説明

光安定性ポリウレタン−尿素エラストマーおよびその製法

【課題】少なくとも130℃のオンセット軟化点を有する光学的に明澄な光安定性ポリウレタン-尿素エラストマーの製法を提供する。
【解決手段】液体ポリイソシアネート又はそのプレポリマーA)と、イソシアネート反応性成分B)とを、有機金属触媒C)の存在下に反応させることを含んでなり、これら成分は型内に、イソシアネート指数95〜120でキャストし、成分A)は、特定の(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)と、少なくとも2つのOH基を有する特定の有機化合物A)(2)との反応生成物を含んでおり、成分B)は、少なくとも2つの芳香族アミン基を含み、特定の分子量を有する有機化合物B)(1)、および少なくとも2つOH基を有する特定の有機化合物B)(2)を含んでなる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも130℃のオンセット軟化点を有する、光学的に明澄な光安定性ポリウレタン-尿素エラストマーおよびその製法に関する。本発明の方法は、NCO基含有率約5〜50%、平均官能価2〜3および25℃での粘度5,000 mPas未満を有する液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)と、芳香族アミン基含有化合物B)(1)およびヒドロキシル基含有化合物B)(2)を含んでなるイソシアネート反応性成分B)とを、有機金属触媒C)の存在下に反応させることを含み、これら成分は型内に、イソシアネート指数95〜120でキャストすること含んでなる。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の光安定性キャストエラストマーおよびその製法が知られており、文献に開示されている〔例えば、US 特許3,755,262、3,866,242、4,153,777、4,404,353および4,808,690およびドイツ公開明細書2,109,901、参照〕。
【0003】
透明で高衝撃性のポリウレタン生成物は、US 特許3,755,262に開示される。この生成物は、エラストマー特性または非エラストマー特性を有することができる。このような光学ポリウレタンを製造するための好適な液体ポリウレタン反応混合物は、ワンショット法またはプレポリマー法によって処理される。好適な混合物は、非芳香族系ポリイソシアネートと、平均して1分子当たり2つ以上のヒドロキシル基を有する分子量約800までの反応性水素含有ポリオールとを含んでなる。好適なイソシアネートには、(シクロ)脂肪族ポリイソシアネート、例えば4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(rMDI)が包含される。アミン基含有化合物は、上記文献には開示されていない。
【0004】
US 特許3,866,242は、クリップボード、フロントガラス、フェイスシールドなどの輪郭に沿って成形される、ポリウレタン製の保護シールドを開示する。このようなポリウレタンは、透明であって優れた光学的明澄性を有すると記載されている。好適なポリウレタンは、ポリエステルグリコールまたはポリエーテルグリコールを、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)と反応させてプレポリマーを形成し、次いでこのプレポリマーをメチレンビス(2-クロロアニリン)と反応させることによって、製造される。好適な硬化剤は、一級アミン基のみを有し、好ましくは2つの芳香族環の間にメチレン橋を有するものとして広く記載されている。この特許文献は、アミン基およびヒドロキシル基の両方の基が存在するような硬化剤混合物を、開示していない。
【0005】
US 特許4,153,777は、物理的特性を改善したポリウレタンを開示する。この特許文献は、特に、非多孔質のポリウレタンを開示し、これは、良好な光学的透明性、耐候性、耐紫外線性および耐熱性を示す。このポリウレタンは、イソシアネート末端プレポリマーを含んでおり、このプレポリマーは、イソシアネートをまず水と反応させ、次いでポリオールと反応させてプレポリマーを得ることによって形成している。このようなプレポリマーは、次いでポリオールによって連鎖延長または架橋させて、粗ポリウレタンを形成する。好適なイソシアネートには、(シクロ)脂肪族イソシアネート、例えば4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(rMDI)が包含される。プレポリマーと反応する好適な連鎖延長剤には、例えば、1,4-ブタンジオールおよびトリメチロールプロパンのような化合物が包含される。アミン基含有化合物は、上記特許文献には開示されていない。
【0006】
US 特許4,404,353には、印刷ベルト用ウレタンエラストマーおよびその製法が開示されている。このエラストマーは、ジアミン硬化剤(即ち、トリメチレングリコールジ-p-アミノベンゾエート、POLACURE 740M)と反応性を示すプレポリマーを含んでなる。この特許文献に開示のプレポリマーは、芳香族イソシアネート(即ち、トルエンジイソシアネート(TDI))を、二官能性一級ヒドロキシル基含有ポリエーテル(例えば、PTMEG)と反応させて形成する。次いで、プレポリマーをジアミン硬化剤と反応させてウレタンエラストマーを形成する。US 特許4,404,353には、ヒドロキシル基含有化合物を硬化剤の一部としてイソシアネートプレポリマーと反応させることが好適であるとの開示は、存在しない。この特許文献の方法によって形成したエラストマーは、光安定性を示さず、また、キャストするにはかなり高い温度(例えば、>170°F)が必要である。
【0007】
US 特許4,808,690には、高度に架橋された、高熱変形温度透明ポリウレタンが開示されている。このポリウレタンは、ポリオール硬化剤成分を用いて、ポリイソシアネートおよび少なくとも1つの多官能性ヒドロキシル基含有中間体から製造したプレポリマーを含んでなる。好適な多官能性ヒドロキシル基含有中間体には、多価アルコール、ポリエステルポリオールおよびそれらの混合物が包含される。好適なポリイソシアネートには、(シクロ)脂肪族ポリイソシアネート並びに芳香族およびアルキル芳香族ポリイソシアネートが包含される。ポリオール硬化剤成分は、ポリエステルまたは多価アルコールであってよく、また一般に低い当量を有する。アミン基含有硬化剤は、US 特許4,808,690には開示されていない。
【0008】
ドイツ公開明細書2,109,901は、耐加水分解性ポリウレタンを開示する。このポリウレタンは、芳香族イソシアネートプレポリマーを、ポリオールおよび連鎖延長剤(例えば、ポリアミンおよびアミノアルコール)、および脂環式または脂肪族ジイソシアネートと反応させて製造される。この特許文献に開示のプレポリマーの例は、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)および4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(rMDI)と反応される、トルエンジイソシアネート(TDI)およびポリカプロラクトンをベースとするプレポリマーである。しかしながら、脂肪族イソシアネートプレポリマーについては、開示が存在しない。
【0009】
US 特許5,668,239、5,710,230および5,739,253には、(シクロ)脂肪族イソシアネートのプレポリマーをベースとするRIMエラストマーが開示されている。US 特許5,668,239は、OH:NH当量比が1:1〜15:1であるようなイソシアネート反応性の成分を必要とするが、イソシアネート反応性の成分の一部として芳香族アミンを好ましくは含んでいないことを明確に開示している。US 特許5,710,230に開示のイソシアネートプレポリマーは、比較的高分子量の成分および連鎖延長剤を含んでなるイソシアネート成分と反応させている。アミン基含有化合物を開示しているが、芳香族アミンは、やや好ましくないものであると、記載する。US 特許5,739,253では、高分子量ポリエーテルおよび低分子量連鎖延長剤を含んでなるイソシアネート反応性ブレンド(ヒドロキシル基対アミン基の当量比=1:2〜20:1)を必要とする。またこの特許文献は、芳香族アミン基含有化合物はやや好ましくないものであると、開示している。この生成物は、射出反応成型(RIM)によって処理するため、反応混合物を密閉金型内に射出する。
【0010】
他の光安定性エラストマーは、例えば、US 特許5,510,445、5,646,230、5,714,562および6,174,984に開示されている。これらのエラストマーは、US 特許5,714,562および6,174,984に開示のようなポリウレタン、US 特許5,646,230に開示のようなポリウレタン/尿素またはUS 特許5,510,445に開示のようなポリ尿素であってよい。
【0011】
US 特許5,646,230には、イソシアネート末端プレポリマーおよびこのプレポリマーからのポリウレタン/尿素エラストマーの製法が開示されている。このプレポリマーは、NCO含有率3〜10%を有し、また、a)芳香族ジイソシアネートと、b)水酸基価25〜125および1.8〜2.5のOH基を有するポリエーテルと、c)脂肪族ジイソシアネートとの反応生成物を含んでなる。ポリウレタン/尿素エラストマーは、イソシアネート末端プレポリマーを、立体障害芳香族アミン基含有化合物(例えば、DETDAまたはETHACURE 300)と反応させて製造する。ヒドロキシル基含有化合物は、イソシアネート末端プレポリマー用連鎖延長剤として開示されていない。反応生成物は、光安定性を示さない。
【0012】
US 特許5,714,562の光安定性エラストマーは、良好な動的性質を有すると記載されている。このエラストマーは、a)NCO含有率約3〜15質量%のイソシアネートプレポリマーと、b)2つのヒドロキシル基を含む分子量62〜400の連鎖延長剤とを、c)特定の触媒群から選ばれる触媒の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。好適なイソシアネートプレポリマーは、(1)少なくとも90質量%のトランス、トランス異性体を含む4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートと、(2)2〜4のヒドロキシル基を含む分子量400〜8,000のポリエーテルとの反応生成物を含んでなる。アミン基含有連鎖延長剤および/または架橋剤は開示されていない。
【0013】
US 特許6,174,984は、透明な弾性ポリウレタンエラストマーを開示する。このエラストマーは、a)少なくとも1つのジイソシアネートと少なくとも1つのポリエーテルポリオールとのプレポリマー(遊離ジイソシアネート含有率はプレポリマーの1%未満)と、b)プレポリマー中約50〜105%の利用可能なイソシアネート含有率と反応するのに充分な量の、少なくとも1つのアルキル化芳香族ジアミンとを、c)ポットライフを2分以下に低下させるのに充分な量の、少なくとも1つの有機酸触媒の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。このエラストマーは、高いレジリエンスおよび透明性を有する。
【0014】
US 特許6,204,325には、圧縮透明ポリイソシアネート重付加生成物の製法が開示されている。この製法は、a)(シクロ)脂肪族ジイソシアネートと、b)イソシアネート反応性の化合物とを、所望によりc)触媒およびd)助剤および/または添加剤の存在下に反応させることからなる。イソシアネート反応性化合物b)は、官能価>3および平均水酸基価300〜950 mg(KOH)/gを有する化合物からなる混合物であると記載されている。アミン基含有連鎖延長剤および/または架橋剤は、開示されていない。なお、金型において必要な反応温度は、>40℃、好ましくは60〜100℃であると、開示されている。
【0015】
US 特許5,510,445には、ワンステップ法によって製造されるポリ尿素エラストマーが開示されている。開示の製法は、a)1つまたはそれ以上の(シクロ)脂肪族ジイソシアネートと、b)1つまたはそれ以上の液体アミン末端ポリマー(これは、少なくとも2つの芳香族的結合イソシアネート反応性一級または二級アミン基および/または脂肪族的結合イソシアネート反応性のアミノ基を含み、かつ分子量400〜600を有する。)と、c)分子量108〜399を有し、所望により1つまたはそれ以上の架橋剤との混合物の形態である、1つまたはそれ以上の芳香族ジアミン連鎖延長剤とを反応させることからなる。適当なジイソシアネートには、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(rMDI)およびその混合物が包含される。DETDAは、適当な芳香族ジアミン連鎖延長剤であると開示する。
【特許文献1】US 特許3,755,262
【特許文献2】US 特許3,866,242
【特許文献3】US 特許4,153,777
【特許文献4】US 特許4,404,353
【特許文献5】US 特許4,808,690
【特許文献6】ドイツ公開明細書2,109,901
【特許文献7】US 特許5,668,239
【特許文献8】US 特許5,710,230
【特許文献9】US 特許5,739,253
【特許文献10】US 特許5,510,445
【特許文献11】US 特許5,646,230
【特許文献12】US 特許5,714,562
【特許文献13】US 特許6,174,984
【特許文献14】US 特許6,204,325
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
US 特許5,510,445の一実施例では、イソシアネート反応性の成分がDETDAおよびポリオールを含んでなる場合には(シクロ)脂肪族ジイソシアネートから有用なエラストマーを製造できないと、説明されている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、この先行技術の問題を有機金属触媒(好ましくは有機スズ触媒)の存在によって解決できることを見いだした。本発明によれば、(シクロ)脂肪族ジイソシアネートまたはそのプレポリマーと、少なくとも2つの芳香族アミン基を含む有機化合物および少なくとも2つのヒドロキシル基を含む有機化合物を含んでなるイソシアネート反応性成分とを、有機金属化合物を含んでなる触媒の存在下に反応させることによって、光学的に明澄な光安定性ポリウレタン/尿素エラストマーを得ることができる。本発明のエラストマーは、優れた物性および高温の寸法安定性を示す。
【0018】
本発明は、室温で処理し次いで型内にイソシアネート指数95〜120でキャストすることを含んでなる、少なくとも130℃のオンセット軟化点を有する光学的に明澄な光安定性ポリウレタン-尿素エラストマーを製造する方法を提供する。本発明の方法は、液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)〔この成分A)は、NCO基含有率約5〜50%、平均官能価2〜3、および25℃での粘度5,000 mPas未満を有し、かつ、成分A)100質量%を基準に20〜100質量%の、NCO基含有率約32〜50質量%および官能価約2を有する(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)と、成分A)100質量%を基準に0〜80質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基および分子量約62〜8,000を有する少なくとも1つの有機化合物との反応生成物を含んでなる。〕と、
イソシアネート反応性の成分B)〔この成分B)は、少なくとも2つの芳香族アミン基を含みかつ分子量100〜1,000を有する少なくとも1つの有機化合物B)(1)、および少なくとも2つヒドロキシル基および分子量62〜6,000を有する少なくとも1つの有機化合物B)(2)を含んでなる。〕とを、
少なくとも1つの有機金属触媒C)の存在下に反応させる工程を含んでなる。
【0019】
また本発明は、少なくとも130℃のオンセット軟化点を有する、光学的に明澄な光安定性ポリウレタン-尿素エラストマーを提供する。本発明のエラストマーは、
液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)〔この成分A)は、NCO基含有率約5〜50%、平均官能価2〜3、および25℃での粘度5,000 mPas未満を有し、かつ、成分A)100質量%を基準に20〜100質量%の、NCO基含有率約32〜50質量%および官能価約2を有する(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)と、成分A)100質量%を基準に0〜80質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基および分子量約62〜8,000を有する少なくとも1つの有機化合物A)(2)との反応生成物を含んでなる。〕と、
イソシアネート反応性成分B)〔この成分B)は、少なくとも2つの芳香族アミン基を含みかつ分子量100〜1,000を有する少なくとも1つの有機化合物B)(1)、および少なくとも2つヒドロキシル基および分子量62〜6,000を有する少なくとも1つの有機化合物B)(2)を含んでなる。〕とを、
少なくとも1つの有機金属触媒C)の存在下に反応させた
反応生成物を含んでなる。
【0020】
液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマー成分A)は、NCO基含有率約5〜50%、平均官能価約2〜3、および25℃での粘度約5,000 mPas未満を有する。好ましくは、成分A)は、NCO含有率約10〜32%、特に15〜100質量%、および官能価約2を有する。成分A)は、この成分A)100質量%を基準に20〜100質量%の(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)と、成分A)100質量%を基準に0〜80質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基および分子量約62〜8,000を有する少なくとも1つの有機化合物A)(2)との反応生成物を含んでなる。
【0021】
成分A)は、好ましくは、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを含む(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)と、少なくとも2つのヒドロキシル基および分子量約62〜8,000を有する少なくとも1つの有機化合物A)(2)との反応生成物を含んでなる。この好適な具体例では、プレポリマーは、好ましくは、成分A)100質量%を基準に約40〜80質量%の4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートA)(1)と、成分A)100質量%を基準に約20〜60質量%の少なくとも2つのヒドロキシル基(好ましくは、2〜3のヒドロキシル基)および分子量約62〜8,000(好ましくは、300〜2000)を有する少なくとも1つの有機化合物A)(2)との反応生成物を含んでなる。この具体例において、特に好ましくは、成分A)(2)は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよびポリカプロラクトンを含んでなる。
【0022】
成分A)は、この成分A)100質量%を基準に、20〜100質量%、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは60〜80質量%の(シクロ)脂肪族ポリイソシアネート成分A)(1)を含む。成分A)(1)に適した(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートには、NCO基含有率約32〜50質量%および官能価約2を有するものが包含される。好適な(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートは、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(rMDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI)およびそれらの混合物からなる群から選ばれる。成分A)(1)に好ましいポリイソシアネートは、イソシアネート基含有率32%の4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートであって、Bayer Corporationから市販されている。
【0023】
成分A)(2)である有機化合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基および分子量約62〜8,000を有する。成分A)は、この成分A)100質量%を基準に、0〜80質量%、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは20〜40質量%の成分A)(2)を含む。本発明において成分A)(2)として用いるのに適した有機化合物には、少なくとも2つヒドロキシル基、好ましくは2〜3のヒドロキシル基、特に2つのヒドロキシル基、および好ましくは分子量62〜6,000、特に分子量300〜2,000を有するものが包含される。成分A)(2)として使用するのに適した化合物の例には、グリコール、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネートおよびポリアセタールが包含される。
【0024】
グリコールおよび他の好適な成分A)(2)には、低分子量の連鎖延長剤として適切であることが知られている化合物並びに低分子量ジオールが包含される。その例には、分子量約350またはそれ以下の既知化合物が包含され、例えば、次のようなものが挙げられる:
アルキレン(C2〜C22)グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-ドデカンジオール;
ポリ(アルキレン(C2〜C15)グリコール)、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール;
他のグリコール、例えばシクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、レゾルシノールビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート;
分子量350またはそれ以下の低分子量トリオール、例えばグリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-3-ブタノールおよび他の脂肪族トリオール(C8〜C20)など、並びにそれらの混合物など。また、以上の化合物と、少量の単官能性および高官能性化合物との混合物も、前記した官能価および分子量の要件を充足する限り、成分A)(2)として使用することができる。
【0025】
好適なポリエステルポリオールは、例えば、炭素原子数2〜12の有機ジカルボン酸、好ましくは炭素原子数4〜6の脂肪族ジカルボン酸と、多価アルコール、好ましくは炭素原子数2〜12、好ましくは2〜6のジオールとから製造することができる。本発明に使用しうるジカルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸である。これらジカルボン酸は、単独でまたは相互の混合物として使用することができる。遊離のジカルボン酸に代えて、対応するジカルボン酸の誘導体、例えばジカルボン酸と炭素原子数1〜4のアルコールとのエステルまたはジカルボン酸の無水物も使用することができる。二価および多価アルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、グリセロールおよびトリメチロールプロパンである。また、ラクトン、例えばε-カプロラクトンまたはヒドロキシカルボン酸、例えばω-ヒドロキシカプロン酸から製造されるポリエステルポリオールも使用することができる。本発明に好適なポリエステルポリオールには、結晶化の傾向を示さないポリエステルポリオールが包含される。
【0026】
ポリエステルポリオールを製造するには、有機酸、例えば芳香族ポリカルボン酸および好ましくは脂肪族ポリカルボン酸および/またはそれらの誘導体と、多価アルコールとを、触媒の不存在下または好ましくはエステル化触媒の存在下、有利には不活性ガス(例えば、窒素、一酸化炭素、ヘリウム、アルゴンなど)の雰囲気下、150〜250℃、好ましくは180〜220℃の溶融状態において、所望により減圧下で、所望の酸価、有利には10未満の酸価、好ましくは2未満の酸価まで重縮合させることができる。好ましい具体例では、エステル化混合物を、酸価80〜30、好ましくは40〜30まで、大気圧下、次いで500 mbar未満、好ましくは50〜150 mbarの減圧下に重縮合させる。本発明に使用しうるエステル化触媒の例は、鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタンまたはスズを金属、金属酸化物または金属塩の形態で用いる触媒である。しかしながら、重縮合反応は、また希釈剤および/または担体、例えばベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンの存在下に、液相で、縮合水を共沸蒸留によって除去しながら実施することができる。
【0027】
また、成分A)(2)として適した化合物には、開始剤として低分子量ジオールおよび低分子量トリオールを用い、エチレンカーボネートを開環重合することによって得られるポリカーボネートポリオール、また天然ポリオール(例えば、ヒマシ油)、ポリオレフィンポリオール(例えば、ポリブタジエンポリオールおよびポリイソプロペンポリオール)およびそれらの水和物が包含される。これら化合物は、単独でまたはそれらの2つまたはそれ以上の混合物として使用することができる。
【0028】
他の好適なポリオール成分A)(2)には、ポリカーボネートジオールが包含され、これは、ジフェニルまたはジメチルカーボネートと、低分子量ジオール若しくはトリオールまたはε-カプロラクトン変性された前記したタイプのジオール若しくはトリオールとを反応させて得ることができる。
【0029】
本発明に使用しうる、好適なポリエステル、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネートおよび他のポリヒドロキシル化合物は、例えば、次のような文献に見られる:High Polymers, vol. XVI, "Polyurethanes, Chemistry and Technology", Saunders-Frisch, Interscience Publishers, New York, London, vol. I, 1962, p.32-42およびp.44-54および vol. II, 1964, p.5-6およびp.198-199並びにKunststoff-Handbuch, vol. VII, Vieweg-Hochtlen, Carl Hanser Verlag, Munich, 1966, p.45-71。
【0030】
本発明に使用するのに適したポリエーテルは、既知の物質であって、例えば、テトラヒドロフランまたはエポキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドまたはエピクロロヒドリン)を、適切な触媒(例えば、BF3またはKOH)の存在下に重合させることによって得るか、またはこれらエポキシド(好ましくは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド)を、混合してまたは連続的に、活性水素含有成分(例えば、水、アルコールまたはアミン)に化学的に付加させることによって得ることができる。本発明の成分A)(2)の形成のため、アルコキシル化しうる好適な開始化合物には、例えば低分子量の連鎖延長剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどが包含される。また好適な開始化合物の混合物も、得られるポリオール混合物の官能価が少なくとも約2.0である限り、使用することができる。
【0031】
好適なポリエーテルには、例えば、二官能性出発物質、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコールなどをベースとする化合物が包含される。このような化合物には、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドが包含される。
【0032】
成分A)は、液体(シクロ)脂肪族ジイソシアネートモノマーまたは液体ポリイソシアネートプレポリマーであってよい。液体ポリイソシアネートプレポリマー成分A)は、例えば、ジイソシアネートA)(1)と、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物A)(2)とを、窒素ガスシールまたはスパージの条件下、および所望により触媒の存在下に反応させ、約105℃で4〜12時間加熱することによって形成することができる。反応は、NCO%滴定によってモニターする。知られている他の好適なプレポリマーの製造法も使用することができる。
【0033】
イソシアネート反応性成分である成分B)は、少なくとも2つの芳香族アミン基を含む少なくとも1つの有機化合物B)(1)と、少なくとも2つヒドロキシル基を有する少なくとも1つの有機化合物B)(2)とを含んでなる。
【0034】
成分B)は、この成分B)100質量%を基準に、3〜90質量%、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜40質量%の成分B)(1)を含んでなる。成分B)(1)は、少なくとも2つの芳香族アミン基を含み、分子量約100〜1,000を有する少なくとも1つの有機化合物を含んでなる。少なくとも2つの芳香族アミン基を含む有機化合物の好適な具体例は、分子量約100〜400を有する。より好ましくは、2〜3つの芳香族アミン基が、有機化合物B)(1)中に存在する。最も好適な成分B)(1)は、約2の芳香族アミン官能価および分子量約150〜250を有する有機化合物である。芳香族ジアミンは、エーテル基および/またはエステル基を含むことができるが、好ましくは、このような基を含まない。また、芳香族アミン基としてアミン末端基を有するアミン末端ポリエーテルも、成分B)(1)として使用するのに好適である。
【0035】
成分B)(1)として使用される、少なくとも2つの芳香族アミン基を含む有機化合物の好適な例には、分子量100〜1,000の芳香族ジアミン連鎖延長剤が包含される。好適なアミン連鎖延長剤は、もっぱら、芳香族的結合一級または二級(好ましくは、一級)アミノ基を含み、好ましくはアルキル置換基も含む。
【0036】
このようなジアミンの例には、次のような物質が包含される。
1,4-ジアミノベンゼン、2,4-および/または2,6-ジアミノトルエン、2,4'-および/または4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、1-メチル-3,5-ビス(メチルチオ)-2,4-および/または2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリイソプロピル-2,4-ジアミノベンゼン、1-メチル-3,5-ジエチル-2,4-および/または2,6-ジアミノベンゼン(3,5-ジエチル-2,4-および/または2,6-トルエンジアミンまたはDETDAとしても知られている。)、4,6-ジメチル-2-エチル-1,3-ジアミノベンゼン、3,5,3',5'-テトラエチル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,5,3',5'-テトライソプロピル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,5-ジエチル-3',5'-ジイソプロピル-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、2,4,6-トリエチル-m-フェニレンジアミン(TEMPDA)、
3,5-ジイソプロピル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジ-sec-ブチル-2,6-ジアミノトルエン、3-エチル-5-イソプロピル-2,4-ジアミノトルエン、4,6-ジイソプロピル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジ-t-ブチル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジエチル-m-フェニレンジアミン、3-イソプロピル-2,6-ジアミノトルエン、5-イソプロピル-2,4-ジアミノトルエン、4-イソプロピル-6-メチル-m-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-t-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-エチル-6-イソプロピル-m-フェニレンジアミン、4-メチル-6-t-ブチル-m-フェニレンジアミン、
4,6-ジ-sec-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-エチル-6-t-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-エチル-6-sec-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-エチル-6-イソブチル-m-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-イソブチル-m-フェニレンジアミン、4-イソプロピル-6-sec-ブチル-m-フェニレンジアミン、4-t-ブチル-6-イソブチル-m-フェニレンジアミン、4-シクロペンチル-6-エチル-m-フェニレンジアミン、4-シクロヘキシル-6-イソプロピル-m-フェニレンジアミン、4,6-ジシクロペンチル-m-フェニレンジアミン、2,2',6,6'-テトラエチル-4,4'-メチレンビスアニリン、2,2',6,6'-テトライソプロピル-4,4'-メチレンビスアニリン(メチレンビスジイソプロピルアニリン)、2,2',6,6'-テトラ-sec-ブチル-4,4'-メチレンビスアニリン、2,2'-ジメチル-6,6'-ジ-t-ブチル-4,4'-メチレンビスアニリン、2,2'-ジ-t-ブチル-4,4'-メチレンビスアニリン、および2-イソプロピル-2',6'-ジエチル-4,4'-メチレンビスアニリン。もちろん、このようなジアミンは混合物としても使用することができる。
【0037】
特に好ましくは、少なくとも2つの芳香族アミン基を含む有機化合物である成分B)(1)は、ジエチルトルエンジアミンの異性体、ジエチルトルエンジアミンの異性体混合物、ジメチルチオトルエンジアミンの異性体およびジメチルチオトルエンジアミンの異性体混合物からなる群から選ばれる化合物を含んでなる。
【0038】
イソシアネート反応性成分B)は、さらに、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する1つまたはそれ以上の有機化合物成分B)(2)を含んでなる。成分B)は、この成分B)100質量%を基準に、10〜97質量%、好ましくは40〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%の、少なくとも2つヒドロキシル基および分子量約62〜6,000を有する少なくとも1つの有機化合物を含んでなる。より好ましくは、この有機化合物は、2または3つのヒドロキシル基を含み、分子量62〜4,000を有する。最も好ましくは、成分B)(2)は、2つのヒドロキシル基および分子量90〜4,000を有する。少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物は、グリコールまたはポリオール、またはそれらの混合物を含むことができる。成分B)(2)の例には、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、グリコール、ポリカーボネートおよびポリアセタールのような少なくとも2つのヒドロキシル基を含む化合物が包含される。
【0039】
グリコールおよび他の好適な成分B)(2)の例には、低分子量連鎖延長剤として適していることが知られている化合物並びに低分子量ジオールが包含される。ある種の例には、分子量約350またはそれ以下の化合物、例えば次のような化合物が包含される。
アルキレン(C2〜C22)グリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-ドデカンジオール;
ポリ(アルキレン(C2〜C15)グリコール)、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール;
他のグリコール、例えばシクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ヒドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、レゾルシノールビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、ビスヒドロキシエチレンテレフタレート;
分子量350またはそれ以下の低分子量トリオール、例えばグリセリン、2-メチル-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジヒドロキシ-3-ヒドロキシメチルペンタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-3-ブタノール;
他の脂肪族トリオール(C8〜C20)など並びにそれらの混合物など。
また、以上の化合物と、少量の単官能性および/または多官能性化合物との混合物も、前記した官能価および分子量に関する要件を充足する限り、成分B)(2)として使用することができる。
【0040】
好適なポリエステルポリオールは、例えば、炭素原子数2〜12の有機ジカルボン酸、好ましくは炭素原子数4〜6の脂肪族ジカルボン酸と、多価アルコール、好ましくは炭素原子数2〜12、好ましくは2〜6のジオールとから製造することができる。本発明に使用しうるジカルボン酸の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸である。これらジカルボン酸は、単独でまたは相互の混合物として使用することができる。遊離のジカルボン酸に代えて、対応するジカルボン酸の誘導体、例えばジカルボン酸と炭素原子数1〜4のアルコールとのエステルまたはジカルボン酸の無水物も使用することができる。二価および多価アルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、グリセロールおよびトリメチロールプロパンである。また、ラクトン、例えばε-カプロラクトンまたはヒドロキシカルボン酸、例えばω-ヒドロキシカプロン酸から製造されるポリエステルポリオールも使用することができる。
【0041】
ポリエステルポリオールを製造するには、有機酸、例えば芳香族ポリカルボン酸および好ましくは脂肪族ポリカルボン酸および/またはそれらの誘導体と、多価アルコールとを、触媒の不存在下または好ましくはエステル化触媒の存在下、有利には不活性ガス(例えば、窒素、一酸化炭素、ヘリウム、アルゴンなど)の雰囲気下、150〜250℃、好ましくは180〜220℃の溶融状態で、所望により減圧下で、所望の酸価(有利には10未満の酸価、好ましくは2未満の酸価)まで重縮合させることができる。好適な具体例では、エステル化混合物を、酸価80〜30、好ましくは40〜30まで、大気圧下、次いで500 mbar未満、好ましくは50〜150 mbarの減圧下に重縮合させる。本発明に使用しうるエステル化触媒の例は、鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタンまたはスズを金属、金属酸化物または金属塩の形態で用いる触媒である。しかしながら、重縮合反応は、また希釈剤および/または担体、例えばベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼンの存在下に液相で、縮合水を共沸蒸留によって除去しながら、実施することができる。
【0042】
また、少なくとも2つのヒドロキシル基を含む化合物である、成分B)(2)として好適なものは、開始剤として低分子量ジオールおよび低分子量トリオールを用い、エチレンカーボネートを開環重合することによって得られるポリカーボネートポリオール、また天然ポリオール(例えばヒマシ油)、ポリオレフィンポリオール(例えばポリブタジエンポリオールおよびポリイソプレンポリオール)およびそれらの水和物である。これら化合物は、単独でまたはそれらの2つまたはそれ以上の混合物として使用することができる。
【0043】
他の好適なポリオール成分B)(2)には、ポリカーボネートジオールが包含され、これは、ジフェニルまたはジメチルカーボネートと、低分子量ジオールまたはトリオール、ε-カプロラクトン変性された前記したタイプのジオールまたはトリオールとを反応させて得ることができる。
【0044】
本発明に使用しうる、好適なポリエステル、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネートおよび他のポリヒドロキシル化合物は、例えば、次のような文献に見られる:High Polymers, vol. XVI, "Polyurethanes, Chemistry and Technology", Saunders-Frisch, Interscience Publishers, New York, London, vol. I, 1962, p.32-42およびp.44-54および vol. II, 1964, p.5-6およびp.198-199並びにKunststoff-Hanbuch, vol. VII, Vieweg-Hochtlen, Carl Hanser Verlag, Munich, 1966, p.45-71。
【0045】
本発明に使用するのに適したポリエーテルは、既知の物質であって、例えば、テトラヒドロフランまたはエポキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドまたはエピクロロヒドリン)を、適切な触媒(例えば、BF3またはKOH)の存在下に重合させることによって得るか、またはこれらエポキシド、好ましくはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを、混合してまたは連続的に、活性水素含有成分(例えば、水、アルコールまたはアミン)に化学的に付加することによって得ることができる。本発明の成分B)(2)の形成のため、アルコキシル化しうる好適な開始化合物には、例えば低分子量の連鎖延長剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどが包含される。また好適な開始化合物の混合物も、得られるポリオール混合物の官能価が少なくとも約2.0である限り、使用することができる。
【0046】
好適なポリエーテルには、例えば、二官能性出発物質、例えば水、エチレングリコール、プロピレングリコールなどをベースとする化合物が包含される。このような化合物には、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドが包含される。
【0047】
好適な触媒C)には、有機金属化合物、特に有機スズおよびビスマス化合物が包含される。好適な有機スズ化合物には、硫黄含有化合物、例えばジオクチルスズメルカプチド含有化合物(ドイツ公告特許1,769,367およびUS特許3,645,927)および好ましくはカルボン酸のスズ(II)塩、例えば酢酸スズ(II)、オクタン酸スズ(II)、エチルヘキサン酸スズ(II)およびラウリン酸スズ(II)並びにスズ(IV)化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエートおよびジオクチルスズジアセテートが包含される。好適なビスマス化合物には、ビスマスネオデカノエート、ビスマスバーサレートおよびこの分野で知られた種々のビスマスカルボキシレートが包含される。好適な有機スズ触媒は、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジラウレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれるスズ(IV)触媒を含んでなる。
【0048】
もちろん、以上の触媒は、いずれも混合物として使用することができる。本発明に使用しうる触媒のさらなる例およびその作用形式に関する詳細は、次の文献に記載されている:Kunststoff Hanbuch, vol. VII, 発行者:Vieweg-Huchtlen, Carl Hanser Verlag, Munich, 1966, p.96-102。
有機金属触媒は、成分A)、B)およびC)の合計量を基準に、約0.002〜5質量%、好ましくは約0.01〜1質量%の範囲の量で使用することができる。
【0049】
加えて、種々の添加剤も反応に使用することができ、例えば、界面活性添加剤、例えば乳化剤およびポリウレタン化学において有用であることが知られている他の添加剤を挙げられる。
【0050】
界面活性剤に加え、本発明の成形用組成物に使用しうる他の添加剤には、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線安定化剤、接着促進剤、染料、粘度降下剤および内部離型剤が包含される。好適な酸化防止剤には、例えばIrganox 245が包含され、好適な紫外線安定化剤には、例えばTinuvin 765が包含される。しかしながら、既知の酸化防止剤および/または紫外線安定化剤のいずれも、使用することができる。酸化防止剤、紫外線安定化剤、ヒンダードアミン光安定化剤およびそれらの混合物から選択される安定剤を存在させる場合、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーに添加するのが好ましい。
【0051】
一段法(またはワンショット法)によれば、一般的には、イソシアネート反応性成分および触媒並びに任意の添加剤および助剤を合して、完全にブレンドしてプレミックスとする。次いで、液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)と、プレミックスとを、容器内で撹拌により混合するかまたは成形機のミキシングヘッド内で混合する。外部離型剤、例えばシリコーンオイルをしばしば成形工程の間に使用する。しかしながら、所望により外部離型剤と混合した、いわゆる「内部離型剤」も使用することができる。反応体は、イソシアネート指数が約90〜125となるような量で使用する。本明細書で用いる「イソシアネート指数」なる用語は、イソシアネート基の数をイソシアネート反応性基の数で割って得られた商を、100倍したものである。
【0052】
本発明のポリウレタン-尿素エラストマーは、好ましくは、適当な金型内にキャストすることによって製造される。本発明のポリウレタン-尿素エラストマーの製造温度は、通常制限されず、金型温度は、室温であってもよい。本明細書で用いる「室温」なる語は、約15〜30℃の温度を意味する。処理温度は、通常40℃未満である。本発明のワンショット法のゲル化時間は、好ましくは2分を超える時間である。本発明のポリウレタン-尿素エラストマーは、ポリオール、イソシアネートおよびアミン/グリコール連鎖延長剤の選択に応じ、非常に広範な範囲にわたって変化させうるショアー硬度、即ち、ショアーA40〜ショアーD95を有することができる。高い硬度、すなわちショアーD50を超える硬度のポリウレタン-尿素エラストマーは、好ましくは100℃を超える温度で約16時間、後硬化させる。
【0053】
本発明の方法に従い製造した、光学的に明澄な光安定性ポリウレタン-尿素エラストマーは、少なくとも130℃のオンセット軟化点を有する。本発明のエラストマーは、高温で非常に良好な寸法安定性を示して、ソフトエラストマーでさえもクリープ特性を示さないような生成物が得られる。
【0054】
オンセット軟化点の測定に用いられる方法は、ASTM 1545-95Aによる熱機械分析法(TMA)である。この分析法に採用されているように、TMA実験における「オンセット軟化点」なる用語は、変移前の温度(一定の導関数(derivative)値)から引いた接線と、変移の偏向点(導関数曲線の最大値)での接線との交点の温度であると、定義される。これは、特に多分散特性を示すポリマー材料の変移温度を決定するのに非常に有用な測定値である。
【0055】
本明細書で用いる「光学的に明澄」(optically clear)なる用語は、他のポリマーガラスであるアクリル系またはポリカーボネートガラスの光透過率と同じまたはより優れた光透過率を有することを意味する。本発明のポリウレタン-尿素エラストマーの光透過率は、レンズや双眼鏡などに採用されている光学グレードガラスの光透過率に匹敵する。本発明のポリウレタン-尿素エラストマーのルミナス透過率は、85%、好ましくは90%を超える値である。本発明のポリウレタン-尿素エラストマーのヘイズは、通常1%未満である。本明細書に用いるヘイズおよびルミナス透過率は、ASTM D 1003-97に従い測定される。
【0056】
本発明の新規方法によって得られる光学的に明澄で光安定性のポリウレタン-尿素エラストマーは、ガラス代替品、例えば車両または航空機構造体のサンルーフ、フロントウインドー、リアウインドーまたはサイドウインドーおよびランプカバー、例えば自動車または航空機構造体のフロントランプまたはリアランプ用のカバーとして使用することができる。本発明に従い製造したポリウレタン-尿素エラストマーは、好ましくは光学的用途、例えば眼鏡用レンズ、安全ガラスおよび防犯ガラスとして使用することができる。
【0057】
本発明の好ましい態様は次ぎのとおりである。
(1) 少なくとも130℃のオンセット軟化点を有する、光学的に明澄な光安定性ポリウレタン-尿素エラストマーを製造する方法であって、
液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)と、イソシアネート反応性成分B)とを、少なくとも1つの有機金属触媒C)の存在下に反応させることを含んでなり、これら成分を型内に、イソシアネート指数95〜120でキャストし、
上記液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)は、
NCO基含有率約5〜50%、平均官能価2〜3、および25℃での粘度5,000 mPas未満を有し、
成分A)100質量%を基準に20〜100質量%の、NCO基含有率約32〜50質量%および官能価約2を有する(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)であって、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(rMDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI)およびそれらの混合物からなる群から選ばれる(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)と、
成分A)100質量%を基準に0〜80質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基および分子量約62〜8,000を有する少なくとも1つの有機化合物A)(2)との反応生成物を含んでおり、
上記イソシアネート反応性成分B)は、
成分B)100質量%を基準に3〜90質量%の、少なくとも2つの芳香族アミン基を含み、分子量100〜1,000を有する少なくとも1つの有機化合物B)(1)、および
成分B)100質量%を基準に10〜97質量%の、少なくとも2つヒドロキシル基および分子量62〜6,000を有する少なくとも1つの有機化合物B)(2)
を含んでいる
方法。
(2) 前記成分を、約40℃またはそれ以下の温度で処理する(1)に記載の方法。
(3) 前記成分を室温で処理する(2)に記載の方法。
(4) 液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)は、NCO基含有率約10〜50質量%および官能価約2を有する(1)に記載の方法。
(5) 液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)は、NCO基含有率約15〜30質量%および官能価約2を有する(1)に記載の方法。
(6) 液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)は、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを含んでなる(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)と、少なくとも2つのヒドロキシル基および分子量約62〜8,000を有する少なくとも1つの有機化合物A)(2)との反応生成物を含んでなる(4)に記載の方法。
(7) 有機化合物A)(2)は、分子量約100〜4,000を有する(1)に記載の方法。
(8) 有機化合物A)(2)は、官能価約2および分子量約300〜2,000を有する(7)に記載の方法。
(9) 少なくとも2つの芳香族アミン基を含む有機化合物B)(1)は、分子量約100〜400を有する(1)に記載の方法。
(10) 芳香族アミン基含有有機化合物B)(1)は、官能価約2および分子量約150〜250を有する(1)に記載の方法。
(11) 芳香族ジアミンB)(1)は、エーテル基およびエステル基を含んでない(1)に記載の方法。
(12) 芳香族アミン基含有有機化合物B)(1)は、アミン末端ポリエーテルを含んでなり、このアミン末端基は、芳香族アミン基である(1)に記載の方法。
(13) 前記B)(1)は、ジエチルトルエンジアミンの異性体、ジエチルトルエンジアミンの異性体混合物、ジメチルチオトルエンジアミンの異性体およびジメチルチオトルエンジアミンの異性体混合物からなる群から選ばれる(1)に記載の方法。
(14) 少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物B)(2)は、分子量62〜4,000を有する(1)に記載の方法。
(15) 少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物B)(2)は、約3またはそれ以下の官能価を有する(1)に記載の方法。
(16) 少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物B)(2)は、低分子量グリコールを含んでなる(1)に記載の方法。
(17) 低分子量グリコールは、500未満の分子量を有する(16)に記載の方法。
(18) 低分子量グリコールは、300未満の分子量を有する(17)に記載の方法。
(19) 少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物B)(2)は、高分子量ポリオールを含んでなる(1)に記載の方法。
(20) 高分子量ポリオールは、500を超える分子量を有する(19)に記載の方法。
(21) 高分子量ポリオールは、800を超える分子量を有する(20)に記載の方法。
(22) 高分子量ポリオールは、1,000を超える分子量を有する(21)に記載の方法。
(23) 少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物B)(2)は、グリコールとポリオールとの混合物を含んでなる(1)に記載の方法。
(24) 有機金属触媒C)は、スズ触媒を含んでなる(1)に記載の方法。
(25) スズ触媒は、有機スズ(IV)触媒を含んでなる(24)に記載の方法。
(26) 前記有機スズ触媒は、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジラウレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる(24)に記載の方法。
(27) 前記エラストマーを、成形品を脱型した後、少なくとも約100℃の温度で少なくとも8時間、後硬化させる(1)に記載の方法。
(28) 液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)は、少なくとも5%のNCO基含有率を有し、
(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートプレポリマーは、少なくとも10%のモノマージイソシアネート含有率を有する(1)に記載の方法。
(29) 前記ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーは、25℃での粘度1,000 mPas未満を有する(1)に記載の方法。
(30) (1)に記載の方法によって製造される、光学的に明澄で光安定性のポリウレタン-尿素エラストマー。
【実施例】
【0058】
次に、実施例を挙げて本発明の方法を更に詳しく説明する。前記した本発明の開示事項は、本発明の精神および技術的範囲のいずれにおいても、以下の実施例により制限されるものではない。当業者ならば、以下に示す方法の条件の既知変形法を容易に理解して、採用することができる。特に断らない限り、全ての温度は、摂氏であり、また全ての%は、質量%である。
【0059】
実施例において、以下の成分を用いた。
イソシアネートA:4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;イソシアネート基含有率約32%。
イソシアネートB:1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;イソシアネート基含有率約50%。
イソシアネートC:イソホロンジイソシアネート;イソシアネート基含有率約37.8%。
【0060】
イソシアネートD:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約23%、官能価2.0および粘度約400 mPas(25℃)を有し、イソシアネートA(約75.5質量%)とポリオールB(24.5質量%)とを、触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0061】
イソシアネートE:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約23%、官能価2.0および粘度約310 mPas(25℃)を有し、イソシアネートA(約75.5質量%)とポリオールC(24.5質量%)とを、触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0062】
イソシアネートF:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約22.9%、官能価2.0および粘度約150 mPas(25℃)を有し、イソシアネートA(約76.4質量%)とポリオールD(23.6質量%)とを、触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0063】
イソシアネートG:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約23%、官能価2.0および粘度約150 mPas(25℃)を有し、イソシアネートA(約75.5質量%)とポリオールE(24.5質量%)とを、触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0064】
イソシアネートH:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約23%、官能価2.0および粘度約150 mPas(25℃)を有し、イソシアネートA(約75.5質量%)とポリオールF(24.5質量%)とを、触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0065】
イソシアネートI:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約22.8%、官能価2.0および粘度約500 mPas(25℃)を有し、イソシアネートC(約65質量%)とポリオールB(35質量%)とを、触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0066】
イソシアネートJ:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約22.7%、官能価2.0および粘度約350 mPas(25℃)を有し、イソシアネートB(約50.5質量%)とポリオールB(49.5質量%)とを、触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0067】
イソシアネートK:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約18.3%、官能価2.0および粘度約800 mPas(25℃)を有し、イソシアネートA(約66.7質量%)とポリオールA(33.3質量%)とを触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0068】
イソシアネートL:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約13.9%、官能価2.0および粘度約3,640 mPas(25℃)を有し、イソシアネートA(約50.5質量%)とポリオールB(49.5質量%)とを、触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0069】
イソシアネートM:イソシアネートプレポリマー。これは、イソシアネート基含有率約6.0%、官能価2.2および粘度約3,520 mPas(25℃)を有し、イソシアネートA(約24.24質量%)とポリオールG(50.03質量%)とを、触媒A(0.002質量%)の存在下に反応させた反応生成物を含んでなる。
【0070】
ポリオールA:ポリテトラメチレンエーテルグリコール。これは、当量約500の二官能性ポリオールであって、市販のPolymeg 1000(DuPont Company、 QO Chemicals Inc.およびBASF Corporation)である。
【0071】
ポリオールB:ポリテトラメチレンエーテルグリコール。これは、当量約1,000の二官能性ポリオールであって、市販のPolymeg 2000(DuPont Company、QO Chemicals Inc.およびBASF Corporation)である。
【0072】
ポリオールC:二官能性ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール。これは、当量約1,000を有し、市販のTone 1241(Union Carbide Corporation)である。
【0073】
ポリオールD:ポリ(オキシアルキレン)ポリオール。これは、当量約730および官能価約2を有し、プロピレンオキシド約80%とエチレンオキシド20%との混合物をプロピレングリコールに対し、ヒドロキシル基の約90%が一級となるように付加して製造したものである。
【0074】
ポリオールE:プロピレンオキシドをベースとする超低(ultra-low)モノオールポリエーテルポリオール。これは、当量約100および官能価約2を有し、全てのヒドロキシル基は、二級である。
【0075】
ポリオールF:ポリオキシアルキレンポリオール。これは、当量約1,000、水酸基価約56および官能価約2を有し、プロピレンオキシドをプロピレングリコールに対し、ほぼ全てのヒドロキシル基が二級となるように付加して製造したものである。
【0076】
ポリオールG:ポリオキシアルキレンポリオール。これは、当量約2,000、水酸基価約28および官能価約2を有し、プロピレンオキシド約87%とエチレンオキシド13%との混合物をプロピレングリコールに対し、ヒドロキシル基の約75%が一級となるように付加して製造したものである。
【0077】
ポリオールH:ポリオキシアルキレンポリオール。これは、当量約2,000および官能価約3を有し、プロピレンオキシド約87%とエチレンオキシド13%との混合物をグリセリンに対し、ヒドロキシル基の約85%が一級となるように付加して製造したものである。
ジオール連鎖延長剤A:1,4-ブタンジオール。
【0078】
アミンA
ジエチルトルエンジアミン:これは、当量107および官能価約2を有し、2,4-異性体(約80質量%)および2,6-異性体(約20質量%)を含んでなり、市販のEthacure 100LC Curative(Albemarle Corporation)である。
【0079】
アミンB
ジメチルチオトルエンジアミン:これは、当量89および官能価約2を有し、2,4-異性体(約80質量%)および2,6-異性体(約20質量%)を含んでなり、市販のEthacure 300 Curative(Albemarle Corporation)である。
【0080】
触媒A
ジメチルスズジラウレート:これは、Witco Chemical Corporationから市販のFormez(登録商標)UL-28である。
【0081】
触媒B
ジプロピレングリコール中、33%トリエチレンジアミン:これは、Air Productsから市販のDABCO 33LVである。
【0082】
注入成形法
ポリオールおよびイソシアネートを50〜60℃で脱泡し、次いで注入成形前に室温に冷却した。ポリオールおよびイソシアネートを、25〜30℃で約1〜2分間混合し、次いで室温のブックケース金型(寸法8”×16”×0.125”)およびボタン金型(寸法7.5”×2.25”×0.5”)内にキャストすることによって注入成形品を製造した(なお、各試料について1つボタン金型(1個取り)を用いた)。成形品を取出す前に、試料を、室温で約16時間放置した。室温で1月経過後、試料を物性試験に付した。
【0083】
全ての実施例において、触媒(UL-28)量は、ポリオールとグリコールとの反応速度がジアミンによる反応速度と同等となるように、調節した。実施例1、1a、2、10および15を除き、全ての実施例において、Hauschild SpeedMixer DAC 400FV(Flack Tek Inc.)を、撹拌に用いた(1,000〜1,600 r.p.m.×15〜40秒)。
【0084】
【表1】

【0085】
表1において、実施例1a、2a、3aおよび4aは、比較例であり、実施例1、2、3および4は、本発明の代表例であり、得られたエラストマーは、少なくとも130℃の軟化点を有する。また本発明の実施例は、物性の著しい改善(即ち、より高い引張強度および引裂強度)を示す。比較例では、本発明のアミン成分に代えて、ジオールを用いた。
【0086】
【表2】

【0087】
表2において、実施例5aおよび6aは、比較例であり、実施例5、6、7および8は、本発明の代表例であり、得られたエラストマーは、少なくとも130℃の軟化点を有する。比較例では、本発明のアミン成分に代えて、ジオールを用い、その結果、著しく低い軟化点が得られた。また本発明の実施例は、物性の著しい改善(即ち、より高い引張強度および引裂強度)を示す。
【0088】
【表3】

【0089】
表3において、実施例9aおよび11aは、比較例である。実施例9、10、11および12は、本発明の代表例であり、得られたエラストマーは、少なくとも130℃の軟化点を有する。比較例では、本発明のアミン成分に代えて、ジオールを用いた。また本発明の実施例は、物性の著しい改善(即ち、より高い引張強度および引裂強度)を示す。
【0090】
【表4】

【0091】
表4において、実施例13aおよび15は、比較例である。実施例13aでは、本発明のアミン成分に代えて、ジオール成分を用いた。実施例15は、アミン連鎖延長剤の必要な最低量3%よりも少ない量しか含んでいないため、比較例である。両方の比較例において、オンセット軟化点は、130℃未満の温度に低下した。(実施例2のように)他の化学組成は同じとし、アミン連鎖延長剤の量を4%に増加させれば、オンセット軟化点は150℃に増加する。
表4において、実施例13、14および16は、本発明の代表例である。これらの実施例で形成して得られたエラストマーは、少なくとも130℃の軟化点を有する。
【0092】
【表5】

【0093】
表5において、実施例17aおよび18aは、比較例である。実施例17、18および19は、本発明の代表例であり、得られたエラストマーは、少なくとも130℃の軟化点を有する。実施例19では、連鎖延長剤として別のアミンを用いたため、非常にゆっくり硬化するエラストマーが得られた。したがって、このエラストマーを含む金型は、硬化炉に入れた。比較例では、本発明のアミン成分に代えて、ジオールを用いた。本発明の実施例の全てにおいて、それらのエラストマーの物性は、比較例の物性よりも非常に優れており、全ての生成物は、光学的明澄性を示した。
【0094】
【表6】

【0095】
実施例20、21および22は、比較例である。得られたこれら3つのエラストマーは、白色であって、光学的に明澄性を示さず、またそれらの物性の試験において非常に低い物性しか示さなかった。3つの試料は、全て、非常に容易に破壊した。実施例20、21および22は、アミン触媒の使用または無触媒によって不充分な特性のポリウレタン-尿素エラストマーしか得られないことを示す。以上の結果は、同じ化学組成を有する実施例1に示した優れた物性を示す光学的に明澄な生成物を、本発明に従い製造するには、有機金属触媒が必要であることを示している。
【0096】
別の注入成形法
以下の方法に従い、実施例23、24および25を注入成形した。材料は、歯車駆動式低圧ポリウレタン加工装置(Edge-Sweets, Model 15BT)によって処理した。この装置は、2ガロン容の原料容器を備え、脱泡する性能並びに所望の温度に材料を加熱する性能を有する。混合は、高剪断ミキサーによって行った。
【0097】
ポリオールおよびイソシアネートを原料容器中、25℃で脱泡した。ポリオールポンプは985 r.p.m.に設定し、再循環圧を80 psiに調節した。イソシアネートポンプは1,051 r.p.m.に設定し、再循環圧を同様に80 psiに調節した。較正後、材料を、ミキシングヘッドを経て容器内に計量分配し、次いで室温のブックケース金型(寸法8”×16”×0.125”)およびボタン金型(寸法7.5”×2.25”×0.5”)内に注入した。次いで成形品を取出す前に、試料を、100℃で約16時間、後硬化させた。室温で2週間経過後、試料を物性試験に付した。触媒量は、ポリオールおよび/またはグリコールの反応速度がジアミンによる反応速度と同等となるように、調節した。
【0098】
【表7】

【0099】
実施例25は、ジアミン連鎖延長剤に代えてジオールを用いた比較例である。実施例24からわかるように、ジアミン連鎖延長剤の利用可能なNCO基含有率を8%から4%に減じた場合でも、オンセット軟化点は、130℃よりも高い温度を示す。また、引張強度および引裂強度のような物性は、本発明の実施例(即ち、実施例23および24)では、著しく高い。
【0100】
以上、実施例などを挙げて本発明を詳細に説明したが、これら詳細な説明は、単に本発明の説明のためになされたものであって、当業者ならば、本発明の精神を逸脱することなく、本発明の請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形例をなすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも130℃のオンセット軟化点を有する、光学的に明澄な光安定性ポリウレタン-尿素エラストマーを製造する方法であって、
液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)と、イソシアネート反応性成分B)とを、少なくとも1つの有機金属触媒C)の存在下に反応させることを含んでなり、これら成分を型内に、イソシアネート指数95〜120でキャストし、
上記液体ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーA)は、
NCO基含有率約22.7〜50%、平均官能価2〜3、および25℃での粘度5,000 mPas未満を有し、
成分A)100質量%を基準に20〜100質量%の、NCO基含有率約32〜50質量%および官能価約2を有する(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)であって、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(rMDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、m-テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI)およびそれらの混合物からなる群から選ばれる(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)と、
成分A)100質量%を基準に0〜80質量%の、少なくとも2つのヒドロキシル基および分子量約62〜8,000を有する少なくとも1つの有機化合物A)(2)との反応生成物を含んでおり、
上記イソシアネート反応性成分B)は、
成分B)100質量%を基準に3〜90質量%の、少なくとも2つの芳香族アミン基を含み、分子量100〜1,000を有する少なくとも1つの有機化合物B)(1)、および
成分B)100質量%を基準に10〜97質量%の、少なくとも2つヒドロキシル基および分子量62〜6,000を有する少なくとも1つの有機化合物B)(2)
を含んでいる
方法。
【請求項2】
前記成分を、約40℃またはそれ以下の温度で処理する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(シクロ)脂肪族ポリイソシアネートA)(1)は、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの芳香族アミン基を含む有機化合物B)(1)は、分子量約100〜400を有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記B)(1)は、ジエチルトルエンジアミンの異性体、ジエチルトルエンジアミンの異性体混合物、ジメチルチオトルエンジアミンの異性体およびジメチルチオトルエンジアミンの異性体混合物からなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つのヒドロキシル基を有する有機化合物B)(2)は、分子量1,000〜4,000を有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
スズ触媒は、有機スズ(IV)触媒を含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記エラストマーを、成形品を脱型した後、少なくとも約100℃の温度で少なくとも8時間、後硬化させる請求項1に記載の方法。

【公開番号】特開2009−52053(P2009−52053A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284332(P2008−284332)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【分割の表示】特願2002−297420(P2002−297420)の分割
【原出願日】平成14年10月10日(2002.10.10)
【出願人】(392010599)バイエル・コーポレーシヨン (12)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CORPORATION
【Fターム(参考)】