説明

光源装置及び電子機器

【課題】 光源装置及び電子機器において、省スペースかつ低コストな線状のイルミネーションが可能で、高い視覚的効果を得ること。
【解決手段】 基端側端面4aから入射された光を導光して基端側端面4aの両端から延びる一対の側方端面4bと基端側端面4aに対向した先端側端面4cとから線状に出射する面状導光体4と、基端側端面4aの両端部及び中央部にそれぞれ設置され先端側端面4cに向けて光を入射させる複数のLED光源5と、を備え、面状導光体4が、側方端面4bに沿って形成されLED光源5から入射され導光した光を内側面で側方端面4b側及び先端側端面4c側に反射する長孔状のスリット4dを一対有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話機のイルミネーション等の視覚的効果を向上させることができる光源装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等では、折り畳み可能な筐体を備えたものが多い。このような携帯電話機では、筐体の内側に設けられたメインの液晶表示装置だけでなく、筐体の外側にも、着信を知らせるためや、デザイン性向上等のため、LED光源や液晶表示パネル又は有機ELパネル等の簡易的なディスプレイ装置が搭載されて背面照明や情報表示等を行う機器が普及している。
【0003】
従来、例えば特許文献1には、液晶表示面の辺縁に沿って延在する光伝送チューブを設け、該光伝送チューブの一端から光を入射して側周面から光を放射して液晶表示面の前面に光を照射する液晶照明装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−318235号公報(特許請求の範囲、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
近年、特に携帯電話機等の外側表面のイルミネーションについて、視覚的効果を高めてデザイン性を向上させることが要望されている。上記特許文献1に記載の技術では、光伝送チューブによって液晶表示面に向けて光を出射して照明しているが、外側表面におけるイルミネーションとしては機能していない。例えば、光伝送チューブによって液晶表示面ではなく上方に向けて光を出射させてイルミネーション用とすることも考えられるが、光伝送チューブは円筒状のため、筐体に広い収納スペースが必要になってしまい、携帯電話機等の小型かつ薄型の電子機器に搭載することには問題がある。また、光伝送チューブは途中で曲げることが困難なため、角にミラー等の反射構造が必要になり、部材コストやスペースの増大を招いてしまうと共に多様な形状に対応することも難しいという不都合がある。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、省スペースかつ低コストな線状のイルミネーションが可能で、高い視覚的効果を得ることができる光源装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の光源装置は、基端側端面から入射された光を導光して前記基端側端面の両端から延びる一対の側方端面と前記基端側端面に対向した先端側端面とから線状に出射する面状導光体と、前記基端側端面の両端部及び中央部にそれぞれ設置され前記先端側端面に向けて光を入射させる複数の光源と、を備え、前記面状導光体が、前記側方端面に沿って形成され前記光源から入射され導光した光を内側面で前記側方端面側及び前記先端側端面に反射する長孔状のスリットを一対有していることを特徴とする。
【0008】
この光源装置では、面状導光体が、側方端面に沿って形成され光源から入射され導光した光を内側面で側方端面側及び先端側端面側に反射する長孔状のスリットを一対有しているので、基端側端面の両端部の光源から入射された光が各スリットの外側の内側面に反射されて両側の側方端面から出射されると共に、基端側端面の中央部の光源から入射された光が各スリットの内側の内側面に反射されて先端側端面から出射される。このように、面状導光体の上下面で反射されながら内部を導光される光源からの光が、スリットの内側面で反射されることで、側方端面及び先端側端面から高輝度で細く長い線状光を出射させることができる。また、一対のスリットによって面状導光体が3つの導光領域に分割され、3つの光源から入射され導光される光が3つの導光領域に分かれて2つの側方端面と先端側端面とから出射されるため、光源の発光を個別に制御することで、各辺の端面をそれぞれ別々に光らせることが可能になる。さらに、複数の光源が一つの基端側端面側にのみ実装されるため、光源用の基板面積を極力小さくでき、基板コストが安くなると共に、全体の厚さも薄くすることが可能になる。
【0009】
また、本発明の光源装置は、前記面状導光体が、導光フィルムで形成されていることを特徴とする。すなわち、この光源装置では、面状導光体が、可撓性を有する導光フィルムで形成されているので、フィルムのカットで容易に作製可能であると共に、湾曲や屈曲も自在となり、より多様な形状のイルミネーション光を実現することができる。
【0010】
また、本発明の光源装置は、前記側方端面と前記スリットとの間が、前記光源から遠いほど幅が狭く形成され、前記光源の光軸に前記スリットの内周面を近づけていることを特徴とする。すなわち、この光源装置では、側方端面とスリットとの間が、光源から遠いほど幅が狭く形成され、光源の光軸にスリットの内周面を近づけているので、導光される光の光強度分布のうち最も光強度の高い光軸に、反射面であるスリットの内側面が光源から遠い領域ほど近づいて反射光量を増すことで、上記遠い領域で輝度補正が可能になり全体の輝度均一性が向上する。
【0011】
また、本発明の光源装置は、前記面状導光体には、前記基端側端面の中央部に設置された前記光源の光軸上に三角形状孔が形成され、該三角形状孔の頂部が、前記光源に向けて配されていることを特徴とする。
基端側端面の中央部に設置された光源の正面に何も無い場合、この光源から入射された光が、直接光として先端側端面に直接到達して出射されることで、局所的な高輝度部分、いわゆるホットスポットが発生してしまう不都合がある。これに対して、本発明の光源装置では、光源の正面に設けられた三角形状孔の頂部が、光源に向けて配されているので、基端側端面の中央部の光源から入射された光が、三角形状孔の頂部から2方向に傾斜した内側面で光軸の左右に分けて反射される。さらに、三角形状孔の内側面で反射した光は、スリットの内側の内側面でも反射された後、先端側端面から外部に出射される。このように、この光源からの光を三角形状孔及びスリットの少なくとも2カ所で光路変更させてから反射光として先端側端面から外部に出射することで、正面光を低減させてホットスポットの発生を抑制することができ、線状光の均一性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の光源装置は、前記基端側端面に、該基端側端面の中央部に設置された前記光源に対向したV字状溝が形成されていることを特徴とする。すなわち、この光源装置では、基端側端面に、該基端側端面の中央部に設置された光源に対向したV字状溝が形成されているので、この光源から出射された光がV字状溝を構成する2つの傾斜端面から光軸の左右斜め方向の2方向に分かれて面状導光体内に入射される。さらに、V字状溝の傾斜端面で斜め入射した光は、スリットの内側の内側面でも反射された後、先端側端面から外部に出射される。このように、光源からの光をV字状溝及びスリットの少なくとも2カ所で光路変更させてから反射光として先端側端面から外部に出射することで、ホットスポットの発生を抑制することができる。
【0013】
また、本発明の光源装置は、前記面状導光体の表裏面の少なくとも一方に設置され該面状導光体に反射面を向けた反射面部材を備えていることを特徴とする。すなわち、この光源装置では、面状導光体の表裏面の少なくとも一方に設置され該面状導光体に反射面を向けた反射面部材を備えているので、面状導光体の表裏面から漏れ出た光を再び反射面部材の反射面で面状導光体へ戻すことで導光性能を向上させ、より高輝度化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の光源装置は、前記スリットに嵌め込まれ該スリットの内側面に対向する外周側面が反射面とされたスリット内反射部を有していることを特徴とする。すなわち、この光源装置では、スリットに嵌め込まれ該スリットの内側面に対向する外周側面が反射面とされたスリット内反射部を有しているので、スリットの内側面での反射にスリット内反射部の外周側面での反射が加わって、導光した光をより高い効率で反射させることができ、さらに高輝度化を図ることができる。また、スリット内反射部が、スリットを透過して隣接する導光領域に光が漏れることを防ぐことで、各辺の端面において出射される光の独立性を高めることができる。
【0015】
また、本発明の光源装置は、前記三角形状孔に嵌め込まれ該三角形状孔の内周面に対向する外周側面が反射面とされた三角形状反射部を有していることを特徴とする。すなわち、この光源装置では、三角形状孔に嵌め込まれ該三角形状孔の内周面に対向する外周側面が反射面とされた三角形状反射部を有しているので、三角形状孔の内側面での反射に三角形状反射部の外周側面での反射が加わって、導光した光をより高い効率で反射させることができ、さらに高輝度化を図ることができる。
【0016】
また、本発明の光源装置は、前記面状導光体が、第1屈折率層と、該第1屈折率層を挟んで設けられ前記第1屈折率層よりも屈折率の低い一対の第2屈折率層と、で構成されていることを特徴とする。すなわち、この光源装置では、面状導光体が、コア層となる第1屈折率層と、該第1屈折率層を挟んで第1屈折率層よりも屈折率の低いクラッド層となる一対の第2屈折率層と、の三層構造であるので、導光される光が三層間の屈折率差によって閉じ込められることで導光性能が向上し、出射端面での高輝度化を図ることができる。
【0017】
また、本発明の光源装置は、前記面状導光体の一対の前記スリット間に、導光した光を反射又は拡散によって光路変換して表面側に出射させる微細光学形状部が形成されていることを特徴とする。すなわち、この光源装置では、面状導光体の一対のスリット間に、導光した光を反射又は拡散によって光路変換して表面側に出射させる微細光学形状部が形成されているので、側方端面及び先端側端面だけでなく微細光学形状部の上方にも光を出射させることができる。微細光学形状部としては、例えばレーザ加工により複数の溝部を面状導光体の所定領域に形成したり、レーザ加工又は白インク印刷等により複数の凸状ドットを面状導光体の所定領域に形成したものが採用可能である。
【0018】
また、本発明の光源装置は、前記光源が、赤色LED素子、緑色LED素子及び青色LED素子を備えたRGB−LEDであることを特徴とする。すなわち、この光源装置では、光源が、赤色LED素子、緑色LED素子及び青色LED素子を備えたRGB−LEDであるので、あらゆる色のイルミネーション光が可能になる。
【0019】
本発明の電子機器は、筐体と、前記側方端面及び前記先端側端面を前記筐体の表面に露出又は前記筐体の表面に設けた透光部に近接させて該筐体内に設置された上記本発明の光源装置と、を備えていることを特徴とする。すなわち、この電子機器では、側方端面及び先端側端面を筐体の表面に露出又は筐体の表面に設けた透光部に近接させて該筐体内に設置された上記本発明の光源装置を備えているので、省スペースかつ低コストで筐体の表面(例えば、外周側面)を高輝度で線状に光らせるイルミネーションが可能である。
【0020】
また、本発明の電子機器は、前記筐体の表面に、透明材料で形成された窓部が設けられ、前記窓部の内側に、液晶表示パネルが設置され、前記面状導光体が、前記窓部と前記液晶表示パネルとの間に密着状態で介在されていることを特徴とする。すなわち、この電子機器では、面状導光体が、窓部と液晶表示パネルとの間に密着状態で介在されているので、窓部と液晶表示パネルとの間の空気層による界面反射を無くし、液晶表示の視認性を向上させることができる。
【0021】
また、本発明の電子機器は、通信機能の状況に応じて前記光源装置を制御可能な携帯電話機であることを特徴とする。すなわち、この電機子機器は、通信機能の状況に応じて光源装置を制御可能な携帯電話機であるので、通話やメール送受信等の通信機能の状況に応じて筐体の外周等を光らせるイルミネーション効果で通信状況等の高い視認性を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る光源装置によれば、面状導光体が、側方端面に沿って形成され光源から入射され導光した光を内側面で側方端面側及び先端側端面側に反射する長孔状のスリットを一対有しているので、導光した光をスリットの内側面で反射されることで、側方端面及び先端側端面から高輝度で細く長い線状光を出射させることができる。また、光源の発光を個別に制御することで、各辺の端面をそれぞれ別々に光らせることが可能になる。さらに、複数の光源が一つの基端側端面側にのみ実装されるため、光源用の基板面積を極力小さくでき、基板コストが安くなると共に、全体の厚さも薄くすることが可能になる。
したがって、この光源装置を備えた電子機器では、筐体の外周等が高輝度で光るイルミネーションの視覚的効果により高いデザイン性や視覚的効果を省スペースかつ低コストで得ることができる。特に、通信機能の状況に応じて筐体の外周等を光らせることで、視覚的に通信状況を確認できるため、携帯電話機に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る光源装置及び電子機器の第1実施形態を、図1から図3に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0024】
本実施形態の光源装置1は、図1から図3に示すように、携帯電話機(電子機器)2の筐体3内に設置されて筐体3の外周側面から線状光を出射させるものであって、基端側端面4aから入射された光を導光して基端側端面4aの両端から延びる一対の側方端面4bと基端側端面4aに対向した先端側端面4cとから線状に出射する面状導光体4と、基端側端面4aの両端部及び中央部にそれぞれ設置され先端側端面に向けて光を入射させる複数のLED光源(光源)5と、を備えている。
【0025】
また、光源装置1は、面状導光体4の表面に設置され該面状導光体4に反射面を向けた反射シート(反射面部材)6と、面状導光体4の裏面に設置され該面状導光体4に反射面を向けたホルダー(反射面部材)7と、を備えている。
上記反射シート6は、光反射機能を有する金属板、フィルム、箔等であって、本実施形態では銀蒸着膜を設けたフィルムが採用されている。なお、上記銀蒸着膜の代わりに、アルミ金属蒸着膜などを採用しても構わない。
【0026】
上記ホルダー7は、例えば、白色樹脂材料で成型した面状導光体4の支持体であり、表面が白色面となっている。
上記反射シート6及びホルダー7は、それぞれ両面テープ8によって面状導光体4に接着されている。
【0027】
上記面状導光体4は、光透過性を有するアクリル樹脂、ポリカーボネート又はシリコーン樹脂のフィルム等を所定形状にカットした導光フィルムで形成されている。なお、本実施形態では、高い可撓性を有するシリコーン樹脂の導光フィルムが採用されている。また、樹脂等の成型品を面状導光体4に用いることも可能である。
なお、面状導光体4の表裏面は、内側への反射特性を向上させるために鏡面状態とされている。
【0028】
この面状導光体4は、側方端面4bに沿って形成されLED光源5から入射され導光した光を内側面で側方端面4b側及び先端側端面4c側に反射する長孔状のスリット4dを一対有している。
このスリット4dと側方端面4bとの間は、LED光源5から遠いほど幅が狭く形成され、LED光源5の光軸にスリット4dの内周面を近づけている。
【0029】
また、面状導光体4には、基端側端面4aの中央部に設置されたLED光源5の光軸上に三角形状孔4eが形成されている。この三角形状孔4eの頂部は、基端側端面4aの中央部に設置されたLED光源5に向けて配されている。
上記ホルダー7は、スリット4dに嵌め込まれ該スリット4dの内側面に対向する外周側面が反射面とされた凸部状のスリット内反射部7aと、三角形状孔4eに嵌め込まれ該三角形状孔4eの内周面に対向する外周側面が反射面とされた凸部状の三角形状反射部7bと、を有している。
【0030】
上記LED光源5は、赤色LED素子、緑色LED素子及び青色LED素子を備えたRGB−LEDである。基端側端面4aに配された3つのLED光源5は、それぞれ光源用のフレキシブルプリント基板9に実装されている。
【0031】
また、本実施形態の携帯電話機2は、図3に示すように、筐体3と、側方端面4b及び先端側端面4cを筐体3の表面に設けた透光部3aに近接させて該筐体3内に設置された上記光源装置1と、を備えている折り畳み型の携帯電話機である。すなわち、この携帯電話機2では、筐体3の外周面部分が透明又は半透明な材料で形成された透光部3aとされ、この透光部3aの内側に面状導光体4の側方端面4b及び先端側端面4cが近接状態に配されている。
【0032】
また、この携帯電話機2では、図示しない制御部によって通信機能の状況に応じて光源装置1を制御可能としている。すなわち、通話や電子メールの送受信時などに各LED光源5の発光が制御されて、設定された点滅や発光色で側方端面4b及び先端側端面4cから出射されたイルミネーション光が透光部3aを透過して外部に出射される。
【0033】
このように本実施形態の光源装置1では、面状導光体4が、側方端面4bに沿って形成されLED光源5から入射され導光した光を内側面で側方端面4b側及び先端側端面4c側に反射する長孔状のスリット4dを一対有しているので、基端側端面4aの両端部のLED光源5から入射された光が各スリット4dの外側の内側面に反射されて両側の側方端面4bから出射されると共に、基端側端面4aの中央部のLED光源5から入射された光が各スリット4dの内側の内側面に反射されて先端側端面4cから出射される。なお、図1中の仮想線(二点鎖線)は、光路の例を示したものである。
【0034】
このように、面状導光体4の上下面で反射されながら内部を導光されるLED光源5からの光が、スリット4dの内側面で反射されることで、側方端面4b及び先端側端面4cから高輝度で細く長い線状光を出射させることができる。また、一対のスリット4dによって面状導光体4が3つの導光領域に分割され、3つのLED光源5から入射され導光される光が3つの導光領域に分かれて2つの側方端面4bと先端側端面4cとから出射されるため、LED光源5の発光を個別に制御することで、各辺の端面をそれぞれ別々に光らせることが可能になる。さらに、複数のLED光源5が一つの基端側端面4a側にのみ実装されるため、光源用のフレキシブルプリント基板9の面積を極力小さくでき、基板コストが安くなると共に、全体の厚さも薄くすることが可能になる。
【0035】
また、面状導光体4が、可撓性を有する導光フィルムで形成されているので、フィルムのカットで容易に作製可能であると共に、湾曲や屈曲も自在となり、より多様な形状のイルミネーション光を実現することができる。
さらに、側方端面4bとスリット4dとの間が、LED光源5から遠いほど幅が狭く形成され、LED光源5の光軸にスリット4dの内周面を近づけているので、導光される光の光強度分布のうち最も光強度の高い光軸に、反射面であるスリット4dの内側面がLED光源5から遠い領域ほど近づいて反射光量を増すことで、上記遠い領域で輝度補正が可能になり全体の輝度均一性が向上する。
【0036】
また、三角形状孔4eの頂部が、基端側端面4aの中央部のLED光源5に向けて配されているので、このLED光源5から入射された光が、三角形状孔4eの頂部から2方向に傾斜した内側面で光軸の左右に分けて反射される。さらに、三角形状孔4eの内側面で反射した光は、スリット4dの内側の内側面でも反射された後、先端側端面4cから外部に出射される。このように、このLED光源5からの光を三角形状孔4e及びスリット4dの少なくとも2カ所で光路変更させてから反射光として先端側端面4cから外部に出射することで、正面光を低減させてホットスポットの発生を抑制することができ、線状光の均一性を向上させることができる。
【0037】
また、面状導光体4の表裏面に設置され該面状導光体4に反射面を向けた反射シート6及びホルダー7を備えているので、面状導光体4の表裏面から漏れ出た光を再び反射シート6及びホルダー7の反射面で面状導光体4へ戻すことで導光性能を向上させ、より高輝度化を図ることができる。
【0038】
また、ホルダー7が、スリット4dに嵌め込まれ該スリット4dの内側面に対向する外周側面が反射面とされたスリット内反射部7aを有しているので、スリット4dの内側面での反射にスリット内反射部7aの外周側面での反射が加わって、導光した光をより高い効率で反射させることができ、さらに高輝度化を図ることができる。さらに、スリット内反射部7aが、スリット4dを透過して隣接する導光領域に光が漏れることを防ぐことで、各辺の端面において出射される光の独立性を高めることができる。
【0039】
また、ホルダー7が、三角形状孔4eに嵌め込まれ該三角形状孔4eの内周面に対向する外周側面が反射面とされた三角形状反射部7bを有しているので、三角形状孔4eの内側面での反射に三角形状反射部7bの外周側面での反射が加わって、導光した光をより高い効率で反射させることができ、さらに高輝度化を図ることができる。
【0040】
このように、携帯電話機2では、側方端面4b及び先端側端面4cを筐体3の表面に設けた透光部3aに近接させて該筐体3内に設置された上記光源装置1を備えているので、省スペースかつ低コストで筐体3の外周側面を高輝度で線状に光らせるイルミネーションが可能である。
【0041】
特に、LED光源5が、赤色LED素子、緑色LED素子及び青色LED素子を備えたRGB−LEDであるので、あらゆる色のイルミネーション光が可能になる。
さらに、この携帯電話機2では、通信機能の状況に応じて光源装置1を制御可能であるので、通話や電子メールの送受信等の通信機能の状況に応じて筐体3の外周側面等を光らせるイルミネーション効果で通信状況等の高い視認性を得ることができる。
【0042】
次に、本発明に係る光源装置及び電子機器の第2から第6実施形態について、図4から図11を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0043】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、面状導光体4に形成された三角形状孔4eで中央部のLED光源5から入射された光を左右に反射して分けているのに対し、第2実施形態の光源装置21では、図4に示すように、面状導光体24の基端側端面4aに、該基端側端面4aの中央部に設置されたLED光源5に対向したV字状溝24fが形成されている点である。
【0044】
この第2実施形態の光源装置21では、基端側端面4aに、該基端側端面4aの中央部に設置されたLED光源5に対向したV字状溝24fが形成されているので、このLED光源5から出射された光がV字状溝24fを構成する2つの傾斜端面から光軸の左右斜め方向の2方向に分かれて面状導光体24内に入射される。
【0045】
さらに、V字状溝24fの傾斜端面で斜め入射した光は、スリット4dの内側の内側面でも反射された後、先端側端面4cから外部に出射される。このように第2実施形態の光源装置21では、中央部のLED光源5からの光をV字状溝24f及びスリット4dの少なくとも2カ所で光路変更させてから反射光として先端側端面4cから外部に出射することで、ホットスポットの発生を抑制することができる。
【0046】
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、筐体3の背面には特に情報を表示する部分が設けられていないのに対し、第3実施形態の光源装置31及び携帯電話機32では、図5から図7に示すように、筐体33の表面(背面)に、透明材料で形成された窓部33aが設けられ、窓部33aの内側に、液晶表示パネル38が設置され、さらに面状導光体4が、窓部33aと液晶表示パネル38との間に密着状態で介在されている点である。
【0047】
すなわち、第3実施形態の携帯電話機32では、筐体3の背面中央部に設けられた長方形状の窓部33a直下に面状導光体4を介して液晶表示パネル38が設置されている。また、この光源装置31では、反射シート6及びホルダー37の窓部33a直下を含む領域が切り抜かれて透過用孔37cが形成されており、液晶表示パネル38の表示が窓部33aから見えるようになっている。
【0048】
上記液晶表示パネル38は、透過型又は半透過型の液晶表示パネルが採用される。例えば、透過型の液晶表示パネルの場合、透明電極、配向膜及び偏光板をそれぞれ有する上基板と下基板との間隙に液晶材料をシール材で封止したTFT液晶方式、STN液晶方式やTN液晶方式等のパネル本体を備えたものである。
なお、上記面状導光体4は、窓部33及び液晶表示パネル38に密着させて隙間の空気層を無くすため、シリコーン樹脂等の可撓性を有する導光フィルムで形成することが好ましい。
【0049】
このように第3実施形態の携帯電話機32では、面状導光体4が、窓部33aと液晶表示パネル38との間に密着状態で介在されているので、窓部33aと液晶表示パネル38との間の空気層による界面反射を無くし、液晶表示の視認性を向上させることができる。なお、面状導光体4から裏面側に漏れ出た光によって液晶表示パネル38を照明することで、光源装置31を液晶表示パネル38のフロントライトとして機能させることも可能である。
【0050】
第4実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、面状導光体4が同一材料で形成されたものであるのに対し、第4実施形態の光源装置では、図8に示すように、面状導光体44が、第1屈折率層44aと、該第1屈折率層44aを挟んで設けられ第1屈折率層44aよりも屈折率の低い材料で形成された一対の第2屈折率層44bと、の三層からなる導光フィルムで構成されている点である。
【0051】
すなわち、第1屈折率層44aの屈折率をn1とし、第2屈折率層44bの屈折率をn2とすると、n1>n2の関係に設定される。なお、第1屈折率層44a及び第2屈折率層44bをそれぞれ複数層で構成しても構わない。
このように第4実施形態の光源装置では、面状導光体44が、コア層となる第1屈折率層44aと、該第1屈折率層44aを挟んで第1屈折率層44aよりも屈折率の低いクラッド層となる一対の第2屈折率層44bと、の三層構造であるので、導光される光が三層間の屈折率差によって閉じ込められることで導光性能が向上し、出射端面での高輝度化を図ることができる。
【0052】
第5実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、筐体3の外周側面から線状光が出射されるのに対し、第5実施形態の光源装置51及び携帯電話機52では、図9及び図10に示すように、面状導光体54の一対のスリット4d間に、導光した光を反射又は拡散によって光路変換して表面側に出射させる微細光学形状部54gが形成され、筐体53の背面側に設けられた窓部53aからも光を出射可能にしている点である。
【0053】
すなわち、第5実施形態では、筐体53の背面に透明材料で形成された四角形状の窓部53aが設けられており、面状導光体54における窓部53aの直下の領域に微細光学形状部54gが形成されている。この微細光学形状部54gは、レーザ加工によってLED光源5の光軸に対して交差するように形成された複数の溝部で構成されている。
【0054】
このように第5実施形態の携帯電話機52では、面状導光体54の一対のスリット4d間に、導光した光を反射又は拡散によって光路変換して表面側に出射させる微細光学形状部54gが形成されているので、側方端面4b及び先端側端面4cだけでなく微細光学形状部54gの上方にも光を出射させることができる。したがって、筐体53の外周側面から線状光を出射可能であると共に、筐体53の背面からも光を出射可能であり、より多様なイルミネーション効果を得ることができる。
【0055】
第6実施形態と第5実施形態との異なる点は、第5実施形態では、レーザ加工により複数の溝部で構成された微細光学形状部54gが面状導光体54に形成されているのに対し、第6実施形態の光源装置61では、図11に示すように、レーザ加工又は白インク印刷等により複数の凸状ドットで構成された微細光学形状部64gが面状導光体64に形成されている点である。
【0056】
この第6実施形態の光源装置61でも、第5実施形態と同様に、微細光学形状部64gにより、導光した光を反射又は拡散によって光路変換して表面側に出射させるので、微細光学形状部64gの上方の窓部53aからも光を出射させることができる。このように、筐体53の背面からも光を出射可能であり、より多様なイルミネーション効果を得ることができる。
【0057】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0058】
例えば、上記各実施形態では、本発明の光源装置を折り畳み型の携帯電話機に設けているが、他の形式の携帯電話機に搭載しても構わない。例えば、いわゆるキャンディーバータイプ(ストレート型)の携帯電話機やスライドタイプの携帯電話機等に本発明の光源装置を搭載しても良い。
また、上記各実施形態では、面状導光体が柔らかいシリコーン樹脂で形成されているので、その側方端面及び先端側端面を、筐体の表面に設けた透光部に近接させて該筐体内に設置しているが、硬質なポリカーボネートやアクリル樹脂で面状導光体を形成した場合、その側方端面及び先端側端面を、筐体の表面に直接露出させて光らせても構わない。
【0059】
また、上記各実施形態では、様々な色のイルミネーション光を出射させるため、RGB−LEDのLED光源を採用しているが、単色のイルミネーション光を出射させるだけの場合、白色LED等の単色LEDを採用しても構わない。
さらに、本発明の光源装置を携帯電話機に搭載したが、PDA、ノート型パーソナルコンピュータ(ノートPC)や電子辞書等の他の電子機器に採用しても構わない。さらに、本発明の光源装置を、壁掛けディスプレイや看板等に搭載しても構わない。
【0060】
また、上記第3実施形態では、窓部と液晶表示パネルとの間に面状導光体を挿入しているが、液晶表示パネルの裏面側に面状導光体を設置することで、面状導光体から表面側に漏れ出た光によって液晶表示パネルを照明して、光源装置を液晶表示パネルのバックライトとして機能させることも可能である。この際、第5実施形態に示した微細光学形状部を液晶表示パネルの直下に形成することで、照明光の輝度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る光源装置及び電子機器の第1実施形態において、反射シートを外した光源装置を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態において、光源装置を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態において、携帯電話機である電子機器を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る光源装置及び電子機器の第2実施形態において、反射シートを外した光源装置を示す要部の斜視図である。
【図5】本発明に係る光源装置及び電子機器の第3実施形態において、反射シートを外した光源装置を示す斜視図である。
【図6】第3実施形態において、携帯電話機である電子機器を示す斜視図である。
【図7】第3実施形態において、窓部、液晶表示パネル及び面状導光体を示す要部の拡大断面図である。
【図8】本発明に係る光源装置及び電子機器の第4実施形態において、面状導光体を示す要部の拡大断面図である。
【図9】本発明に係る光源装置及び電子機器の第5実施形態において、携帯電話機である電子機器を示す斜視図である。
【図10】第5実施形態において、反射シートを外した光源装置を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る光源装置及び電子機器の第6実施形態において、反射シートを外した光源装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1,21,51,61…光源装置、2,32,52…携帯電話機(電子機器)、3,33,53…筐体、3a…透光部、4,24,34,44,54,64…面状導光体、4a…面状導光体の基端側端面、4b…面状導光体の側方端面、4c…面状導光体の先端側端面、4d…スリット、4e…三角形状孔、5…LED光源(光源)、6…反射シート(反射面部材)、7,37…ホルダー(反射面部材)、7a…スリット内反射部、7b…三角形状反射部、24f…V字状溝、33a…筐体の窓部、38…液晶表示パネル、44a…第1屈折率層、44b…第2屈折率層、54g,64g…微細光学形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側端面から入射された光を導光して前記基端側端面の両端から延びる一対の側方端面と前記基端側端面に対向した先端側端面とから線状に出射する面状導光体と、
前記基端側端面の両端部及び中央部にそれぞれ設置され前記先端側端面に向けて光を入射させる複数の光源と、を備え、
前記面状導光体が、前記側方端面に沿って形成され前記光源から入射され導光した光を内側面で前記側方端面側及び前記先端側端面側に反射する長孔状のスリットを一対有していることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記面状導光体が、導光フィルムで形成されていることを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光源装置において、
前記側方端面と前記スリットとの間が、前記光源から遠いほど幅が狭く形成され、前記光源の光軸に前記スリットの内周面を近づけていることを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記面状導光体には、前記基端側端面の中央部に設置された前記光源の光軸上に三角形状孔が形成され、
該三角形状孔の頂部が、前記光源に向けて配されていることを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記基端側端面に、該基端側端面の中央部に設置された前記光源に対向したV字状溝が形成されていることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記面状導光体の表裏面の少なくとも一方に設置され該面状導光体に反射面を向けた反射面部材を備えていることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記スリットに嵌め込まれ該スリットの内側面に対向する外周側面が反射面とされたスリット内反射部を有していることを特徴とする光源装置。
【請求項8】
請求項4に記載の光源装置において、
前記三角形状孔に嵌め込まれ該三角形状孔の内周面に対向する外周側面が反射面とされた三角形状反射部を有していることを特徴とする光源装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記面状導光体が、第1屈折率層と、
該第1屈折率層を挟んで設けられ前記第1屈折率層よりも屈折率の低い一対の第2屈折率層と、で構成されていることを特徴とする光源装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記面状導光体の一対の前記スリット間に、導光した光を反射又は拡散によって光路変換して表面側に出射させる微細光学形状部が形成されていることを特徴とする光源装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記光源が、赤色LED素子、緑色LED素子及び青色LED素子を備えたRGB−LEDであることを特徴とする光源装置。
【請求項12】
筐体と、
前記側方端面及び前記先端側端面を前記筐体の表面に露出又は前記筐体の表面に設けた透光部に近接させて該筐体内に設置された請求項1から11のいずれか一項に記載の光源装置と、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項12に記載の電子機器において、
前記筐体の表面に、透明材料で形成された窓部が設けられ、
前記窓部の内側に、液晶表示パネルが設置され、
前記面状導光体が、前記窓部と前記液晶表示パネルとの間に密着状態で介在されていることを特徴とする電子機器。
【請求項14】
通信機能の状況に応じて前記光源装置を制御可能な携帯電話機であることを特徴とする請求項12又は13に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−129493(P2010−129493A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305645(P2008−305645)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】