説明

光源装置とこれを有する顕微鏡装置

【課題】顕微鏡装置から離れた場所より光源光が照射されているか否かを視認可能な光源装置とこれを有する顕微鏡装置を提供すること。
【解決手段】複数の光源2,3,4と、前記複数の光源から射出される光をON/OFFするON/OFF手段11、12、13と、前記複数の光源の個数に対応する点灯部41,42,43とを有し、前記複数の光源の内、選択された光源の光を前記ON/OFF手段がONにした時、前記ON信号に連動して前記選択された光源に対応する前記点灯部を点灯させる点灯制御手段40を有する光源装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源を有する光源装置とこれを有する顕微鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ顕微鏡装置では、複数のレーザ光源からの光を一つの光路にまとめ、この光路中に配設された参照用ミラーによりレーザ光の一部を分離してレーザ光の光強度を光検出器で検出し、光強度を操作画面に表示することでレーザ光の射出状態を確認することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−174332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のレーザ顕微鏡観察では、観察者は初期のレーザ光量や画像取得する範囲等の条件設定時は操作画面を見ながらおこなうが、細胞の形態変化を画像取得する場合には30分から2時間以上の長時間の観察をレーザ顕微鏡装置が自動的に行なうため、観察者はレーザ顕微鏡装置から離れて別の作業をおこなっている場合が多く、画像取得中に操作画面を見ていることは少ない。このため、観察者は画像取得中に装置が正しく動作し、所定のレーザ光が標本に照射されているか否かを確認する必要があり、レーザ顕微鏡装置から離れた場所で別の作業をおこなっている場合には作業を中断し、レーザ顕微鏡装置の操作画面の前まで行き、標本に照射しているレーザ光の光強度を見て確認する必要があり、観察者にとってレーザ光の確認を行うことに手間がかかると言う問題がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みておこなわれたものであり、顕微鏡装置から離れた場所より光源光が照射されているか否かを視認可能な光源装置とこれを有する顕微鏡装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の光源と、前記複数の光源から射出される光をON/OFFするON/OFF手段と、前記複数の光源の個数に対応する点灯部とを有し、前記複数の光源の内、選択された光源の光を前記ON/OFF手段がONにした時、前記ON信号に連動して前記選択された光源に対応する前記点灯部を点灯させる点灯制御手段を有することを特徴とする光源装置を提供する。
【0006】
また、本発明は、前記光源装置を有することを特徴とする顕微鏡装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、顕微鏡装置から離れた場所より光源光が照射されているか否かを視認可能な光源装置とこれを有する顕微鏡装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態に関し図面を参照しつつ説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1実施の形態にかかる光源装置とこれを有する顕微鏡装置の概略構成図を示す。
【0010】
図1において、レーザユニット1にはArレーザ2、G−HeNeレーザ3、R−HeNeレーザ4の三本のレーザ光源が配設されている。各レーザ光源2、3、4の出射端の近傍にはそれぞれシャッタ11、12、13が配置され後述する顕微鏡制御装置51からの制御信号に基き、それぞれのレーザ光源2、3、4からのレーザ光を遮断あるいは射出することができる。各レーザ光源2、3、4からの光は、ダイクロイックミラー15、16、17を介して同一の光路Iに合成される。
【0011】
合成された光路Iには音響光学素子21(以後、AOTFと記す)が配設され、シャッタ11から13のうちで開放されたレーザ光源の波長に対応して音響光学素子ドライバ22(以後、AOTFドライバと記す)が駆動され、対応する波長のレーザ光の光強度が調節される。
【0012】
AOTF21を透過した1次回折レーザ光は、参照用ミラー23で光路Iから一部のレーザ光が分岐されて、光検出器24に入射する。参照用ミラー23を透過したレーザ光はファイバーカップリング25を経て光ファイバ26に入射される。
【0013】
スキャンユニット30は、レーザユニット1と連結された光ファイバ26によりファイバーカップリング31を介して連結され、光ファイバー26を通過したレーザ光はコリメータレンズ32、ダイクロイックミラー33、XYスキャナ34、対物レンズ35を経て標本36を照射する。標本36からの光は対物レンズ35、XYスキャナ34、ダイクロイックミラー33を透過して集光レンズ37で集光され、ピンホール38を経て撮像素子39で検出される。
【0014】
AOTF21はAOTFドライバ22に加える周波数と電圧を制御することで複数の波長をもつレーザ光源からの特定の波長のレーザ光を選択し、選択された波長のレーザ光の強度を制御することができる。AOTF21に入射したレーザ光は、AOTF21でO次光と1次光に分かれ、1次光の光量を変化させ、ファイバーカップリング25を介して光ファイバ26に入射しスキャンユニット30ヘ1次光を導入し標本36を照明する。O次光は遮光板でカットし、スキャンユニット30や光検出器24に入射しないように構成されている。なお、光量調整には、AOTF21に変えてNDフィルタ等を使用することも可能である。
【0015】
また、顕微鏡制御装置51はスキャンユニット30のXYスキャナ34のスキャン制御や撮像素子39の電圧制御をおこない、スキャンユニット30の撮像素子39から得られた信号から画像生成をおこないモニター52に表示する。またレーザユニット1に対してシャッタ11、12、13のON/OFF制御、AOTFドライバ22の制御や光検出器24で検出されたレーザ光の強度をモニター52に表示する機能を有する。
【0016】
また、レーザユニット1の装置前面にはレーザユニット1に搭載可能な光源の数に対応する数のLED41、42、43が設置され、点灯制御部40で点灯制御される。
【0017】
点灯制御部40には、顕微鏡制御装置51からのシャッタ11、12、13の制御信号が接続され、さらにシャッタ11,12、13に向けて開放あるいは遮断するための制御信号が接続されている。点灯制御部40では顕微鏡制御装置51からのシャッタ11、12、13のいずれかを開放する信号が検出され、開放する旨の信号を受けたシャッタを開放すると共に、これに対応するLEDを点灯する。例えば、顕微鏡制御装置51からArレーザ2のシャッタ11を開放する旨の指令が点灯制御部40を介してシャッタ11に指令されると、シャッタ11が開放されると共に、Arレーザ2が射出していることを示すLED41が点灯する。同様に、G−HeNeレーザ3の場合はシャッタ12が開放しLED42が、R−HeNeレーザ4の場合はシャッタ13が開放してLED43がそれぞれ点灯する。
【0018】
このように、本発明の第1実施の形態にかかるレーザユニット1とこれを有するスキャニングユニット30では、観察者は標本観察中に使用するレーザ光が正しく選択されて標本に照射されているかをレーザユニット1前面にあるLED41、42、43の点灯状態により知ることができる。特に長時間のタイムラプス観察中においても操作画面(モニター52)で光量モニター値(光検出器24による)を確認する手間が省け、遠隔から目視にてレーザ光が照射されているかを知ることができる。なおLED41,42,43はレーザユニット1の前面以外にもスキャンユニット30にも設置することで同等の機能が得られる。
【0019】
(第2実施の形態)
図2は、本発明の第2実施の形態にかかる光源装置とこれを有する顕微鏡装置の概略構成図である。第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し説明を省略する。本第2実施の形態は、第1実施の形態に比べレーザ光が射出しているか否かの確認をより確実にしたことが特徴である。
【0020】
図2において、点灯制御部140は、シャッタ11、12、13の制御信号と光検出器24からの検出信号との両方の信号を用いて、LED41、42、43を点灯制御するように構成されている。例えば、顕微鏡制御装置51からArレーザ2のシャッタ11を開放する旨の指令が点灯制御部140を介してシャッタ11に指令されると、シャッタ11が開放されると共に、光検出器24が一定値以上の光量を検出した旨の信号を点灯制御部140に伝達し、点灯制御部140は両方の信号が入力された時にArレーザ2が射出していることを示すLED41を点灯する。同様に、G−HeNeレーザ3の場合はシャッタ12と光検出器24の信号でLED42が、R−HeNeレーザ4の場合はシャッタ13と光検出器24の信号でLED43がそれぞれ点灯する。
【0021】
また、レーザ光の強度調節にAOTF21を用いているため、光検出器24にはAOTF21を通過した際に発生するフレアが入射し、僅かながら光強度を生じる。レーザ光の射出状態を確実にするために、レーザ光が一定値以上の光強度となるように、光強度の閾値が設けられている。点灯制御部140はこの一定値以上の光強度が検出されたときにLED41,42,43を点灯するように制御する。
【0022】
このように、本第2実施の形態では、シャッタ11、12、13の開閉動作信号と光検出器24が一定値以上の光量を検出したことを確認して、対応するレーザ光源のLED41、42、43を点灯するように点灯制御部140がLEDの点灯を制御しているので、観察者は、スキャンヘッド30へのレーザ光の射出状態をより確実に確認することができる。例えば、レーザ光源2が故障して発光していない場合、シャッタ11が開放してもレーザ光が出射していないため、光検出器24には光量信号が発生せず、点灯制御部140はLED41を点灯することがない。よって、観察者はレーザ光が標本36に照射されていないことが確認できる。また、レーザ光源2が点灯していないことも判断することができ故障を感知することができる。その他のレーザ光源を選択した場合も同様であり説明を省略する。さらに、その他の構成は第1実施の形態と同様であり説明を省略する。
【0023】
なお、本第2実施の形態の変形例として、点灯制御部140を光検出器24からの信号のみでLED41、42、43を点灯するように構成することも可能である。これにより、より簡便にレーザ光の射出状態を確認することができる。
【0024】
(第3実施の形態)
図3は、本発明の第3実施の形態にかかる光源装置とこれを有する顕微鏡装置の概略構成図である。第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し説明を省略する。本第3実施の形態は、第1実施の形態に比べレーザ光が射出しているか否かの確認をより確実にしたことが特徴である。
【0025】
図3において、点灯制御部240は、光検出器24からの検出信号とAOTFドライバ22の両方の信号を用いて、LED41,42,43を点灯制御するように構成されている。例えば、顕微鏡制御装置51からArレーザ2の波長の光を選択する旨の指令が点灯制御部240を介してAOTFドライバ22に指令すると、AOTFドライバ22はArレーザ波長を取り出し、所定の光強度になるようにAOTF21を駆動する。光検出器24は、一定値以上のレーザ光量を検出した旨の信号を点灯制御部240に伝達する。点灯制御部240は、両方の信号が入力された時にArレーザ2が射出していることを示すLED41を点灯する。同様に、G−HeNeレーザ3の場合はAOTFドライバ22への波長選択信号と光検出器24の信号でLED42が、R−HeNeレーザ4の場合はAOTF21への波長選択信号と光検出器24の信号でLED43がそれぞれ点灯する。
【0026】
また、レーザ光の強度調節にAOTF21を用いているため、光検出器24にはAOTF21を通過した際に発生するフレアが入射し、僅かながら光強度を生じる。レーザ光の射出状態を確実にするために、レーザ光が一定値以上の光強度となるように、光強度の閾値が設けられている。点灯制御部140はこの一定値以上の光強度が検出されたときにLED41、42,43を点灯するように制御する。
【0027】
このように、本第3実施の形態では、AOTF21の波長選択動作と光検出器24が一定値以上の光量を検出したことを確認して、対応するレーザ光源のLED41,42,43を点灯するように点灯制御部240がLED41,42,43の点灯を制御しているので、観察者は、レーザ光の射出状態をより確実に確認することができる。例えば、レーザ光源2が故障して発光していない場合、AOTF21が波長を選択してもレーザ光が出射しないため、光検出器24には光量信号が発生せず、点灯制御部240はLED41を点灯することがない。よって、観察者はレーザ光が標本36に照射されていないことが確認できる。また、レーザ光源2が点灯していないことも判断することができ故障を感知することができる。その他のレーザ光源を選択した場合も同様であり説明を省略する。さらに、その他の構成は、第1実施の形態と同様であり説明を省略する。
【0028】
なお、本第3実施の形態の変形例として、点灯制御部240はAOTFドライバ22への波長選択信号のみで選択されたレーザ光のLED41、42、43を点灯するように構成することも可能である。これにより、より簡便にレーザ光の射出状態を確認することができる。
【0029】
以上述べたように本発明にかかる光源装置では、顕微鏡装置で観察中に使用するレーザ光が正しく選択されて標本に照射されていることを遠隔から目視で容易に確認することができ、観察者がモニター装置まで確認に行く手間を省くことができる。
【0030】
なお、上述の実施の形態は例に過ぎず、上述の構成や形状に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜修正、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施の形態にかかる光源装置とこれを有する顕微鏡装置の概略構成図を示す。
【図2】本発明の第2実施の形態にかかる光源装置とこれを有する顕微鏡装置の概略構成図を示す。
【図3】本発明の第3実施の形態にかかる光源装置とこれを有する顕微鏡装置の概略構成図を示す。
【符号の説明】
【0032】
1 レーザユニット
2 Arレーザ
3 G−HeNeレーザ
4 R−HeNeレーザ
11、12、13 シャッタ
15、16、17 ダイクロイックミラー
21 AOTF
22 AOTFドライバ
23 参照用ミラー
24 光検出器
25、31 フィバーカップリング
26 光ファイバー
30 スキャンユニット
40 点灯制御部
41、42、43 LED
32 コリメータレンズ
33 ダイクロイックミラー
34 XYスキャナ
35 対物レンズ
36 標本
37 集光レンズ
38 ピンホール
39 撮像素子
51 顕微鏡制御装置
52 モニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記複数の光源から射出される光をON/OFFするON/OFF手段と、
前記複数の光源の個数に対応する点灯部とを有し、
前記複数の光源の内、選択された光源の光を前記ON/OFF手段がONにした時、前記ON信号に連動して前記選択された光源に対応する前記点灯部を点灯させる点灯制御手段を有することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記複数の光源からの光を分岐した光の強度を検出する光検出手段を更に有し、
前記点灯制御手段は、前記ON信号に代えて前記光検出器が所定の光強度に達した信号を受信して前記点灯部を点灯することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記複数の光源からの光を分岐した光の強度を検出する光検出手段を更に有し、
前記点灯制御手段は、前記ON信号と、前記光検出器が所定の光強度に達した信号とを受信して前記点灯部を点灯することを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項4】
前記ON/OFF手段は、前記複数の光源それぞれの光射出部近傍に配設されたシャッタであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記ON/OFF手段は、音響光学素子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記点灯部は、外部から視認可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の光源装置を有することを特徴とする顕微鏡装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate