説明

光源及び光源内の化学元素に対する再帰機能の供給方法

【課題】 簡単な手段によって高い効率が得られる光源及び光源内の化学元素に対する再帰機能の供給方法を提供する。
【解決手段】 光源は、管球(2)内に配置された加熱可能なフィラメント(1)を有する。管球(2)内には、ガス又はガス混合物が封入されている。このガス又はガス混合物はフィラメント(1)から放出され、フィラメント(1)上に及び/又はフィラメント(1)内に再び戻る少なくとも一種の化学元素に対する再帰機能の供給に適している。前記ガス又はガス混合物は、高エネルギー効率に関して、簡単な手段によって、前記ガス又はガス混合物が酸素及び/又は酸素を含有する化合物の濃縮物を有するように、形成され、展開される。さらに光源内の化学元素に対する再帰機能の供給方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱可能なフィラメントを有し、前記フィラメントは、管球内に配置され、前記管球内にガス又はガス混合物が封入され、前記ガス又はガス混合物は、フィラメントから放出され、前記フィラメント上に及び/又は前記フィラメント内に戻る少なくとも一種の化学元素に対する再帰(transport)機能の供給に適している光源に関する。さらに、本発明は、加熱可能なフィラメントを有し、前記フィラメントは、管球内に配置され、前記管球内にガス又はガス混合物が封入され、前記ガス又はガス混合物はフィラメントから放出され、前記フィラメント上に及び/又は前記フィラメント内に戻る少なくとも一種の化学元素に対する再帰機能の供給に適している光源内の少なくとも一種の化学元素に対する再帰機能の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の種類の光源は、実地で知られており、種々の実施の形態で存在する。光源として例えば白熱電球が知られている。この白熱電球は、高融点の又は耐火性の材料からなる白熱フィラメント、前記フィラメントをブリッジとして保持する電極及びガス混合物が充填されている管球を有する。
【0003】
白熱電球は、利用できる電球の工学技術の範囲内で、現在最も低いエネルギー効率を有している。即ち、白熱電球は、光放射と比べて比較的多くの熱を発生する。他方において、白熱電球は、しかし、最も安いコストで製造できる発光体又は光源である。それ故、白熱電球のエネルギー効率を高めることが望まれる。これは、高融点の又は耐火性の炭化物、硼化物、窒化物、酸化物又は珪化物をフィラメント材料として利用することによって達成される。その場合において、これらの化合物を使用するとき、その特性に関して最も有利であり、それ故最も関心を引く前記化合物の金属は、ハフニウム、ニオブ、タンタル、ジルコン又はこれらの金属の合金、例えばタンタルハフニウムである。これらの材料の中で、炭化物、特に炭化ハフニウム及び炭化タンタルが、その高融点、その良好な電気伝導率及び大きな熱−機械的安定性により、特に有用である。
【0004】
例えば、炭化金属の代表として、炭化タンタルは、白熱電球に利用するとき、通常白熱電球に利用されるタングステンよりも、本質的により高い使用可能な白熱温度を有し、その上可視領域における光放射のより高い選択性及び利得を有する。炭化タンタルフィラメントを有する白熱電球はタングステン電球よりも本質的に高いエネルギー効率を得ることができる。
【0005】
高温において、例えば炭化タンタルをフィラメントの材料として利用するときの最も大きな問題は、炭素を放出し、そのためにより少ない熱安定炭化タンタル相に変わり、又はそれどころか金属タンタルに変わる、炭化タンタルの傾向である。
【0006】
例えば炭化金属、金属硼化物、金属珪化物等の高融点材料のフィラメントを有する白熱電球は、1961年7月26日のドイツ特許出願2038号、VIIIc/21f及び1960年3月11日の米国特許出願14253及び14254から知られている。これらの特許出願から、同様にハロゲン化合物によって働く電球内の物質再帰サイクルが知られている。その場合、例えば炭素、硼素又は珪素のような蒸発するフィラメント材料は物質再帰サイクルによってフィラメントに戻される。しかし、既知の物質再帰サイクルは、適当な効率を得るために、完全に酸素のない又は完全に水素のない雰囲気内で進めなければならなかった。
【0007】
ハロゲン化合物に基づく既知の物質再帰サイクルの場合に不利なことは、電球の使用中、ハロゲン元素が遊離し、電球の管球及び電球の内側の部分を腐食し、破壊することである。それ故、このような光源又は電球は、相当に抵抗力のある層又は材料を備えなければならない。これは、このような電球の製品の価格を著しく高くする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故、本発明の課題は、簡単な手段によって高いエネルギー効率が得られる、上記の種類の光源及び光源内の化学元素に対する再帰機能の供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題は、請求項1に記載の請求項1の特徴を有する光源によって解決される。それに従って、光源は、ガス又はガス混合物が酸素及び/又は酸素含有化合物の濃縮物を有するように形成され、展開される。
【0010】
本発明の態様において、先ず分かることは、光源の管球の内側で再帰サイクル又は再帰機能を発生させるために、ハロゲン化合物を決して、確実に必要としないことである。別の発明の態様において、次に分かることは、管球内にある、酸素及び/又は酸素含有化合物からなるガス又はガス混合物の濃縮物が、同様に、フィラメントから放出される化学元素をフィラメントに戻すための適当な再帰サイクル又は再帰機能を供給する能力を有することである。好ましくは、酸素は、酸素分子の形態ではなく、NO、NO、CO、CO等の酸素含有無機化合物、又は例えばアルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸等の酸素含有有機化合物の形態で付加される。酸素含有化合物が分解したとき、使用中、酸素は、別の反応のために自由に使われる。容積単位あたりの酸素原子数に関連する容積単位あたりの元素酸素の物質量は好ましくは少なくとも110−5mol/lであり、特に好ましくは最高110−4mol/lである。代表的に、物質量は、70mlにおいて810−7molと810−6molの間である。この場合、ハロゲン又はハロゲン化合物はいらなくすることができるので、ハロゲン化合物又はハロゲンによって働く再帰サイクルは必要とされない。その代案として、ハロゲン又はハロゲン化合物によって働く再帰サイクルをハロゲン又はハロゲン化合物なしに働く他の再帰サイクルを重ねることができる。結局、ハロゲンによる光源の内側部分の損傷は減少し、またはそれどころか完全に回避することができる。それに対応して、ハロゲンによる損傷に対して抵抗力がある高価な層又は材料は必要としない。
【0011】
従って、本発明の光源によって、簡単な、それ故コストの安い手段で高いエネルギー効率が得られる光源が提供される。
【0012】
好ましい実施の形態において、管球は、さらに低分子量の炭化水素を含む。低分子量の飽和炭化水素又は不飽和炭化水素は、そうでないと蒸気圧が十分に高くないので、好ましくは、4個以上の炭素原子を含まない。管球内に入れられた炭化水素の分圧は、好ましくは少なくとも0.1mbarであり、特に好ましくは最高1.5mbarである。
【0013】
実際に、本発明の光源によって、物質再帰サイクル又は再帰機能を得ることができ、それによって、例えば炭素、硼素又は珪素等の蒸発した又は放出されたフィラメント材料をフィラメント上に及び/又はフィラメント内に戻すことができる光源が提供される。これは特に高融点の又は耐火性のフィラメント材料によって実現される。光源の特に好ましい、持ちの良い構成において、フィラメントは本質的に炭化金属、特に炭化タンタルからなる。
【0014】
特に確実な態様において、再帰機能は、酸素含有化合物としての一酸化炭素の濃縮物つまり特定の目的に合わせた付加物によって生じさせることができる。
【0015】
別の有利な構成に関して、光源は低分子量炭化水素Cを含む。Cも例えばフィラメントから蒸発した炭素を再びフィラメントに戻す能力を有する。しかし、一酸化炭素及びCを同時に再帰機能の発生体として用いることもできる。
【0016】
別の有利な構成において、低分子量炭化水素はメタン又はエタンを含む。前記炭化水素を選択するとき、その時その時の使用例−例えば構造、所望の耐用期間及び所望の有効電力値−が考慮される。
【0017】
さらに、管球内のガス又はガス混合物は水素の濃縮物を含む。これは、酸素の濃縮物及び/又は酸素含有化合物の濃縮物及び場合によってはさらに低分子量炭化水素の濃縮物との組み合せで、特に再帰機能の供給のために有効であることが判明している。水素(H)の分圧は、好ましくは少なくとも10mbarであり、特に好ましくは最高100mbarである。
【0018】
原則的に、管球内に適当なガス又はガス混合物を入れ、次いで前記ガス又はガス混合物を化学元素に対する再帰機能の供給に直接向けることが可能である。それに代えて或いはそれに加えて、管球内に化学元素又は化合物を入れ、先ず前記化学元素又は化合物を、光源の使用中に、管球内に所望の雰囲気の組成が生じるように、反応させることも可能である。実際に、光源の使用中又はフィラメントの加熱中に管球内で適当な化学元素又は化合物の反応によって、一種又は複数種の濃縮物を作ることができる。
【0019】
別の有利な構成において、低分子量炭化水素を少なくとも一種の、特に揮発性の酸素含有炭素化合物又は酸素含有ガス状化合物及び水素と共に互いに適当な割合で管球内に入れることができる。前記所定の割合に関しては、その時その時の使用例−例えば構造、所望の耐用期間及び所望の有効電力値に合わせられる。全部合わせた−即ち全ての電球内に入れられた化合物の数に関連した−電球内にある容積単位あたりの水素原子、酸素原子又は炭素原子の数は、その場合好ましくはその時その時に一定の範囲にある。前記原子数に関連した、ガス雰囲気内に入れられた全部合わせた元素酸素の物質量は、好ましくは110−6mol/lと110−5mol/lの間の範囲にあり、ガス雰囲気内に入れられた元素炭素の物質量は410−6mol/lと410−5mol/lの間の範囲にあり、ガス雰囲気内に入れられた元素水素の物質量は810−4mol/lと210−2mol/lの間の範囲にある。
【0020】
その場合、少なくとも一種の酸素含有炭素化合物は、アルコール、アルデヒド、ケトン、モノカルボン酸又はジカルボン酸を有することができる。少なくとも一種の酸素含有化合物は、CO、NO、NO又はNOを有することができる。
【0021】
特別の有効な再帰機能に関して、管球内で遊離酸素に対する過剰の水素を形成することができる。容積単位あたりの原子数に比例する、容積単位あたりの元素水素及び元素酸素の濃度の比は、好ましくは10:1よりも大きくなければならず、特に好ましくは100:1よりも大きくてはいけない。
【0022】
さらに、特に有効な再帰機能に関して酸素の濃縮物は、フィラメントを取巻く雰囲気内で少なくとも50ppmとすることができる。
【0023】
先に挙げた課題は、さらに、請求項13の特徴を有する光源内の化学元素に対する再帰機能の供給方法によって解決される。それによって、上記の方法は、ガス又はガス混合物が、酸素及び/又は酸素含有化合物及び場合によってはさらに低分子量炭化水素と共に濃縮されるように形成される。
【0024】
本発明の方法の利点に関しては、繰り返しの言及のために、前述の光源に関連した説明を参照されたい。
【0025】
本発明の説明及び一層の理解のために、次に本発明の本質的な観点についてさらに説明する。
【0026】
原則的に、本発明は、例えば炭素のための一つ又は複数のハロゲン無しの物質再帰サイクルを可能にする。その場合、本発明の物質再帰サイクルは、酸素含有化合物及び/又は酸素及び場合によってはさらに低分子量炭化水素に基づく。本発明によって発生させることができる再帰機能によって、管球内のフィラメントに例えば炭素を供給することができ、それによって光源の耐用期間を長くすることができる。
【0027】
その場合、ハロゲン化合物を利用しない少なくとも一つの化学的再帰サイクルを供給することができる。或いは少なくとも一つのハロゲン化合物無しの化学的再帰サイクルに、ハロゲン化合物に基づく化学的再帰サイクルを重ねることができる。
【0028】
これは、例えば、少なくとも一種の酸素含有化合物を特定の目的に合わせて付加することによって行うことができる。それによって管球内のハロゲン化合物を減少させるか、或いはそれどころか完全に回避することができる。原則的に本発明は、例えば「化学及び物理のハンドブック」、CRC印刷出版社発行、第80版(“Handbook of Chemistry and Physics”,CRC−Press−Vertrag,80. Auflage)の第12章、207−208頁の耐火性材料の表、及び第4章、37頁以下の無機化合物の物理定数の表に記載されているような、高融点の又は耐火性のフィラメント材料を有する光源又は白熱電球の場合に適用することができる。
【0029】
特に適当な実施例は、炭化タンタル製フィラメントを有する光源によって形成される。管球内にハロゲンの無い炭素再帰サイクルを発生させるために、次の方法を取ることができる。管球内に例えばメタン、エタン等の低分子量炭化水素のほかに水素及び一酸化炭素を入れることができる。これは種々の方法で行うことができる。
【0030】
前記のようなガス混合物は、所望の複数種のガスで合成し、管球内に入れることができる。それに代えて或いはそれに付加して、所望の雰囲気の組成が生じるように光源の使用中に反応する他の適当な化学的化合物を管球内に入れることができる。
【0031】
最後に述べた場合に対しては、例えば低分子量炭化水素を、一種又は複数種の揮発性の酸素含有炭化水素化合物、例えば水、アルコール、アルデヒド、ケトン、モノカルボン酸、ジカルボン酸等と共に、又は一種又は複数種の酸素含有ガス状化合物、例えばCO、NO、NO、NOその他の「笑気誘導体」等及び水素と共に、互いに一定の割合で電球の管球内に入れることができる。電球の使用中に、とりわけ、その他の低分子量炭化水素、シアン化物、NH、CO、HO、Nが形成され、とりわけCOが形成される。
【0032】
好ましい実施例において、メタンが、水素及びアセトン及び希ガスと共に一定の混合割合で乃至は一定の分圧で管球内に入れられる。希ガスの利用は、本発明の理解に対しては全く役目も果たさないので、それに関しては詳述しない。それは電球の使用中にHO、C、わずかの量のCO、とりわけCOを形成する。使用時間が増すにつれて、メタンがますます分解され、COがますます合成される。COの形成によって、酸素は、遊離炭素と結合し、それによって電球の管球が煤けることを抑制する。COとの反応経路を経る反応変化は、COの発生が僅かなため、全く役目を果たさない。
【0033】
存在する解離した元素水素は、とりわけ遊離炭素と反応して、メタンとCを造る。これは、水素が遊離炭素に対してもはや過剰に存在しないときに発生する激しい電球の管球の煤の発生から推察することができる。
【0034】
COもCも、1076.5kJ/mol及び962kJ/molと、上記雰囲気成分の他の可能な熱解離片と比べて二倍高い解離エネルギーを有するので、それは、最も熱い電球の領域−例えば熱い炭化タンタルフィラメント−においてだけ解離し、炭素をフィラメントに放出する。遊離された酸素は、フィラメントから蒸発される遊離炭素と、とりわけ反応し、COを造り、このCOは炭素を再びフィラメントに再帰する。これによってCOサイクルが形成される。
【0035】
遊離酸素のフィラメントのタンタルとの反応は、ひどく減少する水素雰囲気においては、乃至は設定された高度の水素の過剰のために起こらない。熱いフィラメントから光源の管球壁のほうへの高い温度勾配のため、有効な熱拡散が起こり、水素等のより軽い原子又は分子はフィラメントの周りに集中し、一方酸素等のより重い原子又は分子は熱いフィラメントからひたすら去ろうとする。炭化タンタルフィラメントは、酸素が多量に使用されているにもかかわらず、酸素によって腐食されない。その上、ほんの僅かの非常に限定された水の形成とCOの形成が認められるだけである。それは特に遊離酸素によるCO形成の開始を支援する。それに加えて遊離水素と遊離酸素の反応で、又は水の熱分解で例えばCH等のメタン解離片とOHの反応によってもなんらかのCO形成を行うことができる。
【0036】
COに加えてCもフィラメントから蒸発した炭素をフィラメントに再帰する能力を有する。Cも、CHの低い生成エネルギー−338.1kJ/molのため、勿論、フィラメントにおいて完全に炭素と水素に解離する。遊離水素は次に再びフィラメントから蒸発した遊離炭素と結合してCHを造り、次いでさらに反応してメタン又は再びCを造る。後者は次いで再び炭素をフィラメントに再帰する能力を有する。メタンは、それが熱解離して主として水を放出するので、そのCH解離片もCを形成する。C解離による炭素の再帰は、それ故、メタンの解離と共に進行する。これによってC/CHサイクルが形成される。
【0037】
適切な酸素乃至酸素を含有する化合物をメタン−水素雰囲気内に入れる、本発明の方法によって、蒸発した炭素の炭化タンタルフィラメントへの逆再帰のために、電球内にCOサイクル及び場合によってはそのほかにC/CHサイクルを確立することができる。それによって耐火性フィラメントを有する電球の耐用期間は長くなり、ハロゲン化合物又はハロゲンに基づく再帰サイクルを抑制し、又はそれどころか完全に回避することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、簡単な、それ故コストの安い手段で高いエネルギー効率が得られる光源を提供することができる。
【0039】
また、本発明の方法によれば、管球内のガス又はガス混合物に、酸素及び/又は酸素含有化合物及び或いはさらに低分子量炭化水素が豊富に添加することにより発生させることができる再帰機能によって管球内のフィラメントに炭素を供給することが可能となり、それによって光源の耐用期間を長くすることができる。また、本発明の方法によれば、ハロゲン化合物又はハロゲンに基づく再帰サイクルを抑制し又はそれどころか完全に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明を有利な態様で形成し、展開させる種々の可能性を示す。そのために一方において請求項1の後に配列された請求項を参照し、他方において、図面を用いた、下記の本発明の好ましい実施例の説明を参照されたい。図面を用いた本発明の好ましい実施例の説明に関連して、本発明の概して好ましい形成及び展開についても説明する。図面において、図1は本発明の光源の実施例を略側面図で示す。
【0041】
図1は本発明の光源の実施例を略側面図で示す。光源は、加熱可能なフィラメント1を有する。その場合、フィラメント1は管球2内に配置されている。フィラメント1の加熱は電気接点3及び4を経由して行われる。さらに管球2内には、フィラメント1から放出され、フィラメント1上に及び/又はフィラメント1に再び戻る少なくとも一種の化学元素に対する再帰機能の供給に適したガス又はガス混合物が封入されている。簡単な手段による高エネルギー効率を考慮して、ガス又はガス混合物は酸素及び/又は酸素含有化合物の濃縮物を有する。好ましくは酸素は、分子酸素の形態ではなく、NO、NO、CO、CO等の無機化合物、又は例えばアルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸等の有機化合物の酸素を含有する化合物の形態で付加される。酸素を含有する化合物が分解すると、使用中酸素は別の反応のために使われる。容積単位あたりの酸素原子数に相当する元素酸素の物質量は好ましくは少なくとも110−5mol/lであり、特に好ましくは最大限110−4mol/lである。代表的に前記元素酸素の物質量は、70mlの場合、810−7mol及び810−6molである。
【0042】
フィラメント1は本質的に炭化タンタルからなる。酸素を含有する化合物は一酸化炭素を有する。
【実施例1】
【0043】
軟質ガラス製電球管球は70mlの容積を有する。炭化タンタルからなるコイルフィラメントはモリブデン製の給電部に固定されている。発光体温度は3,600Kであり、平均管球温度は約400℃である。この電球の気相の組成は下記の通りである。
3barXe+0.1barH+510−5barC+510−5barCHCOCH
【実施例2】
【0044】
石英ガラス製電球管球は0.5mlの容積を有する。白熱体は炭化タンタルからなり、下方部の口部はタンタル製である。発光体は3,600Kで発光され、平均管球温度は500℃である。この電球用の気相の組成は下記の通りである。
1barXe+0.05barH+110−5barC+510−5barCHCOCH
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、加熱可能なフィラメントを有し、前記フィラメントは、管球内に配置され、前記管球内にガス又はガス混合物が封入され、前記ガス又はガス混合物は、フィラメントから放出され、前記フィラメント上に及び/又は前記フィラメント内に戻る少なくとも一種の化学元素に対する再帰機能の供給に適している光源に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の光源の実施例の略側面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 フィラメント
2 管球
3 電気接点
4 電気接点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱可能なフィラメント(1)を有し、前記フィラメント(1)は管球(2)内に配置され、前記管球(2)内にガス又はガス混合物が封入され、前記ガス又はガス混合物は、前記フィラメント(1)から放出され、前記フィラメント(1)上に及び/又は前記フィラメント(1)内に再び戻る少なくとも一種の化学元素に対する再帰機能の供給に適している光源において、
前記ガス又はガス混合物が、酸素の濃縮物及び/又は酸素含有化合物の濃縮物を有することを特徴とする光源。
【請求項2】
前記フィラメント(1)はが、本質的に炭化金属、特に炭化タンタルからなることを特徴とする請求項1に記載の光源。
【請求項3】
前記酸素含有化合物が、一酸化炭素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光源。
【請求項4】
前記ガスはさらに低分子量炭化水素、特にCを含むことを特徴とする請求項1乃至3の一項に記載の光源。
【請求項5】
前記低分子量炭化水素が、メタン又はエタンを含むことを特徴とする請求項4に記載の光源。
【請求項6】
前記ガス又はガス混合物が、水素の濃縮物を有することを特徴とする請求項1乃至5の一項に記載の光源。
【請求項7】
一種又は複数種の前記濃縮物が、前記光源の使用中又は前記フィラメント(1)の加熱中に、前記管球(2)内で、反応によって複数種の適当な化学元素又は化合物を形成することができることを特徴とする請求項1乃至6の一項に記載の光源。
【請求項8】
前記低分子量炭化水素が、少なくとも一種の、特に揮発性の酸素含有炭素化合物又は酸素含有ガス状化合物及び水素と共に、互いに適当な比で前記管球(2)内に入れられていることを特徴とする請求項1乃至7の一項に記載の光源。
【請求項9】
少なくとも一種の前記酸素含有炭素化合物が、アルコール、アルデヒド、ケトン、モノカルボン酸又はジカルボン酸を有することを特徴とする請求項8に記載の光源。
【請求項10】
少なくとも一種の前記酸素含有化合物が、CO、NO、NO又はNOを有することを特徴とする請求項8又は9に記載の光源。
【請求項11】
前記管球(2)内で遊離酸素に対して過剰の水素が形成されることを特徴とする乃至1乃至10の一項に記載の光源。
【請求項12】
前記酸素の濃縮物は前記フィラメント(1)を取り囲む雰囲気内で少なくとも50ppmであることを特徴とする請求項1乃至11の一項に記載の光源。
【請求項13】
加熱可能なフィラメント(1)を有し、前記フィラメント(1)が管球(2)内に配置され、前記管球(2)内にガス又はガス混合物が封入され、前記ガス又はガス混合物は、前記フィラメント(1)から放出され、前記フィラメント(1)上に及び/又は前記フィラメント(1)内に再び戻る少なくとも一種の化学元素に対する再帰機能の供給に適している光源、特に請求項1乃至12に記載の光源内の化学元素に対する再帰機能の供給方法において、
前記ガス又はガス混合物を酸素及び/又は酸素含有化合物と共に濃縮することを特徴とする光源内の化学元素に対する再帰機能の供給方法。

【公表番号】特表2007−501505(P2007−501505A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529605(P2006−529605)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001066
【国際公開番号】WO2004/107391
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(502059179)アイピーツーエイチ アーゲー (5)
【氏名又は名称原語表記】IP2H AG
【住所又は居所原語表記】Hofweg 11,3013,Bern, Switzerland