説明

光導電性部材

【課題】例えば、青色光照射に対して優れた感光性を有する光伝導性部材用の材料を提供する。
【解決手段】次の構造式を持つ化合物であって、式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、および炭化水素から成る群より独立して選ばれる。


(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ビスベンゾイミダゾールペリノン(bisbenzamidazoleperinones)類またはビスベンゾイミダゾールペリノンダイマー類を含む多層型光導電性画像形成部材に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書は、適当な青色波長の光に同時または逐次的に露光可能なこの光発生層は、優れたサイクル安定性、独立した層放電、良好な暗減衰特性を示し、画像形成部材の電気的性質を変えることができ、また長期に亘って性能が殆ど劣化しない。
【0003】
本件に示す多層型光導電性画像形成部材は、マルチコピー/ファクス装置、電子写真画像形成法、特に、負または正に荷電した画像を適当な電荷極性のトナー組成物で可視像化する電子写真画像形成および印刷法など、多くの様々な公知の画像形成および印刷法に用いることができる。この画像形成部材は、実施の形態において、例えば、約900〜約300nm、約350〜約450nm、または約370〜約425nmの波長域に感度を持つ。この画像形成部材は、1回の通過で多色刷りが可能なカラー電子写真画像形成法に用いることができる。
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,265,990号明細書
【特許文献2】米国特許第4,419,427号明細書
【特許文献3】米国特許第4,429,029号明細書
【特許文献4】米国特許第4,501,906号明細書
【特許文献5】米国特許第4,555,463号明細書
【特許文献6】米国特許第4,587,189号明細書
【特許文献7】米国特許第4,709,029号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成部材は、例えば、青色光照射に対して優れた感光性を有する感光性画像形成物が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
青色光の放射に対して優れた感光性を持つ感光性画像形成部材、青色光に感度を持つ多層型感光性画像形成部材であって、実施の形態において、電気的性質が調節可能であって所定の性質とすることができ、良好な暗減衰特性と高い感光性を持つ部材を提示する。青色光、例えば約350〜約450nmまたは約370〜約425nmの波長域に感光性を持つ、ビスベンゾイミダゾールペリノン類またはビスベンゾイミダゾールペリノンダイマー類を含む多層型感光性画像形成部材を提示する。更に、ビスベンゾイミダゾールペリノン光発生成分を含む光発生層を備え、この層を支持基材上に設けることのできる、光導電性画像形成部材を提示する。本件に開示の感光性または光導電性画像形成部材は電子写真などの画像形成法に使用することができる。
【0007】
支持基材とその上の光発生層とを含む光導電性部材コンポーネントであって、光発生層は、次の構造式で示されるビスベンゾイミダゾールペリノンまたはそのダイマー(二量体)類を含む。
【化1】


(1)
式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは飽和または不飽和の環を形成するよう配置されている。アルキルは約1〜約25個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアルキル成分の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびより炭素数の多い直鎖アルキル基が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。必要に応じて、アルキル成分を、単環または多環系を成すような形に配置する。アリールは約6〜約48個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアリール成分の例としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、またはより炭素数の多い縮合芳香環系が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から選ぶことができる(但し、これらに限定するものではない)。更に、水素を選んでも良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
記録媒体上に画像を形成するための画像形成装置は、以下のコンポーネントを含むものである。
【0009】
a)その上に静電潜像を受けるための電荷保持面を備えた感光体部材。前記感光体部材は、支持基材とその上の光発生層とを含む光導電性部材コンポーネントを含み、光発生層は、次の構造式で示されるビスベンゾイミダゾールペリノンを含む。
【化2】


(1)
【0010】
式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは飽和または不飽和の環を形成するよう配置されている。
【0011】
b)現像剤材料を前記電荷保持面に塗布して前記静電潜像を現像し、前記電荷保持面上に現像した画像を生成するための現像コンポーネント。
【0012】
c)前記現像画像を前記電荷保持面から別の部材またはコピー被印刷体へ転写するための転写コンポーネント。
【0013】
d)前記現像画像を前記コピー被印刷体へ定着するための定着部材。
【0014】
基材とその上の光発生層と電荷輸送層とを含む画像形成部材であって、光発生層は、次の構造式で示されるビスベンゾイミダゾールペリノンを含む。
【化3】


(1)
【0015】
式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは飽和または不飽和の環を形成するよう配置されている。電荷輸送層は、その中に分散させた電荷輸送材料を含む。
【0016】
次の構造式で示される化合物またはそのダイマー類である。
【化4】


(1)
【0017】
式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、および炭化水素から成る群より独立して選ばれる。
【0018】
ビスベンゾイミダゾールペリノン類の例としては、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物と3,4−ジアミノトルエンとの縮合より得られた生成物の混合物である、次の構造式で示されるもの、
【化5】


(2)
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物と3,4−ジアミノクロロベンゼンとの縮合より得られた生成物の混合物である、次の構造式で示されるもの、
【化6】


(3)
および、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物と2,3−ジアミノナフタレンとの縮合より得られた生成物の混合物である、次の構造式で示されるものが挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。
【化7】


(4)
【0019】
ビスベンゾイミダゾールペリノン類は、多くの方法、例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物と1,2−アリーレンジアミンとを反応させて粗生成物を生成する方法で調製できる。これを単離および/または精製後、結晶化および/またはトレイン(train)昇華などの処理を行って、光発生体成分とする。これらの化合物の構造変異体は容易に調製可能である。所望ならばこれを、真空蒸着などにより感光体デバイス中の発生体層としても良い。例えば、次のような反応スキームを用いることができる。
【化8】



式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは環を形成するよう配置されている。アルキルは約1〜約25個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアルキル成分の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびより炭素数の多い直鎖アルキル基が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。必要に応じてアルキル成分を、単環または多環系を成すように配置する。アリールは約6〜約48個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアリール成分の例としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、またはより炭素数の多い縮合芳香環系が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ぶことができる(但し、これらに限定するものではない)。更に、水素を選んでも良い。
【0020】
このような化合物は、適当な方法、例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物と等モル量(無水物に対し)または僅かに過剰量(無水物に対し)の1,2−ジアミノアリーレン化合物との、適度に沸点の高い極性溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、m−クレゾールなど)中、一般に触媒(例えば、約1〜約10モル%の量の、亜鉛、アルミニウム、鉄、ガリウム、スズなどの塩より選ばれる)存在下、約150〜約200℃の温度での、1工程、1容器反応で製造できる。一定時間反応温度に置いた後、反応混合物を放冷し、通常、イソプロパノールなどのアルコールで希釈する。一般にアルコールに不溶な粗生成物は、通常の濾過技術で取り出すことができる。この化合物を光発生体として用いる前に、例えば、分別またはトレイン昇華および/または適当な溶媒からの晶出および/または不要な不純物の溶解に適した熱または冷溶媒中での撹拌などの精製処理を行っても良い。
【0021】
支持基材とその上の光発生層とを含み、光発生層が、次の構造式で示される1,8−ナフタレンベンゾイミダゾール(1,8-naphthalenebenzimidazole)またはそのダイマー類を含む光導電性部材コンポーネントを開示する。
【化9】


(4)
式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは環を形成するよう配置されている。アルキルは約1〜約25個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアルキル成分の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびより炭素数の多い直鎖アルキル基が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。必要に応じてアルキル成分を、単環または多環系を成すように配置する。アリールは約6〜約48個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアリール成分の例としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、またはより炭素数の多い縮合芳香環系が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ぶことができる(但し、これらに限定するものではない)。更に、水素を選んでも良い。
【0022】
1,8−ナフタレンベンゾイミダゾール類の例としては、次の構造式で示されるものが挙げられる。
【化10】


(5)


(6)
【0023】
1,8−ナフタレンベンゾイミダゾール類は、多くの方法、例えば、1,8−ナフタレンジカルボン酸二無水物と1,2−アリーレンジアミンとを反応させて粗生成物を生成する方法で調製できる。これを単離および/または精製後、トレイン昇華による結晶化および/または適当な溶媒からの晶出および/または不要な不純物の溶解に適した熱または冷溶媒中での撹拌などの処理を行って、光発生体成分とする。これらの化合物は多くの構造変異体が容易に調製可能である。所望ならばこれを、例えば真空蒸着などにより感光体デバイス中の発生体層としても良い。例えば、次のような反応スキームを用いることができる。
【化11】



式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは環を形成するよう配置されている。アルキルは約1〜約25個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアルキル成分の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびより炭素数の多い直鎖アルキル基が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。必要に応じてアルキル成分を、単環または多環系を成すように配置する。アリールは約6〜約48個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアリール成分の例としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、またはより炭素数の多い縮合芳香環系が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ぶことができる(但し、これらに限定するものではない)。更に、水素を選んでも良い。
【0024】
このような化合物は、適当な方法、例えば、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物と等モル量(無水物に対し)または僅かに過剰量の4,5−ジハロ−1,2−フェニレンジアミン化合物との、適度に沸点の高い極性溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、m−クレゾールなど)中、一般に触媒(典型的に、例えば、約1〜約10モル%の量の、亜鉛、アルミニウム、鉄、ガリウム、スズなどの塩より選ばれる)存在下、約150〜約200℃の温度での、1工程、1容器反応で製造できる。一定時間反応温度に置いた後、反応混合物を放冷し、通常、イソプロパノールなどのアルコールで希釈する。一般にアルコールに不溶な粗生成物は、通常の濾過技術で取り出すことができる。この化合物を光発生体として用いる前に、例えば、分別またはトレイン昇華および/または適当な溶媒からの晶出および/または不要な不純物の溶解に適した熱または冷溶媒中での撹拌などの精製処理を行っても良い。
【0025】
更に、支持基材とその上の光発生層とを含み、光発生層が、次の構造式で示されるイミドベンゾイミダゾールペリノン(imidobenzamidazoleperinone)またはそのダイマー類を含む光導電性部材コンポーネントを開示する。
【化12】


(7)
式中、R、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは環を形成するよう配置されている。アルキルは約1〜約25個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアルキル成分の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびより炭素数の多い直鎖アルキル基が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。必要に応じてアルキル成分を、単環または多環系を成すように配置する。アリールは約6〜約48個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアリール成分の例としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、またはより炭素数の多い縮合芳香環系が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ぶことができる(但し、これらに限定するものではない)。更に、水素を選んでも良い。
【0026】
イミドベンゾイミダゾールペリノン類の例としては次の構造式で示されるものが挙げられる。
【化13】


(8)



(9)
【0027】
イミドベンゾイミダゾールペリノン類は、多くの方法、例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物と1,2−アリーレンジアミンとを反応させて、一無水物−モノイミダゾールを含む中間生成物を生成し、これを必要に応じて単離および精製する方法で調製できる。一無水物−モノイミダゾールを更に、例えば過剰の1級アルキルアミンとNMP中で反応させて粗生成物とし、一定時間反応温度に置いた後、反応混合物を放冷し、通常、イソプロパノールなどのアルコールで希釈する。一般にアルコールに不溶な粗生成物は、通常の濾過技術で取り出すことができる。この化合物を光発生体として用いる前に精製処理を行っても良い。これらの化合物は多くの構造変異体が容易に調製可能である。所望ならばこれを、例えば真空蒸着などにより感光体デバイス中の発生体層としても良い。例えば、次の反応スキームを用いることができる。
【化14】



式中、R、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは環を形成するよう配置されている。アルキルは約1〜約25個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアルキル成分の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびより炭素数の多い直鎖アルキル基が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。必要に応じてアルキル成分を、単環または多環系を成すように配置する。アリールは約6〜約48個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアリール成分の例としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、またはより炭素数の多い縮合芳香環系が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ぶことができる(但し、これらに限定するものではない)。更に、水素を選んでも良い。
【0028】
このような化合物は一般に、適当な方法、例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物と等モル量または僅かに過剰の1,2−アリーレンジアミンとを、塩基、例えば水酸化カリウム水溶液中で反応させて、中間体の一無水物−モノイミダゾールを生成する、2工程反応で製造できる。一無水物−モノイミダゾールを過剰の1級アルキルアミンと、例えば、適度に沸点の高い極性溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミン、m−クレゾールなど)中、一般に触媒(例えば、約1〜約10モル%の量の、亜鉛、アルミニウム、鉄、ガリウム、スズなどの塩より選ばれる)存在下、約150〜約200℃の温度で反応させて、所望のイミドベンゾイミダゾールペリノンを生成する。一定時間反応温度に置いた後、反応混合物を放冷し、通常、イソプロパノールなどのアルコールで希釈する。一般にアルコールに不溶な粗生成物は、通常の濾過技術で取り出すことができる。この化合物を光発生体として用いる前に精製処理を行っても良い。
【0029】
更に、支持基材とその上の光発生層とを含み、光発生層が、次の構造式で示される一無水物−モノベンゾイミダゾールペリノンまたはそのダイマー類を含む光導電性部材コンポーネントを開示する。
【化15】


(10)
式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは環を形成するよう配置されている。アルキルは約1〜約25個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアルキル成分の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびより炭素数の多い直鎖アルキル基が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。必要に応じてアルキル成分を、単環または多環系を形成するように配置する。アリールは約6〜約48個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアリール成分の例としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、またはより炭素数の多い縮合芳香環系が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ぶことができる(但し、これらに限定するものではない)。更に、水素を選んでも良い。
【0030】
一無水物−モノベンゾイミダゾールペリノン類の例としては、次の構造式で示されるものが挙げられる。
【化16】


(11)



(12)
【0031】
一無水物−モノベンゾイミダゾールペリノン類は、多くの方法、例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物と1モル当量(無水物に対して)の1,2−アリーレンジアミンとを、適度に沸点の高い極性溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミン、m−クレゾールなど)中、一般に触媒(典型的に、例えば、約1〜約10モル%の量の、亜鉛、アルミニウム、鉄、ガリウム、スズなどの塩より選ばれる)存在下、約150〜約200℃の温度で反応させて粗生成物を生成する方法で調製できる。一定時間反応温度に置いた後、反応混合物を放冷し、通常、イソプロパノールなどのアルコールで希釈する。一般にアルコールに不溶な粗生成物は、通常の濾過技術、例えば、まず粗生成物を水酸化カリウムなどの水酸化物塩基の水溶液に溶解して濾過し、適当なプロトン酸(例えば塩酸、硝酸など)で酸性化して一定時間加熱後、通常の濾過技術で取り出すことができる。この化合物を光発生体として用いる前に、分別またはトレイン昇華および/または適当な溶媒からの晶出および/または不要な不純物の溶解に適した熱または冷溶媒中での撹拌などの精製処理を行っても良い。これらの化合物は多くの構造変異体が容易に調製可能である。所望ならばこれを、真空蒸着などにより感光体デバイス中の発生体層としても良い。例えば、次の反応スキームを用いることができる。
【化17】


【0032】
式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、炭化水素、およびハロゲンから成る群より独立して選ばれ、炭化水素は必要に応じて置換され、あるいは環を形成するよう配置されている。アルキルは約1〜約25個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアルキル成分の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびより炭素数の多い直鎖アルキル基が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。必要に応じてアルキル成分を、単環または多環系を成すように配置する。アリールは約6〜約48個の炭素原子を含むよう選ぶことができる。適当なアリール成分の例としては、フェニル、ナフチル、アントラニル、またはより炭素数の多い縮合芳香環系が挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ぶことができる(但し、これらに限定するものではない)。更に、水素を選んでも良い。
【0033】
このような化合物は一般に、適当な方法、例えば、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物と1モル当量(無水物に対して)の1,2−アリーレンジアミンとを、適度に沸点の高い極性溶媒(例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミン、m−クレゾールなど)中、一般に触媒(典型的に、例えば約1〜約10モル%の量の、亜鉛、アルミニウム、鉄、ガリウム、スズなどの塩より選ばれる)存在下、約150〜約200℃の温度で反応させて粗生成物を生成する方法で製造できる。一定時間反応温度に置いた後、反応混合物を放冷し、通常、イソプロパノールなどのアルコールで希釈する。一般にアルコールに不溶な粗生成物は、通常の濾過技術、例えば、まず粗生成物を水酸化カリウムなどの水酸化物塩基の水溶液に溶解して濾過し、適当なプロトン酸(例えば、塩酸、硝酸など)で酸性化して一定時間加熱後、通常の濾過技術で取り出すことができる。あるいは、例えば、この化合物を光発生体として用いる前に精製処理を行っても良い。実施の形態では、以下のものを提示する。光発生層の厚さが約0.1〜約60μmまたは1〜約30μmであり、光発生体成分の量がバインダの約0.05〜約90重量%または約20〜約90重量%であり(成分の合計は約100%)、光発生体成分が約10〜約75重量%のポリマーバインダ中に分散している部材。;約350〜約450nmまたは約370〜約425nmの波長の光を吸収し、支持基材が金属を含む伝導性基材から成り、伝導性基材が、アルミニウム、アルミニウム化ポリエチレンテレフタラートまたはチタン化ポリエチレンテレフタラート、あるいは、金属層が1種類の金属または金属混合物から成る金属化プラスチックフィルムであって、プラスチックフィルムが、支持基材として作用するのに適した機械的性質を備えたフィルムであり、光発生体バインダが、ポリエステル類、ポリビニルブチラール類、ポリカーボネート類、ポリスチレン−b−ポリビニルピリジン、およびポリビニルホルミル(formyl)類から成る群より選ばれる部材。;電荷輸送層がアリールアミン分子を含む正孔輸送層であり、この層が約350〜約450nmまたは約370〜約425nmの放射に対して透明である画像形成部材。;画像形成部材上に静電潜像を生成する工程と、潜像を現像する工程と、現像した静電画像を適当な被印刷体に転写する工程と、を含む画像形成法であって、画像形成部材を約350〜約450nmまたは約370〜約425nmの波長の光に露光する画像形成法。
【0034】
光発生層の厚さは、約0.1〜約60μmまたは約1〜約30μm、電荷輸送層の厚さは、約5〜約200μm、約10〜約100μm、または約15〜約30μmとすることができ、それぞれの層は、約10〜約75重量%のポリマーバインダを含むものとすることができ、光発生層(光発生成分)は、約10〜約70重量%の量とすることができ、バインダは、約30〜約90重量%の量とすることができる。
【0035】
光発生成分および電荷輸送成分は、適当なバインダ、例えば、ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリビニルブチラール、ポリシロキサン類、およびポリウレタン類などのポリマーバインダ中に分散している。光発生顔料は、様々な含有量、例えば約0.05〜約90重量%、約10〜約90重量%、または約15〜約50重量%とすることができ、ポリマーバインダの含有量は、約10〜約90重量%、約25〜約75重量%、または約25〜約50重量%とすることができる。この層の厚さは、例えば約0.1〜約60μmまたは約1〜約30μmとすることができる。
【0036】
更に、適当な接着層を用いても良く、この層は、例えば基材と単一層の間に設けることができる。接着剤の例としては、VITEL(登録商標)PE100およびPE200(グッドイヤー・ケミカルズ(Goodyear Chemicals)製)またはMOR−ESTER4,9000(登録商標)(ノートン・インターナショナル(Norton International)製)などのポリエステル類が挙げられる。この接着層は、テトラヒドロフランおよび/またはジクロロメタンなど適当な溶媒を用いて支持基材上に被覆でき、その厚さの範囲は、例えば約0.001〜約5μm、約0.1〜約3μmとすることができる。
【0037】
光導電性画像形成部材は、成分を分散液として被覆するなど、多くの方法で経済的に調製可能である。感光性画像形成部材は多くの公知の方法で調製でき、その加工パラメータは、例えば所望とされる部材に応じて変わる。画像形成部材に用いられる光発生および電荷輸送成分は、溶液または分散液として、スプレーコータ、浸漬コータ、押出コータ、ローラコータ、巻き線棒コータ、スロットコータ、ドクターブレードコータ、グラビアコータなどを用いて選定した基材上に被覆し、例えば約40〜約200℃の温度で適当な時間、例えば約10分〜約10時間、静止状態または気流中で乾燥することができる。被覆は、最終的なコーティングの厚さが、例えば、乾燥後で約0.01〜約30μmとなるように行うことができる。所定の光導電層に関する製造条件は、最終的な部材が最良の性能とコストで得られるよう調整することができる。実施の形態において、被覆はまた、例えば約40〜約150℃で、例えば約5〜約90分間乾燥した後の光発生層の最終乾燥厚さが、例えば約0.1〜約50μmまたは約1〜約10μmとなるよう、スプレー、浸漬、または巻き線棒法で行っても良い。
【0038】
本画像形成部材のために選定される基材層の例は、不透明またはほぼ透明で、必要な機械的性質を備えた適当な材料から成るもので良い。基材は、無機または有機ポリマー材料(例えば、市販のポリマーであるMYLAR(登録商標)、チタン含有MYLAR(登録商標)など)を含む絶縁材料の層、インジウムスズオキシドなどの半導体表面層を備えた、またはその上にアルミニウムを配置した有機または無機材料の層、あるいは、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、ジルコニウム、真鍮など(但し、これらに限定するものではない)の導電性材料を含むものであっても良い。基材は、可撓性、シームレス、または堅牢であって、例えば、板状、円筒形ドラム、スクロール、エンドレス可撓性ベルトなど、多くの様々な形状を持つ。ある実施の形態では、基材はシームレス可撓性ベルトの形である。基材が可撓性の有機ポリマー材料などである場合、基材の裏側に、MAKROLON(登録商標)として市販のポリカーボネート材料などの抗カール層を被覆することが好ましい。
【0039】
基材層の厚さは、経済的考慮など多くの要因に応じて決まるため、この層は、相当な厚さ、例えば3,000μm以上、または最小の厚さとすることができる。ある実施の形態では、この層の厚さは約75〜約300μmである。
【0040】
支持基材に接する層の厚さは、基材の厚さや単一層に含まれる成分の量など、多くの要因に応じて決まる。従ってこの層の厚さは、例えば約0.1〜約50μm、約1〜約10μmとすることができる。実施の形態では、この層の最大厚さは主に、感光性、電気的性質、および機械的考慮などの要因に応じて決まる。バインダ樹脂は、様々な適当な量、例えば約5〜約70重量%、約10〜約50重量%とすることができ、また、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、ポリエステル類、 ポリカーボネート類、ポリ塩化ビニル、ポリアクリラート類およびポリメタクリラート類、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体、フェノキシ樹脂、ポリウレタン類、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyarylonitrile)、ポリスチレンなど、多くの公知のポリマーを含むことができる。単一層の被覆に用いる溶媒は、例えば、ケトン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、エーテル類、アミン類、アミド類、エステル類などを含むことができる。例としては、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコール、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメチレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸メトキシエチルなどが挙げられる(但し、これらに限定するものではない)。
【0041】
通常、支持基材に接している必要に応じた接着層は、本件に示すポリエステル類、ポリアミド類、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、およびポリアクリロニトリルなど、様々な公知の物質とすることができる。この層は適当な厚さ、例えば約0.001〜約25μmの厚さである。必要に応じてこの層に、酸化亜鉛、二酸化チタン、窒化ケイ素、カーボンブラックなどの導電性および非導電性粒子を、効果的で適当な量、例えば約1〜約10重量%加えて、例えば実施の形態において、更に好ましい電気的および光学的性質とする。
【0042】
光発生層に接している正孔輸送層に用いるためのアリールアミン類としては、次の構造式で示される分子が挙げられる。
【化18】



式中、R〜R15は、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アルコキシルアルキル、フェニル、ナフチルおよびより炭素数の多い芳香族化合物(例えばアントラセン)、他の縮合芳香環系(例えばカルバゾール)、スチルベン、ハロゲン、および水素などから成る群より独立して選ばれる。R〜R15のそれぞれは、合計原子数が約1〜約50、約1〜約10、または約1〜約5となるよう選ぶことができる。R〜R15は、R〜R15の少なくとも1つが、アルコキシ(例えばメトキシ)またはアルキル(例えばメチル)であるように選ぶことができる。ある特定の実施の形態では、ビス(3,4−ジメチルフェニル)−4−メトキシフェニルアミンまたはトリトリルアミンを含む。別の特定の実施の形態では、上記のもののダイマー類であるがベンジジン型でないもの、例えば1,1−ビス(ジ−4−トリルアミノフェニル)シクロヘキサンを含む。更に別の実施の形態では、アリールアミン化合物の混合物の例、例えばトリトリルアミンと1,1−ビス(ジ−4−トリルアミノフェニル)シクロヘキサンとの混合物を用いることができる。
【0043】
その他公知の電荷輸送分子を使用することができる。
【0044】
正孔輸送分子に対するポリマーバインダの例としては、ポリカーボネート類、アクリラートポリマー類、ビニルポリマー類、セルロースポリマー類、ポリエステル類、ポリシロキサン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、およびエポキシ類、またそのブロック、ランダム、または交互共重合体が挙げられる。分子量約2万〜約10万または約5万〜約10万のポリカーボネート樹脂を含む電気的に不活性なバインダ類を選ぶことができる。
【0045】
更に、感光性または光導電性部材を用いた、一般に、画像形成部材上に静電潜像を生成する工程と、次に、例えば、熱可塑性樹脂と、顔料などの着色剤と、電荷添加剤と、表面添加剤とを含むトナー組成物を用いてこの画像を現像する工程と、次に、画像を適当な被印刷体に転写する工程と、例えば熱によって画像をそれに恒久的に定着する工程とを含む、画像形成および印刷法を含む。この部材を印刷用に用いる場合、露光工程をレーザーデバイスまたはイメージバーで行う以外、画像形成法は同じである。
【実施例】
【0046】
<実施例1>
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(1当量)と、3,4−ジアミノトルエン(2.5当量)と、酢酸亜鉛(II)(5モル%)とを、N−メチル−1,2−ピロリドン(NMP)(固体量10重量%)中で5時間加熱還流し、室温まで放冷して濾過した。濾過ケークをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(20ml×3回)とメタノール(20ml×3回)で洗い、減圧下(約10mmHg)約80℃で一晩乾燥して、2.5gの、構造(2)を持つビスベンゾイミダゾールペリノンを得た。2.5gのビスベンゾイミダゾールペリノンを、当業者に公知(例えば、H. J. Wagner, R. O. Loutfy and C.-K. Hsaio, J. Mater. Sc. 17, 2781, 1982に記載)のような、トレイン(train)昇華によって精製し、2gのビスベンゾイミダゾールペリノンを得た。その純度と絶対同定は、主にH核磁気共鳴スペクトル法(溶媒としてCDCl/TFA−d(3/1v/v)(容量比3:1で混合した重水素化クロロホルムと重水素化トリフルオロ酢酸との混合物)、内標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用)と元素分析を用いて確認した。
【0047】
<実施例2>
5000Åの薄膜は、Balzer BAE080(登録商標)コータ中での真空蒸着により調製した。実施例1に記載の化合物をタンタル製ボートに載せ、充填後栓をした。蒸発の間、系の圧力を<10−5mmHgで安定に保った。顔料の昇華が始まる温度に達するまでボートを徐々に加熱した。厚さ75μmのチタン化MYLAR(登録商標)基材(この基材は上部に厚さ0.1μmのシラン層を備えている)を源の上に置き、石英結晶モニターで観測しながら2〜4Å/秒の制御した速度で顔料蒸気を蒸着させた。
【0048】
<実施例3>
70gの1/8”(約3.2mm)ステンレススチール製ショットを加えた30mlのガラス瓶に、0.2gの、実施例1に記載の化合物と、0.05gのポリ−N−ビニルカルバゾール(PVK)と、10.5gのジクロロメタンとを入れ、ロールミル上に置いて3日間穏やかに回転させて混合した。間隙幅1.5ミル(約38.1μm)のフィルムアプリケータを用いて、厚さ75μmのチタン化MYLAR(登録商標)基材(この基材は上部に厚さ0.1μmのシラン層を備えている)上に顔料分散液を被覆した。その後、生成した光発生体層を、強制換気オーブン中135℃で20分間乾燥した。
【0049】
<実施例4>
2.025gのポリカーボネート(PC(Z)400)と、0.675gのトリトリルアミンと、0.675gの1,1−ビス(N,N−ジトリル−4−アミノフェニル)シクロヘキサンと、15.38gのジクロロメタンとを混合して、輸送層溶液を調製した。生成した溶液を、間隙幅10ミル(254μm)のフィルムアプリケータを用いて上記の光発生層上に被覆した。得られた光導電性部材を強制換気オーブン中135℃で20分間乾燥した。輸送層の最終乾燥厚さは25μmであった。
【0050】
<実施例5>
上記で調製した光導電性画像形成部材と他の類似の部材の電子写真における電気的性質は、表面電位が約−800ボルト(電位計に接続した容量結合プローブで測定)の初期値Vに達するまで、コロナ放電源を用いてその表面を静電気によって荷電するなど、公知の手段で求めることができる。暗所中に0.5秒間置いた後の荷電部材は、Vddp(暗現像電位)の表面電位を保持している。次に、それぞれの部材をフィルタに通したキセノンランプからの光に露光すると、光放電が誘発されて表面電位がVbg値(バックグラウンド電位)に低下する。光放電の割合は、100×(Vddp−Vbg)/Vddpとして算出した。露光光の所望の波長とエネルギーは、ランプの前に置くフィルタの種類により決定した。単色光感光性は、狭帯域通過フィルタを用いて求めた。画像形成部材の感光性は一般に、Vddpからその初期値の半分まで50%光放電させるために必要な露光の量(E1/2で表す)(エルグ/cm)で表される。感光性が高いとE1/2値は小さくなる。最後にデバイスを適当な光強度の消去ランプで露光し、残留電位(Vresidual)を測定した。画像形成部材は、400nmの波長の露光用単色光と、約400〜約800nmの波長の消去用広帯域光を用いて試験した。
【0051】
<比較例1>
3,4−ジアミノトルエンを等量(モルで)の3,4−ジメチル−1,2−フェニレンジアミンに変える以外は実施例1に記載の方法と同じ手法で行った。
【0052】
<比較例2>
3,4−ジアミノトルエンを等量(モルで)の2,3−ジアミノナフタレンに変える以外は実施例1に記載の方法と同じ手法で行った。
【0053】
<比較例3>
3,4−ジアミノトルエンを等量(モルで)の4−クロロ−1,2−フェニレンジアミンに変える以外は実施例1に記載の方法と同じ手法で行った。
【0054】
<比較例4>
3,4−ジアミノトルエンを等量(モルで)の1,2−フェニレンジアミンに変える以外は実施例1に記載の方法と同じ手法で行った。
【表1】

DD=暗減衰;S=感度;E1/2=電荷を初期値の1/2に低下させる露光;E7/8=電荷を初期値の7/8に低下させる露光;V=残留電位
【0055】
実施例1の顔料を用いて実施例4の方法で製造した光導電性画像形成部材は、負に荷電した場合、暗減衰が2ボルト/秒、感度が85Vエルグ/cm、E1/2が5.54エルグ/cm、Vresidualが17ボルトであった。この部材は400nmの波長の青色光に感度を持つものであった。この波長は、キセノンランプの前に置いた400nm単帯域通過フィルタより発生させた。
【0056】
実施例2の顔料を用いて実施例4の方法で製造した光導電性画像形成部材は、負に荷電した場合、暗減衰が2ボルト/秒、感度が76Vエルグ/cm、Vresidualが14ボルトであった。この部材は400nmの波長の青色光に感度を持つものであった。この波長は、キセノンランプの前に置いた400nm単帯域通過フィルタより発生させた。
【0057】
<実施例6>
【化19】



1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物(9.9g、0.05モル)と、4,5−ジクロロ−1,2−ジクロロフェニレンジアミン(8.5g、0.05モル)と、酢酸亜鉛(II)(2.2g、0.01モル)とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(20ml)中で5時間加熱還流し、室温まで放冷して濾過した。濾過ケークをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(50ml×3回)とメタノール(50ml×3回)で洗い、減圧下(約10mmHg)約80℃で一晩乾燥して、2.1gの、構造(5)を持つ1,8−ナフタレンベンゾイミダゾールを得た。2.1gの1,8−ナフタレンベンゾイミダゾールを、当業者に公知のトレイン昇華によって精製し、1.8gの1,8−ナフタレンベンゾイミダゾールを得た。その純度と絶対同定は、主にH核磁気共鳴スペクトル法(溶媒としてCDCl/TFA−d(3/1v/v)、内標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用)と元素分析を用いて確認した。
【0058】
<実施例7>
【化20】



1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸(60.8g、0.2モル)と、酢酸亜鉛(II)無水物(6g)とを、N,N−ジメチルホルムアミド(NMP)(800ml)中で加熱還流し、粉末の1,2−フェニレンジアミン(21.6g、0.2モル)を2時間かけて加え、1,2−フェニレンジアミンの添加完了後1時間還流を続け、その後放冷して固体を取り出した。この固体を、水酸化カリウム(33g)を加えた水(1リットル)に入れて80℃に加熱し、濾過して不溶物を除いた。濾液に濃リン酸(35ml)を加えて酸性化し、生成した懸濁液を90℃で2時間加熱後、固体を除いて凍結乾燥し、モノベンゾイミダゾール−一無水物ペリノン(40.46g)を得た。モノベンゾイミダゾール−一無水物ペリノンの純度と絶対同定は、主にHおよび13C核磁気共鳴スペクトル法(溶媒としてジメチルスルホキシド−d、内標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用)と元素分析を用いて確認した。3.4gのモノベンゾイミダゾール−一無水物ペリノン化合物をn−ブチルアミン(1.09g)およびNMP(12ml)中で5時間加熱還流し、室温まで放冷して濾過した。濾過ケークをDMF(20ml×3回)とメタノール(20ml×3回)で洗い、減圧下(約10mmHg)約80℃で一晩乾燥して、3.6gの、構造(8)を持つイミドベンゾイミダゾールペリノンを得た。2.45gのイミドベンゾイミダゾールペリノンを、当業者に公知のトレイン昇華によって精製し、1.8gのイミドベンゾイミダゾールペリノンを得た。その純度と絶対同定は、主にH核磁気共鳴スペクトル法(溶媒としてCDCl/TFA−d(3/1v/v)、内標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用)と元素分析を用いて確認した。
【0059】
<実施例8>
【化21】



1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸(60.8g、0.2モル)と、酢酸亜鉛(II)(6g)とを、N,N−ジメチルホルムアミド(800ml)中で加熱還流し、粉末の1,2−フェニレンジアミン(21.6g、0.2モル)を2時間かけて加え、添加完了後1時間還流を続け、その後室温まで放冷して生成した固体を集めた。この固体を、水酸化カリウム(33g)を加えた水(1リットル)に入れ、80℃で2時間加熱後濾過した。濾液に濃リン酸(35ml)を加えて酸性化し、生成した懸濁液を90℃で2時間加熱し、適当な方法で固体を除いて凍結乾燥し、モノベンゾイミダゾール−一無水物ペリノン(40.46g)を得た。その純度および絶対同定は、主にHおよび13C核磁気共鳴スペクトル法(溶媒としてジメチルスルホキシド−d、内標準としてとしてテトラメチルシラン(TMS)を使用)と元素分析を用いて確認した。
【0060】
先に述べた、またその他の様々な特徴および機能、あるいはその変更は、多くの他の様々な装置および用途に好ましく組み合わせられることは明らかである。更に、今後当業者によって行われる、現在まだ予見または予想されていないその様々な変更、変形、変化、または改良も、添付の請求項に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式を持つ化合物であって、
【化1】


(1)
式中、R、R、R、およびRのそれぞれは同じまたは異なるものであって、水素、アルキル、アリール、および炭化水素から成る群より独立して選ばれることを特徴とする化合物。
【請求項2】
次の構造式で示されるビスベンゾイミダゾールペリノン(bisbenzamidazoleperinon)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化2】


【請求項3】
次の構造式で示されるビスベンゾイミダゾールペリノンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化3】


【請求項4】
次の構造式で示されるビスベンゾイミダゾールペリノンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化4】


【公開番号】特開2007−161711(P2007−161711A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334262(P2006−334262)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】