説明

光学部材及びバックライトユニット並びにディスプレイ装置

【課題】バックライト点灯時に液晶パネルを通して目視可能な欠陥を、光学部材単独で明確に目視でき、画像品位に影響を及ぼす欠陥が発生してしまった場合にも、後工程に欠陥が流出することを回避できる光学部材、バックライトユニット及びディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】光学部材において、光拡散シート9の光出射面と光学シート10の光入射面とを粘着層16を介して接合する。粘着層16は、光拡散シート9の光入射面に光を照射した場合に、光学シート10の光出射面において0.05mmの欠陥が明確に目視することが可能である性能を有し、かつ貯蔵剪断弾性率と損失剪断弾性率の比である損失係数tanδの最大値が−20℃以上−10℃以下の範囲で1.2以上1.7以下の値で存在し、さらに常温での損失係数が0.2以上1.7未満であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光路制御に用いられる光学部材及びそれを用いたバックライトユニット並びにディスプレイ装置に関し、特に液晶表示素子を用いたディスプレイ用直下型バックライトユニット並びにディスプレイ装置の照明光路制御に使用される光学部材の材料の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルを使用した液晶表示装置(LCD)はOA分野のノート型パーソナルコンピュータやパーソナルコンピュータ用ディスプレイ,情報端末機器等の画像表示手段,また大型画面テレビなどの情報家電の画像表示手段,さらには携帯電話や個人用携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistance)の画像表示手段として様々な分野で利用されてきている。
【0003】
液晶表示装置(LCD)に代表されるディスプレイでは、提供される情報を認識するのに必要な光源を内蔵しているタイプの普及が著しい。このような液晶表示装置は透過型であり、液晶パネルの背面側に光源を配設し、この光源からの光を面発光に変換して液晶パネルを照射する面光源装置、いわゆる、バックライトが採用されている。
バックライトの方式には、大別して冷陰極管(CCFT:Cold Cathode Fluorescent Tube)等の光源を光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板の側端部に沿って取付け、光源からの光を導光板内で多重反射させる導光板ライトガイド方式(エッジライト方式)と、導光板を用いず液晶パネルの背面に光源を配置した直下型方式とがある。
【0004】
最近では、ノート型パーソナルコンピュータや携帯情報端末などに用いられる20インチ以下の画面サイズの小型液晶表示装置には、低消費電力化が図れ、薄型化の容易なエッジライト方式の採用が主流となり、20インチ以上の画面サイズの中〜大型液晶表示装置では直下型方式の採用が主流となっている。ラップトップコンピュータのような電池式装置において、光源で消費する電力は、電池式装置全体で消費する電力の相当部分を占める。
従って、所定の輝度を提供するのに必要な総電力を低減することで電池寿命が増大するが、これは電池式装置には特に望ましいことである。
20インチ以上の液晶表示装置に対しては、より薄型で、視野角依存性が低く、高輝度、かつ低消費電力であることが求められており、液晶表示装置に搭載されるバックライトもその実現に対処することが要求されている。
【0005】
複数本の冷陰極管を並列させた直下型方式のバックライトでは、光源としてのCCFTやLED(Light Emitting Diode)などが、出射光を拡散させる拡散板を通して、その発光した光源の形状が直接視認できてしまうため、拡散板は非常に光散乱性の強い樹脂板が用いられている。この拡散板は、強い拡散性を持たせるために通常1mm〜3mm程度の厚さが必要であり、その厚さのために光吸収が少なからずあり、光源からの光量が減少し液晶画面表示が暗くなる問題がある。
この問題を解決するために、光路制御機能を有する光学シートと光拡散板とが二層構造の粘着層を介して一体化することで、CCFTのランプイメージを不明瞭にし、且つ水平方向に広い角度で高い正面輝度を提供する光学部材が開発されている(特許文献1〜3参照)。
【0006】
上述する一体型の光学部材は、図1及び図2に示すように、光入射側に位置する光拡散板29と、光出射側に位置する光学シート30を有し、この光拡散板29と光学シート30は複合接着層31により一体に接合されている。
光学シート30は、シート状または薄板状の透明な基材22と、この基材22の一方の面に並列に配設された半円柱状レンズ21と、基材22の反レンズ面に並列にしてストライブ状に形成された、光反射性を有する高屈折率層24及び低屈折率層25を備える。このうち、低屈折率層25は基材22の他方の面で半円柱状レンズ21の集光領域に設けられ、高屈折率層24は基材22の他方の面で半円柱状レンズ21の非集光領域に設けられる。また、複合接着層31は第1接着もしくは粘着層26と第2接着もしくは粘着層8及び透明フィルム27から構成される。
【0007】
ディスプレイ使用時(観察時)、前記光学部材は、図2に示すように、光源32から発せられた光33を光拡散板29で均一化することで光源のランプイメージを不明瞭にし、半円柱状レンズ21によって正面方向に集光される向きに進んだ光34のみが低屈折率層25を通って正面輝度に寄与する。
また、光33は半円柱状レンズ21を通過する際に広がり、無駄になる方向に拡散された光35は、低屈折率層25と並列して設けられた光反射性を有する高屈折率層24によって光源側に戻され、ランプハウス内の反射板によって再び光出射面に向かって進む。
このような光の反射の繰り返しにより、光源32から発せられた光33は無駄になることなく正面輝度に関与するため、高い正面輝度を実現する。
また、レンズ形状や光反射性を有する高屈折率層24と低屈折率層25の配置バランスを制御することで、水平方向に広い範囲で緩やかな輝度分布変化を維持することが可能であり、より自然な見え方のディスプレイを実現できる。
更に、液晶ディスプレイの輝度向上のために従来一般的に用いられているような拡散シートや輝度向上シートの多重使用を必要としないため、ディスプレイの組み立て時の作業性及び利便性を向上できる。
【特許文献1】WOに006/080530
【特許文献2】特開2007−213035
【特許文献3】特開2007−225853
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年盛んに開発が行われている大型・薄型ディスプレイに用いる輝度向上部材として、光路制御機能を有する光学シートと光拡散板とが一体化した光学部材は、光学特性およびハンドリング性の観点から有利である。
しかしながら、前記光学シートが光反射層と空気層が並列する構造をとることや接着層もしくは粘着層を介して一体化していることから、反射層の微小な欠落による意図しない方向への光の漏れ(輝点欠陥)や異物の混入による光出射の阻害(暗点欠陥)等が生じる可能性がある。
【0009】
前記欠陥のサイズが小さい場合、出荷検査時に見落とす危険性があり、特に暗点欠陥は、ディスプレイとして使用する際に液晶パネルを通して正面から目視可能である場合が多く、欠陥流出は最終製品(ディスプレイ装置)にまで致命的な影響を与える。
また、ディスプレイ装置の薄型化に伴い、液晶パネルとバックライトユニットの距離が近づく傾向があることからも、パネル越しに目視可能となる欠陥サイズ下限も下がることが予想され、仮に欠陥が生じた場合には後工程への流出を防ぐことが必須となる。
【0010】
本発明は上記のような事情に鑑みなされたもので、バックライト点灯時に液晶パネルを通して目視可能な欠陥を、光学部材単独で明確に目視することができ、画像品位に影響を及ぼす欠陥が発生してしまった場合にも、後工程への流出を回避することが可能な光路制御機能を有する光学部材及びそれを用いたバックライトユニット並びにディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の目的を達成するためになされたもので、請求項1の発明は、入射した光を出射する際に方向、範囲、輝度分布の少なくとも何れかを制御する光路制御機能を備えた光学部材であって、光拡散シートと、前記光路制御機能を有する光学シートと、前記光拡散シートの光出射面と前記光学シートの光入射面とを接合する粘着層を備え、前記粘着層は、前記接合された前記光拡散シートの光入射面に光を照射した場合に、前記接合された前記光学シートの光出射面において0.05mmの欠陥が明確に目視することが可能である性能を有し、かつ貯蔵剪断弾性率と損失剪断弾性率の比である損失係数tanδの最大値が−20℃以上−10℃以下の範囲で1.2以上1.7以下の値で存在し、さらに常温での損失係数が0.2以上1.7未満であることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の光学部材において、前記粘着層の厚みは10μm以上30μm未満であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載の光学部材において、前記粘着層は、−40℃以上90℃以下の範囲で密着性を保持することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に光学部材において、前記粘着層は、光拡散性を有しないクリアタイプの粘着剤からなることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学部材において、前記粘着層は、光拡散性を有する粘着剤からなることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光学部材において、前記粘着層は、前記接合された前記光拡散シートの光出射面と前記光学シートの光入射面の中央部が加温時に前記光学シートの光出射面側に凸状に反り挙動をしないように構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1記載の光学部材において、前記光学シートは、シート状または薄板状の透明な基材と、前記基材の一方の面に設けられた半円柱状凸レンズ群もしくは凸シリンドリカルレンズ群からなるレンズ部を有するレンズシートと、前記基材の他方の面に設けられた光反射性を有する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記低屈折率層は前記他方の面で前記レンズ部の集光領域に設けられ、前記高屈折率層は前記他方の面で前記レンズ部の非集光領域に設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、ディスプレイ用バックライトユニットであって、光源と、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の光学部材を少なくとも備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、ディスプレイ装置であって、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、前記画像表示素子の背面に、請求項7記載のバックライトユニットを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光学部材及びそれを用いたバックライトユニット並びにディスプレイ装置においては、光拡散シートの光出射面と光学シートの光入射面とを接合する粘着層に、接合された光拡散シートの光入射面に光を照射した場合に、接合された光学シートの光出射面において0.05mmの欠陥が明確に目視することが可能な性能を有し、かつ貯蔵剪断弾性率と損失剪断弾性率の比である損失係数tanδの最大値が−20℃以上−10℃以下の範囲で1.2以上1.7以下の値で存在し、さらに常温での損失係数が0.2以上1.7未満である粘着剤を用いたことにより、一体型輝度向上シートの光学特性、ハンドリング性の利点を保持しつつ、ディスプレイ装置の画像品位に影響を及ぼす欠陥が生じてしまった場合に、後工程への流出を避けることができる。
また、本発明においては、粘着層に透明支持体を用いないので、加温時の反り量が透明支持体を介した二層粘着構造を有する一体型の輝度向上シートよりも小さくなり、光学シートに浮きなどが生じることがなくなり、薄型ディスプレイへの使用に適する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
図3は本実施の形態による光学部材の一例を示す概略断面図、図4は本発明にかかる光学部材を用いたバックライトユニットの構成を示す概略断面図、図5は本発明にかかるバックライトユニットを用いたディスプレイ装置の構成を示す概略断面図である。なお、この各図において、各部位の縮尺は実際とは一致しない。
【0019】
本実施の形態に示す光学部材は、図3に示すように、光拡散シート9と、光路制御機能を有する光学シート10を備える。この光拡散シート9の光出射面と光学シート10の光入射面は粘着層16により接合されている。
粘着層16は、接合された光拡散シート9の光入射面に光を照射した場合に、接合された光学シート10の光出射面において0.05mmの欠陥が明確に目視することが可能である性能を有し、かつ貯蔵剪断弾性率と損失剪断弾性率の比である損失係数tanδの最大値が−20℃以上−10℃以下の範囲で1.2以上1.7以下の値で存在し、さらに常温での損失係数が0.2以上1.7未満である。また、この粘着層16は、一層の粘着剤からなり、その厚みは10μm以上30μm未満である。
【0020】
これは、損失係数tanδが前記範囲を上回ると、柔らかさが足りずに密着性不足になり、前記範囲を下回ると、硬さが足りずに空気層(後述する低屈折率層に相当する)が埋まってしまい輝点欠陥が生じる可能性がある点で不利である。また、粘着層16の厚みに関しては、これが10μm未満であると、光拡散シート9と光学シート10との間に異物を噛み込んだ際に、異物による暗点欠陥だけでなく、光学シートが盛り上がることよる輝点欠陥が生じてしまう点と、光学シート10と光拡散シート9との一体化保持力が不十分である点の2点で不利となる。また、厚みが30μm以上であると、本発明にかかる光学部材を単独で扱う際に、明確に目視できる欠陥サイズの下限が大きくなり、ディスプレイ稼動時に液晶パネルを通して目視可能になってしまう欠陥が後工程に流出してしまう危険性を有する点で不利となるからである。
【0021】
一方、損失係数が前記範囲内にあることで実用温度範囲内において密着性と空気層保持のバランスが充たされ、厚みが10μm以上30μm未満であることで、ディスプレイ稼動時に液晶パネルを通して目視可能なサイズの欠陥が全て明確に目視可能であり、仮に画像品位に影響を及ぼすような欠陥が生じてしまった場合でも、後工程への流出を回避することが可能である点と、一体化の保持力が十分である点で有利である。
【0022】
また、粘着層16が、従来のように透明支持体を介して複数の粘着層から構成されるものであると、粘着層間の界面での光のロスや欠陥の埋没により、明確に目視可能である欠陥サイズの下限が大きくなる点と、異なる素材の積層となるため、線膨張係数の相違から加熱時の反り量が増加する傾向にあり、薄型ディスプレイへの使用には不向きとなる点の2点で不利になるため、粘着層16は透明支持体を用いない構成であることが望ましい。
【0023】
粘着層16には、ディスプレイ装置の内部に組み込んで使用する際の環境耐性を考慮し、想定されるディスプレイ装置の使用温度範囲を内包する−40℃以上90℃以下で密着性を保持する粘着剤を選定した。
また、粘着層16には、光拡散性を有しないクリアタイプの粘着剤でも良いし、フィラー等を含有した光拡散タイプの粘着剤でも良い。
【0024】
本実施の形態に示す光路制御機能を有する光学シート10は、図3に示すように、ポリカーボネート(PC)、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなるシート状または薄板状の透明な基材2を備え、この基材2の一方の面には、熱可塑性もしくはUV硬化樹脂で成形させた半円柱状凸レンズ群もしくは凸シリンドリカルレンズ群からなるレンズ部1aを有するレンズシート1が設けられている。
レンズシート1と反対の基材2の他方の面には感材3が貼合わされ、この感材3のレンズシート1と反対の面には、光反射性を有する高屈折率層4と低屈折率層5がレンズ部1aに対向してストライブ状に配列されている。この高屈折率層4と低屈折率層5は、レンズ部1a側からUVを照射して感材3が硬化部分と未硬化部分に分かれることを利用した転写法で形成されるものであり、低屈折率層5は基材2の他方の面でレンズ部1aの集光領域に設けられ、高屈折率層4は基材2の他方の面でレンズ部1aの非集光領域に設けられている。
低屈折率層5は空間からなり、この空間に空気が充填されることで、最も効率的に正面輝度を向上させることが可能になる。また、レンズ部1aの形状は半円柱状に限定されるものではない。
【0025】
本実施の形態における光学部材構成用の光拡散性及び自立性を有するシート、すなわち光拡散シート9は、PC、シクロオレフィンポリマー、アクリル、ポリスチレン(PS)、もしくはこれらの材料を任意の比率で配合した共重合体を材料とする光拡散板や光微拡散板、透明板が挙げられる。
また、加熱時に光学部材がその光出射側(液晶パネル側)に凸となる反りを生じない組み合わせであれば、光学シート10及び光拡散シート9の素材の組み合わせは限定されるものではない。
これは、加熱時に光学部材がパネル側に凸となる反り挙動を示すと液晶パネルを圧迫し、画像品位の低下や液晶パネルの破損を招く危険性があるためである。
【0026】
次に、バックライトユニットの構成について図4を参照して説明する。
図4に示すバックライトユニットは、光学部材100と、この光学部材100の光入射側に配置された直下型の光源110を備える。
光学部材100は、図3に示す光学部材と同様に構成されるもので、図3の光学部材と同一の構成要素には同一符号を付してその構成を省略する。
光源110は、光学部材100の光拡散シート9の光入射面側に、該光入射面に沿って等間隔に配列された冷陰極線管などからなる複数のランプ17と、このランプ17からの光を光学部材100の光拡散シート9へ反射させるランプハウス18を備えている。
【0027】
上記のように構成されたバックライトユニットにおいて、ランプ17から発せられた光は光拡散シート9で均一化されることでランプイメージを不明瞭にする。そして、レンズ部1aによって正面方向に集光される向きに進んだ光のみが低屈折率層5を通って正面輝度に寄与する。
また、ランプ17から発せられた光は、光学シート10のレンズ部1aを通過する際に広がり、無駄になる方向に拡散された光は、低屈折率層5と並列して設けられた光反射性を有する高屈折率層4によって光源側に戻され、ランプハウス18内の反射面によって再び光拡散シート9の光出射面に向かって進む。
このような光の反射の繰り返しにより、ランプ17から発せられた光は無駄になることなく正面輝度に関与するため、高い正面輝度を実現できる。
このようなバックライトユニットにおいては、図3に示す実施の形態と同様な粘着層16を備えているので、図3に示す場合と同様な効果を発揮できる。
【0028】
次に、の構成について図5を参照して説明する。
図5に示すディスプレイ装置は、光学部材100、この光学部材100の光入射側に配置された直下型の光源110からなるバックライトユニット120と、光学部材100の光る出射面に対向して配置された液晶パネル19(特許請求の範囲に記載した画像表示素子に相当する)を備える。
このようなディスプレイ装置においては、図3に示す実施の形態と同様な粘着層16を備えているので、図3に示す場合と同様な効果を発揮できる。
【0029】
次に本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本発明の効果を示すため、図3に示す構成からなる光学部材及び図5に示す構成からなるディスプレイ装置を作成し、光学部材単独での目視可能欠陥の下限サイズ及びディスプレイ装置の液晶パネルを通した欠陥確認の可否を比較した。
ここでの比較とは、本発明にかかる光学部材の代表的な構成として、光硬化性樹脂を用いてレンズ成形を行った光学シート10とPSからなる光拡散性シート9とを粘着層16を介して一体化した構成を採用した際の粘着層の層数、厚み、光拡散性の有無による欠陥サイズに対する検査適性比較を指す。
この場合、欠陥の種類を問わず、バックライト点灯時に液晶パネル19を通して目視可能な欠陥を、光学部材単独で的確に篩い分けられる場合のパネル判定を丸印で表し、光学部材単独で欠陥なしと判定されたサンプルにおいて、液晶パネルを通して欠陥が確認された場合のパネル判定を×印で表した。この時の判定結果を図6に示す。
また、本実施例において、光学部材及びディスプレイ装置は37inchサイズのものを用いた。
【0030】
図5に示したように、損失係数の最大値が−20℃以上−10℃以下の範囲で1.2以上1.7以下の値で存在し、且つ常温での損失係数が0.2以上1.7未満である粘着剤からなる粘着層16は透明支持体を用いない構成であり、その厚みが10μm以上30μm未満の場合のみ、バックライト点灯時に液晶パネル19を通して目視可能となる欠陥を、光学部材単独で的確に篩い分けることが可能になる。すなわち、画像品位に影響を及ぼす欠陥が仮に発生したとしても後工程への流出を回避することが可能であることと、光学シート19と光拡散性シート9との一体化に必要な保持力を十分に有していることが示された。
【0031】
なお、粘着層16は、従来のような透明支持体を用いない構成であり、その厚みが10μm未満のサンプルでは、一体化保持力の低下だけでなく、光学シート10と光拡散性シート9との間に異物を噛み込んだ際に、異物周辺の光学シートに浮きが生じ、欠陥サイズが拡大されることでディスプレイ装置への使用に堪えなくなる場合がある。このため、粘着層16の厚みを10μm未満にすることは望ましくないことも確認された。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来の輝度向上を可能にした一体型光学部材の構造を説明するための概略断面図である。
【図2】従来の一体型光学部材の光路を説明するための概略断面図である。
【図3】本実施の形態による光学部材の一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明にかかる光学部材を用いたバックライトユニットの構成を示す概略断面図である。
【図5】本発明にかかるバックライトユニットを用いたディスプレイ装置の構成を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施例における試験結果を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1……レンズシート、1a……レンズ部、2……基材、3……感材、4……高屈折率層、5……低屈折率層、9……光拡散シート、10……光学シート、16……粘着層、17……ランプ、18……ランプハウス、19……液晶パネル、100……光学部材、110……光源、120……バックライトユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を出射する際に方向、範囲、輝度分布の少なくとも何れかを制御する光路制御機能を備えた光学部材であって、
光拡散シートと、
前記光路制御機能を有する光学シートと、
前記光拡散シートの光出射面と前記光学シートの光入射面とを接合する粘着層を備え、
前記粘着層は、前記接合された前記光拡散シートの光入射面に光を照射した場合に、前記接合された前記光学シートの光出射面において0.05mmの欠陥が明確に目視することが可能である性能を有し、かつ貯蔵剪断弾性率と損失剪断弾性率の比である損失係数tanδの最大値が−20℃以上−10℃以下の範囲で1.2以上1.7以下の値で存在し、さらに常温での損失係数が0.2以上1.7未満である、
ことを特徴とする光学部材。
【請求項2】
前記粘着層の厚みは10μm以上30μm未満であることを特徴とする請求項1記載の光学部材。
【請求項3】
前記粘着層は、−40℃以上90℃以下の範囲で密着性を保持することを特徴とする請求項1記載の光学部材。
【請求項4】
前記粘着層は、光拡散性を有しないクリアタイプの粘着剤からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学部材。
【請求項5】
前記粘着層は、光拡散性を有する粘着剤からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学部材。
【請求項6】
前記粘着層は、前記接合された前記光拡散シートの光出射面と前記光学シートの光入射面の中央部が加温時に前記光学シートの光出射面側に凸状に反り挙動をしないように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光学部材。
【請求項7】
前記光学シートは、シート状または薄板状の透明な基材と、前記基材の一方の面に設けられた半円柱状凸レンズ群もしくは凸シリンドリカルレンズ群からなるレンズ部を有するレンズシートと、前記基材の他方の面に設けられた光反射性を有する高屈折率層及び低屈折率層を備え、前記低屈折率層は前記他方の面で前記レンズ部の集光領域に設けられ、前記高屈折率層は前記他方の面で前記レンズ部の非集光領域に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光学部材。
【請求項8】
光源と、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の光学部材を少なくとも備える、
ことを特徴とするディスプレイ用バックライトユニット。
【請求項9】
画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、
前記画像表示素子の背面に、請求項7記載のバックライトユニットを備える、
ことを特徴とするディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−180970(P2009−180970A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20365(P2008−20365)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】