説明

光線反射材および太陽電池モジュール

【課題】幅広い波長領域において光線反射率が十分に高い光線反射材、および発電効率が高い太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】樹脂中に酸化亜鉛顔料が分散した酸化亜鉛含有樹脂層(A)12と、樹脂中に酸化チタン顔料が分散した酸化チタン含有樹脂層(B)12とを有する光線反射材10;太陽電池素子が封止材によって封止された太陽電池モジュールであって、封止材の一部として光線反射材10が、太陽電池素子の背面側に、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12が太陽電池素子側となるように設けられている太陽電池モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用封止材、液晶表示装置用反射材、照明用反射材等として用いられる光線反射材、および該光線反射材を封止材として用いた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池の発電効率を上げるため、太陽電池素子の背面側(太陽光の入射面とは反対側)の封止材として、白色顔料を含ませた白色封止材を用い、白色封止材にて太陽光を反射させ、太陽電池素子の背面側に反射光を入射させることが行われている(例えば、特許文献1)。白色顔料としては、酸化チタン顔料、酸化亜鉛顔料等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−036874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、酸化チタン顔料は、波長410nm以下の領域では光線反射率が極端に低くなる。そのため、酸化チタン顔料を含ませた封止材では、波長410nm以下の光線を太陽電池素子の背面側に十分に入射させることができない。
一方、酸化亜鉛顔料は、光線反射率が極端に低くなり始める波長が酸化チタン顔料よりも短波長側の390nm付近であるものの、波長410nm以上の領域では酸化チタン顔料よりも光線反射率が全体的に低い。
【0005】
本発明は、幅広い波長領域において光線反射率が十分に高い光線反射材、および発電効率が高い太陽電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光線反射材は、樹脂中に酸化亜鉛顔料が分散した酸化亜鉛含有樹脂層(A)と、樹脂中に酸化チタン顔料が分散した酸化チタン含有樹脂層(B)とを有することを特徴とする。
【0007】
前記酸化亜鉛含有樹脂層(A)は最表層に位置し、前記酸化チタン含有樹脂層(B)は前記酸化亜鉛含有樹脂層(A)に隣接することが好ましい。
前記酸化亜鉛含有樹脂層(A)の厚さと前記酸化チタン含有樹脂層(B)の厚さとの比(A:B)は、1:1〜1:20であることが好ましい。
前記樹脂は、エチレンと、極性基を有する単量体との共重合体であることが好ましい。
【0008】
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の光線反射材が、太陽電池素子の背面側に、前記酸化亜鉛含有樹脂層(A)が前記太陽電池素子側となるように設けられたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光線反射材は、幅広い波長領域において光線反射率が十分に高い。
本発明の太陽電池モジュールは、発電効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の光線反射材の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の太陽電池モジュールの一例を示す断面図である。
【図3】実施例、比較例の光線反射材の光線反射率を示すグラフである。
【図4】実施例、比較例の光線反射材の光線反射率を示すグラフである。
【図5】比較例の光線反射材の光線反射率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<光線反射材>
図1は、本発明の光線反射材の一例を示す断面図である。
光線反射材10は、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12と、酸化チタン含有樹脂層(B)14とを積層した積層シートである。
【0012】
(酸化亜鉛含有樹脂層(A))
酸化亜鉛含有樹脂層(A)12は、樹脂中に酸化亜鉛顔料が分散した層である。
【0013】
樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂、これらの硬化物等が挙げられる。光線反射材10を太陽電池用封止材として用いる場合、樹脂としては、加工性および接着性の点から、エチレンと、極性基を有する単量体との共重合体(以下、エチレン系共重合体と記す。)、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂が好ましく、エチレン系共重合体がより好ましい。
【0014】
極性基としては、エステル基(−C(O)O−RまたはR−C(O)O−、Rはアルキル基等)、カルボキシ基等が挙げられる。
極性基を有する単量体としては、ビニルエステル(酢酸ビニル等)、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等)、不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、等)、不飽和ジカルボン酸の無水物(無水マレイン酸等)、不飽和ジカルボン酸のエステル(マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル等)等が挙げられる。
【0015】
エチレン系共重合体としては、柔軟性および透明性の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体における、極性基を有する単量体に由来する構成単位の割合は、耐熱性、接着性、柔軟性、成形性、耐久性、絶縁性の点から、エチレン系共重合体を構成する全構成単位(100質量%)のうち、10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
【0016】
酸化亜鉛顔料の配合量は、光線反射率、加工性の点から、樹脂の100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
【0017】
(酸化チタン含有樹脂層(B))
酸化チタン含有樹脂層(B)14は、樹脂中に酸化チタン顔料が分散した層である。
【0018】
樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂、もしくは熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂、これらの硬化物等が挙げられる。光線反射材10を太陽電池用封止材として用いる場合、樹脂としては、加工性および接着性の点から、エチレン系共重合体、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂が好ましく、エチレン系共重合体がより好ましい。
【0019】
エチレン系共重合体としては、柔軟性および透明性の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体が好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体における、極性基を有する単量体に由来する構成単位の割合は、耐熱性、接着性、柔軟性、成形性、耐久性、絶縁性の点から、エチレン系共重合体を構成する全構成単位(100質量%)のうち、10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
【0020】
酸化チタン顔料の配合量は、光線反射率、加工性の点から、樹脂の100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
【0021】
(添加剤)
光線反射材10を太陽電池用封止材として用いる場合、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12および酸化チタン含有樹脂層(B)14は、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤を含んでいてもよい。
【0022】
架橋剤は、耐熱性を付与する成分である。架橋剤としては、公知の有機過酸化物(パーオキシケタール類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類等)、光増感剤等が挙げられる。
架橋剤の配合量は、樹脂の100質量部に対して、0〜5質量部が好ましく、0〜2質量部がより好ましい。
【0023】
架橋助剤は、重合性不飽和基(ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロキシ基等)を1つ以上(好ましくは2つ以上)有する化合物である。該化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
架橋助剤の配合量は、樹脂の100質量部に対して、0〜5質量部が好ましく、0〜2質量部がより好ましい。
【0024】
シランカップリング剤は、太陽電池素子、透明保護材、バックシート等との接着性を改良する成分である。シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤の配合量は、樹脂の100質量部に対して、0〜10質量部が好ましく、0〜5質量部がより好ましい。
【0025】
さらに、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12および酸化チタン含有樹脂層(B)14は、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ホスファイト系等)、光安定剤(ヒンダードアミン系等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系等)、変色防止剤(脂肪酸金属塩等)、他の顔料、染料、充填材等、他の添加剤を含んでいてもよい。
【0026】
(光線反射材)
光線反射材10の厚さは、通常、100〜1000μmである。
【0027】
光線反射材10における酸化亜鉛含有樹脂層(A)12の厚さと酸化チタン含有樹脂層(B)14の厚さとの比(A:B)は、光線反射率、成形性の点から、後述の方法(i)または(ii)で製造する場合は、1:1〜1:20が好ましく、1:2〜1:10がより好ましい。また、後述の方法(iii)で製造する場合は、1:1〜1:100が好ましく、1:2〜1:50がより好ましい。
【0028】
光線反射材10は、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12の材料となる樹脂材料(a)と、酸化チタン含有樹脂層(B)14の材料となる樹脂材料(b)とを用い、例えば、下記の方法(i)〜(iii)のいずれかによって製造できる。
(i)樹脂材料(a)と樹脂材料(b)とを共押出する方法。
(ii)樹脂材料(a)のフィルムと樹脂材料(b)のフィルムとを貼合する方法。
(iii)樹脂材料(b)のフィルムの表面に、樹脂材料(a)をキャスティングする方法。
【0029】
樹脂材料(a)は、樹脂中に酸化亜鉛顔料が分散した材料である。
樹脂材料(b)は、樹脂中に酸化チタン顔料が分散した材料である。
光線反射材10を太陽電池用封止材として用いる場合、樹脂材料(a)および樹脂材料(b)は、上述した架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤を含んでいてもよい。
さらに、樹脂材料(a)および樹脂材料(b)は、上述した他の添加剤を含んでいてもよい。
【0030】
(作用効果)
以上説明した光線反射材10にあっては、樹脂中に酸化亜鉛顔料が分散した酸化亜鉛含有樹脂層(A)12と、樹脂中に酸化チタン顔料が分散した酸化チタン含有樹脂層(B)14とを有するため、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12側から入射する光線に対し、幅広い波長領域において光線反射率が十分に高い。
【0031】
光線反射材10は、具体的には、波長410nm以下の領域であっても、酸化チタン顔料のみを含ませた単層の光線反射材のように光線反射率が極端に低くなることなく、波長390nm付近まで、酸化亜鉛顔料のみを含ませた単層の光線反射材と同等の光線反射率を有する。一方、波長410nm以上の領域では、酸化亜鉛顔料のみを含ませた単層の光線反射材のように光線反射率が全体的に低くなることはなく、酸化チタン顔料のみを含ませた単層の光線反射材と同等の光線反射率を有する。
【0032】
このような現象は、単層の光線反射材に酸化亜鉛顔料および酸化チタン顔料を同時に含ませた場合には見られない現象であり、単層の光線反射材に酸化亜鉛顔料および酸化チタン顔料を同時に含ませた場合では、単層の光線反射材に酸化チタン顔料のみを含ませた場合と同様の光線反射率となる。
光線反射材10は、まず、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12によって波長390nm以上の領域の光線を反射し、ついで、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12を透過した光線のうち、波長410nm以上の領域の光線をさらに反射することによって、幅広い波長領域において光線反射率を高くできる。
【0033】
(他の形態)
なお、本発明の光線反射材は、図示例の光線反射材10に限定はされない。例えば、酸化亜鉛含有樹脂層(A)の表面側、酸化亜鉛含有樹脂層(A)と酸化チタン含有樹脂層(B)との間に、光線反射率をあまり低下させない他の層(透明樹脂層等)を設けてもよく、酸化チタン含有樹脂層(B)の裏面側に、光線反射材の強度を高めるための支持体層等を設けてもよい。ただし、本発明の効果を十分に発揮させるためには、酸化亜鉛含有樹脂層(A)を最表層に位置させ、酸化チタン含有樹脂層(B)を酸化亜鉛含有樹脂層(A)に隣接させることが好ましい。
【0034】
<太陽電池モジュール>
図2は、本発明の太陽電池モジュールの一例を示す断面図である。
太陽電池モジュール20は、透明保護材22とバックシート24とを封止材で貼り合わせるとともに、透明保護材22とバックシート24との間に配置され、インターコネクタ材(図示略)を介して電極(図示略)間が接続された複数の太陽電池素子26を封止材で封止、固定したものである。
【0035】
本発明においては、太陽電池素子26の、太陽光の入射面側の封止材として、透明封止材28を用い、太陽電池素子26の背面側の封止材として、本発明の光線反射材10を用いる。光線反射材10は、太陽電池素子26の背面側に、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12が太陽電池素子26側となるように設けられている。
【0036】
(透明保護材)
透明保護材22としては、ガラス板、樹脂板等が挙げられる。ガラス板としては、光透過性の点から、表面に凹凸をつけた型板ガラスが好ましい。型板ガラスの材料としては、鉄分の少ない白板ガラス(高透過ガラス)が好ましい。
【0037】
(バックシート)
バックシート24の材料としては、ポリフッ化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオレフィン(ポリエチレン等)、ガラス、金属(アルミニウム等)等が挙げられる。バックシート24は、単層であってもよく、複層であってもよい。
【0038】
(太陽電池素子)
太陽電池素子26としては、p型とn型の半導体を接合した構造を有するpn接合型太陽電池素子が挙げられる。pn接合型太陽電池素子としては、シリコン系(単結晶シリコン系、多結晶シリコン系、アモルファスシリコン系等)、化合物系(GaAs系、CIS系、CdTe−CdS系)等が挙げられる。
【0039】
(封止材)
透明封止材28は、透明保護材22とバックシート24との貼り合わせおよび太陽電池素子26の封止、固定の際の加熱によって、樹脂(エチレン系共重合体等)が架橋剤、架橋助剤で架橋してなるものであり、かつシランカップリング剤を介して透明保護材22および太陽電池素子26と接着している。
【0040】
光線反射材10もまた、透明保護材22とバックシート24との貼り合わせおよび太陽電池素子26の封止、固定の際の加熱によって、樹脂(エチレン系共重合体等)が架橋剤、架橋助剤で架橋してなるものであり、かつシランカップリング剤を介してバックシート24および太陽電池素子26と接着している。
【0041】
(太陽電池モジュールの製造方法)
太陽電池モジュールは、封止材に含まれる架橋剤(有機化酸化物)が分解せず、かつ樹脂(エチレン系共重合体等)が溶融する温度で、透明保護材22、バックシート24および太陽電池素子26を、封止材に仮固定し、ついで架橋剤の分解温度以上に加熱して、樹脂の架橋、および透明保護材22、バックシート24および太陽電池素子26と封止材との接着を行うことによって製造できる。
【0042】
(作用効果)
以上説明した太陽電池モジュール20にあっては、幅広い波長領域において光線反射率が十分に高い本発明の光線反射材10が、太陽電池素子26の背面側に、酸化亜鉛含有樹脂層(A)12が太陽電池素子26側となるように設けられているため、発電効率がより向上したものとなる。
【実施例】
【0043】
〔実施例1〕
下記の各樹脂材料を用意した。
【0044】
(樹脂材料(a))
エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学社製、SUMITATE KA−40、酢酸ビニル単位の割合:28質量%)の100.0質量部に、酸化亜鉛顔料(堺化学工業社製、亜鉛華2号)の2.5質量部、添加剤(シランカップリング剤、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング社製、Z−6030)の2.0質量部を配合し、ラボブラストミルミキサで混合し、エチレン−酢酸ビニル共重合体中に酸化亜鉛顔料を分散させたもの。
【0045】
(樹脂材料(b))
エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学社製、SUMITATE KA−40、酢酸ビニル単位の割合:28質量%)の100.0質量部に、酸化チタン顔料(堺化学工業社製、D−2667)の5.0質量部、添加剤(架橋剤、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、日本油脂社製、パーブチルE)の2.0質量部を配合し、ラボブラストミルミキサで混合し、エチレン−酢酸ビニル共重合体中に酸化チタン顔料を分散させたもの。
【0046】
(光線反射材の製造)
樹脂材料(a)をプレスにて成形し、厚さ100μmの酸化亜鉛含有樹脂層(A)のシートを得た。
樹脂材料(b)をプレスにて成形し、厚さ400μmの酸化チタン含有樹脂層(B)のシートを得た。
酸化亜鉛含有樹脂層(A)のシートと酸化チタン含有樹脂層(B)のシートをプレスにて貼合し、光反射材を得た。
【0047】
〔実施例2〕
樹脂材料(a)および樹脂材料(b)の添加剤を0とした以外は、実施例1と同様にして光反射材を得た。
【0048】
〔実施例3〕
樹脂材料(a)の添加剤を、紫外線吸収剤(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ADEKA社製、アデカスタブLA77Y)とし、樹脂材料(b)の架橋剤の配合量を1.0質量部とし、さらに架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)の1.0質量部を追加配合した以外は、実施例1と同様にして光反射材を得た。
【0049】
〔実施例4、5〕
樹脂材料(a)および樹脂材料(b)の配合において添加剤を、架橋剤(t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルモノカーボネート、日本油脂社製、パーブチルE)の0.5質量部、架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)の0.5質量部、紫外線吸収剤(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ADEKA社製、アデカスタブLA77Y)の0.5質量部、シランカップリング剤(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング社製、Z−6030)の0.5質量部とし、各層の厚さを、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして光反射材を得た。
【0050】
〔比較例1〕
実施例1の樹脂材料(b)をプレスにて成形し、厚さ500μmの単層の光反射材を得た。
【0051】
〔比較例2〕
実施例2の樹脂材料(a)をプレスにて成形し、厚さ500μmの単層の光反射材を得た。
【0052】
〔比較例3〕
下記の脂材料をプレスにて成形し、厚さ500μmの単層の光反射材を得た。
(樹脂材料)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学社製、SUMITATE KA−40、酢酸ビニル単位の割合:28質量%)の100.0質量部に、酸化亜鉛顔料(堺化学工業社製、亜鉛華2号)の2.5質量部、酸化チタン顔料(堺化学工業社製、D−2667)の5.0質量部、添加剤(架橋剤(t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルモノカーボネート、日本油脂社製、パーブチルE)、架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)、紫外線吸収剤(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ADEKA社製、アデカスタブLA77Y)およびシランカップリング剤(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング社製、Z−6030)を各0.5質量部)の2.0質量部を配合し、ラボブラストミルミキサで混合し、エチレン−酢酸ビニル共重合体中に各顔料を分散させたもの。
【0053】
〔比較例4〕
下記の脂材料をプレスにて成形し、厚さ500μmの単層の透明樹脂シートを得た。
(樹脂材料)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学社製、SUMITATE KA−40、酢酸ビニル単位の割合:28質量%)の100.0質量部に、添加剤(架橋剤(t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルモノカーボネート、日本油脂社製、パーブチルE)、架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート)、紫外線吸収剤(ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ADEKA社製、アデカスタブLA77Y)およびシランカップリング剤(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング社製、Z−6030)を各0.5質量部)の2.0質量部を配合し、ラボブラストミルミキサで混合したもの。
【0054】
市販の白色バックシート(ISOVOLTA社製、Icosolar 2442)の表面に透明樹脂シートを貼合し、光反射材を得た。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
表中、EVAは、エチレン−酢酸ビニル共重合体を表わし、ZnOは、酸化亜鉛顔料を表わし、TiOは、酸化チタン顔料を表わす。
【0058】
〔評価〕
実施例1〜5、比較例1〜4の光反射材について、積分球装置(ISN−470型)を取り付けた紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、V−570)を用い、波長1300〜300nmの範囲で光線反射率を測定した。標準反射板としては、スペクトラロンを用いた。実施例1〜5については、酸化亜鉛含有樹脂層(A)側の光線反射率を測定し、比較例4については、透明樹脂シート側の光線反射率を測定した。
測定結果を図3〜5に示す。
【0059】
測定結果から、実施例1〜5の光反射材は、比較例1の光反射材(酸化チタン顔料のみを含ませた単層の光線反射材)に比べ、波長410nm以下の領域であっても、波長390nm付近まで光線反射率が高いことがわかる。また、実施例1〜5の光反射材は、波長410nm以上の領域では、比較例1の光反射材と同等の光線反射率を有することがわかる。実施例1〜5の光反射材は、波長1300nmまで比較例1とほぼ同等の光線反射率を有している。
【0060】
比較例3の光反射材(単層の光線反射材に酸化亜鉛顔料および酸化チタン顔料を同時に含ませたもの)は、比較例1の光反射材(酸化チタン顔料のみを含ませた単層の光線反射材)と同様の光線反射率を有し、酸化亜鉛顔料を含んでいるにもかかわらず、波長410nm以下の領域では光線反射率が極端に低くなっていることがわかる。
【0061】
比較例4の光反射材は、太陽電池素子の入射面側および背面側の封止材の両方を透明封止材とし、白色バックシートにて太陽光を反射させるタイプに相当するものであり、透明樹脂シート(透明封止材)を通過する際に光線が透明樹脂シートに吸収され、光線透過率が低くなっていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の光線反射材は、太陽電池用封止材、液晶表示装置用反射材、照明用反射材等として有用である。
【符号の説明】
【0063】
10 光線反射材
12 酸化亜鉛含有樹脂層(A)
14 酸化チタン含有樹脂層(B)
20 太陽電池モジュール
22 透明保護材
24 バックシート
26 太陽電池素子
28 透明封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂中に酸化亜鉛顔料が分散した酸化亜鉛含有樹脂層(A)と、
樹脂中に酸化チタン顔料が分散した酸化チタン含有樹脂層(B)と
を有する、光線反射材。
【請求項2】
前記酸化亜鉛含有樹脂層(A)が、最表層に位置し、
前記酸化チタン含有樹脂層(B)が、前記酸化亜鉛含有樹脂層(A)に隣接する、請求項1に記載の光線反射材。
【請求項3】
前記酸化亜鉛含有樹脂層(A)の厚さと前記酸化チタン含有樹脂層(B)の厚さとの比(A:B)が、1:1〜1:20である、請求項1または2に記載の光線反射材。
【請求項4】
前記樹脂が、エチレンと、極性基を有する単量体との共重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の光線反射材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光線反射材が、太陽電池素子の背面側に、前記酸化亜鉛含有樹脂層(A)が前記太陽電池素子側となるように設けられている、太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−222811(P2011−222811A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91389(P2010−91389)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000106726)シーアイ化成株式会社 (267)
【Fターム(参考)】