説明

光学装置及びそれを有する光学機器

【課題】 グリスが固形化することや油膜はりを防止し、モータが不作動となることを未然に防止することができる光学装置を得ること。
【解決手段】 光学部材を駆動するための駆動用モータを備えた光学装置において、該光学部材の位置の検出と、該駆動用モータの駆動を検出する検出部、該駆動モータの制御及びエージング動作の制御を司る制御部、該駆動用モータを強制的にエージングするための条件を設定するエージング条件設定部を有し、該制御部は、予めエージング条件設定部で設定した条件に適合した場合、強制的に該駆動用モータを駆動させ、エージングを行うこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送用の撮影レンズ、フィルターディスク装置、雲台システム等の光学装置及びそれを有する光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
報道、中継、ドラマ、バラエティー、ドキュメンタリーなどの放送用カメラ(テレビカメラ)にはENG(Electronic News Gathering)カメラが用いられている。このENGカメラでは、サーボ駆動をおこなうため(特に強制的に駆動を行わない)駆動手段としてDCモータが搭載されている。また、テレビカメラに内蔵され、その光路上に配置されるフィルターを回転駆動し、フィルターを切り換えるフィルターディスク、あるいはお天気カメラに代表される雲台システムも同様に駆動手段としてDCモータが搭載されている。
【0003】
通常、その駆動手段はコントローラ(制御手段)等からの指令信号に基づき、使用するユーザーの希望する位置、方向へ駆動するために使用している。テレビカメラ用のズームレンズにおいて、ズーミングやフォーカシングに際してレンズ群が所定の加速度を越えないようにしてレンズ群の追従性を向上させたズームレンズが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−127061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テレビカメラ用の撮像レンズや、フィルターディスク、そして雲台システム等において、常に同じ被写体を撮影しつづけるような撮影状態がある。この場合、その使用環境によっては、アイリス、駆動、ズーミング、フォーカシング等の動作がほとんど動かない場合がある。そのため、各駆動モータも、通電した状態ではあるが、回転(駆動)せず放置された状態が続いてしまう。
【0006】
現在、これらの駆動手段として使用しているモータは、ブラシ付DCモータである。このため、モータやギアヘッド内のグリスが流動しない状態が続くと、グリス油分の分離や蒸発によって、固形化することで、グリス玉になってしまうことや、グリス表面に油膜が張ってしまうことがある。その結果、そのグリス玉や油膜にブラシが乗り上げることがあり、そうすると整流子と接触せず、通電できなくなり、モータが不作動となり、レンズ等のサーボ駆動できなくなってしまうことがある。
【0007】
本発明は、定期的に、モータを強制的にエージング(駆動)することで、グリスが固形化することや油膜はりを防止し、モータが不作動となることを未然に防止することができる光学装置及びそれを有する光学機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学装置は、光学部材を駆動するための駆動用モータを備えた光学装置において、該光学部材の位置の検出と、該駆動用モータの駆動を検出する検出部、該駆動モータの制御及びエージング動作の制御を司る制御部、該駆動用モータを強制的にエージングするための条件を設定するエージング条件設定部を有し、該制御部は、予めエージング条件設定部で設定した条件に適合した場合、強制的に該駆動用モータを駆動させ、エージングを行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、定期的に、モータを強制的にエージング(駆動)することで、グリスが固形化することや油膜はりを防止し、モータが不作動となることを未然に防止することができる光学装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1a】本発明の実施例1の要部ブロック図
【図1b】本発明の実施例1の要部ブロック図
【図2】本発明の実施例1のフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明の光学装置は、光学素子やアイリス等の光学部材を駆動するためのズームモータ、フォーカスモータ、アイリスモータ等の駆動用モータを備えている。この他、光学部材の光軸方向の位置やアイリスの絞り径等の検出と、駆動用モータの駆動状態を検出する検出部を有している。更に駆動モータの制御及びエージング動作の制御を司る制御部、駆動用モータを強制的にエージングするための条件を設定するエージング条件設定部等を有している。そして制御部は、予めエージング条件設定部で設定した条件に適合した場合、強制的に駆動用モータを駆動させ、エージングを行っている。
【0012】
[実施例1]
図1は本発明の実施例1の光学機器の要部ブロック図である。光学機器はテレビ放送用のテレビカメラ等から成り、光学装置(レンズ装置)とカメラ装置を有している。図1において、101はレンズ鏡筒や各種のドライブユニットなどで構成されるレンズ装置(光学装置)である。102はアイリス、ズーム(ズーミング)、フォーカス(フォーカシング)等の駆動及び、エージング動作の制御等、レンズ装置の全ての制御を司る制御部(コントローラ)である。201はレンズケーブル11を介し、レンズ装置101が接続されるカメラ装置であり、レンズ装置101で得られた像を光電変換する固体撮像素子を有している。
【0013】
151は光軸を回転軸として回転させることによりズームレンズ光学系(ズーム部)(光学素子)109が光軸に沿って前後移動してズーム調整を可能とするズームリングである。152はズームをコントローラ102により電動で駆動するのか、手動で駆動するのかを切り換えるズームクラッチである。153は光軸を回転軸として回転させることにより、フォーカスレンズ光学系が光軸に沿って前後移動してフォーカス調整を可能とするフォーカスリングである。154はフォーカスをコントローラ102により、電動で駆動するのか、手動で駆動するのかを切り換えるフォーカスクラッチである。155は回転させることによりアイリスの絞り径を調整可能とするアイリスリングである。156はアイリスをコントローラ102により電動で駆動するのか、手動で駆動するのかを切り換えるアイリス電動/手動切り換えスイッチである。
【0014】
103は後述するズームレンズ光学系109をサーボ駆動するために、ズームスイッチ105の操作量に比例したズーム駆動方向およびズーム駆動速度を指示する速度指令信号を出力するズーム速度指令信号発生部である。ズーム速度指令信号発生部103はポテンショメータなどのアナログ検出器、ロータリーエンコーダなどのディジタル検出器などで構成される。104はズーム速度指令信号を、後述するA/D106を介して制御部102に取り込むために信号レベル/シフト変換を行うズーム速度指令信号演算部である。107は制御部102から後述するズームレンズ光学系109をサーボ駆動するため出力されるズーム制御信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/Aである。108は制御部102から、ズームレンズ光学系109をサーボ駆動するため出力されるズーム制御信号をD/A107にて、ディジタル信号からアナログ信号に変換し、その後、ズーム制御信号の信号レベル変換/信号シフト変換を行うズーム制御信号演算部である。
【0015】
ズームレンズ光学系109はレンズ装置101の変倍調整を行う。110は後述するズームモータ111を駆動するズーム電力増幅部である。111はズームレンズ光学系109を駆動するズームモータである。112はズームレンズ光学系109の光軸方向の位置に応じたズーム位置信号を出力するズーム位置検出部であり、エンコーダーやポテンショメータなどで構成される。113はズームモータ111の角速度を検出し、増幅するズームフィードバック増幅部である。114はズームフィードバック増幅部113からの出力をズーム電力増幅部110のマイナス端子に帰還し、速度フィードバック制御系の接続を制御する、ズームフィードバック接続スイッチである。このズームフィードバック接続スイッチ114が接続されている時は、ズームフィードバック増幅部113回路が接続された制御となり、接続されない時は、オープン制御となる。
【0016】
121は制御部102から後述するフォーカスレンズ光学系125をサーボ駆動するため出力されるフォーカス制御信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/Aである。122は制御部102から、フォーカスレンズ光学系125をサーボ駆動するため出力されるフォーカス制御信号をD/A121にて、ディジタル信号からアナログ信号に変換する。その後、フォーカス制御信号の信号レベル変換/信号シフト変換を行うフォーカス制御信号演算部である。123は後述するフォーカスモータ124を駆動するフォーカス電力増幅部である。124はフォーカスレンズ光学系125を駆動するフォーカスモータである。
【0017】
126はフォーカスレンズ光学系125の光軸方向の位置に応じたフォーカス位置信号を出力するフォーカス位置検出部であり、エンコーダーやポテンショメータなどで構成される。127はフォーカスモータ124の角速度を検出し、増幅するフォーカスフィードバック増幅部である。128はフォーカスフィードバック増幅部127からの出力をフォーカス電力増幅部123のマイナス端子に帰還し、速度フィードバック制御系の接続を制御する、フォーカスフィードバック接続スイッチである。ズーム操作を行うための各部材について説明する。
【0018】
141はレンズ装置101に接続し、後述するズームデマンド操作部(ズーム操作部)142によってズームレンズ光学系109を操作、制御可能なズームデマンド(ズームコントローラ)である。ズームデマンド操作部142は角度を操作することによってズームレンズ光学系109を制御する。143はズームデマンド操作部142の操作回転角に比例したズーム駆動位置信号を検出するズームデマンド指令信号出力部(ズームコントローラ指令信号出力部)である。ズームデマンド指令信号出力部143は、ポテンショメータ、ボリュームなどのアナログ検出器で構成される。ズームレンズ光学系109は、このズームコントローラ141を接続することにより、ズーム操作部142の操作により発生するズーム速度指令信号を制御部102が取り込む。そしてズーム制御信号とし、上述したようにD/A107出力し、ズームモータ111によって駆動される。フォーカス操作を行うための各部材について説明する。
【0019】
144はレンズ装置101に接続し、後述するフォーカスデマンド操作部(フォーカス操作部)145によってフォーカスレンズ光学系125を操作、制御可能なフォーカスデマンド(フォーカスコントローラ)である。145は角度を操作することによってフォーカスレンズ光学系109を制御するフォーカスデマンド操作部(フォーカス操作部)である。146はフォーカスデマンド操作部145の操作回転角に比例したフォーカス位置信号を検出するフォーカスデマンド指令信号出力部(フォーカスコントローラ指令信号発生部)である。フォーカスデマンド指令信号出力部146は、ポテンショメータ、ボリュームなどのアナログ検出器で構成される。フォーカスレンズ光学系125は、このフォーカスコントローラ144を接続することにより、フォーカス操作部145の操作により発生するフォーカス位置指令信号を制御部102が取り込む。そしてフォーカス制御信号とし、上述したようにD/A121出力し、フォーカスモータ124によって駆動される。
【0020】
次にアイリスを駆動するための各部材について説明する。131は制御部102から後述するアイリス機構135をサーボ駆動するため出力されるアイリス制御信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/Aである。132はD/A131から出力されるアイリス制御信号の信号レベル/シフト変換を行うアイリス制御信号演算部である。133は後述するアイリスモータ134を駆動するアイリス電力増幅部である。134は後述するアイリス機構135を駆動するアイリスモータである。135は光学機器の光量調整を行うアイリス機構である。136はアイリス機構135のアイリス位置信号を出力するアイリス位置検出部であり、エンコーダーやポテンショメータなどで構成される。137はアイリスモータ134の角速度を検出し、増幅するアイリスフィードバック増幅部である。138はアイリスフィードバック増幅器137からの出力をアイリス電力増幅部133のマイナス端子に帰還し、速度フィードバック制御系の接続を制御する、アイリスフィードバック接続スイッチである。
【0021】
147はレンズ装置101の様々な動作状態を表示するレンズ情報表示部である。148はレンズ装置101の情報や駆動モータの不作動時間(不作動期間)を記憶する揮発性記憶部である。161は、アイリス、ズーム、フォーカスの各モータのエージングを開始するための条件を設定する、エージング条件設定部である。エージング条件設定部161で設定する条件は、次のとおりである。駆動用モータの不作動状態が継続された不作動期間、光学装置自体が通電されない非通電期間、決められた日時、決められた期間、アイリスクローズ時、エクステンダー操作時、電源ON/OFF時の少なくとも1つである。
【0022】
162は強制的にモータのエージングを開始させるエージング開始信号入力部である。163はアイリス、ズーム、フォーカスの各駆動モータが停止している時間を検出し、連続停止時間を累積する(不作動期間を検出する)モータ停止累積時間検出部である。ここで、エージング条件設定部で設定する条件において、駆動用モータの不作動状態が継続された不作動期間をモータ停止累積時間検出部で検出し、又、不作動期間を揮発性記憶部で記憶している。164はカメラ装置201より電源が供給されずレンズ装置101が通電していない状態で、モータ停止の累積時間を累積しつづけるための必要最小限の電源を供給する累積時間バッテリである。
【0023】
ここで累積時間バッテリはエージング条件設定部161で設定する条件において、光学装置自体が通電されない非通電期間を検出する際、非通電状態において、その期間を検出する際に必要な電力を有している。165はエージング条件設定部161で設定された条件に適合し、エージングを行う場合に、そのエージングの開始を不許可にする不許可条件設定部である。ここで不許可条件設定部165は、エージング条件設定部161で設定した条件に適合しても強制的エージングの開始を許可せず、強制的エージングを行わない条件を設定している。このとき不許可条件設定部165で設定する条件は、光学装置を操作しているとき、制御部102で操作しているとき、映像をVTRに録画しているとき、撮影映像を放送に使用しているときの少なくとも1つである。
【0024】
次に上記構成において、各種の動作を図1の要部ブロック図及び図2のフローチャートを用い説明する。step101では、レンズ装置101に電源が供給されているどうか制御部102にて確認する。後述するが、本実施例のレンズ装置101には、外部より通電していない場合の累積時間を検出するためにバッテリを搭載している。電源が供給されていればstep102へ進み、制御部102に供給する電源を外部電源に切り換える。この状態がアイリス、ズーム、フォーカスが駆動できる状態である。
【0025】
次いでstep103へ進み、エージングの条件を読み込む。エージング条件は、定期的エージング、時間的エージング、条件付エージング等を設定可能としており、代表例として以下の表−1に示すような条件をあげる。また、その条件設定はエージング条件設定部161にて行い、その実行の有無、及び各条件、閾値を設定可能とする。また、レンズ装置101に搭載されるモータはアイリスモータ、ズームモータ、フォーカスモータ等があり、どのモータのエージングを実行させるのか選択することも可能である。設定方法は、レンズ装置101に設けられているレンズ情報表示部147にて設定、更新するようにしても良いし、不図示のPCを接続し、PCからエージング条件を設定、更新するようにしてもよい。エージング条件を以下の表−1にリストアップする。
【0026】
【表1】

【0027】
step103にて、エージング条件を読み込み後、step104へ進み、定期的エージングの実行の有無を確認する。step104で、有(YES)の場合step105へ進み、無(NO)の場合、step107へ進む。step105では設定されているエージング実行条件に、レンズ装置101の状態が適合しているかどうか確認する。適合していない(NO)場合、エージングは行わずstep107へ進む。適合していた(YES)場合step106へ進み、不許可条件設定部165で設定されたエージング不許可条件となっていないか確認する。エージング不許可条件とは、強制的にエージングを行いアイリス、ズーム、フォーカスの各モータ111、124、134を駆動したことで、撮影に悪影響を及ぼすような撮影状態に当てはまる条件の場合である。以下に、エージング不許可条件をリストアップする。
【0028】
・レンズ装置101のズームコントローラやフォーカスコントローラなどの操作中
・映像のVTR録画中
・撮影映像を放送に使用している最中(On Tally)
上記のような条件に当てはまる(YES)場合、エージングは開始せず、step107へ進む。エージング不許可条件となっていない(NO)場合は、step118へ進む。定期的エージングが行われない場合、step107へ進み、条件設定エージングの実行の有無を確認する。有の場合step108へ進み、無の場合、step110へ進む。step108では設定されているエージング実行条件に、レンズ装置101の状態が適合しているかどうか確認する。適合していない(NO)場合、エージングは行わずstep110へ進む。適合していた(YES)場合step109へ進み、不許可条件設定部165で設定されたエージング不許可条件となっていないか確認する。
【0029】
条件に当てはまる(YES)場合、エージングは開始せず、step110へ進む。エージング不許可条件となっていない(NO)場合は、step118へ進む。条件付エージングが行われない場合、step110へ進み、時間的エージングの実行の有無を確認する。有の場合step111へ進み、無の場合、全てのエージングの実行設定が無として、step101へ戻る。step111では、アイリスモータ134、ズームモータ111、フォーカスモータ124が駆動しているかどうかを検出する。各モータが駆動していなければ(step112)、step113に進み、モータ停止累積時間検出部163にて、モータ不作動を検出し、その不作動時間をモータ不作動累積時間として(step114)、不揮発性記憶部148に記憶する。
【0030】
このstep114でモータ不作動累積時間はアイリス、ズーム、フォーカス、それぞれに累積し、記憶しておく。その後、step116へ進む。また、step112にて、各モータの駆動を検出した(YES)場合、モータが不作動の状態ではなくなるため、不揮発正記憶部148に記憶していたモータ不作動時間の累積時間をクリアし(step115)、step101へ戻る。step116へ進み、設定されているエージング実行条件に、レンズ装置101の状態が適合しているかどうか確認する。適合していない(NO)場合、エージングは行わずstep104へ進む。適合していた(YES)場合step117へ進み、不許可条件設定部165で設定されたエージング不許可条件となっていないか確認する。条件に当てはまる(YES)場合、エージングは開始せず、step104へ進む。エージング不許可条件となっていない(NO)場合は、step118へ進む。
【0031】
step118ではエージング条件に適合し、エージング不許可条件に当てはまらない状態、つまり、レンズ装置101が撮影状態になっていない状態であれば、エージングを開始する。このため、現時点のアイリス機構135、ズームレンズ光学系109、フォーカスレンズ光学系125の位置をアイリス位置検出部136、ズーム位置検出部112、フォーカス位置検出部126から取得し、制御部102にて記憶する。
【0032】
次いでstep119に進み、エージングを開始する。エージングは現在の位置から、例えばアイリスならば、クローズ端〜オープン端、ズームならば、ワイド端〜テレ端、フォーカスならば、至近端〜無限端までの駆動可能範囲を全域駆動させる動作とする。あるいは、特定範囲を駆動することとしても良い。エージングを行うため、アイリス、ズーム、フォーカスの各モータに、各電力増幅部を介して電圧を印加し、駆動を開始する(step120)。
【0033】
次いでstep121に進み、駆動中に不許可条件設定部165で設定されたエージング不許可条件に当てはまる状態となった場合、エージングを中止し、step124へ進む。エージングが終了するまで、モータ駆動を行い、終了した場合step124進み、エージングを開始時にstep118にて記憶した位置へ復帰させる。step115へ進み、エージングが終了したため、揮発性記憶部148に記憶しておいたモータ不作動累積時間、モータ停止累積時間をクリアし、step101へ戻る。step101で電源供給がなされていない場合、step125へ進み、制御部の電源を累積時間バッテリに切り換える(step125)。そして、モータが停止している時間を検出し(step126)、モータ停止時間、つまり、レンズ装置に電源が投入されず、レンズ装置自体が停止している時間を累積し(step127)、揮発性記憶部148に記憶し、step101へ戻る。
【0034】
本実施例おいては、レンズ装置におけるズーム、フォーカス、アイリスについて説明している、フィルターディスク装置、雲台システム等におけるパンチルトでもよい。本実施例によれば、定期的に、あるいは、ある条件を満たし時に、モータを駆動可能な全域を駆動させ、エージングすることで、グリスの固形化や油膜はりを防止し、モータが不作動となることを未然に防止することができる。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。以上のように本実施例によれば、定期的に、強制的に駆動モータをエージングすることで、グリスの固形化や油膜はりを防止し、モータが不作動となることを未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
101 レンズ装置、109 ズームレンズ光学系、111 ズームモータ、112 ズーム位置検出部、124 フォーカスモータ、125 フォーカスレンズ光学系、126 フォーカス位置検出部、151 ズームリング、152 ズームクラッチ、153 フォーカスリング、154 フォーカスクラッチ、161 エージング条件設定部、201 カメラ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材を駆動するための駆動用モータを備えた光学装置において、該光学部材の位置の検出と、該駆動用モータの駆動を検出する検出部、該駆動モータの制御及びエージング動作の制御を司る制御部、該駆動用モータを強制的にエージングするための条件を設定するエージング条件設定部を有し、該制御部は、予めエージング条件設定部で設定した条件に適合した場合、強制的に該駆動用モータを駆動させ、エージングを行うことを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記エージング条件設定部で設定する条件は、前記駆動用モータの不作動状態が継続された不作動期間、前記光学装置自体が通電されない非通電期間、決められた日時、決められた期間、アイリスクローズ時、エクステンダー操作時、電源ON/OFF時の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1の光学装置。
【請求項3】
前記エージング条件設定部で設定した条件に適合しても強制的エージングの開始を許可せず、強制的エージングを行わない条件を設定する不許可条件設定部を有することを特徴とする請求項1又は2の光学装置。
【請求項4】
前記不許可条件設定部で設定する条件は、前記光学装置を操作しているとき、前記制御部で操作しているとき、映像をVTRに録画しているとき、撮影映像を放送に使用しているときの少なくとも1つであることを特徴とする請求項3の光学装置。
【請求項5】
前記エージング条件設定部で設定する条件において、光学装置自体が通電されない非通電期間を検出する際、非通電状態において、その非通電期間を検出する際に必要な電源を供給する累積時間バッテリを有していることを特徴とする請求項2の光学装置。
【請求項6】
前記エージング条件設定部で設定する条件において、前記駆動用モータの不作動状態が継続された不作動期間を検出するモータ停止累積時間検出部と、不作動期間を記憶する揮発性記憶部を有することを特徴とする請求項2の光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項の光学装置と、該光学装置で得られた像を光電変換する固体撮像素子を含むカメラ装置を有することを特徴とする光学機器。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−204350(P2010−204350A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49149(P2009−49149)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】