説明

光学部品、照明装置、及び表示装置

【課題】 光の出射方向を制御する光学部品であって、光利用効率が高く、且つ、容易に加工可能な光学部品を提供する
【解決手段】 光学部品では、第1のプリズムアレイが、入射平面と、交互に設けられた第1の面及び第2の面とを有する。第2のプリズムアレイが、出射平面と、交互に設けられた第3の平面及び第4の平面とを有する。第2の面は入射平面に対して第1の面より大きく傾斜している。第4の面は出射平面に対して第3の面より大きく傾斜している。入射平面、第1の面、及び第2の面はプリズム要素を構成しており、出射平面、第3の面、及び第4の面はプリズム要素を構成している。第1のプリズムアレイ及び第2のプリズムアレイは、互いのプリズム要素を対面させ、且つ、離間させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部品に関するものであり、特に、視野角コントロールに好適に用いることが可能な光学部品に関するものである。また、本発明は、このような光学部品を用いた照明装置及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話のディスプレイやパソコンディスプレイの覗き見防止、カーナビゲーションのフロントパネルへの映り込み防止のために、視野角コントロール技術を採用した光学部品が液晶ディスプレイ等のディスプレイに用いられている。このような光学部品は、ディスプレイからの光がある視野角の範囲内にのみに発せられるようにするものである。
【0003】
このような光学部品として、非特許文献1に開示されたルーバーがある。このルーバーは、複数の遮光板を互いの主面を対面させて一方向に配列させたものである。かかるルーバーによれば、ある角度以上で当該ルーバーに入射する光を遮光することができる。
【0004】
しかしながら、非特許文献1に記載のルーバーは、透過させたい角度の光、即ち、当該ルーバーへの入射角が小さい光の一部も遮光してしまう。その結果、このルーバーを備えたディスプレイの輝度を明るくするためには、光源の出力を大きくする必要がある。
【0005】
一方、特許文献1には、照明器具用のパネルとして、複数のプリズム要素を配列したパネルが開示されている。図1は、複数のプリズム要素を配列した従来のパネルに入射する光の軌跡を示す図である。図1の(a)には、出射面に対して直交する方向にパネルに入射する光Lの軌跡が示されている。図1の(b)には、図中の下側から浅い角度で入射する光Lの軌跡が示されている。図1の(c)には、図中の下側から深い角度で入射する光Lの軌跡が示されている。図1の(d)には、図中の上側から浅い角度で入射する光Lの軌跡が示されている。また、図1の(e)には、図中の上側から深い角度で入射する光Lの軌跡が示されている。
【0006】
図1に示すように、このパネルは、出射平面と、交互に設けられた複数の第1の面及び複数の第2の面とを備えている。第1の面A及び第2の面Bは、出射平面Cに対して傾斜する異なる面に沿って設けられている。第1の面Aが出射平面に対して成す傾斜角度は、第2の面Bが出射平面に対して成す傾斜角度より小さい。また、隣り合う第1の面Aと第2の面Bと出射平面とがプリズム要素を構成している。
【0007】
図1に示すように、このパネルは、プリズム要素によって光の配光を変えることにより、図中の上方向には光が出射されないようにするものである。このパネルでは、図1の(e)に示すように、図中の上側から深い角度で入射する光は、第2の面Bによって反射されて、図中の上方向に出射されてしまう。これを防ぐために、特許文献1に記載のパネルでは、第2の面Bを粗面とする加工が施されている。
【非特許文献1】“シンエツVCFにおける視野コントロール技術”、月刊ディスプレイ2006年5月号、62頁〜69頁
【特許文献1】特許第3567819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示のパネルをディスプレイに適用するには、各プリズム要素の周期を数百μmオーダーまで小さくする必要がある。このような周期のプリズム要素の第2の面を粗面とする加工は、困難であるか、又は、非常に高度な加工技術を必要とする。
【0009】
本発明は、光の出射方向を制御する光学部品であって、光利用効率が高く、且つ、容易に加工可能な光学部品を提供することを目的としている。また、本発明は、このような光学部品を用いた照明装置、及び表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光学部品は、第1のプリズムアレイと、第2のプリズムアレイと、を備えている。第1のプリズムアレイは、入射平面と、複数の第1の面と、複数の第2の面と、を有している。複数の第1の面と複数の第2の面とは交互に設けられている。第2のプリズムアレイは、出射平面と、複数の第3の面と、複数の第4の面とを有している。複数の第3の面と複数の第4の面とは、交互に設けられている。隣り合う第1の面と第2の面は、入射平面に対して傾斜する二つの面であって、互いに交差する二つの面に沿って延びている。複数の第1の面が入射平面に対して成す傾斜角は、複数の第2の面が前記入射平面に対して成す傾斜角より小さい。隣り合う第1の面と第2の面と、入射平面とがプリズム要素を構成している。隣り合う第3の面と第4の面とは、出射平面に対して傾斜する二つの面であって、互いに交差する二つの面に沿って延びている。複数の第3の面が出射平面に対して成す傾斜角は、複数の第4の面が出射平面に対して成す傾斜角より小さい。隣り合う第3の面と第4の面と、出射平面とが、プリズム要素を構成している。第1のプリズムアレイと第2のプリズムアレイは、第1の面と第3の面が対面し、第2の面と第4の面が対面するように、離間して設けられている。第1のプリズムアレイの屈折率及び第2のプリズムアレイの屈折率は、当該第1のプリズムアレイと当該第2のプリズムアレイとの間の媒体の屈折率より大きくなっている。本発明の光学部品は、光を限られた方向に出射することができる。また、当該方向以外に向かう光の量、即ち、損失が少ない。さらに、この光学部品は、粗面加工を不要とすることができる。
【0011】
本発明の光学部品では、第4の面が前記出射平面に対して成す角度が、85度以下であることが好ましい。媒体は、空気の層であってもよい。第1のプリズムアレイの屈折率が、第2のプリズムアレイの屈折率より低いことが好ましい。
【0012】
また、本発明の照明装置は、上述の本発明の光学部品を備える。また、本発明の表示装置は、上述の本発明の光学部品を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光の出射方向を制御する光学部品であって、光利用効率が高く、且つ、容易に加工可能な光学部品が提供される。また、本発明によれば、このような光学部品を用いた照明装置、及び表示装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0015】
図2は、一実施形態に係る光学部品を概略的に示す図である。図2は、光学部品10におけるプリズム要素の配列方向(x方向)と入射平面から出射平面に向かう方向(z方向)とに交差する方向(y方向)に見た光学部品10を概略的に示している。
【0016】
図2に示す光学部品10は、第1のプリズムアレイ12及び第2のプリズムアレイ14を備えている。第1のプリズムアレイ12は、第2のプリズムアレイ14に対して光源側に配置される部品である。この光学部品10では、第1のプリズムアレイ12に入射した光が第2のプリズムアレイ14から出射される。
【0017】
第1のプリズムアレイ12は、入射平面12a、複数の第1の面12b、及び、複数の第2の面12cを有している。入射平面12aは、光源からの光が入射する面であり、実質的に平面を成している。
【0018】
第1の面12bと第2の面12cは、交互に設けられている。隣り合う第1の面12b及び第2の面12cは、入射平面12aに交差する二つの面であって、互いに交差する二つの面に沿って、それぞれ延びている。第1の面12bが入射平面12aに対して成す角度αは、第2の面12cが入射平面12aに対して成す角度βより小さい。このような面構成を有す第1のプリズムアレイ12では、入射平面12aと、隣り合う第1の面12bと第2の面12cとが、プリズム要素を構成している。第1のプリズムアレイ12では、このように構成されたプリズム要素が、一方向(x方向)に配列されている。このように、第1のプリズムアレイ12は、複数のプリズム要素を有しており、その配列方向における周期は、数百μm程度のものとすることができる。
【0019】
第2のプリズムアレイ14は、出射平面14a、複数の第3の面14b、及び、複数の第4の面14cを有している。出射平面14aは、この光学部品10に入射した光が外部へと出射する面であり、実質的に平面を成している。
【0020】
第3の面14bと第4の面14cも、交互に設けられている。隣り合う第3の面14b及び第4の面14cは、出射平面14aに交差する二つの面であって、互いに交差する二つの面に沿って、それぞれ延びている。第3の面14bが出射平面14aに対して成す角度αは、第4の面14cが出射平面14aに対して成す角度βより小さい。このような面構成を有す第2のプリズムアレイ14では、出射平面14aと、隣り合う第3の面14bと第4の面14cとが、プリズム要素を構成している。第2のプリズムアレイ14では、このように構成されたプリズム要素が、一方向(x方向)に配列されている。このように、第2のプリズムアレイ14は、複数のプリズム要素を有しており、その配列方向における周期は、数百μm程度のものとすることができる。
【0021】
第1のプリズムアレイ12と第2のプリズムアレイ14は、第1の面12bと第3の面14bとが対面し、第2の面12cと第4の面14cとが対面するように、互いに離間して設けられている。本実施形態では、第1のプリズムアレイ12の入射平面12aから第1の面12bと第2の面12cとが交差する辺までの距離tと、第2のプリズムアレイ14の出射平面14aから第3の面14bと第4の面14cとが交差する辺までの距離tとの和より、入射平面12aと出射平面14aとの間の距離tが小さくなるように、第1のプリズムアレイ12と第2のプリズムアレイ14とが設けられている。
【0022】
このように設けられた第1のプリズムアレイ12と第2のプリズムアレイ14との間には媒体16が提供されている。媒体16としては、空気層や接着層を用いることができる。第1のプリズムアレイ12の屈折率n及び第2のプリズムアレイ14の屈折率nは、この媒体16の屈折率nより大きい。
【0023】
光学部品10では、第1のプリズムアレイ12と第2のプリズムアレイ14とが同じものであると、入射する光線の殆どが、入射角と等しい角度で出射してしまう。したがって、α≠α、β≠β、n≠nの何れかが成り立つ必要がある。
【0024】
以下、このような光学部品10に入射する光の軌跡について、説明する。図3は、一実施形態に係る光学部品に入射する光の軌跡を示す図である。図3は、入射平面12aに入射して第1の面12bに至る光の軌跡を示している。図3においては、(a)に、入射角0°で入射平面12aに入射する光Lの軌跡が示されおり、(b)に、プリズム要素の配列方向(x方向)の一方側から他方側に傾斜して小さい入射角で(図中上側から浅い角度で)入射平面12aに入射する光Lの軌跡が示されており、(c)に、プリズム要素の配列方向の一方側から他方側に傾斜して大きい入射角で(図中上側から深い角度で)入射平面12aに入射する光Lの軌跡が示されており、(d)に、プリズム要素の配列方向の他方側から一方側に傾斜して小さい入射角で(図中下側から浅い角度で)入射平面12aに入射する光Lの軌跡が示されており、(e)に、プリズム要素の配列方向の他方側から一方側に傾斜して大きい入射角で(図中下側から深い角度で)入射平面12aに入射する光Lの軌跡が示されている。ここでプリズム要素の配列方向の一方側とは、第1のプリズムアレイ12の一つのプリズム要素において、第1の面12bに対して第2の面12cが位置する側である。また、プリズム要素の配列方向の他方側とは、第1のプリズムアレイ12の一つのプリズム要素において、第2の面12cに対して第1の面12bが位置する側である。
【0025】
図3の(a)、(b)、及び(c)に示すように、入射平面12aに入射角0°で入射する光L、及び、プリズム要素の配列方向(x方向)の一方側から他方側に傾斜して入射平面12aに入射する光Lは、同配列方向の一方側から他方側に傾斜して出射平面14aから出射される。
【0026】
また、図3の(d)に示すように、プリズム要素の配列方向の他方側から一方側に傾斜して小さい入射角で入射平面12aに入射する光Lは、プリズム要素の配列方向の他方側から一方側に傾斜して小さい出射角で出射平面14aから出射される。
【0027】
一方、図3の(e)に示すように、プリズム要素の配列方向の他方側から一方側に傾斜して大きい角度で入射平面12aに入射する光Lは、全反射により第2のプリズムアレイ14には到達せず、その大半は第1のプリズムアレイ12で全反射を繰り返しながら入射平面12aから抜け出す。したがって、この光学部品10は、光源から入射する光の出射方向を制御することが可能である。
【0028】
ここで、図3の(d)に示す光線Lが光学部品10の各面の法線となす角度を図4に示す。図4には、入射平面12aへの光線Lの入射角i、入射平面12aからの光線Lの出射角θ、第1の面12bへの光線Lの入射角θ、第1の面12bからの光線Lの出射角θ、第3の面14bへの光線Lの入射角θ、第3の面14bからの光線Lの出射角θ、出射平面14aへの光線Lの入射角θ、出射平面14aからの光線Lの出射角θが示されている。
【0029】
入射角iと出射角θ7との関係は、スネルの法則より以下の式の通りとなる。
sin(i)=n×sinθ (1)
θ=θ+α
×sin(θ)=n×sin(θ
θ=θ−α+α
×sin(θ)=n×sin(θ
θ=θ−α
×sin(θ)=sin(θ
【0030】
入射角iを、θが臨界角になるまで大きくしていくと、出射角θも大きくなる。よって、図3の(d)のような軌跡をもつ光線Lの出射角θが大きくなるケースは、第1の面12bへの光線の入射角θが臨界角となるような入射角iより、入射平面12aへの入射角iが僅かに小さいケースである。ここで入射角iについては、以下の関係式が成り立つ。
sin(i)=n1×sin(sin−1(n/n)−α))
【0031】
図5に、i=i−0.1°とした場合の、αとθの関係を、α、n、n、及び、nをパラメータとして示す。図5から明らかなように、パラメータを適宜選択することによって、出射角θを小さくすることができる。また、図5から明らかなように、n1<n2の関係が満たされる場合に、出射角θを小さくすることができる。さらに、図5から明らかなように、nを小さくすると出射角θを小さくすることができる。したがって、媒体16を空気層とすることが好ましい。
【0032】
次に、入射平面12aに入射して第2の面12c又は第4の面14cに至る光の軌跡について説明する。図6は、一実施形態に係る光学部品に入射する光の軌跡を示す図であり、入射平面12aに入射して第2の面12c又は第4の面14cに至る光の軌跡を示している。図6においては、(a)に、プリズム要素の配列方向(x方向)の他方側から一方側に傾斜して小さい入射角で(図中下側から浅い角度で)入射平面12aに入射する光Lの軌跡が示されており、(b)に、プリズム要素の配列方向の他方側から一方側に傾斜して大きい入射角で(図中下側から深い角度で)入射平面12aに入射する光Lの軌跡が示されており、(c)に、プリズム要素の配列方向の一方側から他方側に傾斜して小さい入射角(図中上側から浅い角度で)で入射平面12aに入射する光Lの軌跡が示されており、(d)及び(e)に、プリズム要素の配列方向の一方側から他方側に傾斜して大きい入射角で(図中上側から深い角度で)入射平面12aに入射する光Lの軌跡が示されている。
【0033】
図6の(a)及び(b)に示すように、プリズム要素の配列方向の他方側から一方側に傾斜して入射平面12aに入射する光Lは、その入射角によらず、第2の面12cによって全反射され、プリズム要素の配列方向の一方側から他方側へと傾斜する方向に出射平面14aから出射される。
【0034】
一方、図6の(c)に示すように、入射平面12aにプリズム要素の配列方向の一方側から他方側に傾斜して小さい入射角で入射する光Lは、第1の面12b及び媒体16を経て第4の面14cに至り、プリズム要素の配列方向の他方側から一方側に傾斜して大きい出射角で出射される。しかしながら、このような出射光の量は少ない。かかる軌跡を辿る光が少ないためである。
【0035】
また、図6の(d)及び(e)に示すように、入射平面12aにプリズム要素の配列方向の一方側から他方側に傾斜して大きい入射角で入射する光Lは、第1の面12b、媒体16、及び第3の面14bを経て、第4の面14cに至り、プリズム要素の配列方向の他方側から一方側に傾斜して小さい出射角で出射平面14aから出射される。なお、このような光の出射角は、図1の(e)の面Bを経て出射される光と比較すれば明らかなように、小さな角度となっている。これは、入射光線の角度が第1のプリズムアレイ12によって変えられて、当該光線が第2のプリズムアレイ14の第4の面14cに対し浅い角度で入射し、したがって、出射光の出射角が小さくなるからである。
【0036】
以上、図3及び図6を参照して光学部品10における光線の軌跡について説明したが、図3及び図6と、図1を比較すれば明らかなように、光学部品10は、損失となる光の量が少ない。即ち、光学部品10は、光の利用効率に優れている。また、第2の面12c及び第4の面14cを粗面に加工する必要もなく、光学部品10の加工は容易になし得る。
【0037】
ここで、図6の(d)及び(e)に示す光Lが、光学部品10の各面の法線となす角を図7に示す。図7には、入射平面12aへの光線Lの入射角j、入射平面12aからの光線Lの出射角γ、第1の面12bへの光線Lの入射角γ、第1の面12bからの光線Lの出射角γ、第3の面14bへの光線Lの入射角γ、第3の面14bからの光線Lの出射角γ、第4の面14cへの光線Lの入射角γ、出射平面14aへの光線Lの入射角γ、出射平面14aからの光線Lの出射角γが示されている。
【0038】
図7に示す光線Lの入射平面12aへの入射角jと同光線Lの出射平面14aからの出射角γとの関係は、スネルの法則より以下の式の通りとなる。
sin(j)=n1×sin(γ1)
γ=γ−α
×sin(γ)=n0×sin(γ
γ=γ+α−α
×sin(γ)=n×sin(γ
γ=180°−γ−α−β
γ=β−γ
×sin(γ)=sin(γ
【0039】
図8〜図10は、図7に示す光線Lの入射平面12aへの入射角jと出射平面14aからの出射角γとの関係を示すグラフである。図8は、α=15°の場合の関係を示しており、図9は、α=20°の場合の関係を示しており、図10は、α=25°の場合の関係を示している。また、図8〜図10は、α2、β2をパラメータとした場合の関係を示している。図8〜図10の関係は、n=1.4、n=1.6、n=1.0とした場合に求められたものである。
【0040】
図8〜図10を参照すれば明らかなように、入射角j、即ち、プリズム要素の一方側から他方側に傾斜して入射平面12aに入射する光Lの入射角が大きくなると、出射角γ、即ち、プリズム要素の他方側から一方側に傾斜して出射平面14aから出射する光Lの出射角も大きくなる。
【0041】
また、図8〜図10から明らかなように、出射角γに対しては、第4の面14cが出射平面14aと成す角度βが最も影響する。したがって、角度βは85°以下とすることが好ましい。
【0042】
図11は、本発明の実施例の光学部品に関する光の輝度の角度による分布を示す図である。図11において、円形のプロットは、入射平面12aへの入射光の入射角度と輝度の関係を示しており、四角形のプロットは出射平面14aからの出射光の出射角度と輝度の関係を示している。角度0°の方向とは、入射平面12a及び出射平面14aの法線方向である。マイナスの角度の光は、プリズム要素の配列方向における一方側から他方側に傾斜する方向に進む光である。
【0043】
図11に示す輝度の角度分布は、以下のパラメータの光学部品10によって得たものである。
プリズム要素の周期0.3mm、
α=17°
β=89°
α=16°、
β=76、
=0.25mm、
=0.25mm、
t=0.44mm
媒体16:空気層
第1のプリズムアレイの屈折率:1.4
第2のプリズムアレイの屈折率:1.6
【0044】
図11に示すように、入射光の輝度は、入射平面12aの法線に対して対称な角度分布を有していた。この入射光が光学部品10に入射し出射平面14aから出射されると、その出射光では、図11に示すように、プリズム要素の配列方向における他方側から一方側に傾斜する方向に進む成分が低減されていた。したがって、光学部品10は、光の出射方向を制御することが可能であることが確認された。
【0045】
以下、上述した光学部品を用いた表示装置について説明する。図12は、一実施形態に係る表示装置を概略的に示す図である。図12に示す表示装置20は、照明装置22と、液晶パネル24と、を備えている。照明装置22は、光学部品10、導光板26、光源28、及び、反射板30を有している。なお、照明装置22は、反射板30を有していなくてもよい。この表示装置20では、導光板26の端面に入射する光が、光学部品10に入射する。光学部品10に入射する光の一部が液晶パネル24の背面に入射して当該液晶パネル24の表面から出射される。この表示装置20は、光学部品10を備えているので、その視野角が制御されている。また、表示装置20は、光学部品10を備えているので、光の利用効率に優れている。
【0046】
図13は、別の実施形態に係る表示装置を概略的に示す図である。図13に示す表示装置20Aは、照明装置22A、及び、液晶パネル24を備えている。照明装置22Aは、光学部品10、光源28、及び、拡散板32を有している。表示装置20Aでは、光源28からの光が拡散板32によって拡散されて光学部品10に入射する。光学部品10に入射する光の一部が液晶パネル24の背面に入射して当該液晶パネル24の表面から出射される。表示装置20Aも、表示装置20と同様に、光学部品10を備えているので、その視野角が制御されている。また、表示装置20Aも、光の利用効率に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】複数のプリズム要素を配列した従来のパネルに入射する光の軌跡を示す図である。
【図2】一実施形態に係る光学部品を概略的に示す図である。
【図3】一実施形態に係る光学部品に入射する光の軌跡を示す図である。
【図4】図3の(d)に示す光線が一実施形態に係る光学部品の各面の法線となす角度を示す図である。
【図5】第2のプリズムアレイにおける第3の面と出射平面がなす角度α2と図4に示す光線の出射平面からの出射角との関係を示すグラフである。
【図6】一実施形態に係る光学部品に入射する光の軌跡を示す図である。
【図7】図6の(d)及び(e)に示す光線が一実施形態に係る光学部品の各面の法線となす角度を示す図である。
【図8】図7に示す光線の入射平面への入射角と出射平面から出射角との関係を示すグラフである。
【図9】図7に示す光線の入射平面への入射角と出射平面から出射角との関係を示すグラフである。
【図10】図7に示す光線の入射平面への入射角と出射平面から出射角との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例の光学部品に関する光の輝度の角度分布を示す図である。
【図12】一実施形態に係る表示装置を概略的に示す図である。
【図13】別の実施形態に係る表示装置を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10…光学部品、12…第1のプリズムアレイ、12a…入射平面、12b…第1の面、12c…第2の面、14…第2のプリズムアレイ、14a…出射平面、14a…出射平面
14b…第3の面、14c…第4の面、16…媒体、20,20A…表示装置、22,22A…照明装置、24…液晶パネル、26…導光板、28…光源、30…反射板、32…拡散板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射平面と、交互に設けられた複数の第1の面と複数の第2の面とを有する第1のプリズムアレイと、
出射平面と、交互に設けられた複数の第3の面と複数の第4の面とを有する第2のプリズムアレイと、
を備え、
前記複数の第1の面及び前記複数の第2の面のうち隣り合う第1の面と第2の面は、前記入射平面に対して傾斜し、且つ、互いに交差する面に沿って延びており、前記複数の第1の面が前記入射平面に対して成す傾斜角は、前記複数の第2の面が前記入射平面に対して成す傾斜角より小さく、該隣り合う第1の面と第2の面と、前記入射平面とがプリズム要素を構成しており、
前記複数の第3の面及び前記複数の第4の面のうち隣り合う第3の面と第4の面は、前記出射平面に対して傾斜し、且つ、互いに交差する面に沿って延びており、前記複数の第3の面が前記出射平面に対して成す傾斜角は、前記複数の第4の面が前記出射平面に対して成す傾斜角より小さく、該隣り合う第3の面と第4の面と、前記出射平面とがプリズム要素を構成しており、
前記第1のプリズムアレイと前記第2のプリズムアレイは、前記第1の面と前記第3の面が対面し、前記第2の面と前記第4の面が対面するように、離間して設けられており、
前記第1のプリズムアレイの屈折率及び前記第2のプリズムアレイの屈折率は、該第1のプリズムアレイと該第2のプリズムアレイとの間の媒体の屈折率より大きい、
光学部品。
【請求項2】
前記第4の面が前記出射平面に対して成す角度が、85度以下である、請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記媒体は、空気の層である、請求項2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記第1のプリズムアレイの屈折率が、前記第2のプリズムアレイの屈折率より低い、請求項3に記載の光学部品。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の光学部品を備える照明装置。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか一項に記載の光学部品を備える表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−15100(P2010−15100A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177103(P2008−177103)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【Fターム(参考)】