説明

光源モジュール

光源モジュールを開示する。その光源モジュールは、発光表面を有するエミッタ、エミッタから発した光を入射面で受けて光を出射面に伝送するよう位置合わせした固形集積光学素子、及び出射面からの光を受けるよう位置合わせしたレンズを含む。そのレンズは、曲率半径を有する概半球部を有し、固形集積光学素子の出射面は、出射面対角線を有する。曲率半径の出射面対角線に対する比は、0.7よりも大きい。固形集積光学素子及びレンズは各々屈折率を有し、レンズ屈折率の固形集積光学素子の屈折率に対する比は1よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
一態様において、本開示は光源モジュールを提供する。その光源モジュールは、発光表面を有するエミッタ、エミッタから発した光を入射面で受けて光を出射面に伝送するよう位置合わせした固形集積光学素子、及び出射面からの光を受けるよう位置合わせしたレンズを含む。そのレンズは曲率半径を有する概半球部を有し、固形集積光学素子の出射面は出射面対角線を有する。曲率半径の出射面対角線に対する比は0.7よりも大きい。固形集積光学素子及びレンズは各々屈折率を有し、レンズ屈折率の固形集積光学素子屈折率に対する比は1よりも大きい。
【0002】
他の態様では、本開示は照明システムを提供する。その照明システムは、少なくとも1つの光源モジュールを含む。その光源モジュールは発光表面を有するエミッタ、エミッタから発した光を入射面で受けて光を出射面に伝送するよう位置合わせした固形集積光学素子、及び出射面からの光を受けるよう位置合わせしたレンズを含む。そのレンズは曲率半径を有する概半球部を有し、固形集積光学素子の出射面は出射面対角線を有する。曲率半径の出射面対角線に対する比は0.7よりも大きい。固形集積光学素子及びレンズは各々屈折率を有し、レンズ屈折率の固形集積光学素子屈折率に対する比は1よりも大きい。その照明システムはまた、少なくとも1つの光源モジュールから照射ターゲットに光を伝送するよう配置した光学要素を含む。
【0003】
更に他の態様では、本開示は投影システムを提供する。その投影システムは、少なくとも1つの光源モジュール及びイメージャーを含む。その光源モジュールは、発光表面を有するエミッタ、エミッタから発した光を入射面で受けて光を出射面に伝送するよう位置合わせした固形集積光学素子、及び出射面からの光を受けるよう位置合わせしたレンズを含む。そのレンズは曲率半径を有する概半球部を有し、固形集積光学素子の出射面は出射面対角線を有する。曲率半径の出射面対角線に対する比は0.7よりも大きい。固形集積光学素子及びレンズは各々屈折率を有し、レンズ屈折率の固形集積光学素子屈折率に対する比は1よりも大きい。その投影システムは、少なくとも1つの光源モジュールからイメージャーに照射光を伝送するよう配置した光学要素、及びイメージャーからの影像光を受けてその影像光を投射するよう配置した投射レンズ素子も含む。
【0004】
本開示のこれらの態様及び他の態様は、以下の発明を実施するための最良の形態から明らかとなるであろう。しかしながら上記の要約は、決して、請求する主題を限定するものとしてみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示を、添付の図面に関して説明する。
【図1】投影システムの概略断面図。
【図2】エミッタの概略正面図。
【図3】光源モジュールの概略断面図。
【図4a】固形集積光学素子の概略等角図。
【図4b】固形集積光学素子の概略正面図。
【図5】他の光源モジュールの概略断面図。
【図6a】固形集積光学素子から同じ屈折率を有するレンズに通過している光の模式図。
【図6b】固形集積光学素子からより高い屈折率を有するレンズに通過している光の模式図。
【図7】図効率対R/dのプロット。
【発明を実施するための形態】
【0006】
光源モジュールは、投影ディスプレイ、液晶ディスプレイ用バックライト、及びその他を含めて、種々の用途を有する照明システムにおいて、広範に使用されている。投影システムは、光源と、照明光学系と、イメージャーと、投影光学系と、投影スクリーンと、を含むことができる。照明光学系は、光源から光を収集し、所定の方式で1つ以上のイメージャーにその光を向ける。イメージャー又は画像形成装置は、電子的に調節かつ処理したデジタル信号により制御され、その信号に応じて画像を作り出す。次に、投影光学系は画像を拡大し、その画像を投影スクリーンに投影する。アークランプなどの白色光源が、色相環と共に、投影ディスプレイシステム用の光源として使用されてきたが、今もなおよく使用されている。寿命がより長く、効率がより高く、熱的特性がより優れていることから、現在では、発光ダイオード(LED)が代替物として採り入れられている。
【0007】
固体照明、光学系、及びディスプレイ要素における現在の進歩により、極めて小さなフルカラー投影機を創り出すことが可能となっている。これらのカラー投影機を携帯電話等の携帯装置などに組み込むほど小さくするには、高効率で小型の色組み合わせ手段を探し出す必要がある。単独のイメージャーでカラー投影を作製するには主な方法が2つある。最初の方法は「色順次」で知られ、例えば各赤色、緑色、青色光源からの光を上載せし、これらの色を特定の時系列様式で単色イメージャーに伝送する。2番目の方法は「色フィルタリング」で知られ、白色光源の光を赤/緑/青色フィルタ付きイメージャーに伝送する。本開示の光源モジュールは、色順次タイプ又は色フィルタタイプのいずれかの投影システムでの使用に好適であり得る。
【0008】
図1は、投影システム100の一実施形態の概略断面図である。投影システム100は、投影スクリーンなどの表面に静止画像又は動画像を投影するのに使用することができる。投影システム100は、少なくとも1つの光源モジュール110及び照射ターゲット130を含む。照射ターゲット130は、シリコン基板上の反射型液晶(LCOS)又はデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)などのイメージャーでもよい。照射ターゲット130は、例えば図1に図示した実施形態では反射モードで、又はシステム100の配置が図1に示したものから変更できる場合、例えば透過型液晶ディスプレイイメージャーでは透過モードで使用することができる。照射ターゲット130の操作モードに拘わらず、本明細書に記載の通り、投影システム100は一般に、光源モジュール110と照射ターゲットとの間に配した光学要素のサブシステムを含むことができる。光学要素のサブシステムは、光源モジュール110から照射ターゲット130に照射光をある程度伝送することができる。更に、素子は、照射ターゲットとの使用で光を好適に作用させるか又は光を好適にしてもよい。光源モジュール110又は複数のモジュール、及び照射光を照射ターゲット130に伝送する光学要素は、共に照明システムに含まれると考えてもよい。照射ターゲット130上への投射前後に、光学要素のサブシステムの一部又は全部が、光を透過しても、反射しても、搬送しても、又は他の方法で扱ってもよい。
【0009】
図1に図示の通り、光源モジュール110と照射ターゲット130との間に配した光学要素のサブシステムは1つ以上のレンズ140、紫外線(UV)フィルタ又は反射偏光子であってもよい1つ以上のフィルタ150、光誘導素子160、及びその他好適な光学要素を含むことができる。光学要素を含む場合、そのタイプは一般に照射ターゲットの性質、及び素子が部品である投影システム100のタイプに依存することがある。例えば、システム100が、照射ターゲット130がLCOSイメージャーである投影システムの一部であれば、光誘導素子160は多層偏光干渉スタックなどの偏光ビームスプリッタであってもよい。一般に、図1の光誘導素子160の表示は概略であって、投影システム100に使用されると実際の光誘導素子は、図1で描かれたものとはかなり異なる場合がある。例えば、ビームスプリッタは、ビームスプリット用の斜辺付き立方体の形態を取るより、プレートの表面又はペリクル膜上に形成されるか、又は一般にその他好適な物理的形態を取ってもよい。他の例では、投影システム100の照射ターゲット130がDMDイメージャーであれば、光誘導素子160は、例えば米国特許第5,552,922号(Magarill)、6,461,000号(Magarill)、及び6,726,332号(Cannon and Oehler)、並びに米国特許出願シリアル第61/017,987号(Magarill)に記載の、空隙を含む内部全反射プリズムであってもよい。更なる例では、投影システム100内の照射ターゲット130が透過型LCDイメージャーであれば、光誘導素子160は存在しなくてもよい。
【0010】
投影システム100は、例えばイメージャーで画像を映像光上に置いた後その映像光を受け、その映像光を例えば投影スクリーン(不図示)に投射することのできる投影レンズを含むこともできる。投影レンズ170は、好適な構成要素を含んでもよい。光源モジュール110と照射ターゲット130との間に配した照明システムの光学要素のうちのいくつかは、照射ターゲットと投影レンズ170との間に配されてもよく、更にそのような光学要素は、投影システム100のデザインによっては投影レンズ170と共に投影レンズシステムの一部と考えてもよい。
【0011】
光学要素は、照明システム及び投影レンズシステムなど多数のシステムで機能することができるだけでなく、光学要素が多数の光学機能を機能させることを可能にする。例えば、光誘導素子が屈折機能及び光誘導機能を提供するように、光誘導素子160は光学的出力付きの非平面を含んでもよい。
【0012】
図1の投影システム100の光の起点側に戻ると、光源モジュール110は、エミッタ111、固形集積光学素子112、及びレンズ113を含むことができる。図2は、図1の投影システム100の光源モジュール110又はその他類似の光源モジュールに使用することのできるエミッタ211の概略正面図であり、発光表面214を示している。発光表面214は、単独の発光領域を含むことができるか、又は複数の発光領域215を有するアレイを含むことができる。図2に示す通り、発光表面214の一実施形態は、4つの発光領域215を有するアレイを含む。適用によっては、アレイの発光領域は類似であっても異類であってもよい。いくつかの実施形態では、領域総てが例えば白色光など、本質的に同じ色の光を発する。他の実施形態では、発光領域は図2のクロスハッチ部に提示する通り、例えば赤、緑、青など3色以上を発する。いかなる好適な技術も本開示の光エミッタに使用してもよい。発光ダイオード及びその他の半導体デバイスが特に好適となり得る。
【0013】
図3は、図1の投影システム100又はその他互換性のある投影システム若しくは照明システムで使用することのできる光源モジュール310の概略断面図である。光源モジュール310は、入射面316及び出射面317を有する固形集積光学素子312を含む。入射面316及び出射面317は典型的には矩形であるが、一般にいかなる好適な形態を取ってもよい。入射面316は、エミッタ311の発光表面314が発した光を受けるよう位置合わせすることができる。入射面316の次元及び形状は、発光表面314の次元及び形状にほぼ一致するよう選択することができる。この次元及び形状の一致は、例えば発光表面314が平面でない場合は三次元とすることができ、又は入射面316及び発光表面は三次元未満で一致させてもよい。いくつかの実施形態では、入射面316は平面である。入射面316及び発光表面314は、好適な接着剤又はその他の材料で接着又は連結させてもよい。本明細書に記載の反射偏光子などのフィルタを発光表面314と入射面316との間に定置させ、エミッタ、フィルタ、及び固形集積光学素子を接着させてもよい。発光表面314及び入射面316を光学的に連結させるのに使用することのできる材料の1タイプは、エミッタ、とりわけLEDと共に使用すると光学的、熱的、機械的、又はその他の効果をもたらすことのできる封止剤である。封止剤は、例えば米国特許第7,192,795号(Boadmanら)に記載されている。
【0014】
出射面317は、平面でも非平面でもよいが、図1のターゲット130などの照射ターゲットの形状に応じた形状を有することができる。例えば、照射ターゲットがビデオ投影器用のイメージャーであれば、イメージャー及び出射面317は、共に扁平率4:3、16:9の矩形又はその他の好適な形状であってもよい。出射面317の形状をイメージャーの形状に一致させると、投影システムに使用される可能性のあるアナモフィック光学系の必要性をなくすことができる。図4aは、光源モジュール310及び110並びにその他の光源モジュール内の固形集積光学素子312及び112のように使用することのできる固形集積光学素子412の概略等角図である。図4bは、図4aのベクトルVで指示した方向に沿った固形集積光学素子412の概略正面図である。固形集積光学素子412は、入射面416及び出射面417を有する。図示の通り、入射面416は、出射面417の出射面表面積よりも小さい入射面表面積を有する。他の実施形態では、面416、417の形状は同じでもよく、並びに/又は入射面表面積及び出射面表面積は等しくてもよい。更に他の実施形態では、入射面表面積は出射面表面積より大きくてもよい。図示した実施形態では、出射面417は、16:9フォーマットのビデオイメージャーなどの照射ターゲットの形状と一致する適切な形状を有する。面416、417の表面積が等しくないときは、固形集積光学素子412は、入射面及び出射面の間で先細にしてもよい。
【0015】
図3の固形集積光学素子312は、入射面316及び出射面317を接続する1つ以上の側面318を有する。典型的には、固形集積光学素子は、図4a及び4bの固形集積光学素子412の側面418など4つの側面を有する。他の実施形態では、側面は非平面の形状を取ることができるが、図4aに図示の通り、各側面418は平面である。本明細書の固形集積光学素子の1つ以上の側面は、例えばアルミニウム、銀、その他の金属の反射コート若しくは反射層、反射誘電体、誘電体スタック、これらの組み合わせ、又はその他好適なリフレクタを有することができる。側面は、その全面がコーティングされてもよく、又は未塗装のままでもよく、又は部分的にコーティングされてもよい。光が側面の未塗装の部分に入射すると、内部全反射などのフレネル反射が、固形集積光学素子の機能に貢献することができる。固形集積光学素子は、一般に屈折率を特徴とする好適な透明材料で作製することができる。好適な材料としてガラス、アクリル系、その他の光学樹脂、固形封止剤、及び封止ゲルが挙げられる。
【0016】
固形集積光学素子は、その入射面からその出射面に光を搬送又は伝送することができ、その際に入射面上の光入射の初期空間的均一性に相対して出射面から出現する光の空間的均一性を高める。入射面上の光入射は、多くの理由で非平面となり得る。例えば、図2のエミッタ211の発光表面214から発した光は、異なる発光領域215から発した光の異なる色で変わる場合がある。発光領域215は、同時に異なる色を発する場合があるか、又は例えば色順次光源をもたらすよう時系列的に発光を変える場合がある。一実施形態では、発光領域215は赤色、緑色、及び青色の光を発するが、固形集積光学素子により均質化されると、白色光とすることができる。他の実施形態では、1つ以上の単独の発光領域215が固形集積光学素子の入射面に同時に照射して空間的に不均一性の高い光をもたらすが、光学素子を通じた伝播後は出射面でほぼ均一の光とすることができる。他の実施形態では、図1のエミッタ111などのエミッタは、エミッタの物理的性質により空間的に不均一性の単独の発光領域を有する。例えば、LEDエミッタは、空間的不均一性となる構造でダイライン、導電性トレース若しくは導電性リード、及び/又はその他の変形物を有してもよい。固形集積光学素子は、光が照射ターゲットの照射のため好適に均一となるようLEDエミッタを通過する光を均質化することができる。
【0017】
集積光学系のジオメトリ及び次元は、通過する光が均質化される度合に影響を及ぼすことがある。光学デザイナーは、例えば図3に示す通り、伝送した光が望ましいユニフォミティになるよう固形集積光学素子の長さlを選択してもよい。本発明者らは、例えば、図2に示したものと同様のバイエルパターンで配置した4つの赤−緑−青−緑の発光領域を有する発光表面のメジャリング(1.4mm)で始動する際、約5mm長の固形集積光学素子が十分なユニフォミティをもたらすことができるのを見出した。テストでは、同じ大きさの単色エミッタなどのより均一なエミッタだけが約2mm長の集積光学系を必要とした。集積光学系は更に、例えば米国特許第5,625,738号(Magarill)に記載されている。
【0018】
本明細書に開示した集積光学系の出射面における光の空間的均一性により、照射の好適な空間的均一性を維持しつつ、集積光学系の出射面が照明システムにより照射ターゲットに撮像されるよう照明システムをデザインすることが可能となる。それに対して、集積光学系のない照明システムは、効率の低下につながる、空間的不均一性の照射ターゲットへの撮像を妨げるため照射光の焦点をぼかしてもよい。集積光学系のある照明システムは、ないものよりも高効率をもたらすことができる。
【0019】
図1のレンズ113又は図3のレンズ313は、特定の結果を達成するため選択した好適なレンズ又は好適なシステムのレンズであってもよい。例えば、レンズ113、313は、光源モジュール110又は310からの視準された又はより発散の少ない光の放出で補助用収束レンズを含めてもよい。光源モジュール110などの光源モジュールのモデルとして機能する光源モジュール310では、レンズ313は固形集積光学素子312の近位に装着、接着、付着、又は定置して集積光学系の出射面317からの光を受けるよう位置合わせしてもよい。固形集積光学素子の出射面317の近位のレンズ313の表面は一般に、平面又は非平面でもよい出射面の全面にわたって出射面の形状にぴったり一致してもよい。レンズ313は対称軸を有してもよく、レンズの対称軸は固形集積光学素子312の対称軸と合わせてもよい。反射偏光子などのフィルタは、固形集積光学素子312とレンズ313との間に配することができ、集積光学系、フィルタ、及びレンズの組み合わせは接着剤など互換性のある材料で接着してもよい。任意の好適なタイプの反射偏光子、例えば、多層光学フィルム反射偏光子、拡散反射偏光フィルム、例えば連続/分散相偏光子、ワイヤグリッド反射偏光子、又はコレステリック反射偏光子が使用されてもよい。レンズ313は、一般に屈折率を特徴とする好適な透明材料で作製してもよい。好適となり得る材料として、大原ガラス(日本、相模原)製造のS−LAH−79又はSchott Glass(Mainz、ドイツ)製造のLASF−35などの高指数ガラスが挙げられる。
【0020】
レンズ313は概半球形でよい。一実施形態では、レンズ313は製造に実用的な程度で正半球形である。他の実施形態では、レンズ313は正半球形とは異なるが、それでも概半球形と考えられる。球面収差及びその他収差の屈折補正を援用するよう、その面形状が例えば正球形から逸脱するため、レンズ313の曲面は当業者が理解する通り非球面状であってもよい。正半球形であれ又は概半球形であれ、レンズ313は半径Rを有する。正半球形でないレンズ313の場合、Rは、レンズの外側表面が正球面に最もよく適合するときに得られる嵌合いパラメータによって規定することができる。レンズの外側表面は、固形集積光学素子312から最も遠い曲面である。
【0021】
図5は、投影システム100又はその他互換性のある照明システムでの使用に好適となり得る他の光源モジュール510の概略断面図である。図5の光源モジュール510は、例えば図3の光源モジュール310に比べ、光源モジュールのデザインの変形をいくつか例示する。例えば固形集積光学素子512の次元及び比率は、一般に固形集積光学素子312の次元及び比率とは異なる。図5に示したレンズ513は、2つの幾何学的形状、すなわち概半球部520及び円筒部519を含む。レンズ513のこれら2つの下位形状は、1つの材料から連続的に形成することができる。概略的な図示の通り、概半球部520は半球形よりいくらか小さく形成されるが、それでも概半球形である。他の実施形態では、レンズの概半球部は半球形よりいくらか大きく形成されてもよい。図5の固形集積光学素子512は、非平面の出射面517と共に図示されており、レンズ513の近位面は非平面の出射面にぴったり一致することができる。
【0022】
図5は、更に光源モジュールの他の変形デザインを図示する。光源モジュール510は、側面518の部分521上に反射コート又は反射層を含むが、他の部分522は未塗装である。図5に示す通り、入射面に隣接した側面の部分521は反射コート又は反射層を有するが、出射面に隣接した部分522は未塗装である。そのようなデザインは、例えば内部全反射(TIR)が部分522ではより有効だが部分521ではあまり有効ではないことが既知であるか又は信じられる場合に選択することができる。図5は、そのようなTIRの効力の違いとなり得る原因を概略的に図示する。光源モジュール510は、エミッタ511を固形集積光学素子512に光学的に連結させる封止剤523を含む。図示の通り、封止剤523は、発光表面514と入射面516との間の空間に封じ込めなくてもよく、また固形集積光学素子512の1つ以上の側面518に接してもよく、側面518が未塗装でかつ光の含有でTIRに依存するだけであれば、光学系の外の光を光学的に連結してもよい。側面518の部分521に反射コート又は反射層があれば、固形集積光学素子512からの光をうっかり喪失するのが妨げられる。本明細書に記載の通り、他の光源モジュールは、ほぼ全面上に反射層又は反射コートのある側面を有する固形集積光学素子を含んでもよい。
【0023】
光源モジュール110、310、510は各々固形集積光学素子112、312、512及びレンズ113、313、513を含む。これら固形集積光学素子及びレンズは、各々を形成した材料の屈折率を特徴とすることができる。一般に媒体間の率の違いから媒体間を通る光が屈折する。図6a及び6bは、光源モジュール610及び680の光線追跡シミュレーションに基づいた、各固形集積光学素子612、682からレンズ613、683への光の通過の効果の模式図である。図6a及び6bに図示した効果は、光源モジュール110、310、510及び他のアナログ光源モジュールに適用される。縞模様の領域625、685は、光が固形集積光学素子612、682及びレンズ613、683を通りかつ光源モジュールの外で平面627、687上に伝播する際にエミッタ611、681から伝播する光が占める空間の量を表す。図6aでは、固形集積光学素子612及びレンズ613は同じ屈折率を有する。図6bでは、レンズ683は、固形集積光学素子682に相対してより高い屈折率を有する。少なくとも部分的には光学系682とレンズ683との間のインターフェイスにおける屈折のため、光は光源モジュール610を出る光に比べて狭いか又は小さい錐体の中の光源モジュール680を出る。モジュール610及び680から等距離の平面627及び687に投射すると、光源モジュール680を出る光は光源モジュール610を出る光より小さい領域を照射する。光源モジュール680は、より狭い照射錐体及びより小さい領域サイズを特徴とするため、照明システムをより小型にできる。
【0024】
いくつかの実施形態では、光源モジュールは少なくとも1.8又は少なくとも2.0の屈折率を有するレンズを含む。更なる実施形態では、光源モジュールは2.6以下の屈折率を有するレンズを含む。更に、光源モジュールは、上記の終点のいずれかを組み合わせた範囲の屈折率を有するレンズを含んでもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、光源モジュールは1.7以下又は1.5以下の屈折率を有する固形集積光学素子を含む。更なる実施形態では、光源モジュールは、少なくとも1.3の屈折率を有する固形集積光学素子を含む。更に、光源モジュールは、上記の終点のいずれかを組み合わせた範囲の屈折率を有する固形集積光学素子を含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、レンズ屈折率の固形集積光学素子屈折率に対する比は、少なくとも1.05又は少なくとも1.3でよい。更なる実施形態では、レンズ屈折率の固形集積光学素子屈折率に対する比は1.5でよい。いくつかの実施形態では、レンズ屈折率の固形集積光学素子屈折率に対する比は2.0以下でよい。更に、レンズ屈折率の固形集積光学素子屈折率に対する比は上記の終点のいずれかを組み合わせた範囲でよい。
【0027】
屈折率は、発光表面と固形集積光学素子の入射面との間に配してもよい封止剤などの光源モジュールの他の構成部分も考慮に入れてもよい。封止剤は、光源モジュールの素子を光学的に連結又は接着することができる。固形集積光学素子及びレンズの屈折率に関して本明細書に論じた屈折効果は、概略すれば低指数から高指数にインターフェイスを交差させると光伝播の角の範囲又は光錐が狭くなると言うことができる。結果的に、本開示の光源モジュールでは、封止剤はレンズの屈折率よりも小さい屈折率を有するものを使用してもよい。更に、封止剤の屈折率は、固形集積光学素子の屈折率に等しいか又は小さくてもよい。
【0028】
図6a及び6bは、光源モジュールに役立つ他の観点の図示にも役立つ。縞模様の領域625、685は、照射光が存在し得る固形集積光学素子612、682及びレンズの容量の部分を表す。縞模様のない、照射光が一般に存在しないレンズ613、683の内容量の部分は、光学的機能に実質的には影響を及ぼさずにレンズから除去することのできる材料を表す。この点については、両タイプのレンズが同じ光学的機能を実行し、そのために本開示の範囲を超えない限り、そのような材料を除去した又はなくしているレンズはその余分な材料を除去していないレンズと機能的には同じである。例えば、たとえ光が通過しない材料の部分を除去したか又はなくしていても、レンズ683は概半球形であると述べることができる。
【0029】
緻密度及びその他の属性と共に、効率は照明システムのデザインの重要な考慮点となり得る。効率は、固形集積光学素子に連結したエミッタからの初期の光束に比べると、照射ターゲット上に向かうようもたらした光束の観点から数量化することができる。本開示の光源モジュールでは、レンズの半径Rの固形集積光学素子の出射面対角線(図4aのd)に対する比は、光源モジュールの効率に影響を及ぼし得ることが見出された。計算シミュレーションを実行し、R対dの比を変えて光源モジュールの効率を研究した。計算の結果、レンズ上の適切な反射防止膜、媒体間のインターフェイスにおけるフレネルロス、及び固形集積光学素子の全側面での銀の反射コートの高まりが想定された。このシミュレーションによるデータは、図7に効率対R/dのプロットで提示されている。本発明者らは、R/dが1に近づくにつれ著しい効率が得られ、水平か均一になるのを観察した。理論及び説明のみに束縛されるものではないが、本発明者らは、レンズの半径が集積光学系の出射面に相対して大きくなるにつれこの効率が得られる理由は、比が増大するにつれ照射光線がより正規に近い角度でレンズの外側表面に入射し、その結果、より大きな傾角又は視射角で入射する光線に比べてフレネルロスが低下するためであると信じる。R/d比が0.7、0.8、0.9、1、1.1、又は1.2より大きくなると、光源モジュールの効率に貢献することができる。いくつかの実施形態では、R/d比は1.2以下である。
【0030】
効率を高める他の対策は、適切となり得る限り表面に反射防止膜を施すことである。好適な反射防止膜又は反射防止層は、本明細書に開示した照明システムに使用してもよい。一般に、反射防止膜は、光が異なる屈折率を有する媒体間に伝搬するインターフェイスで施してもよい。媒体/空気インターフェイスに加え、反射防止膜は、例えば固形集積光学素子の出射面とレンズとの間、又はエミッタの発光表面と固形集積光学素子の入射面との間のインターフェイスで使用してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光表面を備えるエミッタ、
前記エミッタから発した光を入射面で受けて光を出射面に伝送するよう位置合わせした固形集積光学素子であって、前記出射面が出射面表面積及び出射面対角線を有する固形集積光学素子、及び
前記固形集積光学素子の前記出射面からの光を受けるよう位置合わせしたレンズであって、前記レンズが曲率半径を有する概半球部を備えるレンズを備える、光源モジュールであって、
前記曲率半径の前記出射面対角線に対する比が0.7より大きく、
前記固形集積光学素子が固形集積光学素子屈折率を有し、前記レンズがレンズ屈折率を有し、前記レンズ屈折率の固形集積光学素子屈折率に対する比が1よりも大きい、光源モジュール。
【請求項2】
前記レンズ屈折率の前記固形集積光学素子屈折率に対する比が少なくとも1.3である、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記固形集積光学素子屈折率が1.7以下である、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記レンズ屈折率が少なくとも1.8である、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記曲率半径の前記出射面対角線に対する比が0.8より大きい、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項6】
前記レンズが更に円筒部を含む、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項7】
前記レンズの前記概半球部が非球面である、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項8】
前記レンズが実質的に前記出射面表面積全体で前記出射面に一致する、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項9】
前記発光表面が複数の発光領域を含むアレイを備える、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項10】
前記入射面が前記発光表面の次元及び形状に実質的に一致する次元及び形状を有する、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項11】
前記入射面が平面である、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項12】
前記出射面が平面である、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項13】
前記出射面が非平面である、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項14】
前記出射面がイメージャー形状とほぼ同じ形状を有する、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項15】
前記入射面が前記出射面表面積より小さい入射面表面積を有する、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項16】
前記固形集積光学素子が前記出射面と前記入射面との間で先細になる、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項17】
前記発光表面と前記固形集積光学素子との間に配した封止剤を更に備える、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項18】
前記封止剤が前記レンズ屈折率よりも小さい封止剤屈折率を有する、請求項17に記載の光源モジュール。
【請求項19】
前記封止剤屈折率が前記固形集積光学素子屈折率以下である、請求項18に記載の光源モジュール。
【請求項20】
前記発光表面と前記入射面との間に配した反射偏光子を更に備える、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項21】
前記発光表面、反射偏光子、及び入射面が接着される、請求項20に記載の光源モジュール。
【請求項22】
前記発光表面及び入射面が接着される、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項23】
前記出射面と前記レンズとの間に配した反射偏光子を更に備える、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項24】
前記出射面、反射偏光子、及びレンズが接着される、請求項23に記載の光源モジュール。
【請求項25】
前記出射面及びレンズが接着される、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項26】
前記固形集積光学素子が側面の少なくとも一部に反射コーティングを有する少なくとも1つの前記側面を有する、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項27】
前記出射面と前記レンズとの間に配した反射防止コーティングを更に備える、請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項28】
発光表面を備えるエミッタ、
前記エミッタから発した光を入射面で受けて光を出射面に伝送するよう位置合わせした固形集積光学素子であって、前記出射面が出射面対角線を有する固形集積光学素子、及び
前記固形集積光学素子の前記出射面からの光を受けるよう位置合わせしたレンズであって、前記レンズが曲率半径を有する概半球部を備えるレンズを備える少なくとも1つの光源モジュールであって、
前記曲率半径の前記出射面対角線に対する比が0.7より大きく、
前記固形集積光学素子が固形集積光学素子屈折率を有し、前記レンズがレンズ屈折率を有し、前記レンズ屈折率の前記固形集積光学素子屈折率に対する比が1よりも大きい、少なくとも1つの光源モジュール、及び
前記少なくとも1つの光源モジュールから照射ターゲットに光を伝送するよう配置した光学要素を備える、照明システム。
【請求項29】
発光表面を備えるエミッタ、
前記エミッタから発した照射光を入射面で受けて前記照射光を出射面に伝送するよう位置合わせした固形集積光学素子であって、前記出射面が出射面対角線を有する固形集積光学素子、及び
前記固形集積光学素子の前記出射面からの前記照射光を受けるよう位置合わせしたレンズであって、前記レンズが曲率半径を有する概半球部を備え、前記レンズが実質的に前記出射面表面積全体の前記出射面に一致するレンズを備える、少なくとも1つの光源モジュールであって、
前記曲率半径の前記出射面対角線に対する比が0.7より大きく、
前記固形集積光学素子が固形集積光学素子屈折率を有し、前記レンズがレンズ屈折率を有し、前記レンズ屈折率の前記固形集積光学素子屈折率に対する比が1よりも大きい、少なくとも1つの光源モジュール、
イメージャー、
前記照射光を少なくとも前記1つの光源モジュールから前記イメージャーに伝送するよう配置した光学要素、及び
前記イメージャーからの映像光を受けて前記映像光を投影するよう配置した投影レンズを備える、投影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−524065(P2011−524065A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508558(P2011−508558)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/042349
【国際公開番号】WO2009/137331
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】