説明

光拡散板および光拡散板の製造方法

【課題】本発明は、バックライトである冷陰極管の数の減少により管間隔が拡大しても、光を所望の方向へ選択的に拡散できることから輝度ムラやランプイメージを再現性よく安定的に抑制することができ、且つ高輝度が保持できる光拡散板とその製造方法、および同様の特性を有するバックライトユニットを提供することも目的とする。
【解決手段】本発明の光拡散板は、架橋有機微粒子が熱可塑性樹脂中に分散されている光拡散層を有し;上記架橋有機微粒子の屈折率と上記熱可塑性樹脂の屈折率とが異なるものであり;上記架橋有機微粒子を構成する高分子の式(1)で表される架橋密度が規定範囲内のものであり;上記架橋有機微粒子のアスペクト比が1より大きく;少なくとも一方の表面にシリンドリカルレンズ群を有し;且つ、上記架橋有機微粒子の長軸方向とシリンドリカルレンズの長さ方向が略同一であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散板、光拡散板の製造方法、および当該光拡散板を含むバックライトユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ装置はブラウン管を用いたものから液晶を用いたものに代わってきており、また、画面も大型化してきている。液晶ディスプレイのバックライトとしてはエッジライト方式と直下型方式のものがあるが、大型の液晶ディスプレイ装置では、光源として複数の冷陰極管を配置した直下型バックライトが一般的に用いられている。
【0003】
直下型バックライトを用いた液晶ディスプレイ装置の画面では、冷陰極管が存在する部分は明るい一方で存在しない部分は比較的暗いという輝度ムラが生じ、また、冷陰極管が画面に映り込むという問題がある。そこで、冷陰極管と液晶パネルとの間に光拡散板を配置することにより、冷陰極管から発せられる光を画面全体にわたり均一に拡散させることが行われている。
【0004】
現段階では、輝度ムラをより一層抑えて光均整度を高めるべく、光拡散板にプリズムシートやマイクロレンズシートなど複数枚のシートを重ねることが行われている。しかし、かかる方法は使用するシートの枚数に応じたコストが必要となる上に、これらシートはクリーンルーム内で人の手により設置されており、人件費も要する。
【0005】
さらに、液晶ディスプレイには一層の薄肉化が要求されており、そのために冷陰極管と画面との距離を狭めざるを得ず、光が十分に拡散できなくなっている。また、コストを下げるために冷陰極管の数を減らすことも行われている。その結果、輝度ムラはさらに大きな問題となっていることから、優れた光拡散作用を有する光拡散板が切望されている。
【0006】
輝度ムラを抑制し輝度を向上させることを目的とする光拡散板として、例えば特許文献1には、少なくとも一方の面にプリズム部を有し、連続相中に分散相が分散している光学シートが開示されている。この分散相は連続層と屈折率が異なることから冷陰極管より発せられた光を板面方向に拡散させることができ、また、表面に形成されたプリズム部により光はさらに拡散する。かかる分散相は連続相と互いに非相溶であるか難相溶であり、シートのドローや一軸延伸時にラグビーボール状に変形し、異方性を示すとされている。その実施例によれば、ポリプロピレン系樹脂中に相溶化剤と共にポリスチレン系樹脂を添加して分散させ、次いで約3倍のドロー比で押出すことによって、ポリスチレン系樹脂からなる分散相がラグビーボール状になったとの記載がある。
【特許文献1】特開2007−206569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した様に、液晶ディスプレイ装置に用い得る光拡散板であって、表面にプリズムが形成されており、且つ異方性を有する粒子がマトリックス樹脂中に分散しているとされているものが知られている。
【0008】
しかし本発明者らの知見によれば、いかにマトリックス樹脂と非相溶または難相溶といわれている樹脂からなる微粒子であっても、通常の有機樹脂微粒子では、加熱溶融されたマトリックス樹脂へ分散させるとその段階で原形を保持できない。その結果、光を屈折すべき連続相と分散相との明確な境界面が得られなかったり、所望の形状や粒度分布の分散相が安定して得られなかったりするため、光の均整度を十分に高めることはできなかった。一方、特許文献1では、かかる微粒子はシリカなどの無機物からなるものでもよいとされている。しかし、無機微粒子はマトリックス樹脂中で粉砕されることはあっても異方性を示すような形状に変形するとは到底考えられない。この点からも、当該文献の技術では微粒子の異方性につき詳細な検討がされていないことが分かる。
【0009】
そこで本発明が解決すべき課題は、バックライトである冷陰極管の数の減少により管間隔が拡大しても、光を所望の方向へ選択的に拡散できることから輝度ムラやランプイメージを再現性よく安定的に抑制することができ、且つ高輝度が保持できる光拡散板とその製造方法を提供することにある。また、本発明では、同様の特性を有するバックライトユニットを提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を進めた。その結果、上記従来方法では熱可塑性樹脂シートを延伸しても中に含まれる有機微粒子が所望の形状に変形せず、光拡散異方性が十分に発揮されないことを明らかにした。即ち、分子間が架橋されていない有機微粒子は、溶融したマトリックス樹脂に分散させる段階で相溶してしまうか、変形してしまう。その結果、シートの延伸により有機微粒子を所望の形状や分布、配向度にすることができない。一方、過度に架橋された樹脂からなる有機微粒子や無機微粒子の場合、マトリックス樹脂中への分散段階で変形はしないが、延伸によっても球状のまま変形しないために、所望の光拡散異方性が得られない。そこで本発明者らは、適度に架橋されている有機微粒子を用いれば、マトリックス樹脂中への分散工程では変形しないが延伸工程におけるせん断力などにより延伸方向へ配向しつつ変形するので高い光拡散異方性が得られることを見出して、本発明を完成した。
【0011】
本発明の光拡散板は、架橋有機微粒子が熱可塑性樹脂中に分散されている光拡散層を有し;上記架橋有機微粒子の屈折率と上記熱可塑性樹脂の屈折率とが異なるものであり;上記架橋有機微粒子を構成する高分子の下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下であり、
【0012】
【数1】

【0013】
[式中、Fn(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の架橋性官能基数を示し;Mw(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の分子量を示し;W(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の、単量体と架橋剤の合計に対する質量%を示し;W(m)は架橋有機微粒子の製造に用いる単量体の、単量体と架橋剤の合計に対する質量%を示す];上記架橋有機微粒子のアスペクト比が1より大きく;少なくとも一方の表面にシリンドリカルレンズ群を有し;且つ、上記架橋有機微粒子の長軸方向とシリンドリカルレンズの長さ方向が略同一であることを特徴とする。
【0014】
本発明の光拡散板としては、架橋有機微粒子または熱可塑性樹脂の少なくとも一方が、さらに酸化防止剤を含むものが好適である。熱可塑性樹脂をシート状に成形する際の加熱によって、特に架橋有機微粒子が酸化されて着色する場合があるが、かかる着色は輝度を低下させるおそれがある。そこで架橋有機微粒子または熱可塑性樹脂の少なくとも一方に酸化防止剤を添加することによりかかる着色を抑制すれば、より確実に輝度を維持することができる。
【0015】
また、さらに紫外線吸収剤および/または帯電防止剤を含有する層が形成されているものも好適である。冷陰極管からの紫外線で拡散板を構成する熱可塑性樹脂が着色したり、また、静電気の発生により光拡散板の表面に粉塵が付着するおそれがあるが、これらは輝度を低下させる可能性がある。そこで紫外線吸収層や帯電防止層を形成することによって、より確実に輝度を維持することができる。
【0016】
本発明に係る光拡散板の製造方法は、熱可塑性樹脂中に、下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下あり且つその屈折率が当該熱可塑性樹脂の屈折率と異なる高分子からなる架橋有機微粒子を分散させる工程
【0017】
【数2】

【0018】
[式中、Fn(c)、Mw(c)、W(c)およびW(m)は、上述したものと同義を示す];上記分散体をシート状に成形する工程;当該シートの少なくとも一方の表面にシリンドリカルレンズ群を形成する工程;および、当該シリンドリカルレンズの長さ方向と同一方向に当該シートを一軸延伸する工程;を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の製造方法では、架橋有機微粒子として、その個数平均粒子径が0.5μm以上、100μm以下であるものを用いることが好ましい。架橋有機微粒子、即ち光分散剤の粒子径が過度に大きくても小さくても所望の光拡散効果が十分に発揮されない可能性がある。
【0020】
本発明のバックライトユニットは、上記光拡散板と冷陰極管を含み、シリンドリカルレンズの長さ方向が冷陰極管の長さ方向と一致するように光拡散板と冷陰極管が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の光拡散板は、その製造工程において、光拡散作用を有する架橋有機微粒子がマトリックス樹脂中への分散工程においては変形しない一方で、延伸工程において適度に変形することから、高い光拡散異方性を享有する。よって本発明の光拡散板は、バックライトである冷陰極管の数を減らしても光を所望の方向に拡散させることができるので、需要が高まっている液晶ディスプレイ装置の製造コストを低減しつつ高輝度を発揮できるものとして産業上極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、先ず本発明に係る光拡散板の構成につき説明した上で、続いてその製造方法などにつき説明する。
【0023】
本発明の光拡散板は、架橋有機微粒子が熱可塑性樹脂中に分散されている光拡散層を有し;上記架橋有機微粒子の屈折率と上記熱可塑性樹脂の屈折率とが異なるものであり;上記架橋有機微粒子を構成する高分子の下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下であり、
【0024】
【数3】

【0025】
[式中、Fn(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の架橋性官能基数を示し;Mw(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の分子量を示し;W(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の、単量体と架橋剤の合計に対する質量%を示し;W(m)は架橋有機微粒子の製造に用いる単量体の、単量体と架橋剤の合計に対する質量%を示す];上記架橋有機微粒子のアスペクト比が1より大きく;少なくとも一方の表面にシリンドリカルレンズ群を有し;且つ、上記架橋有機微粒子の長軸方向とシリンドリカルレンズの長さ方向が略同一であることを特徴とする。
【0026】
本発明の光拡散板における光拡散層は、架橋有機微粒子が熱可塑性樹脂中に分散されているものであり、光を所定の方向に拡散させる。
【0027】
光拡散層の厚さは適宜調整することができ特に制限されないが、通常は0.3mm以上、10mm以下程度とすることができる。0.3mm未満であると光拡散作用が十分に発揮できなかったり、剛性が不足して形状安定性が維持できない場合があるのに対し、10mmを超えると本発明の光拡散板を適用した装置全体をコンパクトにできないおそれがある。より好ましくは、0.5mm以上、5mm以下程度とする。
【0028】
本発明に係る光拡散板の光拡散層のマトリックスを構成する熱可塑性樹脂は、透明なものであり且つ光拡散板の主な構成要素として適度な強度を有するものであれば特に制限されない。例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリ(p−メチルスチレン)などのスチレン系樹脂;MS樹脂(メチルメタクリレートとスチレンの共重合体);ノルボルネン系樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;これらのうち2種以上の混合樹脂などを用いることができる。好適にはポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂またはノルボルネン系樹脂を用いる。中でもポリカーボネート樹脂は、透明性や耐熱性、加工性に優れており、且つそれらのバランスがよいので光拡散板用の樹脂として特に好ましい。
【0029】
上記の熱可塑性樹脂は、光拡散層を構成するものとして例示したが、透明性等は当然に他の層にも求められるので、他の層を構成する樹脂として用いることもできる。
【0030】
本発明の光拡散板における光拡散層では、光拡散作用を有する架橋有機微粒子が透明な熱可塑性樹脂に分散している。ここで「分散」とは、光の透過を阻害するほど架橋有機微粒子が凝集しておらず、光拡散層全面にわたり適度な光拡散性が発揮されるようにできるだけ均一に分散していることをいう。
【0031】
熱可塑性樹脂と架橋有機微粒子との割合は、適宜調整すればよいが、例えば熱可塑性樹脂100質量部に対して架橋有機微粒子を0.1質量部以上、5.0質量部以下程度添加すればよい。熱可塑性樹脂100質量部に対して架橋有機微粒子が0.1質量部未満であると、輝度均整度が十分に改善できない可能性がある。一方、5.0質量部を超えると光拡散層の透明度が低下して輝度自体が低下するおそれがあり得る。
【0032】
架橋有機微粒子の原料として用いる単量体としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;スチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレンなどのスチレン類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどのマレイミド類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリルなどのアクリロニトリル類;N−ビニルピロリドン;の1種、或いはこれらのうち2種以上を混合して用いることができる。
【0033】
架橋有機微粒子の原料として用いる架橋剤としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビスヒドロキシエチルビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;ジビニロキシエトキシ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどのラジカル重合性架橋剤;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどの多官能エポキシ化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの多官能イソシアネート化合物;N−メチロールメラミン、N−メチロールベンゾグアナミンなどの多官能メチロール化合物;の1種、或いはこれらのうち2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
本発明に係る架橋有機微粒子の屈折率は、光拡散層を構成する熱可塑性樹脂の屈折率とは異なるものとする。同一の屈折率を有する架橋有機微粒子を用いると光は屈折されず、輝度の均整度を十分に高めることはできない。しかしその一方で、樹脂の屈折率は種類により異なるので、架橋有機微粒子を構成する樹脂と熱可塑性樹脂との種類を異なるものにすればよい。但し、光拡散異方性をより確実に発揮せしめるためには、熱可塑性樹脂と架橋有機微粒子の屈折率差を0.03以上にすることが好ましい。
【0035】
本発明の架橋有機微粒子または熱可塑性樹脂の少なくとも一方へは、さらに酸化防止剤を配合してもよい。酸化防止剤は加熱成形時における酸化や劣化による架橋有機微粒子や熱可塑性樹脂の着色を抑制することができるので、本発明の光拡散板を適用したバックライトユニットの輝度をより確実に発揮せしめることができる。
【0036】
酸化防止剤としては従来公知のものを用いることができる。例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]やオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−1−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトやトリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミンなどのリン系酸化防止剤;芳香環を有するものとして、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]など、芳香環を有さないものとして、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などの硫黄系酸化防止剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−t−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンの反応生成物などのラクトン系酸化防止剤;還元型牛脂を原料としたアルキルアミンの酸化生成物などのヒドロキシルアミン系酸化防止剤;3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オールなどのビタミンE系酸化防止剤などを使用できる。
【0037】
酸化防止剤の使用量は適宜調整すればよいが、通常、架橋有機微粒子および/または熱可塑性樹脂の全体に対して0.005質量%以上、0.3質量%以下程度添加すればよい。
【0038】
本発明に係る架橋有機微粒子は、適量の架橋剤を用いる他は通常の高分子製造方法に従って製造すればよい。例えばメタクリレートからなる架橋有機微粒子は、界面活性剤を含む水系溶媒に単量体と架橋剤を加え、さらに過酸化物などのラジカル重合反応開始剤を添加した後に加熱して反応を進行させ、得られた重合物を濾取乾燥することにより製造できる。なお、単量体と架橋剤との使用割合は、下記で説明する架橋密度に応じて調整すればよい。
【0039】
架橋有機微粒子は、原料となる単量体の種類や架橋剤の量などを検討することにより、その軟化温度を熱可塑性樹脂の軟化温度よりも低くなるように調整することが好ましい。本発明の架橋有機微粒子は適度に架橋されていることから、軟化温度が低くても溶融した熱可塑性樹脂に分散させる際に熱可塑性樹脂中へ溶解したり、容易に変形することはない。その一方で、軟化点が熱可塑性樹脂より低ければ、延伸工程で球形または略球形の架橋有機微粒子が変形し易くなり、結果的に光拡散板の光拡散異方性が高まるからである。
【0040】
本発明の架橋有機微粒子は、上記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下である架橋高分子からなる。当該架橋密度が0.001%未満であると溶融した熱可塑性樹脂中に分散させる際に溶解したり変形することによって、延伸時に所望の形状に配向させつつ変形させることができなくなり十分な輝度均整度が得られなくなったり、また、成形条件が少しでも異なると輝度均整度の再現性が低下するおそれがある。一方、当該架橋密度が0.12%を超えると架橋重合粒子の強度が過度に高まり、分散時の変形は抑制できても、延伸時に架橋重合粒子が変形せず所望の方向への光拡散異方性が得られなくなる場合がある。当該架橋密度は0.005%以上、0.11%以下が好ましく、0.01%以上、0.10%以下がより好ましい。
【0041】
上記架橋密度は、式(1)の通り、架橋重合粒子を製造するに当たり単量体と架橋剤の使用量、また、架橋剤の分子量や架橋性官能基数を変更することにより調整することができる。例えば、1分子当たりの架橋性官能基数が多い架橋剤を用いれば、より多くの重合体を架橋できるため架橋密度は高まる。
【0042】
本発明の光拡散板における架橋有機微粒子のアスペクト比は、1より大きい。即ち、原料段階では球状または略球状であった架橋有機微粒子は、延伸工程におけるせん断力などで変形し、例えば楕円体形状を呈するようになる。但し、架橋有機微粒子が厳密な意味での楕円体形状を有するとは限らず、実際には細長い様々な形状になると考えられる。よって、本発明におけるアスペクト比は、光拡散板の上下方向から観察した場合と、シリンドリカルレンズの長さ方向、即ち延伸方向に沿った切断面から観察した場合の両方において、その中心部および端部から板幅の1/10の距離における真中部の100μm×100μmの領域中の全ての架橋有機微粒子の形状で、最も短い部分の長さに対する最も長い部分の長さの比をいうものとする。
【0043】
光拡散層中に分散している架橋有機微粒子の平均的なアスペクト比としては、1.1以上が好適である。当該アスペクト比が大きいほど光拡散板の光拡散異方性は高くなる。一方、当該アスペクト比を大きくするには光拡散板の延伸倍率を大きくしなければならず、シートの強度が低下するおそれがあるので、好適には5.0以下とする。
【0044】
本発明の光拡散板においては、架橋有機微粒子の長軸方向は、シリンドリカルレンズの長さ方向、即ち延伸方向と略同一である。これは、本発明の光拡散板は球形または略球形の架橋有機微粒子を熱可塑性樹脂中に分散させた上でシート状に成形し、当該シートを延伸することにより製造するに当たり、延伸方向とシリンドリカルレンズの長さ方向を一致させることによるものである。かかる配向によって、本発明の光拡散板は光を所望の方向へ分散させることが可能になる。なお、上記両方向が略同一は、両方向が厳密に同一である場合に限られるものではなく、実質的に同一である場合も含まれるものとする。具体的には、上記両方向が略同一とは、光拡散板の上下方向から観察した場合と、シリンドリカルレンズの長さ方向に沿った切断面から観察した場合の両方において、その中心部および端部から板幅の1/10の距離における真中部の100μm×100μmの領域での架橋有機微粒子の長軸方向と、シリンドリカルレンズの長さ方向とがなす角度が最大でも30°以下、好ましくは20°以下、より好ましくは10°以下であることをいう。
【0045】
本発明の光拡散板の少なくとも一方の表面には、シリンドリカルレンズ群が形成されている。本発明におけるシリンドリカルレンズとは、通常のレンズと異なりある程度の長さと二等辺三角形などの断面形状を有し、入射光を一定の視野角内に拡散または集光できるレンズをいう。シリンドリカルレンズの大きさは適宜調整すればよく特に制限されないが、例えば幅は50μm以上、400μm以下程度、高さは10μm以上、200μm以下程度、長さは光拡散板の長さと同一か端部を除いた部分の長さと同一とすることができる。その断面形状も光をレンズ長さの直交方向へ拡散できるものであれば特に制限されないが、例えば二等辺三角形、半円、放物線形、楕円形の一部、下部が長方形で上部が半円の形を挙げることができる。二等辺三角形の頂角は60°以上、130°以下とすることができる。また、半円の中心角は180°とは限らず、光を一定方向に拡散できるように調整すればよい。
【0046】
本発明の光拡散板の少なくとも一方の表面には複数のシリンドリカルレンズが形成され、隣接するシリンドリカルレンズの間を空けてもよいが、好適には光拡散効率を高めるために間隔を空けず隣接させる。但し、シンドリカルレンズは端部まで形成してもよいが、固定するために端部は平面のままにしてもよい。
【0047】
シリンドリカルレンズを構成する樹脂は、光拡散層のマトリックス樹脂と同様のものを用いることができ、これら樹脂は異なるものであってもよいが、通常は同一の樹脂とする。なお、シリンドリカルレンズを構成する熱可塑性樹脂中にも、光拡散層に分散しているものと同様の架橋有機微粒子が分散されていてもよい。当該架橋有機微粒子の長軸方向も、同様にシリンドリカルレンズの長さ方向と略同一であるものとする。
【0048】
本発明の光拡散板は、シリンドリカルレンズを形成した側と反対の面側に、紫外線吸収剤を含む層、帯電防止剤を含む層、或いは紫外線吸収剤含有層と帯電防止剤含有層の両方が形成されていてもよい。即ち、光拡散層の少なくとも片面側に光分散作用以外の作用を有する層が形成されていてもよい。ここで「片面側」としたのは、異なる機能を有する層が光拡散層の上に直接形成されている場合に限られず、例えば紫外線吸収剤含有層と帯電防止剤含有層など複数の層が光拡散層の片面に積層されていてもよいことを意図したものである。これら異なる機能を有する層は、発光体から発せられる紫外線を低減して光拡散板の着色を抑制したり、また、帯電を抑制して粉塵の付着による輝度低下を抑制したり電子デバイスの寿命を延ばしたりするといった機能を本発明の光拡散板に付与するものである。
【0049】
紫外線吸収剤と帯電防止剤としては従来公知のものを使用することができる。例えば紫外線吸収剤としては、サリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;トリアジン系紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;環状イミノエステル型紫外線吸収剤;分子内にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造を有するハイブリッド系紫外線吸収剤;トリフェニルシアノアクリレート系紫外線吸収剤などの低分子紫外線吸収剤や、これら低分子紫外線吸収剤が高分子に懸垂するような形で結合している高分子紫外線吸収剤(例えば、日本触媒社製のハルスハイブリッド(登録商標)など)を用いることができる。
【0050】
帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸や、それらのLi、Na、Ca、Mg、Zn塩などのオレフィン系硫酸エステルまたはその金属塩;高級アルコールのリン酸エステル類などのアニオン界面活性剤;第3級アミン、第4級アンモニウム塩、カチオン系アクリル酸エステル誘導体、カチオン系ビニルエーテル誘導体などのカチオン界面活性剤;アルキルアミン系ベタインの両性塩、カルボン酸アラニンまたはスルホン酸アラニンの両性塩、アルキルイミダゾリンの両性塩などの両性界面活性剤;脂肪酸多価アルコールエステル、アルキル(アミン)のポリオキシエチレン付加物などの非イオン界面活性剤;ポリエーテルエステルアミドやポリエステルアミドなどのポリアミドエラストマーなどを用いることができる。また、ポリビニルベンジル型カチオン樹脂やポリアクリル酸型カチオン樹脂などの導電性樹脂も帯電防止剤として用いることができる。
【0051】
紫外線吸収剤および帯電防止剤の使用量は各機能に応じて適宜調整することができるが、通常、各層を構成する樹脂100質量部に対して1〜50質量部程度である。
【0052】
これら異なる機能を有する層は、光拡散層と同様の熱可塑性樹脂中に紫外線吸収剤や帯電防止剤を均一分散させたシートを、熱圧着や接着剤で光拡散層などに接着すればよい。或いは、紫外線吸収剤などを含むペーストを光拡散層上に塗布した上で乾燥または冷却してもよい。また、光拡散剤を配合した熱可塑性樹脂と、紫外線吸収剤や帯電防止剤を配合した熱可塑性樹脂を共押出成形してもよい。
【0053】
これら異なる機能を有する層の厚さは各機能などに合わせて適宜調整すればよいが、通常、1〜50μm程度にすることができる。
【0054】
本発明の光拡散板の大きさや形状は特に制限されず、例えば液晶ディスプレイ装置の大きさや形状に合わせればよい。
【0055】
本発明に係る光拡散板の製造方法は、熱可塑性樹脂中に、上記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下であり且つその屈折率が当該熱可塑性樹脂の屈折率と異なる高分子からなる架橋有機微粒子を分散させる工程;上記分散体をシート状に成形する工程;当該シートの少なくとも一方の表面にシリンドリカルレンズ群を形成する工程;および、当該シリンドリカルレンズの長さ方向と同一方向に当該シートを一軸延伸する工程;を含むことを特徴とする。
【0056】
本発明方法では、先ず、上記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下であり且つその屈折率が当該熱可塑性樹脂の屈折率と異なる高分子からなる架橋有機微粒子を、透明な熱可塑性樹脂中に分散させる。
【0057】
かかる架橋密度を有する架橋有機微粒子は、上述したように、架橋有機微粒子を製造するに当たり単量体と架橋剤の使用量、また、架橋剤の分子量や架橋性官能基数を変更することにより調整することができる。より詳しくは、溶媒中に使用量などを調整した単量体と架橋剤を溶解または分散し、さらに過酸化物などの重合開始剤を加えて重合反応を行う。この際、単量体などの溶解性や分散性を高めるために界面活性剤を用いてもよい。溶媒は適宜選択して用いればよいが、例えば脱イオン水などの水系溶媒などを用いることができる。反応系における単量体などの濃度、反応温度や反応時間は、予備実験や実際の反応の進行状況を把握しつつ適宜調整すればよい。
【0058】
架橋有機微粒子としては、その平均粒子径が0.5μm以上、100μm以下であるものが好適である。架橋有機微粒子の平均粒子径が小さ過ぎても或いは大き過ぎても適切な光拡散効果が十分に得られない場合があり得るからである。当該平均粒子径としては、0.8μm以上、80μm以下がより好ましく、1μm以上、50μm以下が特に好ましい。なお、当該平均粒子径は常法により測定できる。例えばベックマン・コールター社製の「コールターマルチサイザーIII」などコールター原理を使用した精密粒度分布測定装置により個数基準の粒度分布を測定し、得られた粒度分布からメジアン径を求めればよい。
【0059】
架橋有機微粒子を熱可塑性樹脂中に分散させる方法としては一般的なものを用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂を溶融温度以上に加熱して軟化させた後に架橋有機微粒子を添加し、十分に攪拌混合すればよい。この際、本発明の架橋有機微粒子は適度に架橋されていることから、熱可塑性樹脂と相溶してしまうことはない。但し、過剰に加熱温度を高めると架橋密度によっては架橋有機微粒子が変形することもあり得るので、加熱温度は溶融温度+5〜50℃程度とすることが好ましい。
【0060】
次に、得られた分散体をシート成形する。成形方法は特に限定されないが、キャスト法のように溶媒を用いると架橋重合粒子が変形や溶解するおそれがあるため、好適には押出成形法を用いる。即ち、上記分散体を溶融してシート状に押出して成形する。
【0061】
なお、透明熱可塑性樹脂中に架橋有機微粒子を分散させる工程とシート成形工程は、透明熱可塑性樹脂などの原料を押出成形機で加熱混合することにより一体的に実施することも可能である。
【0062】
得られたシートの少なくとも一方の表面にはシリンドリカルレンズ群を形成し、また、当該シートはシリンドリカルレンズの長さ方向と同一方向に一軸延伸する。これら工程は、何れを先に実施してもよいし、同時に行ってもよい。即ち、シリンドリカルレンズを形成してから一軸延伸してもよいし、一軸延伸してからシリンドリカルレンズを形成してもよいし、或いは複数のポリシングロールを用い、シリンドリカルレンズの形成と一軸延伸を同時に行ってもよい。なお、先に一軸延伸する場合には、次に形成すべきシリンドリカルレンズの長さ方向に一軸延伸するか、或いは一軸延伸した方向に応じてシリンドリカルレンズを形成する。
【0063】
複数のポリシングロールを用いてシリンドリカルレンズの形成と一軸延伸とを同時に行う場合には、例えば最初のロールの少なくとも一方にシリンドリカルレンズを形成するための溝を形成し、また、上記シート成形に用いたロールのうち最終ロールの間隙を狭めて圧力を高くしたり、最終ロールからのシートの引取り速度を高めることにより延伸倍率を調節するといった方法がある。
【0064】
延伸倍率、即ち(延伸前におけるシート厚さ/延伸後におけるシート厚さ)×100(%)としては、110%以上が好ましい。110%以上であれば、より確実に球状または略球状の光分散剤を楕円体形状とすることができ且つ延伸方向に配向させ得るからである。但し、過度に延伸すると光拡散板の強度が低下するおそれがあるので、好適には延伸倍率は400%以下、さらに好ましくは300%以下にする。なお、延伸工程で3本のロールを用いた場合における上記式の「延伸前におけるシート厚さ」は、押出し直後の第1ロールと第2ロールの間隙としてもよい。
【0065】
本発明のバックライトユニットは、上記光拡散板と冷陰極管を含み、シリンドリカルレンズの長さ方向が冷陰極管の長さ方向と一致するように光拡散板と冷陰極管が配置されていることを特徴とする。
【0066】
冷陰極管は一般的には管状である。よって、液晶ディスプレイ装置などの製造コストを低減すべく冷陰極管の数を減らすと、冷陰極管の長さ方向では問題は生じないが、冷陰極管の間で輝度の低下やランプイメージの問題が起こり得る。しかし本発明の光拡散板は光を特定方向へ選択的に分散させることができるので、冷陰極管の数を減らしても光の均一性を維持することができる。具体的には、本発明の光拡散板をシリンドリカルレンズの長さ方向が冷陰極管の長さ方向と一致するように配置することにより、冷陰極管の長さ方向に直交する方向へ光を選択的に分散させることができ、結果として光の均一性を保つことができる。
【0067】
よって、本発明の光拡散板および当該光拡散板を有するバックライトユニットは、液晶ディスプレイ装置などへ適用することによりその製造コストを低減することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0069】
実施例1 本発明に係る光拡散板
(1) 架橋有機微粒子の製造
攪拌機(特殊機化工業社製、T.K.ホモジナイザー)、窒素ガス導入管、還流冷却機および温度計を備えたフラスコへ、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、商品名「ハイテノール(登録商標)NF−08」)1質量部を脱イオン水900質量部に溶解した溶液を入れた。さらに、単量体であるメチルメタクリレート99質量部、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレート1質量部、ラウリルパーオキサイド2質量部を加えた。当該反応混合液を、回転数:3500rpmで常温にて5分間攪拌した。次いで、窒素ガスを吹き込みながら反応混合液が65℃になるまで加熱し、65℃で4時間重合反応させた。続いて、75℃で2時間熟成させた。次に、得られた懸濁液を室温まで冷却し、架橋重合体を濾別した。得られた架橋重合体を熱風乾燥機(ヤマト科学社製)により65℃で20時間乾燥することにより、架橋有機微粒子を得た。当該微粒子の個数基準の粒度分布を精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、コールターマルチサイザーIII)で測定したところ、メジアン径は7.3μm、変動係数は40.5%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.0119%であった。
【0070】
(2) 光拡散板の製造
上記で得た架橋有機微粒子を、表1の通り透明熱可塑性樹脂に配合し、光拡散板用配合物を得た。これらの光拡散板用配合物を押出機に200Kg/時間の速度で供給し、表2の成形条件で、一方の面に直線畝状シリンドリカルレンズ群が形成され、もう片方の面が鏡面またはエンボス面になるように、3本のポリシングロールを用いて押出し成形を行った。この際、第2のポリシングロールに対する第3のポリシングロールの回転速度比を上げることにより、さらに第3ポリシングロールに対する引取りロールの回転速度比を上げて第3ロールから剥離時にシリンドリカルレンズの長さ方向に延伸がかかるようにして表面にシリンドリカルレンズが付与された光拡散板を得た。得られた光拡散板の幅は70〜90cmであり、また、当該光拡散板を延伸方向で長さ100cmで切断した。
【0071】
なお、表2中、直線畝状シリンドリカルレンズ群を付与するためのロールは、以下の通りである。
【0072】
ロールA:表面層円周方向に、底辺:200μm、頂角:90°の二等辺三角形であって、その頂点部と谷部が曲率半径:65μmの弧状に丸められた断面形状を有する直線畝が連接しているパターンを有する。
【0073】
ロールB:表面層円周方向に幅が200μm、深さが100μmの凹状半円が直線畝状に連接したパターンを有する。
【0074】
つまり、ロールAを用いた場合には断面形状が二等辺三角形のシリンドリカルレンズが片面に形成され、ロールBを用いた場合には断面形状が半円のシリンドリカルレンズが片面に形成される。また、表2中、延伸倍率は式:(x/y)×100(%)[式中、x(mm)は第1ロールと第2ロールの間隙を示し、y(mm)は延伸後得られた光拡散板の厚みを示す]で算出した。なお、「光拡散板厚」は拡散板各面の凸部での測定値を用いた。
【0075】
実施例2 本発明に係る光拡散板の製造
上記実施例1(1)において、単量体であるメチルメタクリレート99質量部の代わりにメチルメタクリレート70質量部とn−ブチルアクリレート28質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを2質量部用い、また、乾燥を55℃で24時間行った以外は同様にして架橋有機微粒子を得た。得られた架橋有機微粒子の粒度分布を上記実施例1と同様に側定したところ、メジアン径は7.4μm、変動係数は40.2%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.0202%であった。
【0076】
得られた架橋有機微粒子を用いて、上記実施例1(2)と同様に、表2に示す成形条件で光拡散板を製造した。
【0077】
実施例3 本発明に係る光拡散板の製造
上記実施例1(1)において、単量体であるメチルメタクリレート99質量部の代わりにメチルメタクリレート85質量部とn−ブチルアクリレート14.5質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを0.5質量部用い、さらに硫黄系酸化防止剤(ADEKA社製、ペンタエリスチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、商品名「アデカスタブ(登録商標)AO−4125」)を0.5質量部加え、反応混合液を常温にて回転数:3000rpmで5分間攪拌し、また、乾燥を50℃で24時間行った以外は同様にして架橋有機微粒子を得た。得られた架橋有機微粒子の粒度分布を上記実施例1と同様に測定したところ、メジアン径は10.5μm、変動係数は40.8%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.0050%であった。
【0078】
得られた架橋有機微粒子を用いて、上記実施例1(2)と同様に、表2に示す成形条件で光拡散板を製造した。
【0079】
実施例4 本発明に係る光拡散板の製造
上記実施例1(1)において、単量体であるメチルメタクリレート99質量部の代わりにn−ブチルメタクリレート60質量部とn−ブチルアクリレート30質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを10質量部用い、また、乾燥を100mmHgの減圧下40℃で24時間行った以外は同様にして架橋有機微粒子を得た。得られた架橋有機微粒子の粒度分布を上記実施例1と同様に測定したところ、メジアン径は7.8μm、変動係数は41.2%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.1009%であった。
【0080】
得られた架橋有機微粒子を用いて、上記実施例1(2)と同様に、表2に示す成形条件で光拡散板を製造した。
【0081】
実施例5 本発明に係る光拡散板の製造
上記実施例1(1)において、単量体であるメチルメタクリレート99質量部の代わりにn−ブチルメタクリレート98質量部を用い、架橋剤であるトリメチロールプロパントリメタクリレートを2質量部用い、また、乾燥を100mmHgの減圧下40℃で24時間行った以外は同様にして架橋有機微粒子を得た。得られた架橋有機微粒子の粒度分布を上記実施例1と同様に測定したところ、メジアン径は7.8μm、変動係数は39.4%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.0176%であった。
【0082】
得られた架橋有機微粒子を用いて、上記実施例1(2)と同様に、表2に示す成形条件で光拡散板を製造した。
【0083】
実施例6 本発明に係る光拡散板の製造
上記実施例1(1)において、単量体であるメチルメタクリレート99質量部の代わりにメチルメタクリレート79質量部とn−ブチルアクリレート20質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを1質量部用い、反応混合液を回転数:6000rpmで常温にて5分間攪拌し、また、乾燥を55℃で24時間行った以外は同様にして架橋有機微粒子を得た。得られた架橋有機微粒子の粒度分布を上記実施例1と同様に測定したところ、メジアン径は4.2μm、変動係数は39.8%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.0101%であった。
【0084】
得られた架橋有機微粒子を用いて、上記実施例1(2)と同様に、表2に示す成形条件で光拡散板を製造した。
【0085】
実施例7 本発明に係る光拡散板の製造
(1) 架橋有機微粒子の製造
上記実施例1(1)において、モノマーであるメチルメタクリレート99質量部の代わりにメチルメタクリレート79.7質量部とn−ブチルアクリレート20質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを0.3質量部用い、反応混合液を常温にて回転数:6000rpmで5分間攪拌し、また、乾燥を50℃で24時間行った以外は同様にして架橋有機微粒子を得た。得られた架橋有機微粒子の粒度分布を上記実施例1と同様に測定したところ、メジアン径は3.8μm、変動係数は40.7%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.0030%であった。
【0086】
(2) 光拡散板の製造
上記で得た架橋有機微粒子を、表1の配合例7の通り透明熱可塑性樹脂に配合し、光拡散板用配合物を得た。この光拡散板用配合物を表2の成形条件で、上記実施例1(1)の押出し機を用いて、一方の面に直線畝状シリンドリカルレンズ群が、もう片方の面が鏡面になるように、3本のポリシングロールを用いて押出し成形を行った。この際、第2のポリシングロールに対する第3のポリシングロールの回転速度比を上げることにより、シリンドリカルレンズの長さ方向に延伸がかかるようにして表面にシリンドリカルレンズが付与された光拡散板を得た。得られた光拡散板の幅は70〜90cmであり、また、当該光拡散板を延伸方向で長さ100cmで切断した。
【0087】
実施例8 本発明に係る光拡散板の製造
上記実施例7で得られた架橋有機微粒子を用い、上記実施例7(2)と同様に、表1に示す配合例8の配合で表2に示す条件により光拡散板を製造した。
【0088】
実施例9 本発明に係る架橋有機微粒子の製造
(1) 架橋有機微粒子の製造
上記実施例1(1)において、モノマーであるメチルメタクリレート99質量部の代わりにトリフルオロエチルメタクリレート99質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを1質量部用い、反応混合液を常温にて回転数:5000rpmで5分間撹拌したこと以外は同様にして架橋有機微粒子を得た。得られた架橋有機微粒子の粒度分布を上記実施例1と同様に測定したところ、メジアン径は5.lμm、変動係数は39.2%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.0074%であった。
【0089】
(2) 光拡散板の製造
上記で得た架橋有機微粒子を、表1の配合例9の通り透明熱可塑性樹脂に配合し、光拡散板用配合物を得た。この光拡散板配合物を実施例1(2)の押出し機に200Kg/時間の速度で供給するとともに、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピロン E2000FN)100質量部に加工熱安定剤として(チバスペシャリティケミカルズ社製、IRGAFOS168)を0.1質量部配合した架橋重合体微粒子を含有しないポリカーボネート樹脂組成物をサブ押出し機に20Kg/時間の速度で供給し、フィードブロックを通じてTダイから排出させた。表2の成形条件で、一方の面に架橋重合体微粒子を含有しない透明熱可塑性樹脂層からなる直線畝状シリンドリカルレンズ群が、もう片方の面が鏡面になるように、3本のポリシングロールを用いて押出し成形を行った。この際、第3ポリシングロールに対する引取りロールの回転速度比を上げて第3ロールから剥離時にシリンドリカルレンズの長さ方向に延伸がかかるようにして表面にシリンドリカルレンズが付与された光拡散板を得た。
【0090】
実施例10 本発明に係る光拡散板の製造
ポリカーボネート樹脂をベースとする表1の配合例1の光拡散板用配合物100質量部に、蛍光増白剤(チバスペシャリティケミカル社製、ユビテックスOB)30ppmを添加し、上記の押出し機に200Kg/時間で供給するとともに、ポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レーヨン社製、アクリペットMD)100質量部と紫外線吸収剤(BASF社製、ユビナール3030)3質量部と帯電防止剤(富士化成工業社製、TPAE−H471EP)10質量部を配合した混合物をサブ押出し機に15Kg/時間で供給し、フィードブロックを通じてTダイから排出させた。この多層構造からなるシートを、実施例1(2)と同様にして、表2に示す成形条件で、ポリメチルメタクリレート樹脂を主体と且つ架橋有機微粒子が配合されていない層をシリンドリカルレンズ形成面の反対側面に有するシリンドリカルレンズ付ポリカーボネート光拡散板を製造した。
【0091】
実施例11
ポリメチルメタクリレート樹脂の代わりにポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピロンE2000FN)を用いた以外は実施例10と同様にして、ポリカーボネート樹脂を主体とし且つ架橋有機微粒子が配合されていない層をシリンドリカルレンズ形成面の反対側面に有するシリンドリカルレンズ付ポリカーボネート光拡散板を製造した。
【0092】
実施例12
ポリカーボネート樹脂をベースとする表1の配合例1の光拡散板用配合物100質量部に、蛍光増白剤(チバスペシャリティケミカル社製、ユビテックスOB)300ppmを添加した。当該混合物を、実施例1(2)で用いた押出機に200kg/時間で供給した。別途、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製、ユーピロンE2000FN)100質量部、紫外線吸収剤(チバスペシャリティケミカル社製、TINUVIN329)5質量部、および加工安定剤(チバスペシャリティケミカル社製、IRGAFOS168)0.1質量部を混合した。当該混合物をサブ押出機に10kg/時間で同時に供給した。フィードブロックを通じて、Tダイから多層シートを排出させた。この多層シートを、第3ポリシングロールと引取りロールの回転速度比を下げて延伸倍率を120%にしたこと以外は表2の実施例1と同様の成形条件で、延伸した。その結果、架橋有機微粒子が配合されていない層をシリンドリカルレンズ形成面の反対側面に有する、厚さ1.20mmのシリンドリカルレンズ付ポリカーボネート光拡散板を製造した。
【0093】
比較例1 光拡散板の製造
上記実施例1(1)において、単量体であるメチルメタクリレート99質量部の代わりにメチルメタクリレート85質量部を用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを15質量部用いた以外は同様にして架橋有機微粒子を得た。得られた架橋有機微粒子の粒度分布を上記実施例1と同様に測定したところ、メジアン径は7.2μm、変動係数は40.3%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.1513%と過剰に架橋されていることが分かった。
【0094】
得られた架橋有機微粒子を用い、上記実施例1(2)と同様に、表1の配合例10の配合と表2に示す条件により光拡散板を製造した。なお、表1における下線は、本発明の範囲外であることを示す。
【0095】
比較例2 架橋有機微粒子の製造
上記実施例1(1)において、単量体であるメチルメタクリレート99質量部の代わりにメチルメタクリレートを99.92質量部用い、架橋剤であるエチレングリコールジメタクリレートを0.08質量部用いた以外は同様にして架橋有機微粒子を得た。得られた架橋有機微粒子の粒度分布を上記実施例1と同様に測定したところ、メジアン径は7.4μm、変動係数は40.9%であった。また、当該微粒子の架橋密度を本発明に係る式(1)により計算したところ、0.0003%と架橋密度が十分でないことが分かった。
【0096】
得られた架橋有機微粒子を用い、上記実施例1(2)と同様に、表1の配合例11の配合と表2に示す条件により光拡散板を製造した。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
試験例1 光拡散板中の架橋有機微粒子の形状と配向度の評価
実施例1〜3と比較例1〜2の光拡散板の中央部、および左右端から夫々1/10の位置において、各100μm×100μmの領域を光学顕微鏡により鏡面側から観察し、架橋有機微粒子の形状と配向度を評価した。また、同拡散板の中央部をシリンドリカルレンズの長さ方向に沿って垂直に切断し、その中央部、および左右端から夫々1/10の位置において、同様に架橋有機微粒子の形状と配向度を評価した。これらの観察結果を表3にまとめた。なお、表3中、「架橋有機微粒子の形状」カラムにおいて、「数値」は楕円体または円体のアスペクト比を示し、「−」は粒子の存在を明確に確認できないことを示し;「架橋有機微粒子の配向度」カラムにおいて、「○」は微粒子の長軸がシリンドリカルレンズの長さ方向にほぼ配向していることを示し、「−*1」は架橋有機微粒子の形状がほぼ円形であるため配向が見られなかったことを示し、「−*2」は粒子の存在を明確に確認できなかったことを示す。
【0100】
【表3】

【0101】
表3に示す結果の通り、その架橋密度が本発明の規定範囲を超える微粒子を熱可塑性樹脂に配合した比較例1の場合、シリンドリカルレンズを形成するための延伸工程で微粒子が変形せず、ほぼ円形のままであった。一方、その架橋密度が本発明の規定範囲未満である微粒子を熱可塑性樹脂に配合した比較例2の場合、おそらくマトリックスとなる熱可塑性樹脂に分散させる段階で相溶してしまったためであると考えられるが、微粒子はその原形をとどめておらず、その存在を確認することができなかった。
【0102】
それに対してその架橋密度が本発明の規定範囲内のものである実施例1〜3の場合、鏡面側からの観察では100μm×100μmの領域に約30〜50個の架橋有機微粒子が存在し、シリンドリカルレンズの長さ方向断面からの観察では同じく約30〜50個の架橋有機微粒子が存在した。また、それぞれの観察において、全ての架橋有機微粒子が延伸方向(シリンドリカルレンズの長さ方向)に沿って楕円形状に変形していた。また、ほぼ全ての架橋有機微粒子の長軸方向は延伸方向と略同一であり、両者の角度は最大でも5°以内であった。以上の結果は、本発明に係る架橋有機微粒子は、溶融した熱可塑性樹脂中に分散させる際には球状のまま変形せず、シリンドリカルレンズを延伸により形成する際にせん断力により変形することに起因すると考えられる。以上の結果より、本発明に係る光拡散板は、シリンドリカルレンズと直交方向に光を良好に拡散し得る。
【0103】
試験例2 光学性能評価
200mm平方の冷陰極管バックライト(反射シート付、ランプピッチ:32mm)にシリンドリカルレンズ付光拡散板をレンズ面が出光側となるように装着し、分光放射輝度計(TOPCON社製、SR−3A)を用いて、冷陰極管上と冷陰極管の配列間における各10箇所の輝度を測定し、20箇所の平均値と均整度を求めた。なお、輝度均整度は式:{Lmin(輝度最小値)/Lmax(輝度最高値)}×100(%)で求めた。当該輝度均整度値が85%未満である場合を×、85%以上で且つ90%未満の場合を△、90%以上で且つ95%未満である場合を○、さらに95%以上である場合を◎として、表4に示す。
【0104】
【表4】

【0105】
表4の通り、有機微粒子がほぼ球状のまま分散されている比較例1の光拡散板では、光が良好に透過できることから輝度は高いが、有機微粒子による光拡散異方効果が乏しく輝度の均整度は全く十分でない。また、有機微粒子が観察できない比較例2の光拡散板では、おそらく有機微粒子がマトリックス樹脂中に溶解していることから光拡散板の透明度が低下し、輝度が低下している。また、その輝度均整度も十分でない。
【0106】
一方、本発明に係る光拡散板では、架橋有機微粒子がシリンドリカルレンズの長さ方向と略同一方向に変形していることから、照射された光は先ず架橋有機微粒子によりシリンドリカルレンズの直交方向に拡散され、さらにシリンドリカルレンズにより同方向へ拡散される。その結果、輝度均整度は極めて高くなることから、本発明の光拡散板は、液晶ディスプレイの構成部品として極めて優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋有機微粒子が熱可塑性樹脂中に分散されている光拡散層を有し;
上記架橋有機微粒子の屈折率と上記熱可塑性樹脂の屈折率とが異なるものであり;
上記架橋有機微粒子を構成する高分子の下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下であり、
【数1】

[式中、Fn(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の架橋性官能基数を示し;Mw(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の分子量を示し;W(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の、単量体と架橋剤の合計に対する質量%を示し;W(m)は架橋有機微粒子の製造に用いる単量体の、単量体と架橋剤の合計に対する質量%を示す];
上記架橋有機微粒子のアスペクト比が1より大きく;
少なくとも一方の表面にシリンドリカルレンズ群を有し;且つ
上記架橋有機微粒子の長軸方向とシリンドリカルレンズの長さ方向が略同一であることを特徴とする光拡散板。
【請求項2】
架橋有機微粒子または熱可塑性樹脂の少なくとも一方が酸化防止剤を含むものである請求項1に記載の光拡散板。
【請求項3】
さらに紫外線吸収剤および/または帯電防止剤を含有する層を有する請求項1または2に記載の光拡散板。
【請求項4】
光拡散板を製造するための方法であって、
熱可塑性樹脂中に、下記式(1)で表される架橋密度が0.001%以上、0.12%以下であり且つその屈折率が当該熱可塑性樹脂の屈折率と異なる高分子からなる架橋有機微粒子を分散させる工程
【数2】

[式中、Fn(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の架橋性官能基数を示し;Mw(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の分子量を示し;W(c)は架橋有機微粒子の製造に用いる架橋剤の、単量体と架橋剤の合計に対する質量%を示し;W(m)は架橋有機微粒子の製造に用いる単量体の、単量体と架橋剤の合計に対する質量%を示す];
上記分散体をシート状に成形する工程;
当該シートの少なくとも一方の表面にシリンドリカルレンズ群を形成する工程;および
当該シリンドリカルレンズの長さ方向と同一方向に当該シートを一軸延伸する工程;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
架橋有機微粒子として、その個数平均粒子径が0.5μm以上、100μm以下であるものを用いる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光拡散板と冷陰極管を含み、
シリンドリカルレンズの長さ方向が冷陰極管の長さ方向と一致するように光拡散板と冷陰極管が配置されていることを特徴とするバックライトユニット。

【公開番号】特開2009−157356(P2009−157356A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298089(P2008−298089)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】