説明

光線力学または光熱による腫瘍治療の効果を決定するデバイス、システムおよび方法

【課題】
【解決手段】 ヒトまたは哺乳類中の組織中の液流の分析により、間質性光線力学または光熱による治療下のヒトまたは哺乳類の腫瘍組織における治療の効果を決定するデバイスおよび方法。第1のファイバは、上記組織の第1の位置に間質的に挿入されかつ光源に接続され、第2のファイバは、上記組織の第2の位置に間質的に挿入されて、上記第1のファイバから放出された光を受信する。検出器が、出力信号を生成するための上記第2のファイバからの光を受信するように、構成される。分析器が、上記検出器からの上記出力信号を受信し、上記出力信号中で約1MHzよりも低い上記周波数域中の周波数成分が存在するか否かを決定する。上記出力信号中で約1MHzよりも低い上記周波数域中の周波数成分は、上記組織中での血液細胞の移動を示す。上記周波数成分が閾値を下回る場合、血流が無いと決定される。光熱治療において、血液が凝固しており上記治療を終了してもよいことを示すものとして解釈される血流は無い。光線力学腫瘍治療において、血流変化を用いて、治療進捗を評価することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光線力学または光熱による腫瘍治療に晒された組織中の血流を間質的に分析することにより、当該治療の効果を判定するデバイス、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対話型間質性光線力学腫瘍治療および/または光熱腫瘍治療を用いた治療および診断のためのシステムおよび方法が、例えば本出願と同一出願人の特許文献1の中に開示されている。このシステムは、治療対象でありかつ/または分析対象である組織中の選択された位置に挿入されたいくつかの光ファイバを含む。
【0003】
診断時には、送信ファイバとして動作するファイバのうちの1本と、組織を通過してその他のファイバへそして検出器へと到達する光の受信器として動作するその他のファイバとにレーザ光源が接続され得る。各ファイバは、送信器として順々に用いられ、その他のファイバは受信器として用いられる。計算により、当該組織の特定の特性のトモグラフィー画像(例えば、増感剤から得られる光束特性または蛍光特性)を得ることができる。
【0004】
治療時には、同一システムを用いて、ファイバを通じて光を組織に送り、増感剤を活性化させることができる。これらの増感剤は、事前に腫瘍細胞に局所配置されている。治療により、細胞は根絶され、組織は壊死する。さらに、このシステムを、ファイバを通じてレーザ光を送信して、腫瘍細胞を十分に死滅させるために当該組織を加熱する光熱治療において用いることができる。腫瘍細胞は、他の細胞よりも熱感受性が高い場合がある点に留意されたい。
【0005】
このシステムの使用時において、上述したような診断において受信された信号は、周波数が約104Hzでありかつスペクトルが変動する信号成分を含む。このような信号は、例えば特許文献2および特許文献3に記載のように、組織の血管内を移動する血液細胞と光子が衝突する際の光子のドップラー変位の結果発生するものである。
【0006】
特許文献4は、組織中の環流の変化を非侵襲的に登録することが可能なレーザドップラー装置を開示している。よって、血管の血流の変化をモニタリングすることができる。特許文献4によれば、特定のレーザドップラープローブを患者皮膚外部においてレーザドップラープローブを構成し、皮膚下の血流をモニタリングすることができる。
【0007】
特許文献5は、経皮的に(すなわち、皮膚を通じて表面的に)微小血管血流測定を行うための同様の装置を開示している。この装置は、光源からの単色光で組織の一部を照射するデバイスを含む。被照射部から後方散乱した光を収集するデバイスが提供される。光検出器が、収集された後方散乱光を検出する。光検出器からの電気出力信号を処理するためのプロセッサが用いられる。計算器が、静的組織からの後方散乱したレーザ光の検出によって生成された光電流のパワースペクトルと、移動する血液細胞から散乱するドップラー拡大されたレーザ光とを計算する。平均ドップラー周波数シフト計算器が、平均ドップラー周波数シフトを計算および記録する。計算器が、血液濃度を計算および記録する。検出された散乱光強度計が、検出された後方散乱光の強度を測定および記録する。血液環流(フラックス)計算器が血液環流を計算し、ディスプレイが血液環流パラメータを表示する。この装置は、間質的測定に適しておらず、また、このような治療の効率の組織治療または評価も提供しない。
【0008】
特許文献6は、測定用光ビームを放射する測定用光源を含む血管画像化システムを開示している。光学的ヘテロダイン検出システムは、以下のような光学的システムからなる。この光学的システムは、測定用光ビームを移動して有機体に衝突する第1の光ビームと、上記有機体と衝突しないように移動する第2の光ビームとに分割し、第2の光ビームと、上記有機体から発散された第1のビームとを組み合わせて、1つの光ビームとする。血液細胞の移動に起因して、第1のビーム中の周波数は第2のビームの周波数からシフトし、ビート成分検出器は、上記組み合わされた光ビームのビート(差周波数)を検出することができる。バンドパスフィルタは、上記ビート成分検出器からのビート成分検出信号出力から、上記ビート成分検出信号の中心周波数から所定幅だけずれた周波数帯中の偏心成分を検出する。上記バンドパスフィルタによって検出された偏心ビート信号が所定閾レベルよりも高いかまたは低いかに応じて、画像信号が生成される。
【0009】
特許文献7において、少なくとも第1のビームおよび第2のビームの放射により媒体内を横断させ、1つ以上の検知ボリュームを確立することにより、媒体中のターゲット物質を感知するヘテロダインシステムおよび方法についての開示がある。これらのビームは、上記検知ボリュームにおいてビート周波数を生成するよう、異なる周波数を持つ。上記検知ボリューム内の上記ターゲット物質の光学特性に基づいた、上記第1のビームおよび第2のビームへの選択された光学的効果が、選択されたスペクトル線において検出される。上記選択された光学的効果(例えば、吸光または蛍光)を表す信号が生成され、実質的に上記ビート周波数にある信号の部分を少なくとも1つの選択された値と組み合わせて、上記ターゲット物質の量を決定する。
【0010】
特許文献8において、間欠的走査手段を含む血流測定装置についての開示がある。この間欠的走査手段は、セグメント走査を繰り返し行う。各セグメント走査は、休息期間と、生体組織の規定二次元面の一セグメントをコヒーレント光で空間走査する期間とからなる。各セグメント走査の休息期間時における当該組織からの散乱光の強度に関連する時系列データを測定するための手段が活性化される。当該組織内の血液に関するデータを、上記時系列データから計算する。この血流測定装置には、測定結果データを表示するディスプレイを設けることができ、表示は、単独でもよいし、あるいは上記測定領域の画像上に重ね合わせることもできる。
【0011】
特許文献9において、ドップラーガイドカテーテルについての開示がある。このドップラーガイドカテーテルは、可撓軸の遠位端に配置されたドップラーセンサを含む。このドップラーセンサは、心臓または心臓血管の心室内の血流乱流レベルを感知することができる。血流乱流レベル変化の検出を用いて、上記可撓軸の遠位端のガイド支援を行う。このドップラーセンサは、圧電センサまたは光学センサを含み得る。センサ読取値を処理して、速度の時間領域表示または周波数領域表示を通じて、乱流を示すことができる。これらのセンサ読取値を用いて可聴波形を調節して、乱流を示す。このガイドカテーテルは、遠位先端の撓みを可能にする操縦装置をさらに含み得る。
【0012】
特許文献10において、血流測定デバイスおよび方法についての開示がある。この開示は、血管内を移動する血液成分から反射された超音波のドップラーシフトを検出することにより、血流を測定するシステムに関連する。このシステムでは、ドップラーシフト信号の周波数スペクトルの部分の正確な追跡のための電子技術を用いて、速度および加速のピークおよび平均を決定する。
【0013】
上記文献中に開示されたシステムの場合、いずれも治療対象組織内の液流の直接的な間質性測定に適していない。すなわち、上記システムの場合、得られた流れ信号のフィードバックによる治療の効率の組織治療または評価を提供しておらず、血流判定目的しか提供していない。
【0014】
従って、腫瘍組織中の治療の効果を判定するためのより有利なデバイス、システムおよび方法が必要されている。
【特許文献1】WO03/041575
【特許文献2】米国特許第4590948号
【特許文献3】WO95/005213
【特許文献4】WO95/005213
【特許文献5】GB2351197
【特許文献6】EP1002497
【特許文献7】US5022757
【特許文献8】EP0488614
【特許文献9】US20030191392
【特許文献10】US4608993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明は、好適には上記した当該分野における欠陥および単一の不利点または不利点の任意の組み合わせの1つ以上を軽減、緩和または排除するものであり、添付の特許請求の範囲によるデバイス、システム、方法および使用を提供することにより、上記問題を少なくとも部分的に解消する。
【0016】
即ち本発明の目的は、光線力学または光熱による腫瘍治療および診断のためのシステム中に既に存在する信号を用いて、診断下の領域中の血流に関するデータを判定して、実施中の治療の効果を測定する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0017】
ヒト組織中の液流を分析するデバイスは、上記組織の第1の位置に挿入されかつ光源(例えば、レーザ)に接続された第1のファイバと、上記組織の第2の位置中に挿入されかつ上記第1のファイバかは放射され上記組織中で散乱する光を受信する第2のファイバと、上記第2のファイバからの光を受信して、上記受信された光から独立して出力信号を生成するように構成された検出器とを含み得る。上記デバイスは、上記検出器からの上記出力信号を分析し、周波数域中の周波数成分のうち上記出力信号中で約1MHzよりも低いものを判定する手段を含む。
【0018】
本発明の第1の局面によれば、間質性光線力学または光熱による治療下のヒトまたは哺乳類の腫瘍組織における治療の効果を決定するデバイスが提供される。上記デバイスが用いられる場合、これは、腫瘍組織中の液流を分析することにより、上記デバイスによって行われる。上記デバイスは、レーザなどの光源と上記組織との間で光を送信し、上記腫瘍組織の第1の位置に間質的に挿入された遠位端を有しかつ上記光源に接続される、第1の光ファイバと、上記腫瘍組織の上記第1の位置と異なる第2の位置に間質的に挿入された遠位端を有し、第1の光ファイバの上記遠位端において上記第1の位置から送信され、上記第1の位置から上記組織の少なくとも一部を通じて上記組織中で散乱して上記第2の位置に到達する光を受信する、第2の光ファイバとを含む。さらに、近位検出器が、上記組織から上記第2の光ファイバを介して送信された光を受信するように構成され、上記受信された光から独立して出力信号を生成する。さらに、上記デバイスは、分析上記検出器からの上記出力信号を分析し、上記出力信号中で約1MHzよりも低い上記周波数域内の周波数成分を決定して、上記液流を決定するように構成される、分析手段と、上記第1の位置と上記第2の位置との間の上記治療の効果を、上記液流に対する反比例などの上記液流の関数として決定する手段とを含む。
【0019】
上記周波数成分は、約100Hzなどの第1の周波数から約1MHzなどの第2の周波数の周波数スペクトルを有し得る。上記デバイスは、上記周波数成分の強度が所定閾値を下回る時を決定する手段をさらに含み得る。
【0020】
特にCCD検出器と関連して用いられると、上記デバイスは、周波数が変動する信号を生成し、かつ、上記検出器の入力手段に接続されて上記検出器の増幅を制御する発振器と、上記検出器によって受信された光の周波数成分と、上記増幅周波数との間のビート信号を感知するセンサとを含み得る。上記デバイスは、上記発振器の周波数を約100Hzなどの第1の周波数から約1MHzなどの第2の周波数へと調節する手段をさらに含み得る。50Hzなどの特定の通過帯周波数のビート信号を通過させるフィルタが、上記センサに接続され得る。上記フィルタは、上記センサの前に配置され得る。上記フィルタは、上記CCD検出器のビデオ速度(50Hz)における読み出しとして具現化され得る。上記第1の周波数は、100Hz〜1kHzであり、上記第2の周波数は約1MHzであり得る。上記第2の周波数は、上記ビート信号が消失した際の周波数に動的に調節され得る。
【0021】
上記発明の効果は、壊死または血液凝固の度合いであり得る。
【0022】
本発明のさらなる局面によれば、間質性光線力学または光熱による治療下のヒトまたは哺乳類の腫瘍組織中の液流を分析することにより、上記腫瘍組織における治療の効果を決定するシステムが提供される。上記システムは、レーザなどの光源と上記組織との間で光を送信し、上記腫瘍組織の第1の位置に間質的に挿入された遠位端を有しかつ上記光源に接続される、第1の光ファイバと、上記腫瘍組織の上記第1の位置と異なる第2の位置に間質的に挿入された遠位端を有し、第1の光ファイバの上記遠位端において上記第1の位置から送信され、上記第1の位置から上記組織の少なくとも一部を通じて上記組織中で散乱して上記第2の位置に到達する光を受信する、第2の光ファイバと、上記組織から上記第2の光ファイバを介して送信され受信された光を受信するように構成され、上記受信された光から独立して第1の出力信号を生成する、第1の近位検出器と、上記検出器からの上記出力信号を分析し、上記出力信号中で約1MHzより低い上記周波数域内の周波数成分を決定して、上記液流を決定するように構成される、分析手段と、上記第1の位置と上記第2の位置との間の上記治療の効果を、上記液流に対する反比例などの上記液流の関数として決定する手段と、上記腫瘍組織の上記第1の位置および上記第2の位置とそれぞれ異なる少なくとも1つのさらなる位置に挿入された遠位端を有し、上記第1の光ファイバの上記遠位端において上記第1の位置から放射され、上記第1の位置からから送信され、上記第1の位置から上記組織の少なくとも一部を通じて上記組織中で散乱して上記さらなる位置に到達する光を受信する、少なくとも1つのさらなるファイバと、上記組織から上記さらなる光ファイバを介して送信された光を受信するように構成され、上記受信された光から独立してさらなる出力信号を生成し、これにより、上記検出された光の周波数成分を用いて、上記組織中の流れの三次元情報を提供し、上記腫瘍組織中の治療の効果に関する三次元情報を、上記液流に対する反比例などの上記液流の関数とする、第2の近位検出器とを含む。
【0023】
一実施形態によれば、上記システムは、上記腫瘍組織中の治療の効果に関するトモグラフィー画像を上記液流の三次元情報からから提供する手段を含み得る。
【0024】
一実施形態によれば、上記トモグラフィー画像は、腫瘍における壊死レベルなどの上記組織中の細胞状態を記述する3D画像であり得る。
【0025】
本発明のさらに別の局面によれば、間質性光線力学または光熱による治療下のヒトまたは哺乳類の腫瘍組織における治療の効果を決定する方法が提供される。上記方法は、腫瘍組織中の液流を分析する工程であって、上記組織の第1の位置に間質的に挿入されかつレーザなどの光源に接続された第1のファイバを通じて光を放射する工程と、上記第1のファイバから放射されて上記組織中において散乱した光を、上記組織の第2の位置に挿入された第2のファイバを介して受信する工程と、上記第2のファイバからの光を受信するように構成された検出器を介して、上記受信された光から独立して出力信号を生成する工程と、上記検出器からの上記出力信号を分析する工程と、上記出力信号中の約1MHzよりも低く、かつ、約100Hzなどの第1の周波数〜約1MHzなどの第2の周波数の周波数を有する上記周波数域中の周波数成分を決定する工程とにより行われる工程、を含む。
【0026】
本発明のさらに別の局面によれば、間質性光線力学または光熱による治療下のヒトまたは哺乳類の腫瘍組織中の流れを測定することにより、上記腫瘍組織における治療の効果を決定する方法が提供される。上記方法は、第1の光ファイバの遠位端を、レーザなどの光源に接続された上記腫瘍組織の第1の位置に間質的に挿入する工程と、第2の光ファイバの遠位端を、上記腫瘍組織の第2の位置に間質的に挿入して、上記第1のファイバから放射されて上記組織中で散乱した光を受信する工程と、上記第2のファイバからの光を受信する第1の近位検出器を、上記受信された光から独立して出力信号を生成するように、構成する工程と、少なくとも1つのさらなるファイバを上記組織の少なくとも1つのさらなる位置へ間質的に挿入して、上記第1のファイバから放射されて上記組織中で散乱する光を受信する工程と、上記少なくとも1つのさらなるファイバからの光を受信して、上記受信された光から独立して出力信号を生成するように、第2の近位検出器を構成する工程と、上記検出された光の周波数成分を処理して上記組織中の流れの三次元情報を提供する工程と、上記腫瘍組織中の治療の効果に関する三次元情報を、上記液流に対する反比例などの上記液流の関数として提供する工程とを含む。
【0027】
一実施形態によれば、上記方法は、上記腫瘍組織中の治療の効果に関するトモグラフィー画像を上記流れの三次元情報から提供する工程を含み得る。
【0028】
さらに、上記方法は、トモグラフィー反転技術を用いることにより、上記トモグラフィー画像を計算する工程を含み得る。
【0029】
さらなる局面において、ヒトまたは哺乳類の組織中の液流を分析する上記デバイスの使用が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の他の目的、特徴および利点は、本発明の以下の実施形態の詳細な説明を図面と共に参照すれば明らかである。
【0031】
驚くべきことに、本発明者らは、光線力学または光熱による治療時において組織を通過する血流が変化することを認識した。これを用いて、行われた治療の効果に関する測定を提供することにより、治療手順の進捗管理を行うことができる。
【0032】
光熱治療において、特定の熱相互作用が得られた際に組織中の血液が凝固する。このような凝固に起因して、血流が止まり、当該治療中止の合図となり得る。
【0033】
同様の方法で、光線力学治療時において血流が変化し、その結果、当該治療の進捗に関する情報が得られる。組織(腫瘍組織を含む)中の血流は酸素を組織に運搬するため、血流は、組織に送達した酸素量の目安となる。以下により詳細に説明するように、組織において特定の照射された組織の細胞を光増感剤によって根絶して、組織を壊死せしめることを可能にするためには、酸素が必要である。酸素が無い場合、光増感剤の効果は得られないことが多い。一方、組織中に酸素が存在しない場合当該組織は壊死し、これは、癌細胞が完璧に根絶されたために腫瘍組織の光線力学治療が成功したことを意味する。
【0034】
図1は、ヒトまたは動物の上かつ/または内部の部位の対話型光線力学光治療(PDT)および/または光熱治療(PTT)および/または光線力学診断(PDD)のためのデバイスの模式図である。複数または少なくとも2つの放射導体(例えば、光ガイドまたは光ファイバ6)が、組織8(これは、臓器、腫瘍または他の任意の組織であり得る)に挿入される。これらのファイバは、間質的に幾何学的パターンで組織8中に挿入され得る。図1に示すように、これらのファイバは、調査および/または治療対象である特定領域を被覆する幾何学的パターン状に構成される。図1に示すように、上記組織から距離を空けて配置されたファイバ6の近位端は、切換手段1のプレート3に挿入され、取り付けられる。プレート3は、第2のプレート4の近隣において構成され、これらのプレートは、シャフト2の周囲で相互に回転可能となっている。
【0035】
図1に示すように、複数のまたは少なくとも2本の光誘導ファイバ7が開口中の第2のプレート4に接続される。第1のファイバ7a(図2を参照)は、プレート4から距離が空けられたその近位端において、診断用光9aのソースに接続される。この診断用ソースは、特定の波長におけるレーザ放射光であり得る。診断用光は、診断用光源9aからファイバ7aからファイバ6aを通って組織8へと送られる。
【0036】
診断用光は、ファイバ6aの遠位端を通じて組織8中へと放射され、組織内で散乱する。散乱した診断用光は、残りのファイバ6bの遠位端によってピックアップされ、診断センサユニット12中に構成された診断センサへと送られる。よって、図2に示すように、診断センサユニット12は、光ファイバ7bを介して第2のプレート4に接続される。この散乱光は、ファイバ6bおよびファイバ7bを介してユニット12中の診断センサへと送られる。
【0037】
第2のプレート4を回転させることにより、新規の1組のファイバ7がファイバ6に対向して配置され、ここで、新規ファイバ6は送信ファイバとして機能し、残りのファイバは受信ファイバとして機能する。
【0038】
ユニット12(図2)中の診断センサの応答の組み合わせが評価され、組織8(図1)の診断画像が得られる。このような診断画像は、腫瘍を通過する光束、組織の自己蛍光または蛍光信号に関する情報を含み得る。蛍光が得られるのは、可視放射または紫外線放射によって組織が励起されたときである。最後に述べた蛍光信号は、より長い波長に向かってシフトし、組織の内因性蛍光とは対照的に、明確に現れる。この情報は、腫瘍の位置特定および組織中での増感剤の取込量の定量化のために用いられる。このようにして、正確な光放射量を計算または測定することができる。マイクロサーミスタをファイバ6と関連して構成して、当該組織の温度を測定してもよいし、あるいは、特殊な様式で作成されたファイバを通じて光学的に温度を測定してもよい。
【0039】
ファイバ6の先端は、特殊材料で作成され得る。この特殊材料は、このような特殊処理されたファイバの先端における組織の温度を測定することを可能にする温度依存型のレーザ還元蛍光信号を生成する。
【0040】
しかし、治療時に当該組織の温度を測定して得られるのは当該組織中に導入されたエネルギー量に関する情報だけであり、治療そのものの成否についての情報は得られないため、光熱治療からの直接フィードバックを得る必要がある。その上、温度測定のための特殊処理された光ファイバまたはマイクロサーミスタを必要としないより単純なシステムが有れば、少なくとも経済面だけでなくより信頼性の高いシステムのために有利である。
【0041】
図1および図2に示すデバイスは、治療位置に調節することもできる。上記治療位置において、治療対象組織の効率的な光放射を得るために、全ファイバの近位端を1つまたはいくつかのレーザソースに接続することができる。
【0042】
光放射は、治療モードおよび診断モード双方において、赤外線光、近赤外線光(NIR)または可視光であり得る。しかし、ドップラー測定のために周波数が正確な単一モードのレーザを用いる必要は無い点に留意されたい。その理由としては、各振動モード周囲において周波数シフトが発生し、特異的な周波数のみが検出されるからである。これらのモードは少なくとも100MHzで離隔されるため、上記モード分離と比較してドップラーシフトは無視できるほど小さい。その総計は変化し得るが、この特異的な周波数は免疫性である。よって、マルチモード光源を特定の実施形態に合わせて用いることができる。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、送信側ファイバ(例えば、組織8中に間質的に挿入されたファイバ6a)のうち1本の遠位端から送信された診断用光は、その他の受信側ファイバ6へと送られ、その後、移動粒子(例えば、当該組織中の血管または毛細血管中で移動する血液細胞)により散乱される。この散乱は、当該組織において送信側ファイバから1つの受信側ファイバに向かってそれぞれ行われる。このような散乱時において、移動粒子がこのような散乱を発生させると、ドップラーシフトが発生する。当該組織中に移動粒子が存在しない場合、ドップラーシフトは発生しない。すなわち、移動粒子が存在する場合、非移動組織(例えば、血管壁、または非移動腫瘍組織)によって散乱した光との干渉により、ドップラーシフトした光と非シフト光との総計であり両者間の差である干渉信号が生成される。例えば、組織中で血液細胞が4mm/秒の速度で移動している場合、ドップラーシフトは近赤外線光の場合に104Hzの範囲になる。上記総計信号は検出できないことが多いが、差信号は適切な検出器により検出可能であることが認識される。
【0044】
組織中の血液環流は好適な方向を持たず、送信側ファイバから受信器ファイバへの通過の際に何回か光が散乱するため、統計的な周波数分布を有するドップラーシフト干渉信号が得られる。記録された周波数分布から、例えばWO95/005213中に記載のように血液環流を計算することができる。しかし、WO95/005213は組織に関連した光ファイバの遠位配置に基づいているため、これらのドップラー測定は、本実施形態とは対照的に、組織から後方散乱した光に基づいていた。WO95/005213は表面的測定に基づいている。
【0045】
しかし、血液が凝固すると、当該組織中の血液細胞の移動が止まり、その結果ドップラーシフトおよび干渉も無くなる。本発明者らは、この時点を治療が成功したとの合図として解釈できることを認識した。よって、このようなドップラー干渉信号の消失を、進行中の治療を中断する合図として用いることができる。よって、本発明のこの実施形態によれば、光熱治療下の組織内の位置における光熱温度の温度測定が不要となり、省略することができる。
【0046】
同様の様式で、光線力学治療時において血流が変化し、その結果、治療進捗に関する情報(例えば、局所的に死滅した組織(組織が壊死したとも言う)に関する情報)が得られる。ここで、同様に、治療の効果が決定される。壊死は遅れて発生し得るため、血流反応は治療時において異なり得るが、それぞれ特性的であり得る。ドップラーシフトおよび干渉が小さいほど、治療の成功可能性が高い(すなわち、治療効果は、この測定に反比例する)。
【0047】
感光剤は、ALA溶液、フタロシアニン(phtalocyanine)、塩素などであればよい。これらの薬剤は、腫瘍治療の際に以下のような様態で機能する。ALAまたはアミノレブリン酸は、前駆光増感剤であり、適用時、光増感剤であるプロトポルフィリンIX(PPIX)に変換される。このプロセスは、腫瘍細胞においてより効率が良い。波長がおよそ635nmのレーザビームを腫瘍に当てることにより、PPIXが励起され、この励起は細胞中の酸素へと転送され、励起は、その三重項基底状態からその励起一重項状態へと促進される。この一重項状態の酸素は、上記細胞を致命的に損傷し、損傷部位内の細胞は数日間内に死滅する。フタロシアニン(phtalocynanines)は、向上した薬学的プロファイルを持つ第2に生成される光増感剤であり、組織の透明性が高いためフタロシアニンのPDT適性が高い赤色領域において、高い吸収を有する。塩素もまた、PDT適性が高い第2に生成される光増感剤である。他の増感剤を挙げると、FoscanおよびTookadがある。Tookadの機能は、主に腫瘍血管系の閉鎖である。
【0048】
上記した既知の診断方法において、CCD検出器は、受信側ファイバ中の光のスペクトル評価のために用いられることが多い。このような検出器は、ドップラー起因干渉を検出するための十分に高速な読取反応を持たないことが多い。いくつかの実施形態によれば、以下により詳細に説明するようなヘテロダイン検出技術を用いることができる。
【0049】
本発明の第1の実施形態において、スペクトル評価およびドップラー干渉評価のために別個の検出器を用いる。このような一実施形態を図3中に模式的に示す。検出器ユニット12は、各受信側ファイバ用の2つの検出器(一方の検出器12aはスペクトル評価用であり他方の検出器12bはドップラー差評価用)を含み得る。半透鏡12cが、ドップラー差評価のための検出器12bへの光の一部を反射するように構成されている。
【0050】
鏡12cはあるいは不透明鏡であってもよく、その場合、鏡12cは、光がドップラーセンサ12bに反射される図3中に示す位置と、光がまっすぐにスペクトル検出器12aへと向かう位置との間で旋回する。光をドップラー検出器12bまたはスペクトル検出器12aへと方向付けるための他の方法(例えば、WO03/041575に示すような回転円盤または置換可能円盤の使用)を用いてもよい。あるいは、上記光検出器への分岐(例えば、80%をCCDへおよび20%を高速フォトダイオードへという配分)を光ファイバに設けてもよい。
【0051】
ドップラー評価用検出器は、応答特性を有するフォトダイオードまたは他の検出器であり得、そのため、100Hz〜10MHzの範囲の周波数成分の検出が可能である。
【0052】
これらの周波数成分の振幅は、周波数成分に対応する速度で移動する細胞の数と関係を持つ(図5中に示す図を参照)。上記周波数範囲内の任意の周波数成分の強度Aが所定閾値を越える場合、これは、移動する細胞が存在することを示す。上記強度が上記閾値未満である場合、移動している細胞は存在せず、従って組織壊死または血液凝固を示している(即ち、如何に治療が効果的に進捗しているかを示している)ことと想定される。
【0053】
特定の用途において、光線力学診断およびドップラー評価のために同一検出器を改変無く用いることが可能である。この場合、鏡や他の切換手段は不要である。
【0054】
そのため、本発明の別の実施形態によれば、スペクトル評価およびドップラー差評価双方に用いられる同一検出器はCCDセンサである。上記検出器の増幅が上記ドップラー差周波数と等しい周波数に変更または調節された場合、増幅変化およびドップラー差信号の位相に応じて、上記ドップラー干渉周波数の解除または増幅のいずれかが得られる。さらに、上記増幅周波数および上記ドップラー差周波数が互いに近い場合、低周波数の検出可能なビートまたは変化が得られる。そのため、102Hz〜106Hzの範囲で掃引される上記検出器の増幅を周波数によって調節し、上記ビート周波数を観察することにより、周波数通過帯域中のドップラー差周波数を得ることができる。
【0055】
増幅調節は特定の要素によって行うことができ、周波数は100Hzで開始し、上記検出器からの出力がモニタリングされる。上記検出器からの応答に変化がある場合、これは、ドップラー差信号を示す。この差信号は、例えば50Hzにおいて測定される。その後、上記増幅周波数を段階的(例えば100Hz)に増加し、各段階において新規評価を行う。
【0056】
図4は、この実施形態のブロック図である。検出器80は、上記検出器の増幅コンタクト81によって電圧制御される特定の増幅を有する。電圧制御型発振器82が増幅コンタクト81に接続される。この電圧制御型発振器は、特定の周波数および振幅の電圧を放出するように、構成される。この振幅は、上記検出器の増幅が適切に変化するように、選択される。この周波数は、ドップラーシフト範囲全体を網羅するように、段階的に測定される。
【0057】
上記増幅変化に起因して、ビート信号が生成される。例えば50Hzの周波数においてビート信号を分析することにより、ドップラー差信号を得ることができる。中心周波数50Hzを有するバンドパスフィルタ83が、検出器80の出力に接続される。上記バンドパスフィルタを通過する信号がセンサ84によって分析される。上記発振信号が掃引されると、上記センサは、上記ドップラー差信号の振幅の分布を決定する。上記周波数50Hzを用いることにより、映像周波数においての読み取りが可能となる。EEDは画像化検出器であり、多数のファイバからのその入力信号は同時処理可能である点に留意する。
【0058】
図5は、ユニット12から得られた典型的図である。図5から明らかなように、特定の周波数を越える信号は無い。すなわち、この上限周波数が得られたとき、上記周波数の掃引が停止可能となる。この上限周波数は、当該組織の血管または毛細血管中の血液細胞の最高速度を示す。この最高速度は典型的には毛細血管の場合3cm/秒であり、その結果、赤色光または近赤外光の場合に約3×104の周波数が得られる。
【0059】
図5に示すように上記ドップラー信号の振幅が所定閾値を下回って通過した場合、これは、移動している血液細胞が実質的に存在しないものと解釈することができる。その後、熱治療または例えばTookad光線力学治療において治療を中断することができる。
【0060】
血液細胞の流れの分析は、高出力レーザ光を組織中に送信するために全ファイバが用いられることが多いため、治療として同時に実施することが出来ない場合が多い。しかし、本発明によれば、これらのファイバのうち1本を分析用に残しておくことができる。あるいは、デバイスを治療モードと分析モードとの間で定期的に切り換える。
【0061】
送信側ファイバおよび少なくとも2本の受信側ファイバを持つことにより、3D測定が入手可能となる。このようにして、治療管理目的のために、治療下の組織において、血液環流を三次元的に得ることができる。このようにして、現在の流れ分布に局所的に適合させて治療を行えるシステムが得られる。一方、治療用放射が停止した部分として組織の領域を特定することができ、これにより、過放射による望ましくない損傷が患者に起こらないようにする。
【0062】
さらに、このような複数の三次元測定を用いることにより、当該組織に対する治療効果のトモグラフィー画像を提供するシステムが得られる。このようなトモグラフィー画像は、公知の計算方法(例えば、図1に示すシステムの使用)により、得ることができる。ここで、放射光源からの光は、1本の特定の放射導体7を通じて送信され、ディスク4および3を介して、放射導体6のうちの1本(これは、当該腫瘍中への送信器として機能する)を通じて組織8へと到達する。当該腫瘍中のその他の5本の放射導体6は、当該腫瘍に到達した光の拡散フラックスの受信器として機能し、拡散フラックスを収集する。収集された光は、ディスク3および4を通じて再度導通し、放射センサおよび異なる5個の光特性が例えば検出器アレイ上に記録され得る。回転可能ディスク4が60度回転され、患者に隣接する放射導体6が送信器として機能し、残り5本の放射導体6は、新規光分布の受信器となる。患者中に繋がる放射導体6に対して回転可能ディスク4をその後それぞれ60度で4回回転させた後、送信器/受信器の残り全ての組み合わせに関する光束データが記録されたことになる。従って、合計で6x5=30個の測定値が得られ、治療時における当該腫瘍の異なる部分中の組織に対する治療効果のトモグラフィーモデリングのための入力データとして用いることが可能となる。
【0063】
さらに、治療の経時的展開に関する詳細情報も入手可能であり、例えば、光線力学または光熱による治療の進捗を視認化した経時傾向曲線として表示することができる。
【0064】
また、従来の光束測定によって得られたトモグラフィー画像を、上記にて詳述したような様式で得られた液流ドップラー測定によって得られたトモグラフィー情報と組み合わせて使用または表示することもできる。例えば、液流情報を従来のトモグラフィー画像情報と重畳して、腫瘍治療進捗の診断の信頼性をより高めることができる。その結果、患者に適用するかまたは投与される放射量または薬剤(例えば、増感剤)を最低限にすることにより、患者への安全性をより高めることができる。
【0065】
本明細書中、上記において本発明の特定の実施形態について図面を参照しながら説明してきた。しかし、これらの異なる特徴を、上記実施形態において明示的に開示された異なる組み合わせにおいて用いることができる。本発明は、添付の特許請求の範囲のみによって限定される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、内部で本発明を用いることが可能な既知のデバイスの模式図である。
【図2】図2は、図1の本発明の一実施形態に類似する模式図である。
【図3】図3は、図2の本発明の別の実施形態に類似する模式図である。
【図4】図4は、本発明による分析デバイスのブロック図である。
【図5】図5は、ドップラーシフト差信号のスペクトル分布を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間質性光線力学または光熱による治療下のヒトまたは哺乳類の腫瘍組織中の液流を分析することにより、前記腫瘍組織における治療の効果を決定するデバイスであって、前記デバイスは、
レーザなどの光源と前記組織との間で光を送信し、前記腫瘍組織の第1の位置に間質的に挿入された遠位端を有しかつ前記光源に接続される、第1の光ファイバと、
前記腫瘍組織の前記第1の位置と異なる第2の位置に間質的に挿入された遠位端を有し、第1の光ファイバの前記遠位端において前記第1の位置から送信され、前記第1の位置から前記組織の少なくとも一部を通じて前記組織中で散乱して前記第2の位置に到達する光を受信する、第2の光ファイバと、
前記組織から前記第2の光ファイバを介して送信された光を受信し、前記受信された光から独立して出力信号を生成する、近位検出器と、
分析前記検出器からの前記出力信号を分析し、前記出力信号中で約1MHzよりも低い前記周波数域内の周波数成分を決定して、前記液流を決定するように構成される、分析手段と、
前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記治療の効果を、前記液流に対する反比例などの前記液流の関数として決定する手段と、
を含む、デバイス。
【請求項2】
周波数成分は、約100Hzなどの第1の周波数から約1MHzなどの第2の周波数の周波数スペクトルを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
周波数成分の強度が所定閾値を下回る時を決定する手段をさらに含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
周波数が変動する信号を生成し、かつ、検出器の入力手段に接続されて前記検出器の増幅を制御する発振器をさらに含み、必要に応じてCCD検出器である、発振器と、
前記検出器によって受信された光の周波数成分と、増幅周波数との間のビート信号を感知するセンサと、
をさらに含む、請求項1、2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
発振器の周波数を約100Hzなどの第1の周波数から約1MHzなどの第2の周波数へと調節する手段をさらに含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
センサに接続されかつ50Hzなどの特定の通過帯周波数のビート信号を通過させるフィルタが、前記センサの前に配置され、これにより、前記フィルタは、CCD検出器のビデオ速度(50Hz)における読み出しとして必要に応じて具現化される、請求項4または5に記載のデバイス。
【請求項7】
第1の周波数は100Hz〜1kHzであり、第2の周波数は約1MHzである、請求項2〜6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
デバイスは、第2の周波数を、ビート信号が消失した際の周波数に動的に調節するように構成される、請求項2〜6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
効果は、壊死または血液凝固の度合いである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
間質性光線力学または光熱による治療下のヒトまたは哺乳類の腫瘍組織中の液流を分析することにより、前記腫瘍組織における治療の効果を決定するシステムであって、前記システムは、
レーザなどの光源と前記組織との間で光を送信し、前記腫瘍組織の第1の位置に間質的に挿入された遠位端を有しかつ前記光源に接続される、第1の光ファイバと、
前記腫瘍組織の前記第1の位置と異なる第2の位置に間質的に挿入された遠位端を有し、第1の光ファイバの前記遠位端において前記第1の位置から送信され、前記第1の位置から前記組織の少なくとも一部を通じて前記組織中で散乱して前記第2の位置に到達する光を受信する、第2の光ファイバと、
前記組織から前記第2の光ファイバを介して送信され受信された光を受信するように構成され、前記受信された光から独立して第1の出力信号を生成する、第1の近位検出器と、
前記検出器からの前記出力信号を分析し、前記出力信号中で約1MHzより低い前記周波数域内の周波数成分を決定して、前記液流を決定するように構成される、分析手段と、
前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記治療の効果を、前記液流に対する反比例などの前記液流の関数として決定する手段と、
前記腫瘍組織の前記第1の位置および前記第2の位置とそれぞれ異なる少なくとも1つのさらなる位置に挿入された遠位端を有し、前記第1の光ファイバの前記遠位端において前記第1の位置から放射され、前記第1の位置からから送信され、前記第1の位置から前記組織の少なくとも一部を通じて前記組織中で散乱して前記さらなる位置に到達する光を受信する、少なくとも1つのさらなるファイバと、
前記組織から前記さらなる光ファイバを介して送信された光を受信するように構成され、前記受信された光から独立してさらなる出力信号を生成し、これにより、前記検出された光の周波数成分を用いて、前記組織中の流れの三次元情報を提供し、前記腫瘍組織中の治療の効果に関する三次元情報を、前記液流に対する反比例などの前記液流の関数とする、第2の近位検出器と、
を含む、システム。
【請求項11】
腫瘍組織中の治療の効果に関するトモグラフィー画像を流れの三次元情報から提供する手段をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
周波数成分は、約100Hzなどの第1の周波数から約1MHzなどの第2の周波数の周波数スペクトルを有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
周波数成分の強度が所定閾値を下回る時を決定する手段をさらに含む、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
周波数が変動する信号を生成し、かつ、第1の検出器および第2の検出器の入力手段に接続され、前記第1の検出器および前記第2の検出器の増幅を制御し、必要に応じてCCD検出器である、発振器と、前記第1の検出器および前記第2の検出器によって受信された光の周波数成分と、増幅周波数との間のビート信号を感知するセンサとをさらに含む、請求項11、12または13に記載のシステム。
【請求項15】
発振器の周波数を約100Hzなどの第1の周波数から約1MHzなどの第2の周波数へと調節する手段をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
50Hzなどの特定の通過帯周波数のビート信号を通過させるセンサに接続されたフィルタをさらに含み、前記フィルタは前記センサの前に配置され、これにより、前記フィルタは、必要に応じてビデオ速度(50Hz)におけるCCD検出器の読み取りとして具現化される、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
第1の周波数は100Hz〜1kHzであり、第2の周波数は約1MHzである、請求項12〜16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
第2の周波数は、ビート信号が消失した時の周波数に動的に調節される、請求項14から16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
トモグラフィー画像は、腫瘍における壊死レベルなどの組織中の細胞状態を記述する3D画像である、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
間質性光線力学または光熱による治療下のヒトまたは哺乳類の腫瘍組織における治療の効果を決定する方法であって、
前期腫瘍組織中の液流を分析する工程であって、
前記組織の第1の位置に間質的に挿入されかつレーザなどの光源に接続された第1のファイバを通じて光を放射する工程と、
前記第1のファイバから放射されて前記組織中において散乱した光を、前記組織の第2の位置に挿入された第2のファイバを介して受信する工程と、
前記第2のファイバからの光を受信するように構成された検出器を介して、前記受信された光から独立して出力信号を生成する工程と、
前記検出器からの前記出力信号を分析し、前記出力信号中の約1MHzよりも低く、かつ、約100Hzなどの第1の周波数〜約1MHzなどの第2の周波数の周波数を有する前記周波数域中の周波数成分を決定する工程と、
を含む、工程、
を含む、方法。
【請求項21】
間質性光線力学または光熱による治療下のヒトまたは哺乳類の腫瘍組織における治療の効果を決定する方法であって、前記方法は、前記腫瘍組織中の流れを測定することにより、
第1の光ファイバの遠位端を、レーザなどの光源に接続された前記腫瘍組織の第1の位置に間質的に挿入する工程と、
第2の光ファイバの遠位端を、前記腫瘍組織の第2の位置に間質的に挿入して、前記第1のファイバから放射されて前記組織中で散乱した光を受信する工程と、
前記第2のファイバからの光を受信する第1の近位検出器を、前記受信された光から独立して出力信号を生成するように、構成する工程と、
少なくとも1つのさらなるファイバを前記組織の少なくとも1つのさらなる位置へ間質的に挿入して、前記第1のファイバから放射されて前記組織中で散乱する光を受信する工程と、
前記少なくとも1つのさらなるファイバからの光を受信して、前記受信された光から独立して出力信号を生成するように、第2の近位検出器を構成する工程と、
前記検出された光の周波数成分を処理して前記組織中の流れの三次元情報を提供し、前記腫瘍組織中の治療の効果に関する三次元情報を、前記液流に対する反比例などの前記液流の関数として提供する工程と、
を含む、方法。
【請求項22】
腫瘍組織中の治療の効果に関するトモグラフィー画像を前記流れの三次元情報から提供する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
トモグラフィー反転技術を用いることにより、トモグラフィー画像を計算する工程を含む、請求項22に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2008−539943(P2008−539943A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511087(P2008−511087)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/SE2006/050121
【国際公開番号】WO2006/121408
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507374479)スペックトラキュア エービー (2)
【Fターム(参考)】