説明

光源用ランプ

【課題】半流動性の伝熱剤による放熱効果を得ることが可能でありながら、光源用ランプを新しいものと交換するときのユーザーの負担を軽減することが可能な光源用ランプを提供する。
【解決手段】電源に接続する陽極側導電部材27aに接触可能な陽極側導通部材42と、電源に接続する陰極側導電部材28aに接触可能な陰極側導通部材48と、発光部41、47と、陽極側導通部材と陰極側導通部材の表面に塗布した半流動性の伝熱剤50と、伝熱剤の表面を着脱可能に覆う接触部被覆部52、及び、接触部被覆部に突設した、陽極側導通部材と陰極側導通部材に接触する複数の接触突部53を有する保護部材50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源用ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は一般的に、操作部と、操作部から延びかつ先端部に照明レンズ、対物レンズ、及び、撮像素子等を備える挿入部と、操作部から挿入部と反対側に向かって延び、その端部にコネクタを備えるユニバーサルチューブと、内部の全長に渡って配設した導光ファイバと、を具備している。
一方、内視鏡用光源装置は一般的に、金属板等によって形成した筐体と、筐体の内部に設けたランプと、を具備しており、筐体の側面にはコネクタ挿入部が形成してある。筐体の内部には、電源と電気的に接続しかつ導電性及び熱伝導性が良好な材料によって構成した陽極側導電部材と陰極側導電部材が固定してあり、陽極側導電部材と陰極側導電部材の対向面には互いに同軸をなす陽極側支持孔と陰極側支持孔がそれぞれ形成してある。ランプは、略円筒形状をなす本体部(ケース)と、本体部内に設けた発光部と、本体部の外周面に設けた共に金属製の陽極側導通部材及び陰極側導通部材と、を備えている。ランプは、陽極側導通部材と陰極側導通部材を陽極側支持孔と陰極側支持孔にそれぞれ嵌合することにより、陽極側導電部材と陰極側導電部材に支持させてある。筐体に設けたスイッチをON操作すると、電源から流れた電流が陽極側導電部材(陽極側支持孔)と陰極側導電部材(陰極側支持孔)を介して陽極側導通部材と陰極側導通部材に流れ発光部が発光する。
【0003】
従って、内視鏡のコネクタを内視鏡用光源装置のコネクタ挿入部に接続した上で上記スイッチをON操作すると、光源で発生した光が筐体内において導光ファイバの端面に供給され、導光ファイバを通った光が内視鏡の挿入部の先端部に設けた照明レンズから外部に照射される。
【0004】
また陽極側導通部材及び陰極側導通部材の表面には半流動性の伝熱剤(例えばグリース)が塗布してあり、陽極側導通部材と陰極側導通部材を陽極側支持孔と陰極側支持孔に嵌合すると伝熱剤が陽極側支持孔と陰極側支持孔の表面に接触する。そのためランプが発光すると、ランプで発生した熱が陽極側導通部材及び陰極側導通部材から伝熱剤を介して陽極側支持孔と陰極側支持孔に伝わり、陽極側導電部材及び陰極側導電部材の表面から外部に効率よく放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3158873号公報
【特許文献2】特許第3183145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
故障したランプを新しいランプと交換するときは、ユーザーが新しいランプの陽極側導通部材及び陰極側導通部材の表面に半流動性の伝熱剤を塗布し、その上で新しいランプの陽極側導通部材と陰極側導通部材を陽極側支持孔と陰極側支持孔にそれぞれ嵌合しなければならない。
しかし陽極側導通部材及び陰極側導通部材の表面に半流動性の伝熱剤を塗布する作業は面倒であるため、ランプを交換する際にユーザーがランプへの伝熱剤の塗布作業を省略してしまうおそれがある。仮にランプへの伝熱剤の塗布作業を省略してしまうと、ランプから陽極側導電部材及び陰極側導電部材に熱が伝わり難くなるため、ランプが許容温度以上に高温化し、ランプの寿命が短くなってしまう。
【0007】
本発明は、半流動性の伝熱剤による放熱効果を得ることが可能でありながら、光源用ランプを新しいものと交換するときのユーザーの負担を軽減することが可能な光源用ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光源用ランプは、電源に接続する陽極側導電部材に接触可能な陽極側導通部材と、上記電源に接続する陰極側導電部材に接触可能な陰極側導通部材と、上記陽極側導通部材と陰極側導通部材の間に電流が流れたときに発光する発光部と、上記陽極側導通部材と陰極側導通部材の表面に塗布した半流動性の伝熱剤と、上記伝熱剤の表面を着脱可能に覆う接触部被覆部、及び、該接触部被覆部に突設した、該接触部被覆部を上記伝熱剤の表面に被せたときに上記陽極側導通部材と陰極側導通部材に接触する複数の接触突部を有する保護部材と、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記陽極側導通部材と陰極側導通部材が環状形状であり、上記接触部被覆部が、環状形状をなしながら上記伝熱剤の表面に被さってもよい。
さらに、上記接触突部が、環状をなす上記接触部被覆部の軸線方向に延びる突条であってもよい。
【0010】
上記接触部被覆部が常に環状形状を維持するものであってもよい。
この場合は、上記保護部材が、上記接触部被覆部の一方の開口面を塞ぐ端部閉塞部を備えてもよい。
【0011】
また、上記接触部被覆部が可撓性を有する帯状であり、両端を接触させることにより環状形状となるものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、新しい(未使用)の光源用ランプの陽極側導通部材と陰極側導通部材の表面には半流動性の伝熱剤が塗布してあり、さらに伝熱剤の表面に保護部材(接触部被覆部)が被せてある。従って、古いランプを新しいランプに交換するとき、ユーザーがランプの陽極側導通部材と陰極側導通部材を陽極側支持孔と陰極側支持孔に嵌合する前に行う作業は、保護部材を陽極側導通部材と陰極側導通部材から取り外す作業のみであり、伝熱剤を陽極側導通部材と陰極側導通部材に塗布する必要がない。そのため、陽極側導通部材と陰極側導通部材に伝熱剤が塗布されていない状態で新しいランプが陽極側導電部材及び陰極側導電部材に取り付けられ、その結果、ランプが許容温度以上に高温化してランプの寿命が短くなるおそれはない。
さらに保護部材を伝熱剤の表面に被せると、接触突部が陽極側導通部材と陰極側導通部材に接触するため、接触部被覆部は陽極側導通部材と陰極側導通部材から離間した状態に保持される。そのため仮に接触部被覆部の表面に(それ程大きくない)外力が掛かっても、陽極側導通部材及び陰極側導通部材と接触部被覆部との間で伝熱剤が押しつぶされて、伝熱剤が保護部材の外側に流出することはない。そのため未使用状態の光源用ランプから伝熱剤が保護部材の外側に流出するおそれは小さい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態の全体構造を示す外観図である。
【図2】プロセッサの一部を破断して示す側面図である。
【図3】ランプの中央縦断側面図である。
【図4】図3のIV−IV矢線に沿う断面図である。
【図5】保護部材を切断した上で展開した場合の内周面側の図である。
【図6】保護部材を切断した上で展開した場合の正面図である。
【図7】図2のVII−VII矢線に沿うハウジング及びランプを省略した拡大断面図である。
【図8】本発明の変形例の図3と同様の断面図である。
【図9】同じく図4と同様の断面図である。
【図10】本発明の別の変形例の図3と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図7を参照しながら説明する。
図1に示す電子内視鏡(内視鏡)10は、操作部11と可撓性を有する挿入部12を有し、挿入部12の先端部には、操作部11に設けた湾曲操作装置13の操作に応じて上下及び左右方向に湾曲する湾曲部12aが設けてある。湾曲部12aの先端面には、図示しない観察窓(対物窓)と照明光学系が設けてある。
操作部11からはユニバーサルチューブ14が挿入部12と反対側に延びており、このユニバーサルチューブ14の先端に設けたコネクタ部14aには、ライトキャリングバンドルスリーブ14bが突設してある。さらに、ライトキャリングバンドルスリーブ14b、コネクタ部14a、ユニバーサルチューブ14、操作部11及び挿入部12の内部には導光ファイバ15が配設してあり、導光ファイバ15の先端に形成した出射端面が、挿入部12の先端部内において上記照明光学系に接続している。
【0015】
内視鏡用光源装置20は図1及び図2に示すように、金属製の筐体21を具備しており、筐体21の前面21aにはコネクタ部14aのライトキャリングバンドルスリーブ14bを差し込むための差込口22が設けてある。筐体21の底板21bの上面には、差込口22の直後に位置する起立部材23が設けてあり、起立部材23の差込口22と対向する位置には支持用孔23aが穿設してある。
さらに、筐体21の底板21bの上面にはハウジング25が固定してある。ハウジング25には、ハウジング25を左右方向(図1、図2において紙面に対して直交する方向)に貫通する収容部26が形成してある。またハウジング25の前壁25aには円形の採光孔25bが貫通孔として穿設してある(図2参照)。
【0016】
収容部26には、前後一対のヒートシンク27、28が前後方向に間隔を開けて設けてある。ヒートシンク27とヒートシンク28は、共に金属等の熱伝導性及び導電性が良好な材料から成形したものである。ヒートシンク27は左右に並ぶ第1ブロック27a(陰極側導電部材。図7は図2のVII−VII矢線に沿う断面図であるが、ヒートシンク27とヒートシンク28の形状は同じなので、図7にヒートシンク27の各部の符号を括弧付きで示している)と第2ブロック27bを具備しており、ヒートシンク28は左右に並ぶ第1ブロック28a(陽極側導電部材)と第2ブロック28bを具備している。第1ブロック27a、28aはハウジング25に対して固定してあり、第1ブロック27a、28aの上部には左右方向に延びる雌ねじ孔27a1、28a1が形成してある。第2ブロック27b、28bはハウジング25(収容部26)の底面上を左右方向にスライド自在であり、第2ブロック27b、28bの上部には左右方向に延びる貫通孔27b1、28b1が形成してある。互いに同軸をなす第1ブロック27aの雌ねじ孔27a1と第2ブロック27bの貫通孔27b1、及び、第1ブロック28aの雌ねじ孔28a1と第2ブロック28bの貫通孔28b1には、それぞれ調整用ボルト29が挿入してある。各調整用ボルト29は、第1ブロック27aの雌ねじ孔27a1と第1ブロック28aの雌ねじ孔28a1に螺合する雄ねじ部29aと、端部に固定した雄ねじ部29aより大径の摘み部29bとを具備している。第1ブロック27aと第2ブロック27bの前部には水平な板状の放熱用フィン27cが上下に並べて形成してあり、第1ブロック28aと第2ブロック28bの後部には水平な板状の放熱用フィン28cが上下に並べて形成してある。第1ブロック27aと第2ブロック27bの対向部(ヒートシンク27の左右方向の中央部)には第1ブロック27aと第2ブロック27bの対向面が接触したときに全体として断面円形(前後方向に見たときに円形)をなす陰極用支持分割孔27d、27eがそれぞれ貫通孔として形成してある。第1ブロック28aと第2ブロック28bの対向部(ヒートシンク28の左右方向の中央部)には第1ブロック28aと第2ブロック28bの対向面が接触したときに全体として断面円形(前後方向に見たときに円形)をなす陽極用支持分割孔28d、28eがそれぞれ貫通孔として形成してある。第1ブロック27aと第2ブロック27bの対向面が接触し、かつ、第1ブロック28aと第2ブロック28bの対向面が接触したとき、陰極用支持分割孔27d、27eと陽極用支持分割孔28d、28eは互いに同軸をなし、かつ採光孔25bと同軸をなす。さらに第1ブロック28aは図示を省略した電源の陽極と接続しており、第1ブロック27aは該電源の陰極と接続している。
【0017】
図2に示すように筐体21の底板21bの上面には、起立部材23とハウジング25の間に位置するレンズホルダ30が固定してある。レンズホルダ30にはレンズ支持用孔30aが貫通孔として形成してあり、レンズ支持用孔30aには2枚の集光レンズL1、L2が前後に並べて嵌合固定してある。両集光レンズL1、L2の光軸は、採光孔25b、支持用孔23a、及び、差込口22の各中心を結ぶ直線上に位置している。
【0018】
ヒートシンク27及びヒートシンク28に対して着脱可能なランプ35は図2〜図4に示す構造である。図2はランプ35をヒートシンク27及びヒートシンク28に対して取り付けた状態を示しており、図3、図4は未使用状態(ヒートシンク27及びヒートシンク28に取り付ける前の状態)を示している。まずは図3、図4を用いて未使用状態のランプ35について説明する。
略円筒形状をなす本体部36はアルミナ等の絶縁材料によって構成したものである。本体部36の前面には曲面(断面形状が放物線や楕円形をなす曲面)からなる反射面37が形成(凹設)してあり、本体部36の中心部には前後方向に延びる中央貫通孔38が形成してある。本体部36の後面には金属(導電性材料)からなる導電部材39が固定してある。導電部材39の中心部には中央貫通孔38と同軸をなす陽極支持孔40が貫通孔として形成してあり、陽極支持孔40には陽極41(発光部)の後部が嵌合固定してある。陽極41はタングステン製の円柱部材であり、その前部は中央貫通孔38を貫通して反射面37側に突出している。さらに導電部材39の前部の外周面には金属(導電性材料)からなるリング状(断面円形)の陽極側導通部材42の内周面の後部が固定してあり、陽極側導通部材42の内周面の前部は本体部36の外周面の後端部に固定してある。本体部36の前端面にはセラミックリング44が固定してあり、セラミックリング44の前面には銅製リング(図示略)を介してコバール(導電性材料)からなる給電リング45が固定してある。給電リング45の内周面には、耐熱性及び導電性を有する素材(例えばモリブデン)からなる陰極支持部材46の一端部(基端部)が固定してある。陰極支持部材46の他端部(先端部)には前後方向に延びる円柱形状の陰極47(発光部)の前端近傍部が固定してある。陰極47はタングステン製であり、陽極41と同軸をなしている。給電リング45の外周面には金属(導電性材料)からなり、かつ陽極側導通部材42と略同径のリング状(断面円形)をなす陰極側導通部材48の内周面の前部が固定してあり、陰極側導通部材48の内周面の後部は本体部36の外周面の前端部に固定してある。さらに給電リング45の内側には環状のホルダを介して透光性材料(例えばガラス)からなる円形のカバーガラス49が固定してある。
陽極側導通部材42及び陰極側導通部材48の外周面全体には伝熱剤50が塗布してある。伝熱剤50は高い伝熱性を有する半流動性材料、例えばグリース(例えば、「Walkefield社製 サーマルコンパウンド P/N120」や「サンハヤト株式会社製 放熱用シリコーン HG SCH-G35」等を利用可能)からなるものである。伝熱剤50は外力を与えないとき一定の形状を維持する一方で、ある程度の大きさの外力を与えると変形(流動)するものである。
【0019】
さらに未使用状態のランプ35の陽極側導通部材42(伝熱剤50)の表面と陰極側導通部材48(伝熱剤50)の表面には、樹脂等の可撓性材料(例えば、ポリプロピレンや硬めのシリコンなど)によって一体成形した保護部材51がそれぞれ被せてある。保護部材51は、陽極側導通部材42及び陰極側導通部材48より僅かに大径かつ薄肉(例えば0.5mm程度)の環状体である接触部被覆部52と、接触部被覆部52の内周面に突設した複数の接触突条53(接触突部)(突条)と、を一体的に具備している。接触突条53は、接触部被覆部52の周方向に一定間隔で並べて設けてある。各接触突条53は前後方向(接触部被覆部52の幅方向。保護部材51の中心軸(軸線)方向)に延びる三角柱形状であり、その両端は接触部被覆部52の前後両縁部にまで達している。
保護部材51を陽極側導通部材42(伝熱剤50)の表面と陰極側導通部材48(伝熱剤50)の表面に装着すると、図4に示すように各接触突条53の先端部が陰極側導通部材48(陽極側導通部材42)の外周面に接触するので、伝熱剤50には各接触突条53に対応する形状及び数の前後方向に延びる溝が形成される。
【0020】
未使用のランプ35をヒートシンク27及びヒートシンク28に対して取り付けるには、まず摘み部29bを回転させて調整用ボルト29を左側に移動させて、第2ブロック27b、28bを第1ブロック27a、28aに対して各調整用ボルト29に沿ってスライド可能な状態にしておく。
そして未使用のランプ35から前後の保護部材51を取り外す。前側の保護部材51は陰極側導通部材48に対して前方にスライドさせることにより陰極側導通部材48から取り外す。このようにすれば、前側の保護部材51の各接触突条53が伝熱剤50に形成された上記各溝(前後方向に延びる三角柱形状の溝)に沿って円滑にスライドするので、前側の保護部材51を陰極側導通部材48から簡単に取り外すことができる。同様に後側の保護部材51は陽極側導通部材42に対して後方にスライドさせることにより、陽極側導通部材42から取り外す。
次いで前後の保護部材51を取り外したランプ35を、採光孔25bを通して後方に移動させる。そして陰極側導通部材48を陰極用支持分割孔27dと陰極用支持分割孔27eによって形成された空間内に位置させ、陽極側導通部材42を陽極用支持分割孔28dと陽極用支持分割孔28eによって形成された空間内に位置させる。このとき陰極用支持分割孔27dと陰極用支持分割孔27eは陰極側導通部材48(伝熱剤50)から(陰極側導通部材48の外周方向に)離間しており、陽極用支持分割孔28dと陽極用支持分割孔28eは陽極側導通部材42(伝熱剤50)から(陽極側導通部材42の外周方向に)離間しているが、摘み部29bを上記の回転方向とは逆方向に回転させることにより調整用ボルト29を右側にスライドさせると、前後の調整用ボルト29の摘み部29bによって押圧された第2ブロック27b、28bが第1ブロック27a、28a側にスライドする。すると所定の位置までスライドしたときに、陰極用支持分割孔27dと陰極用支持分割孔27eが陰極側導通部材48に接触し、陽極用支持分割孔28dと陽極用支持分割孔28eが陽極側導通部材42に接触するので、摘み部29b(調整用ボルト29)をその位置で固定する(調整用ボルト29の回転操作を停止する)。陰極側導通部材48の外周面の断面形状は完全な真円ではなく、陰極用支持分割孔27dと陰極用支持分割孔27eによって構成される孔の断面形状も完全な真円ではないので、このとき陰極側導通部材48の外周面の一部のみが陰極用支持分割孔27dと陰極用支持分割孔27eに接触する。一方、陰極側導通部材48の外周面の残りの部分は陰極用支持分割孔27dと陰極用支持分割孔27eから離間し、当該部分に位置する伝熱剤50が陰極用支持分割孔27d及び陰極用支持分割孔27eの内周面に接触する。同様に、陽極側導通部材42の外周面の断面形状は完全な真円ではなく、陽極用支持分割孔28dと陽極用支持分割孔28eによって構成される孔の断面形状も完全な真円ではないので、陽極側導通部材42の外周面の一部のみが陽極用支持分割孔28dと陽極用支持分割孔28eに接触する。一方、陽極側導通部材42の外周面の残りの部分は陽極用支持分割孔28dと陽極用支持分割孔28eから離間し、当該部分に位置する伝熱剤50が陽極用支持分割孔28d及び陽極用支持分割孔28eの内周面に接触する。
【0021】
次に、以上構成の内視鏡システムの動作について説明する。
筐体21の外面に設けたスイッチSW(図2参照)がOFFの状態で、内視鏡用光源装置20の差込口22と支持用孔23aにライトキャリングバンドルスリーブ14bを差し込むと、ライトキャリングバンドルスリーブ14bの内部に配設した導光ファイバ15の入射端面15aが、集光レンズL1、L2及び採光孔25bを通してランプ35(カバーガラス49)と前後方向に対向する。この状態でスイッチSWをONにすると、上記電源で生じた電力が第1ブロック27aと第1ブロック28aの間で流れる。即ち、上記電源の陽極から第1ブロック28aに電流が流れ、この電流は陽極用支持分割孔28d、陽極側導通部材42、導電部材39、陽極41、陰極47、陰極支持部材46、給電リング45、陰極側導通部材48、陰極用支持分割孔27d(第1ブロック27a)を通って電源の陰極に流れる。そしてこの際に陽極41の前端部と陰極47の後端部の間に図示を省略した光(アーク)が発生し、この光が反射面37によって反射される。反射された光は、陽極41及び陰極47と平行な平行光としてカバーガラス49を通ってランプ35の前方に照射され、採光孔25b、集光レンズL1、集光レンズL2を通って差込口22側に向かう。導光ファイバ15に供給された光は導光ファイバ15の出射端面から上記照明光学系に供給され、照明光学系を通して挿入部12の先端部の外側に出射される。
電子内視鏡10による内視鏡術を行っている間(挿入部12を体腔等に挿入している間)はスイッチSWのON状態を維持して、照明光学系から光を出射させておく。電子内視鏡10による内視鏡術が終了したら(挿入部12を体腔内等から完全に引き抜いたら)スイッチSWをOFF状態に戻す。すると上記電源からランプ35への電力の供給が遮断されるので、ランプ35は消灯する。
【0022】
このように本実施形態によれば、未使用状態のランプ35をヒートシンク27、28に取り付けるときに、ユーザーがランプ35をヒートシンク27、28に取り付ける前に行う作業は、保護部材51を陽極側導通部材42と陰極側導通部材48から取り外す作業のみであり、伝熱剤を陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に塗布する必要がない。そのため、例えば古い(壊れた)ランプ35を新しいランプ35と交換するときに、陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に伝熱剤が塗布されていないランプ35をヒートシンク27とヒートシンク28に取り付けてしまうことがない。そのため交換した新しいランプ35が許容温度以上に高温化して、当該ランプ35の寿命が短くなるおそれがない。
さらに保護部材51を伝熱剤50の表面に被せると、複数の接触突条53が陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に接触するため、接触部被覆部52は陽極側導通部材42と陰極側導通部材48から離間した状態に保持される。そのため仮に接触部被覆部52の表面に(それ程大きくない)外力が掛かっても、陽極側導通部材42及び陰極側導通部材48と接触部被覆部52との間で伝熱剤50が押しつぶされることはない。そのため未使用状態のランプ35から伝熱剤50が保護部材51の外側に流出するおそれは小さい。
【0023】
以上、上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は様々な変更を施しながら実施可能である。
図8及び図9に示す変形例の保護部材55、56は保護部材51と同じ材質の一体成形品であり、接触部被覆部52より前後長が長い接触部被覆部57の内周面に接触部被覆部57より前後長が短い複数の接触突条53を一体的に突設し、かつ接触部被覆部57の一方の端面を正面視円形の端部閉塞部58で塞いでいる。保護部材55、56をランプ35の前後両端部に被せると、各保護部材55、56の接触突条53が陽極側導通部材42と陰極側導通部材48の外周面に接触する。さらに各端部閉塞部58がランプ35の前端面(カバーガラス49)と後端面をそれぞれ覆うので、未使用状態のランプ35の前後両端面を端部閉塞部58によって保護できる。
【0024】
図10は別の変形例である。この保護部材59は保護部材51と同じ材質の一体成形品であり、帯状の接触部被覆部60(前後幅は保護部材51と同じ)と、保護部材59の内面に突設した複数の接触突条53と、を具備している。保護部材59は、接触部被覆部60の端面61、62どうしを互いに接触させることにより、接触部被覆部60を環状形状にしながら陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に被せてある。また各接触突条53を陽極側導通部材42と陰極側導通部材48の外周面に接触させてある。接触部被覆部60を陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に被せると、伝熱剤50の粘性(粘着性)によって接触部被覆部60は環状状態に保持される。
このランプ35を使用するときは、端面61、62どうしを離間させながら接触部被覆部60を展開して保護部材59を陽極側導通部材42、陰極側導通部材48から取り外すか、接触部被覆部60の環状状態を保持したまま保護部材59を陽極側導通部材42、陰極側導通部材48に対して前後方向にスライドさせて陽極側導通部材42、陰極側導通部材48から取り外す。
この変形例の保護部材59は、ランプ35から取り外して展開することにより直線状態にすることができるので、複数の保護部材59を重ねて保管するときに、保護部材51、55、56に比べて保管用のスペースを小さくできるメリットがある。
なお接触部被覆部60を陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に被せた後に、テープ等の固定手段によって保護部材59の端面61、62を互いに固定してもよい。
【0025】
また接触部被覆部52、57を完全な環状形状とせずに、一部を切り欠いた環状形状(例えば、保護部材51、55、56の中心軸を中心とする中心角が340°以上で360°未満の円弧形状)としてもよい。同様に保護部材59を、陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に装着したときに端面61、62どうしが僅かに離間する環状形状(例えば、陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に装着したときに保護部材59の中心軸を中心とする中心角が340°以上で360°未満の円弧形状)としてもよい。
さらに保護部材59(接触部被覆部60)を長くすることにより、陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に装着したときに接触部被覆部60の両端部どうしが互いに重なるようにしてもよい。
また、保護部材51の接触部被覆部52を伸縮性(弾性)を有する材料により形成し、かつ接触部被覆部52が自由状態にあるときの内径を陽極側導通部材42及び陰極側導通部材48より僅かに小さくしてもよい。このように構成した保護部材51は、接触部被覆部52を拡径方向に僅かに弾性変形させた状態で陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に装着でき、陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に装着すると接触部被覆部52が自由状態に戻ろうとする弾性力を発生するので、この弾性力によって各接触突条53が陽極側導通部材42と陰極側導通部材48に確実に接触する。
またランプ35を内視鏡用光源装置20とは用途及び構成が異なる光源用ランプ(例えば、内視鏡とは異なる医療機器用の光源用ランプ、プロジェクター用の光源用ランプなど)として利用することも可能である。
【符号の説明】
【0026】
10 電子内視鏡(内視鏡)
11 操作部
12 挿入部
12a 湾曲部
13 湾曲操作装置
14 ユニバーサルチューブ
14a コネクタ部
14b ライトキャリングバンドルスリーブ
15 導光ファイバ
15a 入射端面
20 内視鏡用光源装置
21 筐体
22 差込口
23 起立部材
23a 支持用孔
25 ハウジング
25a 前壁
25b 採光孔
26 収容部
27 ヒートシンク
27a 第1ブロック(陰極側導電部材)
27a1 雌ねじ孔
27b 第2ブロック
27b1 貫通孔
27c 放熱用フィン
27d 27e 陰極用支持分割孔
28 ヒートシンク
28a 第1ブロック(陽極側導電部材)
28a1 雌ねじ孔
28b 第2ブロック
28b1 貫通孔
28c 放熱用フィン
28d 28e 陽極用支持分割孔
29 調整用ボルト
29a 雄ねじ部
29b 摘み部
30 レンズホルダ
30a レンズ支持用孔
35 ランプ
36 本体部
37 反射面
38 中央貫通孔
39 導電部材
40 陽極支持孔
41 陽極(発光部)
42 陽極側導通部材
44 セラミックリング
45 給電リング
46 陰極支持部材
47 陰極(発光部)
48 陰極側導通部材
49 カバーガラス
50 伝熱剤
51 保護部材
52 接触部被覆部
53 接触突条(接触突部)(突条)
55 56 保護部材
57 接触部被覆部
58 端部閉塞部
59 保護部材
60 接触部被覆部
61 62 端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続する陽極側導電部材に接触可能な陽極側導通部材と、
上記電源に接続する陰極側導電部材に接触可能な陰極側導通部材と、
上記陽極側導通部材と陰極側導通部材の間に電流が流れたときに発光する発光部と、
上記陽極側導通部材と陰極側導通部材の表面に塗布した半流動性の伝熱剤と、
上記伝熱剤の表面を着脱可能に覆う接触部被覆部、及び、該接触部被覆部に突設した、該接触部被覆部を上記伝熱剤の表面に被せたときに上記陽極側導通部材と陰極側導通部材に接触する複数の接触突部を有する保護部材と、
を備えることを特徴とする光源用ランプ。
【請求項2】
請求項1記載の光源用ランプにおいて、
上記陽極側導通部材と陰極側導通部材が環状形状であり、
上記接触部被覆部が、環状形状をなしながら上記伝熱剤の表面に被さる光源用ランプ。
【請求項3】
請求項2記載の光源用ランプにおいて、
上記接触突部が、環状をなす上記接触部被覆部の軸線方向に延びる突条である光源用ランプ。
【請求項4】
請求項2または3記載の光源用ランプにおいて、
上記接触部被覆部が常に環状形状を維持する光源用ランプ。
【請求項5】
請求項4記載の光源用ランプにおいて、
上記保護部材が、上記接触部被覆部の一方の開口面を塞ぐ端部閉塞部を備える光源用ランプ。
【請求項6】
請求項2または3記載の光源用ランプにおいて、
上記接触部被覆部が可撓性を有する帯状であり、
両端を接触させることにより環状形状となる光源用ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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