説明

光照射型美容装置

【課題】小型で把持な本体から複数の光美容効果を付与できる光照射型美容装置を提供する。
【解決手段】本発明の光照射型美容装置は把持して使用する本体1の一端に、光源33及びレンズ30を有し、上記光源33から発した光を上記レンズ30を介して生体の皮膚に照射するものであって、光源33及びレンズ30を収納した照射ユニット22あるいは光源33及びレンズ30を覆うカバー48の少なくとも一方を交換可能で複数有しており、本体1に上記複数の照射ユニット22あるいは複数のカバー48の中からのいずれを装着するかにより、皮膚に照射する光の波長を変更できるものである。これにより、変更された照射光毎に夫々異なる光美容効果を皮膚に付与できて、一つの本体1で複数の光美容効果が得られて、使い勝手を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射型美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1や特許文献2のように、生体の皮膚にフラッシュライトを照射することで、シミの除去や、殺菌によるニキビの解消等の肌ケアや、脱毛等の光美容を行う光照射型の美容装置がある。そして、照射光の波長により得られる光美容効果が夫々異なるため、一つの装置で複数の光美容効果の得られる複数の波長の光を照射可能な美容装置が求められている。
【0003】
詳しくは、脱毛では、毛髪を焦がして短期間で脱毛するものや、毛根細胞の活動を抑えて毛髪の成長を抑制して長期間かけて脱毛するもの等がある。そして、シミケアでは、シミの原因となるメラニン等の色素を光分解する短期間でシミを除去するものや、生体細胞を活性化させて上記色素の排出を促進する長期間かけてシミを除去するもの等がある。そして、上記短期間で光美容効果を得るものでは、光照射時に熱さ等の痛みを被施療者に生じるため、被施療者の体調や体質、嗜好等に応じて、いずれの方法を用いるかを選択できる光照射型美容装置が求められている。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1のように、複数の光源からの光を一つの照射プローブから皮膚に照射することで、一つの装置で複数の波長の光を照射可能とした光脱毛装置(光照射型美容装置)がある。詳しくは、赤色及び青色光の可視光領域の波長を有する二種の光源と、皮膚に光を照射する一つの照射プローブと、各光源と照射プローブの間に設けた光混合部等の連結部と、からなり、各光源からの光を連結部により照射プローブに導入するものである。そして、発光させる光源を切り換えることで、皮膚に赤色光と青色光の二つの波長の光を照射可能とし、赤色光による温熱効果と、青色光による毛根細胞の破壊による脱毛と、を行うものである。
【0005】
また、特許文献2のように、フィルターにより光源からの光のうち所定の波長の光をカットすることで、照射口から照射する光の波長を変更可能とした光学式美容機器(光照射型美容装置)がある。詳しくは、一つの光源と、光源からの光を皮膚に照射する照射部を有したハンドピースと、ハンドピースに着脱自在で夫々異なる波長の光を遮断する複数のフィルターと、を有したものである。そして、上記フィルターの一つをハンドピースに装着させることで、装着されたフィルターに応じた波長の光がカットされて、フィルターを透過した残りの波長の光を皮膚に照射するものである。つまり、フィルターを交換して照射光からカットする波長を切り換えることで、複数の波長の光を皮膚に照射可能としたものである。更に、上記フィルターはフィルター支持体にレンズ面が挟持されており、ハンドピースに装着した際にフィルター支持体によりレンズ面にがたつきが生じることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第1926400号公報
【特許文献2】特許第3638596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では複数の光源を切換自在で装置に備えたため、専門の業者が使用する大型で高価なものとなっており、装置本体を把持して使用可能な使い勝手のよいハンディタイプの安価な光照射型美容装置が望まれている。特に、痛みを生じない長期間を要する方法での光美容は、長期間の通院が必要となるため、継続して光美容を受けることが時間及び費用面等で難しいという問題がある。
【0008】
また、特許文献2ではフィルター支持体が高分子樹脂製であるため接着剤を併用してレンズ面を固定しており、発光時の発熱により上記樹脂や接着剤の軟化や分解等で支持力の低下を招いてしまい、使用中にフィルターにがたつきを生じることがある。そして、上記支持力を向上させるにはレンズ面を挟持する範囲を広げることとなり、フィルターの光透過領域であるレンズ面の有効面積を減少させてしまい、皮膚への照射効率が低下してしまう。
【0009】
そこで、本発明は上記事情に鑑みて発明したものであり、複数の波長の光を照射可能で且つ本体を把持して使用可能な小型で使い勝手のよい光照射型美容装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の光照射型美容装置は、把持して使用する本体1の一端に、光源33及びレンズ30をケース内に収納した照射ユニット22が装着されており、上記光源33から発した光を上記レンズ30を介して生体の皮膚に照射するものである。そして、上記照射ユニット22を交換用に複数有すると共に、上記照射ユニット22毎に上記皮膚に照射される光の波長が夫々異なるものであることを特徴としている。
【0011】
このような構成としたことで、本体1に装着する照射ユニット22を取換・交換することで、皮膚に照射する照射光の波長を変更することができる。そして、照射光の波長が変わるため、皮膚に付与される光美容効果も変更される。つまり、複数の照射ユニット22が夫々異なる光美容効果を皮膚に付与するものであるため、いずれの照射ユニット22を本体1に装着するかによって、容易に皮膚に付与する光美容効果を切換可能となっている。
【0012】
また、前記照射ユニット22の少なくとも一つは、他の照射ユニット22と異なる波長の光を発する光源33を備えたものや、前記光源33の発した光から一部の波長の光を吸収する光学フィルター58を備えたものであることが好ましい。特に、光学フィルター58を備えたものでは、前記レンズ30が前記光学フィルター58を兼ねたものであることが好ましい。
【0013】
また、前記照射ユニット22の少なくとも一つは他の照射ユニット22と照射面積が異なる生体の特定部位に特化したものであることが好ましい。
【0014】
また、本発明の光照射型美容装置は、把持して使用する本体1の一端に光源33及びレンズ30を備えると共に、上記光源33及びレンズ30を覆い上記光源33の発した光が上記レンズ30から導光される照射口56の開口したカバー48が上記一端に装着されている。そして、上記照射口56には上記導光された光から一部の波長の光を吸収する光学フィルター58が設けてある。尚且つ、上記カバー48を交換用に複数有すると共に、上記カバー48毎に吸収する波長が異なり、カバー48を交換することで皮膚に照射する光の波長を変更するものであることを特徴としている。
【0015】
このような構成としたことで、本体1に装着するカバー48を取換・交換することで、皮膚に照射する照射光の波長を変更することができる。そして、照射光の波長が変わるため、皮膚に付与される光美容効果も変更される。つまり、各カバー48が夫々異なる光美容効果を皮膚に付与するものであるため、いずれのカバー48を本体1に装着するかによって、容易に皮膚に付与する光美容効果を切換可能となっている。
【0016】
また、前記カバー48が前記照射口56を端部に有したフレームを備えており、上記フレームの照射口56を有する端部が皮膚に当接することで光源33を発光させる発光スイッチ11が電気信号を出力し、上記電気信号が一定時間継続することで、光源33が発光されるものであることが好ましい。
【0017】
また、前記光源33はキセノン管34aあるいはハロゲンランプ34bを用いたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上記のように、本発明の光照射型美容装置は照射ユニットやカバーを交換することで、皮膚に照射する照射光の波長が変更されるため、皮膚に付与する光美容効果を変更することができる。つまり、一つの本体で複数の光美容効果を容易に切り換えて付与することができて、使い勝手の向上した光照射型美容装置となっている。
【0019】
また、光源の発する光を異なるものとしたことで、照度や光量も容易に変更することができて、より光美容効果を向上させることができる。
【0020】
また、光学フィルターにより照射光の波長を変更したことで、照射ユニット毎の波長差を精密で且つ容易に変更することができる。
【0021】
また、レンズが光学フィルターを兼ねたことで、照射ユニットの構成部材の増加や形状の変更を防止できて、複数製造する照射ユニットの形状差や構成部材の増加等によるコスト増を抑制することができる。
【0022】
また、照射ユニットの一つを生体の特定部位用に特化させたことで、特定部位に対する使い勝手及び光照射時の安全性を向上することができる。
【0023】
また、フレームの皮膚への当接が一定時間以上継続することで光源が発光するものとしたことで、光照射時にフレームの皮膚への当接が確保されるため、照射口を確実に皮膚に密着して照射光を照射することができる。つまり、光照射時に照射口と皮膚の間に隙間が発生せず、照射光が外部に漏れることを防止できて、安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の光照射型美容装置の(a)正面図、(b)側面図である。
【図2】同上の装置の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図である。
【図3】同上のカバーを離脱した装置の斜視図である。
【図4】照射ユニットの分解斜視図である。
【図5】照射ユニットの(a)正面図、(b)C−C断面図である。
【図6】離脱させたカバーの(a)正面図、(b)E−E断面図、(c)フロートフレームの斜視図である。
【図7】交換用の照射ユニットの(a)正面図、(b)D−D断面図、(c)本体装着時の斜視図である。
【図8】光学フィルターを備えたフロートフレームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0026】
本発明の光照射型美容装置は、図1〜3に示すように、把持して使用可能な円筒形状の本体1と、光源33及びレンズ30を備えた照射ユニット22と、皮膚に当接するフロートフレーム54を備えたカバー48と、からなるものである。そして、光源33の発した光はレンズ30を介してフロートフレーム54に設けた照射口56に導光されて、皮膚のフロートフレーム54に囲まれ照射口56と向かい合う部位に照射されるものである。更に、上記照射ユニット22及びカバー48は夫々本体1から着脱自在となっている。
【0027】
詳しくは、上記本体1の内部に、二次電池等の電源2と、光源33のフラッシュ発光用の電荷を蓄えるコンデンサ3と、コンデンサ3の蓄電量や温度の変化を検知して蓄電・放電制御を行う制御部(特に図示しない)を有した回路基板4と、を備えている。そして、本体1の外周面には、電源2のオンオフや蓄電開始等の外部操作を行う操作スイッチ5と、上記外部操作や充電完了や異常等を外部に表示するLED等の報知部6と、電源2の充電用の充電端子7と、カバー48の本体1への係止を解く係止操作部8と、が配設されている。
【0028】
また、上記本体1の軸方向の一端は円筒の中心軸に対して傾斜した傾斜面10となっており、該傾斜面10の略中央に照射ユニット22が取り付けられており、上記照射ユニット22及び傾斜面10をカバー48が覆っている。そして、本体1の軸方向の他端は軸に直交した平面であり、該平面には回路基板4の設定をリセットするリセットスイッチ9が凹設されている。
【0029】
上記傾斜面10は、上記係止操作部8で解除可能にカバー48を係止する係止部15と、光源33の発光の引き金となる発光スイッチ11と、照射ユニット22に係合して照射ユニット22を傾斜面10に装着させる装着部18と、を有している。上記係止部15はカバー48に設けたフック51を係止する係止突起16からなり、係止突起16は本体1内面に弾性体17を介して支持されており、係止操作部8の外部操作により弾性体17の付勢に抗してフック51との係止を解くものである。
【0030】
そして、発光スイッチ11は、押圧されると光源33を発光させる電気信号を回路基板4に出力するスイッチ部12と、スイッチ部12を押圧する押圧片13と、押圧片13を傾斜面10に直交する方向でスイッチ部12を押圧する向きとは逆向きに付勢する弾性体14と、からなるものである。上記弾性体14の付勢に抗して押圧片13がスイッチ部12を押圧することで、上記電気信号が出力されるものであり、電気信号が回路基板4に約3秒間継続して入力されることで、回路基板4が光源33の発光を許可し光源33が発光するものとなっている。
【0031】
また、上記装着部18は、傾斜面10と直交する向きに先端開口を有したU字形状の爪19と、照射ユニット22の装着を検知するユニット検知部20と、装着された照射ユニット22と本体1の回路基板4を電気的に接続する本体側コネクタ21と、からなるものである。上記爪19は本体側コネクタ21の両側に夫々配置されており、照射ユニット22の両側に係合することで、傾斜面10に照射ユニット22を装着保持するものである。
【0032】
上記傾斜面10に装着される照射ユニット22は、図3〜5に示すように、略長方形状の開口を一端に有し他端である底部が傾斜面10に当接した状態で保持される箱形状となっており、該箱は二つ割りのユニットケース24により形成されている。
【0033】
そして、箱の底部にはユニット検知部20に照射ユニット22の装着を検知させる検知用突起25を有すると共に、上記底部の略中央にユニット側コネクタ27の露出した凹所26を有しており、本体1装着時にユニット側コネクタ27と本体側コネクタ21が電気的に接続される。更に、箱の開口の長手方向の両方の端面には夫々上記爪19と係脱自在の係合突起28を備えており、係合突起28は夫々一方の爪19のU字の間に挟まれることで係合し、照射ユニット22を装着部18に保持するものである。
【0034】
つまり、爪19と係合突起28の係脱は傾斜面10に直交する向きに照射ユニット22を動かすことで行われるものであり、係合突起28を爪19のU字の開口側から底部側に向けて押込むことで係合し、係合した係合突起28をU字の開口側に引っ張り出すことで離脱するものである。そして、上記爪19と係合突起28の係脱を行う向きの一方が照射ユニット22からの照射光が進行する照射方向Fとなっている。なお、上記両端面に直交する長手方向に沿った側面には装着部18との係脱時に把持した指の滑りを防止する凹凸部29を有しており、上記係合突起28と爪19との係脱時に照射ユニット22を把持した指の滑り止めとなっている。
【0035】
このように、照射ユニット22はドライバーやスパナ等の工具を使用することなく本体1に押込むあるいは本体1から引っ張ることで容易に着脱できて、光照射型美容装置の製造や使用に精通していない者でも簡単に照射ユニット22を交換することができる。そのため、光源33の劣化や光源33とレンズ30の位置ずれ等の不具合の生じた照射ユニット22の新品への交換や、異なる波長の光を照射する照射ユニット22への交換等の他の照射ユニット22へ容易に取換交換することができるものとなっている。
【0036】
なお、工具を使用せずに照射ユニット22を着脱自在で保持する手段として、上記U字の爪19で係合突起28を挟持する構成の他にも、凹凸やフックやファスナー等による係合手段があり、照射ユニット22の形状や装着部18の形状に応じて適宜設定するものである。もちろん、工具が不要であれば、照射ユニット22の外面にねじ山を形成し、照射ユニット22を把持して回転させて装着部18に螺合させて傾斜面10に保持させるものであってもよい。
【0037】
また、照射ユニット22の箱の開口は光源33からの光をユニット外部に放出する放出口であり、レンズ30が箱の上記開口を覆う蓋として二つのユニットケース24に挟持固定されている。そして、上記レンズ30は、開口を覆い光源33の光を照射方向Fに向けて外部に放出するレンズ面31と、レンズ面31の外端全周に延設された枠部32と、からなる断面コ字状のものであり、枠部32の外面がユニットケース24の内壁に固定保持されている。つまり、上記レンズ面31が箱の開口と略同形状で開口を覆う蓋であり、レンズ30から放出される光である照射光は開口に直交する照射方向Fのみに進むよう上記レンズ面31及び後述の反射板37により補正されており、凹レンズ30や凸レンズ30等の調光レンズ30が好ましい。
【0038】
そして、上記箱の内部には、光源33であるキセノン管34aと、光源33の光を反射しレンズ30に導光する反射板37と、光源33及び反射板37をユニットに保持する保持部39と、コネクタと光源33を電気的に接続する回路部35と、を備えている。なお、上記回路部35において、符号36は光源33にトリガー電圧を印加するトリガートランスであり、図4及び図5中では、光源33と回路部35を繋ぐ配線を省略している。
【0039】
上記反射板37はレンズ面31と略同じ寸法形状の開口を有したカップ状の金属板であり、開口を形成する端部はレンズ30のコ字形状の内側の空間に配置されて枠部32の内壁及びレンズ面31の内面に当接している。そして、カップの長手方向の両方の端面の底部側に夫々互いに連通した貫通孔38を有しており、光源33が両貫通孔38,38を連通する形で反射板37の内側に配置されている。そのため、光源33の発した光が反射板37の内面に反射して、上記レンズ面31の全体に略均一に分布して導光されるものとなっている。
【0040】
また、上記光源33及び反射板37を保持する保持部39は、光源33を反射板37に固定する二つのリング45と、反射板37の底部及び外面に接する基台40と、レンズ30に基台40を固定する係合部44bと、反射板37の底部と基台40の間に配置されたクッション46と、からなるものである。
【0041】
上記リング45は弾性体からなり、夫々内周に光源33の貫通孔38から反射板37の外側に突出した端部が無理嵌めされると共に、二つのリング45の対向する面が夫々反射板37の上記端面に当接されている。そのため、該リング45を介して光源33が反射板37に固定保持されており、光源33の反射板37に対する位置ずれが防止されている。
【0042】
また、基台40は、上記クッション46が載置される載置面を有した底板41と、底板41から延設された複数の柱42と、底板41の載置面に対向する位置で各柱42の先端を結ぶ矩形状の枠材43と、からなるものである。そして、基台40の載置面と柱42と枠材43で囲まれた空間に反射板37が配置されるものであり、基台40の係合部44bがレンズ30の枠部32に設けた被係合部44aに係合することで、基台40によりクッション46を介して弾性的に反射板37がレンズ30に押し付けられてユニットケース24に固定保持される。
【0043】
つまり、基台40は反射板37を覆うカップ形状であり、カップの端面及び側面に光源33の発した熱を外部に放出し冷却する放熱口47を備えたものである。そして、光源33及び反射板37は保持部39を介して弾性的にユニットケース24に固定保持されており、照射ユニット22の本体1からの着脱時や、本体1の取落し等の衝撃により光源33や反射面に位置ずれを生じることを防止して、安定した光照射を確保している。
【0044】
また、カバー48は、図6に示すように、光を透過しない遮光部材で形成された矩形の筒形状のフロートフレーム54と、上記フロートフレーム54をフロート自在で支持するカバー部材49と、を有したものである。
【0045】
上記カバー部材49は中空で照射方向Fに頂を有した山形であり、頂及び麓の両方が開口した筒形状となっている。詳しくは、山の麓側の端部50は前記傾斜面10の外周に沿った環状で開口しており、該麓側の端部50にはフック51が延設されている。そのため、フック51が傾斜面10の係止部15に係合すると、カバー48が本体1に装着され、係止操作部8が外部操作されて係合が解かれると、カバー48が本体1から離脱するものであり、カバー48も照射ユニット22と同様に工具を使用することなく本体1から着脱可能なものとなっている。
【0046】
そして、照射方向Fの先端側である山の頂側の端部52は麓側の開口より小さく且つ上記フロートフレーム54の外周を覆う矩形状に開口しており、該頂側の開口をフロートフレーム54が塞いでいる。つまり、カバー部材49は傾斜面10及び照射ユニット22を覆うと共に、頂上にフロートフレーム54を浮かせて配置したものとなっている。
【0047】
また、上記フロートフレーム54は照射ユニット22の箱の外周より大きい形状の内部空間を有した筒であり、本体1にカバー48を装着した際に上記内部空間に照射ユニット22が位置するものである。そして、フロートフレーム54のカバー部材49の頂側に位置する端部は皮膚に当接する当接部55であり、該端部の開口は照射ユニット22のレンズ30と照射方向Fに一直線に並んでおり、照射ユニット22からの照射光を皮膚に照射する照射口56となっている。
【0048】
更に、上記照射口56には格子状の透光部材57が配置されており、当接した皮膚が照射口56からフロートフレーム54の内部に入り込むことを抑えて、光源33の発光で高温に過熱したレンズ30に皮膚が接触して火傷等を負うことを防止している。なお、上記透光部材57とはレンズ30から導光された光を透過可能な部材であり、透過される光は反射板37及びレンズ30により調節された光量の分布及び光の進行方向が変化しないものである。つまり、透光部材57は照射光の分布を不均一化せず且つ照射方向Fにのみ透過する形状及び材質のものである。
【0049】
このように、レンズ30から放出された照射方向Fに進む照射光はフロートフレーム54の遮光部材に覆われた内部空間を通って照射口56から皮膚へと照射されており、照射光は進行方向を照射方向Fからずらされずに照射口56及び透光部材57を介して皮膚の照射口56に対向する部位に照射されている。
【0050】
また、上記フロート自在とは、カバー48部に対してフロートフレーム54が照射方向Fに沿ってスライド移動可能であると共に、フロートフレーム54が照射方向Fの先端側である皮膚側に向けてばね等の弾性体62により付勢されて上記カバー部材49に支持された状態である。
【0051】
詳しくは、フロートフレーム54の筒の外面に、カバー部材49に対してフロートフレーム54を上記スライド移動させるスライドガイド59と、上記スライドをロックするロック用突起60と、照射方向Fに付勢する弾性体62と、上記弾性付勢によるカバー部材49からの抜け止めを行う支持突起61と、を備えている。そのため、光照射時にフロートフレーム54の当接部55を皮膚に押し付けると、弾性体62の付勢に抗してフロートフレーム54が照射方向Fと逆向きにカバー部材49の内側にスライドしながら沈み込むものである。
【0052】
このように、フロートフレーム54を遮光部材で形成しカバー部材49にフロート自在としたことで、照射時に皮膚とフロートフレーム54が弾性的に接触して、押圧による痛みの発生を抑制すると共に、皮膚にフロートフレーム54を密着させることができる。そのため、照射光の一部が皮膚で反射してもフロートフレーム54により外方に漏れることが防止されて、照射光が眼に入る等の危険を確実に防止できて、安全性が高いものとなっている。
【0053】
そして、上記照射口56に透光部材57を配置したことで、フロートフレーム54の皮膚当接時に皮膚がフロートフレーム54の内周側に入り込みレンズ30に接触することがなく、発光で高温となったレンズ30に接触して火傷する等の危険を確実に防止している。なお、上記ロック突起はカバー部材49の外面に設けた操作摘み53を上記フロートフレーム54のスライド方向である照射方向Fと直交する向きにスライド操作することで、ロック状態と非ロック状態が切り換わるものとなっている。
【0054】
更に、上記フロートフレーム54のカバー部材49の内側に位置する他方の開口を形成する端部には押圧突起63が照射方向Fと逆向きに突出して設けられている。上記押圧突起63は発光スイッチ11の押圧片13を照射方向Fと逆向きに押圧して、押圧片13にスイッチ部12を押させるものである。
【0055】
つまり、皮膚当接時にフロートフレーム54がカバー48の内側に沈み込むことで、押圧突起63が発光スイッチ11の弾性体14の付勢に抗して押圧片13を本体1内部側に押込み、押圧片13に押圧されたスイッチ部12がオンとなり、電気信号を出力するものである。このとき、上記フロートフレーム54が皮膚に当接されている間、押圧突起63によるスイッチ部12の押圧も継続されるため、皮膚当接中は発光スイッチ11が電気信号を出力し続けるものとなっている。
【0056】
このように、フロートフレーム54がスライドにより発光スイッチ11をオンにするものとしたことで、フロートフレーム54を皮膚へ当接し押し当てると共に上記押し当てた状態を維持することが光源33を発光させる発光条件となり、光照射時である光源33の発光時に、フロートフレーム54と皮膚を確実に密着させることができる。そして、光照射時にフロートフレーム54が皮膚に密着しているため、皮膚に照射した光が反射や拡散してもフロートフレーム54の外周に漏れることがなく、安全性の高いものとなっている。
【0057】
また、本例の光照射型美容装置は上記照射ユニット22に加えて、照射光の波長が異なる交換用の照射ユニット23bを二つ有しており、本体1にいずれの照射ユニット22を装着するかにより皮膚に付与する光美容効果を変更可能となっている。なお、便宜上、前述で説明した照射ユニット22を主照射ユニット23aと記載して交換用の照射ユニット23bと区別し、主照射ユニット23aと交換用の照射ユニット23bの差異点のみを以下に説明する。
【0058】
上記主照射ユニット23aは光照射により毛髪の成長抑制を行う脱毛(抑毛)用となっており、交換用の照射ユニット23bの一つはメラニン等の色素の排出促進を行うシミケア用となっており、他の一つはアクネ菌等の原因菌を死滅させるニキビケア用となっている。そして、交換用の照射ユニット23bは、主照射ユニット23aと違い眼や唇に近傍である頬が光を照射する照射部位となるシミケア用あるいはニキビケア用であるため、レンズ面31を狭めて照射光により眼の網膜や口腔内の粘膜等が損傷することを防止している。
【0059】
詳しくは、図7に示すように、レンズ30が主照射ユニット23aより小さく、レンズ30の外周を基台40の枠材43が覆っており、レンズ30が枠材43を介してユニットケース24に固定保持されている。そのため、フロートフレーム54を眼や唇の近傍に当接しても、照射光の当たる照射部位からユニットケース24及び枠材43の厚さの分だけ眼や唇から離すことができて、眼や唇に照射光を照射することを防止している。つまり、交換用の照射ユニット23bは生体の顔面に対して使用することに特化した照射ユニット22となっている。
【0060】
そして、交換用の照射ユニット23bは、光源33にハロゲンランプ34bを用いており、照射光は主照射ユニット23aより紫外線側の波長域が広く、且つキセノン管34aより輝度が大きいものとなっている。なお、キセノン管34aとハロゲンランプ34bの波長域の上記差は例示にすぎず、互いの波長領域が重ならないものや、ハロゲンランプ34bが近赤外光側に波長域が広く有したものであってもよく、照射ユニット22毎の光美容効果に応じて設定された領域であり且つ他の照射ユニット22と波長域に差を有していればよい。
【0061】
また、シミケア用の照射ユニット22はニキビケア用の照射ユニット22と違いレンズ30が一部の波長の光を吸収して透過しない光学フィルター58を兼ねたものとなっており、ハロゲンランプ34bの発した光から皮膚に痛みを生じる波長域の光を遮断して、残りの波長の光を照射口56に導光している。そのため、ニキビケア用の照射ユニット22より狭い波長域の照射光を放出する照射ユニット22となっており、シミケア時に皮膚に痛みを生じないものとなっている。
【0062】
このように、夫々異なる波長の照射光を照射する照射ユニット22を交換可能で複数備えたことで、本体1に装着させる照射ユニット22を取換交換することで、皮膚に照射する照射光の波長を変更することができる。つまり、照射ユニット22を取り換えるだけで、一つの本体1から複数の光美容効果を付与できる使い勝手のよい光照射型美容装置となっている。特に、照射ユニット22の着脱に工具が不要であるため、光照射型美容装置の使用に精通していない素人であっても光照射により皮膚に付与する光美容効果の種類を容易に変更することができるものとなっている。
【0063】
また、各照射ユニット22のユニットケース24やユニット側コネクタ27等の外観を形成する部材が共通であるため、交換用の照射ユニット23b用に装着部18の形状を変更するあるいは新たな保持手段を追加する必要がないものとなっている。つまり、構成部材の増加や形状差による生産時の組立て手順の差等による生産性の低下を防止して、複数の照射ユニット22の生産によるコストの増加を抑制している。特に、交換用の照射ユニット23bの形状は略同じであるため、生産コストをより低減することができるものとなっている。
【0064】
また、交換用の照射ユニット23bは主照射ユニット23aと光源33及びレンズ30のサイズが異なっており、レンズ30を覗くだけで、レンズ面31のサイズや光源33の形状から主照射ユニット23aか交換用の照射ユニット23bかを判断可能となっている。そして、交換用の照射ユニット23bにおいても、一つが光学フィルター58を有するため、光学フィルター58に有色のものを用いることで、レンズ30の色からいずれの交換用の照射ユニット23bかを判断可能となっている。
【0065】
なお、交換用の照射ユニット23bはニキビケアとシミ用に二つに限らず、短期間での脱毛やシミケア用等の他の光美容・理容用の照射ユニット22であってもよい。もちろん、顔面用に限らず、レンズ面31を略楕円形状や円形状にして、ほくろ除去・低減用等としてもよい。ましてや、主照射ユニット23aのレンズ面31より大きくしてもよく、このとき、フロートフレーム54のスライド動作をレンズ面31の大きい交換用の照射ユニット23bが阻害しないために、カバー48も照射口56の大きいものに交換することが好ましい。
【0066】
更に、各照射ユニット22は検知用突起25の突出量等の形状や、位置、数等が異なっており、ユニット検知部20の検知信号から本体1に装着された照射ユニット22の種類を回路基板4の制御部が容易に判断できるものとなっている。そのため、照射ユニット22毎の光美容効果に応じて制御部が光源33の発光量や発光時間、発光条件等を調節する発光制御を行い、光照射による光美容効果をより向上させると共に、安全性及び使い勝手が向上されている。特に、光源33にハロゲンランプ34bを用いたものではフラッシュ発光ではなく一定時間発光させ続ける発光制御を行うことがあるため、発光制御の変更時にコンデンサ3の充電動作を省略して直接電源2から照射ユニット22に電力供給できるように回路基板4を切換可能としてもよい。
【0067】
なお、光学フィルター58毎に遮断する波長域を変えれば、交換用の照射ユニット23bを三つ以上有することができるのはもちろん、光源33にキセノン管34aを用いたものに光学フィルター58を設けてもよい。ましてや、光源33の発する光の波長が異なるものであれば、光学フィルター58の遮断する波長域が同じであってもよい。そして、レンズ30が光学フィルター58を兼ねずに、反射板37とレンズ30の間に光学フィルター58を別部材として配置してもよく、光学フィルター58は照射ユニット22に設けられ光源33の発した光から一部の波長の光を遮断するものであればよい。
【0068】
また、カバー48も照射光の波長変更用の交換カバー48として複数有している。上記交換用のカバー48は、図8に示すように、フロートフレーム54の透光部材57が格子状ではなく照射口56の開口全体を覆う面状となっており、透光部材57が一部の波長の光を遮断する光学フィルター58となっている。つまり、交換用のカバー48毎に透光部材57を透過可能な光の波長が異なるものであり、本体1に装着したカバー48に応じて、照射口56から皮膚に照射される光の波長が異なるものとなっている。
【0069】
そのため、本体1に装着するカバー48を交換することで、光美容効果を変更できるものである。特に、カバー48の着脱に工具が不要であるため、容易にカバー48を取り換えることができて、使い勝手のよい光照射型美容装置となっている。そして、光学フィルター58を有するカバー48と、光学フィルター58を有しないカバー48とで、透光部材57の形状が異なるため、容易に光の一部を遮断するカバー48か否かを判断可能である。更に、光学フィルター58に有色のものを用いれば、光学フィルター58を備えたカバー48毎の区別を各光学フィルター58の色で行えて好ましい。
【0070】
もちろん、前述の照射ユニット22の交換と、上述のカバー48の交換を組合せてより細分化して照射光の波長を調節可能としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 本体
10 傾斜面
11 発光スイッチ
18 装着部
22 照射ユニット
23a 主照射ユニット
23b 交換用の照射ユニット
28 係合突起
30 レンズ
33 光源
34a キセノン管
34b ハロゲンランプ
48 カバー
53 フロートフレーム
55 照射口
56 透光部材
57 光学フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持して使用する本体の一端に、光源及びレンズをケース内に収納した照射ユニットが装着されており、上記光源から発した光を上記レンズを介して生体の皮膚に照射するものであって、上記照射ユニットを交換用に複数有すると共に、上記照射ユニット毎に上記皮膚に照射される光の波長が夫々異なるものであることを特徴とする光照射型美容装置。
【請求項2】
前記照射ユニットの少なくとも一つが他の照射ユニットと異なる波長の光を発する光源を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の光照射型美容装置。
【請求項3】
前記照射ユニットの少なくとも一つが前記光源の発した光から一部の波長の光を吸収する光学フィルターを備えたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光照射型美容装置。
【請求項4】
前記レンズが光学フィルターを兼ねたものであることを特徴とする請求項3に記載の光照射型美容装置。
【請求項5】
前記照射ユニットの少なくとも一つが他の照射ユニットと照射面積が異なる生体の特定部位に特化したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光照射型美容装置。
【請求項6】
把持して使用する本体の一端に光源及びレンズを備えると共に、上記光源及びレンズを覆い上記光源の発した光が上記レンズから導光される照射口の開口したカバーが上記一端に装着されており、上記レンズから導光された光を上記照射口を介して生体の皮膚に照射するものであって、上記照射口には上記導光された光から一部の波長の光を吸収する光学フィルターが設けてあり、且つ上記カバーを交換用に複数有すると共に、上記カバー毎に吸収する波長が異なり、カバーを交換することで皮膚に照射する光の波長を変更するものであることを特徴とする光照射型美容装置。
【請求項7】
前記カバーが前記照射口を端部に有したフレームを備えており、上記フレームの照射口を有する端部が皮膚に当接することで光源を発光させる発光スイッチが電気信号を出力し、上記電気信号が一定時間継続することで、光源が発光されるものであることを特徴とする請求項6に記載の光照射型美容装置
【請求項8】
前記光源がキセノン管あるいはハロゲンランプを用いたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光照射型美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−67454(P2011−67454A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221597(P2009−221597)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】