説明

光源に結合された可撓性導光路を備えた照明構造体

【課題】可撓性導光路に光源を結合して構成される照明装置において、光結合を良好にすること。
【解決手段】照明構造体の幾つかの実施形態を提供する。照明構造体は、光源に対する光結合が改善された可撓性導光路320を含む。一実施形態によれば、光源は基板上に取り付けられ、可撓性導光路320は光源に光結合され、導光路は、光源から出力された光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部を放出する。照明構造体は基板上に取り付けられたハウジング430を更に備え、ハウジング430は光源の少なくとも一部を収容するとともに、可撓性導光路320が光源に対して所望の位置関係になるようにして可撓性導光路を物理的に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記の説明は、概して、光を放出する照明構造体に関し、詳しくは、光源に結合された可撓性導光路(フレキシブルライトガイド)を備えた照明構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のタイプの照明構造体が知られている。本明細書で使用される場合、通常、照明構造体とは、光を放射する構造体である。照明構造体は、家庭用又は仕事用の装飾照明(例えばロープライト等)から、ラップトップコンピュータや携帯電話のような小型電子機器の内部で使用される装飾照明まで、様々な用途で必要とされる。用途によっては、特定の形の照明構造体を必要とするものもある。また、照明構造体は、光をほぼ均一に放出するものであることが望ましい。光を主に美的目的で使用する照明器具の多くは、「ファンライト」と呼ばれる。
【0003】
目的に合った光を生成するために設計者が使用している従来の照明構造体は、導光路と、1以上の光源とを含む。光源は光を生成し、光源から出力されたその光は、導光路を通って伝搬する。導光路は、導光路を伝搬する光の少なくとも一部を放出する(つまり、導光路は輝く)。導光路と共に使用される一般的光源は、発光ダイオード(LED)である。図1は、従来の設計の照明構造体の一例を示している。この照明構造体は、導光路120と、LED110とを含む。導光路120は、底部にLED110から光を取り出すための微小構造体を有するプラスチック部品である。したがって、導光路120は硬い部品である。LED110は、導光路120の種々の位置に光源として取り付けられる。残念ながら、このタイプの照明構造体の用途は限られている。光源120が硬く、光源に柔軟性がないことから、設計者は、光源を与えられた用途にとって望ましいしゃれた形にすることが出来ない。また、導光路120が簡素な構造であるため、光源付近のホットスポットや、導光路120の湾曲部や屈曲部における光の漏洩が原因で、導光路から放出される光の輝度の分布は不均一になる。また、導光路120に対するLED110からの不十分な光結合(「光学結合」と呼ばれることもある)を補うために、多数の光源(例えばLED)が必要になる場合がある。
【0004】
可撓性導光路(「ライトストリップ」と呼ばれることもある)は、上記の硬い導光路120の代替になりうる。可撓性導光路は、1以上の光源からの光を運び、その光の少なくとも一部を導光路の長手方向に沿って放出することができる。このような可撓性導光路によれば、導光路が可撓性であることから、種々の用途に合わせた照明構造体の作成時の自由度を増大させるのに役立つ。可撓性導光路によれば、上記の硬い導光路120に比べて、柔軟性が増加するだけでなく、可撓性導光路の長手方向全体にわたって放出される光の均一度や輝度も改善される。こうした可撓性導光路は、放射する光の80%以上を維持しながらも、直径数十ミリメートルの曲率で曲げることが可能である。図2は、光源(例えばLED)210からの光が結合される可撓性導光路220の一例を示している。可撓性導光路220をLED210に結合する一般的方法の1つは、熱収縮管230を使用することである。例えば、LED210と導光路220を収容することが可能な十分な大きさの直径を持つ管230の中に、LED210と導光路220を互いに望ましい位置関係(アライメント)になるように配置する。その後、管230に熱を加え、管230を収縮させ(つまり、管の直径を減少させ)、それによって、熱収縮管230を導光路220とLED210に結合し、望ましい相対位置関係でそれらの部品を固定する。このタイプの照明構造体の場合、LED210は、スルーホール型LEDであり、可撓性導光路230の一端は、LED210に接触する位置に配置され、LED210によって生成された光は導光路230の中に導かれる。
【0005】
残念ながら、可撓性導光路220をLED210に取り付ける手段として熱収縮管230を使用するこの方法は、特定の照明用途において望ましくない幾つかの欠点を有する。熱収縮管230を使用した場合、スルーホール型LED210の光学中心と可撓性導光路220との間の光結合(すなわち光学結合)は不十分になる。また、熱収縮管230は優れた反射器ではないため、光結合の効率はさらに低下する。そのため、熱収縮管230による光の吸収による光の損失が発生する。この照明構造体では、スルーホール型LEDが必要となるため(熱収縮管230を使用してLED220を可撓性導光路220に結合するため)、小型製品に対するこの照明構造体の使用には限界がある。さらに、熱収縮管230を使用して可撓性導光路220をLED210に結合する設計は一般に、丈夫な設計ではなく、物理的衝撃や熱的衝撃によって故障する可能性があることが分かっている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に照らして、光源と可撓性導光路との間の良好な光結合(「光学結合」と呼ばれることもある)が可能な照明構造体が必要とされている。また、最小限のホットスポットで、導光路の長手方向全体にわたる均一な輝度分布を可能にすることも必要とされている。また、熱的衝撃や物理的衝撃による故障を最小限に抑えることが可能な部品結合による丈夫(頑丈)な照明構造体も必要とされている。さらに、チップ大の光源の組込みや、小型電子機器のような小型装置内での使用に適した照明構造体も必要とされている。
【0007】
本発明の種々の実施形態は、光源に対する光結合を向上させた可撓性導光路を備えた照明構造体に関する。実施形態によっては、可撓性導光路は、可撓性導光路によって放出される光の輝度のホットスポットを最小限に抑えつつ、曲げることもできる。
【0008】
一実施形態において、本装置は、光源が取り付けられた基板を含む。この装置は、光源に光結合された可撓性導光路を含み、可撓性導光路は、光源から出力された光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部を放出する。この装置は、基板に取り付けられたハウジングを更に含み、ハウジングは、光源の少なくとも一部を収容し、可撓性導光路を光源に対して所望の位置関係(アライメント)で物理的に固定する。
【0009】
実施形態によっては、ハウジングは反射性内面を有し、該内面によって、可撓性導光路に対する光源からの光の光結合が最適化される。実施形態によっては、可撓性導光路は、受け取った光を可撓性導光路の長手方向に沿って放出する。有利なことに、実施形態によっては、可撓性導光路は、受け取った光を可撓性導光路の長手方向に沿ってほぼ均一な分布で放出する。
【0010】
実施形態によっては、ハウジングは、可撓性導光路の一端を受け入れる穴を有する。したがって、一実施形態では、可撓性導光路の一端をハウジングの穴に固定することによって、可撓性導光路の光路と、光源の光学中心との間に結合が発生する。一実施形態において、この穴の内面は、組織的表面を有し、可撓性導光路の一端は、その組織的表面に接触した状態で接着剤により穴の中に固定される。実施形態によっては、この接着剤は光源にも接触し、可撓性導光路の一端をハウジング内部で光源に固定する。接着剤は、導光路と同じ屈折率のものであることが望ましい。
【0011】
一実施形態では、ハウジングの外面に形成された溝は、穴の内面の一部に近接した位置で終端している。この溝は、穿孔手段を溝の中に収容することが出来るような適当なサイズを有し、適当な力を加えることで、穿孔手段は、ハウジングの穴の一部を変形させ、それによって、穴の端から突出する突起部(例えば、鋭いエッジ)を形成する。この突起部は、穴に挿入された可撓性導光路に係合させることができ、それによって可撓性導光路を穴の中に物理的に固定することができる。この突起部は、前述の接着剤と併用してもよいし、前述の接着剤の代わりとして使用してもよい。
【0012】
光源は、与えられた用途にとって望ましいものであればどのような光源であってもよい。例えば、チップ大の光源、LED(上面発光型又は側面発光型のLED)や三色光源等が使用される。また、実施形態によっては、複数の光源、および/または、複数の導光路を使用する場合もある。実施形態によっては、光源は三色光源であり、本装置は、三色光源から出力された光を混合する働きをする、三色光源に結合されたカラー混合器をさらに含む場合がある。本装置は、色調節器に信号を送るカラーフィードバックセンサをさらに含み、その信号により、可撓性導光路上の少なくとも1つのポイントにおいて検出された色の変化に関するフィードバックを行う場合がある。本装置は、フィードバック信号に応答して色調節器から制御信号を受信する電流源駆動回路を更に含む場合があり、電流源駆動回路は、可撓性導光路を一定の色、及び輝度に維持するための適当な電流を三色光源に供給する。
【0013】
上記の説明は、以下に記載する発明の詳細な説明をより深く理解してもらうために、本発明の特徴と利点を概説したものである。本発明の他の特徴、及び利点は、下記の説明から明らかになるであろう。下記の説明は、特許請求の範囲の記載事項を形成する。なお、当業者であれば、本明細書に開示する概念や特定の実施形態を基礎として、本発明と同じ目的を達成するために、それらに変更を加えたり、他の構造体を設計したりすることも容易に出来るものと考えられる。また、当業者であれば、そうした等価実施形態も、特許請求の範囲に記載した本発明の思想や範囲から外れるものではないことは明らかであろう。本発明に特有と思われる新規な特徴(発明の構成と動作方法の両方に関する)、更なる目的、及び利点は、添付の図面と併せて下記の説明を読めば、より理解しやすいであろう。ただし、図面は、例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲の制限を目的としたものではない。
【0014】
次に、本発明をより完全に理解してもらうために、添付の図面と併せて下記の説明を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図3は、本発明の一実施形態による照明構造体の一例を示している。この例において、可撓性導光路320は、可撓性導光路320の中に光源310を直接成形することにより、光源310に結合されている。可撓性導光路320の中に光源310を直接成形するために使用されるプロセスの一例を図7A〜図7Bに示す。図7Aに示すように、加熱炉702の中で可撓性材料701(例えばプラスチック)を加熱し、加熱された材料701(例えば液状化した材料)に圧力を加え、開口部703を通して光源310に接触するまで押し込める。図7Bに示すように、次の図面のプロセスを実施し、導光路320を形成する。材料701が冷えると、材料701は、柔軟性のある固体状態(例えば、固形プラスチック)に戻り、その内部に光源310が直接成形される。他の実施形態として、光源310は、他の適当な形で可撓性導光路320の中に結合される場合がある。光源310は、照明構造体を使用する用途に応じて、上面発光型LEDであっても、側面発光型LEDであってもよい。さらに、実施形態によっては、照明構造体の小型化のために、チップ大の表面実装LEDを使用してもよい。市販されているそのようなチップ大の表面実装LEDの例としては、アバゴテクノロジーズが製造しているJLEDと呼ばれるLEDや、同じくアバゴテクノロジーズが製造しているチップLEDと呼ばれるLEDがある。
【0016】
可撓性導光路320は、任意の適当な1以上の材料から構成される。可撓性導光路320は可撓性であるため、複数の種々の形に簡単に変形させることができる。可撓性導光路320は、光源310から受け取った光を伝搬させる。さらに、可撓性導光路320の少なくとも一部は、光源310から受け取った光の少なくとも一部を放出するのに適当な材料からなる。実施形態によっては、可撓性導光路320は、光源310から受け取った光を導光路の長さ「L」全体にわたって放出する場合がある。実施形態によっては、可撓性導光路320は、受け取った光を長さL全体にわたって分散させることができ、同時に、優れた可撓性も有する。使用可能な導光路320の1つは、図2を参照して上で説明した導光路220であり、この導光路は、エラストマーコアの周りにテフロンクラッドを配置したものからなる。可撓性導光路220は、数十ミリメートルの曲率で曲げることができ、且つ、最初の発光の80%以上を維持することができる。後で詳しく説明するように、そのような可撓性導光路を使用すれば、設計者は、自分の照明目的に合わせた屈曲部を形成するための大きな多様性、及び自由度を得ることができ、同時に、ホットスポットの数を最小限に抑えることができる。
【0017】
図3の例には、1つの光源310しか描かれていないが、他の実施形態では、複数の光源310を導光路320の中に成形する場合もある。例えば、実施形態によっては、導光路320の第1の長さ「L1」に沿って光を導くための第1の光源310と、導光路320の第2の長さ「L2」に沿って光を導くための第2の光源310とを有する場合がある。このような実施形態によれば、照明構造体は、放出される光の輝度がほぼ一定に保たれる長さを導光路の全長(例えば、L1+L2)にわたって延ばすことができる。
【0018】
図4は、本発明の他の実施形態による照明構造体を示している。この例では、照明構造体は、基板410上に取り付けられた光源310および310(まとめて光源310と呼ぶ)を含む。また、基板410上には、所与の用途に応じて更に他の部品420が設けられる場合もある。例えば、基板410は回路基板からなり、部品420は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、コンピュータマウス、携帯情報端末(PDA)、自動車車内のダッシュボード、又は照明構造体を使用した他の電子機器の少なくとも一部を形成するために前記回路基板上に配置された種々の電子部品(例えば集積回路など)を含む。基板410は、コネクタ、ヘッダピン、又はフレキシブル回路といった任意の従来の手段により、電源(電流を供給する)に接続することができる。こうした電源、及び/又は1以上の電子部品420は、光源310を作動させ、及び/又は、光源310の輝度及び/又は色を制御する働きをする。後で詳しく説明するように、実施形態によっては、光源310の輝度、及び/又は色を制御するための制御回路を設ける場合がある。そうした制御回路の複雑度は、用途によって大きく異なる場合がある。例えば、光源310に供給される電流を制限するための制限抵抗器を数個しか持たない実施形態もあれば、光源310の輝度、及び/又は色を検出、及び/又は制御するために多数の電子部品(例えば電子部品420)を備えた複雑な集積回路を含む実施形態もある。
【0019】
図示のように、この実施形態は、可撓性導光路320を更に有する。この例では、可撓性導光路320の一端は、光源310に光結合され、可撓性導光路320の他端は、光源310に光結合されている。したがって、可撓性導光路320は、光源310から出力された光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部を放出する。実施形態によっては、可撓性導光路320は、受け取った光を導光路320の長手方向に沿って放出する場合がある。有利なことに、実施形態によっては、可撓性導光路320は、受け取った光を導光路320の長手方向に沿って均一な分布で放出する場合がある。
【0020】
図4に示す照明構造体は、基板410上に取り付けられたハウジング430を更に含む。この例では、ハウジング430は、その内部に光源310を収容している。また、ハウジング430は、可撓性導光路320を光源310に対して所望の位置関係(アライメント)で物理的に固定する働きもする。例えば、この例では、ハウジング430は、穴450および450(まとめて穴450と呼ぶ)を有し、それらの中に、可撓性導光路320の端部が挿入される。すなわち、光源310からの光を受け取るための導光路320の一端は、穴450に挿入され、光源3102からの光を受け取るための導光路320の他端は、穴450に挿入される。したがって、この実施形態では、可撓性導光路320の端部をハウジングの穴450の中に固定することにより、可撓性導光路320の光路と、光源310の光学中心との間に結合が発生する。一実施形態において、穴450の内面は組織化され、可撓性導光路320の両端は、それらが挿入された穴450の中に接着剤によって固定される。この接着剤は、穴の組織化された面に接触する。実施形態によっては、可撓性導光路320の両端を導光路が受け取る光の発生源である光源310に対してそれぞれ固定するために、接着剤は、光源310にも接触させる場合がある。接着剤は、導光路と同じ屈折率を有するものが好ましい。実施形態によっては、ハウジング430は、反射性内面を有し、反射性内面により、導光路320の両端に対する光源310の光結合を最適にする場合がある。
【0021】
一実施形態として、ハウジング430の外面は、溝440及び440(まとめて溝440と呼ぶ)を有する場合がある。溝440は、穴450の内面の一部に近接した位置で終端し、溝440は、穴450の内面の一部に近接した位置で終端している。溝440は、穿孔手段460を収容するのに適したサイズを有し、溝450の中に、穿孔手段460が挿入される場合がある。適当な力を加えることで、穿孔手段460は、ハウジングの穴450の内面の一部を変形させることができ、それによって、穴の縁部から穴の中に突出する突起部(例えば、鋭いエッジ)を形成することができる。こうした突起部は、穴の中に挿入された可撓性導光路に係合させることができ、この係合によって、可撓性導光路を穴の中に物理的に固定することができる。穴450の内面に穿孔手段460によって形成可能なそのような突起部の一例が、図4に突起部470として描かれている。突起部470は、穴450の中に挿入された可撓性導光路320の一部に係合する。これらの突起部は、前述の接着剤と併用してもよいし、接着剤の代わりとして使用してもよい。実施形態によっては、突起部は、可撓性導光路320に係合する鋭利なエッジ、又は点を有する場合がある。
【0022】
図4の例には、2つの光源310が描かれているが、代替実施形態では、どのような数の光源を使用してもよい。例えば、図4の例では、可撓性導光路320の両端が、光源に光結合されているが、代替実施形態では、2つの端部のうちの一方だけを光結合する場合もある。また、図4には、2つの光源310を両方とも収容するとともに、導光路320の両端を対応する光源310に(ビアホール450を介して)光結合するハウジング430が描かれているが、代替実施形態では、2つの光源310のそれぞれに対して別々のハウジングを使用してもよい。例えば、実施形態によっては、光源310を収容するとともに、光源310を可撓性導光路320の一端に光結合するための穴440を有する第1のハウジングと、光源310を収容するとともに、光源310を可撓性導光路320の他端に光結合するための穴440を有する第2のハウジングとを設ける場合がある。こうした実施形態も全て、本発明の範囲に含めることを意図している。
【0023】
図5は、本発明の他の実施形態による照明構造体を示している。図5に示す照明構造体は、三色光源550及び550(まとめて三色光源550と呼ぶ)を含む。この照明構造体は、色管理システムを更に含む。この例では、色管理システムは、カラーフィードバックセンサ、及びカラーマネジメント集積回路(IC)を含む。カラーマネジメントICは、色調節器520、及び電流源駆動回路530を含む。三色光源530はそれぞれ、CIE色度図の中心となる赤色、緑色、及び青色のうちのいずれかの色を生成する。使用可能な既知の三色光源550の例としては、アバゴテクノロジーズが製造している直角三色LED(Right Angle Triclor LED)と呼ばれる光源や、同様にアバゴテクノロジーズが製造している三色TLEDと呼ばれる光源がある。
【0024】
図4の例と同様に、可撓性導光路320は光源550に結合される。具体的には、この例の場合、導光路320の一端は光源550に光結合され、導光路320の他端は光源550に光結合される。図5に示すように、光混合器540及び540(まとめて光混合器540と呼ぶ)は、光源550と可撓性導光路320の間に配置することができる。つまり、色混合器540は、三色光源から放出される異なる色の光を混合するための導光路である。三色光源によって生成される異なる色の光は、全反射(TIR)によって、この導光路の中を進行する。導光路の中で異なる色の光が繰り返し反射されることで、光は可撓性導光路の入口開口部に到達するまでに均一化される。図4の例と同様に、光源550(及び光混合器540)は、ハウジング430のようなハウジング(複数の場合もあり)に収容することができ、ハウジングは、(ビアホール450によって)可撓性導光路320を光源550に光結合する。
【0025】
図5の例では、三色が良好に混合される場所に配置されたカラーセンサ510が、その地点における(導光路320から放出される光の)色をモニタリングし、適当なフィードバック信号を色調節器520に送信する。色調節器520はこのフィードバック信号を処理し、適当な信号を電流源駆動回路530に送信する。次に、電流源駆動回路530は、導光路220の色、及び輝度が均一になるような仕方で、三色光源550を駆動する。このように、全ての色を時間的に管理、すなわち調節することが可能な実施形態が、用途によっては必要とされる場合がある。この実施形態で使用可能な市販の既知の色調節器の一例としては、アバゴテクノロジーズが製造している「Jazz Color Controller」がある。この実施形態で使用可能な電流源駆動回路530の一例としては、マイクロセミ社から販売されているLED駆動回路と呼ばれる駆動回路がある。この実施形態で使用可能なカラーセンサ510の一例としては、アバゴテクノロジーズから販売されている「Solana Color Sensor」と呼ばれるカラーセンサがある。
【0026】
前述のように、実施形態によっては、ハウジング430は基板410上に取り付けられ、光源310(又は、三色光源550)を収容する場合がある。好ましい実施形態として、ハウジング430は、良好な反射性を有する材料から形成される。すなわち、可撓性導光路320に対する、収容された光源によって生成された光の光結合を最適にするために、少なくともハウジングの内面は、3M社が販売しているESR(登録商標)フォイルのような反射性材料から構成されることが好ましい。もちろん、代替実施形態として、ハウジング430は、与えられた用途に適した丈夫な構造体を得るための所望の強度を有するものであれば、どのような材料から形成してもよい。ハウジング430は、接着剤、及び/又は、機械式ロック、又は固定具を使用して、基板410に取り付けることができる。機械式ロックや固定具は、丈夫な構造体を得るためにハウジング430を基板410にしっかりと取り付けることが出来るものであれば、どのようなロック、又は固定具であってもよい。図6A〜図6Cは、ハウジング430を基板410に結合するのに使用される幾つかの異なるタイプの機械式ロック、又は固定具の実施形態を示している。例えば、図6Aにおいて、ハウジング430は、ヒートスティック610によって基板410に取り付けられている。このようなヒートスティックを使用した実施形態の場合、ヒートスティックは、ハウジング430の一部として実施してもよく、熱や圧力を加えると、ヒートスティックは、ハウジングと基板を1つにまとめて固定する埋め込みボルト(スタッド)を形成する。図6Bは、ロック手段620、すなわち丈夫な部材によって基板410に取り付けられたハウジング430を示している。図6Cは、ハウジング430を基板410にしっかりと取り付けるスナップロック(ばね錠)を備えた他の実施形態を示している。
【0027】
一実施形態において、ハウジング430は、基板410にしっかりと取り付けられ、位置決めされ、穴450によって、光源(例えば、光源310又は550)の光学中心が、一方の穴450に中に挿入された可撓性導光路320の一端に整合するように位置決めされる。したがって、光源と可撓性導光路との間の良好な光結合が実現される。可撓性導光路320をハウジング430に固定する手段は、接着剤であっても、機械式ロックであっても、固定具であっても、それらの任意の組み合わせであってもよく、あるいは、他の適当な手段であってもよい。可撓性導光路320を適所に固定するための接着剤として、可撓性導光路の屈折率と同様の屈折率を有する接着剤を使用することにより、光源と可撓性導光路の間の光結合を更に向上させることも可能である。そのような接着剤は、接合部におけるフレネル損失を低減することによって光結合効率を向上させるとともに、ハウジング430の穴450に挿入された可撓性導光路320を固定する働きをする。穴450の内面を組織化することにより、粘着力を向上させることもでき、その結果、接着剤と導光路320が穴450に挿入されたときに、それらをしっかりと捕らえるための、接着剤に適した優れた表面が形成される。
【0028】
上記に照らして、本発明の幾つかの実施形態によれば、1以上の光源に対して良好に光結合させることが可能な可撓性導光路を含む改良された照明構造体が得られる。このような照明構造体は、携帯電話等のような小型電子機器内での使用を含む、種々の異なる用途のうちのいずれかにおける使用に適合する場合がある。上記のように、そのような光結合は、光源(複数の場合もあり)を収容する、穴を備えたハウジング430を使用して形成することができ、その穴の中に可撓性導光路320の一端を挿入することにより、可撓性導光路320を収容された光源に光結合させることができる。したがって、特定の幾つかの実施形態によれば、ハウジング430を使用することにより、可撓性導光路を光源の光学中心に対して位置合わせして取り付けることが可能となる。また、ハウジングは、導光路をハウジングに形成された穴の中に挿入して物理的に固定した後、導光路を光源に結合するための頑丈な手段としての働きもする。また、実施形態によっては、ハウジングの中に収容された、基板上に取り付けられた電子部品を使用することにより、色の選択や制御も可能となり、時間的に一定の色や輝度を維持することが可能となる。
【0029】
本発明の種々の例示的実施形態を以下に列挙する。
1.基板と、
前記基板上に取り付けられた光源と、
前記光源に光結合された可撓性導光路であって、前記光源によって出力された光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部を放出する可撓性導光路と、
前記基板上に取り付けられたハウジングであって、前記光源の少なくとも一部を収容するとともに、前記可撓性導光路が前記光源に対して所望の位置関係になるようにして前記可撓性導光路を物理的に固定するハウジングと
からなる装置。
2.前記ハウジングは反射性の内面を有する、1に記載の装置。
3.前記可撓性導光路は、前記受け取った光を前記導光路の長手方向に沿って放出する、1に記載の装置。
4.前記可撓性導光路は、前記受け取った光を前記導光路の長手方向に沿ってほぼ均一な分布で放出する、1に記載の装置。
5.前記所望の位置関係は、前記光源の光学中心に対する前記可撓性導光路の一端の整合を含む、1に記載の装置。
6.前記ハウジングは穴を有し、前記可撓性導光路の端部が前記穴の中に挿入され、前記可撓性導光路は前記端部を通して前記光源による前記光出力を受け取る、1に記載の装置。
7.前記穴の内側表面は組織化され、前記端部は、前記組織化された表面に接触した状態で、接着剤によって前記穴の中に固定される、6に記載の装置。
8.前記接着剤は、前記端部を前記光源に更に結合する、7に記載の装置。
9.前記接着剤は、前記可撓性導光路とほぼ同じ屈折率を有する、7に記載の装置。
10.前記ハウジングの外側表面は、前記穴の一部に近接した位置で終端する溝を有し、前記溝の底部は、前記溝の中に挿入された穿孔手段によって変形させることにより突起部を形成し、該突起部は、前記穴の中に突出し、前記可撓性導光路に係合するように構成される、6に記載の装置。
11.前記光源はチップ大光源である、1に記載の装置。
12.前記光源は、上面発光型LED、端面発光型LED、及びそれらの組み合わせからなる群の中から選択された発光ダイオード(LED)である、1に記載の装置。
13.前記光源は三色光源である、1に記載の装置。
14.前記三色光源に結合され、前記三色光源から出力された光を混合する働きをする色混合器と、
前記可撓性導光路によって放出された光の、あるポイントにおいて検出された色を示すフィードバックを提供する信号を色調節器に提供するカラーフィードバックセンサと、
前記フィードバックに応答して前記色調節器から制御信号を受信する電流源駆動回路であって、前記可撓性導光路によって放出される光の色と輝度を一定に維持するように前記三色光源に供給される電流を管理する電流源駆動回路と
を更に含む、13に記載の装置。
15.前記色調節器、及び前記電流源駆動回路は前記基板上に配置され、それらの少なくとも一部は前記ハウジングの中に収容される、14に記載の装置。
16.前記ハウジングは、接着剤、ヒートスティック、ロック、スナップロック、及びそれらの組み合わせからなる群の中から選択されたいずれか1つの手段によって前記基板上に物理的に取り付けられる、1に記載の装置。
17.基板上に光源を取り付けるステップと、
前記光源の少なくとも一部を前記基板上に取り付けられたハウジングの中に収容するステップと、
前記ハウジングに形成された穴を通して可撓性導光路を前記光源に光結合し、前記導光路が、前記光源によって出力された光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部を放出するようにするステップと
を含む方法。
18.前記可撓性導光路の一部を前記穴の中に固定するステップを更に含む、17に記載の方法。
19.前記固定するステップは、前記導光路とほぼ同じ屈折率の接着剤を使用するステップを更に含む、18に記載の方法。
20.前記固定するステップは、
前記穴を内面を変形させ、前記可撓性導光路に係合する突起部を形成するステップを含む、18に記載の方法。
21.前記変形させるステップは、穿孔手段を使用して、前記穴の内面に前記突起部をパンチングするステップを含む、20に記載の方法。
22.前記光源に色混合器を接続するステップを更に含み、前記光源は三色光源である、17に記載の方法。
23.前記可撓性導光路によって放出された光の色を検出するステップと、
電流源駆動回路の出力を制御し、前記三色光源を制御するフィードバックを色調節器に供給するステップと
を更に含む、22に記載の方法。
【0030】
本発明、及び本発明の利点について詳細に説明したが、特許請求の範囲により規定される本発明の思想や範囲から外れることなく、種々の変更、置換、変形を施すことが可能であるものと考えられる。また、本発明の範囲を本明細書に記載したプロセス、機械、製造物、材料の組成、手段、方法、及びステップによって制限することは意図していない。当業者であれば、本発明の開示から明らかであるように、本明細書に記載した実施形態と実質的同じ機能を実施し、又は同じ結果を達成する現在の、又は今後開発されるであろうプロセス、機会、製造物、材料の組成、手段、方法、及びステップは、本発明にしたがって使用することができる。したがって、特許請求の範囲は、そうしたプロセス、機会、製造物、物質の組成、手段、方法、又はステップも、特許請求の範囲に含めることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】複数の光源を有する剛性の導光路を有する、従来の照明構造体の一例を示す図である。
【図2】熱収縮管によってスルーホール型LEDに結合された可撓性導光路を含む、他の従来の照明構造体を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による照明構造体の一例を示す図である。可撓性導光路の中に光源を直接成形することにより、可撓性導光路は導光路に結合されている。
【図4】本発明の他の実施形態による照明構造体の一例を示す図である。この実施形態は、基板上に取り付けられた光源と、該光源を収容するとともに、光源に光結合された可撓性導光路の両端を(ハウジングに形成された穴の中に)受け入れるハウジングとを含む。
【図5】本発明の他の実施形態による照明構造体の一例を示す図である。この実施形態は、三色光源と、カラーマネジメントシステムとを備える。
【図6A】ハウジングを基板に固定するのに使用される種々の異なる機械式ロック、又は固定具のうちの1つを示す図である。
【図6B】ハウジングを基板に固定するのに使用される種々の異なる機械式ロック、又は固定具のうちの1つを示す図である。
【図6C】ハウジングを基板に固定するのに使用される種々の異なる機械式ロック、又は固定具のうちの1つを示す図である。
【図7A】本発明の特定の幾つかの実施形態による、可撓性導光路の中に光源を直接成形するために使用されるプロセスの一例を示す図である。
【図7B】本発明の特定の幾つかの実施形態による、可撓性導光路の中に光源を直接成形するために使用されるプロセスの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
410 基板
310 光源
320 可撓性導光路
430 ハウジング
450 スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(410)と、
前記基板上に取り付けられた光源(310)と、
前記光源に光結合された可撓性導光路(320)であって、前記光源によって出力された光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部を放出するように構成された可撓性導光路(320)と、
前記基板上に取り付けられ、前記光源の少なくとも一部を収容するとともに、前記可撓性導光路を前記光源に対して所望の位置関係で前記可撓性導光路に物理的に固定するように構成されたハウジング(430)と
を含む装置。
【請求項2】
前記ハウジングは反射性内面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記可撓性導光路は、前記受け取った光を前記可撓性導光路の長手方向に沿ってほぼ均一な分布で放出するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記所望の位置関係は、前記光源の光学中心に対する前記可撓性導光路の端部の整合を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジングは穴を有し、前記可撓性導光路の端部は前記穴の中に挿入され、前記可撓性導光路は前記光源によって出力された光を前記端部を通して受け取るように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光源は三色光源であり、前記装置は、
前記可撓性導光路によって放出される光の、あるポイントにおいて検出された色を示すフィードバックを提供する信号を色調節器に供給するカラーフィードバックセンサと、
前記フィードバックに応答して前記色調節器から制御信号を受信し、前記可撓性導光路によって放出される光の色、及び輝度を一定に維持するように、前記三色光源に供給される電流を調節する電流源駆動回路と
を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
基板(410)上に光源(310)を取り付けるステップと、
前記光源の少なくとも一部を前記基板上に取り付けられたハウジング(430)の中に収容するステップと、
前記ハウジングに形成された穴(450)を通して前記光源に可撓性導光路(320)を光結合し、前記可撓性導光路が、前記光源によって出力された光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部を放出するようにするステップと
を含む方法。
【請求項8】
前記可撓性導光路の一部を前記穴の中に固定するステップを更に含み、該固定するステップは、
前記穴の内面を変形させ、前記可撓性導光路に係合する突起部を形成することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記光源に色混合器を接続するステップを更に含み、前記光源は三色光源である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記可撓性導光路によって放出される光の色を検出するステップと、
前記三色光源に対する電流駆動回路の出力を制御するフィードバックを色調節器に供給するステップと
を更に含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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