説明

光学表示ユニットの製造システム及び製造方法、並びに、ロール原反

【課題】良好に搬送を行うことができるとともに、光学表示ユニットの製造コストを低減することができる光学表示ユニットの製造システム及び製造方法、並びに、ロール原反を提供する。
【解決手段】離型性を有するベルト51の外表面に帯状偏光シート30,40の粘着剤層を転着させた状態で帯状偏光シート30,40を搬送し、当該帯状偏光シート30,40を所定間隔で切断することにより生成された偏光シート片F1,F2を表示基板Wに貼り合せることにより、光学表示ユニットを製造する。ベルト51に粘着剤層を転着させた状態で帯状偏光シート30,40を搬送することにより、良好に搬送を行うことができるとともに、ベルト51を用いた簡単な構成で搬送することができるため、光学表示ユニットの製造コストを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示基板に偏光シート片が貼り合せられた光学表示ユニットの製造システム及び製造方法、並びに、ロール原反に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、光学表示装置に実装される光学表示ユニットの従来の製造方法の一例を示したフローチャートである。まず、光学フィルム製造メーカーでは、光学フィルムを有する長尺(帯状)のシート部材が、ロール状に巻回されることによりロール原反として製造される(#1)。上記シート部材は、光学フィルムを有する帯状偏光シートに離型フィルムが貼り合せられることにより形成されている。ロール原反の具体的製造工程は公知であるため、説明は省略する。
【0003】
次に、ロール原反が所定の幅(表示基板の形状に応じた幅)にスリットされる(#2)。そして、スリットされたロール原反から繰り出されるシート部材が、貼り合わせられる表示基板の形状に合わせて定尺切断される(#3)。これにより、帯状偏光シートから切り出された偏光シート片に離型フィルムが貼り合せられた枚葉のシート部材が得られる。定尺切断された枚葉のシート部材に対しては、外観検査が行われる(#4)。この検査方法としては、例えば、目視による欠点検査、公知の欠点検査装置を用いた検査などが挙げられる。次いで、完成品検査が行われる(#5)。完成品検査は、外観検査よりも厳しい判定基準に基づく検査である。その後、枚葉のシート部材の各端面が端面加工される(#6)。この端面加工は、輸送中に端面から粘着剤がはみだすのを防止するために行なわれる。次いで、クリーンルーム環境において、枚葉のシート部材が包装され(#7)、輸送のために梱包される(#8)。以上のようにして枚葉のシート部材が製造され、パネル加工メーカーに輸送される。
【0004】
パネル加工メーカーでは、輸送されてきた枚葉のシート部材が梱包解体される(#11)。次いで、輸送中あるいは梱包解体時に生じた傷、汚れなどを検査するために外観検査が行われる(#12)。検査で良品判定された枚葉のシート部材は、次工程に搬送される。なお、この外観検査を省略する場合もある。枚葉のシート部材が貼り合わされる表示基板(例えば、液晶セルが封入されたガラス基板ユニット)は、予め製造され、当該表示基板は貼り合わせ工程の前に洗浄される(#13)。
【0005】
次いで、枚葉のシート部材が表示基板に貼り合わせられることにより、光学表示ユニットが形成される(#14)。このとき、枚葉のシート部材から粘着剤層を残して離型フィルムを剥離することにより得られる偏光シート片が、粘着剤層を貼り合わせ面として表示基板の一方の面に貼り合わせられる。さらに、表示基板の他方の面にも同様に偏光シート片を貼り合わせることもできる。表示基板の両面に偏光シート片を貼り合わせる場合には、表示基板の両面に、それぞれ同一構成の偏光シート片が貼り合せられるような構成であってもよいし、異なる構成の偏光シート片が貼り合せられるような構成であってもよい。その後、表示基板に偏光シート片が貼り合わせられることにより形成された光学表示ユニットの貼り合せ状態及び欠点の検査が行なわれる(#15)。この検査で良品と判定された光学表示ユニットは、実装工程に搬送され、光学表示装置に実装される(#16)。一方、不良品と判定された光学表示ユニットは、リワーク処理が施される(#17)。リワーク処理では、表示基板から偏光シート片が剥離され、表示基板に新たな偏光シート片が貼り合せられる(#14)。
【0006】
以上の製造工程において、特に端面加工、枚葉のシート部材の包装、梱包や梱包解体などは、光学フィルム製造メーカーとパネル加工メーカーとが別々の場所に存在しているために必要な工程となっている。しかしながら、上記のような多工程からなる製造工程では、製造コストが上昇するという問題の他、製造される枚葉のシート部材に傷や汚れが生じやすいといった問題がある。
【0007】
これを解決する方法として、特開2007−140046号公報(特許文献1)に開示された発明では、シート部材をロールから引き出して切断する工程と、切断された枚葉のシート部材を表示基板に貼り合せる工程とが、連続した製造ライン上で行われるようになっている。これにより、従来のように枚葉のシート部材を1枚ずつ梱包、納品するような方法と比較して、光学表示ユニットの生産性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−140046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示された発明では、切断された枚葉のシート部材を吸着して貼り合わせなど次工程に搬送するようになっているため、複雑な搬送装置の使用に伴い光学表示ユニットの製造コストが高くなる。また、枚葉のシート部材が大きくカールしている場合などには、当該シート部材を良好に搬送することができないといった問題がある。
【0010】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、貼り合わせなど次工程に良好に搬送を行うことができるとともに、光学表示ユニットの製造コストを低減することができる光学表示ユニットの製造システム及び製造方法、並びに、ロール原反を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光学表示ユニットの製造システムは、表示基板に偏光シート片が貼り合せられた光学表示ユニットの製造システムであって、偏光子を有し、一方の面に粘着剤層を有する帯状偏光シートが、上記粘着剤層に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されたロール原反から、上記帯状偏光シートを繰り出して搬送する搬送装置と、上記帯状偏光シートを所定間隔で切断することにより上記偏光シート片を生成する切断装置と、上記偏光シート片を上記表示基板に貼り合せる貼合装置とを備え、上記搬送装置が、離型性を有する支持体に上記帯状偏光シートの上記粘着剤層を転着させた状態で上記帯状偏光シートを搬送するようにしたことを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、離型性を有する支持体に帯状偏光シートの粘着剤層を転着させた状態で搬送し、当該帯状偏光シートを所定間隔で切断することにより生成された偏光シート片を表示基板に貼り合せることにより、光学表示ユニットを製造することができる。このように、支持体に粘着剤層を転着させた状態で帯状偏光シートを搬送することにより、搬送中の帯状偏光シートの蛇行を防ぎ、良好に搬送を行うことができるとともに、表示基板への貼りずれを防ぐことができる。また、支持体を用いた簡単な構成で搬送することができるため、光学表示ユニットの製造コストを低減することができる。
【0013】
また、粘着剤層に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されたロール原反を用いることにより、離型フィルムを省略することができる。これにより、ロール原反の製造コストを低減することができ、ひいては光学表示ユニットの製造コストを低減することができる。また、比較的剛性の高い離型フィルムを省略することにより、帯状偏光シートを巻回してロール原反を製造するのが容易であるとともに、省略した離型フィルムの分だけ帯状偏光シートの巻数を増やすことができる。
【0014】
本発明に係る光学表示ユニットの製造システムは、上記離型性を有する支持体が、ベルト、ローラ、フィルム及びドラムの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、ベルト、ローラ、フィルム及びドラムの少なくとも1つを含む簡単な構成で帯状偏光シートを搬送することができるため、光学表示ユニットの製造コストを効果的に低減することができる。
【0016】
上記ベルト、ローラ、フィルム及びドラムは、樹脂製、ゴム製、金属製などであることが好ましい。上記支持体における帯状偏光シートの粘着剤層との接触面は、離型性を有するものであるが、シリコーン処理、長鎖アルキル処理などの表面離型性を向上するための離型処理が施されていてもよく、水や油などの潤滑剤を上記接触面に滴下して離型性を有するように構成してもよい。
【0017】
本発明に係る光学表示ユニットの製造システムは、上記切断装置が、上記離型性を有する支持体上で上記帯状偏光シートを切断するようにしたことを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、支持体上で帯状偏光シートを確実に切断することができる。すなわち、帯状偏光シートを支持体上に転着させた状態で安定して切断することができるとともに、切断精度にばらつきがある場合であっても、切込み深さを若干大きく設定することにより、帯状偏光シートを完全に切断できない状態(半切れ状態)が生じるのを防止することができる。この場合、上記支持体が難切断性の材料で形成されていることが好ましい。
【0019】
本発明に係る光学表示ユニットの製造システムは、上記離型性を有する支持体の幅が、上記帯状偏光シートの幅よりも大きいことを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、帯状偏光シートよりも幅が大きい支持体上に帯状偏光シートを転着させた状態で、当該帯状偏光シートを幅方向全体にわたって安定して切断することができる。上記帯状偏光シートの幅は、上記表示基板の幅と略一致していてもよい。
【0021】
本発明に係る光学表示ユニットの製造システムは、上記切断装置が、上記ロール原反上で上記帯状偏光シートを切断するようにしたことを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、ロール原反上で帯状偏光シートを安定して切断することができる。すなわち、帯状偏光シートを転着させた状態で安定して切断するための装置を別途設ける必要がないため、製造システムを簡略化することができ、光学表示ユニットの製造コストをさらに低減することができる。
【0023】
本発明に係る光学表示ユニットの製造システムは、上記切断装置が、予め検出された上記帯状偏光シートに含まれる欠点に基づき所定間隔で上記帯状偏光シートを切断することを特徴とする。
【0024】
このような構成によれば、予め検出された欠点に基づき所定間隔で帯状偏光シートを切断することにより、欠点が含まれない良品の偏光シート片を効率よく生成し、表示基板に貼り合せることができるので、光学表示ユニットの歩留まりを向上することができる。
【0025】
上記搬送装置により搬送される上記帯状偏光シートに含まれる欠点を検査する欠点検査装置を備え、上記切断装置が、上記欠点検査装置による欠点検査の結果に基づき所定間隔で上記帯状偏光シートを切断するような構成であってもよい。また、上記搬送装置が、予め欠点が検査されたロール原反から上記帯状偏光シートを繰り出して搬送し、上記切断装置が、予め行われた上記検査の結果に基づき所定間隔で上記帯状偏光シートを切断するような構成であってもよい。
【0026】
本発明に係る光学表示ユニットの製造システムは、上記帯状偏光シートにおける上記粘着剤層とは反対側の面が、離型性を有することを特徴とする。
【0027】
このような構成によれば、粘着剤層に離型フィルムが貼り合せられることなく帯状偏光シートが巻回されることにより形成されたロール原反から、帯状偏光シートを繰り出して搬送する際に、当該帯状偏光シートの表面から粘着剤層が剥離しやすい。そのため、ロール原反から帯状偏光シートを良好に繰り出して搬送することができる。
【0028】
上記帯状偏光シートにおける上記粘着剤層とは反対側の面には、シリコーン処理、長鎖アルキル処理などの離型性を向上するための離型処理が施されていてもよい。
【0029】
本発明に係る光学表示ユニットの製造方法は、表示基板に偏光シート片が貼り合せられた光学表示ユニットの製造方法であって、偏光子を有し、一方の面に粘着剤層を有する帯状偏光シートが、上記粘着剤層に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されたロール原反から、上記帯状偏光シートを繰り出して搬送する搬送ステップと、上記帯状偏光シートを所定間隔で切断することにより上記偏光シート片を生成する切断ステップと、上記偏光シート片を上記表示基板に貼り合せる貼合ステップとを備え、上記搬送ステップでは、離型性を有する支持体に上記帯状偏光シートの上記粘着剤層を転着させた状態で上記帯状偏光シートを搬送することを特徴とする。
【0030】
このような構成によれば、本発明に係る上記光学表示ユニットの製造システムと同様の効果を奏する光学表示ユニットの製造方法を提供することができる。
【0031】
本発明に係るロール原反は、偏光子を有し、一方の面に粘着剤層を有する帯状偏光シートが巻回されることにより形成されたロール原反から、上記帯状偏光シートを繰り出して、離型性を有する支持体に当該帯状偏光シートの上記粘着剤層を転着させた状態で搬送し、当該帯状偏光シートを所定間隔で切断することにより得られた偏光シート片を表示基板に貼り合せるためのロール原反であって、上記帯状偏光シートが、上記粘着剤層に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されたことを特徴とする。
【0032】
このような構成によれば、支持体に粘着剤層を転着させた状態で帯状偏光シートを搬送することにより、搬送中の帯状偏光シートの蛇行を防ぎ、良好に搬送を行うことができるとともに、表示基板への貼りずれを防ぐことができるようなロール原反を提供することができる。
【0033】
また、粘着剤層に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されたロール原反では、離型フィルムを省略することができる。これにより、ロール原反の製造コストを低減することができる。また、比較的剛性の高い離型フィルムを省略することにより、帯状偏光シートを巻回してロール原反を製造するのが容易であるとともに、省略した離型フィルムの分だけ帯状偏光シートの巻数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】表示基板に偏光シート片を貼り合せて光学表示ユニットを製造する際の態様を示した概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光学表示ユニットの製造システムの一例を示した概略平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る光学表示ユニットの製造方法の一例を示したフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る光学表示ユニットの製造システムの構成を部分的に示した概略側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る光学表示ユニットの製造システムの構成を部分的に示した概略側面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る光学表示ユニットの製造システムの構成を部分的に示した概略側面図である。
【図7】光学表示装置に実装される光学表示ユニットの従来の製造方法の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
図1は、表示基板Wに偏光シート片F1,F2を貼り合せて光学表示ユニットUを製造する際の態様を示している。
【0036】
本実施形態では、第1ロール原反から第1帯状偏光シートを繰り出して切断することにより生成された第1偏光シート片F1が、表示基板Wの一方の面(第1面)に貼り合せられ、第2ロール原反から第2帯状偏光シートを繰り出して切断することにより生成された第2偏光シート片F2が、表示基板Wの他方の面(第2面)に貼り合せられることにより、光学表示ユニットUが製造される。ただし、このような構成に限らず、表示基板Wの一方の面にのみ偏光シート片が貼り合せられるような構成であってもよい。
【0037】
(表示基板)
表示基板Wとしては、例えば、液晶セルのガラス基板ユニット、有機EL発光体ユニットなどが挙げられる。表示基板Wは、例えば長方形状に形成される。
【0038】
(偏光シート片)
偏光シート片F1,F2としては、偏光フィルム、又は、偏光フィルムに位相差フィルムや輝度向上フィルムを組み合わせた積層フィルムなどから構成することができる。偏光シート片F1,F2は、その一方の面に、表示基板Wとの貼り合せ面を形成する粘着剤層F14,F24を有しているが、この粘着剤層F14,F24には離型フィルムが貼り合せられていない。
【0039】
すなわち、上記第1ロール原反は、一方の面に第1粘着剤層F14を有する第1帯状偏光シートが、第1粘着剤層F14に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されている。当該第1ロール原反から繰り出された第1帯状偏光シートが切断されることにより、第1偏光シート片F1が生成される。同様に、上記第2ロール原反は、一方の面に第2粘着剤層F24を有する第2帯状偏光シートが、第2粘着剤層F24に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されている。当該第2ロール原反から繰り出された第2帯状偏光シートが切断されることにより、第2偏光シート片F2が生成される。
【0040】
この例では、第1帯状偏光シート及び第1偏光シート片F1は、第1光学フィルムF11と、表面保護フィルムF13とを有する。第1光学フィルムF11は、例えば、第1偏光子F11aと、その一方の面に接着された第1フィルムF11bと、他方の面に接着された第2フィルムF11cとからなる。
【0041】
第1フィルムF11b及び第2フィルムF11cは、例えば、偏光子保護フィルム(トリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)からなる。第2フィルムF11cは、第1粘着剤層F14を介して表示基板Wに貼り合わせられる。第1光学フィルムF11(第2フィルムF11c)に対する粘着剤層F14の形成は、例えば無溶剤系の粘着剤を第1光学フィルムF11に直接塗工し、光照射によって硬化させる方法により行うことができる。第1フィルムF11bには、反射防止処理などの表面処理を施すことができる。表面保護フィルムF13は、粘着剤層F15を介して第1フィルムF11bに貼り合せられている。表面保護フィルムF13における粘着剤層F15とは反対側の面には、シリコーン処理、長鎖アルキル処理などの離型性を向上するための離型処理が施されている。
【0042】
このように、第1帯状偏光シート及び第1偏光シート片F1は、一方の面(内表面)に第1粘着剤層F14を有し、第1粘着剤層F14とは反対側の面(外表面)が離型性を有している。このような構成に限らず、例えば表面保護フィルムF13及び粘着剤層F15を省略し、第1光学フィルムF11の外表面が離型性を有するような構成などであってもよい。また、第1フィルムF11b及び第2フィルムF11cの一方を省略することも可能である。本実施形態のように、第1帯状偏光シートが表面保護フィルムF13を有している場合には、当該第1帯状偏光シートを巻回した状態で互いに重なり合う表面保護フィルムF13と第1粘着剤層F14との粘着力が、粘着剤層F15と第1光学フィルムF11の一方面(第1フィルムF11b)との粘着力よりも小さくなるように、表面保護フィルムF13における粘着剤層F15とは反対側の面に離型処理が施される。
【0043】
同様に、第2帯状偏光シート及び第2偏光シート片F2は、第2光学フィルムF21と、表面保護フィルムF23とを有する。第2光学フィルムF21は、例えば、第2偏光子F21aと、その一方の面に接着された第3フィルムF21bと、他方の面に接着された第4フィルムF21cとからなる。
【0044】
第3フィルムF21b及び第4フィルムF21cは、例えば第1フィルムF11b及び第2フィルムF11cと同様の偏光子保護フィルムからなる。第4フィルムF21cは、第2粘着剤層F24を介して表示基板Wに貼り合わせられる。第2光学フィルムF21(第4フィルムF21c)に対する粘着剤層F24の形成は、粘着剤層F14と同様の方法により行うことができる。第3フィルムF21bには、反射防止処理などの表面処理を施すことができる。表面保護フィルムF23は、粘着剤層F25を介して第3フィルムF21bに貼り合せられている。表面保護フィルムF23における粘着剤層F25とは反対側の面には、上記と同様の離型処理が施されている。
【0045】
このように、第2帯状偏光シート及び第2偏光シート片F2は、一方の面(内表面)に第2粘着剤層F24を有し、第2粘着剤層F24とは反対側の面(外表面)が離型性を有している。このような構成に限らず、例えば表面保護フィルムF23及び粘着剤層F25を省略し、第2光学フィルムF21の外表面が離型性を有するような構成などであってもよい点は上記と同様である。本実施形態のように、第2帯状偏光シートが表面保護フィルムF23を有している場合には、当該第2帯状偏光シートを巻回した状態で互いに重なり合う表面保護フィルムF23と第2粘着剤層F24との粘着力が、粘着剤層F25と第2光学フィルムF21の一方面(第3フィルムF21b)との粘着力よりも小さくなるように、表面保護フィルムF23における粘着剤層F25とは反対側の面に離型処理が施される。
【0046】
第1帯状偏光シート及び第2帯状偏光シートは、それぞれ粘着剤層F14,F24とは反対側の面が離型性(軽剥離性)を有しているので、粘着剤層F14,F24に離型フィルムが貼り合せられることなく帯状偏光シートが巻回されることにより形成されたロール原反から、帯状偏光シートを繰り出して搬送する際に、当該帯状偏光シートの表面から粘着剤層F14,F24が剥離しやすい。そのため、ロール原反から帯状偏光シートを良好に繰り出して搬送することができる。
【0047】
(光学表示ユニットの製造システム及び製造方法)
図2は、本発明の第1実施形態に係る光学表示ユニットUの製造システムの一例を示している。図3は、本発明の第1実施形態に係る光学表示ユニットUの製造方法の一例をフローチャートで示している。以下、光学表示ユニットUの製造システム及び製造方法について図2及び図3を参照しつつ説明する。
【0048】
(1)第1ロール原反R1は、表示基板Wの短辺に対応する幅でスリット加工が施された第1帯状偏光シート30のロール状巻回体である(第1ロール原反準備工程:S1)。
【0049】
(2)準備された第1ロール原反R1は、その軸線を中心に回転可能な状態でセットされ、第1搬送装置12により第1ロール原反R1から第1帯状偏光シート30が繰り出されて搬送される(第1搬送工程:S2)。第1ロール原反R1から繰り出される第1帯状偏光シート30は、表示基板Wとの貼合位置に向かって搬送される。第1搬送装置12は、第1帯状偏光シート30を搬送するための複数の搬送ローラ(図示せず)を備え、第1ロール原反R1から後述する第1貼合装置18にわたって設けられている。
【0050】
(3)第1ロール原反R1から繰り出される第1帯状偏光シート30に対しては、第1欠点検査装置14により欠点検査が行われる(第1検査工程:S3)。この欠点検査の方法としては、第1帯状偏光シート30の両面に光を照射して画像を撮影及び処理する方法などを挙げることができる。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の技術を適用することができ、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。第1欠点検査装置14により検出された欠点の情報は、その位置情報(例えば、位置座標)と対応付けて記憶され、後述する第1切断装置16の処理に用いられる。
【0051】
(4)第1搬送装置12により搬送される第1帯状偏光シート30は、第1切断装置16により所定間隔で切断され、第1偏光シート片F1が生成される(第1切断工程:S4)。第1切断装置16は、例えばレーザ装置又はカッターを含む構成であり、第1帯状偏光シート30をその幅方向に沿って切断する。このとき、表示基板Wの長辺に対応する一定間隔で第1帯状偏光シート30を切断することにより、表示基板Wに対応する形状の第1偏光シート片F1を連続して生成することもできるが、本実施形態では、第1欠点検査装置14により予め検出された第1帯状偏光シート30に含まれる欠点に基づいて、当該欠点を避けた所定間隔で第1帯状偏光シート30が切断されるようになっている。
【0052】
具体的には、第1帯状偏光シート30を上記一定間隔で切断したと仮定したときに、生成される第1偏光シート片F1に欠点が含まれることとなる場合には、その欠点を避けるように切断位置がずらされるようになっている。これにより、表示基板Wの長辺に対応する間隔で切断された第1偏光シート片F1には欠点が含まれず、当該欠点を含まない良品の第1偏光シート片F1のみを表示基板Wに貼り合せることができる。したがって、上記のように予め検出された欠点に基づく間隔で第1帯状偏光シート30を切断することにより、欠点が含まれない第1偏光シート片F1を効率よく生成し、表示基板Wに貼り合せることができるので、光学表示ユニットUの歩留まりを向上することができる。
【0053】
なお、上記第1欠点検査装置14を省略することも可能である。この場合、第1ロール原反R1を製造する段階で予め欠点検査を行っておき、その欠点検査の結果に基づいて、当該欠点を避けた所定間隔で第1帯状偏光シート30を切断するような構成であってもよい。予め検出した欠点の位置情報は、コード情報(例えばQRコード、バーコードなど)として第1ロール原反R1に付されて本製造システムに供給されてもよいし、第1ロール原反R1とは別の情報媒体に取り込んで本製造システムに供給されるようにしてもよい。
【0054】
(5)第1帯状偏光シート30を切断することにより生成された第1偏光シート片F1は、第1貼合装置18により表示基板Wの第1面に貼り合せられる(第1貼合工程:S5)。この貼り合せは、第1偏光シート片F1の第1粘着剤層F14を表示基板Wの第1面に対向させた状態で、第1偏光シート片F1と表示基板Wとが一対のロール(図示せず)で圧着することにより行うことができる。なお、第1偏光シート片F1が貼り合せられる前に、表示基板Wは、研磨洗浄や水洗浄などによって表面が洗浄されるようになっている(表示基板洗浄工程:S6)。
【0055】
上述のような第1搬送工程、第1検査工程、第1切断工程及び第1貼合工程は、連続した製造ラインにおいて実行される。この一連の工程によって第1偏光シート片F1が貼り合せられた表示基板Wには、以下に説明する工程により、第2ロール原反R2から切断される第2偏光シート片F2が貼り合せられる。
【0056】
(6)第2ロール原反R2は、表示基板Wの長辺に対応する幅でスリット加工が施された第2帯状偏光シート40のロール状巻回体である(第2ロール原反準備工程:S11)。本実施形態のように表示基板Wが長方形状に形成されている場合には、第2ロール原反R2は第1ロール原反R1とは異なる幅でスリット加工が施される。
【0057】
(7)準備された第2ロール原反R2は、その軸線を中心に回転可能な状態でセットされ、第2搬送装置22により第2ロール原反R2から第2帯状偏光シート40が繰り出されて搬送される(第2搬送工程:S12)。第2ロール原反R2から繰り出される第2帯状偏光シート40は、表示基板Wとの貼合位置に向かって搬送される。第2搬送装置22は、第2帯状偏光シート40を搬送するための複数の搬送ローラ(図示せず)を備え、第2ロール原反R2から後述する第2貼合装置28にわたって設けられている。
【0058】
(8)第2ロール原反R2から繰り出される第2帯状偏光シート40に対しては、第2欠点検査装置24により欠点検査が行われる(第2検査工程:S13)。この欠点検査の態様は、第1欠点検査装置14と同様であるため、詳細な説明は省略することとする。
【0059】
(9)第2搬送装置22により搬送される第2帯状偏光シート40は、第2切断装置26により所定間隔で切断され、第2偏光シート片F2が生成される(第2切断工程:S14)。第2切断装置26は、第2欠点検査装置24により予め検出された第2帯状偏光シート40に含まれる欠点に基づいて所定間隔で第2帯状偏光シート40を切断する構成であり、その態様は第1切断装置16と同様である。なお、第2ロール原反R2を製造する段階で予め欠点検査を行っておき、その欠点検査の結果に基づいて所定間隔で第2帯状偏光シート40を切断するような構成を採用できることも、第1切断装置16の場合と同様である。
【0060】
(10)第2帯状偏光シート40を切断することにより生成された第2偏光シート片F2は、第2貼合装置28により表示基板Wの第2面に貼り合せられる(第2貼合工程:S15)。第2貼合装置28による貼り合せの態様は、第1貼合装置18の場合と同様である。第2偏光シート片F2の貼り合せの前に、第1面に第1偏光シート片F1が貼り合せられた表示基板Wは、回転装置20により水平方向に90°回転されるようになっている。これにより、表示基板Wに貼り合せられた第1偏光シート片F1及び第2偏光シート片F2の各偏光軸が互いに直交した状態(いわゆるクロスニコルの関係)となる。ただし、表示基板Wを90°回転させるような構成に限らず、第1帯状偏光シート30と第2帯状偏光シート40とが互いに直交する方向に搬送されるような構成であっても、表示基板Wに貼り合せられた第1偏光シート片F1及び第2偏光シート片F2をクロスニコルの関係にすることができる。
【0061】
(11)第1偏光シート片F1及び第2偏光シート片F2が貼り合せられることにより製造された光学表示ユニットUは、検査装置(図示せず)により検査される(光学表示ユニット検査工程:S16)。この検査方法としては、光学表示ユニットUの両面に光を照射して画像を撮影及び処理する方法などを挙げることができる。なお、画像処理のアルゴリズムは公知の技術を適用することができ、例えば二値化処理による濃淡判定によって欠点を検出することができる。
【0062】
(12)上記検査装置で得られた欠点の情報に基づいて、光学表示ユニットUの良品判定が行われる。良品と判定された光学表示ユニットUは、次の実装工程に搬送される。一方、不良品と判定された場合には、上述の態様で第1偏光シート片F1及び第2偏光シート片F2が再度貼り合せられることによりリワーク処理が施され、良品と判定されるまでリワーク処理が繰り返される。
【0063】
図4は、本発明の第1実施形態に係る光学表示ユニットUの製造システムの構成を示している。本実施形態では、搬送装置12,22に支持体としてのベルト51が備えられており、ロール原反R1,R2から繰り出される帯状偏光シート30,40をベルト51の外表面に転着させた状態で搬送することができるようになっている。
【0064】
ベルト51は、例えばゴム製の環状ベルトからなり、複数のローラ52に掛け回されている。複数のローラ52は、帯状偏光シート30,40の搬送方向に並べて設けられており、それぞれ上記搬送方向に対して直交方向に延びるように互いに平行に配置されている。このようにして配置されている複数のローラ52に掛け回されたベルト51は、その外表面の一部が帯状偏光シート30,40の搬送路を構成している。
【0065】
ロール原反R1,R2から繰り出されて搬送される帯状偏光シート30,40は、その粘着剤層F14,F24が上記ベルト51側を向くような状態で搬送される。したがって、帯状偏光シート30,40の粘着剤層F14,F24は、搬送される過程でベルト51の外表面に接触し、転着される。ここで、「転着」とは、支持体(ベルト51)に対して一時的に貼り付き、その後に支持体から剥がれて、粘着剤層F14,F24が光学フィルムF11,F21から剥がれることなく元の状態のまま搬送されることを意味している。
【0066】
上記支持体としてのベルト51の外表面は、離型処理が施されることにより軽剥離性を有している。これにより、ベルト51の外表面に転着された帯状偏光シート30,40の粘着剤層F14,F24が、当該外表面から適度に剥離しやすく、帯状偏光シート30,40を良好に搬送することができる。上記離型処理として、ベルト51の外表面における帯状偏光シート30,40の粘着剤層F14,F24との接触面に、シリコーン処理、長鎖アルキル処理などの離型性を向上するための離型処理を施すことができる。
【0067】
ベルト51は、少なくとも1つのローラ52が駆動されることにより回転するような構成であってもよいし、粘着剤層F14,F24を介して転着される帯状偏光シート30,40の搬送に伴って回転するような構成であってもよい。なお、帯状偏光シート30,40の粘着剤層F14,F24を転着させる支持体としては、ベルトに限らず、ローラ、フィルム又はドラムなどの各種形状の支持体を用いることができる。このような構成であっても、比較的簡単な構成で帯状偏光シート30,40を搬送することができるため、光学表示ユニットUの製造コストを効果的に低減することができる。このような支持体は、離型処理の容易性、又は、後述する切断時の難切断性の観点から、樹脂製、ゴム製、金属製などであることが好ましい。
【0068】
上記支持体の一例であるローラは、例えば円筒状に形成された回転可能な支持体であり、その外表面に帯状偏光シート30,40の粘着剤層F14,F24が転着されるが、当該外周面から粘着剤層F14,F24が短時間で剥離することにより、帯状偏光シート30,40の搬送方向は変化しないような構成である。上記支持体の一例であるドラムは、例えば円筒状に形成された回転可能な支持体であり、その外表面に帯状偏光シート30,40の粘着剤層F14,F24が転着される点で上記ローラと共通しているが、上記ローラよりも長時間にわたって粘着剤層F14,F24が外表面に転着した状態とされることにより、帯状偏光シート30,40の搬送方向が変化する(湾曲する)ような構成である。上記支持体の一例であるフィルムは、ベルト51よりも厚みが小さく、可撓性を有する支持体である。
【0069】
本実施形態では、切断装置16,26が、ベルト51の外表面上で帯状偏光シート30,40を切断するようになっている。この切断は、帯状偏光シート30,40を構成している全ての層を切断する態様(フルカット)によるものであり、表面保護フィルムF13,F23と、粘着剤層F15,F25と、光学フィルムF11,F21と、粘着剤層F14,F24とが完全に切断される。欠点検査装置14,24による帯状偏光シート30,40の欠点検査は、ベルト51への転着よりも前に行われる。帯状偏光シート30,40が切断されることにより生成された偏光シート片F1,F2は、貼合装置18,28により表示基板Wに貼り合せられる。
【0070】
このように、本実施形態では、離型性を有するベルト51の外表面に帯状偏光シート30,40を粘着剤層F14,F24により転着させた状態で搬送し、当該帯状偏光シート30,40を所定間隔で切断することにより生成された偏光シート片F1,F2を表示基板Wに貼り合せることにより、光学表示ユニットUを製造することができる。このように、ベルト51に粘着剤層F14,F24を転着させた状態で帯状偏光シート30,40を搬送することにより、搬送中の帯状偏光シート30,40の蛇行を防ぎ、帯状偏光シート30,40を良好に搬送することができるとともに、表示基板Wへの貼りずれを防ぐことができる。また、ベルト51を用いた簡単な構成で搬送することができるため、光学表示ユニットUの製造コストを低減することができる。
【0071】
また、一方の面に粘着剤層F14,F24を有する帯状偏光シート30,40が、粘着剤層F14,F24に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されたロール原反R1,R2を用いることにより、離型フィルムを省略することができる。これにより、ロール原反R1,R2の製造コストを低減することができ、ひいては光学表示ユニットUの製造コストを低減することができる。また、比較的剛性の高い離型フィルムを省略することにより、帯状偏光シート30,40を巻回してロール原反を製造するのが容易であるとともに、省略した離型フィルムの分だけ帯状偏光シート30,40の巻数を増やすことができる。
【0072】
また、本実施形態では、ベルト51の外表面上で帯状偏光シート30,40を切断するため、帯状偏光シート30,40を確実に切断することができる。すなわち、帯状偏光シート30,40をベルト51の外表面上に転着させた状態で安定して切断することができるとともに、切断精度にばらつきがある場合であっても、切込み深さを若干大きく設定することにより、帯状偏光シート30,40を完全に切断できない状態(半切れ状態)が生じるのを防止することができる。なお、ベルト51は、難切断性の可撓性部材で形成されていることが好ましい。
【0073】
本実施形態では、ベルト51の外表面の幅は、帯状偏光シート30,40の幅よりも大きく形成されている。これにより、帯状偏光シート30,40よりも幅が大きいベルト51の外表面上に帯状偏光シート30,40を転着させた状態で、当該帯状偏光シート30,40を幅方向全体にわたって安定して切断することができる。ただし、切断装置16,26は、ベルト51などの支持体上で帯状偏光シート30,40を切断するような構成に限らず、支持体よりも前又は後で帯状偏光シート30,40を切断するような構成であってもよい。
【0074】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る光学表示ユニットUの製造システムの構成を部分的に示している。本実施形態では、搬送装置12,22に、支持体として複数のベルトが備えられている。この例では、2つのベルト61,62が設けられており、ロール原反R1,R2から繰り出される帯状偏光シート30,40が、2つのベルト61,62の外表面に順次に転着されて搬送されるようになっている。
【0075】
各ベルト61,62は、例えばゴム製の環状ベルトからなり、それぞれ複数のローラ63に掛け回されている。複数のローラ63は、帯状偏光シート30,40の搬送方向に並べて設けられており、それぞれ上記搬送方向に対して直交方向に延びるように互いに平行に配置されている。このようにして配置されている複数のローラ63に掛け回された各ベルト61,62は、その外表面の一部が帯状偏光シート30,40の搬送路を構成している。
【0076】
2つのベルト61,62は、帯状偏光シート30,40の搬送方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。ロール原反R1,R2から繰り出されて搬送される帯状偏光シート30,40は、その粘着剤層F14,F24が上記ベルト61,62側を向くような状態で搬送される。したがって、帯状偏光シート30,40の粘着剤層F14,F24は、搬送される過程でベルト61,62の外表面に順次に接触し、転着される。各ベルト61,62の構成は、第1実施形態におけるベルト51と同様の構成であるため、詳細な説明は省略することとする。
【0077】
本実施形態では、切断装置16,26が、2つのベルト61,62の間で帯状偏光シート30,40を切断するようになっている。この切断は、帯状偏光シート30,40を構成している全ての層を切断する態様(フルカット)によるものであり、表面保護フィルムF13,F23と、粘着剤層F15,F25と、光学フィルムF11,F21と、粘着剤層F14,F24とが完全に切断される。欠点検査装置14,24による帯状偏光シート30,40の欠点検査は、ベルト61よりも前に行われる。帯状偏光シート30,40が切断されることにより生成された偏光シート片F1,F2は、貼合装置18,28により表示基板Wに貼り合せられる。
【0078】
本実施形態のように、帯状偏光シート30,40が、ベルトなどの支持体上に転着されている位置とは異なる位置で切断される構成によれば、切断装置16,26により支持体を傷付けることなく、帯状偏光シート30,40を切断することができる。なお、第1実施形態のように支持体上で帯状偏光シート30,40を切断するような構成であっても、支持体上に溝などの起伏が形成されている場合に、当該起伏によって帯状偏光シート30,40が転着していない位置を切断位置とすれば、支持体を傷付けることなく帯状偏光シート30,40を切断することができる。
【0079】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係る光学表示ユニットUの製造システムの構成を部分的に示した概略側面図である。本実施形態では、搬送装置12,22に支持体としてローラ71が備えられているが、当該ローラ71と、ロール原反R1,R2から帯状偏光シート30,40が剥離される位置との距離Lが比較的短い。具体的には、上記距離Lが、帯状偏光シート30,40を切断して生成しようとしている偏光シート片F1,F2の長さ(幅方向に直交する方向の長さ)よりも短く設定されている。
【0080】
ローラ71は、樹脂製、ゴム製又は金属製であり、ロール原反R1,R2から繰り出される帯状偏光シート30,40は、ローラ71の外表面に転着されて搬送されるようになっている。すなわち、ロール原反R1,R2から繰り出されて搬送される帯状偏光シート30,40は、その粘着剤層F14,F24が上記ローラ71側を向くような状態で搬送されるようになっており、帯状偏光シート30,40の粘着剤層F14,F24は、搬送される過程でローラ71の外表面に接触し、転着される。
【0081】
本実施形態では、切断装置16,26が、ロール原反R1,R2上で帯状偏光シート30,40を切断するようになっている。より具体的には、ロール原反R1,R2から帯状偏光シート30,40が剥離される位置で、帯状偏光シート30,40が切断されるようになっている。この切断は、帯状偏光シート30,40を構成している全ての層を切断する態様(フルカット)によるものであり、表面保護フィルムF13,F23と、粘着剤層F15,F25と、光学フィルムF11,F21と、粘着剤層F14,F24とが完全に切断される。上述の通り、距離Lが、帯状偏光シート30,40を切断して生成しようとしている偏光シート片F1,F2の長さよりも短く設定されることによって、帯状偏光シート30,40が完全に切断されることにより生成された偏光シート片F1,F2を良好に搬送することができる。帯状偏光シート30,40が切断されることにより生成された偏光シート片F1,F2は、貼合装置18,28により表示基板Wに貼り合せられる。
【0082】
本実施形態では、ロール原反R1,R2上で帯状偏光シート30,40を安定して切断することができる。すなわち、帯状偏光シート30,40を転着させた状態で安定して切断するための装置を別途設ける必要がないため、製造システムを簡略化することができ、光学表示ユニットUの製造コストをさらに低減することができる。
【0083】
以上のような実施形態により製造された光学表示ユニットUは、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどの光学表示装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0084】
12 第1搬送装置
14 第1欠点検査装置
16 第1切断装置
18 第1貼合装置
22 第2搬送装置
24 第2欠点検査装置
26 第2切断装置
28 第2貼合装置
30 第1帯状偏光シート
40 第2帯状偏光シート
51 ベルト
52 ローラ
61 ベルト
62 ベルト
63 ローラ
71 ローラ
F1 第1偏光シート片
F2 第2偏光シート片
F14 第1粘着剤層
F24 第2粘着剤層
R1 第1ロール原反
R2 第2ロール原反

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板に偏光シート片が貼り合せられた光学表示ユニットの製造システムであって、
偏光子を有し、一方の面に粘着剤層を有する帯状偏光シートが、上記粘着剤層に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されたロール原反から、上記帯状偏光シートを繰り出して搬送する搬送装置と、
上記帯状偏光シートを所定間隔で切断することにより上記偏光シート片を生成する切断装置と、
上記偏光シート片を上記表示基板に貼り合せる貼合装置とを備え、
上記搬送装置が、離型性を有する支持体に上記帯状偏光シートの上記粘着剤層を転着させた状態で上記帯状偏光シートを搬送するようにしたことを特徴とする光学表示ユニットの製造システム。
【請求項2】
上記離型性を有する支持体が、ベルト、ローラ、フィルム及びドラムの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学表示ユニットの製造システム。
【請求項3】
上記切断装置が、上記離型性を有する支持体上で上記帯状偏光シートを切断するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学表示ユニットの製造システム。
【請求項4】
上記離型性を有する支持体の幅が、上記帯状偏光シートの幅よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の光学表示ユニットの製造システム。
【請求項5】
上記切断装置が、上記ロール原反上で上記帯状偏光シートを切断するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学表示ユニットの製造システム。
【請求項6】
上記切断装置が、予め検出された上記帯状偏光シートに含まれる欠点に基づき所定間隔で上記帯状偏光シートを切断するようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学表示ユニットの製造システム。
【請求項7】
上記帯状偏光シートにおける上記粘着剤層とは反対側の面が、離型性を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学表示ユニットの製造システム。
【請求項8】
表示基板に偏光シート片が貼り合せられた光学表示ユニットの製造方法であって、
偏光子を有し、一方の面に粘着剤層を有する帯状偏光シートが、上記粘着剤層に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されたロール原反から、上記帯状偏光シートを繰り出して搬送する搬送ステップと、
上記帯状偏光シートを所定間隔で切断することにより上記偏光シート片を生成する切断ステップと、
上記偏光シート片を上記表示基板に貼り合せる貼合ステップとを備え、
上記搬送ステップでは、離型性を有する支持体に上記帯状偏光シートの上記粘着剤層を転着させた状態で上記帯状偏光シートを搬送することを特徴とする光学表示ユニットの製造方法。
【請求項9】
偏光子を有し、一方の面に粘着剤層を有する帯状偏光シートが巻回されることにより形成されたロール原反から、上記帯状偏光シートを繰り出して、離型性を有する支持体に当該帯状偏光シートの上記粘着剤層を転着させた状態で搬送し、当該帯状偏光シートを所定間隔で切断することにより得られた偏光シート片を表示基板に貼り合せるためのロール原反であって、
上記帯状偏光シートが、上記粘着剤層に離型フィルムが貼り合せられることなく剥離可能に巻回されることにより形成されたことを特徴とするロール原反。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−217878(P2010−217878A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29442(P2010−29442)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】