説明

光照射型美容装置

【課題】 生体表面との密着性を良くするとともに除毛部による除毛と光漏れのない光照射とを同時に行う。
【解決手段】 手で把持できる本体1の一端に、生体表面に対して光を照射する光照射部4を設けているとともに、生体表面の毛を除毛する除毛部3を上記光照射部4に隣接させて設けている光照射型美容装置である。上記本体1の一端に配された上記除毛部3と上記光照射部4のうちの一方が生体表面に対してフロート自在であるとともに、他方よりも生体表面側となる高い位置と他方よりも低い位置との間でフロート自在となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射型美容装置に関し、特に除毛部と、生体表面に光照射を行う光照射部とを備えた光照射型美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脱毛または剃毛をする除毛部と、生体表面に光を照射する光照射部とを備えている光照射型美容装置が特許文献1や特許文献2や特許文献3に示されている。これらはいずれも手で把持して使用できるコンパクトな本体の端面に除毛部と光照射部とを配置し、除毛と光照射とを同時に行うことができるようにしている。
【0003】
しかし、従来のものでは除毛部と光照射部とが固定的に配置されており、このために例えば腋のような凹凸のあるところの除毛と光照射とを行う時、除毛部が肌から離れて除毛を的確に行えなかったり、光照射部が肌から離れて光が漏れ出てしまったりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−360336号公報
【特許文献2】特開2004−254858号公報
【特許文献3】国際公開WO2008/090952
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、生体表面との密着性が良くて除毛部による除毛と光漏れのない光照射とを同時に行うことができる光照射型美容装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、手で把持できる本体の一端に、生体表面に対して光を照射する光照射部を設けているとともに、生体表面の毛を除毛する除毛部を上記光照射部に隣接させて設けている光照射型美容装置において、上記本体の一端に配された上記除毛部と上記光照射部のうちの一方が生体表面に対してフロート自在であるとともに、他方よりも生体表面側となる高い位置と他方よりも低い位置との間でフロート自在となっていることに特徴を有している。
【0007】
上記光照射部と上記除毛部の双方が夫々独立してフロート自在で光照射部はそのフロートによる最大沈み位置で発光を行うものであり、上記除毛部は上記光照射部の上記最大沈み位置よりも生体表面側となる高い位置と上記光照射部の上記最大沈み位置よりも低い位置との間でフロート自在となっているものであってもよい。
【0008】
また、上記除毛部をそのフロートによる最大沈み位置よりも更に深い位置まで引き下げるとともにこの時には除毛部の駆動動作を停止させる除毛動作解除手段を備えていることも好ましい。
【0009】
上記光照射部と上記除毛部とが本体の一端に設けられた共通のフレームに取り付けられて該フレームの一面に上記光照射部と上記除毛部とが突出しているものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、光照射部と除毛部の一方が他方よりも生体表面側の高い位置から
生体表面から離れる低い位置の間でフロートするために、生体表面に凹凸があっても光照射部と除毛部とが共に生体表面に接触する状態を得ることができて、除毛部による生体表面の除毛と光照射部による光照射とを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の一例における美容装置本体の縦断面図である。
【図2】(a)(b)は同上の美容装置本体及び電源装置の平面図と正面図である。
【図3】(a)(b)は同上の美容装置本体の正面図と側面図である。
【図4】同上の美容装置本体の横断面図である。
【図5】同上の美容装置本体の他の位置での横断面図である。
【図6】同上の美容装置本体の更に他の位置での横断面図である。
【図7】同上の分解斜視図である。
【図8】同上のフレーム及びフレームに装着されるトリマー刃と遮光筒部の分解斜視図である。
【図9】同上の光照射ユニット部の分解斜視図である。
【図10】同上の支持基台回りの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施形態の一例に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、光照射部4からの光の光軸方向を上下方向とし、光照射部4と除毛部3とが配されて生体表面に接触させることになる面を上側として説明する。
【0013】
図示例の光照射型美容装置は、人や動物といった生体の皮膚等(以下、生体表面という)に生えた毛を除去した上で、光の照射により生体表面の毛の成長や再生を抑制する(以下、抑毛という)もので、図2に示すように、生体表面に抑毛処理を施す美容装置本体1と、この美容装置本体1にケーブル71を介して接続された電源装置70とを備える。電源装置70は、コンデンサー等により構成された大容量高圧蓄電装置や制御回路を内蔵し、上面にはコンパクトに形成された美容装置本体1を載置収納することができるものとなっている。
【0014】
美容装置本体1は、外殻を形成するケーシング10と、ケーシング10内に収容され且つ生体表面から生えた毛を除毛する除毛部3と、ケーシング10内に収容され且つ生体表面に光照射を行なう光照射部4とを備える。また美容装置本体1は、光照射部4を冷却するための冷却装置5と、光照射部4側へ毛屑が進入するのを防止するための毛屑進入阻止部とをさらに備える。
【0015】
下側程先細りとなっているケーシング10は、側方に湾曲した弧状に形成されており、その上面には除毛部3が上記湾曲の内側に位置し、光照射部4が外側に位置している。ケーシング10は、図7にも示すように、当該ケーシング10における下部及び中央部分を構成する本体部11と、当該ケーシング10における上部を構成するフレーム12とからなる。手で持つための把持部を構成する本体部11は、ユーザーが片手で把持可能な程度の外径にて構成され、フレーム12は本体部11に対して着脱自在に設けられている。
【0016】
下方が開口した有蓋箱形状のフレーム12は、図8に示すように、光照射部4が取り付けられる光照射部装着部と、除毛部3が取り付けられる除毛部装着部とを備える。光照射部4を装着するための光照射部装着部は、上下方向に貫通する平面視長矩形状の取付開口141を有して、遮光筒部40を上下動自在に保持する。また、光照射部装着部は、図1に示すように、当該光照射部装着部と除毛部装着部との間に位置する仕切壁16と、この仕切壁16に対向する縦壁17とを備える。仕切壁16と縦壁17は、遮光筒部40に設けられたガイド突起404の移動を案内する上下に長いガイド溝181を有して、遮光筒部40の上下移動をガイドする一対のガイド面を構成する。また光照射部装着部は、取付開口141の内周縁に、遮光筒部40に設けられた係合部405と係合する被係合部19を有しており、この被係合部19は、遮光筒部40が所定の位置から上方へと移動しないよう規制する。
【0017】
仕切壁16は、フレーム12の上端面の裏面から下方に向けて突設されたもので、光照射部装着部の取付開口141の内周縁と面一となるよう設けられている。また、仕切壁16は、光照射部4と除毛部3との間に位置しており、除毛部3によりカットされた毛屑が光照射部4側へと進入するのを阻止する。
【0018】
除毛部3を構成するトリマー刃30を上下動自在に収容する除毛部装着部は、図8に示すように、上下方向に貫通する取付開口151を有している。光照射部装着部に隣接配置された除毛部装着部の取付開口151は、細長いスリット形状となっており、その長手方向が光照射部装着部の取付開口141の長手方向と略平行している。
【0019】
フレーム12の除毛部装着部側の側面には除毛部3の上下操作用のレバー31(詳細は後述する)を装着するためのレバー装着部20を有している。このレバー装着部20は、レバー31の作動部311を貫通させるために内外に貫通するとともに上下方向に長い長孔としての連通孔21を有している。
【0020】
さらにフレーム12は、図4に示すように、対向する側面にそれぞれ設けられた一対の係止部142が設けられている。この係止部142は、本体部11に設けられた被係止部112に係合することで、本体部11に対してフレーム12を着脱自在とする。本体部11の被係止部112は、外側方に向けて弾性的に付勢された解除部111に設けられており、ユーザーが解除部111を内方側に押圧すると、係止部142との係合状態を解除することができる。
【0021】
前記除毛部3は、生体表面から生えた毛を切断することで除毛するもので、本実施形態の除毛部3は、トリマー刃30と、このトリマー刃30を駆動させる駆動装置32とを備える。
【0022】
トリマー刃30は、共に櫛刃状の固定刃及び可動刃と、トリマーカバー303、トリマー基台304、そして可動刃を固定刃側に弾性的に付勢するばねとを備える。なお、ここでは可動刃が固定刃よりも生体表面側に位置するものとしている。
【0023】
トリマー基台304は、図8に示すように、フレーム12の側面に沿って上下に長く形成されたもので、前記レバー31から突設された作動部311に連結固定される連結片305と、トリマー刃30の長手方向の略中央に設けられて可動刃に上端が連結された駆動片306とを備える。
【0024】
本実施形態の連結片305は、上下に長い長孔307を有しており、その下端にはフレーム12の内面に形成されているばね受け309(図6参照)との間に配されるフロートばね308が接している。このためにトリマー基台304はフロートばね308によって上方に向けて付勢されている。
【0025】
駆動片306は、その片面に下方に開口した二股状部を備えており、駆動装置32の後述する駆動ピン325が係合する。トリマー刃30の長手方向と平行な方向に揺動するよう構成された駆動片306は、駆動装置32による駆動ピン325の揺動に伴って可動刃を長手方向に往復動させる。
【0026】
トリマー基台304と係合する前記レバー31は、トリマー刃30を上下に動かすための操作手段を構成するもので、前述のようにフレーム12のレバー装着部20に取り付けられる。そしてレバー31の背面から突設された突起状の作動部311が、フレーム12のレバー装着部20に設けられた連通孔21を通じて、トリマー基台304の連結片305に連結される。
【0027】
ここでトリマー基台304の連結片305は、上下に長い長孔307を備えており、作動部311はこの長孔307内を上下に移動可能となっている。一方、トリマー基台304は前述のようにフロートばね308によって上方に付勢されているために、レバー31がレバー装着部20における上方位置にある時も、作動部311は上下に長い長孔307の下端に接した状態にある。そしてこの状態でトリマー刃30を上から押せば、トリマー刃30(トリマー基台304)は作動部311が長孔307の上端に当接するまでフロートばね308に抗して沈む。トリマー刃30の押し込みを解除すれば、トリマー刃30はフロートばね308の付勢で上方へと復帰する。
【0028】
つまり、トリマー刃30はフロートばね308のばね力によってフロート自在となっているものであり、フロートのストロークは上記作動部311と長孔307とによって図1中Faで示す範囲に規定されている。
【0029】
そしてレバー31を引き下げても、作動部311を介して連結されたトリマー基台304(トリマー刃30)は下降するものであり、作動部311が連通孔21の側壁の突部を乗り越えたならば、トリマー刃30は下降した位置で保持される。この時、トリマー刃30は上記フロートストロークFaを越えるストロークSで引き下げられ、トリマー刃30の上端がフレーム12の上端面と略同レベルとなる。これは、除毛部3を作動させずに光照射のみを行う場合を想定したものであり、このためにレバー31の操作によってトリマー刃30を引き下げた時には、トリマー刃30は上述のフロート時よりも引き下げられると同時に、トリマー基台304が後述する除毛部用スイッチ55をオフとすることで、駆動装置32を停止させるものとなっている。
【0030】
駆動装置32は、図1及び図5に示すように、駆動源となるモータ320と、モータ320の回転軸とトリマー基台304の駆動片306との間に設けられてモータ320の駆動力を当該駆動片306に伝達する揺動機構部321と、これらを保持するモータ基台部326とからなる。モータ基台部326は、ケーシング10内に固設された支持基台51に固設され、モータ320をケーシング10内部に固定する。
【0031】
揺動機構部321は、モータ320の回転軸に固設される偏芯カム322と、略中心がモータ基台部326に軸支され且つ偏芯カム322によってトリマー刃30の長手方向と平行な方向に揺動する揺動レバー323とを備える。揺動レバー323は、偏芯カム322に接続されるカム接続部324と、カム接続部324とは反対側に位置する駆動ピン325とを有している。駆動ピン325は、前述のようにトリマー刃30の駆動片306に接続されるもので、中心軸327廻りに揺動することで、トリマー刃30の可動刃を往復動させる。
【0032】
このように構成された除毛部3に隣接配置されている光照射部4は、生体表面に光照射を行うことで生体表面に対して抑毛効果を及ぼすもので、ここでは生体表面に沿って美容装置本体1を移動させる際に、その移動方向において除毛部3の後方側に位置し、除毛部3により除毛された直後の生体表面に光照射を行なう。
【0033】
次に光照射部4の詳細について説明すると、図示例の光照射部4は、上下方向に移動自在な遮光筒部40と、この遮光筒部40内に収容され且つ内部に発光体44を有する照射ユニット部42とで構成される。
【0034】
遮光筒部40は、図8に示すようにフレーム12の上記ガイド溝181内に嵌入するガイド突起404を側面に備えて、光照射部装着部に対して上下動自在となっている。また、遮光筒部40はその端面に、フレーム12に設けられた被係合部19に係合することで抜け止めを行う係合部405を有している。
【0035】
遮光筒部40は、その上面が生体表面に押し付けられて当該生体表面と密着することで、発光体44からの光が外部に漏れるのを防止するもので、上述のようにフレーム12の光照射部装着部に上下方向にスライド移動自在に装着される。また、遮光筒部40は上方側に向けてばね付勢されており、生体表面に押し付けることで押し下げられて最も下方側に位置した時点で発光体44を発光させる発光スイッチを兼ねている(後に詳述する)。
【0036】
さらに遮光筒部40は、上方側に透明部材41が嵌め込まれた照射開口を有し且つ下方が開口する角筒状に形成されたもので、透過率の高い透明な板材により構成された上記透明部材41は、照射ユニット部42と生体表面との間に位置することで、発光体44の発光によって高温となる照射ユニット部42が生体表面に接触するのを防止するとともに、除毛部3でカットされた毛屑が照射ユニット部42のレンズ48に付着するのを防止する。また遮光筒部40は、その側面に内外を貫通する通気連通口403が穿設されている。この通気連通口403は、冷却装置5としての送風ファン50から送られた空気を外部に排出するための開口である。
【0037】
照射ユニット部42は、図9に示すように、発光体収容部材430と底面部材431とからなるケース部43と、このケース部43内に収容され且つ光源となる発光体44と、発光体44から発光された光を生体表面側へ反射・集光するリフレクター45と、発光体44及びリフレクター45を保持する光源基台部46とからなるユニットで、リフレクター45と光源基台部46との間には発光体44やリフレクター45を弾性的に保持する弾性部材47が介装されている。
【0038】
発光体収容部材430は、発光体44からの光を通す照射窓433を上面に有し且つ下方側が開口する角筒状であり、長矩形状に形成されている照射窓433には、その開口を塞ぐ透明なレンズ48が設けられている。このレンズ48は、発光体44から照射される光のうち、紫外線等の不要な波長の光をカットする光学フィルターの機能も有するもので、光源基台部46の上方に装着されて、照射窓433外縁の下面に当接した状態で設置されている。
【0039】
また、発光体収容部材430はその照射窓433の外縁部に、ケース部43内外を貫通する通気開口432が穿設されている。照射窓433の長手方向に沿うスリット状の開口として形成された通気開口432は、送風ファン50から送られた空気をケース部43内から遮光筒部40内に排出する。
【0040】
発光体収容部材430の下方開口には、底面部材431が設置される。この底面部材431は、発光体収容部材430の下方開口を閉塞するもので、冷却装置5から送風された空気をケース部43内に導入する格子状の連通孔434を有している。
【0041】
光照射部4の光源である発光体44は、本例では直線管球状のキセノンフラッシュランプにより構成されている。その長手方向が、可動刃の往復方向と略平行となるよう配置された発光体44は、前記電源装置70に電気的に接続されており、遮光筒部40が下方側に押し込まれて下死点に至ると、照射スイッチ54がオンされて、高電圧が印加されて発光時間の極めて短いパルス光の照射を行なう。また発光体44は、遮光筒部40が下方側に移動して死点に位置したままの状態が保持されると、一定の間隔でパルス光を発光し続ける。
【0042】
断面略U字状のリフレクター45は、その開口が照射窓433に臨むよう配置されており、発光体44から発せられた光を高効率で反射・集光し、照射窓433に向けて導光する。
【0043】
このように構成された照射ユニット部42は、図1に示すように、フレーム12内の光照射部装着部に装着固定される。照射ユニット部42の上面と上方にばね付勢されている遮光筒部40の生体当接面の裏面との間には、光軸方向における遮光筒部40の移動代のための間隙が形成される。
【0044】
光照射部4の下方側には、当該光照射部4に隣接するようにして冷却装置5が設けられている。光照射部4を冷却するための冷却装置5は、本体部11の上端部に固設された支持基台51に取り付けた送風ファン50により構成されている。本体部11にフレーム12が装着された状態で送風ファン50を駆動すると、送風ファン50は本体部11の側面に設けられた給気口110から導入された空気は、送風ファン50を経て、ケース部43の連通孔434から通気開口432へと流通する。このとき流通する空気は、高温となった発光体44とレンズ48とに接触しながら流通して熱交換を行ない、その後、通気開口432を介して遮光筒部40内を通り、遮光筒部40の通気連通口403から外部に排出される。
【0045】
支持基台51は、図10に示すように、基台部本体52と、当該基台部本体52の上方から取り付けられる覆設部53とからなるもので、基台部本体52は、送風ファン50を収容した状態で覆設部53が上方から設置される。これにより送風ファン50は、支持基台51に固定される。
【0046】
また支持基台51の基台部本体52には、光照射部4の発光体44を発光させるための光照射スイッチ54と、除毛部3の可動刃の駆動を停止させる除毛部用スイッチ55とを備えた回路基板56が設置される。
【0047】
支持基台51の覆設部53には、遮光筒部40を上方に押圧する一対の押圧片57が配置されている。この押圧片57は、遮光筒部40の押圧突起406の下端に当接する当接部570と、当接部570が下方に押し下げられることで前述の照射スイッチ54を押し下げるスイッチ押圧部571と、上方側への抜け止めとなる係止爪572とを備える。そしてコイルばね573によって上方側に向けて付勢されている。このコイルばね573が遮光筒部40をフロート状態に保つばねである。
【0048】
さらに支持基台51の覆設部53には、除毛部押圧片58が配置されている。この除毛部押圧片58は、トリマー基台304の下端部に押し下げられることで、前述の除毛部用スイッチ55を押下する。除毛部押圧片58は、押圧片57と同様、コイルばね573により上方側に向けて付勢されている。
【0049】
この光照射型美容装置は、美容装置本体1の上端面に位置する除毛部3(トリマー刃30)と光照射部4(遮光筒部40)とを生体表面に押し当てて、トリマー刃30の刃先方向に向けて美容装置本体1を生体表面に沿って移動させることで、美容処理を行う。
【0050】
トリマー刃30及び遮光筒部40は前述のように夫々独立してフロート自在となっているために、両者が生体表面に共に接触している状態で除毛部3による除毛処理と、光照射処理とを行うことができる。殊に遮光筒部40の生体当接面を生体表面に接触させて遮光性を有効に作用させた状態で照射スイッチ54をオンさせることができる。
【0051】
ここにおいて、本発明においては、トリマー刃30及び遮光筒部40を夫々独立してフロート自在としているだけでなく、通常時の遮光筒部40とトリマー刃30の上端面の高さを図1に示すように略同一とするとともに、遮光筒部40のフロートストロークFbよりもトリマー刃30のフロートストロークFaを大きくして、遮光筒部40よりもトリマー刃30の方がより深い位置まで沈むことができるようにしている。このために、遮光筒部40が下死点に達した状態で発光するようにしている本例においては、トリマー刃30のフロート動作の範囲は、遮光筒部40のフロートの下死点(照射スイッチ54がオンとなる位置)の上方側に上死点が、下方側に下死点がくるものであり、これに伴って生体表面におけるトリマー刃30が接触する部分と、遮光筒部40が接触する部分との高さが異なっていても、トリマー刃30と遮光筒部40の両者が共に生体表面に接触した状態を保つことができる。
【0052】
すなわち、腋のように凹凸のある生体表面に対してトリマー刃30による除毛と、光漏れのない光照射による抑毛とを同時に行う時、美容装置本体1を生体表面に当てる角度を一定に保つことは難しいが、フロート自在な遮光筒部40を生体表面に押し当てることで遮光筒部40を沈ませて照射スイッチ54をオンとした時、トリマー刃40は遮光筒部40とは独立したフロート動作によって生体表面に常に接して除毛を行うことができる状態となっている。従って、トリマー刃30による除毛動作と光照射部4の光照射による抑毛動作とを常に確実に得ることができるものであり、しかも光照射部4と生体表面との接触部からの光漏れも殆どないものである。
【0053】
また、本実施形態に係る美容装置本体1では、除毛部3を光照射部4より先行させたかたちで生体表面に沿って動かしながら、除毛と光照射による抑毛とを生体表面に対して行うが、この場合、除毛部3でカットされることで生じた毛屑が、光照射部4側へ進入してしまうことも考えられる。しかし、この美容装置本体1では毛屑進入阻止部によって光照射部4への毛屑の進入が阻止される。
【0054】
つまり、除毛部3と光照射部4との間に設けられた仕切壁16が除毛部3を装着するための取付開口151内に入り込んだ毛屑が、フレーム内で光照射部4側へ進入するのを阻止する。また、除毛部3及び光照射部4は共にフレームの上端面22よりも飛び出しており、両者の間には除毛部3の水平方向の全長に亘るとともに当該除毛部3に沿った凹所61が存在している。従ってユーザーが除毛部3で毛をカットしながら美容装置本体1を移動させると、移動方向において除毛部3よりも後方に位置する凹所61に毛屑が入る。そして遮光筒部40における除毛部3側の側面が堰となるために、光照射部4側へ毛屑が進入することがない。従って凹所61も毛屑進入阻止部を構成するものとなっている。この結果、本実施形態の光照射型美容装置では、毛屑が光照射部4に付着して焦げたり、毛屑が光照射部4を覆って光量を低下させたりするのを防ぐことができる。
【0055】
本実施形態における除毛部3を櫛状の固定刃と可動刃とを備えるトリマー刃30で構成しているのは、除毛部3と光照射部4とを近接させて配置することができる上に除毛部3と光照射部4とを横断する方向の厚みを小さくすることができて、腋などの入り組んだ場所においても、除毛部3や光照射部4に対し、生体表面を密着させやすいからであるが、除毛部3を網刃やスリット刃として形成された固定刃(外刃)とこの固定刃内面に摺接する可動刃(内刃)とからなるもので構成したものであってもよい。
【0056】
また本実施形態の光照射型美容装置では、光照射部4における遮光筒部40のみをフロート自在としているが、照射ユニット部42と遮光筒部40とが一体にフロートするようにしたものであってもよい。いずれの場合においても、生体表面に光照射部4を密着させた状態で発光させることができて光漏れを低減することができ、効果的な光照射に加えて安全性を高くすることができる。
【0057】
光照射部4における発光体44としてキセノンフラッシュランプを用いた例を示したが、発光体44はこれに限定されるものではない。
【0058】
ところで本実施形態においては、除毛部3と光照射部4(の遮光筒部40)をフロート自在とし、除毛部3が発光位置にある光照射部4よりも高い位置と低い(深い)位置との間でフロート自在となるものを示したが、除毛部3が固定で光照射部4のみがフロート自在となっているものであってもよく、この場合、除毛部3よりも高い位置と除毛部3よりも低い位置との間で光照射部4をフロート自在とすることで、生体表面に凹凸があっても除毛部3と光照射部4の双方が共に生体表面に接触する状態を得ることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 美容装置本体
3 除毛部
4 光照射部
Fa 除毛部フロートストローク
Fb 光照射部フロートストローク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で把持できる本体の一端に、生体表面に対して光を照射する光照射部を設けているとともに、生体表面の毛を除毛する除毛部を上記光照射部に隣接させて設けている光照射型美容装置において、
上記本体の一端に配された上記除毛部と上記光照射部のうちの一方が生体表面に対してフロート自在であるとともに、他方よりも生体表面側となる高い位置と他方よりも低い位置との間でフロート自在となっていることを特徴とする光照射型美容装置。
【請求項2】
上記光照射部と上記除毛部の双方が夫々独立してフロート自在で光照射部はそのフロートによる最大沈み位置で発光を行うものであり、上記除毛部は上記光照射部の上記最大沈み位置よりも生体表面側となる高い位置と上記光照射部の上記最大沈み位置よりも低い位置との間でフロート自在となっていることを特徴とする請求項1記載の光照射型美容装置。
【請求項3】
上記除毛部をそのフロートによる最大沈み位置よりも更に深い位置まで引き下げるとともにこの時には除毛部の駆動動作を停止させる除毛動作解除手段を備えていることを特徴とする請求項2記載の光照射型美容装置。
【請求項4】
上記光照射部と上記除毛部とが本体の一端に設けられた共通のフレームに取り付けられて該フレームの一面に上記光照射部と上記除毛部とが突出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光照射型美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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