説明

光色補正装置及びこの光色補正装置を備えた照明器具

【課題】 周囲温度による光色の変化が抑えられる光色補正装置及びこの光色補正装置を備えた照明器具を提供する。
【解決手段】 それぞれ発光ダイオードからなり無電極放電灯に近接配置される補助光源30r,30g,30bと、温度による無電極放電灯の光色の変化を検出する分光測定器31とを備える。各補助光源30r,30g,30bの光出力は、分光測定器31によって検出された光色の変化を打ち消すように制御される。無電極放電灯1と各補助光源30r,30g,30bとの全体として、周囲温度による光色の変化が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光色補正装置及びこの光色補正装置を備えた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、透光性を有する材料からなり放電ガスが封入されたバルブを備える無電極放電灯が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4に、無電極放電灯1及び無電極放電灯1とともに用いられるカプラ2の例を示す。
【0004】
図4の例について具体的に説明すると、カプラ2は、円柱形状のシリンダ部21と、シリンダ部21の軸方向の一端(図4での下端)に連結されてシリンダ部21の径方向に突出する台座部22とを有する。以下、上下方向は図4を基準として説明する。
【0005】
カプラ2のシリンダ部21の上端部において外周の円柱形状の部位は例えばフェライトのような磁性体で構成されたコア部21aとなっており、このコア部21aには誘導コイル20が巻回されている。
【0006】
無電極放電灯1は、例えばガラスのような透明な材料からなり外面に凹部10aを有する中空のバルブ10と、合成樹脂からなる筒形状であってバルブ10に対し凹部10aの開口を囲む形で取り付けられた口金11とを有し、凹部10aにカプラ2のシリンダ部21が挿入されることによって誘導コイル20に近接配置される。バルブ10には、不活性ガスと水銀蒸気とを含む放電ガスが封入されている。また、バルブ10の凹部10aの底面には、カプラ2のシリンダ部21に挿入される凸部10bが突設されている。さらに、バルブ10の内面には蛍光体の層(図示せず)が設けられている。この蛍光体は、例えば、紫外線を赤色光に変換するYOXと、紫外線を緑色光に変換するLAPと、紫外線を青色光に変換するBAMとが混合されたものである。
【0007】
さらに、バルブ10内には、上記の水銀蒸気の発生源となるアマルガム(例えばBi−In−Hg)を収納した金属容器12が凸部10bの先端部内に保持されるとともに、仕事関数の低い金属のメッシュからなり暗所での点灯時に電子の発生源となる補助フラグ13が凸部10b外に保持されている。
【0008】
上記の無電極放電灯1は、誘導コイル20に高周波電力が供給されることで点灯する。すなわち、高周波電力を供給された誘導コイル20が発生させる高周波電磁界によってバルブ10内にアーク放電が発生すると、発生した紫外線(例えば波長254nm)が上記の蛍光体において可視光に変換されることにより、無電極放電灯1のバルブ10が発光する。また、上記の紫外線と同時に、可視光領域の光である青色光(例えば波長436nm)も放射されており、無電極放電灯1の光色は上記の蛍光体から発せられる光と上記の青色光との混色となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−158184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の紫外光と青色光との放射束の比は、無電極放電灯1の周囲温度に応じて変化する。従って、無電極放電灯1の光色は周囲温度に応じて変化し、この光色の変化が使用者に違和感を与える可能性があった。無電極放電灯1の光色と周囲温度との関係の一例を図5に示す。図5では、カプラ2の台座部22で測定された温度を横軸とし、CIE表色系における色度のx座標の上記温度に対する変化を実線xで示し、CIE表色系における色度のy座標の上記温度に対する変化を破線yで示している。
【0011】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、周囲温度による光色の変化が抑えられる光色補正装置及びこの光色補正装置を備えた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の光色補正装置は、それぞれ発光ダイオードからなり無電極放電灯に近接配置される少なくとも1個の補助光源と、各前記補助光源に電力を供給して点灯させる補助点灯部と、前記無電極放電灯の光色を検出する光色検出部とを備え、前記補助点灯部は、前記光色検出部によって検出された光色に基き、前記無電極放電灯と前記各補助光源との全体の混色による光色を所定の目標光色とするように、各前記補助光源の光出力をそれぞれ変化させることを特徴とする。
【0013】
この光色補正装置において、前記補助光源を複数個備えることが望ましい。
【0014】
さらに、この光色補正装置において、前記補助光源のうち少なくとも2個はそれぞれ光色が異なることが望ましい。
【0015】
また、この光色補正装置において、前記補助点灯部は、各前記補助光源の光出力を光色毎に変化させることが望ましい。
【0016】
さらに、この光色補正装置において、前記無電極放電灯は軸対称な形状であって、各前記補助光源はそれぞれ前記無電極放電灯の対称軸上に中心を有する1個の円上に配置されていることが望ましい。
【0017】
本発明の照明器具は、上記いずれかの光色補正装置と、各前記補助光源が近接配置されるとともに前記光色検出部によって光色を検出される無電極放電灯とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無電極放電灯と各補助光源との全体として、周囲温度による光色の変化が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)(b)はそれぞれ本発明の実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図2】同上の変更例を示す平面図である。
【図3】同上の別の変更例を示す正面図である。
【図4】無電極放電灯及びカプラの一例を示す断面図である。
【図5】同上において無電極放電灯の光色と温度との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
本実施形態の光色補正装置は、図1に示すカプラ2に一体化されている。このカプラ2は、無電極放電灯1を点灯させるための誘導コイル20が巻装されるとともに無電極放電灯1が取り付けられるものである。無電極放電灯1及びカプラ2の基本構成は図4で説明した従来例と共通であるので、共通する部分については図示並びに説明は省略する。以下、上下方向は図1(a)を基準として、つまり上下方向の定義は図4の従来例での定義と同様として説明する。なお、ここでいう上下方向はあくまで説明の便宜上定義するものであり、実際の使用状態での上下方向とは必ずしも一致しない。
【0022】
本実施形態において、無電極放電灯1は上下方向に平行な対称軸に関して軸対称な形状となっており、カプラ2に無電極放電灯1が取り付けられた状態ではカプラ2のシリンダ部21の中心軸及び誘導コイル20の中心軸はそれぞれ上記の対称軸に略一致する。
【0023】
カプラ2の台座部22は、上方から見て無電極放電灯1よりも外側に突出する程度に大きくされている。さらに、カプラ2の台座部22の上面には、それぞれ発光ダイオードからなる3個の補助光源30r,30g,30bが、上記の対称軸上に重心を有する正三角形の頂点の配置で固定されている。各補助光源30r,30g,30bとカプラ2のシリンダ部21の中心軸との距離は、各補助光源30r,30g,30bが上方から見て無電極放電灯1に覆われることがない程度に充分に大きくされている。補助光源30r,30g,30bのうち、1個は赤色発光ダイオードからなる赤色光源30rであり、別の1個は緑色発光ダイオードからなる緑色光源30gであり、残り1個は青色発光ダイオードからなる青色光源30bである。さらに、補助光源30r,30g,30bを点灯させる電力を生成する補助電源回路(図示せず)が、補助光源30r,30g,30bの光色毎に1個ずつ合計3個設けられている。上記のような補助電源回路は、例えば、誘導コイル20が発生される電磁界により給電される受電コイル(図示せず)と、この受電コイルの出力を整流及び平滑化する整流平滑回路(図示せず)とで構成することができる。
【0024】
さらに、カプラ2の台座部22の上面には、無電極放電灯1の光色を検出する光色検出部としての分光測定器31が保持されている。分光測定器31は、入射した無電極放電灯1の光を分光するとともに、所定の複数個の波長について、それぞれ強度を検出するものである。
【0025】
また、本実施形態は、上記の分光測定器31で得られた強度の比率に基き、無電極放電灯1の光と各補助光源30r,30g,30bとの全体の混色による光色を所定の目標光色とするように補助光源30r,30g,30b間の光出力の比率を制御する制御回路(図示せず)を備える。つまり、各補助電源回路と制御回路とで補助点灯部が構成されている。上記の目標光色は、例えば周囲温度が25℃の状態での無電極放電灯1の光色とされる。具体的には例えば、制御回路は、分光測定器31の出力から無電極放電灯1の光色のCIE表色系での色座標を演算するとともに、上記の目標光色の色座標からのずれを補正するように、各補助光源30r,30g,30bの光出力をそれぞれ決定する。制御回路が各補助光源30r,30g,30bの光出力をそれぞれ変化させる方法としては、例えば、補助電源回路から補助光源30r,30g,30bへの給電路に挿入されたスイッチング素子(図示せず)を周期的にオンオフ制御し、このオンオフ制御のオンデューティを変化させるという方法が考えられる。上記のオンオフ制御(つまり間欠点灯)の周波数は、各補助光源30r,30g,30bの点滅が人の目に認識されない程度に充分に高い周波数とされる。
【0026】
上記構成によれば、無電極放電灯1と各補助光源30r,30g,30bとの全体として、周囲温度による光色の変化が抑えられる。
【0027】
なお、無電極放電灯1の光色と周囲温度とは図5で示したような一定の関係を有するので、光色検出部は、上記のように分光測定器31で構成する代わりに、無電極放電灯1の周囲温度を検出する温度センサ(図示せず)と、温度センサによって検出された周囲温度に基いて無電極放電灯1の光色を推定する光色推定手段(図示せず)とで構成してもよい。上記の温度センサとしては例えば熱電対を用いることができ、温度センサの位置としては例えば台座部22において口金11の直下に固定される。また、光色推定手段が光色を推定する方法としては、周囲温度と光色との関係を示すデータテーブルを用いてもよいし、演算を用いてもよい。いずれの場合にも光色推定手段は周知技術で実現可能であるので詳細な図示並びに説明は省略する。上記のような光色推定手段で推定された光色は分光測定器31の出力と同様にして制御に用いることができる。
【0028】
また、補助光源30r,30g,30bの色数は上記に限られず、例えば一色の補助光源30rのみを用いてもよいが、上記のように光の3原色を用いたほうが光色の変化を抑えやすい。
【0029】
さらに、補助光源30r,30g,30bの色毎の個数も上記のように1個ずつには限られず、例えば図2に示すように補助光源30r,30g,30bを各色5個ずつ設けてもよい。この場合、電気的な接続としては同色の補助光源30r,30g,30b同士が互いに直列に接続されるようにすれば、各補助光源30r,30g,30bの光出力を色毎に制御することができる。また、図2の例では、各補助光源30r,30g,30bは、それぞれ、上方から見た無電極放電灯1の輪郭に沿った1個の円上(つまり、無電極放電灯1の対称軸上に中心を有する1個の円上)に等間隔に配置されている。
【0030】
ここで、光色の変化の抑制は、無電極放電灯1と各補助光源30r,30g,30bとの全体として混色により達成されるので、各補助光源30r,30g,30bは、使用者が主に見る方向(例えば上方向)から見て、無電極放電灯1に覆われることなく且つ無電極放電灯1のバルブ10になるべく近く見えるような位置に配置されることが望ましい。
【0031】
さらに、混色性の改善のために、図3に示すように、透光性を有する材料からなり使用者が見る方向(図3での上方向)から見て無電極放電灯1と各補助光源30r,30g,30bとをそれぞれ覆って光を拡散させる拡散カバー4を設けてもよい。このような拡散カバー4は例えば乳白色の合成樹脂板で実現することができる。また、図3の例は、一方の開口がカプラ2の台座部22によって閉塞され他方の開口が拡散カバー4によって閉塞された筒形状の反射板5を備える。反射板5はカプラ2側から拡散カバー4側に向かって(つまり図3での上方に向かって)内形及び外形をそれぞれ大きくするように傾斜するとともに、内周面が光を乱反射させることで、無電極放電灯1と各補助光源30r,30g,30bとの光をそれぞれ拡散カバー4側へ配光する。上記のような乱反射は例えば酸化アルミニウムの粒子を含む塗料を反射板5の内周面に塗布することによって実現することができる。図3の例は、例えば、拡散カバー4を下向きとした状態で(つまり図3での姿勢を上下逆転させた状態で)使用される。
【符号の説明】
【0032】
1 無電極放電灯
30r,30g,30b 補助光源
31 分光測定器(光色検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ発光ダイオードからなり無電極放電灯に近接配置される少なくとも1個の補助光源と、
各前記補助光源に電力を供給して点灯させる補助点灯部と、
前記無電極放電灯の光色を検出する光色検出部とを備え、
前記補助点灯部は、前記光色検出部によって検出された光色に基き、前記無電極放電灯と前記各補助光源との全体の混色による光色を所定の目標光色とするように、各前記補助光源の光出力をそれぞれ変化させることを特徴とする光色補正装置。
【請求項2】
前記補助光源を複数個備えることを特徴とする請求項1記載の光色補正装置。
【請求項3】
前記補助光源のうち少なくとも2個はそれぞれ光色が異なることを特徴とする請求項2記載の光色補正装置。
【請求項4】
前記補助点灯部は、各前記補助光源の光出力を光色毎に変化させることを特徴とする請求項3記載の光色補正装置。
【請求項5】
前記無電極放電灯は軸対称な形状であって、
各前記補助光源はそれぞれ前記無電極放電灯の対称軸上に中心を有する1個の円上に配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の光色補正装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光色補正装置と、
各前記補助光源が近接配置されるとともに前記光色検出部によって光色を検出される無電極放電灯とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−9273(P2012−9273A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144177(P2010−144177)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】