説明

光検出器を有する集積バイオセンサ

集積生体感応装置は、照明されるときに、サンプルからの発光(放射)を検出する。光検出器(20)が、サンプル(40)を保持し或いはサンプルへの衝突のための励起放射線を受け取るためのサイトに隣接する。反射器(10)が、照明をサンプルサイトに偏向し、光検出器から離れるよう励起放射線を実質的に案内する。反射器を提供することによって、照明光の望ましくない偏向に対する発光の望ましい偏向の比率が改良され得る。これは、光検出器に到達する照明の量の減少、及び/又は、サンプルの照明の量、よって、検出器に到達する発光の量の増大によって達成され得る。これはフィルタを使用するよりも費用効率的に達成され得る。もし基板が透明であるならば、照明は上又は下からであり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサ、特に、バイオセンサに関し、サンプル(試料)からの放射を検出するよう配置される光検出器のような放射線検出器を有する集積半導体装置、並びに、そのような装置の対応する製造方法及び使用方法に関する。本発明は、光検出器のような放射線検出器の配列及びサンプルサイトの配列、並びに、そのような配列の製造方法及び使用方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
微小流体装置(micro-fluidic device)は、流体、例えば、血液に基づくサンプルの準備、及び、それらの後続の分析の両方のために使用される、殆どのバイオチップ技術の心臓である。バイオセンサと、微小流体装置とを含む集積装置が、例えば、DNA/RNA chip、BioChip及びLab−on−a−chipの名前の下で知られている。具体的には、配列、例えば、微小配列(マイクロアレイ)に対する高処理能力スクリーニングが、例えば、診断において利用される化学的又は生化学的分析のための新しいツールの1つである。これらのバイオチップ装置は、小さな容積のウェル(well)又はリアクタ(reactor)を含み、それらの中で化学的又は生化学的反応が検査され、所望の物理的、化学的、及び、生化学的反応及び分析を大量に遂行するために、微量の液体を迅速に且つ確実に規制し、輸送し、混合し、且つ、貯蔵し得る。小さな容積の検定を遂行することによって、時間、並びに、標的、化合物、試薬の費用の有意な節約が達成され得る。
【0003】
一般的に、バイオチップの蛍光信号の検出は、存在する蛍光体の量を定量化するために、ベンチトップ/研究室機械内に局所化される、光源と、光ファイバと、センサ(例えば、CCDカメラ)を含む、光学検出システムを使用して行われる。そのようなセンサ10の概略的な例証が図1に表示されており、基板18上のサンプル16を照射するための放射線源14を示している。結果として得られる蛍光信号は、検出器素子12内の光学素子22を使用して収集される。ベンチトップ/研究室機械内で使用される蛍光検出システムは、さらに、一般的には、蛍光信号を獲得し且つ分析するために、高価な光学素子を必要とする。典型的には、励起放射線20をフィルタリングするためのフィルタと、蛍光応答から励起放射線を分離するためのフィルタ24が必要とされる。具体的には、これらの光学系の所要感度を得るために、鋭い波長切断を備える光学フィルタ、即ち、高度に選択的なフィルタが使用され、励起スペクトル(吸収)と発光スペクトル(蛍光)との間のシフトは、しばしば小さい(<50nm)。後者は図2に例証されている。結果的に、蛍光に基づく光学系内の雑音の主要源は、歴機構の(一部の)反射と、励起光の(レイリー)散乱である。
【0004】
分子診断のような多くの生物工学用途には、蛍光信号を検出し、且つ、様々な(反応)条件下で高い処理能力を可能にするよう、平行に且つ独立的に読出しされ得る、光センサ、或いは、光センサの配列を含むバイオチップの必要がある。光センサを組み込むバイオチップの利点は、とりわけ、オンチップ正孔信号取得システムが、分析チップ、例えば、DNAチップハイブリッド形成パターン分析の速度及び確実性の両方を向上すること、検定のための費用が減少されること、例えば、医療地点診断及び沿道試験のような用途なのために携帯型の手持ち式器具を得るために、高い可搬性が得られる(即ち、中央ベンチトップ機械はもはや必要とされない)こと、収集の固体角度が増大するに応じて蛍光強度が拡大され得ること、並びに、媒体境界及び対応する反射の数が減少することである。
【0005】
ベンチトップ機械は、多角的なバイオチップ及びバイオチップの多様性を処理し得るようになるであろう。ベンチトップ機械の一部として光センサを有することは、特殊な検定のための特殊なフィルタ組の取付けを要求し、それは様々な励起及び/又は発光スペクトルを用いた蛍光ラベルの平行(多重)検出を阻害する。従って、オンチップ光センサを読み出し得ることは、柔軟な多目的ベンチトップ機械を可能にし、バイオチップ、ベンチトップ機械、及び、それらの構成部品の標準化に向けての道を開く。それにも拘わらず、フィルタの必要は、そのようなバイオチップを高価にし、もし使い捨て型のバイオチップが考えられるならば、それは特に不利である。
【0006】
Nucleic Acids Research 32(2004)において、Fixe et al.は、集積光センサを用いたバイオチップを記載している。検出システムは、励起光を除去するために高価なフィルタを使用し、それによって、検出感度はフィルタリングの故に限定される。
【0007】
分子診断のような数多くの生物工学用途では、高い多用性及び高い処理能力を可能にするために平行に且つ独立して処理され得る温度制御区画の配列を含む、生化学分子(例えば、センサ、PCR)の必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改良されたセンサ、特に、バイオセンサを提供すること、サンプルからの放射を検出するよう配置される光検出器のような放射線検出器を有する改良された集積半導体装置を提供すること、並びに、そのような装置の対応する製造方法及び使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、独立項によって定められる。従属項は、有利な実施態様を定める。
【0010】
本発明に従った反射器を提供することによって、照明放射線、例えば、照明光の望ましくない検出に対する発光の所望の検出の比率は向上し得る。これは放射線検出器、例えば、光検出器に到達する照明の量を減少することによって、及び/又は、サンプルの放射線、例えば、照明の量、よって、検出器に到達する発光の量を増大することによって達成され得る。これは波長フィルタを使用することによるよりも費用効率的に達成され得る。放射線、例えば、照明は、外部放射線源からであり得るし、或いは、原理的に、それは装置上に集積される放射線源によってもたらされ得る。放射線、例えば、照明は、刺激される発光の種類に従って、電磁スペクトルの可視波長又は不可視波長、例えば、遠赤外、赤外、可視、紫外、遠紫外であり得る。同様に、放射線検出器、例えば、光検出器は、電磁スペクトルの可視波長又は不可視波長を含むことが意図される。
【0011】
検出器に到達する励起放射線は、50%未満、好ましくは、25%未満、より好ましくは、10%未満、より好ましくは、1%未満であり得る。サイトは、サンプルが位置付けられ得るウェルであり得るし、或いは、放射線発光サンプル粒子が跳ね返り得る表面であり得る。よって、サイトは、測定室内の測定領域であり得る。装置は、微小配列(マイクロアレイ)の形態で実施され得る。励起放射線をサンプルサイトにもたらすための反射器は、励起放射線をサンプルサイト上に偏向するために適合され得る。代替的に、励起放射線をサンプルサイトにもたらすための反射器は、サンプルサイトでエバネッセント場励起放射線を生成するために適合され得る。
【0012】
一部の実施態様の追加的な特徴は、基板の上の層を含む検出器と、層と実質的に平行に通るよう放射線を基板に対して垂直に方向変更するよう配置される反射器とである。これは上述された比率を増大する便利な方法である。
【0013】
一部の実施態様の追加的な特徴は、装置が単一使用装置であることである。単一使用装置は、汚染が減少され得るという利点を有する。そのような装置のために、費用を低く維持することがより重要であり得る。
【0014】
一部の実施態様の追加的な特徴は、検出サイトの配列を有する装置であり、各検出サイトは、反射器、及び、放射線検出器、例えば、光検出器を有し、選択的に、他のサンプルからの発光から放射線検出器、例えば、光検出器を遮蔽する放射線遮蔽体を有する。これは、装置が、複数試験、同一種類の試験又は異なる種類の試験のいずれかのために、同時に使用されることを可能にし得る。
【0015】
一部の実施態様の追加的な特徴は、基板から突出するプリズム又はプリズム状構造によって形成される反射器である。そのような構造は、比較的容易に集積され得る。原理的には、もし基板が透明であるならば、反射器は、代替的に、基板内に沈められ得る。代替的に、プリズム又はプリズム状構造によって形成される反射器は、それが縁部を備える基板に面するよう、頂層に提供され得る。
【0016】
一部の実施態様の他の追加的な特徴は、励起放射線、例えば、照明光が反射器に到達することを可能にし、検出器に到達する励起放射線の量を実質的に減少するよう配置される、サンプルサイトの上のマスクである。これは上述された比率を向上するのに役立ち得るし、或いは、照明の狭いビームの注意深い整列の必要を回避するのに役立ち得る。
【0017】
他のそのような追加的な特徴は、放射線、例えば、光を同一の検出器の上に偏向するよう配置される、同一の検出器の異なる側の上の2つ又はそれよりも多くの反射器である。再び、これは上述された比率を向上するのに役立ち得る。
【0018】
他のそのような追加的な特徴は、光を1つよりも多くの検出器の上に偏向するよう配置される1つの反射器である。これはより高いレベルの集積を可能にし得るし、或いは、設計及び製造を単純化し得る。
【0019】
他のそのような追加的な特徴は、検出器の配列のいずれからも選択し且つ読み取るための回路構成である。再び、これはより多くの検出器が集積されることを可能にし得るし、より多くの試験又は様々な試験が同時に遂行されることを可能にし得る。回路構成は、大面積エレクトロニクスに基づき得る。具体的には、エレクトロニクスは、薄膜トランジスタ(TFT)又はダイオード若しくは光ダイオードのような他のTFT装置を含み得る。大面積エレクトロニクス技術は、アモルファスシリコン、低温ポリシリコン、及び/又は、無機技術に基づく技術であり得る。
【0020】
他のそのような追加的な特徴は、サンプルサイトのそれぞれが、検体分子への結合、例えば、様々な種類の相補形DNAを備えるハイブリッド形成に適した、DNAサンプルのような、異なる種類の生体分子を含むことである。これは多くの異なる種類の検体分子、異なる首里のDNA、タンパク質のための同時試験を可能にし得る。
【0021】
他のそのような追加的な特徴は、透明又は半透明である基板、基板の1つの側に配置される放射線検出器、例えば、光検出器、及び、基板を通過後に外部光を反射するよう基板の同一の側に配置される反射器である。
【0022】
この構成は、放射線検出器、例えば、光検出器が、外部照明の源から離れて面することを可能にし、マスキング又は他の対策の必要を減少する。
【0023】
他のそのような追加的な特徴は、ガラス基板のような絶縁基板の上のシリコンのような半導体材料を含む放射線検出器、例えば、光検出器である。
【0024】
本発明の実施態様に従った集積装置は、実時間ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に適し得る。
【0025】
本発明の他の特徴は、そのような装置の対応する製造方法及び使用方法である。
【0026】
追加的な機能のいずれも一緒に組み合わせられ得るし、いずれの特徴とも組み合わせられ得る。他の利点は、特に、他の従来技術に関して、当業者に明らかであろう。本発明の請求項から逸脱せずに、数多くの変形及び修正が行われ得る。従って、本発明の形態は例証的であるに過ぎず、請求項の範囲を制限することは意図されていないことが明らかに理解されなければならない。
【0027】
本発明がどのように実施されるかが、付属の図面を参照して一例によって今や記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、具体的な実施態様を参照して、並びに、特定の図面を参照して記載されるが、本発明はそれらに限定されず、請求項によってのみ限定される。請求項内の如何なる参照記号も、範囲を制限するものと解釈されてはならない。図面は、概略的にのみ記載されており、非限定的である。図面では、例証の目的のために、一部の素子のサイズは誇張され得るし、原寸通りに描写されていない。「含む」という用語が本記載及び請求項中で使用される場合、それは他の素子又はステップを排除しない。単一の根石を参照するときに、不定冠詞又は定冠詞が使用される場合、何らかが特別に述べられていない限り、これは複数のその名詞を含む。
【0029】
さらに、記載中及び請求項中の第一、第二、及び、第三の用語、並びに、その類似用語は、類似素子の間を区別するために使用され、必ずしも順次的或いは経時的な順序を記載しない。そのように使用される用語は、特定の状況の下で置換可能であること、並びに、ここに記載される本発明の実施態様は、ここに記載され或いは例証される順序以外の他の順序で動作可能であることが理解されるべきである。
【0030】
本発明は、基板、特に、透明な基板の上に放射線検出器、例えば、光ダイオードの配列を含むバイオセンサのようなセンサに関する。センサは、微小配列(マイクロアレイ)の形態で実施され得る。
【0031】
本発明において、感知のための装置及び方法は、典型的には、照射を感知するために適合される。そのような照射は、拘束された、保持された、或いは、固定化された分子又は粒子から、並びに、例えば、液体サンプル中に存在し表面に束縛されない、非固定化プローブから生じ得る。よって、感知するための装置及び方法は、化学的、生化学的、又は、生物学的分子、例えば、粒子を感知し或いは定量化するために適合され得る。そのようなセンサは、例えば、実時間ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のために使用され得る。実時間PCRでは、PCR生成物の検出及び定量化のために、蛍光ラベル付きプローブ又はDNA結合蛍光染料が使用され、よって、定量的なPCRが実時間で遂行されることを可能にする。DNA結合染料は、特定PCR生成物と非特定PCR生成物との間の差別化を許容しないのに対し、蛍光ラベル付き核酸プローブは、それらが特定PCR生成物とだけ反応するという利点を有する。実時間PCRの場合には、典型的には、PCRプライマ(primer)が信号分子に結合するや否や、PCRプライマは照射し始める。信号分子は、典型的には、表面又は基板の上のサイト(場所)に結合されずに、サンプル中に起こり得る。代替的に、他の蛍光に基づく感知及び/又は定量化技法のような他の用途では、プローブは、非共有結合型又は共有結合型の結合によってサイトに固定化され或いは取り付けられ得るし、或いは、例えば、メッシュ又はファイバ構造内に、機械的に拘束され或いは保持され得る。
【0032】
プローブは、如何なる適切な分子又は複数の分子、例えば、抗体、その結合断片、DNA若しくはRNA、DNA若しくはRNAの断片、ペプチド、タンパク質、炭水化物、セル、外部若しくは内部セル膜若しくは細胞器官(オルガネラ)、バクテリア、ウイルス等のようなセル部分でもあり得る。また、プローブは、これら、例えば、セルタンパク質の組み合わせを含み得る。もしプローブの固定化が感知装置又は感知方法において使用されるならば、プローブのためのサイトの表面は、サンプルの固定化を許容するために、有用な特性を取得するよう処置され得る、例えば、サイト表面は、疎水性或いは親水性とされ得る。典型的には、そのようなサイトは、スポットが乾燥されるときに、スポットが放射線検出器と直接的に接触し或いは整列されるよう、生体分子をスポットとして蒸着し或いは印刷することによって創成され得る。生体分子は、好ましくは、その存在が決定されることが意図される検体分子に結合するプローブである。基板の表面に生物学的分子プローブを取り付ける一般的な方法は、当業者に既知である。例えば、“Microarray Technology and Its Application”,Muller and Nicolau,Springer, 2005,第2章及び第3章を参照。スポット地域又はプローブサイトは、「画素」(ピクセル)と呼ばれ得る。スポット蒸着は、適切な技法、例えば、例えば、生体分子の形態の液体サンプルの接触又は非接触印刷、マイクロスポッティング、固体若しくはスプリットピン若しくはクイル印刷、ピペッティング、又は、感熱、ソレノイド、若しくは、圧延インクジェット印刷によって行われ得る。本発明の実施態様によれば、照射のために適合されるプローブは、典型的には、多数の放射線検出器サイトの配列と整列される。プローブを含むサンプルが、多数の放射線検出器サイトの配列と整列され得るし、且つ/或いは、プローブが固定化され得る多数のサイトの配列が、放射線検出器サイトの配列と整列され得る。
【0033】
加えて、例えば、異なる照射プローブ間のクロストーク(漏話)を防止するために、サンプル内に自由に位置付けられる或いはプローブサイトで固定化される、隣接する照射プローブからの光を遮断するために、光遮蔽体が適用され得る。光遮蔽体は、スポットのためのサイトと整列される検出器を提供するために、検出器の使用と組み合わせられ得るし、或いは、これと無関係であり得る。
【0034】
検体分子は、検出される必要のある如何なる分子、例えば、DNA若しくはRNA、DNA又はRNAの断片、ペプチド、タンパク質、炭水化物、セル、外部又は内部セル膜又は細胞器官、バクテリア、ウイルス等でもあり得る。結合プローブ及び検体分子の発光を可能にするために、プローブ及び/又は検体分子は、例えば、蛍光、燐光、エレクトロルミネッセンス、ケミルミネッセンス等によって、発光をもたらすラベルを含み得るし、或いは、そのようなラベルに取り付けられ得る。ラベル付けされるとき、プローブ及び/又は検体分子は、「光学的に可変な分子」と記載され得る。照射プローブからの結合光放射が変化するや否や、例えば、それはケミルミネッセンスを放射し得るし、或いは、もし正しい波長の放射線で励起されるならば、それは蛍光を放射し得る。例えば、電流のような適切な刺激の提供によって、他の形態の光放射、例えば、エレクトロルミネッセンスが、本発明と共に使用され得る。また、如何なる適切な形態の検出、例えば、基板の主要表面に対して実質的に垂直な方向の垂直光検出、或いは、例えば、1つの照射プローブから放射する光のみが犬種移されるよう遮蔽体付き光ダイオードを備える横方向光検出も使用され得る。これは医療診断用途のためのカートリッジの製造プロセスにおける重大な品質制御を可能にする。
【0035】
記載される実施態様は、集積放射線検出器、例えば、光検出器及び反射器を備える、光バイオセンサに関する。具体的な実施態様は、例えば、ディスプレイにおいて一般的に使用されるアクティブマトリックス(AM)技術(例えば、低温ポリシリコン、即ち、LTPS)に基づく、光センサのような放射線センサを組み込む光バイオセンサを有する使い捨て型の装置を示す。これらの技術は、さもなければ蛍光検出器(即ち、光センサ)上に背景信号を引き起こす励起光を抑制するより安価な方法を探すという問題に取り組むのに役立つ。反射器は、励起光を(光センサの上ではなく光センサから離れて)光センサより上に向けるために、使い捨て型の装置上に取り付けられる。方向変更される励起光は、サンプルを励起するために使用され得る。代替的に、励起光を方向変更することによって、エバネッセント場励起放射線が、反射器に近いサンプル位置に生成され得る。よって、このエバネッセント場励起放射線は、サンプルを励起するために使用され得る。
【0036】
バイオセンサは、アクティブマトリックス(AM)技術に基づき得る。そのようなバイオセンサの利点は、異なる検定を同時に遂行するために、それが使い捨て形態で使用され得ることである。実時間PCRが、本発明の実施に有利に利用され得るが、多くの他の試験方法が使用され得る。実時間PCR並びに急速サイクル実時間PCRは、“Rapid cycle real−time PCR”,Reischl, Wittwer, Cockerill,Springer Verlag,2001、特に、“Applications and Challenges of Real−Time PCR for the Clinical Microbiology Laboratory”と題する章に記載されている。
【0037】
本発明が使い捨て型装置に適用される場合には、装置を製造するのが安価であることが好ましい。本発明の機能の一部は、典型的には蛍光検出器の前で使用される検出フィルタが高価であるという認識に基づいている。本発明に従った反射器は、検出器に達する励起光を抑制する新しいより安価な解決をもたらし得る。原理的に、反射器は、そのような検出フィルタの代替として、或いは、そのような検出フィルタとの組み合わせで使用され得る。反射器はプリズムであり得るし、励起光を集積光センサから離れるよう、即ち、集積光センサの脇又は(集積光センサの上にではなく)集積光センサより上に向け得る。反射される励起光は、サンプルを励起するために使用され得るし、或いは、生成されるエバネッセント場励起放射線は、サンプルを励起するために使用され得る。
【0038】
図3は、本発明の実施態様を示しており、外部源(図示せず)からの励起光が、プリズム10の形態の反射器を上から照明している。プリズムは、励起光を吸収体/鏡体30に向けて方向変更し、プローブ、例えば、生体分子又はバイオサンプルを含むサンプル40によって放射される蛍光60が、ダイオード20の形態の光検出器のような放射線検出器で検出される。ダイオードは、基板80の上に形成され、プリズムは、基板に、且つ/或いは、例えば、装置の頂層70に取り付けられ得る。本発明において、プローブは、例えば、ウェル内に提供され或いは結合サイトで固定化される、例えば、液体サンプルのようなサンプル内に、非固定化されて存在し得る。例えば、結合サイトは、基板を使用して、或いは、例えば、多孔性媒体を使用して、層70と層80との間に導入され得る。サンプルの間に幾らかの断熱を与えるために、空気間隙がもたらされ得る。
【0039】
基本的な実施態様において、励起放射線、例えば、光は、(例えば、上から)バイオセンサを照明する。好ましくは、励起光源及び光路は、励起光が、放射線検出器が存在しない地域のみを照明するよう配置される。例えば、平行光源、頂層70内に孔を備えるマスクが使用され得る。照明地域には、プリズムのような反射器が配置され、それらは、光を、プローブを含むサンプル40に向かって方向付ける。例えば、放射線、例えば、光は、バイオセンサ表面と平行な平面内に向け得る。この故に、光は、センサの上に存在するサンプル40、例えば、プローブを有する流体に向けられるが、方向はセンサ表面と平行であるので、励起光はセンサの光感応部分に衝突しない。このようにして、励起光は、センサの上のサンプル流体内に存在する蛍光体プローブを励起し得る。蛍光は全ての方向に放射されるので、センサは生成される蛍光の一部を検出し得る。
【0040】
反射器から離れるセンサの他の側で、光は、例えば、光吸収表面、光を流体に二度通過させるよう光を反射するための鏡体、光を源に向かって戻すよう或いは使い捨て装置から下向きに方向変更するために使用される他のプリズムのような境界を打ち得る。
【0041】
典型的には、励起光は、例えば、平行光源を使用して、センサが存在しない地域だけを照明する。他の実施態様では、センサが存在しない地域だけが照明されるよう、マスク(例えば、反射的な黒いマスク等)が、使い捨て装置の頂部又は底部上に存在し得る。励起光のための源は、外部的であり得るし、或いは、例えば。反射器、例えば、この場合には、プリズムの上の頂層70上に集積されるLED又はOLEDであり得る。
【0042】
図4は、第二の例示的な実施態様を示しており、2つの隣接する反射器、例えば、プリズムが、通路又は溝から創成されている。励起光源は、今や励起光が下からバイオセンサを照明するように配置され、基板80は透明である必要があることを示唆している。例えば、プリズムのような反射器は、透明な基板の上に形成され得るし、或いは、ブロックから切断され得る。その他の点では、装置は図3に関して上述されたように動作し、対応する参照番号が適宜使用される。励起光のための源は、外部的であり得るし、或いは、例えば、反射器、例えば、この場合には、プリズムの下の基板の上に集積されるLED又はOLEDであり得る。
【0043】
図5は、反射器、例えば、プリズム10が、光センサを備えるアクティブマトリックスシステム内にどのように組み込まれ得るかを示す斜視図である。この場合には、プリズム10は、拡張ダイオード20の両側の上に縞で示されている。明らかに、多くの検出器が創成されることを可能にするために、この構成はその長さに沿って分割され得る。使用者が多くの検出器のうちのどれが或いはそれらのうちのどれぐらいが積極的な検出を行うかを識別し得るよう、これらは個別的に取り扱われ得るし選択可能である。検出器は、基板上の少なくとも1つの伝導性線を検出器のそれぞれにもたらすことによって、個別的に取扱い可能とされ得る。検出器の読出しを容易にするために、読出し電気回路も基板80上に集積され得る。異なる試験が同時に遂行されるのを可能にするために、異なるサンプルが、検出器、例えば、ダイオードのそれぞれの上に配置され得る。この実施態様において、サンプルは、照明の量を増大するために、両側から照明され得る。
【0044】
図6及び図7は、異なる形状を有する反射器を示している。図6には、下からの照明を可能にする一対のプリズムが示されている。プリズム10の頂部は取り外され、よって、それぞれのプルズムに平坦な頂面110をもたらしている。図7に示されるように、反射器は、プリズムではなく鏡体であり得る。図6及び図7には、遮蔽体並びに検出素子は示されていないことが付記されるべきである。
【0045】
いずれの実施態様においても、反射器は、基板の平面に対してある角度で配置され得る。安全の周縁をもたらし、如何なる励起光も検出器、例えば、ダイオードに達しないことを保証するために、例えば、鏡体又はプリズム角度は、励起光が水平よりも上の角度で反射するよう構成され得る。複数の反射が起こった後に、励起光が、反射器、例えば、鏡体又はプリズムに達する如何なる可能性をも減少するために、吸収体が使用され得る。さらに、(反射がダイオードを含む基板に接近するときに、水平より上の高度の漸進的により高い角度で反射する)湾曲反射表面を備えるプリズム又は鏡体が、励起されるべき容量を最大限化すると同時に、如何なる励起光も検出器、例えば、ダイオードに達しないことを確実にする。湾曲よりもむしろ漸進的な角度にある複数の平坦な表面によって、類似の効果が達成され得る。
【0046】
1つの代わりに、複数の反射器、例えば、鏡体又はプリズムを使用する1つの理由は、最適化された収拾効率を得るために、センサと蛍光体との間の距離が可能な限り小さいことが重要であることである。複数の反射器、例えば、鏡体又はプリズムを使用することの欠点は、極めて小さな反射器、例えば、プリズム又は鏡体を製造することが困難であり得ることである。従って、他の実施態様では、1つの反射器、例えば、プリズム又は鏡体が、幾つかのダイオードの代わりに使用され得る。好ましくは、蛍光体とセンサとの間の距離は、比較的小さいままである。この利点は、より少ない反射器、例えば、プリズム又は鏡体が必要とされること、並びに、反射器、例えば、プリズム又は鏡体が、より大きくあり得る(従って、製造がより容易である)ことである。
【0047】
他の実施態様では、複数の検出器、例えば、ダイオードが、反射器、例えば、プリズム又は鏡体毎に使用され得る。この利点は、より少ない反射器、例えば、プリズム又は鏡体が必要とされること、並びに、反射器、例えば、鏡体又はプリズムがより大きくあり得ることである。例えば、大面積エレクトロニクス(LTPS)に基づく、可能であれば、マトリックスに、選択的に、アクティブマトリックスに配列される、光センサの二次元配列を使用することも可能である。励起光の抑制を増大するために、検出器、例えば、ダイオードは、光学フィルタを備え得る。好ましくは、このフィルタは、単純で費用効率的である。
【0048】
主要実施態様において、プリズムが光を方向変更するように記載されているが、鏡体も全く同様に作用することが付記されるべきである。また、プリズムは、必ずしも(図面に示されるように)その隣に空気を有する必要はない。
【0049】
本発明のさらなる実施態様には、少なくとも1つの反射器10、例えば、プリズムで励起放射線ビーム50の全反射をもたらすことによって、エバネッセント場励起が生成され、エバネッセント場励起が、サンプルを励起するために使用される、前の実施態様のいずれか1つに従う装置が示されている。全反射をもたらすことによってエバネッセント場励起の生成を可能にする、例えば、プリズムのような、あらゆる適切な反射器10、が使用され得る。少なくとも1つの反射器10で反射される励起ビーム50は、典型的には、吸収体又は鏡体30に向かって方向付けられ得るのに対し、反射器10の付近で、エバネッセント場励起は生成され、サンプルを励起することを可能にする。後者は、エバネッセント場励起放射線を使用して励起されるサンプルからの発光放射線、例えば、蛍光60を検出するための装置を表示する、図8に一例として例証されている。本サンプルでは、エバネッセント場励起放射線が、複数のプリズムで生成される。プリズムは、基板80及び/又は頂層70に取り付けられ得る。そのような発光放射線を検出するために、典型的には、少なくとも1つの放射線検出器20が使用され得る。そのような少なくとも1つの放射線検出器20は、例えば、基板80の上に形成される、ダイオードの形態の光検出器であり得る。本実施態様では、サンプルがエバネッセント励起場内にあるために、好ましくは、サンプルは、反射器10付近の結合サイトで固定化される。吸収体又は鏡体30は、両側で吸収し或いは反射し、励起放射線及び蛍光放射線を吸収し且つ/或いは反射し得る。この構成の利点は、励起光と蛍光との間に優れた分離があることである。何故ならば、プリズムの角度は、プリズムの基部に対して本質的に垂直入射する光が、プリズム媒体界面で全反射され、プリズム内に留まるのに対し、蛍光は、媒体を介して検出器に達するからである。この自動的な分離の故に、検出器を遮蔽する必要は少ないか或いは無く、プリズムの完全な斜辺が励起のために使用され、それが大きな有用結合地域をもたらし得る。高視野照明及び集束/狭ビームによる照明(その場合にはビームの走査が必要とされる)の両方が可能である。集束/狭ビームによる照明は、励起容量の減少、よって、SNRの向上の利点を有する。適合されるスポット/源の配列を備える、二次元配列のプリズムを考え得る。配列を並進することによって、(例えば、異なる接着層等を備える)異なるプリズムを平行に探査し得る。
【0050】
本発明において、少なくとも1つの反射器10、例えば、プリズムと、少なくとも1つの検出器20との間の空間は、サンプルを検出器に注入するための流体路として使用され得る。本発明の変形は、単一の反射器のみを使用して、1つの反射器当たり1つよりも多くの検出器を含む。
【0051】
上述された実施態様のいずれにおいても、装置は、ガラスのような適切な絶縁基板上のポリシリコン(poly-Si)又はシリコン(a-Si)技術のようなLAE(大面積エレクトロニクス)を使用して実施され得る。基板は、好ましくは、透明又は半透明な、例えば、ガラスである。従来的な大面積エレクトロニクス(LAE)は、ガラスのような絶縁基板上で電子機能をもたらす。ガラスは、安価な基板であり、光学検出が透明であるという利点を有する。外部光検出器を使用せずに、どのサンプルスポットが発光しているかを検出するために、この用途のために活性LAEポリシリコン又はシリコン基板が提案される。標準的なLAE技術が使用されて、(少ない費用で或いは全く余分の費用なしに)通常のアドレス付けTFT及び回路構成と共に光ダイオード又は光TFT検出器を集積し得る。上記されたように、プローブを含む生物学的サンプルは、液体のマイクロスポッティング、固体若しくはスプリットピン若しくはクイル印刷、ピペッティング、又は、感熱、ソレノイド、若しくは、圧延インクジェット印刷を含む如何なる適切な接触又は非接触印刷によっても配置され得る。次に、液体はウェル内に維持され或いは乾燥され得る。サンプルは、DNA断片/オリゴヌクレオチド、他の用途のための任意の広範囲の他の生物学的素子のような、如何なる適切なプローブでもあり得る。生物学的サンプル(例えば、DNA−断片)は、互いに隣り合う2つの領域、疎水性及び親水性領域を有することによって、光検出器と整列され得る。例えば、親水性、水性の液体サンプルが蒸着され或いは印刷されるとき、それは自動的にそれ自体を親水性領域の上に引き、次に、乾燥し或いはこのロケーションと整列されてゲルにする。代替的に、生物学的サンプルは、例えば、実時間PCRに典型的に当て嵌まり得るように、非固定化された方法でも存在し得る。そのような用途では、典型的に、プローブは、PCR生成物を実時間で検出し且つ定量化することを可能にする蛍光ラベルでラベル付けされる。一部の実施態様は、基板上に集積されたシリコン光ダイオード(又は光FTF)を有し得る。
【0052】
装置は、例えば、サンプル、例えば、液体サンプルを晒すことによって、或いは、プローブサンプルの乾燥スポットを識別されるべき分子、例えば、DNA断片を含む未知のサンプルに晒すことによって使用され得る。未知のサンプルは、もしそれが関連する分子を含むならば、生物学的サンプル内のプローブに結合する。例えば、もしDNA断片がDNAプローブに対する相補形DNAであるならば、ハイブリッド形成が起こり、照明されるときに、サンプルは蛍光になる。これは光検出器によって検出され、所与の相補形のDNAの存在を確認するために使用され得る。もちろん、他の用途も想定され得るし、他の種類の光検出器が使用され得る。もし、例えば、実時間PCRが遂行されるならば、典型的には、蛍光ラベル付きオリゴヌクレオチドプローブ又はRNA結合蛍光染料が使用され、それらは、特定の、NDA結合染料の場合には、非特定のPCR生成物と反応し、それらを実時間で検出し且つ定量化することを可能にする。プローブ、例えば、ラベル付きプローブを検体分子と接触することは、手動で遂行され得るし、或いは、流体を駆動して微小路に沿ってサイトに出し入れするために、水圧ポンプ、電気浸透によって、或いは、MEMSデバイスを用いて、自動化され得る。もし必要であるならば、流体及びサイトの温度は、抵抗器のような加熱素子によって精密に制御され得る。
【0053】
シリコンPINダイオードのような光検出器構造は、基板主要表面の上に突出するよう構成され得る。例えば、シリコンPINダイオードは、約0.2〜1.0μmの高さであり、多くの実施例においてプローブを含む生物学的サンプルは、一旦乾燥されると、<50nmの高さである。故に、ダイオード構造は突出し得るし、反射器はさらに突出し、或いは、基板に対して平行であるよりもむしろ仰角で照明を反射する必要があり得る。
【0054】
集積された光検出器は、特に手持ち式の用途のために、外部光検出器を使用するよりも良好な頑丈さをもたらし得る。例えば、如何なる水分や汚染もスポットと検出器との間に来ないことが可能である。検出器は、好ましくは、それが1つのサイト(画素とも呼ばれる)からだけの光に対して敏感であるよう構成され得る。好ましくは、画素(ピクセル)は、個々に取り扱われ得る、即ち、画素のそれぞれを個別に区別し得る検出システムが提供される。これは蒸着後の品質制御を可能にするのに役立つ。そのような品質制御は、医療診断のためのカートリッジの製造及び品質保証において重大であり得る。選択的に、照明光と光検出器との間の自動試験照明フィードバック経路も追加され得る。
【0055】
放射線検出器、例えば、光検出器は、アクティブマトリックス原理に基づいて実施され得る。そのような装置は、好ましくは、アモルファスシリコン、低温ポリシリコン(LTPS)、又は、無機技術のような、周知の大面積エレクトロニクス技術の1つから製造される。TFT(薄膜トランジスタ)、ダイオード、又は、MIM(金属−絶縁物−金属)が、活性素子として使用され得る。放射線検出器は、n型TFT及びp型TFTの両方を含む活性プレート内に集積され得る。TFTは、オフ状態でゲート付勢され得るし、或いは、TFTと同一の半導体薄膜内に形成される横方向ダイオード、又は、第二のより厚い半導体層から形成される垂直ダイオードであり得る。良好な感度のために、垂直Si:H NIPダイオードが使用され得る。これらはアドレス付けTFT及び回路構成内に集積され得る。システムは、光検出器と共にアドレス付けトランジスタ及び記憶キャパシタのアクティブマトリックスを含む基本配列の一部であり得る。キャパシタは、長いフレーム周期時間期間に亘って光が統合され、次に、読み出されることを可能にする。これは、ドライブの統合、電荷統合、及び、読出し回路構成のような、他の回路構成が追加されることも可能にする。アクティブマトリックス技術は、多くのディスプレイ効果の駆動のためのフラットパネルディスプレイ、例えば、LCD、OLED、及び、電気泳動ディスプレイの分野で使用される。それは使い捨て型の生化学的モジュールのような生化学的モジュールを製造する費用効率的な方法を提供する。これは、バイオチップ又は類似システムとして有利であり、非常に多数の構成部品を含み得る。装置がより効果的且つより多角的になるに応じて、その数は増大するだけである。
【0056】
反射器は、典型的には、例えば、1つ又はそれよりも多くの反射器、例えば、反射器の配列を、検出器素子が提供される基板の表面に接着又は結合する、例えば、真空結合することによって、検出装置内に組み込まれ得る。後者は、典型的には、検出器が接続される表面を平坦化するために検出装置の表面に平坦化層が提供された後に遂行されうる。反射器素子を組み込む他の代替策は、例えば、ガラス又は無機ポリマ材料のような透明材料の層又は板を、検出器素子が提供される基板の表面に接着/結合、例えば、真空結合することによる。次に、層又は板は、その中に反射器、例えば、プリズムを形成するために、例えば、エッチング又はレーザ処理によって処理され得るが、それらに限定されない。代替的に、層又は板は既に前もって処理され得る。
【0057】
図9に示される例示的な構成では、アクティブマトリックス、即ち、アクティブマトリックス技術が、放射線検出器20から選択し且つ読み取るための回路構成200の一部として、放射線検出器20によって検出される電気信号を、この場合には列線の形態の(本発明はそれに限定されない)個々の信号線を介して、測定ユニット202に経路指定する分布ネットワークとして使用される。図示される例示的な構成は、一例として提供されているに過ぎず、本発明はそれに限定されない。この実施例において、放射線検出器20は、同一ユニットの規則的な配列として設けられ、それによって、放射線検出器20は、アクティブマトリックスのスイッチ204、例えば、トランジスタを介して、測定ユニット202に接続される。装置の制御電極、即ち、トランジスタのゲートは、アクティブマトリックス液晶ディスプレイ(AMLCD)のために使用されるような標準的なシフトレジスタゲートとして構成され得る選択ドライバ206に接続されるのに対し、第一電極、例えば、源電極は、放射線検出器ユニット、例えば、一組の電流又は電荷増幅器に接続される。この配列の動作は、例えば、以下の通りである。
【0058】
所与の放射線検出器20を活性化するために、所要の放射線検出器を組み込む構成部品の全ての行内のスイッチ204、例えば、トランジスタは、(例えば、選択ドライバから正圧を制御電極、例えば、ゲートに印可することによって)伝導状態に切り替えられる。
【0059】
放射線検出器からの信号は、伝導スイッチ、例えば、TFTを通じて、測定ユニット202に通され、測定ユニットで、それは測定される。アドレス付けされている行内の全ての放射線検出器20からの信号を測定することによって、所要の行内の1つよりも多くの放射線検出器20を同時に探査することも可能であるが、測定ユニット202がこれを許容すること(即ち、それが複数の信号測定装置を含むこと)が条件である。
【0060】
信号が測定された後、行内のスイッチ204、即ち、トランジスタは、再び非伝導状態に設定され、その線内での放射線検出器のさらなる測定を防止する。
【0061】
そのような訳で、マトリックスは、好ましくは、CMOSに基づく装置によって採られるランダムアクセスアプローチと対照的に、「行単位」(line-at-a-time)アドレス指定原理を使用して動作する。(選択ドライバ206を使用して)他の行を活性化し、配列内の1つ又はそれよりも多くの列上の放射線検出器20信号を測定することによって、異なる行内の放射線検出器20を順次的に探査することも可能である。
【0062】
他の変形及び追加が、請求項内の当業者によって想定され得る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】従来技術に従ったバイオチップから来る蛍光信号を検出する光学的な構成を示す概略図である。
【図2】従来技術に従った生化学蛍光検定中にしばしば起こるようなSmall Stokesシフトに起因する励起スペクトルと蛍光スペクトルとの間の重なり合いを示すグラフである。
【図3】上からプリズムを照明する励起光を備える本発明の実施態様を示す断面図である。
【図4】2つのプリズムが水から創成され且つ光が下からバイオセンサを照明する他の実施態様を示す断面図である。
【図5】光センサを備えるアクティブマトリックスシステム内に組み込まれるプリズムを有する他の実施態様を示す斜視図である。
【図6】反射器のための代替的な形状を示す概略図である。
【図7】反射器のための代替的な形状を示す概略図である。
【図8】エバネッセント場励起が行われる、上からプリズムを照明する励起光を備える本発明の実施態様を示す断面図である。
【図9】本発明の実施態様に従って、大面積エレクトロニクスに基づく集積装置の例示的な検出ユニットを示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明されるときにサンプルからの放射線発光を検出するための集積装置であって、
放射線検出器と、
前記サンプルからの放射線発光の検出を可能にするよう、並びに、前記サンプルへの衝突のための励起放射線を受け取るために、前記放射線検出器に隣接して前記サンプルを保持するためのサイトと、
前記励起放射線を前記サンプルサイトにもたらし、前記放射線検出器から離れるよう前記励起放射線を実質的に案内するための反射器とを含む、
集積装置。
【請求項2】
前記検出器は、基板の上の層を含み、前記反射器は、前記層と実質的に平行に通るよう、放射線を前記基板に対して垂直に方向変更する、請求項1に記載の集積装置。
【請求項3】
当該装置は、単一使用装置である、請求項1に記載の集積装置。
【請求項4】
検出サイトの配列を有し、各検出サイトは、反射器と、放射線検出器と、他のサンプルからの発光から前記放射線検出器を遮蔽する放射線遮蔽体とを有する、請求項1に記載の集積装置。
【請求項5】
前記反射器は、プリズム又は鏡体である、請求項1に記載の集積装置。
【請求項6】
前記励起放射線が前記反射器に到達することを許容し、前記検出器に到達する励起放射線の量を実質的に減少するために、マスクが前記サンプルサイトの上に配置される、請求項1に記載の集積装置。
【請求項7】
同一の検出器の異なる側の上の2つ又はそれよりも多くの反射器が、同一の検出器の上の放射線を検出するために配置される、請求項1に記載の集積装置。
【請求項8】
前記反射器は、放射線を、1つよりも多くの検出器の上に偏向するよう配置される、請求項1に記載の集積装置。
【請求項9】
前記検出器の配列のいずれかからも選択し読み取るための回路構成を有する、請求項1に記載の集積装置。
【請求項10】
前記回路構成は、大面積エレクトロニクスに基づく、請求項9に記載の集積装置。
【請求項11】
前記サンプルサイトのそれぞれは、異なる種類の検出されるべき分子に結合するために、異なる種類のプローブを含む、請求項1に記載の集積装置。
【請求項12】
前記基板は、透明であり、前記放射線検出器は、前記基板の一方の側に配置され、前記反射器は、前記基板を通過後に外部放射線を反射するよう、前記基板の同一側に配置される、請求項2に記載の集積装置。
【請求項13】
前記放射線検出器は、ガラス基板の上にシリコンを含む、請求項1に記載の集積装置。
【請求項14】
前記励起放射線を前記サンプルにもたらすための前記反射器は、前記励起放射線を前記サンプルサイトに偏向するために適合される、請求項1に記載の集積装置。
【請求項15】
前記励起放射線を前記サンプルにもたらすための前記反射器は、前記サンプルサイトでエバネッセント場励起放射線を生成するために適合される、請求項1に記載の集積装置。
【請求項16】
照射されるときにサンプルからの放射線発光を検出するための集積装置を製造する方法であって、基板の上に放射線検出器を形成するステップと、前記サンプルからの発光の検出を可能にするために、前記サンプルを前記放射線検出器に隣接して保持するためのサイトを形成するステップと、前記照明を前記サンプルサイトに偏向し、前記放射線検出器から離れて前記励起放射線を実質的に案内するよう配置される、反射器を形成するステップとを含む、方法。
【請求項17】
前記基板は、透明であり、前記放射線検出器及び前記反射器を形成するステップは、両者を前記基板の同一の側に形成するよう遂行され、前記反射器は、前記基板を通過後、外部放射線を反射するよう配置される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプルサイトに検出されるべきサンプル内の分子と結合するのに適したプローブを装填するステップを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
サンプルを前記サンプルサイトに追加するステップと、前記サンプルを照明するステップとを有する、請求項1に記載の装置を使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−540325(P2009−540325A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514941(P2009−514941)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051833
【国際公開番号】WO2007/144797
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】