説明

光照射美容器具

【課題】毛穴汚れの影響を排除してムラのない均一な光照射を可能とする光照射美容器具を提供すること。
【解決手段】皮膚吸引部6を構成するカップ18は、ハウジング2の軸線方向において光照射部5を構成する光照射用開口部11よりも先端2a側に配置される。そして、そのヘッド4に設けられたカップ18を使用者の皮膚Hに押し当てた状態で、軸線方向、基端2b側から先端2a側に向かって皮膚表面上を移動させるように、ハウジング2の操作方向が設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に対して光を照射することにより美容効果を得る光照射美容器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚に対して光を照射し、その血行促進や新陳代謝の促進を図ることにより肌の美容効果を得ることを目的とした光照射美容器具がある。即ち、例えば、特許文献1に記載の光照射美容器具は、半導体レーザダイオードのレーザ光を集光レンズにより集光して皮膚面に照射する。そして、そのレーザ光照射のエネルギーによって、表皮及び真皮に散在する異常色素細胞の除去、及び皮脂の分泌促進を図ることにより、肌の美容を図る構成となっている。
【特許文献1】特開2000−202045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、肌美容に関する大きな関心事としては、上記のような皮膚の健康に加えて、毛穴汚れの除去が挙げられる。このような毛穴汚れとしては、例えば、毛穴内部や出口付近に溜まった皮脂が空気中の汚れと混ざり合ってできる角栓等があり、その酸化が進むことで肌の黒ずみを引き起こすとともに、皮脂の排出を妨げることによってニキビの原因ともなりうる。加えて、上記光照射美容器具を使用する場合においても、その黒ずんだ毛穴汚れが光エネルギーを過剰に吸収することによって、皮膚に照射される光エネルギー量にムラができるという問題がある。
【0004】
尚、従来技術として例示した上記特許文献1に記載の光照射美容器具は、そのレーザ光が照射される部分の皮膚を吸引するための吸引手段(コンプレッサ)を備えているが、このような毛穴汚れの除去に関しては特段の記述もないことから、その皮膚吸引の目的は、おそらくレーザ光の照射状態(距離)の安定化にあると推察される。また、仮に、その皮膚吸引により毛穴汚れの除去が可能であるとしても、レーザ光が照射される部分と吸引される部分とが同一であることから、当該除去された毛穴汚れが集光レンズに付着する等により、その均一な光照射が妨げられてしまうことになる。従って、この従来技術は、上記の課題を何らも解消するものではなく、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、毛穴汚れの影響を排除してムラのない均一な光照射を可能とする光照射美容器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、肌の美容を図るべく皮膚に対して光を照射する光照射手段と、前記光照射手段による光照射に先立って、その光照射される部分の皮膚を吸引することにより前記皮膚の毛穴汚れを除去する除去手段と、を備えた光照射美容器具であること、を要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、毛穴汚れの存在に起因する光照射のムラを排除して効果的な美容処置を行なうことができる。また、汚れ除去後の毛穴は、文字通りの「毛穴が開いた状態」であり、非常に敏感であることから、できる限り速やかに美容処置が行なわれることが望ましい。この点においても、上記構成によれば、その汚れ除去後の毛穴について、即座に光照射によるケアを行なうことができる。そして、これら二つの美容処置が相乗的に作用し合うことにより、優れた美容効果を得ることができるようになる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記除去手段及び光照射手段を収容するとともに、前記皮膚に押し当てられた状態で操作されることにより皮膚表面上を移動する器具本体を備え、前記除去手段は、前記器具本体に設定された所定の操作方向に沿って、前記光照射手段よりも前記操作方向側に配置されること、を要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、一定時間の皮膚吸引と、所定の操作方向に器具本体を移動させる操作とを順次繰り返すことによって、容易且つ簡便に、その皮膚吸引された後の部分に光照射を行なう一連の美容処置を行なうことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記所定の操作方向以外の前記器具本体の移動を規制する規制手段を備えること、を要旨とする。
上記構成によれば、規制手段による規制(誘導)に従って器具本体を移動させるだけで、正確に、予め設定された所定の操作方向に操作することが可能になる。その結果、使用者による誤操作の発生を防止して、その皮膚に対する皮膚吸引、及びその後の光照射という一連の美容処置を、容易且つ簡便に、最適な手順で連続的して行なうことができるようになる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記皮膚に対してミストを噴霧するミスト噴霧手段を備えること、を要旨とする。
上記構成によれば、ミスト噴霧による皮膚への潤いの付与効果との相乗効果を期待することができる。特に、皮膚吸引に先立って、その部分の皮膚にミスト噴霧を行なうことで、その皮膚に噴霧されたミストによって当該皮膚と除去手段との間の隙間を無くして吸引力を高めることができる。その結果、より効果的に毛穴汚れを除去することができるようになる。更に、光照射に先立って、その部分の皮膚にミスト噴霧を行なうことで、当該皮膚に十分な潤いを与えた状態で光照射を行なうことができる。その結果、光照射による皮膚乾燥の進行を予防して、その美容処置の効果を一層高めることができるようになる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記皮膚に対して超音波振動を与える超音波振動付与手段を備えること、を要旨とする。
上記構成によれば、超音波振動の付与によるマッサージ効果との相乗効果が期待できる。特に、皮膚吸引に先立って、その部分に超音波振動を与えることで、毛穴汚れはもとより、皮膚上の老廃物等、皮膚全般についての汚れが落ちやすくなる。その結果、より一層の均一な光照射を可能として、その光照射による美容効果を更に高めることができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、毛穴汚れの影響を排除してムラのない均一な光照射を可能とする光照射美容器具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態における光照射美容器具の全体断面を模式的に示す概略構成図である。同図に示すように、本実施形態の光照射美容器具1は、所謂手持ち式の光照射美容器具であり、使用者が把握して操作できる程度の大きさに形成された略筒状のハウジング2を有している。そして、このハウジング2の外周には、使用者に把握される部分となる把握部3が形成されるとともに、その先端2aには、同ハウジング2の軸線と略直交する方向に突出された略筒状のヘッド4が形成されている。
【0015】
本実施形態では、このヘッド4には、肌の美容を図るべく使用者の皮膚に光を照射する光照射部5と、使用者の皮膚に吸引力を作用させることにより該皮膚の毛穴汚れを除去する除去手段としての皮膚吸引部6とが設けられている。また、ハウジング2内には、駆動電力の供給を通じてこれら光照射部5及び皮膚吸引部6の作動を制御する制御部7、及び電源部8が収容されている。尚、本実施形態では、ハウジング2内には、図示しない報知部が設けられ、ハウジング2の外周に形成された上記把握部3の近傍には、スイッチ9が形成されている。そして、本実施形態では、このスイッチ9が操作されることにより、上記制御部7による上記光照射部5及び皮膚吸引部6に対する駆動電力の供給、即ちその光照射及び皮膚吸引が開始される構成となっている。
【0016】
詳述すると、本実施形態のヘッド4には、同ヘッド4の軸線に沿って延設された光照射用開口部11が設けられるとともに、ハウジング2内には、その光照射用開口部11に対応する位置に光源部12が設けられている。本実施形態の光源部12は、制御部7に駆動されることにより発光する光源13と、上記光照射用開口部11のハウジング2側の端部を閉塞する態様で配置された光透過性のカバー14とにより構成されている。尚、本実施形態では、光源13には、低出力の非コヒーカレント光を出力可能なものが用いられるとともに、カバー14には、レンズ及び波長フィルタとしての機能が付与されている。そして、本実施形態の光照射部5は、上記光照射用開口部11を介して光源部12の照射光を外部出力することにより、ヘッド4の先端4aと対向配置された使用者の皮膚Hに対して、上記肌美容のための光照射を行なうことが可能な構成となっている。
【0017】
一方、皮膚吸引部6は、吸引力を発生するポンプ17と、その吸引力を使用者の皮膚Hに作用させるためのカップ18と、これらポンプ17とカップ18とを接続するチューブ19とを備えてなる。カップ18は、上記光照射用開口部11に隣接する位置において、その開口端18aがヘッド4の先端4aと略面一となる態様で同ヘッド4内に収容配置されている。また、ハウジング2内に収容されたポンプ17は、制御部7に制御されることにより、上記チューブ19を介してカップ18内の空気を吸引する。即ち、本実施形態の皮膚吸引部6は、開口端18aに使用者の皮膚Hが押し当てられた状態で、カップ18内を減圧することにより、その吸引力を当該使用者の皮膚Hに作用させる。そして、これより、そのカップ18に押し当てられた部分における毛穴汚れを除去することが可能な構成となっている。
【0018】
また、本実施形態では、上記皮膚吸引部6を構成するカップ18は、ハウジング2の軸線方向(図1中、左右方向)において光照射部5を構成する光照射用開口部11よりも先端2a側(同図中、左側)に配置されている。そして、本実施形態の光照射美容器具1では、そのヘッド4に設けられた上記カップ18を使用者の皮膚Hに押し当てた状態で、ハウジング2の軸線方向、基端2b側から先端2a側に向かって皮膚表面上を移動させるよう、その操作方向が設定されている。
【0019】
つまり、本実施形態の光照射美容器具1では、作業者がハウジング2を把握し、その美容処置を行う部分の皮膚Hに皮膚吸引部6のカップ18を押し当てて、スイッチ9を投入することにより、当該皮膚吸引部6による皮膚吸引、及び光照射部5による光照射が開始される。そして、一定時間の皮膚吸引を行なった後、予め設定された上記所定の操作方向にハウジング2を移動させることにより、当該皮膚吸引が行なわれた部分を次の光照射が行なわれる部分とすることが可能となっている。
【0020】
以上、本実施形態の構成によれば、上記一定時間の皮膚吸引と所定の操作方向にハウジング2を移動させる操作とを順次繰り返すことによって、容易且つ簡便に、その皮膚吸引された後の部分に光照射を行なう一連の美容処置を行なうことができる。これにより、毛穴汚れの存在に起因する光照射のムラを排除して効果的な美容処置を行なうことができる。また、汚れ除去後の毛穴は、文字通りの「毛穴が開いた状態」であり、非常に敏感であることから、できる限り速やかに美容処置が行なわれることが望ましい。この点、本実施形態では、こうした汚れ除去後の毛穴についても、即座に光照射によるケアを行なうことができる。そして、これら二つの美容処置が相乗的に作用し合うことにより、優れた美容効果を得ることができるようになる。
【0021】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0022】
図2は、本実施形態における光照射美容器具の主要部分の断面を模式的に示す概略構成図である。同図に示すように、本実施形態の光照射美容器具21には、上記第1の実施形態における光照射美容器具1の構成に加えて、使用者の皮膚Hにミストを噴霧するためのミスト噴霧部22が備えられている。
【0023】
詳述すると、本実施形態のヘッド4には、ミスト流路23が設けられており、その基端23aには、同ミスト流路23にポンプ17からの送風を導く送風チューブ24が接続されている。図3に示すように、本実施形態では、ミスト流路23の基端23a及び送風チューブ24の出口端24aは、それぞれ、その口径が徐々に小径となるようテーパ状に形成されている。そして、これらミスト流路23及び送風チューブ24の接続部には、当該接続部と略直交する態様で、ハウジング2内に設けられた水タンク25から延びる給水チューブ26が接続されている。
【0024】
即ち、ポンプ17の作動により送風チューブ24内に送られた送風は、そのテーパ状に形成された出口端24aを通過することにより加速される。そして、それに伴いミスト流路23及び送風チューブ24との接続部に生ずる負圧、即ちベンチュリー効果により給水チューブ26から吸い出された水がミストMとなってミスト流路23内を移動する。
【0025】
図2に示すように、ミスト流路23の先端には、ミスト吐出口27が形成されており、ミスト流路23内を移動したミストMは、このミスト吐出口27から吐出される。本実施形態では、このミスト吐出口27は、上記皮膚吸引部6を構成するカップ18と隣接する位置、詳しくは、ハウジング2の軸線方向(図2中、左右方向)において同カップ18よりも先端2a側(同図中、左側)に配置されている。そして、上記第1の実施形態と同様、作業者がハウジング2を把握し、その美容処置を行う部分の皮膚Hに皮膚吸引部6のカップ18を押し当てた状態でスイッチ9を投入することにより、上記皮膚吸引及び光照射と併せて、上記のように構成されたミスト噴霧部22によるミスト噴霧が開始される。
【0026】
つまり、本実施形態における光照射美容器具31の使用に際しては、上記第1の実施形態と同様、一定時間の皮膚吸引を行なった後、その皮膚吸引部6のカップ18を使用者の皮膚Hに押し当てつつ、所定の操作方向、即ちハウジング2の軸線方向、基端2b側から先端2a側に向かって皮膚表面上を移動させる。そして、このような一定時間の皮膚吸引と所定の操作方向にハウジング2を移動させる操作とを順次繰り返すことにより、容易且つ簡便に、その皮膚吸引及び光照射に先立って、ミスト噴霧部22によるミスト霧噴を行なうことが可能な構成となっている。
【0027】
以上、本実施形態の構成によれば、ミスト噴霧による皮膚Hへの潤い付与効果との相乗効果を期待することができる。特に、皮膚吸引に先立って、その部分の皮膚Hにミスト噴霧を行なうことで、その皮膚Hに噴霧されたミストMによって当該皮膚Hと皮膚吸引部6を構成するカップ18との間の隙間を無くして吸引力を高めることができる(図4(a)(b)参照)。その結果、より効果的に毛穴汚れを除去することができるようになる。更に、光照射に先立って、その部分の皮膚Hにミスト噴霧を行なうことで、当該皮膚Hに十分な潤いを与えた状態で光照射を行なうことができる。その結果、光照射による皮膚乾燥の進行を予防して、その美容処置の効果を一層高めることができるようになる。
【0028】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、第2の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0029】
図5は、本実施形態における光照射美容器具の主要部分の断面を模式的に示す概略構成図である。同図に示すように、本実施形態の光照射美容器具31には、上記第2の実施形態における光照射美容器具21の構成に加えて、使用者の皮膚Hに超音波振動を与える超音波振動部32が備えられている。
【0030】
超音波振動部32は、制御部7から供給される駆動電力に基づき超音波振動を発生する超音波振動子33と、その超音波振動を伝達するホーン34とを備えてなる。尚、制御部7による超音波振動子33への駆動電力の供給は、上記スイッチ9の操作により開始される。本実施形態では、超音波振動部32は、上記ミスト噴霧部22を構成するミスト吐出口27と上記皮膚吸引部6を構成するカップ18との間、詳しくはそのホーン34の先端34aがヘッド4の先端4aと略面一となる態様で同ヘッド4内に収容配置されている。そして、上記第1及び第2の実施形態と同様、作業者がハウジング2を把握し、その美容処置を行いたい部分の皮膚Hに皮膚吸引部6のカップ18及び超音波振動部32のホーン34を押し当てた状態でスイッチ9を投入することにより、皮膚吸引、光照射、及びミスト噴霧と併せて、上記超音波振動部32による超音波振動の付与が開始される。
【0031】
つまり、本実施形態における光照射美容器具31の使用に際しては、上記第1及び第2の実施形態と同様、一定時間の皮膚吸引を行なった後、皮膚吸引部6のカップ18及び超音波振動部32のホーン34を使用者の皮膚Hに押し当てつつ、その所定の操作方向、即ちハウジング2の軸線方向、基端2b側から先端2a側に向かって皮膚表面上を移動させる。そして、このような一定時間の皮膚吸引と所定の操作方向にハウジング2を移動させる操作とを順次繰り返すことにより、容易且つ簡便に、その皮膚吸引及び光照射に先立って、超音波振動部32による超音波振動の付与を行なうことが可能な構成となっている。
【0032】
以上、本実施形態の構成によれば、超音波振動の付与によるマッサージ効果との相乗効果が期待できる。特に、皮膚吸引に先立って、その部分に超音波振動を与えることで、毛穴汚れはもとより、皮膚上の老廃物等、皮膚H全般についての汚れが落ちやすくなる。その結果、より一層の均一な光照射を可能として、その光照射による美容効果を更に高めることができるようになる。
【0033】
(第4の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、第3の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
【0034】
図6は、本実施形態における光照射美容器具の主要部分の外観を示す側面図、そして、図7は、その正面図である。図6及び図7に示すように、本実施形態の光照射美容器具41には、上記第3の実施形態における光照射美容器具31の構成に加えて、予め設定された所定の操作方向以外のハウジング2(及びヘッド4)の移動を規制する移動方向規制装置42が備えられている。
【0035】
詳述すると、本実施形態では、ヘッド4には、同ヘッド4を幅方向(図7中、左右方向)に貫通する回転軸43が設けられている。この回転軸43の両端には、一対の補助輪44が設けられており、これらの各補助輪44は、その一部がヘッド4の先端4aから突出する態様で同ヘッド4の側方に配置されている。そして、ハウジング2(ヘッド4)が使用者の皮膚Hに押し当てられつつ軸線方向に移動する場合には、その移動に伴い各補助輪44が回転するとともに、軸線方向以外のハウジング2の移動については、これら各補助輪44の突出部分が障害となることで、これを規制する構成となっている。
【0036】
また、本実施形態では、これらの各補助輪44には、その回転方向を一方向に規制する回転規制機構45が組み込まれている。具体的には、各補助輪44には、その内側の面(ヘッド4の側面4bに対向する面)44aに固定されることにより該各補助輪44と一体回転するギヤ46が設けられるとともに、同ギヤ46には、ヘッド4の側面4bに突設された軸ピン47を回動軸とするストッパ48の先端が係止されている。本実施形態のストッパ48は、同ストッパ48及び上記回転軸43に掛止された引っ張りバネ49の弾性力によって、その先端がギヤ46側に回動する方向に付勢されている。そして、本実施形態では、これら各ギヤ46、ストッパ48、及び引っ張りバネ49により、回転規制機構45が構成されている。
【0037】
さらに詳述すると、本実施形態では、ギヤ46の歯面は、ハウジング2が上記所定の操作方向(軸線方向、先端2a側)に移動した場合において、その回転方向側となる面(図6中、反時計回り方向の面)46aが緩やかな斜面となっている。一方、これに対し、ハウジング2が反所定の操作方向に移動した場合に、その回転方向側となる面(同図中、時計回り方向の面)46bは急峻な斜面となっている。そして、上記ストッパ48の先端に設けられた係止爪48aの形状もまた、このようなギヤ46の歯面に合わせた形状、即ちその谷の部分に噛合する形状となっている。
【0038】
つまり、予め設定された所定の操作方向にハウジング2が移動する場合には、そのギヤ46に係止されたストッパ48の係止爪48aを押し上げつつ、各補助輪44が回転することで、その所定の操作方向へのハウジング2の移動が許容される。一方、反所定の操作方向にハウジング2が移動しようとした場合には、そのギヤ46に係止されたストッパ48の係止爪48aが、その歯面、詳しくは急峻な斜面となるように形成された側の面46bに衝突することで、各補助輪44の回転が規制され、その反所定方向へのハウジング2に移動が規制される。
【0039】
そして、このように構成された移動方向規制装置42、即ち各補助輪44によりハウジング2の移動方向をその軸線方向に限定するとともに、当該各補助輪44の回転方向を回転規制機構45によって一方向に限定することにより、その予め設定された操作方向以外の移動を規制する構成となっている。
【0040】
以上、本実施形態の構成によれば、移動方向規制装置42による規制(誘導)に従ってハウジング2を移動させるだけで、正確に、予め設定された所定の操作方向に操作することが可能になる。その結果、使用者による誤操作の発生を防止して、その皮膚Hに対するミストの噴霧、超音波振動の付与、皮膚吸引及び光照射という一連の美容処置を、容易且つ簡便に、最適な手順で連続的して行なうことができるようになる。加えて、各補助輪44の存在により、皮膚Hの表面上においてハウジング2を移動させる操作を容易なものとすることができる。
【0041】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、器具本体としてのハウジング2の軸線方向、基端2b側から先端2a側に向かう方向を所定の操作方向と設定したが、必ずしもこれに限るものではない。尚、所定の操作方向を変更した場合には、その操作方向の変更に合わせて、光照射手段としての光照射部5、除去手段としての皮膚吸引部6、ミスト噴霧手段としてのミスト噴霧部22、及び超音波振動付与手段としての超音波振動部32の配置を変更するとよい。
【0042】
・上記第2の実施形態では、ミスト噴霧部22のミスト吐出口27は、ハウジング2の軸線方向において皮膚吸引部6のカップ18よりも先端2a側に配置され、上記第3の実施形態では、超音波振動部32のホーン34は、ミスト噴霧部22のミスト吐出口27と皮膚吸引部6のカップ18との間に配置されることとした。しかしながら、これらのミスト噴霧及び超音波振動の付与は、その手順に関わらず光照射によって美容効果との相乗効果が期待できる。従って、ミスト噴霧部22及び超音波振動部32の配置は、このような上記第2の実施形態及び第3の実施形態に例示するものに限らない。尚、これらミスト噴霧及び超音波振動の付与は、好ましくはその光照射に先立って行なわれることが望ましく、より好ましくはその皮膚吸引に先立って行なわれることが望ましい。
【0043】
・上記第3の実施形態は、上記第2の実施形態の構成を基礎としたが、上記第1の実施形態の構成を基礎とするものに変更してもよい。即ち、光照射手段及び除去手段に超音波振動付与手段を組み合わせた構成としてもよい。
【0044】
・同様に、上記第4の実施形態は、上記第3の実施形態の構成を基礎としたが、上記第1の実施形態又は上記第2の実施形態の構成を基礎とするものに変更してもよい。即ち、光照射手段及び除去手段に規制手段(移動方向規制装置42)を組み合わせた構成としてもよく、光照射手段、除去手段及びミスト噴霧手段に規制手段を組み合わせた構成としてもよい。そして、更には、光照射手段、除去手段及び超音波振動付与手段に規制手段を組み合わせた構成としてもよい。
【0045】
・上記第4の実施形態では、補助輪44と該補助輪44の回転方向を一方向に規制する回転規制機構45(ギヤ46、ストッパ48及び引っ張りバネ49)とにより、規制手段としての移動方向規制装置42を形成した。しかし、これに限らず、その他の構成により規制手段は形成してもよい。
【0046】
・また、ストッパ48をギヤ側に付勢する付勢手段には、引っ張りバネ49以外の弾性部材を用いる構成としてもよい。
・上記各実施形態では、スイッチ9を操作することにより、美容処置を行なう各手段(光照射部5、皮膚吸引部6、ミスト噴霧部22及び超音波振動部32)が作動する構成としたが、これらの各手段の作動については、その個別操作を可能とする等、特に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施形態における光照射美容器具の全体断面を模式的に示す概略構成図。
【図2】第2の実施形態における光照射美容器具の主要部分の断面を模式的に示す概略構成図。
【図3】ミスト噴霧部の概略構成図。
【図4】(a)(b)ミスト噴霧の効用を示す説明図。
【図5】第3の実施形態における光照射美容器具の主要部分の断面を模式的に示す概略構成図。
【図6】第4の実施形態における光照射美容器具の主要部分の外観を示す側面図。
【図7】第4の実施形態における光照射美容器具の主要部分の外観を示す正面図。
【符号の説明】
【0048】
1,21,31,41…光照射美容器具、2…ハウジング、4…ヘッド、5…光照射部、6…皮膚吸引部、11…光照射用開口部、12…光源部、17…ポンプ、18…カップ、22…ミスト噴霧部、23…ミスト流路、24…送風チューブ、25…水タンク、26…給水チューブ、32…超音波振動部、33…超音波振動子、34…ホーン、42…移動方向規制装置、43…回転軸、44…補助輪、45…回転規制機構、46…ギヤ、48…ストッパ、49…引っ張りバネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌の美容を図るべく皮膚に対して光を照射する光照射手段と、
前記光照射手段による光照射に先立って、その光照射される部分の皮膚を吸引することにより前記皮膚の毛穴汚れを除去する除去手段と、を備えた光照射美容器具。
【請求項2】
請求項1に記載の光照射美容器具において、
前記除去手段及び光照射手段を収容するとともに、前記皮膚に押し当てられた状態で操作されることにより皮膚表面上を移動する器具本体を備え、
前記除去手段は、前記器具本体に設定された所定の操作方向に沿って、前記光照射手段よりも前記操作方向側に配置されること、を特徴とする光照射美容器具。
【請求項3】
請求項2に記載の光照射美容器具において、
前記所定の操作方向以外の前記器具本体の移動を規制する規制手段を備えること、
を特徴とする光照射美容器具。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光照射美容器具において、
前記皮膚に対してミストを噴霧するミスト噴霧手段を備えること、
を特徴とする光照射美容器具。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の光照射美容器具において、
前記皮膚に対して超音波振動を与える超音波振動付与手段を備えること、
を特徴とする光照射美容器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−189730(P2009−189730A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36324(P2008−36324)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】