説明

光情報記録媒体、および再生方法

【課題】再生エラーが生じ難い光記録媒体を提供することにある。
【解決手段】本発明に係る光記録媒体は、媒体識別情報が記録されている第1領域とコンテンツ情報が記録される第2領域との間に、少なくとも2周以上のトラックが形成されているブランク領域を備えており、ブランク領域には、情報が記録されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生装置が有する光学系の解像限界より短い長さのプリピットを含むプリピット列、または、再生装置が有する光学系の解像限界より短い長さの記録マークを含む記録マーク列で情報が記録され、その記録された情報が超解像技術を用いて再生される超解像光記録媒体と、その再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像等のデータ量の大きな情報を扱う機会が多くなっている。このため、光記録媒体の高記録密度化が求められている。そこで、再生装置が有する光学系の解像限界より短い長さの凹及び/または凸からなるプリピットで情報を記録する光記録媒体と、この光記録媒体を再生するための超解像技術とが提案されている。以下、本明細書においては、超解像技術を用いて再生する光記録媒体を「超解像媒体」または「超解像光記録媒体」と呼び、従来の光記録媒体、すなわち、超解像技術を使用する必要がない、再生装置が有する光学系の解像限界より長い長さのプリピットで情報が記録される光記録媒体を「通常媒体」または「通常光記録媒体」と呼ぶ。なお、光学系の解像限界は、再生装置から媒体へ照射されるレーザ光の波長と光学系の開口数とによって決まる。
【0003】
超解像媒体としては、特許文献1および2に開示されているような光記録媒体が挙げられる。
【0004】
特許文献1に開示されている超解像媒体では、温度によって透過率等の光学特性が変化するサーモクロミック層が、反射層のレーザ光入射面側に設けられている。上記サーモクロミック層は、ある程度高いパワーのレーザ光が照射されることにより、レーザ光のスポットを擬似的に限縮する超解像効果を生じさせ、マスク層として機能する。上記マスク層上の上記スポット内に、光強度分布により生じる温度分布によって、透過率の分布が生じる。例えば、温度が高くなると透過率が高くなる材料を上記マスク層に用いる場合、温度が高い部分の透過率のみが高くなり、上記反射層面上に生じる上記スポットが擬似的に縮小されるので、光学系解像限界より短い長さのプリピットを再生することができる。この特許文献1に示される技術は、書き換え可能な光記録媒体のみならず、再生専用の光記録媒体にも適応可能である。
【0005】
また、特許文献2に開示されている超解像媒体では、凹及び/または凸からなるプリピットによって情報が記録されている基板上に、薄い金属膜等からなる機能層と呼ばれる膜層が設けられている。現在のところ、特許文献2の超解像媒体は、その超解像技術の原理が解明されていないが、通常よりも高いパワーでレーザ光を照射し、このレーザ光照射による上記機能層の温度変化によって、光学系解像限界より短い長さのプリピットを再生することができる。
【特許文献1】特開2001−35012号公報(公開日:2001年2月9日)
【特許文献2】特開2001−250274号公報(公開日:2001年9月14日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、超解像媒体では、高いパワーのレーザ光を媒体に照射する。このレーザ光のパワーは、通常媒体を再生するためのレーザ光のパワーよりも大きくなる。
【0007】
したがって、通常媒体の再生を想定した再生装置では、レーザ光のパワーが低いため、超解像媒体を再生することができない。よって、超解像媒体は、再生不可能な媒体として排出されることになる。一方、超解像媒体の再生を想定した再生装置では、レーザ光のパワーが高いため、通常媒体を誤って挿入した場合、熱によって通常媒体を破壊してしまう可能性がある。あるいは、超解像媒体と通常媒体とでは、レーザ光のパワーのみならず、線速やクロックも異なるため、通常媒体は再生不可能な媒体として排出されることになる。
【0008】
そこで、本発明者らは、通常媒体と超解像媒体とのいずれの媒体も再生可能な互換性を有した再生装置を実現するために、図13および図14に示すような超解像媒体105を考案した。超解像媒体105は、領域101において、通常媒体と同様のトラックピッチで、かつ、通常媒体と同様の、再生装置の光学系の解像限界より長い長さのプリピットからなるプリピット列によって、超解像媒体105が超解像媒体であることを示す媒体識別情報がスパイラル状に記録されている。すなわち、上記媒体識別情報は、通常媒体用のレーザ光のパワーで再生できる。一方、領域102においては、コンテンツ情報が、領域101におけるトラックピッチよりも小さいトラックピッチで、かつ、再生装置の光学系の解像限界より短い長さのプリピットを含むプリピット列によって、スパイラル状に記録されている。
【0009】
このように、超解像媒体105では、媒体識別情報が通常媒体用のレーザ光のパワーで再生できるため、通常媒体と超解像媒体とのいずれの媒体も再生可能な互換性を有した再生装置を実現できる。具体的には、上記再生装置は、媒体が挿入されると、通常媒体用のパワーで媒体にレーザ光を照射し、媒体識別情報を読み取って、挿入された媒体が通常媒体と超解像媒体とのいずれであるかを判別する。この判別の結果、挿入された媒体が通常媒体であれば、コンテンツ情報の再生に移行し、挿入された媒体が超解像媒体105であれば、レーザ光のパワーを超解像媒体105用に切り替えて、コンテンツ情報の再生に移行する。
【0010】
ところが、上記再生装置の光学系が連続してトラッキングサーボ制御を行いながら領域101から領域102に移動できるように、互いに異なるトラックピッチの領域101におけるプリピット列と領域102におけるプリピット列とが連続して形成されるため、領域101から領域102の再生時において、再生エラーが生じやすいという問題がある。以下、この問題について、領域101と領域102との境界部分の拡大図である図14を用いて詳しく説明する。
【0011】
上述のように、領域101におけるプリピット列と領域102におけるプリピット列とは連続して形成されているため、領域101においては、領域102のプリピット列(プリピット列b)に隣接したプリピット列aが約1周分存在することになる。このプリピット列aは、1周のうちの何れかの部分で、隣接する領域102のプリピット列へのトラックピッチが、領域101のトラックピッチから領域102のトラックピッチへと小さくなっている。すなわち、プリピット列aは、領域102の隣接したプリピット列へのトラックピッチが、内周側とその反対側の外周側とで異なる部分を含んでいることになる。
【0012】
なお、領域101と同様に、領域102においては、領域101のプリピット列(プリピット列a)に隣接したプリピット列bが約1周分存在することになる。このプリピット列bは、1周のうちの何れかの部分で、隣接する領域101のプリピット列へのトラックピッチが、領域102のトラックピッチから領域101のトラックピッチへと大きくなっている。すなわち、プリピット列aと同様に、プリピット列bは、領域101の隣接したプリピット列へのトラックピッチが、内周側とその反対側の外周側で異なる部分を含んでいることになる。
【0013】
したがって、上記再生装置が、プリピット列aの再生を行うとき、プリピット列bによるノイズの影響を受けやすくなる。また、上記再生装置が、領域101における媒体識別情報を読み取って、レーザ光のパワーを超解像媒体用に切り替え、領域102におけるコンテンツ情報の再生を開始するとき、プリピット列aからプリピット列bへのトラックピッチが1周する間に変化し、かつ、内周側とその反対側の外周側とで異なる部分を含むことから、トラッキングサーボ制御が不安定になりやすい。トラッキングサーボ制御が不安定になれば、媒体の周方向への傾き(タンジェンシャルチルト)、半径方向への傾き(ラジアルチルト)、および照射するレーザ光のパワーの僅かな変動等の外乱に対するマージンが小さくなり、外乱の影響を受けやすくなる。これらによって、再生エラーが生じやすくなる。
【0014】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、媒体識別情報が記録されている領域とコンテンツ情報が記録されている領域とがそれぞれ異なるトラックピッチである超解像光記録媒体において、上記媒体識別情報が記録されている領域から上記コンテンツ情報が記録されている領域へと再生が移行する時に、再生エラーが生じ難い超解像光記録媒体、および再生方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る光情報記録媒体は、上記の課題を解決するために、光記録媒体再生装置が有する光学系の解像限界より長い周期のウォブルが設けられた案内溝によって、媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録されている第1領域と、トラックピッチが上記第1領域のトラックピッチよりも小さい案内溝を有し、上記光学系の解像限界以下の長さのマークまたはスペースを含むマーク列によってコンテンツ情報が記録される第2領域とを備え、上記第2領域が、上記第1領域より外周側に設けられた光情報記録媒体であって、上記第1領域と上記第2領域との間にブランク領域が設けられており、上記ブランク領域は、隣接する上記ブランク領域外の案内溝とのトラックピッチが上記第1領域のトラックピッチと同一である、上記第1領域に最も近い案内溝と、隣接する上記ブランク領域外の案内溝とのトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同一である、上記第2領域に最も近い案内溝と、を含み、上記ブランク領域は、トラックピッチが第1領域のトラックピッチから第2領域のトラックピッチに変化する少なくとも2周以上のトラックが形成されている、情報が記録されていない領域であることを特徴としている。
【0016】
また、本発明に係る光情報記録媒体は、上記の光情報記録媒体の再生方法であって、上記第1領域に記録された上記媒体識別情報を取得したうえで、上記第2領域に記録されている上記コンテンツ情報を再生する構成であってよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光情報記録媒体は、以上のように、本発明に係る光情報記録媒体は、上記の課題を解決するために、光記録媒体再生装置が有する光学系の解像限界より長い周期のウォブルが設けられた案内溝によって、媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録されている第1領域と、トラックピッチが上記第1領域のトラックピッチよりも小さい案内溝を有し、上記光学系の解像限界以下の長さのマークまたはスペースを含むマーク列によってコンテンツ情報が記録される第2領域とを備え、上記第2領域が、上記第1領域より外周側に設けられた光情報記録媒体であって、上記第1領域と上記第2領域との間にブランク領域が設けられており、上記ブランク領域は、隣接する上記ブランク領域外の案内溝とのトラックピッチが上記第1領域のトラックピッチと同一である、上記第1領域に最も近い案内溝と、隣接する上記ブランク領域外の案内溝とのトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同一である、上記第2領域に最も近い案内溝と、を含み、上記ブランク領域は、トラックピッチが第1領域のトラックピッチから第2領域のトラックピッチに変化する少なくとも2周以上のトラックが形成されている、情報が記録されていない領域である構成である。
【0018】
それゆえ、本発明に係る光情報記録媒体は、媒体識別情報が記録されている領域とコンテンツ情報が記録されている領域とがそれぞれ異なるトラックピッチである超解像光記録媒体において、上記媒体識別情報が記録されている領域から上記コンテンツ情報が記録されている領域へと再生が移行する時に、再生エラーが生じ難い超解像光記録媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る超解像光記録媒体の外観を示す図である。
【図2】上記超解像光記録媒体のブランク領域近辺の拡大図である。
【図3】上記超解像光記録媒体の断面構造を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る超解像光記録媒体の外観を示す図である。
【図5】図4に示す超解像光記録媒体のブランク領域近辺の拡大図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係る超解像光記録媒体のブランク領域近辺の拡大図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態に係る超解像光記録媒体のブランク領域近辺の拡大図である。
【図8】図7に示す超解像光記録媒体の断面構造を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る光記録媒体再生装置の構成を示すブロック図である。
【図10】上記光記録媒体再生装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図11】上記光記録媒体再生装置の処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施形態に係る光記録媒体再生装置の処理動作の流れを示すフローチャートである。
【図13】超解像光記録媒体の外観を示す図である。
【図14】図13に示す超解像光記録媒体の媒体識別情報が記録されている領域とコンテンツ情報が記録されている領域との境界の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の各実施形態について図1〜図12を用いて説明すると以下の通りである。なお、本明細書における「プリピットの長さ」または「プリピット長」とは、プリピットのタンゲンシャル方向(光記録媒体の半径方向に対して法線方向)への長さである。また、本発明に係る光記録媒体再生装置(以下、再生装置と称する)が有する光学系の解像限界より長い長さのプリピットからなるプリピット列によって各種情報が記録されている光記録媒体を、「通常媒体」または「通常光記録媒体」と称する。
【0021】
〔実施の形態1〕
本発明に係る超解像光記録媒体の一実施形態について図1〜図3を用いて説明すると以下の通りである。本実施形態に係る超解像光記録媒体(以下、超解像媒体と称する)10は、再生専用媒体で、断面構造がBD(Blu-ray Disc)タイプの超解像媒体である。本実施形態では、再生装置の光学系が、レーザ波長が405nm、集光レンズの開口数NAが0.85であり、その解像限界は119nmである。なお、BD規格等で使用される半導体レーザは、製造工程等で発生する個体差が存在するため、本明細書において、例えばレーザ波長を405nmと記載する場合、レーザ波長が400nm〜410nmの範囲にあることを意味する。
【0022】
図1は、超解像媒体10の外観を示している。
【0023】
超解像媒体10は、媒体情報が記録されている媒体情報領域(第1領域)1と、映像やソフトウェア等のコンテンツ情報が記録されているコンテンツ領域(第2領域)3と、媒体情報領域1とコンテンツ領域3との間に設けられたブランク領域2とを有している。
【0024】
図2は、ブランク領域2近辺を拡大して示している。
【0025】
媒体情報領域1では、BD規格に準じ、主に、149nm、223.5nm、298nm、372.5nm、496nm、570.5nm、および645nmの長さのプリピットとスペースとからなるプリピット列がスパイラル状に形成されて媒体情報が記録されており、このプリピット列のすべてのプリピットおよびスペースは、再生装置の光学系の解像限界である119nmより長い。媒体情報領域1のトラックピッチは、320nmである。
【0026】
媒体情報領域1における媒体情報には、コンテンツ領域3の記録形態が超解像記録形態であること示し、超解像媒体10の媒体の種類を識別するための媒体識別情報、再生装置が再生クロックを切り替えるための再生クロック切替情報、および記録情報のアドレス等が含まれている。
【0027】
また、媒体情報領域1には、同図に示すように、再生装置がコンテンツ領域3に照射するレーザ光のパワーを調整(設定)するためのプリピットが形成されたテストリード領域1Aが割り当てられている。テストリード領域1Aにて調整されたレーザ光のパワーは、ブランク領域2に照射するレーザ光のパワーでもある。
【0028】
テストリード領域1Aのプリピット列は、コンテンツ領域3の最短プリピットを含み、コンテンツ領域3のプリピットの長さと等しい長さのプリピットのみからなるプリピット列であって、コンテンツ領域3のプリピット幅及び変調方式に準じたランダムパターンである。また、参照データ分に相当する長さのプリピット列が、コンテンツ領域3と等しい線記録密度で形成されている。テストリード領域1Aのプリピット列は、媒体情報領域1の任意の場所に設けることができる。また、上記参照データは、超解像媒体において共通であれば、再生装置に記録されていてもよく、また、媒体情報領域1内のテストリード領域1A以外の領域に記録されていてもよい。
【0029】
ブランク領域2は、再生装置がトラッキングサーボ制御を行いながら媒体情報領域1からコンテンツ領域3へと光学系を移動させるときのガイドとしての役割を有し、149nmの長さのプリピットが等間隔で配列されたプリピット列が、媒体情報領域1のプリピット列とコンテンツ領域3のプリピット列とをつなぐように、スパイラル状に連続して形成されている。ブランク領域2におけるプリピット列は、少なくとも2周以上形成され、本実施形態では約2周設けている。また、ブランク領域2におけるプリピット列は、媒体情報およびコンテンツ情報など再生すべき情報は特に記録されていない。
【0030】
また、ブランク領域2におけるプリピットの深さは、再生装置の光学系がトラッキングエラー信号を検出できるピット深さであればよく、本実施形態のように、再生装置の光学系のレーザ波長が405nmであり、集光レンズの開口数NAが0.85である場合、BD規格に準じ、65nm程度で形成されていればよい。ブランク領域2の詳細については、後述する。
【0031】
コンテンツ領域3では、主に、116nm、174nm、232nm、290nm、348nm、406nm、および464nmの長さのプリピットとスペースとからなるプリピット列がスパイラル状に形成されてコンテンツ情報が記録されており、このプリピット列は再生装置の光学系の解像限界である119nmより短い、116nmの長さのプリピット及びスペースを含んでいる。コンテンツ領域3のトラックピッチは、媒体情報領域1のトラックピッチよりも小さい260nmである。最短プリピット長およびトラックピッチから換算すると、コンテンツ領域3の記録容量は、BDタイプの通常媒体に対し、約1.6倍の記録容量を有する。
【0032】
図3は、超解像媒体10の断面構造を示している。
【0033】
超解像媒体10は、上記各領域におけるプリピットが形成されている基板4上に、反射層5と、超解像効果を発生させる超解像機能層6とが順にスパッタリングにより積層され、さらに、超解像機能層6上に、透光性のあるカバー層7が設けられた構造となっている。
【0034】
基板4は、約1.1mmの厚みを有し、ポリカーボネートにより形成されている。反射層5は、7nmの膜厚のシリコン層であり、超解像機能層6は、155nmの膜厚の酸化亜鉛層である。カバー層7は、約0.1mmの厚みを有し、ポリカーボネートにより形成されている。なお、上記各領域におけるプリピットは、基板4に対して、凹状及び/または凸状の形状を有している。
【0035】
コンテンツ領域3に、コンテンツ領域3の再生に適したパワーでレーザ光を照射すると、反射層5によって熱が発生し、超解像機能層6上のレーザスポット内に、光強度分布により生じる温度分布によって、透過率の分布が生じる。その結果、上記レーザスポットが擬似的に縮小した状態となり、これにより、コンテンツ領域3における再生装置が有する光学系の解像限界より短い長さのプリピットを含むプリピット列が再生可能となり、通常媒体より多くの情報を利用することができる。なお、超解像機能層6は、コンテンツ領域3におけるプリピット列を再生可能な構造であればよく、例えば、特許文献1に記載のマスク層、または特許文献2に記載の機能層でも良い。また、コンテンツ領域3の再生に適したレーザ光のパワーは、約1.0mWであり、媒体情報領域1の再生に適したレーザ光のパワーは、通常媒体との再生に適したレーザ光のパワーと同様に、約0.3mWである。
【0036】
また、媒体情報領域1における媒体識別情報が、再生装置が有する光学系の解像限界より長い長さのプリピットからなるプリピット列によって、すなわち、通常媒体の記録形態と同様に記録されているため、上記媒体識別情報を通常媒体用のレーザ光のパワーで再生できる。したがって、再生装置は、媒体が挿入されると、通常媒体用のパワーで媒体にレーザ光を照射し、媒体識別情報を読み取って、挿入された媒体が通常媒体と超解像媒体とのいずれであるかを判別する。そして、この判別の結果に応じて、挿入された媒体に合わせて処理を変更する(レーザ光のパワーを切り替えるなど)ことができるため、通常媒体と超解像媒体10とのいずれの媒体も再生可能な互換性を有した再生装置を実現することができる。
【0037】
次に、ブランク領域2について、図2を参照してより詳細に説明する。なお、説明の便宜上、ブランク領域2に隣接する媒体情報領域1のプリピット列をプリピット列aとし、ブランク領域2に隣接するコンテンツ領域3のプリピット列をプリピット列bとする。そして、ブランク領域2における2周のプリピット列のうち、媒体情報領域1におけるプリピット列aに隣接するプリピット列をプリピット列Aとし、コンテンツ領域3におけるプリピット列bに隣接するプリピット列をプリピット列Bとする。
【0038】
ブランク領域2におけるプリピット列Aは、隣接するプリピット列aから320nmのトラックピッチ(媒体情報領域1のトラックピッチ)を保って形成されている。プリピット列Bは、隣接するプリピット列A(ブランク領域における第1領域側のプリピット列)からのトラックピッチが、約1周する間に、320nmから260nm(コンテンツ領域3のトラックピッチ)に小さくなるように形成されているとともに、隣接するプリピット列bに対しては260nmのトラックピッチを保って形成されている。
【0039】
プリピット列Aを隣接するプリピット列aから媒体情報領域1のトラックピッチを保って形成することにより、媒体情報領域1におけるプリピット列は、ブランク領域2に移る直前まで、内周側及び外周側のプリピット列へのトラックピッチが全て同一となる。よって、媒体情報領域1の再生時において、隣接するプリピット列によるノイズの影響を受け難く、トラッキングサーボ制御が適切に行われるため、再生エラーを増加させることがない。
【0040】
そして、プリピット列Bを、隣接するプリピット列Aからのトラックピッチが媒体情報領域1のトラックピッチからコンテンツ領域3のトラックピッチへ小さくなるように形成することにより、トラッキングサーボ制御がコンテンツ領域3のトラックピッチに対して安定する。
【0041】
このとき、ブランク領域2では、隣接するプリピット列へのトラックピッチが、内周側と外周側とで異なるから、また、プリピット列Aとプリピット列Bとのトラックピッチが、約1周する間に変化するため、トラッキングサーボ制御が不安定になりやすい。
【0042】
したがって、もし、ブランク領域2に媒体情報およびコンテンツ情報など再生すべき情報が記録されていれば、トラッキングサーボ制御の不安定性に起因して、媒体の周方向への傾き(タンジェンシャルチルト)、半径方向への傾き(ラジアルチルト)、および照射するレーザ光のパワーの僅かな変動等の外乱に対するマージンが小さくなり、再生エラーが生じやすくなる。
【0043】
しかしながら、上述したように、ブランク領域2においては、媒体情報およびコンテンツ情報など再生すべき情報は記録されていないため、再生エラーが生じない。
【0044】
また、プリピット列Bは、隣接するプリピット列bに対してはコンテンツ領域3のトラックピッチを保って形成されているため、コンテンツ領域3の再生時において、隣接するプリピット列によるノイズの影響を受け難く、トラッキングサーボ制御が適切に行われるため、再生エラーを増加させることがない。
【0045】
以上のように、ブランク領域2を設けることにより、それぞれ記録形態およびトラックピッチが異なっている、媒体情報領域1とコンテンツ領域3とにおいて、再生エラーを増加させることなく、適切に再生が行われる。それゆえ、超解像媒体10は、通常媒体よりも記録容量が大容量であって、かつ、一つの再生装置において通常媒体とともに再生できる超解像媒体を提供することができる。
【0046】
また、ブランク領域2を設けることにより、急激なトラックピッチの変動がないため、原盤製造時に、露光装置に具備されたスライダの、半径方向への送り速度の制御が容易になるという、さらなる効果を奏する。この点を、以下で具体的に説明する。
【0047】
原盤製造時に用いられる露光装置は、レーザ光源と、フォトレジストを塗布した基板を固定し、回転させるステージと、レーザ光を基板上のフォトレジスト層に集光照射させるためのレンズ等を備えたスライダとを具備している(レーザ光源がスライダと一体となって移動する場合もある。)基板を固定したステージを回転させ、スライダをステージの回転中心に対して半径方向に送りながら露光することで、現像後、スパイラル状のプリピット列及び/または案内溝のパターンが得られる。トラックピッチが異なる媒体情報領域1とコンテンツ領域3とが隣接して設けられる場合、トラックピッチの変化に対応するために、スライダの半径方向への送り速度を急激に変化させなければならなくなることから、スライダの半径方向への送り速度の制御が難しくなり、所望の半径位置に対するズレ等が生じやすくなる。しかし、上記実施の形態1のように、ブランク領域2を設けることで、スライダの半径方向への送り速度の変化量を小さくすることができる。このため、スライダの制御が容易となり、所望の半径位置に対するズレ等が生じ難くなる。
【0048】
以上示した超解像媒体10は、好適な一例であり、例えば以下のような変更例も可能である。
【0049】
まず、反射層5は、十分な反射量が得られる材料であればよく、例えば、アルミニウム、銀、金、Ge、あるいはこれらを含む混合物等を用いることができる。また、超解像機能層6は、例えば、CeO、TiO、GeSbTe、あるいはAgInSbTe等を用いることができる。また、カバー層7の製造方法としては、UV硬化樹脂を用いてフィルムを接着する方法、あるいはスピンコート法を利用することができる。
【0050】
また、ブランク領域2は、再生装置の光学系がトラッキングを行いながら移動できればよく、コンテンツ領域3におけるプリピット列のプリピットの最小の長さ以上のプリピットが形成されていればよい。また、ブランク領域2には、媒体情報およびコンテンツ情報など再生すべき情報が記録されていないため、ブランク領域2のプリピット列は、例えば、2種類以上の長さのプリピットが光記録媒体の信号の変調方式に準じていない並びによりランダムに形成されたプリピット列であってもよい。
【0051】
また、本実施形態では、媒体情報領域1が、超解像媒体10の最内周部に設けられているが、媒体情報領域1とコンテンツ領域3とがブランク領域2を介して設けられていれば、超解像媒体10の外周側、または内周側及び外周側に割り当てられていてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、媒体情報領域1に、テストリード領域1Aが設けられているが、テストリード領域1Aに代えて、再生装置がコンテンツ領域3に照射するレーザ光のパワーを示すパワー情報が記録されていて、再生装置が上記パワー情報を再生することで、コンテンツ領域3aの再生に適したレーザ光のパワーを認識してもよい。また、複数の超解像媒体において、コンテンツ領域の再生に適したレーザ光のパワーが共通であれば、テストリード領域1Aは設けず、上記共通のレーザ光のパワーを再生装置に記憶させておいてもよい。
【0053】
また、媒体情報領域1は、超解像媒体のテスト再生等のためにトラックピッチが異なるいくつかの領域から構成させていてもよい。
【0054】
また、本発明による超解像光記録媒体は、上記に限られるものではなく、記録可能な超解像光記録媒体であってもよい。例えば、ウォブル(蛇行した案内溝)によるトラックが形成された第1領域(媒体情報領域)と、該媒体情報領域よりも小さいトラックピッチでウォブルによるトラックが形成されており、記録マーク及びスペースによってコンテンツ情報が記録される第2領域とを備えた超解像光記録媒体であっても、記録を行わないブランク領域を設けることで、上記同様の効果を奏する。この場合、ブランク領域において、前記第1領域のトラックと前記第2領域のトラックとをつなぐようにウォブルによるトラックが形成されていればよい。第1領域にはウォブルの周期等で媒体識別情報を記録しておくことが可能であるため、例えば、ブランク領域が存在しており、該ブランク領域が記録できない領域であることを示す情報を、第1領域に記録しておくことができる。
【0055】
このようにすることで、再生装置の光学系は、上記第1領域から上記第2領域へと連続してトラッキングサーボ制御を行いながら、スムーズに移動できる。また、上記ブランク領域でトラッキングサーボ制御が不安定になったとしても、上記ブランク領域には再生すべき情報が記録されていないため、再生エラーとならない。よって、上記第2領域のトラックピッチが上記第1領域のトラックピッチより小さい超解像光記録媒体であって、上記第1領域から上記第2領域へと再生が移行する時に、再生エラーが生じ難い記録可能な超解像光記録媒体を実現することができる。このように、再生専用のBD−ROM(Blu-ray Disc Read Only Memory)だけでなく、記録可能なBD−R(Blu-ray Disc Recordable)やBD−RE(Blu-ray Disc Rewritable)にも適用可能である。
【0056】
また、第1領域、第2領域及びブランク領域におけるトラックは、ウォブルに限られるものではない。第1領域やブランク領域のトラックは、上記実施の形態1の再生専用媒体と同様に、プリピット及び/または案内溝を含む構成であってもよく、第2領域は案内溝を含む構成であってもよい。
【0057】
〔実施の形態2〕
本発明に係る超解像媒体の他の実施形態について図4および図5を用いて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。また、基本的に、実施の形態1における超解像媒体10と異なる点についてのみ説明する。
【0058】
図4は、本実施形態に係る超解像媒体10aの外観を示している。
【0059】
超解像媒体10aは、媒体情報が記録されている媒体情報領域(第1領域)1aと、映像やソフトウェア等のコンテンツ情報が記録されているコンテンツ領域(第2領域)3aと、媒体情報領域1aとコンテンツ領域3aとの間に設けられたブランク領域2aとを有している。
【0060】
図5は、ブランク領域2a近辺を拡大して示している。
【0061】
媒体情報領域1aは、超解像媒体10における媒体情報領域1に、ブランク領域2aの開始位置を示す第1アドレス情報がさらに記録されている構成である。コンテンツ領域3aは、超解像媒体10におけるコンテンツ領域3に、ブランク領域2aの終了位置を示す第2アドレス情報がさらに記録されている構成である。
【0062】
このように、ブランク領域2aの位置を示すアドレス情報を記録しておくことにより、再生装置がブランク領域2aの所在を認識し、ブランク領域2aおよびコンテンツ領域3aに対して適切な処理(再生装置のレーザ光のパワーを切り替えるなど、詳細は実施の形態5,6)を行うことができるとともに、ブランク領域2aにおいて、連続して隣接したトラックにジャンプして移動することができ、コンテンツ領域3aの再生にスムーズに、比較的短い時間で、移行することができる。
【0063】
また、媒体情報領域1aには、テストリード領域1Aに代えて、テストリード領域1Bが形成されている。テストリード領域1Bのプリピット列は、コンテンツ領域3aの最短プリピットを含み、コンテンツ領域3のプリピットの長さと等しい長さのプリピットのみからなるプリピット列であって、コンテンツ領域3aのプリピット幅及び変調方式に準じたランダムパターンである。また、参照データ分に相当する長さのプリピット列が、コンテンツ領域3と等しい線記録密度で形成されている。テストリード領域1Bのプリピット列は、媒体情報領域1の任意の場所に設けることができ、本実施形態では、媒体情報領域1aのブランク領域2aに隣接するトラック内に設けられている。また、上記参照データは、超解像媒体において共通であれば、再生装置に記録されていてもよく、また、媒体情報領域1a内のテストリード領域1B以外の領域に記録されていてもよい。
【0064】
ブランク領域2aは、超解像媒体10におけるブランク領域2のプリピット列を案内溝で代用した構成である。ブランク領域2aの案内溝は、少なくとも2周以上形成されるものであって、本実施形態では約4周設けている。ブランク領域2aの案内溝の深さは、再生装置の光学系がトラッキングエラー信号を検出できる深さであればよく、本実施形態のように、再生装置の光学系のレーザ波長が405nmであり、集光レンズの開口数NAが0.85である場合、30nm程度で形成されていればよい。
【0065】
以下、ブランク領域2aについてより詳細に説明するが、説明の便宜上、ブランク領域2aにおける4周の案内溝のうち、媒体情報領域1aにおけるプリピット列aに隣接する案内溝を案内溝Cとし、案内溝Cに隣接する案内溝を案内溝Dとする。また、案内溝Dに隣接する、コンテンツ領域3a側の案内溝を案内溝Eとし、案内溝Eに隣接するとともに、コンテンツ領域3aのプリピット列bに隣接する案内溝を案内溝Fとする。
【0066】
ブランク領域2aにおける案内溝Cは、隣接するプリピット列aから320nmのトラックピッチ(媒体情報領域1aのトラックピッチ)を保って形成されている。案内溝D〜案内溝Fは、それぞれ、約1周する間に、隣接する媒体情報領域1a側の案内溝からのトラックピッチが約18nmずつ小さくなるように形成されており、それゆえ、案内溝Fは隣接する案内溝Eからのトラックピッチが約260nm(コンテンツ領域3aのトラックピッチ)となる。また、案内溝Fは、隣接するプリピット列bに対して260nmのトラックピッチを保って形成されている。
【0067】
このようにブランク領域2aを設けることにより、実施の形態1と同様に、それぞれ記録形態およびトラックピッチが異なっている、媒体情報領域1aとコンテンツ領域3aとにおいて、再生エラーを増加させることなく、適切に再生が行われる。それゆえ、超解像媒体10aは、通常媒体よりも記録容量が大容量であって、かつ、一つの再生装置において通常媒体とともに再生できる超解像媒体を提供することができる。
【0068】
また、ブランク領域2aは、4周にわたり案内溝を設けているため、実施の形態1におけるブランク領域2と比較して、その領域が広く、半径方向における単位長さあたりのトラックピッチの変化量を小さくすることができる。このため、原盤製造における露光時に、のスライダの半径方向への送り速度の制御がより容易となり、所望の半径位置に対するズレ等が、より生じ難くなるという効果を奏する。
【0069】
また、再生装置の光学系が、ブランク領域2aを通過するときのトラッキングサーボ制御の安定性が増し、外乱等に対するマージンが大きくなるため、よりスムーズに媒体情報領域1aからコンテンツ領域3aへ移動することが可能となる。
【0070】
また、超解像媒体の記録容量をできる限り大きく確保したい場合は、実施の形態1のようにブランク領域を約2周とするなどして、ブランク領域をできる限り小さくすればよい。また、例えば、ある周方向位置においての、隣接する内周側のプリピット列または案内溝からのトラックピッチを、外周側にいくに従い、320nmから、約310nm、約280nm、約270nm、約265nm、260nmとしてもよい。このようにすることで、光記録媒体の原盤製造が容易になる。つまり、このように、ある地点を過ぎたところから、スライダの半径方向への送り速度の変化量を小さくすることで、隣接する内周側のプリピット列または案内溝からのトラックピッチが260nmになった時点において、原盤の半径方向への送り速度が安定しやすくなる。
【0071】
以上示した超解像媒体10aは、好適な一例であり、実施の形態1で示した変更例とともに、例えば以下のような変更例も可能である。
【0072】
本実施形態では、ブランク領域2aのアドレス情報が、媒体情報領域1aとコンテンツ領域3aとに記録されているが、この構成に限られるわけではなく、例えば、情報の形態を変更して媒体情報領域1aに記録されていてもよい。
【0073】
また、媒体情報領域1aに、ブランク領域2aのアドレス情報に代えて、コンテンツ領域3aの位置を示すアドレス情報が記録されていてもよい。コンテンツ領域3aのアドレス情報を記録しておくことにより、再生装置がブランク領域2aおよびコンテンツ領域3aの所在を認識し、ブランク領域2aおよびコンテンツ領域3aに対して適切な処理(再生装置のレーザ光のパワーを切り替えるなど、詳細は実施の形態5,6)を行うことができるとともに、ブランク領域2aにおいて、連続して隣接したトラックにジャンプし、コンテンツ領域3aの開始位置や所望の位置に素早くアクセスでき、コンテンツ領域3aの再生にスムーズに、比較的短い時間で、移行することができる。
【0074】
また、本実施形態では、媒体情報領域1aに、テストリード領域1Bが設けられているが、テストリード領域1Bに代えて、再生装置がコンテンツ領域3aに照射するレーザ光のパワーを示すパワー情報が記録されていて、再生装置が上記パワー情報を再生することでコンテンツ領域3aの再生に適したレーザ光のパワーを認識してもよい。また、テストリード領域1Bは、後述する実施の形態4のテストリード領域11Aで代用してもよい。また、複数の超解像媒体において、コンテンツ領域の再生に適したレーザ光のパワーが共通であれば、テストリード領域1Bは設けず、上記共通のレーザ光のパワーを再生装置に記憶させておいてもよい。
【0075】
また、ブランク領域2aには、実施の形態1における少なくとも2周以上のプリピット列が形成されてもよいし、あるいは後述する実施の形態3における少なくとも2周以上のプリピット列および案内溝が形成されてもよい。
【0076】
〔実施の形態3〕
本発明に係る超解像媒体の他の実施形態について図6を用いて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態2で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。また、基本的に、実施の形態2に係る超解像媒体10aと異なる点についてのみ説明する。
【0077】
図6は、本実施形態に係る超解像媒体10bのブランク領域2b近辺を拡大して示している。
【0078】
媒体情報領域1bは、超解像媒体10aにおける媒体情報領域1aに、再生装置がブランク領域2bに照射するレーザ光のパワーを示すブランクパワー情報がさらに記録されている構成である。よって、再生装置は、上記ブランクパワー情報を再生することにより、ブランク領域2bに適したレーザ光のパワーを認識する。なお、ブランク領域2bに適したレーザ光のパワーは、コンテンツ領域3bの再生に適したレーザ光のパワーよりも小さい場合がある。このような場合に、上記ブランクパワー情報によりブランク領域2bに適したレーザ光のパワーを正確に認識できるため、再生装置の消費電力を低減することが可能となる。
【0079】
コンテンツ領域3bは、超解像媒体10aにおけるコンテンツ領域3aと同様な構成である。
【0080】
ブランク領域2bは、超解像媒体10aにおけるブランク領域2aの案内溝をプリピット列および案内溝で代用した構成である。ブランク領域2bのプリピット列および案内溝は、少なくとも2周以上形成されるものであって、本実施形態では約4周設けている。ブランク領域2bのトラックピッチは、ブランク領域2aのトラックピッチと同様なトラックピッチで形成されている。また、ブランク領域2bのプリピット列は、ブランク領域2のプリピット列と同様な構成で、149nmの長さのプリピットが等間隔で配列されたプリピット列であり、ブランク領域2bの案内溝は、ブランク領域2aの案内溝と同様な構成である。
【0081】
このようにブランク領域2bを設けることにより、実施の形態1,2と同様に、それぞれ記録形態およびトラックピッチが異なっている、媒体情報領域1bとコンテンツ領域3bとにおいて、再生エラーを増加させることなく、適切に再生が行われる。それゆえ、超解像媒体10bは、通常媒体よりも記録容量が大容量であって、かつ、一つの再生装置において通常媒体とともに再生できる超解像媒体を提供することができる。
【0082】
〔実施の形態4〕
本発明に係る超解像媒体の他の実施形態について図7および図8を用いて説明すると以下の通りである。本実施形態に係る超解像媒体20は、再生専用媒体で、断面構造がHD_DVD(High Definition Digital Versatile Disc)タイプの超解像媒体である。本実施形態では、再生装置の光学系が、レーザ波長が405nm、集光レンズの開口数NAが0.65であり、その解像限界は156nmである。
【0083】
超解像媒体20は、媒体情報が記録されている媒体情報領域(第1領域)11と、映像やソフトウェア等のコンテンツ情報が記録されているコンテンツ領域(第2領域)13と、媒体情報領域11とコンテンツ領域13との間に設けられたブランク領域12とを有している。
【0084】
図7は、ブランク領域12近辺を拡大して示している。
【0085】
媒体情報領域11では、HD_DVD規格に準じ、最短プリピット長が204nmのプリピットとスペースとからなるプリピット列がスパイラル状に形成されて媒体情報が記録されており、このプリピット列のすべてのプリピットおよびスペースは、再生装置の光学系の解像限界である156nmより長い。媒体情報領域11のトラックピッチは、400nmである。
【0086】
媒体情報領域11における媒体情報には、コンテンツ領域13の記録形態が超解像記録形態であること示し、超解像媒体20の媒体の種類を識別するための媒体識別情報、再生装置が再生クロックを切り替えるための再生クロック切替情報、記録情報のアドレス、およびブランク領域12の開始位置を示す第1アドレス情報等が含まれている。
【0087】
また、媒体情報領域11には、同図に示すように、再生装置がコンテンツ領域13に照射するレーザ光のパワーを調整(設定)するためのプリピットが形成されたテストリード領域11Aが割り当てられている。テストリード領域11Aにて調整されたレーザ光のパワーは、ブランク領域12に照射するレーザ光のパワーでもある。
【0088】
テストリード領域11Aのプリピット列は、コンテンツ領域13の最短プリピットを含み、コンテンツ領域13のプリピットの長さと等しい長さのプリピットのみからなるプリピット列であって、コンテンツ領域13のプリピット幅及び変調方式に準じたランダムパターンである。また、参照データ分に相当する長さのプリピット列が、コンテンツ領域13と等しい線記録密度で繰り返し形成されており、媒体を再生装置に挿入するたびに、ランダムに、上記参照データ分に相当する長さのプリピット列を選んでテストリードを行うことができる。テストリード領域11Aのプリピット列については、媒体情報領域11の任意の場所に設けることができる。また、上記参照データは、超解像媒体において共通であれば、再生装置に記録されていてもよく、また、媒体情報領域11内のテストリード領域11A以外の領域に記録されていてもよい。
【0089】
テストリードは、レーザ光のパワーを変化させて行うため、コンテンツ領域13に適したレーザ光のパワーよりも大きなパワーで照射してしまうことがある。このとき、参照データ分に相当する1つのプリピット列のみしか形成されていない場合、繰り返し同じプリピット列にレーザ光を照射することになり、媒体が傷みやすくなる可能性がある。そこで、上述のように参照データ分に相当する長さのプリピット列を繰り返し形成することにより、上述のような媒体の傷みを防止できる。
【0090】
ブランク領域12は、再生装置がトラッキングサーボ制御を行いながら媒体情報領域11からコンテンツ領域13へと光学系を移動させるときのガイドとしての役割を有し、媒体情報領域11のプリピット列とコンテンツ領域13のプリピット列とをつなぐように、プリピット列がスパイラル状に連続して形成されている。ブランク領域12におけるプリピット列は、長さ204nmのプリピット、長さ204nmのスペース、長さ408nmのプリピット、長さ408nmのスペースが、この順に繰り返し配列されたプリピット列である。また、ブランク領域12におけるプリピット列は、少なくとも2周以上形成され、本実施形態では約4周設けている。また、ブランク領域12におけるプリピット列は、媒体情報およびコンテンツ情報など再生すべき情報は特に記録されていない。
【0091】
また、ブランク領域12におけるプリピットの深さは、再生装置の光学系がトラッキングエラー信号を検出できるピット深さであればよく、本実施形態のように、再生装置の光学系のレーザ波長が405nmであり、集光レンズの開口数NAが0.65である場合、78nm程度で形成されていればよい。ブランク領域12の詳細については、後述する。
【0092】
コンテンツ領域13では、最短プリピット長が150nmで、再生装置の光学系の解像限界である156nmより短い長さのプリピットとスペースとを含むプリピット列がスパイラル状に形成されてコンテンツ情報が記録されている。また、コンテンツ領域13には、ブランク領域12の終了位置を示す第2アドレス情報が記録されている。コンテンツ領域13のトラックピッチは、媒体情報領域11のトラックピッチよりも小さい320nmである。
【0093】
上述のように、ブランク領域12の位置を示すアドレス情報を記録しておくことにより、再生装置がブランク領域12の所在を認識し、ブランク領域12およびコンテンツ領域13に対して適切な処理(再生装置のレーザ光のパワーを切り替えるなど)を行うことができるとともに、ブランク領域12において、連続して隣接したトラックにジャンプして移動することができ、コンテンツ領域13の再生にスムーズに、比較的短い時間で、移行することができる。
【0094】
図8は、超解像媒体20の断面構造を示している。
【0095】
超解像媒体20は、上記各領域におけるプリピットが形成されている基板15上に、反射層16と、超解像効果を発生させる超解像機能層17とが順にスパッタリングにより積層され、さらに、超解像機能層17上に、透光性のある基板18が設けられた構造となっている。
【0096】
基板15は、約0.6mmの厚みを有し、ポリカーボネートにより形成されている。反射層16は、7nmの膜厚のシリコン層であり、超解像機能層17は、155nmの膜厚の酸化亜鉛層である。基板18は、約0.6mmの厚みを有し、ポリカーボネートにより形成されている。なお、上記各領域におけるプリピットは、基板15に対して、凹状及び/または凸状の形状を有している。
【0097】
コンテンツ領域13に、コンテンツ領域13の再生に適したパワーでレーザ光を照射すると、反射層16によって熱が発生し、超解像機能層17上のレーザスポット内に、光強度分布により生じる温度分布によって、透過率の分布が生じる。その結果、上記レーザスポットが擬似的に縮小した状態となり、これにより、コンテンツ領域13における再生装置が有する光学系の解像限界より短い長さのプリピットを含むプリピット列が再生可能となり、通常媒体より多くの情報を利用することができる。なお、超解像機能層17は、コンテンツ領域13におけるプリピット列を再生可能な構造であればよく、例えば、特許文献1に記載のマスク層、または特許文献2に記載の機能層でも良い。
【0098】
また、媒体情報領域11における媒体識別情報が、再生装置が有する光学系の解像限界より長い長さのプリピットからなるプリピット列によって、すなわち、通常媒体の記録形態と同様に記録されているため、上記媒体識別情報を通常媒体用のレーザ光のパワーで再生できる。したがって、再生装置は、媒体が挿入されると、通常媒体用のパワーで媒体にレーザ光を照射し、媒体識別情報を読み取って、挿入された媒体が通常媒体と超解像媒体とのいずれであるかを判別する。そして、この判別の結果に応じて、挿入された媒体に合わせて処理を変更する(レーザ光のパワーを切り替えるなど)ことができるため、通常媒体と超解像媒体20とのいずれの媒体も再生可能な互換性を有した再生装置を実現することができる。なお、媒体情報領域11の再生に適したレーザ光のパワーは、通常媒体の再生に適したレーザ光のパワーと同様に、約0.3mWである。
【0099】
次に、ブランク領域12について、図7を参照してより詳細に説明する。なお、説明の便宜上、ブランク領域12に隣接する媒体情報領域11のプリピット列をプリピット列cとし、ブランク領域12に隣接するコンテンツ領域13のプリピット列をプリピット列dとする。そして、ブランク領域12における4周のプリピット列のうち、媒体情報領域11におけるプリピット列cに隣接するプリピット列をプリピット列Kとし、プリピット列Kに隣接する、コンテンツ領域13側のプリピット列をプリピット列Lとする。また、プリピット列Lに隣接する、コンテンツ領域13側のプリピット列をプリピット列Mとし、プリピット列Mに隣接するとともに、コンテンツ領域13のプリピット列dに隣接するプリピット列をプリピット列Nとする。
【0100】
ブランク領域12におけるプリピット列Kは、隣接するプリピット列cから400nmのトラックピッチ(媒体情報領域11のトラックピッチ)を保って形成されている。プリピット列L〜プリピット列Nは、それぞれ、約1周する間に、隣接する媒体情報領域11側のプリピット列からのトラックピッチが約20nmずつ小さくなるように形成されており、それゆえ、プリピット列Nは隣接するプリピット列Mからのトラックピッチが約320nmとなる。また、プリピット列Nは、隣接するプリピット列dに対して320nmのトラックピッチを保って形成されている。
【0101】
このようにブランク領域12を設けることにより、実施の形態1〜3と同様に、それぞれ記録形態およびトラックピッチが異なっている、媒体情報領域11とコンテンツ領域13bとにおいて、再生エラーを増加させることなく、適切に再生が行われる。それゆえ、超解像媒体20は、通常媒体よりも記録容量が大容量であって、かつ、一つの再生装置において通常媒体とともに再生できる超解像媒体を提供することができる。
【0102】
また、ブランク領域12は、4周にわたり案内溝を設けており、その領域が広い。したがって、急激なトラックピッチの変動がないため、原盤製造時のスライダの制御が容易となる。また、再生装置の光学系が、ブランク領域12を通過するときのトラッキングサーボ制御の安定性が増し、外乱等に対するマージンが大きくなるため、よりスムーズにコンテンツ領域11からコンテンツ領域13へ移動をすることが可能となる。
【0103】
また、超解像媒体の記録容量をできる限り大きく確保したい場合は、実施の形態1のようにブランク領域を約2周とするなどして、ブランク領域12をできる限り小さくすればよい。また、例えば、ある周方向位置においての、隣接する内周側のプリピット列または案内溝からのトラックピッチを、外周側にいくに従い、400nmから、約385nm、約360nm、約330nm、約325nm、320nmとしてもよい。このようにすることで、光記録媒体の原盤製造が容易になる。つまり、このように、ある地点を過ぎたところから、原盤の半径方向への送り速度の変化量を小さくすることで、隣接する内周側のプリピット列または案内溝からのトラックピッチが320nmになった時点において、原盤の半径方向への送り速度が安定しやすくなる。
【0104】
以上示した超解像媒体20は、好適な一例であり、例えば以下のような変更例も可能である。
【0105】
まず、反射層16は、十分な反射量が得られる材料であればよい。また、超解像機能層17は、例えば、CeO、TiO、GeSbTe、あるいはAgInSbTe等を用いることができる。また、基板18の製造方法としては、UV硬化樹脂を用いてフィルムを接着する方法、あるいはスピンコート法を利用することができる。
【0106】
また、ブランク領域12は、再生装置の光学系がトラッキングを行いながら移動できればよく、コンテンツ領域13におけるプリピット列のプリピットの最小の長さ以上のプリピットが形成されていればよい。また、ブランク領域12におけるプリピット列は、実施の形態2,3で示したような、少なくとも2周以上の案内溝あるいはプリピット列および案内溝で代用してもよい。案内溝の深さは、再生装置の光学系がトラッキングエラー信号を検出できる深さであればよく、本実施形態のような光学系の設定では40nm程度で形成されていればよい。また、ブランク領域12には、媒体情報およびコンテンツ情報など再生すべき情報が記録されていないため、ブランク領域12のプリピット列またはプリピット列および案内溝は、例えば、2種類以上の長さのプリピットが光記録媒体の信号の変調方式に準じていない並びによりランダムに形成されたプリピット列またはプリピット列および案内溝であってもよい。
【0107】
また、本実施形態では、ブランク領域12のアドレス情報が、媒体情報領域11とコンテンツ領域13とに記録されているが、この構成に限られるわけではなく、例えば、情報の形態を変更して媒体情報領域11に記録されていてもよい。
【0108】
また、媒体情報領域11に、ブランク領域12のアドレス情報に代えて、コンテンツ領域13の位置を示すアドレス情報が記録されていてもよい。コンテンツ領域13のアドレス情報を記録しておくことにより、再生装置がブランク領域12およびコンテンツ領域13の所在を認識し、ブランク領域12およびコンテンツ領域13に対して適切な処理(再生装置のレーザ光のパワーを切り替えるなど)を行うことができるとともに、ブランク領域12において、連続して隣接したトラックにジャンプし、コンテンツ領域13の開始位置や所望の位置に素早くアクセスでき、コンテンツ領域13の再生にスムーズに、比較的短い時間で、移行することができる。
【0109】
また、本実施形態では、媒体情報領域11に、テストリード領域11Aが設けられているが、テストリード領域11Aに代えて、再生装置がコンテンツ領域13に照射するレーザ光のパワーを示すパワー情報が記録されていて、再生装置が上記パワー情報を再生することでコンテンツ領域13の再生に適したレーザ光のパワーを認識してもよい。また、テストリード領域11Aは、実施の形態1のテストリード領域1Aで代用してもよい。また、複数の超解像媒体において、コンテンツ領域の再生に適したレーザ光のパワーが共通であれば、テストリード領域11Aは設けず、上記共通のレーザ光のパワーを再生装置に記憶させておいてもよい。
【0110】
また、媒体情報領域11に、再生装置がブランク領域12に照射するレーザ光のパワーを示すブランクパワー情報が記録されていてもよい。再生装置は、上記ブランクパワー情報を再生することにより、ブランク領域12に適したレーザ光のパワーを認識する。なお、ブランク領域12に適したレーザ光のパワーは、コンテンツ領域13の再生に適したレーザ光のパワーよりも小さい場合がある。このような場合に、上記ブランクパワー情報によりブランク領域12に適したレーザ光のパワーを正確に認識できるため、再生装置の消費電力を低減することが可能となる。
【0111】
以上、実施の形態1〜4において、BD−ROM(Blu-ray Disc Read Only Memory)、BD−R(Blu-ray Disc Recordable)、BD−RE(Blu-ray Disc Rewritable)やHD_DVDの超解像媒体について説明したが、本発明に係る超解像媒体は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、CD−RW(Compact Disc Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびDVD−RW(Digital Versatile Disc Rewritable)にも適用可能である。
【0112】
〔実施の形態5〕
本発明に係る再生装置の一実施形態について図9〜図11を用いて説明すると以下のとおりである。本実施形態では、本実施形態に係る再生装置50について、通常媒体と、実施の形態2で示した超解像媒体10aとを再生する場合を例として説明する。
【0113】
図9は、再生装置50の構成を示している。
【0114】
再生装置50は、図示のように、スピンドルモータ22、光ピックアップ(再生部)26、光ピックアップ用モータ27、ヘッドアンプ28、制御部36、サーボ制御部37、レーザ制御部38、およびRF信号処理部39を備えている。再生装置50に挿入される光記録媒体21は、通常媒体あるいは超解像媒体10aである。
【0115】
スピンドルモータ22は、光記録媒体21に記録されている情報を再生するために、光記録媒体21を回転させる。
【0116】
光ピックアップ26は、集光レンズ(不図示)、回折格子(不図示)、1/4波長板(不図示)、偏光ビームスプリッタ23、レーザ光源24、および光検出器25を備えている。
【0117】
レーザ光源24は、光記録媒体21の情報を再生するためのレーザ光を出射する。このレーザ光の波長は、実施の形態2で述べたように、405nmである。レーザ光源24は、再生初期時は、通常媒体用のパワーでレーザ光を出射する。上記回折格子は、レーザ光源24から出射されたレーザ光から信号再生用の主ビームとトラッキングサーボ用の副ビームとを生成する(以下、この主ビームと副ビームとを合わせて単に「レーザ光」と称する)。
【0118】
偏光ビームスプリッタ23は、レーザ光の偏光方向に応じて、レーザ光を透過または反射させることが可能であり、上記回折格子を通過したレーザ光を反射する。上記1/4波長板は、レーザ光を直線偏光から円偏光に、あるいは円偏光から直線偏光に変換することが可能であり、偏光ビームスプリッタ23にて反射されたレーザ光を円偏光に変換する。上記集光レンズは、上記1/4波長板を通過したレーザ光を光情報記録媒体21に集光させる。上記集光レンズの開口数NAは、実施の形態2で述べたように、0.85である。
【0119】
光記録媒体21からの反射光は、上記集光レンズを経て上記1/4波長板にて直線偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ23を透過して光検出器25に照射される。光検出器25は、光記録媒体21からの反射光を電気信号に変換する。
【0120】
光ピックアップ用モータ27は、制御部36の制御に応じて、光情報記録媒体21の所望の位置に光ピックアップ26がアクセスするように、光ピックアップ26の位置を制御する。
【0121】
ヘッドアンプ28は、光検出器25にて生成された電気信号を増幅する。
【0122】
制御部36は、再生装置50の動作を制御する。詳細は後述する。
【0123】
サーボ制御部37は、ヘッドアンプ28にて増幅された電気信号に基づいて、トラッキングサーボ制御などの一般的な各種サーボ制御を行う。例えば、トラッキングサーボ制御は、ヘッドアンプ28にて増幅された電気信号からトラッキングエラー信号を生成し、このトラッキングエラー信号がゼロとなるまで、繰り返し光ピックアップ26における集光レンズを制御する。
【0124】
レーザ制御部38は、制御部36の制御に応じて、一般的な方法でレーザ光源24から出射されるレーザ光のパワーを制御する。
【0125】
RF信号処理部39は、RFアンプ39AおよびRF信号処理回路(コンテンツ情報再生部)39Bを備えている。RFアンプ39Aは、ヘッドアンプ28にて増幅された電気信号をさらに増幅する。RF信号処理回路39Bは、RFアンプ39Aにて増幅された電気信号に対し、制御部36の制御に応じて等価処理および複号処理を行って、光記録媒体21に記録されているコンテンツ情報を再生する。等価処理とは、隣接したプリピットやスペース等による信号の歪やノイズを低減する演算処理であり、復号処理とは、等価処理後の信号の波形を“1”または“0”のデジタル信号に復号する演算処理である。また、RF信号処理回路39Bは、再生初期時は、等価処理および複号処理を行わない。なお、「再生初期時」なる文言は、基本的に、「媒体情報領域再生時」を指す。
【0126】
図10は、制御部36の構成を示している。
【0127】
制御部36は、図示のように、アクセス位置制御部30、信号処理部(情報取得部)31、媒体識別部32、パワー制御部33、再生クロック制御部34、およびRF処理制御部(ブランク制御部)35を備えている。
【0128】
アクセス位置制御部30は、光記録媒体21の所望の位置に光ピックアップ26がアクセスするように、光ピックアップ用モータ27を制御する。アクセス位置制御部30は、再生開始時は、光記録媒体21の媒体情報領域に光ピックアップ26がアクセスするように、光ピックアップ用モータ27を制御する。
【0129】
信号処理部31は、ヘッドアンプ28から与えられた電気信号に対し、等価処理および複号処理を行って各種情報を再生し、この再生した情報を媒体識別部32、パワー制御部33、再生クロック制御部34、およびRF処理制御部35に送る。
【0130】
媒体識別部32は、信号処理部31内に設けられ、信号処理部31から与えられた情報(媒体識別情報)に基づいて、光記録媒体21が通常媒体と超解像媒体10aとのいずれであるかを識別する。
【0131】
パワー制御部33は、信号処理部31から与えられた情報に基づいて、レーザ制御回路38を制御して、レーザ光源24から出射されるレーザ光のパワーを制御する。
【0132】
再生クロック制御部34は、信号処理部31から与えられた情報(再生クロック切替情報)に基づいて、RF信号処理回路39Bにおいてコンテンツ情報の再生時に使用される再生クロックを制御する。
【0133】
RF処理制御部35は、媒体識別部32の識別結果に基づいて、あるいは信号処理部31から与えられた情報(ブランク領域2aのアドレス情報(ブランク領域情報))に基づいて、RF信号処理回路39Bにおいて行われる等価処理および複号処理を制御する。
【0134】
次に、再生装置50の処理動作(再生動作)について図11を用いて説明する。図11は、再生装置50の処理動作の流れを示している。
【0135】
再生装置50に、光記録媒体21が挿入されると、光記録媒体21の挿入を検知して、スピンドルモータ22により光記録媒体21を回転させる(図11のフローチャートにおける「スタート」)。そして、制御部36のアクセス位置制御部30によって光ピックアップ用モータ27が制御されて、再生初期のアクセス位置である光記録媒体21の媒体情報領域に光ピックアップ26が位置合わせされ、レーザ光源24から出射されたレーザ光が上記媒体情報領域に照射される(図11のフローチャートにおけるS1)。このときレーザ光源24から出射されたレーザ光のパワーは、再生初期用として予め定められている通常媒体用のパワーである。
【0136】
上記媒体情報領域からの反射光が、偏光ビームスプリッタ23を介して光検出器25へ到達し、電気信号に変換される。光検出器25にて生成された電気信号は、ヘッドアンプ28を介して、制御部36の信号処理部31、サーボ制御部37、およびRF処理部39に送られる。サーボ制御部37は、上記電気信号に基づいて、各種サーボ制御を行う。RF信号処理回路39Bは、再生初期時であるため、何の処理も行わない。
【0137】
信号処理部31は、上記電気信号を処理して媒体識別情報を再生し(S2)、この媒体識別情報を媒体識別部32に送る。媒体識別部32は、上記媒体識別情報に基づいて、光記録媒体21の識別を行う(S3)。
【0138】
媒体識別部32による識別の結果、光記録媒体21が通常媒体であった場合(S3においてNO)、RF処理制御部35は、この媒体識別部32の識別結果に基づいて、等価処理および複号処理を行うようにRF信号処理回路39Bを制御する(S8)。そして、通常媒体のコンテンツ領域に光ピックアップ26が位置合わせされて、レーザ光源24から出射されたレーザ光が、通常媒体用のパワーのままで、上記コンテンツ領域に照射される(S9)。そして、上記コンテンツ領域からの反射光が、光検出器25、ヘッドアンプ28を介して、RF信号処理部39へ送られ、コンテンツ情報が再生される(S10)。
【0139】
一方、媒体識別部32による識別の結果、光記録媒体21が超解像媒体10aであった場合(S3においてYES)、媒体情報領域1aのテストリード領域1Bに光ピックアップ26が位置合わせされて、レーザ光源24から出射されたレーザ光が、テストリード領域1Bに照射される。そして、そのテストリード領域1Bからの反射光が、光検出器25、ヘッドアンプ28、信号処理部31を介して、パワー制御部33へ送られる。パワー制御部33は、レーザ制御回路38を制御して、レーザ光源24のレーザ光のパワーを徐々に変化させて、ブランク領域2a用およびコンテンツ領域3a用のレーザ光のパワーを決定する(S4)。
【0140】
より具体的には、パワー制御部33は、レーザ光源24のレーザ光のパワーを徐々に変化させて、テストリード領域1Aにおける参照データ分に相当する長さのプリピット列を再生し、最も再生エラーが少ない時のパワーを上記レーザ光のパワーとして決定する。また、これに限らず、媒体のチルトマージンが最も大きい時のパワー、あるいは、所定のエラーレート以下となるパワー範囲の中央値を上記レーザ光のパワーとしてもよい。パワー制御部33は、決定したブランク領域2a用およびコンテンツ領域3a用のレーザ光のパワーを図示しないメモリに記憶する。
【0141】
続いて、媒体情報領域1aに記録されている再生クロック切替情報が、信号処理部31によって再生されて、再生クロック制御部34へ送られ、RF信号処理回路39Bにおいてコンテンツ情報の再生時に用いられる再生クロックが超解像媒体用に変更される(S5)。
【0142】
続いて、媒体情報領域1aに記録されている、ブランク領域2aのアドレス情報が、信号処理部31によって再生されて、パワー制御部33およびRF処理制御部35へ送られる。パワー制御部33は、受け取ったブランク領域2aのアドレス情報に基づいて、レーザ光源24のレーザ光のパワーを、S4において決定したコンテンツ領域3a用のパワーに変更する。また、RF処理制御部35は、受け取ったブランク領域2aのアドレス情報に基づいて、RF信号処理回路39Bにおける状態を維持する、すなわち等価処理および複号処理を停止させておく(S6)。
【0143】
光ピックアップ26が、媒体情報領域1aからブランク領域2aにアクセスすると、ブランク領域2aからの反射光が、光検出器25、ヘッドアンプ28を介して、サーボ制御部37へ送られ、各種サーボ制御が続行される(S7)。ブランク領域2aには、情報が記録されていないため、ブランク領域2aの再生は、制御部36の制御には影響しない。
【0144】
続いて、光ピックアップ26が、ブランク領域2aからコンテンツ領域3aにアクセスするとき、パワー制御部33は、ブランク領域2aのアドレス情報に基づいて、レーザ光源24のレーザ光のパワーを維持する。また、RF処理制御部35は、ブランク領域2aのアドレス情報に基づいて、等価処理および複号処理を行うようRF信号処理回路39Bを制御する(S8)。
【0145】
光ピックアップ26が、ブランク領域2aからコンテンツ領域3aにアクセスすると、
コンテンツ領域3aからの反射光が、光検出器25、ヘッドアンプ28を介して、RF信号処理部39へ送られ、コンテンツ情報が再生される(S10)。
【0146】
以上のように、再生装置50は、通常媒体用のレーザ光のパワーで媒体識別情報を再生し、この再生した媒体識別情報により、挿入された光記録媒体が通常媒体であるか超解像媒体10aであるかを識別する。そして、この識別結果に応じて、光記録媒体に合わせて処理を変更する(レーザ光のパワーを切り替えるなど)。また、再生装置50は、ブランク領域2aにおいては、サーボ制御は行ったままで、等価処理および復号処理を行わずコンテンツ情報の再生を停止させ、ブランク領域2aに対応する。したがって、再生装置50aは、通常媒体と超解像媒体10aとのいずれの媒体も再生可能な再生装置を提供することができる。
【0147】
また、再生装置50は、上述のように、ブランク領域2aを経由している間、等価処理および復号処理を行わないため、再生装置50の消費電力を小さくすることが可能となる。また、光学系のタンゲンシャル方向の移動速度である線速度が、等価処理および/または復号処理によって律速される再生装置の場合、ブランク領域2aを経由している間の時間を短縮することが可能となり、媒体情報領域1aの再生後、よりスムーズに、短い時間で、コンテンツ領域3aの再生に移行することが可能となる。
【0148】
なお、本実施形態では、テストリード領域1Aによってコンテンツ領域3aの再生に適したレーザ光のパワーを決定したが、複数の超解像媒体においてコンテンツ領域の再生に適したレーザ光のパワーが共通であれば、この共通のレーザ光のパワーを再生装置50が記憶しておいて、その記憶した情報を読み出すことによって最適なレーザ光のパワーを決定してもよい。また、テストリード領域によって決定したレーザ光のパワーをメモリに記憶しておき、次回からは、その記憶した情報を読み出すことによって最適なレーザ光のパワーを決定してもよい。
【0149】
〔実施の形態6〕
本発明に係る再生装置の他の実施形態について図12を用いて説明すると以下の通りである。本実施形態では、本実施形態に係る再生装置50aについて、通常媒体と、実施の形態3で示した超解像媒体10bとを再生する場合を例として説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態5で用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。また、基本的に、実施の形態5に係る再生装置50と異なる点についてのみ説明する。
【0150】
再生装置50aの構成は、再生装置50の構成と同様な構成であるため、ここではその説明を省略する。
【0151】
次に、再生装置50aの処理動作(再生動作)について図12を用いて説明する。図12は、再生装置50aの処理動作の流れを示している。図11に示した再生装置50の処理動作とは、「S4」と「S5」との間に「S4A」が追加されている点、「S6」が「S6A」となっている点、および「S7」と「S8」との間に「S7A」が追加されている点が異なる。
【0152】
再生装置50aに、光記録媒体21が挿入されると、光記録媒体21の挿入を検知して、スピンドルモータ22により光記録媒体21が回転する(図12のフローチャートにおける「スタート」)。そして、制御部36のアクセス位置制御部30によって光ピックアップ用モータ27が制御されて、再生初期のアクセス位置である光記録媒体21の媒体情報領域に光ピックアップ26が位置合わせされ、レーザ光源24から出射されたレーザ光が上記媒体情報領域に照射される(図12のフローチャートにおけるS1)。このときレーザ光源24から出射されたレーザ光のパワーは、再生初期用として予め定められている通常媒体用のパワーである。
【0153】
上記媒体情報領域からの反射光が、各種レンズおよび偏光ビームスプリッタ23を介して光検出器25へ到達し、電気信号に変換される。光検出器25にて生成された電気信号は、ヘッドアンプ28を介して、制御部36の信号処理部31、サーボ制御部37、およびRF処理部39に送られる。サーボ制御部37は、上記電気信号に基づいて、各種サーボ制御を行う。RF信号処理回路39Bは、再生初期時であるため、何の処理も行わない。信号処理部31は、上記電気信号を処理して媒体識別情報を再生し(S2)、この媒体識別情報を媒体識別部32に送る。媒体識別部32は、上記媒体識別情報に基づいて、光記録媒体21の識別を行う(S3)。
【0154】
媒体識別部32による識別の結果、光記録媒体21が通常媒体であった場合(S3においてNO)、RF処理制御部35は、この媒体識別部32の識別結果に基づいて、等価処理および複号処理を行うようにRF信号処理回路39Bを制御する(S8)。そして、通常媒体のコンテンツ領域に光ピックアップ26が位置合わせされて、レーザ光源24から出射されたレーザ光が、通常媒体用のパワーのままで、上記コンテンツ領域に照射される(S9)。そして、上記コンテンツ領域からの反射光が、光検出器25、ヘッドアンプ28を介して、RF信号処理部39へ送られ、コンテンツ情報が再生される(S10)。
【0155】
一方、媒体識別部32による識別の結果、光記録媒体21が超解像媒体10bであった場合(S3においてYES)、媒体情報領域1bのテストリード領域1Bに光ピックアップ26が位置合わせされて、レーザ光源24から出射されたレーザ光が、テストリード領域1Bに照射される。そして、そのテストリード領域1Bからの反射光が、光検出器25、ヘッドアンプ28、信号処理部31を介して、パワー制御部33へ送られる。パワー制御部33は、レーザ制御回路38を制御して、レーザ光源24のレーザ光のパワーを徐々に変化させて、コンテンツ領域3b用のレーザ光のパワーを決定する(S4)。
【0156】
より具体的には、パワー制御部33は、レーザ光源24のレーザ光のパワーを徐々に変化させて、テストリード領域1Bにおける参照データ分に相当する長さのプリピット列を再生し、最も再生エラーが少ない時のパワーを上記レーザ光のパワーとして決定する。また、これに限らず、媒体のチルトマージンが最も大きい時のパワー、あるいは、所定のエラーレート以下となるパワー範囲の中央値を上記レーザ光のパワーとしてもよい。パワー制御部33は、決定したコンテンツ領域3b用のレーザ光のパワーを図示しないメモリに記憶する。
【0157】
続いて、媒体情報領域1bに記録されているブランクパワー情報が、信号処理部31によって再生されて、ブランク領域2b用のレーザ光のパワーを決定する。パワー制御部33は、決定したブランク領域2b用のレーザ光のパワーを図示しないメモリに記憶する。(S4A)
続いて、媒体情報領域1bに記録されている再生クロック切替情報が、信号処理部31によって再生されて、再生クロック制御部34へ送られ、RF信号処理回路39Bにおいてコンテンツ情報の再生時に用いられる再生クロックが超解像媒体用に変更される(S5)。
【0158】
続いて、媒体情報領域1bに記録されている、ブランク領域2bのアドレス情報が、信号処理部31によって再生されて、パワー制御部33およびRF処理制御部35へ送られる。パワー制御部33は、受け取ったブランク領域2bのアドレス情報に基づいて、レーザ光源24のレーザ光のパワーを、S4Aにおいて決定したブランク領域2b用のパワーに変更する。また、RF処理制御部35は、受け取ったブランク領域2bのアドレス情報に基づいて、RF信号処理回路39Bにおける状態を維持する、すなわち等価処理および複号処理を停止させておく(S6A)。
【0159】
光ピックアップ26が、媒体情報領域1bからブランク領域2bにアクセスすると、ブランク領域2bからの反射光が、光検出器25、ヘッドアンプ28を介して、サーボ制御部37へ送られ、各種サーボ制御が続行される(S7)。ブランク領域2bには、情報が記録されていないため、ブランク領域2bの再生は、制御部36の制御には影響しない。
【0160】
続いて、光ピックアップ26が、ブランク領域2bからコンテンツ領域3bにアクセスするとき、パワー制御部33は、ブランク領域2bのアドレス情報に基づいて、レーザ光源24のレーザ光のパワーを、S4において決定したコンテンツ領域3b用のパワーに変更する(S7A)。また、RF処理制御部35は、ブランク領域2bのアドレス情報に基づいて、等価処理および複号処理を行うようRF信号処理回路39Bを制御する(S8)。
【0161】
光ピックアップ26が、ブランク領域2bからコンテンツ領域3bにアクセスすると、
コンテンツ領域3bからの反射光が、光検出器25、ヘッドアンプ28を介して、RF信号処理部39へ送られ、コンテンツ情報が再生される(S10)。
【0162】
以上のように、再生装置50aは、通常媒体用のレーザ光のパワーで媒体識別情報を再生し、この再生した媒体識別情報により、挿入された光記録媒体が通常媒体であるか超解像媒体10bであるかを識別する。そして、この識別結果に応じて、光記録媒体に合わせて処理を変更する(レーザ光のパワーを切り替えるなど)。また、再生装置50aは、ブランク領域2bにおいては、サーボ制御は行ったままで、等価処理および復号処理を行わずコンテンツ情報の再生を停止させ、ブランク領域2bに対応する。したがって、再生装置50aは、通常媒体と超解像媒体10bとのいずれの媒体も再生可能な再生装置を提供することができる。
【0163】
また、再生装置50aは、上述のように、ブランク領域2bを経由している間、等価処理および復号処理を行わないため、再生装置50aの消費電力を小さくすることが可能となる。また、光学系のタンゲンシャル方向の移動速度である線速度が、等価処理および/または復号処理によって律速される再生装置の場合、ブランク領域2bを経由している間の時間を短縮することが可能となり、媒体情報領域1bの再生後、よりスムーズに、短い時間で、コンテンツ領域3bの再生に移行することが可能となる。
【0164】
なお、本実施形態では、テストリード領域1Bによってコンテンツ領域3bの再生に適したレーザ光のパワーを決定したが、複数の超解像媒体においてコンテンツ領域の再生に適したレーザ光のパワーが共通であれば、この共通のレーザ光のパワーを再生装置50aが記憶しておいて、その記憶した情報を読み出すことによって最適なレーザ光のパワーを決定してもよい。また、テストリード領域によって決定したレーザ光のパワーをメモリに記憶しておき、次回からは、その記憶した情報を読み出すことによって最適なレーザ光のパワーを決定してもよい。
【0165】
以上、実施の形態5,6において、超解像媒体10a,10bの再生について説明したが、実施の形態1で示した超解像媒体10は、例えば、以下に示すように再生する。
【0166】
媒体情報領域1の再生が終了した後、レーザ光のパワーを変更することなくブランク領域2に移動する(ブランク領域2のアドレス情報が記録されていないため)。この場合、レーザ光のパワーを変更していないため、スポット径が擬似的に縮小されていない状態であり、それゆえ、徐々にトラックピッチが狭くなるに従いトラッキングサーボ制御が適切に行われなくなる。このトラッキングサーボ制御が適切に行われなくなったことをサーボ制御部37が検知して、信号処理部31に知らせ(ブランク領域情報)、レーザ光のパワーをコンテンツ領域3に適したパワーに変更させて再生を続行する(ブランク領域2からコンテンツ領域3を再生する)。なお、サーボ制御部37は、隣接トラックからのノイズ等により、トラッキングエラー信号がゼロとなるように安定的に制御を行うことができなくなったこと(例えば、トラッキングエラー信号が一定時間以上ゼロでない状態が続いたこと等)を検知することで、トラッキングサーボ制御が適切に行われなくなったことを検知することができる。
【0167】
また、実施の形態4において示した、HD_DVD規格に準拠した超解像媒体20は、集光レンズを開口数NAが0.65の集光レンズに変更することにより、実施の形態5,6において示した、超解像媒体10a,10bの再生方法と同様な方法によって再生できる。
【0168】
また、以上の実施の形態5,6における再生装置50,50aの構成は、一例であり、適宜変更して用いることも可能である。例えば、再生装置50,50aでは、信号処理部31において媒体情報領域の情報を再生しているが、RF信号処理回路39Bにおいて媒体情報領域の情報を再生して信号処理部31に供給するという構成でもよい。また、信号処理部31においてトラッキングエラー信号を生成してサーボ制御部37の機能を制御部36によって行ってもよい。
【0169】
最後に、再生装置50,50aにおける制御部36の各部は、ハードウェアロジックによって構成されてもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0170】
すなわち、再生装置50,50aは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである再生装置50,50aにおける制御部36の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、再生装置50,50aに供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0171】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0172】
また、再生装置50,50aを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0173】
また、再生装置は、その使用形態において据え置き用、携帯用の如何を問うものではない。
【0174】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0175】
本発明に係る超解像光記録媒体は、上記課題を解決するために、光記録媒体再生装置が有する光学系の解像限界より長い長さのプリピットからなるプリピット列によって、媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録されている第1領域と、上記光学系の解像限界以下の長さのプリピットを含むプリピット列によって、コンテンツ情報が記録されている第2領域とを備え、上記第2領域のトラックピッチが、上記第1領域のトラックピッチよりも小さい超解像光記録媒体であって、上記第1領域と上記第2領域との間に、上記第1領域のプリピット列と上記第2領域のプリピット列とをつなぐように、少なくとも2周以上のトラックが形成されているブランク領域を備え、上記ブランク領域におけるトラックのうち、上記第1領域のプリピット列に隣接するトラックは、隣接する上記第1領域のプリピット列とのトラックピッチが、上記第1領域のトラックピッチと同一であり、上記ブランク領域におけるトラックのうち、上記第2領域のプリピット列に隣接するトラックは、隣接する上記ブランク領域における上記第1領域側のトラックとのトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチへと変化するとともに、隣接する上記第2領域のプリピット列とのトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同一であり、上記ブランク領域には、情報が記録されていない構成であってよい。
【0176】
なお、説明の便宜上、ここでは、ブランク領域におけるトラックを2周とする。そして、この2周のトラックのうち、第1領域のプリピット列に隣接するトラックをトラックAとし、第2領域のプリピット列に隣接するトラックをトラックBとする。
【0177】
上記の構成によれば、本発明に係る超解像光記録媒体では、第1領域における媒体識別情報が、光記録媒体再生装置が有する光学系の解像限界より長い長さのプリピットからなるプリピット列によって、すなわち、通常光記録媒体の記録形態と同様に記録されているため、上記媒体識別情報を通常光記録媒体用のレーザ光のパワーで再生できる。したがって、光記録媒体再生装置は、媒体が挿入されると、通常光記録媒体用のパワーで媒体にレーザ光を照射し、媒体識別情報を読み取って、挿入された媒体が通常光記録媒体と超解像光記録媒体とのいずれであるかを判別する。そして、この判別の結果に応じて、挿入された媒体に合わせて処理を変更する(レーザ光のパワーを切り替えるなど)ことができるため、通常光記録媒体と上記超解像光記録媒体とのいずれの媒体も再生可能な互換性を有した再生装置を実現することができる。
【0178】
また、上記超解像光記録媒体では、上記光学系の解像限界以下の長さのプリピットを含むプリピット列によって、コンテンツ情報が記録されている。また、上記コンテンツ情報を記録している第2領域のトラックピッチは、上記第1領域におけるトラックピッチよりも小さく設定されている。よって、上記超解像光記録媒体は、通常光記録媒体と比較して、大容量の超解像光記録媒体を実現することができる。
【0179】
そして、上記超解像光記録媒体は、上記第1領域のプリピット列と上記第2領域のプリピット列とをつなぐ、トラックA,Bが形成されているブランク領域を備えている。このように、上記ブランク領域におけるトラックA,Bが、上記第1領域のプリピット列と上記第2領域のプリピット列とに連続して形成されるため、上記光学系が、上記第1領域から上記第2領域へと連続してトラッキングサーボ制御を行いながら、スムーズに移動できる。
【0180】
トラックAは、隣接する上記第1領域のプリピット列とのトラックピッチが、上記第1領域のトラックピッチと同一である。つまり、よって、上記第1領域の再生時において、トラックAによるノイズの影響を受け難く、トラッキングサーボ制御が適切に行われる。
【0181】
次に、トラックBは、隣接するトラックAとのトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチへと変化するとともに、隣接する上記第2領域のプリピット列とのトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同一である。よって、上記ブランク領域の再生時において、トラッキングサーボ制御が不安定になるが、上記ブランク領域には情報が全く記録されていないから、再生エラーとならない。そして、トラックBの再生において、トラッキングサーボ制御が上記第2領域のトラックピッチに対して安定し、上記第2域の再生へ移行する。上記第2領域の再生時においても、トラックBからのノイズの影響を受け難く、トラッキングサーボ制御も適切に行われる。
【0182】
以上により、上記超解像光記録媒体は、媒体識別情報が記録されている領域とコンテンツ情報が記録されている領域とがそれぞれ異なるトラックピッチである超解像光記録媒体において、上記媒体識別情報が記録されている領域から上記コンテンツ情報が記録されている領域へと再生が移行する時に、再生エラーが生じ難い超解像光記録媒体を実現することができるという効果を奏する。
【0183】
また、上記ブランク領域におけるトラックは、プリピット列又は案内溝からなっていてもよく、もしくはプリピット列および案内溝からなっていてもよい。
【0184】
本発明に係る超解像光記録媒体は、上記第1領域には、上記ブランク領域の開始位置を示す第1アドレス情報が記録されており、上記第2領域には、上記ブランク領域の終了位置を示す第2アドレス情報が記録されていることが好ましい。
【0185】
また、本発明に係る超解像光記録媒体は、上記第1領域には、上記ブランク領域のアドレス情報が記録されていることが好ましい。
【0186】
上記の構成によれば、上記光記録媒体再生装置が、上記ブランク領域の所在を認識し、上記ブランク領域および上記第2領域に対して適切な処理(例えば、上記光記録媒体再生装置のレーザ光のパワーを切り替えるなど)を行うことができるとともに、上記ブランク領域において、連続して隣接したトラックにジャンプして移動することができ、上記第2領域の再生にスムーズに、比較的短い時間で、移行することができるというさらなる効果を奏する。
【0187】
本発明に係る超解像光記録媒体は、上記第1領域には、上記第2領域のアドレス情報が記録されていることが好ましい。
【0188】
上記の構成によれば、上記光記録媒体再生装置が、上記ブランク領域および上記第2領域の所在を認識し、上記ブランク領域の所在を認識し、上記ブランク領域および上記第2領域に対して適切な処理(例えば、上記光記録媒体再生装置のレーザ光のパワーを切り替えるなど)を行うことができるとともに、上記ブランク領域において、連続して隣接したトラックにジャンプし、上記第2領域の開始位置や所望の位置に素早くアクセスでき、上記第2領域の再生にスムーズに、比較的短い時間で、移行することができる上記第2領域の再生にスムーズに移行することができるというさらなる効果を奏する。
【0189】
本発明に係る超解像光記録媒体は、上記第1領域には、上記光記録媒体再生装置が上記第2領域に照射するレーザ光のパワーを示すパワー情報が記録されていることが好ましい。
【0190】
また、本発明に係る超解像光記録媒体は、上記第1領域には、上記光記録媒体再生装置が上記第2領域に照射するレーザ光のパワーを調整するためのプリピットが形成されたテストリード領域が割り当てられており、上記テストリード領域のプリピット列は、上記第2領域のプリピット列と同じ記録密度および変調方式で形成されていることが好ましい。
【0191】
上記の構成によれば、上記超解像光記録媒体に、上記第2領域に照射するレーザ光のパワーを示すパワー情報が記録されているため、あるいは、上記超解像光記録媒体に、上記第2領域に照射するレーザ光のパワーを調整するためのプリピットが形成されたテストリード領域が割り当てられているため、上記光記録媒体再生装置は、上記第2領域の再生に適したレーザ光のパワーを認識できる。よって、上記第2領域におけるコンテンツ情報の再生を適切に行うことができるというさらなる効果を奏する。
【0192】
また、上記テストリード領域が上記第1領域に割り当てられているため、上記第2領域の記録容量を損なうことがないというさらなる効果も奏する。
【0193】
本発明に係る超解像光記録媒体は、上記第1領域には、上記光記録媒体再生装置が上記ブランク領域に照射するレーザ光のパワーを示すブランクパワー情報が記録されていることが好ましい。
【0194】
上記の構成によれば、上記超解像光記録媒体に、上記ブランク領域に照射するレーザ光のパワーを示すブランクパワー情報が記録されているため、上記光記録媒体再生装置は、上記ブランク領域に適したレーザ光のパワーを認識できる。よって、上記ブランク領域での処理を適切に行うことができるというさらなる効果を奏する。また、上記ブランク領域に適したレーザ光のパワーは、上記第2領域の再生に適したレーザ光のパワーよりも小さい場合がある。このような場合に、上記ブランクパワー情報により上記ブランク領域に適したレーザ光のパワーを正確に認識できるため、上記光記録媒体再生装置の消費電力を低減することが可能となる。
【0195】
本発明に係る光記録媒体再生装置は、上記課題を解決するために、上記超解像光記録媒体と、光記録媒体再生装置が有する光学系の解像限界より長い長さのプリピットからなるプリピット列によって、各種情報が記録されている光記録媒体である通常光記録媒体とを再生可能な光記録媒体再生装置であって、光記録媒体に記録されている情報を再生するために、上記光記録媒体の所望位置に再生光を照射し、その反射光から電気信号を生成する再生部と、上記電気信号に基づいて、サーボ制御を行うサーボ制御部と、上記電気信号に基づいて、上記光記録媒に記録されているコンテンツ情報を再生するコンテンツ情報再生部と、自装置の動作を制御する制御部とを備え、上記制御部は、通常光記録媒体の再生に適した再生光のパワーで得られた電気信号に基づいて、媒体識別情報を再生して取得するとともに、ブランク領域が存在していることを示すブランク領域情報を取得する情報取得部と、上記媒体識別情報に基づいて、上記光記録媒体が上記超解像光記録媒体であるか否かを識別する媒体識別部と、上記ブランク領域情報に基づいて、上記ブランク領域においては、上記コンテンツ情報再生部の動作を停止させるブランク制御部とを備えていることを特徴としている。
【0196】
本発明に係る光記録媒体再生装置は、上記課題を解決するために、上記超解像光記録媒体と、光記録媒体再生装置が有する光学系の解像限界より長い長さのプリピットからなるプリピット列によって、各種情報が記録されている光記録媒体である通常光記録媒体とを再生可能な光記録媒体再生装置の制御方法であって、光記録媒体に記録されている情報を再生するために、上記光記録媒体の所望位置に再生光を照射し、その反射光から電気信号を生成する再生工程と、上記電気信号に基づいて、サーボ制御を行うサーボ制御工程と、上記電気信号に基づいて、上記光記録媒に記録されているコンテンツ情報を再生するコンテンツ情報再生工程と、通常光記録媒体の再生に適した再生光のパワーで得られた電気信号に基づいて、媒体識別情報を再生して取得するとともに、ブランク領域が存在していることを示すブランク領域情報を取得する情報取得工程と、上記媒体識別情報に基づいて、上記光記録媒体が上記超解像光記録媒体であるか否かを識別する媒体識別工程と、上記ブランク領域情報に基づいて、上記ブランク領域においては、上記コンテンツ情報再生部の動作を停止させるブランク制御工程とを備えていることを特徴としている。
【0197】
上記の構成によれば、本発明に係る光記録媒体再生装置およびその制御方法は、通常光記録媒体用の再生光のパワーで媒体識別情報を再生し、この再生した媒体識別情報により、挿入された光記録媒体が上記超解像光記録媒体であるか否かを識別する。したがって、上記光記録媒体再生装置は、識別結果に応じて、上記光記録媒体に合わせて処理を変更する(再生光のパワーを切り替えるなど)ことができる。また、上記光記録媒体再生装置は、ブランク領域が存在していることを示すブランク領域情報を取得すると、上記ブランク領域においては、サーボ制御は行ったままで、コンテンツ情報の再生を停止させ、上記ブランク領域に対応する。
【0198】
以上により、媒体識別情報が記録されている領域とコンテンツ情報が記録されている領域とがそれぞれ異なるトラックピッチである超解像光記録媒体において、上記媒体識別情報が記録されている領域から上記コンテンツ情報が記録されている領域へと再生が移行する時に、再生エラーが生じ難い超解像光記録媒体と通常光記録媒体とのいずれの媒体も再生可能な光記録媒体再生装置およびその制御方法を実現することができるという効果を奏する。
【0199】
本発明に係る光記録媒体再生装置は、上記制御部は、上記媒体識別部の識別の結果、上記光記録媒体が上記超解像光記録媒体である場合に、上記再生部の再生光のパワーを、コンテンツ領域の再生に適した再生光のパワーに、あるいは上記ブランク領域の再生に適した再生光のパワーに制御するパワー制御部をさらに備えていることが好ましい。
【0200】
上記の構成によれば、上記光記録媒体再生装置は、挿入された光記録媒体に合わせて、それぞれに適した再生光のパワーに切り替えることができる。また、上記ブランク領域に適した再生光のパワーにも切り替えることができる。これにより、各媒体に対して、また各領域(ブランク領域やコンテンツ領域など)に対して、最適な状態で再生が行えるというさらなる効果を奏する。
【0201】
なお、上記光記録媒体再生装置における制御部を、光記録媒体再生装置制御プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記光記録媒体再生装置制御プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させることにより、任意のコンピュータ上で上記光記録媒体再生装置制御プログラムを実行させることができる。
【0202】
本発明の一つに係る超解像光記録媒体は、光記録媒体再生装置が有する光学系の解像限界より長い長さのプリピットからなるプリピット列によって、媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録されている第1領域と、上記光学系の解像限界以下の長さのプリピットを含むプリピット列によって、コンテンツ情報が記録されている第2領域とを備え、上記第2領域のトラックピッチが、上記第1領域のトラックピッチよりも小さい超解像光記録媒体であって、上記第1領域と上記第2領域との間に、上記第1領域のプリピット列と上記第2領域のプリピット列とをつなぐように、少なくとも2周以上のトラックが形成されているブランク領域を備え、上記ブランク領域におけるトラックのうち、上記第1領域のプリピット列に隣接するトラックは、隣接する上記第1領域のプリピット列とのトラックピッチが、上記第1領域のトラックピッチと同一であり、上記ブランク領域におけるトラックのうち、上記第2領域のプリピット列に隣接するトラックは、隣接する上記ブランク領域における上記第1領域側のトラックとのトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチへと変化するとともに、隣接する上記第2領域のプリピット列とのトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同一であり、上記ブランク領域には、情報が記録されていないことを特徴としている。
【0203】
これにより、媒体識別情報が記録されている領域とコンテンツ情報が記録されている領域とがそれぞれ異なるトラックピッチである超解像光記録媒体において、上記媒体識別情報が記録されている領域から上記コンテンツ情報が記録されている領域へと再生が移行する時に、再生エラーが生じ難い超解像光記録媒体を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明に係る光記録媒体は、BD−ROM(Blu-ray Disc Read Only Memory)、BD−R(Blu-ray Disc Recordable)、BD−RE(Blu-ray Disc Rewritable)、HD_DVD、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、CD−RW(Compact Disc Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、DVD−R(Digital Versatile Disc Recordable)およびDVD−RW(Digital Versatile Disc Rewritable)等に適用可能である。
【符号の説明】
【0205】
1、1a、1b、11 媒体情報領域(第1領域)
2、2a、2b、12 ブランク領域
3、3a、3b、13 コンテンツ領域(第2領域)
1A、1B、11A テストリード領域
10、10a、10b、20、105 超解像光記録媒体
26 光ピックアップ(再生部)
31 信号処理部(情報取得部)
32 媒体識別部
33 パワー制御部
35 RF処理制御部(ブランク制御部)
36 制御部
37 サーボ制御部
39B RF信号処理回路(コンテンツ情報再生部)
50、50a 光記録媒体再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記録媒体再生装置が有する光学系の解像限界より長い周期のウォブルが設けられた案内溝によって、媒体の種類を識別するための媒体識別情報が記録されている第1領域と、トラックピッチが上記第1領域のトラックピッチよりも小さい案内溝を有し、上記光学系の解像限界以下の長さのマークまたはスペースを含むマーク列によってコンテンツ情報が記録される第2領域とを備え、上記第2領域が、上記第1領域より外周側に設けられた光情報記録媒体であって、
上記第1領域と上記第2領域との間にブランク領域が設けられており、
上記ブランク領域は、
隣接する上記ブランク領域外の案内溝とのトラックピッチが上記第1領域のトラックピッチと同一である、上記第1領域に最も近い案内溝と、
隣接する上記ブランク領域外の案内溝とのトラックピッチが、上記第2領域のトラックピッチと同一である、上記第2領域に最も近い案内溝と、を含み、
上記ブランク領域は、トラックピッチが第1領域のトラックピッチから第2領域のトラックピッチに変化する少なくとも2周以上のトラックが形成されている、情報が記録されていない領域であることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の光情報記録媒体の再生方法であって、
上記第1領域に記録された上記媒体識別情報を取得したうえで、上記第2領域に記録されている上記コンテンツ情報を再生することを特徴とする再生方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−109025(P2012−109025A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53838(P2012−53838)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2009−530171(P2009−530171)の分割
【原出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】