説明

光学読取手段、光学読取装置、および、これらを備えた複合処理装置

【課題】多機能な光学読取装置を提供する。
【解決手段】光学読取装置110は、同一構造を有する2つの光学読取手段112から構成されている。そして、読取り面84を所定の間隙を空けて対向させるとともに、光源部80を読み取り幅方向の異なる一端部に配置されている。一方の前記光学読取手段112の前記光源部80は、所定の光を時分割で発光し、他方の前記光学読取手段112の無彩色の反射板90は、一方の前記光学読取手段112の導光板82より照射された光を反射し、一方の前記光学読取手段112の光電変換素子89は、前記反射板90で反射された反射光を光電変換するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される記録媒体の面に記録された情報を光学的に読み取る光学読取手段、光学読取装置、および、これらを備えた複合処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商取引等において、記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送される記録媒体に文字等の情報を記録する記録部と、記録媒体に既に記録されている情報または記録された情報を読み取る光学読取装置とを備える複合処理装置が用いられている。この種の複合処理装置では、小切手や伝票等様々な種類やサイズの記録媒体が使用される。複合処理装置では、異なる種類やサイズ(幅)の記録媒体を搬送するため、搬送時に記録媒体が斜めに搬送されてしまうことがあり得る。また、記録媒体の適正な位置に情報を記録するため、記録媒体のサイズ(幅)を検知する必要がある。
【0003】
そのため、記録媒体の搬送経路内に進出する進出位置と搬送経路から退避する退避位置とに移動可能な整列用部材を備え、この整列用部材に記録媒体の先端を当接させて記録媒体の整列を行う記録装置が提案されている。この記録装置では、整列用部材で記録媒体が整列しているかを判別するため、整列用部材の上流側に複数の光学式(光透過形)の媒体検知センサーを備え、これら媒体検知センサーの検知結果に基づいて、記録媒体が整列されているか否かを判別する。さらには、搬送経路に複数の光学式(光透過形)の媒体幅検出センサーを所定の間隔で配設して、いずれの媒体幅検出センサーがオンになるか否かによって、記録媒体の幅、すなわち記録媒体のサイズを検出している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、光学読取装置では、装置全体をコンパクトにするためにCIS(Contact Image Sensor)を用い、搬送される記録媒体の裏表の2面にCISを配置して記録媒体の両面の画像を同時に読み取るものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−39322号公報
【特許文献2】特開2006−140902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の記録装置では、整列用部材の上流側に複数の媒体検知センサーを備えるとともに、搬送経路内の幅方向に複数の媒体幅検出センサーを備えている。これらのセンサーは、一般的な記録媒体を想定して、所定の間隔で配設されている。そのため、通常と異なるサイズの記録媒体が使用された場合、サイズを正確に検出できない虞がある。また、数多くのセンサーを配置するためスペースが必要になり装置全体が大型になってしまう。複合処理装置は、記録装置以外にも光学読取装置等を備える。そのため、複合処理装置全体の小型化が困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
(適用例1)搬送手段によって搬送される記録媒体の面に記録された情報を光学的に読み取る光学読取手段であって、読み取り幅方向の一端部に配置される光源部と、読み取り幅方向に前記光源部の光を伝導して読取り面側に照射する導光板と、前記導光板から照射され前記記録媒体の面で反射される反射光を光電変換する光電変換素子と、前記導光板に沿って前記読取り面側に設けられた無彩色の反射板と、を備えたことを特徴とする光学読取手段。
【0009】
(適用例2)前記反射板は、無彩色である灰色に形成され、前記導光板より照射される光に対して20%から60%の反射率を有することを特徴とする上記の光学読取手段。
【0010】
(適用例3)第1光学読取手段と第2光学読取手段として、上記の光学読取手段を備え、前記読取り面を所定の間隙を空けて対向させるとともに、前記光源部を読み取り幅方向の異なる一端部に配置することを特徴とする光学読取装置。
【0011】
(適用例4)前記第1光学読取手段および前記第2光学読取手段の一方の前記光学読取手段の前記光源部は、RGBの3色の光、赤外光、紫外光を単独、もしくは複数時分割で発光し、他方の前記光学読取手段の前記無彩色の前記反射板は、一方の前記光学読取手段の前記導光板より照射された光を反射し、一方の前記光学読取手段の前記光電変換素子は、前記反射板で反射された反射光を光電変換するように配置されていることを特徴とする上記の光学読取装置。
【0012】
(適用例5)前記反射板は、前記無彩色である灰色に形成され、前記導光板より照射されたRGB3色の光、赤外光、紫外光に対して20%から60%の反射率を有することを特徴とする上記の光学読取装置。
【0013】
これらの構成によれば、2つの光学読取手段を有する光学読取装置は、互いの読取り面を対向させるとともに、180度回転した状態で配置される。そして、一方の光学読取手段から照射される光は、読取り面間を搬送される記録媒体および/または他方の光学読取手段の反射板に入射し反射される。反射された光は読取方向に配列された光電変換素子に入光し光電変換素子ごとに所定の出力の電気信号に変換される。
【0014】
反射板は入射する光に対して20%から60%の反射率を有する無彩色である灰色に形成されている。記録媒体の面の反射率は、一般に70%以上である。そのため、記録媒体の有無によって、光電変換素子から出力される電気信号の出力が異なる。すなわち、電気信号の出力を比較することによって、その光電変換素子が対応する位置に記録媒体があるか否か判断することができる。光電変換素子は読取方向に配列されている。従って、光電変換素子の出力の変化や、同一範囲の出力の光電変換素子が配列されている範囲を調査することによって、搬送される記録媒体のサイズ(幅)や搬送状態を知ることができる。また、反射板の反射率は既知であるため、光電変換素子の出力を調査することによって光学読取手段を構成する部品要素の不具合を検出することができる。
【0015】
(適用例6)少なくとも、記録媒体を搬送する搬送手段と、搬送される前記記録媒体に情報を記録する記録部と、上記の光学読取装置と、を備え、前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体および/または前記光学読取装置の一方の前記光学読取手段の前記反射板に対して、他方の前記光学読取手段から光を発光し、他方の前記光学読取手段の前記光電変換素子で、前記記録媒体および/または前記反射板で反射された反射光を光電変換して電気信号を得ることを特徴とする複合処理装置。
【0016】
(適用例7)前記光学読取手段の前記光電変換素子ごとに得られた前記電気信号を比較することによって、前記搬送手段で搬送される前記記録媒体のサイズもしくは搬送状態を検出することを特徴とする上記の複合処理装置。
【0017】
(適用例8)前記光学読取手段の前記光電変換素子ごとに得られた前記電気信号を比較することによって、前記光学読取装置および/または前記光学読取手段の不具合を検出することを特徴とする上記の複合処理装置。
【0018】
これらの構成によれば、複合処理装置は、光学読取装置によって搬送される記録媒体のサイズ(幅)や搬送状態、および光学読取手段を構成する部品要素の不具合を検出することができる。すなわち、記録媒体のサイズ(幅)や搬送状態、および光学読取手段の部品要素の不具合を検出ためのセンサーや部品を専用に設ける必要がなくなる。そのため、スペース効率のよい小型かつ信頼性の高い複合処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】複合処理装置としてのドットインパクトプリンターの外観斜視図。
【図2】ドットインパクトプリンターの断面図。
【図3】ドットインパクトプリンターを説明する図。
【図4】光学読取手段を説明する図。
【図5】光学読取装置を説明する図。
【図6】ドットインパクトプリンターの機能的構成を示すブロック図。
【図7】CCDユニットにおける出力信号と反射板の反射率の関係を示す図。
【図8】記録媒体の検出方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で参照する図面では、説明および図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0021】
(複合処理装置について)
まず、複合処理装置としてドットインパクトプリンターを例にとり図1〜3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る複合処理装置としてのドットインパクトプリンターの外観を示す正面斜視図である。図2は、ドットインパクトプリンターの側断面図である。図3は、ドットインパクトプリンターを説明する図であり、詳しくはドットインパクトプリンターの下本体部を示す図である。図1〜3に示すX方向は、ドットインパクトプリンターで情報が記録される記録媒体の幅方向を示し、Y方向は、記録媒体が搬送される搬送方向を示し、Z方向は、X方向およびY方向と直交する方向を示す。
【0022】
図1および図2に示すように、ドットインパクトプリンター10は、少なくとも、媒体搬送手段100と、記録手段20と、磁気読書き手段29と、光学読取装置110と、プリンター本体11と、外装ケース70と、を備える。ドットインパクトプリンター10は、媒体搬送手段100によって搬送される記録媒体Sに対して、記録手段20が有する記録ヘッド18の複数の記録ワイヤーを、リボンカートリッジ(図示略)から繰り出したインクリボン(図示略)を介して押し付け、記録媒体Sの記録面上にドットを形成することにより、文字を含む情報を描画して記録するものである。
【0023】
ドットインパクトプリンター10で使用される記録媒体Sとしては、所定長さに切断されたカット用紙と、複数枚が連接された連続用紙とがある。カット用紙としては、例えば単票紙や単票複写紙などの他、通帳や葉書、封筒などがあり、連続用紙には連続複写紙を含む。本実施形態では、記録媒体Sとして、例えば、金融機関等が発行する小切手または手形(以下、総称して小切手という)が使用される場合を例に挙げて説明する。
【0024】
この小切手は、磁気インクによって、その表面の一部の領域に使用者の口座番号や小切手のシリアル番号等のMICR(Magnetic Ink Character Recognition)情報が印刷された単票用紙である。また、ドットインパクトプリンター10では、記録媒体Sとして、小切手だけではなく通帳も適用され得る。ここで通帳とは、複数枚の記録用紙が綴じられた冊子形態となっており、この冊子を開いた内側の面が記録面となっている。通帳の裏表紙に相当する面の後部には、磁気ストライプが設けられている。MICR情報や磁気ストライプ情報は、後述する磁気読書き手段29で読み書きされる。
【0025】
従来、例えば小切手が商店等で使用された場合は、現物の小切手を銀行等に輸送して処理することが一般であった。近年、小切手に既に印刷された情報もしくは記録手段20で印刷された情報等を画像データとして、商店、受入銀行および支払銀行間で送受信して電子的な決済を行う方法が用いられている。小切手に既に印刷された情報もしくは記録手段20で印刷された情報等は、後述する光学読取装置110で読み取られ画像データに変換される。
【0026】
(ドットインパクトプリンターの構成について)
ここで、ドットインパクトプリンター10の詳細について説明する。図1に示すように、ドットインパクトプリンター10は、外装ケース70として、上部カバー12、上部ケース13および下部ケース14を備える。外装ケース70の上部ケース13および下部ケース14の図1中前面には、記録媒体Sを挿入あるいは排出する手差口15が開口している。この手差口15が開口した側、すなわち図2中Y方向に沿って左側をフロント(前)側としY方向に沿って右側をリア(後)側とする。
【0027】
図2および図3に示すように、ドットインパクトプリンター10は、上述の外装ケース70に覆われるプリンター本体11を有している。プリンター本体11は、図3に示す下本体部11Aと、この下本体部11Aの後端部に軸11Cで支持される上本体部11Bとを備えている。上本体部11Bは、上本体部11Bの左側面に設置されている開閉レバー(図示略)の操作によって回転され、プリンター本体11の内部が露出される。プリンター本体11は、ベースフレーム16と、このベースフレーム16の両端にそれぞれ立設して固定される右サイドフレーム17Aおよび左サイドフレーム17Bとを備える。右サイドフレーム17Aおよび左サイドフレーム17Bの外側に、上本体部11Bの両サイドフレーム(図3中図示略)があり、その間には、キャリッジガイド軸31がX方向に沿って架け渡されるとともに、右サイドフレーム17Aと左サイドフレーム17Bとの間に平坦面形状の前方媒体案内24および後方媒体案内25が固定して設けられる。
【0028】
(記録手段について)
次いで、ドットインパクトプリンター10の各構成について順次説明する。まず、記録手段20について説明する。図2に示すように、記録手段20は、少なくとも、記録ヘッド18、プラテン21およびキャリッジ19を有している。プラテン21は、平面部を含む長矩形形状に形成され、上述の前方媒体案内24と後方媒体案内25との間にX方向に沿って配置されている。このプラテン21のZ方向上方には、プラテン21に対向するように記録ヘッド18が配置されている。記録ヘッド18は、キャリッジガイド軸31に摺動自在に挿通されるキャリッジ19に搭載されている。キャリッジ19は、当該キャリッジ19を駆動するキャリッジ駆動モーター56(図6参照)の正転、または逆転により、タイミングベルト(図示略)を介して駆動され、キャリッジガイド軸31に案内されてX方向に往復移動される。キャリッジ19の移動(走査)範囲は、上本体部11Bの両サイドフレームの間である。
【0029】
キャリッジ19に搭載される記録ヘッド18は、キャリッジ19とともにX方向に走行される間に、プラテン21に対向するワイヤー突出部(図示略)から記録ワイヤーをZ方向に突出させてインクリボンを介して記録媒体Sに打ち当てる。このように、インクリボンのインクを、プラテン21と記録ヘッド18との間をY方向に搬送される記録媒体Sに付着させて、記録媒体Sに文字を含む画像を記録する。このインクリボンは、上記の本体フレーム、またはキャリッジ19に装着されるリボンカートリッジ(図示略)内に折り畳まれて収納され、キャリッジ19の走査に伴って繰り出される。
【0030】
プラテン21は、両端が付勢ばね55により記録ヘッド18に向けてZ方向に付勢されるように弾性支持されている。付勢ばね55は圧縮コイルばねであり、この付勢ばね55の付勢力により、記録ヘッド18の記録動作時における記録ワイヤーの突出力が支持される。プラテン21は、記録媒体Sの搬送中にこの記録媒体Sの厚さが変化した場合、またはプリンター本体11に厚さの異なる記録媒体Sが搬入された場合に、付勢ばね55の付勢力に抗して、記録ヘッド18の先端により押圧されて記録ヘッド18から離れる方向に移動する。これにより、記録媒体Sの厚さにかかわらず、記録ヘッド18の先端と記録媒体Sの記録面との間のギャップが一定に確保される。
【0031】
(媒体搬送手段について)
次いで、媒体搬送手段100について説明する。図2および図3に示すように、媒体搬送手段100は、プラテン21、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22B、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23B、第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124B、前方媒体案内24、後方媒体案内25、媒体搬送モーター26および駆動輪列部27を備えて構成されている。また、本構成では、前方媒体案内24および後方媒体案内25に沿って、図2中Y方向に記録媒体Sが搬送される搬送経路Pが形成されている。
【0032】
本構成では、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22Bは、プラテン21および記録ヘッド18に対してプリンター本体11のフロント側に配置される。第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23Bおよび第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124Bは、プラテン21および記録ヘッド18に対してプリンター本体11のリア側にY方向に沿って順次配置されている。
【0033】
第1駆動ローラー22Aと第1従動ローラー22Bとは、Z方向に配置されて対をなし、第2駆動ローラー23Aと第2従動ローラー23Bとは、Z方向に配置されて対をなし、第3駆動ローラー124Aと第3従動ローラー124Bとは、Z方向に配置されて対をなす。第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23Aおよび第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26および駆動輪列部27によって回転駆動される駆動ローラーである。第1従動ローラー22B、第2従動ローラー23Bおよび第3従動ローラー124Bは、それぞれ第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、および、第3駆動ローラー124A側に所定の押圧力でばね47A,47B,47Cによりばね付勢されている従動ローラーである。これによって、駆動ローラーの駆動によって従動ローラーを回転させ、双方に挟持される記録媒体Sを搬送する。
【0034】
図3に示すように、駆動輪列部27は、右サイドフレーム17Aの外側に配置される。この駆動輪列部27は、正転、または逆転可能な媒体搬送モーター26の駆動軸に回転一体に固定されたモーターピニオン51を備える。このモーターピニオン51からの駆動力が、減速ギア52を介して第2駆動ローラー23Aの第2ローラー軸33に取り付けられた第2駆動ギア53Bへ伝達され、更に、この第2駆動ギア53Bから中間ギア54を介して第1駆動ローラー22Aの第1ローラー軸32に取り付けられた第1駆動ギア53Aに伝達される。
【0035】
また、第2駆動ローラー23Aの第2ローラー軸33の回転力が、例えば、駆動ベルト(図示略)によって第3駆動ローラー124Aの第3ローラー軸134に伝達される。これにより、図3に示す第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、および、第3駆動ローラー124Aが同一方向に回転して、記録媒体Sをプリンター本体11内に搬送可能とする。つまり、図3に示す第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、および、第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26が正転している場合、副走査方向に沿って、図2中符号Aで示すようにプリンター本体11内に記録媒体Sを搬送し、媒体搬送モーター26が逆転している場合、図2中符号Bで示すように、プリンター本体11内から排出する方向に記録媒体Sを搬送する。
【0036】
また、プリンター本体11は、搬送経路P内に媒体搬送手段100で搬送される記録媒体Sの先端が当接されてこの記録媒体Sを整列させる整列機構28を備えている。整列機構28は、記録ヘッド18による記録媒体Sへの記録や、後述する光学読取装置110による記録媒体Sの表面の読み取りを行う前に、この記録媒体Sを整列するものである。整列機構28は、第1駆動ローラー22Aおよび第1従動ローラー22Bと記録ヘッド18およびプラテン21との間に設けられている。整列機構28は、搬送経路P内に進出する進出位置と搬送経路Pから退避する退避位置とに移動可能な複数の整列板(整列用部材)38と、この整列板38を駆動する整列板モーター65(図6参照)とを備える。複数の整列板38は、図3に示すように、搬送経路Pの幅方向(X方向)に並設されており、これら整列板38に記録媒体Sの先端部を当接させることで記録媒体Sの向きを変え、この記録媒体Sを整列することができる。
【0037】
(磁気読書き手段について)
次いで、磁気読書き手段29について説明する。図2に示すように、磁気読書き手段29は、外装ケース70の記録媒体Sを挿入あるいは排出する手差口15近傍に設けられている。磁気読書き手段29は、例えば、媒体搬送手段100によって搬送される小切手に設けられたMICR情報の読み取りや、同じく、媒体搬送手段100によって搬送される通帳に設けられた磁気ストライプに対して磁気情報の読み取り、または書き込みを行う役割を担う。また、磁気読書き手段29の近傍に、磁気ヘッド34がMICR情報の読み取りを含む磁気情報処理の実行時に、記録媒体Sの浮き上がりを抑制すべく、記録媒体Sを上から押える媒体押え部30を有している。
【0038】
(光学読取手段および光学読取装置について)
ここで、本発明の実施例である光学読取装置110の構成について説明する。図2に示すように、光学読取装置110は、搬送経路P上の第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23Bと、第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124Bとの間に配置される。光学読取装置110は、媒体搬送手段100によって搬送経路Pを搬送される記録媒体Sの面に記載されている情報を読み取る役割と、記録媒体Sのサイズ(幅)の検出と記録媒体Sの挿入状態の検知の役割を担う。また、光学読取装置110は、光学読取手段の光源部や読取り部の劣化や不具合を検出する役割をも担う。本実施例では、光学読取装置110は、第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bとを備える。
【0039】
(光学読取手段について)
まず、光学読取手段について図4を参照して説明する。図4は、光学読取手段を説明する図であり、(a)は、光学読取手段の断面図であり、(b)は、光学読取手段を読取面から見た平面図である。図4に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1〜3に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一な方向を示す。なお、光学読取手段としての第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bとは同一な構成、構造であるため、以降、光学読取手段112として説明する。
【0040】
図4(a),(b)に示すように、光学読取手段112は、長尺の長矩形形状に形成され、光源部80と、導光板82と、読取り面84と、読取り部85と、反射板90と、これらを収容する上面部分が開口された長尺の箱形状のケース88とを備える。光源部80は、R(レッド)色の光を発光する赤色LEDと、G(グリーン)色の光を発光する緑色LEDと、B(ブルー)色の光を発光する青色LEDとを備える。また、光源部80は、赤外光(Ir)、紫外光(UV)の光を発光するようにしてもよい。図4(b)に示すように、光源部80は、X方向に発光可能なように発光部をほぼ同一の範囲としてケース88のX方向一端側に配置されている。
【0041】
導光板82は、例えば、アクリル等の光を導光可能な材料が適用され、断面に一部面取り部83が形成された矩形形状で、平面が長尺の長方形形状に形成されている。導光板82の長手方向の長さは、読み取られる記録媒体Sの幅を確保するように十分な長さを有している。導光板82は、導光板カバー91に少なくとも面取り部83を除く3辺をカバーされ、一端部側を光源部80の発光部近傍に配置される。導光板82は、ケース88の上面側近くに配置され、面取り部83が斜め上方向を向くように配置される。反射板90は、長方形形状の平板状に形成され、無彩色である灰色に着色されている。反射板90は、導光板82および導光板カバー91のZ方向上方に配置される。
【0042】
読取り面84は、ガラス等の透明材料が適用され、平面視で長尺の長方形形状に形成され、ケース88の図4(a)中Z方向上面の開口部に嵌合される。読取り面84の長手方向の長さは、読み取られる記録媒体Sの幅を確保するように十分な長さを有している。
【0043】
読取り部85は、レンズアレイ86と、光電変換素子89(読取素子)を構成要素とするCCDユニット87とから構成されている。レンズアレイ86は、例えば、屈折率分布型光ファイバーを所定の長さ(Z方向)にしてX方向に配列して形成される。X方向の長さは、読み取られる記録媒体Sの幅を確保するように十分な長さを有している。Y方向の幅は、必要に応じて列数を増加すればよい。CCDユニット87は、レンズアレイ86を通過した光を受光できるようにレンズアレイ86のZ方向下部に、X方向に延在するように配置されている。上述の読取り部85は、X方向にいわゆるラインセンサーの形態をとっている。
【0044】
上述の光学読取手段112を用いて記録媒体Sを読み取る場合は、記録媒体Sを読取り面84に沿って搬送して、光源部80の各LEDを1ライン毎に時分割で点灯させる。光源部80で発光した各光は、導光板82の一端側から入光し、導光板82の内部を拡散進行する。導光板82の内部を進行した光は、面取り部83から斜め上方に照射される。照射された光は、読取り面84を通過して記録媒体Sの面で反射され、読取り部85のレンズアレイ86を介して画素毎にCCDユニット87で集光される。集光された光は、CCDユニット87を構成する光電変換素子89で電気信号に変換される。光学読取手段112は、記録媒体Sの1ラインの読み取りが終了すると、媒体搬送手段100によって記録媒体SをY方向に微小距離移動させ次のラインを読み取る。なお、反射板90については後述する。
【0045】
(光学読取装置について)
次いで、光学読取装置について図5を参照して説明する。図5は、光学読取装置を説明する図である。なお、図5に示すY方向およびZ方向は、図1〜3に示すY方向およびZ方向と同一な方向を示す。なお、第1光学読取手段112aの構成物については、各構成物の符号の末尾にaを付し、第2光学読取手段112bの構成物については、各構成物の符号の末尾にbを付して説明する。
【0046】
図5に示すように、光学読取装置110は、上述の構成を有する第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bとを備えている。第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bとは、記録媒体Sが搬送される搬送経路Pを挟んで読取り面84a,84bが対向するように配置されている。さらに、第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bとは、光源部80a,80bがX方向において異なる端部側になるように配置されている。すなわち、Z方向において、第1光学読取手段112aの導光板82aと第2光学読取手段112bの読取り部85b(図5参照)とが搬送経路Pを挟んで対向し、第1光学読取手段112aの読取り部85aと第2光学読取手段112bの導光板82bとが搬送経路Pを挟んで対向する位置関係で配置されている。
【0047】
上述の構成を有する光学読取装置110は、第1光学読取手段112aおよび第2光学読取手段112bごとに、読取り面84a,84bに沿って搬送される記録媒体Sの表裏両面に対して、1ラインごとに光源部80a,80bの各LEDを単独もしくは複数時分割で点灯させ、点灯した光を導光板82a,82bを介して均一に記録媒体Sの両面に対し照射する。光学読取装置110は、記録媒体Sの表裏両面で反射した光をレンズアレイ86a,86bで画素毎にCCDユニット87a,87bに集光し、CCDユニット87a,87bを構成する光電変換素子89でその光を電気信号に変換する。光学読取装置110は、記録媒体Sの表裏1ラインの読み取りが終了すると、記録媒体SをY方向に微小距離移動させ次のラインを読み取る。このようにして、光学読取装置110は、搬送経路Pを搬送される記録媒体Sの表裏両面を同時に読み取ることができる。なお、記録媒体Sのサイズ(幅)の検出、記録媒体Sの挿入状態の検知および光源部80や読取り部85の劣化や不具合を検出する役割については後述する。
【0048】
(ドットインパクトプリンターの制御について)
ここで、ドットインパクトプリンターの制御について、図6を参照して簡単に説明する図6は、ドットインパクトプリンターの機能的構成を示すブロック図である。図6に示すように、ドットインパクトプリンター10は、制御プログラムに基づいてドットインパクトプリンター10を制御するCPU(制御手段)40と、CPU40により実行される制御プラグラムや処理されるデータ等を記憶したEEPROM42と、CPU40によりEEPROM42から読み出された制御プログラムやデータ等を一時的に記憶するRAM41と、ホストコンピューター200との間で情報を送受信する際のデータ形式を変換するインターフェース(I/F)43を備えている。
【0049】
CPU40には、ゲートアレイ(G/A)45を介して、記録ヘッド18および磁気ヘッド34が接続されている。ゲートアレイ45は、CPU40の制御に従って記録ヘッド18に駆動電流を出力して、記録ワイヤーを突出させる。また、ゲートアレイ45は、CPU40の制御に従って、磁気情報の読み取り時には、磁気ヘッド34に対して読み取り用電流を出力する一方、磁気ヘッド34から入力される信号電流をデジタル化してCPU40に出力する。
【0050】
また、ゲートアレイ45には、光学読取装置110の第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bとが接続されている。第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bで読み取られた情報はゲートアレイ45に供給される。ゲートアレイ45は、供給されたアナログ電圧を量子化してデジタルデータとしCPU40に出力する。
【0051】
さらに、ゲートアレイ45には、モータードライバー48が接続されている。モータードライバー48は、媒体搬送モーター26、キャリッジ駆動モーター56、磁気ヘッド駆動モーター64および整列板モーター65に接続され、これら各モーターに駆動電流や駆動パルスを供給して、これらのモーターを動作させる。CPU40は、EEPROM42に格納された制御プログラムに基づいて、ゲートアレイ45を介して記録ヘッド18やモータードライバー48を制御する。
【0052】
上述の構成を有するドットインパクトプリンター10は、例えば、銀行等の金融機関の窓口に配置され、記録媒体Sとしての小切手の決済等する際に使用されている。具体的には、記録媒体Sが図1に示す手差口15から挿入されると、この記録媒体Sは、媒体搬送手段によって図2に示す矢印A方向搬送される。続いて、磁気読書き手段29の磁気ヘッド34によって記録媒体SのMICR情報に対して磁気的な情報の読み取りを行う。磁気ヘッド34によって読み取られた情報は、ゲートアレイ45によってデジタル化され、CPU40に出力される。CPU40は、ゲートアレイ45から供給されたデータに基づいて、文字情報を解析し、テキスト情報に変換する。得られたテキスト情報はホストコンピューター200に送信される。
【0053】
次に、記録媒体Sを第1光学読取手段112aおよび第2光学読取手段112bの位置まで搬送させる。そして、記録媒体Sの上面と下面を光学的にスキャンし、得られた情報をゲートアレイ45においてデジタルデータとしての画像データに変換し、CPU40に供給する。CPU40は、供給された上面と下面の画像データをホストコンピューター200に送信する。ホストコンピューター200では、現物の小切手を輸送して処理する代わりに、送信された画像データを受入銀行から支払銀行に伝送することによって電子的な決済を行う。
【0054】
スキャン処理が終了すると、記録媒体Sは図2に示すプラテン21上の記録位置まで搬送される。そして、磁気読書き手段29で読み取られた磁気情報に基づいて、記録手段20によって記録媒体Sの記録面に、例えば、この小切手が使用済みであることを示す情報を記録する。最後に、第1駆動ローラー22Aおよび第1従動ローラー22Bによって記録媒体Sが矢印B方向に搬送され、記録媒体Sが手差口15から排出される。
【0055】
(光源部や読取り部の不具合検出について)
光学読取装置110は、光源部80や読取り部85の劣化や不具合を検出することができる。この検出方法について図5および図7を参照して説明する。図7は、CCDユニットにおける出力信号と反射板の反射率の関係を示す図である。なお、以降の説明では、説明を簡便にするために第1光学読取手段112aを中心に説明する。
【0056】
上述のドットインパクトプリンター10の光学読取装置110では、使用に伴い光源部80のLEDや読取り部85の光電変換素子89が劣化し不具合が発生することがあり得る。また、読取り面84にゴミや汚れが付着することもあり得る。このようなことが発生すると、読み取るべき情報に抜けが発生してしまう。著しい場合は情報を読み取ることができなくなってしまう。このことを防止するために、例えば、電源投入時や作業開始前に光源部80や読取り部85が正常に動作していることを確認することが重要になる。
【0057】
例えば、電源投入時や作業開始前等、搬送経路P上に記録媒体Sがない状態で、第1光学読取手段112aの光源部80aの各LEDを時分割で点灯させる。そして、光源部80aで発光した光を導光板82aの一端側から入光させ、導光板82aの面取り部83aから斜め方向に照射する。照射された光は、読取り面84aを通過して進行する。記録媒体Sがないため進行する光は、対向する第2光学読取手段112bの読取り面84bをも通過して、第2光学読取手段112bの導光板82bおよび導光板カバー91bの読取り面84b側に位置する反射板90bに照射される。
【0058】
第2光学読取手段112bの反射板90bに照射された光は、反射板90bで反射され読取り面84bおよび読取り面84aを通過して、第1光学読取手段112aの読取り部85aに向かう。読取り部85aのレンズアレイ86aを介してCCDユニット87aで集光された光は、CCDユニット87aを構成する光電変換素子89で電気信号に変換される。
【0059】
なお、このとき反射板90bは、面全体が無彩色である灰色で形成されている。詳しくは、反射板90bは、光源部80aから発光されるRGB3色、赤外光、紫外光に対して20%以上の反射率を有する灰色で形成されている。なお、図7に示すように、この反射板90bで反射され読取り部85aのレンズアレイ86aを介してCCDユニット87a(光電変換素子89)に集光される光は所定の出力Qを有する電気信号に変換される。
【0060】
この電気信号は図6に示すゲートアレイ45に供給される。ゲートアレイ45は、供給されたアナログ電圧を量子化してデータとしCPU40に出力する。なお、このデータは光電変換素子89ごとに出力される。CPU40は、供給されたデータを予め設定されている閾値と比較する。閾値以下の場合は、LEDの発光が低下しているか、光電変換素子89が劣化もしくは破壊されているか、読取り面84a,84bにゴミや汚れが付着しているか等の不具合が発生していると判断して警告を発する。なお、この場合、様々な判断基準となるデータ群をEEPROM42に格納して、それに基づいて警告を発生してホストコンピューター200で状態や対策等を表示することが好ましい。
【0061】
なお、上述の説明は、第1光学読取手段112aを主体とした場合であるが、第2光学読取手段112bを主体とした場合も上記と同様な作業を実施する。また、反射板90の反射率が20%以下の場合は、CCDユニット87a(光電変換素子89)から出力される電気信号の出力Qが低くなり不具合を十分に認識できないことがある。そのため、反射板90の反射率は20%以上であることがよい。
【0062】
(記録媒体のサイズ検出および記録媒体の挿入状態の検知について)
また、光学読取装置110は、上述の役割以外に記録媒体のサイズ(幅)の検出および記録媒体の挿入状態の検知を行うことができる。この検出方法について図7および図8を参照して説明する。図8は、記録媒体の検出方法を説明する図であり、(a)は、記録媒体Sが正しく挿入もしくは搬送されている場合を示す図、(b)は、記録媒体Sが斜めに挿入もしくは搬送されている場合を示す図である。なお、以降の説明では、説明を簡便にするために第1光学読取手段112aを中心に説明する。
【0063】
電源投入時や作業開始前等、搬送経路P上に記録媒体Sがないとき、第1光学読取手段112aは、光源部80aの各LEDを単独もしくは複数時分割で点灯させ、光源部80aで発光した光を導光板82aの一端側から入光させ、導光板82aの面取り部83aから斜め方向に照射する。照射された光は、読取り面84aを通過して進行する。記録媒体Sがないため進行する光は、対向する第2光学読取手段112bの読取り面84bをも通過して、第2光学読取手段112bの導光板82bおよび導光板カバー91bの読取り面84b側に位置する反射板90bに照射される。
【0064】
第2光学読取手段112bの反射板90bに照射された光は、反射板90bで反射され読取り面84bおよび読取り面84aを通過して、第1光学読取手段112aの読取り部85aに向かう。読取り部85aのレンズアレイ86aを介してCCDユニット87aで集光された光は、CCDユニット87aを構成する光電変換素子89で電気信号に変換される。
【0065】
なお、このとき反射板90bは、面全体が無彩色である灰色で形成されている。詳しくは、反射板90bは、光源部80aから発光されるRGB3色、赤外光、紫外光に対して60%以下の反射率を有する灰色で形成されている。なお、図7に示すように、この反射板90bで反射され読取り部85aのレンズアレイ86aを介してCCDユニット87aの例えば図8(a)に示す光電変換素子89jに集光される光は所定の出力Qを有する電気信号に変換される。この電気信号は図6に示すゲートアレイ45に供給される。ゲートアレイ45は、供給されたアナログ電圧を量子化してデータとしCPU40に出力する。なお、このデータは光電変換素子89ごとに出力される。CPU40は、供給されたデータを一旦基準データと設定する。
【0066】
図8(a)に示すように、媒体搬送手段100によって搬送経路P上を記録媒体Sが搬送され、光学読取装置110の第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bと間に到達する。到達した記録媒体Sは、第1光学読取手段112aの導光板82aによって光が照射され記録媒体Sがある範囲は記録媒体Sの面で光が反射する。反射された光は、読取り部85aのレンズアレイ86aを介してCCDユニット87aで集光され、光電変換素子89iにより所定の出力Rの電気信号に変換される。このとき、第1光学読取手段112aの読取範囲において、記録媒体Sがない範囲は対向する第2光学読取手段112bの反射板90bで光が反射する。反射された光は、読取り部85aのレンズアレイ86aを介してCCDユニット87aで集光され、光電変換素子89jにより所定の出力Qの電気信号に変換される。
【0067】
一般に、記録媒体Sとして使用される小切手やその他の用紙は、表面に印刷されたものも含め多種類存在するが、発明者らが種々の記録媒体Sを調査試験した結果、表面の反射率は70%以上であることを認めた。また、反射板90a,90bの表面は、反射率60%以下の無彩色である灰色で形成されている。そのため、図7で示すグラフより電気信号は、出力R>出力Qとなる。この電気信号はX方向に一定のピッチで整列したCCDユニット87aの光電変換素子89ごとに出力される。従って、出力Rの電気信号を出力する光電変換素子89の範囲を調べることによって、光学読取装置110の第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bとの間に到達した記録媒体SのX方向の幅を知ることができる。
【0068】
また、記録媒体Sは長方形形状を呈している。従って、記録媒体Sが正しく挿入され直進状態で搬送されている間は、多少の誤差はあろうとも出力Rの電気信号を出力するCCDユニット87aの光電変換素子89は、記録媒体Sが通過するまで出力Rの電気信号を出力し続ける。同じく、出力Qの電気信号を出力するCCDユニット87aの光電変換素子89は、出力Qの電気信号を出力し続ける。
【0069】
ところが、図8(b)に示すように、記録媒体Sが搬送経路Pに斜めに挿入されたり、搬送時に斜め走行してしまうと、出力Rの電気信号を出力するCCDユニット87aの光電変換素子89の数と出力Qの電気信号を出力するCCDユニット87aの光電変換素子89の数は変化する。あるいは、出力Rの電気信号を出力していたCCDユニット87aの光電変換素子89が、途中から出力Qの電気信号を出力し始める。例えば、光電変換素子89gと光電変換素子89jとでは、出力が出力Qから出力Rに変化する時間が異なる。このことより、記録媒体Sの先端が斜めになっていることがわかる。また、光電変換素子89jの出力は、出力Qから出力Rに変化し、光電変換素子89gの出力が出力Rにもかかわらず、再び出力Qに変化する。このことより、記録媒体Sが斜めに搬送されていることがわかる。
【0070】
これらの電気信号は図6に示すゲートアレイ45に供給される。ゲートアレイ45は、供給されたアナログ電圧を量子化してデータとしCPU40に出力する。CPU40は、供給されたデータを予め設定されている変化量と比較する。変化量が一定の範囲以上である場合は、記録媒体Sの搬送に異常や不具合が発生したと判断して警告を発する。この場合、様々な判断基準となるデータ群をEEPROM42に格納して、それに基づいて警告を発生してホストコンピューター200で状態や対策等を表示することが好ましい。同時に、媒体搬送手段100により当該記録媒体Sをドットインパクトプリンター10から一旦排出することが好ましい。
【0071】
なお、上述の説明は、第1光学読取手段112aを主体とした場合であるが、第2光学読取手段112bを主体とした場合も上記と同様な動作を行う。また、上述のように、反射板90の反射率が60%以上の場合は、CCDユニット87a(光電変換素子89)から出力される電気信号の出力Qが大きくなり記録媒体Sの有無の判別ができないことがある。そのため、反射板90の反射率は60%以下であることがよい。すなわち、光源部80や読取り部85の不具合検出と記録媒体のサイズ検出および記録媒体の挿入状態の検知を同一の光学読取装置110で行うためには、反射板は、反射率20%から60%の無彩色である灰色で形成されている必要がある。
【0072】
以下、本実施例の効果を記載する。
(1)上述の光学読取装置110は、反射率20%から60%である無彩色の灰色に着色された反射板90を備える第1光学読取手段112aと第2光学読取手段112bとを読取り面84a,84bを対向させて配置している。そのため、搬送される記録媒体Sの裏表両面に記載された情報を読み取ることができるという基本機能の他に、搬送される記録媒体Sの紙幅や搬送位置を知ることができる。併せて、ドットインパクトプリンター10における記録媒体Sの挿入や搬送時の不具合、例えば斜め挿入や斜め搬送を検出することができる。そのため、記録媒体SのMICR情報の読み取り精度を向上させたり、記録媒体Sの正しい位置に情報を記録することや、記録媒体Sの搬送不良を低減させることができる。その結果、信頼性の高い複合処理装置としてのドットインパクトプリンター10を提供することができる。
【0073】
(2)上述の光学読取装置110は、読取り部85の光電変換素子89によって記録媒体Sの幅(サイズ)や位置を知ることができる。光電変換素子89は、読取り精度を向上させるために細かいピッチで配列されている。そのため、記録媒体Sの幅(サイズ)や位置を精度良く知ることができる。
【0074】
(3)上述の光学読取装置110は、一方の光源部80の光を他方の反射板90に反射させてその光を一方の読取り部85の光電変換素子89に集光し光電変換素子89ごとに電気信号を出力する。この電気信号を比較調査することによって、LEDの発光が低下しているか、光電変換素子89が劣化もしくは破壊されているか、読取り面84にゴミや汚れが付着しているか等の不具合が発生しているか否かを判断することができる。そのため、これら不具合に対して素早く対応をとることができる。また、ドットインパクトプリンター10での作業の前にこれらの機能の事前チェックができる。その結果、信頼性の高い複合処理装置としてのドットインパクトプリンター10を提供することができる。
【0075】
(4)上述の光学読取装置110を備える複合処理装置としてのドットインパクトプリンター10は、光学読取手段112の反射板90を反射率20%から60%である無彩色の灰色に着色するという簡単な構成によって、記録媒体Sの紙幅や搬送位置、搬送上の不具合を知ることができる。すなわち、搬送経路P内に、記録媒体Sの紙幅や搬送位置、搬送上の不具合を検知するための媒体検知センサーや媒体幅検出センサー等を設ける必要がない。そのため、設置スペースを低減することができ、ドットインパクトプリンター10小型化が実現できる。
【0076】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記実施例に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。本実施例では、複合処理装置としてドットインパクトプリンター10を例に取り説明したがこれに限定されない。記録方式は、インクジェット方式であってもサーマル印字方式であってもよい。また、構成される各種装置は特に限定されない。少なくとも、上述の光学読取装置110を備えていればよい。また、本実施例の光学読取装置110の位置は、一実施例であってこれに限定されない。記録手段20の上流側であってもよいし、磁気読書き手段29の位置であってもよい。適用される複合処理装置の主な用途によって適正なレイアウトを選択すればよい。
【符号の説明】
【0077】
10…ドットインパクトプリンター、11…プリンター本体、16…ベースフレーム、18…記録ヘッド、19…キャリッジ、21…プラテン、29…磁気読書き手段、34…磁気ヘッド、40…CPU、70…外装ケース、80…光源部、82…導光板、83…面取り部、84…読取り面、85…読取り部、86…レンズアレイ、87…CCDユニット、88…ケース、89…光電変換素子、90…反射板、91…導光板カバー、100…媒体搬送手段、110…光学読取装置、112…光学読取手段、112a…第1光学読取手段、112b…第2光学読取手段、P…搬送経路、S…記録媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段によって搬送される記録媒体の面に記録された情報を光学的に読み取る光学読取手段であって、
読み取り幅方向の一端部に配置される光源部と、
読み取り幅方向に前記光源部の光を伝導して読取り面側に照射する導光板と、
前記導光板から照射され前記記録媒体の面で反射される反射光を光電変換する光電変換素子と、
前記導光板に沿って前記読取り面側に設けられた無彩色の反射板と、を備えたことを特徴とする光学読取手段。
【請求項2】
前記反射板は、無彩色である灰色に形成され、前記導光板より照射される光に対して20%から60%の反射率を有することを特徴とする請求項1に記載の光学読取手段。
【請求項3】
第1光学読取手段と第2光学読取手段として、請求項1または2に記載の光学読取手段を備え、
前記読取り面を所定の間隙を空けて対向させるとともに、前記光源部を読み取り幅方向の異なる一端部に配置することを特徴とする光学読取装置。
【請求項4】
前記第1光学読取手段および前記第2光学読取手段の一方の前記光学読取手段の前記光源部は、RGBの3色の光、赤外光、紫外光を単独、もしくは複数時分割で発光し、
他方の前記光学読取手段の前記無彩色の前記反射板は、一方の前記光学読取手段の前記導光板より照射された光を反射し、
一方の前記光学読取手段の前記光電変換素子は、前記反射板で反射された反射光を光電変換するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の光学読取装置。
【請求項5】
前記反射板は、前記無彩色である灰色に形成され、前記導光板より照射されたRGB3色の光、赤外光、紫外光に対して20%から60%の反射率を有することを特徴とする請求項3または4に記載の光学読取装置。
【請求項6】
少なくとも、記録媒体を搬送する搬送手段と、
搬送される前記記録媒体に情報を記録する記録部と、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の光学読取装置と、を備え、
前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体および/または前記光学読取装置の一方の前記光学読取手段の前記反射板に対して、他方の前記光学読取手段から光を発光し、
他方の前記光学読取手段の前記光電変換素子で、前記記録媒体および/または前記反射板で反射された反射光を光電変換して電気信号を得ることを特徴とする複合処理装置。
【請求項7】
前記光学読取手段の前記光電変換素子ごとに得られた前記電気信号を比較することによって、前記搬送手段で搬送される前記記録媒体のサイズもしくは搬送状態を検出することを特徴とする請求項6に記載の複合処理装置。
【請求項8】
前記光学読取手段の前記光電変換素子ごとに得られた前記電気信号を比較することによって、前記光学読取装置および/または前記光学読取手段の不具合を検出することを特徴とする請求項6に記載の複合処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−244243(P2011−244243A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115043(P2010−115043)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】