上冷却板4aを下降させ、上型11の上面に上冷却板4aを接触させる。そして、型セット10内で挟持され収容された光学素子素材100が、冷却用の温度に設定されたカートリッジヒータ4d,4eや自然冷却によって冷却される。
【0052】
このとき、上型11及び下型12(タングステンカーバイド)と第2の胴型14(オーステナイト系ステンレス鋼)との材質が異なり、冷却による体積収縮量は第2の胴型14の方が上型11及び下型12よりも大きい。そのため、第2の胴型14が大きく収縮することで、冷却ステージ4の上冷却板4aには上型11のみが当接するようになる。これにより、冷却時にも上型11により光学素子(光学素子素材100)へ圧力をかけることができる。
【0053】
取り出し可能な温度域まで型セット10が冷却された後、型セット10は、溝14cが搬送方向Dと平行になるようにスライドして搬送され、搬出口シャッタ2bの開放時に成形室2の外に搬出される。そして、型セット10から、製造された光学素子が取り出される。
【0054】
なお、以上のように光学素子を製造し、下加熱板3b及び下冷却板4bの品質評価を行った結果について以下に記す。
上述したように型セット10に溝14cを設けて溝14cを搬送方向Dと平行になるように型セット10を搬送して光学素子の製造を行った場合と、溝14cを設けずに光学素子の製造を行った場合(従来)との比較を行った。
【0055】
従来のように溝14cを設けずに型セット10をスライド搬送させて光学素子を成形により製造した場合、型セット10を5000個回、光学素子の製造装置1に搬入し、光学素子を成形した段階で、下加熱板3b及び下冷却板4bと第2の胴型14の底面とが擦れた。また、これにより、第2の胴型14から発生した磨耗粉が下加熱板3b及び下冷却板4bの表面に固着し、下加熱板3b及び下冷却板4bに型セット10を載置した状態での上型11及び下型12の姿勢が傾く現象が確認できた。したがって、光学素子の所望の精度を維持することが困難となり、メンテナンスを実施した。
【0056】
それに対し、本実施形態のように成形を行った場合、型セット10を50000回(従来の10倍)、光学素子の製造装置1に搬入し、光学素子を成形した段階まで、光学素子の精度を維持できた。これにより、従来の手法に比べ、メンテナンス回数が減り、稼働率が向上した。
【0057】
以上説明した本実施形態では、第2の胴型14の底面には、両端において外周面に開口し、底面視において下型12の底面12cの全体を含む溝14cが形成されている。これにより、溝14cが型セット10の搬送方向Dと平行になるようにすることで、型セット10がステージ(下加熱板3b及び下冷却板4b)上を搬送される際、第2の胴型14は、下型12とステージ表面との接触面以外の部分でステージ表面と接触する。そのため、磨耗による磨耗粉の発生、ひいては磨耗粉のステージ表面への固着を防ぎ、ステージ表面の平滑性を保つことができる。
【0058】
したがって、下加熱板3b及び下冷却板4b(ステージ表面)が荒れて上型11及び下型12の姿勢が傾くことや、ステージから型セット10への熱の伝達が経時変化することを抑えて、安定した品質の光学素子を製造することができる。更には、ステージの平滑性を保つためのメンテナンスを省略して、稼働率の低下を防ぐこともできる。
【0059】
よって、本実施形態によれば、光学素子製造時の稼働率の低下を防ぐことができると共に、安定した品質の光学素子を製造することができる。
【0060】
また、本実施形態では、溝14cは、一直線状に形成される。そのため、ステージ表面の平滑性をより一層保つことができる。
【0061】
また、本実施形態では、上型11、下型12、及び第1の胴型13の材料は、超硬合金、サーメット、及びセラミックスのうちの少なくとも1つを含み、溝14cが形成された第2の胴型14の材料は、オーステナイト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼を含む。
【0062】
なお、上記超硬合金は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする。また、上記サーメットは、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、及びアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とする。また、上記セラミックスは、アルミナ(Al2O3)、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、窒化珪素(Si3N4)、及び窒化硼素(BS)のいずれかである。
【0063】
そのため、上型11、下型12、及び第1の胴型13の材料によって光学素子を高精度に製造しながら、第2の胴型14の材料によってステージ表面との擦れを抑えることができる。
【0064】
なお、図4(第1変形例に係る型セット10−2を示す底面図)に示すように、第2の胴型14−2は、内周のみならず外周も円形の筒形状を呈するものであってもよく、第1の胴型13の周囲に配置されるものであれば、特に限定されない。また、図4に示すように、溝14c−1の幅は、下型12の底面12cの幅より大きくともよい。
【0065】
また、図5(第3変形例における、突出部3fが設けられた上加熱板3a−3を示す断面図)に示すように、当接部材の一例である上加熱板3a−3(及び図1に示す上冷却板4aのうちの少なくとも一方)に、これよりも小さな突出部3fを設け、この突出部3fを第2の胴型14の内部に挿入させて上型12を押圧するようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、光学素子の製造装置1は、型セット10が順次搬送される複数ステージの例として、加熱・加圧ステージ3と冷却ステージ4との2つのステージを備えるが、3つ以上のステージを備えるようにしてもよい。その場合、加熱・加圧ステージ3をそれぞれ加熱ステージと加圧ステージとに分けてもよいし、加熱,加圧,冷却のいずれかのステージが複数配置されるようにしてもよい。
【0067】
<第2実施形態>
図6A及び図6Bは、本発明の第2実施形態に係る型セット20を示す断面図及び底面図である。
【0068】
本実施形態は、型セット20が胴型として第1の胴型23のみを有する点、及び、溝23cが第1の胴型23に形成される点において第1実施形態と主に相違する。第1実施形態と共通の点については説明を省略する。
【0069】
図6A及び図6Bに示すように、型セット20は、上型21と、下型22と、第1の胴型23と、を有する。
上型21と下型22とは、対向して配置されている。上型21及び下型22は、略円柱形状を呈する。
【0070】
上型21の底面及び下型22の上面には、第1実施形態と同様に、光学素子素材100に凸形状を転写する凹型の成形面21a,22aが形成されている。なお、上型21及び下型22には、本実施の形態では、フランジ部は形成されていない。
【0071】
第1の胴型23は、外周が8角形で内周が円形の筒形状を呈し、上型21及び下型22の周囲に配置されている。第1の胴型23の内周面には、上型21及び下型22が外周面において嵌合する。第1の胴型23は、上型21及び下型22を摺動させることができる。
【0072】
図6Bに示すように、第1の胴型23の底面には、溝23cが例えば一直線状に形成されている。この溝23cは、溝の形成方向(例えば、溝の長手方向であり、搬送方向Dと同じ方向)の両端において第1の胴型23(型セット20)の外周面に開口し、底面視において下型22の底面22bの全体を含むように形成されている。第1の胴型23の両端には、溝23cを挟んで位置する一対の凸部23a,23bが形成されている。
【0073】
本実施形態における型セット20の溝23cも、両端において型セット20の外周面に開口する。溝23cの幅は、下型22の外径以上で、第1の胴型23の外径から内径の間の大きさである。このように、溝23cは、下型22の底面の全体を含むように形成されている。
【0074】
なお、光学素子の製造方法は、第1実施形態と同様であるが、上型21を押圧するために、図5に示すように、突出部3fが設けられた上加熱板3aを用い、突出部3fが第1の胴型23の内部に挿入されて上型22を押圧する構成を採用するとよい。
【0075】
以上説明した第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、型セット20がステージ(下加熱板3b及び下冷却板4b)上を搬送される際、第1の胴型23は、下型22とステージ表面との接触面以外の部分でステージ表面と接触する。そのため、磨耗による磨耗粉の発生、ひいては磨耗粉のステージ表面への固着を防ぎ、ステージ表面の平滑性を保つことができる。
【0076】
よって、本実施形態によっても、光学素子製造時の稼働率の低下を防ぐことができると共に、安定した品質の光学素子を製造することができる。
【0077】
<第3実施形態>
図7Aは、本発明の第3実施形態における下加熱板3bを示す斜視図である。
図7Bは、図7AのB部拡大図である。
【0078】
図8Aは、本実施形態における下加熱板3b及び型セット10を示す斜視図である。
図8Bは、図8AのC部拡大図である。
本実施形態は、加熱ステージ3(冷却ステージ4)の下加熱板3b(下冷却板4b)に、上述の第1実施形態の型セット10の一対の凸部14a,14bに当接し、搬送方向Dに延び溝14cよりも浅い一対の搬送ガイド溝3g,3hが形成されている点において第1実施形態と主に相違する。第1実施形態と共通の点については説明を省略する。
【0079】
図7Aに示すように、下加熱板3bには、搬送方向Dに延びる一対の搬送ガイド溝3g,3hが形成されている。図7Bに示すように、一対の搬送ガイド溝3g,3hは、断面矩形状であり、その矩形の長辺で下加熱板3bの表面に開口する。
【0080】
図8A及び図8Bに示すように、搬送方向Dに直交する断面において、下加熱板3bの一対の搬送ガイド溝3g,3hは、型セット10の第2の胴型14の凸部14a,14bよりも幅が広い。
【0081】
また、溝3g,3hの深さは、凸部14a,14bの突出量よりも小さいため、型セット10の溝14cは、下加熱板3bに非接触である。
【0082】
なお、下冷却板4bにも、下加熱板3bの一対の搬送ガイド溝3g,3hと同様の一対の搬送ガイド溝が形成されるようにするとよく、複数のステージのうち少なくとも1つのステージに上述の一対の搬送ガイド溝3g,3hが形成されればよい。また、本実施形態において上述の第2実施形態の型セット20を用いてもよい。
【0083】
以上説明した本実施形態では、加熱・加圧ステージ3の下加熱板3b(複数のステージの少なくとも1つ)には、型セット10の凸部14a,14bに当接し、搬送方向Dに延び溝14cよりも浅い一対の搬送ガイド溝3g,3hが形成されている。そのため、上述の第1実施形態と同様の効果を得られるのに加え、発生する磨耗粉を一対の搬送ガイド溝3g,3hに溜めることができるとともに、一対の搬送ガイド溝3g,3hによって型セット10をガイドすることもできるという効果を得られる。
【0084】
<第4実施形態>
図9は、本発明の第4実施形態における下加熱板3b及び型セット30を示す斜視図である。
【0085】
本実施形態は、加熱ステージ3(冷却ステージ4)の下加熱板3b(下冷却板4b)に、型セット30の一対の凸部34a,34bに当接し、搬送方向Dに延びる一対の搬送ガイド溝3i,3jが形成されている点において第1実施形態と主に相違する。第1実施形態と共通の点については説明を省略する。
【0086】
図9に示すように、下加熱板3bには、搬送方向Dに延びる一対の搬送ガイド溝3i,3jが形成されている。一対の搬送ガイド溝3i,3jには、傾斜面3k,3Lが形成され、一対の搬送ガイド溝3i,3jの断面形状は、下底よりも長い上底でステージ表面に開口する台形状を呈する。
【0087】
型セット30のうち、上型31、下型32、及び第1の胴型33については、第1実施形態の型セット10のものと同様である。
型セット30の第2の胴型34も、第1実施形態の型セット10の第2の胴型14と同様に、外周が8角形で内周が円形の筒形状を呈し、第1の胴型33の周囲に配置されている。
【0088】
但し、本実施の形態の第2の胴型34では、一対の凸部34a,34bは、中心側から外周端に近づくほど突出量が大きくなり、凸部34a,34bの底面は、一対の搬送ガイド溝3i,3jの傾斜面3k,3Lに当接する傾斜面である。
【0089】
図9に示すように、一対の搬送ガイド溝3i,3jの深さは、凸部34a,34bの突出量よりも小さいため、型セット30の溝34cは、下加熱板3bに非接触である。なお、本実施の形態では凸部34a,34bの先端(下端)間の領域(型セット30の搬送方向Dに直交する幅にほぼ一致)において両端が外周面に開口するが、ステージに非接触になる部分の溝34cは、下型32の底面32aよりも幅が大きく、一対の傾斜面3k,3Lに亘る。
【0090】
なお、下冷却板4bにも、下加熱板3bの一対の搬送ガイド溝3i,3jと同様の一対の搬送ガイド溝が形成されるようにするとよく、複数のステージのうち少なくとも1つのステージに上述の一対の搬送ガイド溝3i,3jが形成されればよい。
【0091】
以上説明した本実施形態では、加熱・加圧ステージ3の下加熱板3b(複数のステージの少なくとも1つ)には、型セット30の凸部34a,34bに当接し、搬送方向Dに延びる一対の搬送ガイド溝3i,3jが形成されている。そのため、上述の第1実施形態と同様の効果を得られるのに加え、上述の第3実施形態と同様に、発生する磨耗粉を一対の搬送ガイド溝3i,3jに溜めることができるとともに、一対の搬送ガイド溝3i,3jによって型セット30をガイドできるという効果を得られる。
【0092】
また、本実施形態では、一対の搬送ガイド溝3i,3jには、傾斜面3k,3Lが形成され、凸部34a,34bは、一対の搬送ガイド溝3i,3jの傾斜面3k,3Lに当接する傾斜面を有する。そのため、型セット30を確実にガイドすることで、型セット30の凸部34a,34bががたつきにより一対の搬送ガイド溝3i,3jと擦れるのも抑えることができる。
【0093】
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態に係る型セット40を示す底面図である。
本実施形態の型セット40は、凸部44a,44bに凹部44c,44dが形成されている点において主に第1実施形態の型セット10に相違する。そのため、この相違点を中心に説明する。
【0094】
凸部44a,44bには、ステージに当接する当接面と、非当接面である凹部44c,44dとが交互に複数ずつ形成されている。これらの凹部44c,44dは、搬送方向Dに交差する方向に延び、搬送方向Dの後方側で型セット40の外周面に開口する。
【0095】
そのため、凸部44a,44bがステージに擦れるのを抑えながら、磨耗粉が凹部44c,44d内を通って型セット40の外側に排出され易くなり、磨耗粉が凸部44a,44bに溜まるのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0096】
1 光学素子の製造装置
2 成形室
2a 搬入口シャッタ
2b 搬出口シャッタ
3 加熱・加圧ステージ
3a 上加熱板
3b 下加熱板
3c 基台
3d,3e カートリッジヒータ
3f 突出部
3g,3h 搬送ガイド溝
3i,3j 搬送ガイド溝
3k,3L 傾斜面
4 冷却ステージ
4a 上冷却板
4b 下冷却板
4c 基台
4d,4e カートリッジヒータ
5,6 エアシリンダ
7 気体流入部
8 気体流出部
10 型セット
11 上型
11a 成形面
11b フランジ部
12 下型
12a 成形面
12b フランジ部
12c 底面
13 第1の胴型
14 第2の胴型
14a,14b 凸部
14c 溝
20 型セット
21 上型
21a 成形面
22 下型
22a 成形面
22b 底面
23 第1の胴型
23a,23b 凸部
23c 溝
30 型セット
31 上型
32 下型
32a 底面
33 第1の胴型
34 第2の胴型
34a,34b 凸部
34c 溝
40 型セット
42 下型
42a 底面
44 第2の胴型
44a,44b 凸部
44c,44d 凹部
44e 溝
100 光学素子素材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された上型及び下型と、該上型及び該下型の周囲に配置された胴型と、を有する光学素子成形用型セットに収容された光学素子素材の加熱を行う加熱工程と、
加熱された前記光学素子素材の加圧を行う加圧工程と、
加圧された前記光学素子素材の冷却を行う冷却工程と、を含み、
前記加熱工程、前記加圧工程、及び前記冷却工程は、前記光学素子成形用型セットを複数のステージに順次搬送して行われ、
前記胴型の底面には、溝が形成されており、
前記溝の形成方向における前記溝の両端は、前記胴型の外周面で開口しており、
前記溝は、前記胴型の底面視において前記下型の底面の全体を含み、
前記複数のステージでは、前記溝の形成方向が前記光学素子成形用型セットの搬送方向と平行になるように前記光学素子成形用型セットがスライドして搬送される、光学素子の製造方法。
【請求項2】
対向して配置される上型及び下型と、
前記上型及び前記下型の周囲に配置される胴型と、を備え、
前記胴型の底面には、溝が形成されており、
前記溝の形成方向における前記溝の両端は、前記胴型の外周面で開口しており、
前記溝は、前記胴型の底面視において前記下型の底面の全体を含む、光学素子成形用型セット。
【請求項3】
前記溝は、一直線状に形成されている、請求項2記載の光学素子成形用型セット。
【請求項4】
前記胴型は、第1の胴型と、該第1の胴型の周囲に配置された第2の胴型と、を含み、
前記溝は、少なくとも前記第2の胴型に形成されている、請求項2又は請求項3記載の光学素子成形用型セット。
【請求項5】
前記溝は、前記第2の胴型のみに形成され、
前記第2の胴型の材質は、前記下型の材質よりも軟らかい、請求項4記載の光学素子成形用型セット。
【請求項6】
前記上型、前記下型、及び前記第1の胴型の材料は、超硬合金、サーメット、及びセラミックスのうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の胴型の材料は、オーステナイト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼を含み、
前記超硬合金は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とし、
前記サーメットは、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、及びアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とし、
前記セラミックスは、アルミナ(Al2O3)、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、窒化珪素(Si3N4)、及び窒化硼素(BS)のいずれかである、請求項5記載の光学素子成形用型セット。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれか1項記載の光学素子成形用型セットと、
前記光学素子成形用型セットが順次搬送される複数のステージと、を備え、
前記複数のステージの各々では、光学素子素材の加熱、加圧、及び冷却のうちの少なくとも1つが行われる、光学素子の製造装置。
【請求項8】
複数の前記ステージでは、前記溝の形成方向が前記光学素子成形用型セットの搬送方向と平行になるように前記光学素子成形用型セットがスライドして搬送される、請求項7記載の光学素子の製造装置。
【請求項9】
複数の前記ステージの少なくとも1つには、前記光学素子成形用型セットの前記溝を挟んで位置する一対の凸部に当接し、前記光学素子成形用型セットの搬送方向に延び、前記溝よりも浅い一対の搬送ガイド溝が形成されている、請求項7又は請求項8記載の光学素子の製造装置。
【請求項10】
前記一対の搬送ガイド溝には、傾斜面が形成され、
前記光学素子成型用型セットの前記一対の凸部は、前記溝の前記傾斜面に当接する傾斜面を有する、請求項9記載の光学素子の製造装置。
【請求項11】
前記光学素子成型用型セットの前記一対の凸部には、前記ステージの前記一対の搬送ガイド溝に当接する当接面と、非当接面である凹部とが交互に複数ずつ形成され、
前記光学素子成型用型セットの前記凹部は、前記搬送方向に交差する方向に延びる、請求項9又は請求項10記載の光学素子の製造装置。
【請求項12】
前記光学素子成型用型セットの前記凹部は、前記搬送方向の後方側で前記光学素子成形用型セットの外周面に開口する、請求項11記載の光学素子の製造装置。
【請求項1】
対向して配置された上型及び下型と、該上型及び該下型の周囲に配置された胴型と、を有する光学素子成形用型セットに収容された光学素子素材の加熱を行う加熱工程と、
加熱された前記光学素子素材の加圧を行う加圧工程と、
加圧された前記光学素子素材の冷却を行う冷却工程と、を含み、
前記加熱工程、前記加圧工程、及び前記冷却工程は、前記光学素子成形用型セットを複数のステージに順次搬送して行われ、
前記胴型の底面には、溝が形成されており、
前記溝の形成方向における前記溝の両端は、前記胴型の外周面で開口しており、
前記溝は、前記胴型の底面視において前記下型の底面の全体を含み、
前記複数のステージでは、前記溝の形成方向が前記光学素子成形用型セットの搬送方向と平行になるように前記光学素子成形用型セットがスライドして搬送される、光学素子の製造方法。
【請求項2】
対向して配置される上型及び下型と、
前記上型及び前記下型の周囲に配置される胴型と、を備え、
前記胴型の底面には、溝が形成されており、
前記溝の形成方向における前記溝の両端は、前記胴型の外周面で開口しており、
前記溝は、前記胴型の底面視において前記下型の底面の全体を含む、光学素子成形用型セット。
【請求項3】
前記溝は、一直線状に形成されている、請求項2記載の光学素子成形用型セット。
【請求項4】
前記胴型は、第1の胴型と、該第1の胴型の周囲に配置された第2の胴型と、を含み、
前記溝は、少なくとも前記第2の胴型に形成されている、請求項2又は請求項3記載の光学素子成形用型セット。
【請求項5】
前記溝は、前記第2の胴型のみに形成され、
前記第2の胴型の材質は、前記下型の材質よりも軟らかい、請求項4記載の光学素子成形用型セット。
【請求項6】
前記上型、前記下型、及び前記第1の胴型の材料は、超硬合金、サーメット、及びセラミックスのうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の胴型の材料は、オーステナイト系またはマルテンサイト系ステンレス鋼を含み、
前記超硬合金は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とし、
前記サーメットは、チタンナイトライド(TiN)、チタンカーバイド(TiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、及びアルミナ(Al2O3)のいずれかを主成分とし、
前記セラミックスは、アルミナ(Al2O3)、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、クロムカーバイド(Cr3C2)、窒化珪素(Si3N4)、及び窒化硼素(BS)のいずれかである、請求項5記載の光学素子成形用型セット。
【請求項7】
請求項2から請求項6のいずれか1項記載の光学素子成形用型セットと、
前記光学素子成形用型セットが順次搬送される複数のステージと、を備え、
前記複数のステージの各々では、光学素子素材の加熱、加圧、及び冷却のうちの少なくとも1つが行われる、光学素子の製造装置。
【請求項8】
複数の前記ステージでは、前記溝の形成方向が前記光学素子成形用型セットの搬送方向と平行になるように前記光学素子成形用型セットがスライドして搬送される、請求項7記載の光学素子の製造装置。
【請求項9】
複数の前記ステージの少なくとも1つには、前記光学素子成形用型セットの前記溝を挟んで位置する一対の凸部に当接し、前記光学素子成形用型セットの搬送方向に延び、前記溝よりも浅い一対の搬送ガイド溝が形成されている、請求項7又は請求項8記載の光学素子の製造装置。
【請求項10】
前記一対の搬送ガイド溝には、傾斜面が形成され、
前記光学素子成型用型セットの前記一対の凸部は、前記溝の前記傾斜面に当接する傾斜面を有する、請求項9記載の光学素子の製造装置。
【請求項11】
前記光学素子成型用型セットの前記一対の凸部には、前記ステージの前記一対の搬送ガイド溝に当接する当接面と、非当接面である凹部とが交互に複数ずつ形成され、
前記光学素子成型用型セットの前記凹部は、前記搬送方向に交差する方向に延びる、請求項9又は請求項10記載の光学素子の製造装置。
【請求項12】
前記光学素子成型用型セットの前記凹部は、前記搬送方向の後方側で前記光学素子成形用型セットの外周面に開口する、請求項11記載の光学素子の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−28503(P2013−28503A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165951(P2011−165951)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
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