説明

光源装置

【課題】所定の導光部材の光入射端面に対して、拡散光と平行光とを集光して入射する光源装置において、特殊光の伝送効率を低下させることなく、かつ全体サイズを小型化する。
【解決手段】拡散光を射出する拡散光源と、平行光を射出する平行光源部と、拡散光と平行光とを集光して所定の導光部材の光入射端面に入射させる集光レンズとを備えたものとし、拡散光源と平行光源部とを、集光レンズの光軸に平行な直線上に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の導光部材の光入射端面に対して、拡散光と平行光とを集光して入射する光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、体腔内の組織を観察する内視鏡システムが広く知られており、白色光の照射によって体腔内の被観察部を撮像して通常画像を得、この通常画像をモニタ画面上に表示する電子式内視鏡システムが広く実用化されている。
【0003】
そして、このような内視鏡システムの1つとして、たとえば、脂肪下の血管走行および血流、リンパ管、リンパ流、胆管走行、胆汁流など通常画像上には現れないものを観察するため、予め被観察部にICG(インドシアニングリーン)を投入し、被観察部に近赤外光の励起光を照射することによってICGの蛍光画像を取得する内視鏡システムが提案されている。また、被観察部に励起光を照射することによって被観察部から発せられた自家蛍光を検出して蛍光画像を取得する内視鏡システムも提案されている。
【0004】
たとえば、特許文献1においては、上述したように被観察部に励起光を照射して蛍光画像を撮像するとともに、白色光を被観察部に照射して通常画像を撮像する内視鏡システムが提案されている。
【0005】
ここで、特許文献1の内視鏡システムにおいて励起光と白色光とを照射するための光源装置は、図10に示すように、白色光102を射出する参照光源100と、励起光103を射出する励起光源101とを備えている。そして、さらに参照光源100から射出された白色光102を、内視鏡本体に接続されるライトガイド105の入射端面に集光する集光レンズ104と、白色光102の光路内に設けられ、励起光源101から射出された励起光103を集光レンズ104に向けて反射するミラー106とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−72213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の光源装置のような構成の場合、ミラー106によって励起光を反射して集光レンズ104に入射させる構成であるため、励起光源101を、白色光102の光路外であってかつ励起光源101の光軸が集光レンズ104の光軸に垂直となるような位置に配置する必要がある。
【0008】
このような配置関係とした場合、集光レンズ104の光軸方向に参照光源100を配置し、集光レンズ104の光軸に垂直な方向に励起光源101を配置する必要があるため、すなわち互いに直交する方向に参照光源100と励起光源101とを配置する必要があるため、光源装置全体が直交方向に所定の幅を有することになるので、そのサイズが大きくなってしまうという問題がある。
【0009】
また、ミラー106によって励起光101を反射するので、ミラー106により励起光101の伝送効率が低下してしまうという問題もある。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑み、励起光の伝送効率を低下させることなく、かつ全体サイズを小型化することができる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光源装置は、拡散光を射出する拡散光源と、平行光を射出する平行光源部と、拡散光と平行光とを集光して所定の導光部材の光入射端面に入射させる集光レンズとを備え、拡散光源と平行光源部とが、集光レンズの光軸に平行な直線上に配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、平行光源部を、拡散光の光路上に配置することができる。
【0013】
また、平行光源部を、拡散光の光路上であって、かつ集光レンズの光軸上以外の位置に配置することができる。
【0014】
また、平行光源部を、拡散光の光路外の拡散光源の近傍であって、かつ平行光が集光レンズに入射可能な位置に配置することができる。
【0015】
また、平行光源部から射出された平行光を、集光レンズの光軸以外の位置から入射させることができる。
【0016】
また、平行光源部への拡散光の照射による発熱を抑制するための発熱抑制部材を設けることができる。
【0017】
また、拡散光源と平行光源部との間にレンズを設け、発熱抑制部材を、上記レンズを透過して平行光源部に照射される拡散光を遮光する遮光部材とすることができる。
【0018】
また、遮光部材を、上記レンズに設けることができる。
【0019】
また、遮光部材を、平行光源部に設けることができる。
【0020】
また、遮光部材として、拡散光を反射する反射部材を用いることができる。
【0021】
また、反射部材を、拡散光源が設置された方向以外の方向に拡散光を反射するものとできる。
【0022】
また、遮光部材として、拡散光を吸収する吸収部材を用いることができる。
【0023】
また、発熱抑制部材として、平行光源部に対して設けられた断熱部材を用いることができる。
【0024】
また、平行光源部を、レーザダイオードまたは発光ダイオードを有するものとできる。
【0025】
また、平行光源部を、平行光として近赤外光を射出するものとできる。
【0026】
また、拡散光源を、拡散光として白色光を射出するものとできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の光源装置によれば、拡散光を射出する拡散光源と、平行光を射出する平行光源部と、拡散光と平行光とを集光して所定の導光部材の光入射端面に入射させる集光レンズとを備えたものとし、拡散光源と平行光源部とを、集光レンズの光軸に平行な直線上に配置するようにしたので、上述した従来の光源装置のように互いに直交する方向に所定の幅を確保する必要がなく、装置全体を小型化することができる。また、上述した従来の光源装置のようにミラーを使用しないので、特殊光の伝送効率を向上させることができる。
【0028】
また、平行光源部を、拡散光の光路上であって、かつ集光レンズの光軸上以外の位置に配置した場合には、平行光源部が光路上に配置されたことによる拡散光への影響をより小さくすることができるので、より質の良い拡散光を被観察部に照射することができる。
【0029】
また、平行光源部を、拡散光の光路外の拡散光源の近傍であって、かつ平行光が集光レンズに入射可能な位置に配置した場合には、平行光源部の配置による拡散光への影響はないので、より質の良い拡散光を被観察部に照射することができる。
【0030】
また、平行光源部から射出された平行光を、集光レンズの光軸以外の位置から入射させるようにした場合には、導光部材の光入射端面に対して所定の入射角度だけ傾斜した方向から特殊光を入射させることができる。このように導光部材の光入射端面に対して特殊光を入射させるようにした場合、導光部材の光入射端面に対して垂直方向から特殊光を入射させた場合と比較すると、被観察部に照射される特殊光の照射範囲を広げることができる。なお、この作用については、後で詳述する。
【0031】
また、平行光源部への拡散光の照射による発熱を抑制するための発熱抑制部材を設けるようにした場合には、拡散光の照射によって平行光源部が発熱して故障してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の光源装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムの概略構成図
【図2】体腔挿入部の概略構成図
【図3】撮像ユニットの概略構成図
【図4】画像処理装置および光源装置の概略構成を示す図
【図5】遮光部材を設けた光源装置の一実施形態を示す図
【図6】反射部材を設けた光源装置の一実施形態を示す図
【図7】近赤外レーザダイオードを集光レンズの光軸以外に配置した一実施形態を示す図
【図8】ライトガイドの光入射端面の垂直方向に対して入射角20°だけ傾斜させた方向から励起光を入射した場合の照度分布と、ライトガイドの光入射端面に対して垂直方向から励起光を入射した場合の照度分布との実験データを示すグラフ
【図9】近赤外レーザダイオードを可視光ランプの近傍に配置した一実施形態を示す図
【図10】従来の光源装置の概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の光源装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムについて詳細に説明する。本実施形態の硬性鏡システムは、その光源装置の構成に特徴を有するものであるが、まずは硬性鏡システム全体の構成について説明する。図1は、本実施形態の硬性鏡システム1の概略構成を示す外観図である。
【0034】
本実施形態の硬性鏡システム1は、図1に示すように、白色の通常光および励起光を射出する光源装置2と、光源装置2から射出された通常光および励起光を導光して被観察部に照射するとともに、通常光の照射により被観察部から反射された反射光に基づく通常像および励起光の照射により被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像を撮像する硬性鏡撮像装置10と、硬性鏡撮像装置10によって撮像された画像信号に所定の処理を施すプロセッサ3と、プロセッサ3において生成された表示制御信号に基づいて被観察部の通常画像および蛍光画像を表示するモニタ4とを備えている。
【0035】
硬性鏡撮像装置10は、図1に示すように、体腔内に挿入される体腔挿入部30と、体腔挿入部30によって導光された被観察部の通常像および蛍光像を撮像する撮像ユニット20とを備えている。
【0036】
また、硬性鏡撮像装置10は、図2に示すように、体腔挿入部30と撮像ユニット20とが着脱可能に接続されている。そして、体腔挿入部30は、接続部材30a、挿入部材30b、ケーブル接続部30c、照射窓30dおよび撮像窓30eを備えている。
【0037】
接続部材30aは、体腔挿入部30(挿入部材30b)の撮像ユニット20側の一端部30Xに設けられており、たとえば撮像ユニット20に形成された開口20aに嵌め合わされることにより、撮像ユニット20と体腔挿入部30とが着脱可能に接続される。
【0038】
挿入部材30bは、体腔内の撮影を行う際に体腔内に挿入されるものであって、硬質な材料から形成され、たとえば、直径略5mmの円柱形状を有している。体腔挿入部30の内部には、撮像窓30eから入射された被観察部の通常像および蛍光像を結像し、体腔挿入部30の撮像ユニット20側の一端部30Xまで導光してその一端部30Xから出射させるリレーレンズ30f(図4参照)が設けられている。このリレーレンズ30fから出射された通常像および蛍光像が撮像ユニット20に入射される。
【0039】
挿入部材30bの側面には、図2に示すように、ケーブル接続部30cが設けられており、このケーブル接続部30cに対してライトガイドLGがコネクタCによって機械的に接続される。これにより、光源装置2と挿入部材30bとがライトガイドLGを介して光学的に接続されることになる。そして、体腔挿入部30の内部には、ケーブル接続部30cに接続されたライトガイドLGから発せられた通常光および励起光を導光するバンドル化されたマルチモード光ファイバ30g(図4参照)が設けられており、このマルチモード光ファイバ30gは、入射された通常光および励起光を挿入部材30bの先端部30Yまで導光して被観察部に向けて照射するものである。挿入部材30b内に設けられたマルチモード光ファイバ30gは、その先端が研磨されて照射窓30dが形成されている。
【0040】
図3は、撮像ユニット20の概略構成を示す図である。撮像ユニット20は、体腔挿入部30内のリレーレンズ30fにより結像された被観察部の蛍光像L4を撮像して被観察部の蛍光画像信号を生成する第1の撮像系と、体腔挿入部30内のリレーレンズ30fにより結像された被観察部の通常像L3を撮像して通常画像信号を生成する第2の撮像系とを備えている。これらの撮像系は、通常像L3を反射するとともに、蛍光像L4を透過する分光特性を有するダイクロイックプリズム21によって、互いに直交する2つの光軸に分けられている。
【0041】
第1の撮像系は、被観察部において反射し、ダイクロイックプリズム21を透過した励起光の波長以下の光をカットするとともに、後述する蛍光波長域照明光を透過する励起光カットフィルタ22と、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を透過した蛍光像L4を結像する第1結像光学系23と、第1結像光学系23により結像された蛍光像L4を撮像する高感度撮像素子24とを備えている。
【0042】
高感度撮像素子24は、蛍光像L4の波長帯域の光を高感度に検出し、蛍光画像信号に変換して出力するものである。高感度撮像素子24としては、たとえばモノクロの撮像素子を用いることができる。
【0043】
第2の撮像系は、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21を反射した通常像L3を結像する第2結像光学系25と、第2結像光学系25により結像された通常像L3を撮像する撮像素子26を備えている。
【0044】
撮像素子26は、通常像の波長帯域の光を検出し、通常画像信号に変換して出力するものである。撮像素子26の撮像面には、3原色の赤(R)、緑(G)および青(B)、またはシアン(C)、マゼンダ(M)およびイエロー(Y)のカラーフィルタがベイヤー配列またはハニカム配列で設けられている。
【0045】
また、撮像ユニット20は、撮像制御ユニット27を備えている。撮像制御ユニット27は、高感度撮像素子24から出力された蛍光画像信号と撮像素子26から出力された通常画像信号とに対し、CDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理を施し、ケーブル5(図1参照)を介してプロセッサ3に出力するものである。
【0046】
プロセッサ3は、図4に示すように、通常画像入力コントローラ41、蛍光画像入力コントローラ42、画像処理部43、メモリ44、ビデオ出力部45、操作部46、TG(タイミングジェネレータ)47およびCPU48を備えている。
【0047】
通常画像入力コントローラ41および蛍光画像入力コントローラ42は、所定容量のラインバッファを備えており、通常画像入力コントローラ41は、撮像ユニット20の撮像制御ユニット27から出力された1フレーム毎の通常画像信号を一時的に記憶するものであり、蛍光画像入力コントローラ42は、蛍光画像信号を一時的に記憶するものである。そして、通常画像入力コントローラ41に記憶された通常画像信号および蛍光画像入力コントローラ42に記憶された蛍光画像信号はバスを介してメモリ44に格納される。
【0048】
画像処理部43は、メモリ44から読み出された1フレーム毎の通常画像信号および蛍光画像信号が入力され、これらの画像信号に所定の画像処理を施し、バスに出力するものである。
【0049】
ビデオ出力部45は、画像処理部43から出力された通常画像信号および蛍光画像信号がバスを介して入力され、所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号をモニタ4に出力するものである。
【0050】
操作部46は、種々の操作指示や制御パラメータなどの操作者による入力を受け付けるものである。また、TG47は、撮像ユニット20の高感度撮像素子24、撮像素子26および後述する光源装置2のLDドライバ53を駆動するための駆動パルス信号を出力するものである。また、CPU48は装置全体を制御するものである。
【0051】
プロセッサ3と撮像ユニット20とは、図1および図4に示すように、ケーブル5を介して接続されるものである。ケーブル5は、撮像ユニット20で撮像された通常画像信号や蛍光画像信号を伝搬する信号配線やプロセッサ3から出力された制御信号を伝達する制御配線などを備えたものである。ケーブル5の先端にはコネクタ5aとコネクタ5bとが設けられており、ケーブル5はコネクタ5aを介してプロセッサ3に着脱可能に接続され、コネクタ5bを介して撮像ユニット20に着脱可能に接続されるものである。
【0052】
光源装置2は、図4に示すように、約400〜700nmの広帯域の波長からなる通常光(白色光)L1を拡散光として射出する可視光ランプ50と、可視光ランプ50から射出された通常光L1を略平行光にして射出する非球面レンズ51と、750〜790nmの近赤外光である励起光L2を射出する近赤外レーザダイオード52と、近赤外レーザダイオード52を駆動するLDドライバ53と、近赤外レーザダイオード52から射出された励起光L2が入射されて平行光として射出するコリメートレンズ54と、非球面レンズ51から射出された通常光L1とコリメートレンズ54から射出された励起光L2とを集光して、上述したライトガイドLGの光入射端面60に入射させる集光レンズ55とを備えている。
【0053】
可視光ランプ50としては、たとえばキセノンランプが用いられる。また、近赤外レーザダイオードの代わりに近赤外発光ダイオードを用いるようにしてもよい。
【0054】
そして、本実施形態においては、図4に示すように、通常光L1を射出する可視光ランプ50と、近赤外レーザダイオード52とコリメートレンズ54とを備えた平行光源部70が、集光レンズ55の光軸上に配置され、また、平行光源部70は、可視光ランプ50から射出された通常光L1の光路上に配置されている。
【0055】
本実施形態は、上述したように平行光源部70を配置することにより、従来の光源装置よりもそのサイズを小型化することができる。
【0056】
具体的には、本実施形態の光源装置2は、集光レンズ55の光軸に直交する方向のサイズは集光レンズ55のレンズ径程度となり、たとえばEdmund製精密非球面レンズを使用した場合には50mm程度とすることができる。これに対し、図10に示したような従来のミラーを用いた光源装置の場合には、同方向のサイズは、集光レンズのレンズ径と、近赤外レーザダイオードの長さと、コリメートレンズの焦点距離とを加算したサイズとなる。たとえば、近赤外レーザダイオードとしてEdmund製レーザダイオードでキャンタイプのものを使用した場合にはその長さは5mm以上であり、コリメートレンズとしてEdmund製LIGHTPATH GRADIUM(登録商標)レンズを使用した場合には焦点距離は12.5mmであるので、従来の光源装置の方が17.5mm以上大きくなることになる。
【0057】
また、集光レンズ55によって集光された通常光L1および励起光L2が入射されるライトガイドLGの先端にはコネクタ61が設けられており、ライトガイドLGはこのコネクタ61を介して光源装置2に着脱可能に接続されるものである。ライトガイドLGは、たとえばバンドル化されたマルチモード光ファイバから構成されるものである。
【0058】
上記のように構成することによって、図4に示すように、光源装置2の集光レンズ55から射出された通常光L1および励起光L2は、光源装置2に接続されたライトガイドLGと体腔挿入部30内に設けられたマルチモード光ファイバ30gとを経由して被観察部に照射される。
【0059】
なお、上述したように平行光源部70を通常光L1の光路上に設けるようにしたとしても、通常光L1の光量は十分な大きさとすることができ、また回折効果や拡散効果などがあるので被観察部に問題となるような影が写り込むようなことはない。
【0060】
近赤外レーザダイオード52による通常光L1のケラレについても、たとえば、非球面レンズ51としてレンズ径が50mmのEdmund製精密非球面レンズを使用し、近赤外レーザダイオードとして直径が5.6mmのEdmund製レーザダイオードを使用した場合には、その伝送効率は1−(5.6/50)=99%となるので特に問題はない。
【0061】
また、本実施形態においては、励起光L2として近赤外光を用いるようにしたが、これに限らず、広帯域の波長からなる通常光よりも狭帯域の波長が用いられる。そして、励起光L2は、上記波長域の光に限定されず、蛍光色素の種類もしくは自家蛍光させる生体組織の種類によって適宜決定されるものである。
【0062】
次に、本実施形態の硬性鏡システムの作用について説明する。
【0063】
まず、光源装置2に接続されたライトガイドLGのコネクタCが体腔挿入部30の挿入部材30bのケーブル接続部30cに接続されるとともに、プロセッサ3に接続されたケーブル5のコネクタ5bが撮像ユニット20に接続される。
【0064】
次に、光源装置2の電源がオンされた後、使用者により体腔挿入部30が体腔内に挿入され、体腔挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0065】
そして、光源装置2の可視光ランプ50から通常光L1が射出され、その通常光L1は非球面レンズ51によって略平行光にされたあと集光レンズ55に入射され、集光レンズ55によってライトガイドLGの光入射端面60に入射される。一方、光源装置2の
近赤外レーザダイオード52から励起光L2が射出され、その励起光L2はコリメートレンズ54を透過したあと集光レンズ55に入射され、集光レンズ55によってライドガイドLGの光入射端面60に入射される。
【0066】
そして、通常光L1と励起光L2とはライトガイドLGによって導光されて体腔挿入部30内のマルチモード光ファイバ30gの光入射端面から入射され、マルチモード光ファイバ30gによって導光された通常光L1および励起光L2が体腔挿入部30の先端から被観察部に向けて照射される。
【0067】
そして、上述したような通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像が撮像されるとともに、励起光L2の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像が撮像される。なお、被観察部には、予めICGが投与されており、このICGから発せられる蛍光を撮像するものとする。
【0068】
具体的には、通常像の撮像の際には、通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像L4が挿入部材30bの先端部30Yから入射し、挿入部材30b内のリレーレンズ30fにより導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0069】
撮像ユニット20に入射された通常像L4は、ダイクロイックプリズム21により撮像素子26に向けて直角方向に反射され、第2結像光学系25により撮像素子26の撮像面上に結像され、撮像素子26によって所定のフレームレートで順次撮像される。
【0070】
撮像素子26から順次出力された通常画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブル5を介してプロセッサ3に順次出力される。
【0071】
そして、プロセッサ3に入力された通常画像信号は、通常画像入力コントローラ41において一時的に記憶された後、メモリ44に格納される。そして、メモリ44から読み出された1フレーム毎の通常画像信号は、画像処理部43において階調補正処理およびシャープネス補正処理が施された後、ビデオ出力部45に順次出力される。
【0072】
そして、ビデオ出力部45は、入力された通常画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて通常画像を表示する。
【0073】
一方、蛍光像の撮像の際には、励起光L2の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像L5が挿入部材30bの先端部30Yから入射し、挿入部材30b内のリレーレンズ30fにより導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0074】
撮像ユニット20に入射された蛍光像L5は、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を通過した後、第1結像光学系23により高感度撮像素子24の撮像面上に結像され、高感度撮像素子24によって所定のフレームレートで撮像される。
【0075】
高感度撮像素子24から順次出力された蛍光画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブル5を介してプロセッサ3に順次出力される。
【0076】
そして、プロセッサ3に入力された蛍光画像信号は、蛍光画像入力コントローラ42において一時的に記憶された後、メモリ44に格納される。そして、メモリ44から読み出された1フレーム毎の蛍光画像信号は、画像処理部43において所定の画像処理が施された後、ビデオ出力部45に順次出力される。
【0077】
そして、ビデオ出力部45は、入力された蛍光画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて蛍光画像を表示する。
【0078】
また、上記実施形態の硬性鏡システムおいては、上述したように通常光L1の光路上に近赤外レーザダイオード52を設けるようにしたので、通常光L1が近赤外レーザダイオード52に照射されることによって近赤外レーザダイオードが発熱して故障してしまうおそれがある。
【0079】
そこで、図5に示すように、非球面レンズ51の可視光ランプ50側の一部の面に対し、近赤外レーザダイオード52への通常光L1の照射を妨げる遮光部材56(発熱抑制部材)を設けるようにしてもよい。この遮光部材56としては、通常光L1を反射する部材を用いるようにしてもよいし、通常光L1を吸収する部材を用いるようにしてもよい。なお、遮光部材56として、通常光L1を反射する部材を用いる場合には、通常光L1を反射する方向が可視光ランプ50方向以外の方向となるように構成することが望ましい。
【0080】
また、図5においては、非球面レンズ51の可視光ランプ50側に遮光部材56を設けるようにしたが、これに限らず、非球面レンズ51の近赤外レーザダイオード52側に設けるようにしてもよいし、もしくは非球面レンズ51とは分離して設けるようにしてもよい。
【0081】
また、図6に示すように、近赤外レーザダイオード52の可視光ランプ50側に通常光L1を反射するような反射部材57を設けるようにしてもよい。この反射部材57についても、通常光L1を反射する方向が可視光ランプ50方向以外の方向となるように構成することが望ましい。もしくは、反射部材57の代わりに、近赤外レーザダイオード52に対して断熱部材を設けるようにしてもよい。断熱部材の材料としては公知の材料を使用することができる。また、近赤外レーザダイオード52に対して断熱部材と反射部材との両方を設けるようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態の硬性鏡システムにおいては、近赤外レーザダイオード52およびコリメートレンズ54を集光レンズ55の光軸上に配置するようにしたが、光軸上に限らず、光軸以外の光軸に平行な直線上に近赤外レーザダイオード52およびコリメートレンズ54を設けるようにしてもよい。
【0083】
具体的には、たとえば、図7に示す光源装置6のように、集光レンズ55の径方向についての端部近傍を励起光L2が通過するように平行光源部70を設けるようにしてもよい。
【0084】
ここで、図7に示すように平行光源部70を配置するようにした場合、集光レンズ55によって集光された励起光L2は、ライトガイドLGの光入射端面60の垂直方向(光軸方向)に対して所定の入射角度だけ傾斜した方向から入射することになる。このようにライトガイドLGの光入射端面60に対して所定の入射角度だけ傾斜した方向から励起光L2を入射した場合、ライトガイドLGの光入射端面60に対して垂直方向から励起光L2を入射した場合と比較すると、被観察部に照射される励起光L2の照射範囲を広げることができる。したがって、比較的広い励起光L2の照射範囲を確保したい場合には、図7に示すような構成とする方が望ましい。
【0085】
図8は、ライトガイドLGの光入射端面60の垂直方向に対して入射角20°だけ傾斜させた方向から励起光L2を入射した場合の照度分布と、ライトガイドLGの光入射端面60に対して垂直方向から励起光L2を入射した場合の照度分布との実験データを示したものである。図8に示すように、ライトガイドLGの光入射端面60の垂直方向に対して入射角20°だけ傾斜させた方向から励起光L2を入射した場合、ライトガイドLGのマルチモード光ファイバ内を伝搬して出射される励起光L2は、ピークを有する照度分布を2つ形成することになり、これらの2つの照度分布が一部だけ重なりを持って分布することによって比較的広い範囲の照度分布を形成することができる。なお、励起光L2の入射角は20°に限らず、その他の入射角とするようにしてもよい。すなわち、励起光L2の入射角がその他の入射角となるように平行光源部70を配置するようにしてもよい。ただし、入射角を大きくし過ぎると2つの照度分布間の距離が大きくなるとともにその照度も小さくなり、十分な照度の励起光L2を照射することができなくなるので所定の上限値の範囲で入射角を設定することが望ましい。
【0086】
また、上記実施形態の硬性鏡システムにおいては、可視光ランプ50から射出された通常光L1を非球面レンズ51によって略平行にしてから集光レンズ55に入射させるようにしたが、これに限らず、たとえば図9に示す光源装置7のように非球面レンズ51を設けることなく、可視光ランプ50から射出された通常光L1を直接集光レンズ55に入射させるようにしてもよい。そして、このように構成する場合、近赤外レーザダイオード52とコリメートレンズ54とを備えた平行光源部70は、図9に示すように通常光L1の光路外の可視光ランプ50の近傍であって、かつ励起光L2が集光レンズ55に入射可能な位置に配置するようにしてもよい。このように平行光源部70を配置した場合も、図7に示した光源装置6と同様に、ライトガイドLGの光入射端面60に対して所定の入射角度だけ傾斜した方向から励起光L2を入射させることができるので、被観察部における励起光L2の照射範囲を広げることができる。
【0087】
なお、上記実施形態においては、第1の撮像系により蛍光画像を撮像するようにしたが、これに限らず、被観察部への特殊光の照射による被観察部の吸光特性に基づく画像を撮像するようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態は、本発明の光源装置を硬性鏡システムに適用したものであるが、これに限らず、たとえば、軟性内視鏡システムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 硬性鏡システム
2,6,7 光源装置
3 プロセッサ
4 モニタ
10 硬性鏡撮像装置
20 撮像ユニット
24 高感度撮像素子
26 撮像素子
30 体腔挿入部
30f リレーレンズ
30g マルチモード光ファイバ
50 可視光ランプ
51 非球面レンズ
52 近赤外レーザダイオード
54 コリメートレンズ
55 集光レンズ
56 遮光部材
57 反射部材
60 光入射端面
70 平行光源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散光を射出する拡散光源と、
平行光を射出する平行光源部と、
前記拡散光と前記平行光とを集光して所定の導光部材の光入射端面に入射させる集光レンズとを備え、
前記拡散光源と前記平行光源部とが、前記集光レンズの光軸に平行な直線上に配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記平行光源部が、前記拡散光の光路上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記平行光源部が、前記拡散光の光路上であって、かつ前記集光レンズの光軸上以外の位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の光源装置。
【請求項4】
前記平行光源部が、前記拡散光の光路外の前記拡散光源の近傍であって、かつ前記平行光が前記集光レンズに入射可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項5】
前記平行光源部から射出された平行光が、前記集光レンズの光軸以外の位置から入射されるものであることを特徴とする請求項4記載の光源装置。
【請求項6】
前記平行光源部への前記拡散光の照射による発熱を抑制するための発熱抑制部材が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の光源装置。
【請求項7】
前記拡散光源と前記平行光源部との間に設けられたレンズを有し、
前記発熱抑制部材が、前記レンズを透過して前記平行光源部に照射される前記拡散光を遮光する遮光部材であることを特徴とする請求項6記載の光源装置。
【請求項8】
前記遮光部材が、前記レンズに設けられていることを特徴とする請求項7記載の光源装置。
【請求項9】
前記遮光部材が、前記平行光源部に設けられていることを特徴とする請求項7記載の光源装置。
【請求項10】
前記遮光部材が、前記拡散光を反射する反射部材であることを特徴とする請求項7から8いずれか1項記載の光源装置。
【請求項11】
前記反射部材が、前記拡散光源が設置された方向以外の方向に前記拡散光を反射するものであることを特徴とする請求項10記載の光源装置。
【請求項12】
前記遮光部材が、前記拡散光を吸収する吸収部材であることを特徴とする請求項7から8いずれか1項記載の光源装置。
【請求項13】
前記発熱抑制部材が、前記平行光源部に対して設けられた断熱部材であることを特徴とする請求項6記載の光源装置。
【請求項14】
前記平行光源部が、レーザダイオードまたは発光ダイオードを有するものであることを特徴とする請求項1から13いずれか1項記載の光源装置。
【請求項15】
前記平行光源部が、前記平行光として近赤外光を射出するものであることを特徴とする請求項1から14いずれか1項記載の光源装置。
【請求項16】
前記拡散光源が、前記拡散光として白色光を射出するものであることを特徴とする請求項1から15いずれか1項記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−231834(P2012−231834A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100876(P2011−100876)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】