説明

光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液

【課題】 内分泌撹乱物質、病因分子、ガン細胞等と特異的に結合し、かつ光触媒作用によりそれらを分解可能な、分子識別能を有する光触媒性二酸化チタン複合微粒子を提供する。
【解決手段】 二酸化チタン微粒子表面が親水性高分子により修飾され、該親水性高分子のアミンと二酸化チタンは強く結合しているとともに、前記親水性高分子のアミンに目的分子に対して特異的な結合能を有する分子を固定化して、分子識別能を有する光触媒性二酸化チタン複合微粒子を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌細胞、内分泌撹乱物質などに対する分子認識能を有する抗体などの生体分子を固定化し、紫外線の照射などによってこれらの分解作用を示す光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内分泌撹乱物質の分子認識能を有するDNAなどの生体分子を支持体上に固定化した選択的吸着性を有する材料が環境浄化材料として提案されている(例えば、特許文献1参照)。一方、アナターゼ型二酸化チタンには光触媒作用があり、その強い酸化力により微生物、汚れ、悪臭物質等の有機物を分解することが知られている。現在では、二酸化チタンと活性炭やゼオライトなどの無機吸着剤を複合化することにより、二酸化チタンの分解効率を高めるような工夫がなされている(例えば特許文献2参照)。二酸化チタンの表面処理においても、パラジウムなどの還元反応促進触媒金属を二酸化チタン等の光触媒表面に析出させることで、光触媒の酸化、還元反応を促進することが考案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
しかしながら、DNA等による内分泌攪乱物質の選択的吸着材料については、吸着した内分泌攪乱物質等の確実な除去・分解手段が無く、かつ吸着飽和の問題から浄化能力にも限界がある。また、前記の二酸化チタンの光触媒としての能力を高めようとする考案についても、特定物質の吸着や分解を指向していない。したがって、例えば内分泌攪乱物質のみを選択的に吸着し分解することは不可能である。このように、生体分子により特定の物質を選択的に吸着してこれを光触媒の強い酸化力によって分解する、すなわち「選択的吸着能と光触媒能との組み合わせ」については知られていない。

【特許文献1】特開2001−81098号公報
【特許文献2】特開平1−189322号公報
【特許文献3】特開昭60−14940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、選択的吸着能生体内での中性な生理的条件下においても安定して分散し、存在することが可能な、光触媒性二酸化チタン複合微粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行い、二酸化チタン表面を親水性高分子で修飾した後に生体分子を固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子が、選択的吸着能と光触媒能を両立できることを見い出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液はアナターゼ型二酸化チタン表面に親水性高分子アミンを有し、該親水性高分子のアミンと二酸化チタンはが強く結合しているとともに、前記親水性高分子のアミンに生体分子を固定化することを可能とし、さらに、分散剤等の他物質の添加無しに、分散性が極めて良好で安定な分散液である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、、選択的吸着能生体内での中性な生理的条件下においても安定して分散し、存在することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を示す模式図である。本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液はアナターゼ型二酸化チタン(1)と、生体分子と結合する親水性高分子アミン(2)を非プロトン性極性溶媒に分散させて、90〜180℃で1〜12時間水熱反応を行い、親水性高分子と二酸化チタンとの間で共有結合を生成させた後、水溶液に分散し、親水性高分子のアミンに生体分子(3)を固定化させたものである。これにより、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子のみで分散剤等の他物質の添加無しに、水溶液中において安定して分散可能であることを特徴とするものである。生体分子の固定化には、光触媒性二酸化チタン複合微粒子表面の二酸化チタンと親水性高分子の結合に関与していないフリーのアミンを用いることができる。生体分子側は、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、糖鎖に由来するアルデヒド基等を持つ為、適切な架橋剤を用いることにより両者を共有結合させることが可能である。
【0009】
生体分子としては多種多様なものが考えられるが、最も利用されているものとしてタンパク質が挙げられる。本発明によれば、タンパク質として抗体、レセプターから低分子ペプチドまで好適に固定化が可能である。また、タンパク質の化学組成から光触媒性二酸化チタン複合微粒子への固定化にはアミノ基、カルボキシル基やチオール基、糖タンパクの場合ではアルデヒド基を固定化の際の標的官能基にすることが可能である。更には両者間をビオチンとアビジンの相互作用を利用して固定化することも可能である。
【0010】
このような場合、ニ官能性のリンカー試薬を用いることで、光触媒性二酸化チタン複合微粒子と生体分子間の結合は達成される。ニ官能性のリンカー試薬としてホモ官能基のものを用いれば、光触媒性二酸化チタン複合微粒子表面のアミンと生体分子に由来するアミノ基間に容易に共有結合を導入することが可能である。また、ヘテロ官能基を持つものを用いれば、生体分子側にチオール基、カルボキシル基を持つ生体分子が導入可能である。
【0011】
また、生体分子に限らず、蛍光色素や検出用プローブ物質等も適当な官能基の導入により光触媒性二酸化チタン複合微粒子への固定化が可能である。
【0012】
アミノ基同士のホモリンカー試薬としては、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを持つもの、具体的にはDisuccinimidyl glutarateやBis(Sulfosuccinimidyl) suberatate等およびイミドエステルを持つもの、具体的にはDimethyl adpimidateやDimethyl suberimidate等があり、好適に用いることができる。
【0013】
また、ヘテロ官能基の組み合わせは、光触媒性二酸化チタン複合微粒子表面のアミンに対しては上述のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、イミドエステルが、生体物質側のチオール基に対しては、マレイミド基を有するもの、具体的にはN−(ε−Maleimidocaproyloxy)succinimide ester等を用いることができる。
【0014】
核酸の固定化を行う場合にはポリメラーゼチェインリアクション(PCR)によるDNA増幅の際に、アミノ化プライマー、チオール化プライマー、ビオチン化プライマーを用いて修飾DNAを合成することにより、同様の方法で光触媒性二酸化チタン複合微粒子へ固定化することが可能である。例えば、アミノ化DNAを固定化に用いる場合、光触媒性二酸化チタン複合微粒子表面のアミンとの間に二官能性ホモリンカーを用いれば、両者を混合するだけで固定化を行うことができる。また、チオール化DNAを用いる場合、上述のニ官能性ヘテロリンカーを用いれば、アミン−チオール間を結合することができる。
ビオチン化DNAを用いる場合には、光触媒性二酸化チタン複合微粒子にストレプトアビジンを導入することが必要であるが、この場合には、上述のアミノ基に対する二官能性ホモリンカーを用いることで容易に導入が可能である。
【0015】
複合タンパク質や糖質などに由来する糖鎖の固定を行う場合は、シス−ジオールを過ヨウ素酸などによりアルデヒドに酸化し、光触媒性二酸化チタン複合微粒子のアミンとSodium cyanoborohydrideの存在下でシッフ塩基を形成させることにより固定化が可能であるが、二官能性リンカーを用いて架橋形成することも可能である。
【0016】
タンパク質や糖質の一部など、生体分子側がカルボキシル基を持つ場合、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)により活性化を行い、光触媒性二酸化チタン複合微粒子と混合することにより両者間の架橋が可能である。
【0017】
本発明で用いる親水性高分子としては水溶液中での分散性の観点から水溶性高分子が望ましい。水溶性高分子としては、重量平均分子量が1000〜100000の範囲にあるアミンであればいずれも使用可能であるが、例えばポリアミノ酸、ポリペプチド、ポリアミン類、およびアミン単位を有する共重合体(コポリマー)などが挙げられる。具体的には、水溶性高分子の加水分解性および溶解度の観点から、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のポリアミン類がより好適に使用される。
【0018】
また、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子の材料として用いる二酸化チタンとしては、癌治療用として体内への適用の場合など、その使用形態の自由度の観点から分散粒経が2〜200nmであることが望ましい。さらに、本発明で用いる二酸化チタンとしては、光触媒活性の観点からアナターゼ型であることが望ましい。
【0019】
また、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子は、分散性の観点から分散粒経が2〜500nmであることが好ましい。癌治療用として体内への適用の場合、腫瘍細胞への蓄積効果の観点から分散粒経が50〜200nmであることがより好ましい。このような範囲とすることで、生理的条件下で24時間以上にわたって、安定した分散が可能となる。尚、ここでいう分散粒径とは、動的光散乱法によって測定を行い、キュムラント法解析から算出される平均値のことを示している。また、ここでいう生理的条件下とは25℃、1気圧で
(137mM NaCl,8.1mM Na2HPO4,2.68mM KCl,1.47mM KH2PO4)の組成であるリン酸緩衝食塩水(pH7.4)存在下のことを示す。
【0020】
さらに、上述した二酸化チタンが少なくとも表面に存在すれば、たとえば磁性粒子と二酸化チタンとの複合体のようなものであっても、水溶液中での特性は近似し、親水性高分子アミンにより表面を修飾することで、アミンを介した生体分子の固定化は可能であるため、同様の製造法、精製法を適用することができる。
【0021】
また、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液における光触媒性二酸化チタン複合微粒子は、表面上に存在するアミンにより、粒子間に電気的斥力が働くために凝集することなく、少なくとも24時間以上にわたって安定に存在することによる。しかも、基本的にpHの変動や無機塩類の添加に対しても極めて安定である。さらに、表面上に存在するアミンによって表面電荷が正に帯電していることから、一般的に負の表面電荷をもつ細胞への親和性、取込み性が著しく高く、癌細胞の破壊を目的とした医療用材料として極めて有用である。これらの観点から、表面電位の最適範囲としては、良好な分散性と細胞取込み性を達成できる範囲にあればよく、+20mV以上あればよい。さらに望ましくは、一般に自主分散(粒子が沈殿しない状態)が十分に達成できる電位として+40mV以上あればよい。
【0022】
また、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液における光触媒性二酸化チタン複合微粒子は、光触媒性二酸化チタン複合微粒子間に電気的斥力が働くために凝集することなく、少なくとも24時間以上にわたって安定することができ、これを達成できる塩濃度の範囲として、1M以下であればよい。さらに望ましくは、生体への適用を考えた場合に生体内での中性な生理的条件下においても安定して分散し、存在することができればよく、塩濃度として100mM〜300mM程度であればよい。
【0023】
また、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液における光触媒性二酸化チタン複合微粒子は、光触媒性二酸化チタン複合微粒子間に電気的斥力が働くために凝集することなく、少なくとも24時間以上にわたって安定することができ、これを達成できる光触媒性二酸化チタン粒子濃度の範囲として、重量百分率で20%以下であればよい。さらに望ましくは、生体への適用を考えた場合に細胞に対する安全性の観点から、重量百分率で0.1%〜0.0001%であればよい。
【0024】
以上のことから、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を水、種々のpH緩衝液、輸液、あるいは生理食塩水を用いた、均一で安定な分散液として提供することが可能となる。また、本分散液を含む軟膏やスプレー剤等も製造が可能である。この特性は、特に二酸化チタンを体内外のDDSに応用する際に極めて有用である。すなわち、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液は中性付近の生理的条件においても凝集することがないために、患部組織に直接注射したり静脈に注射してターゲティングを行うことが可能となる。また、本分散液を含む軟膏やスプレー剤を皮膚等の患部に直接塗布し、太陽光や紫外線ランプ等により治療を施すことが可能となる。
【0025】
本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液における光触媒性二酸化チタン複合微粒子を励起、活性化させるための光源装置は特別である必要はないが、二酸化チタンのバンドギャップの関係上その波長は400nm以下であることが望ましい。皮膚等の外用用途では、太陽光や通常の紫外線ランプ、あるいはブラックライトを好適に使用できる。また、体内の患部に対しては内視鏡に紫外線ファイバーを装着することにより紫外線を照射すれば良い。さらに、特に280nm付近の紫外線を局所的に患部に照射して病変部を破壊しようとする光療法を想定した場合では、その作用増強剤として本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を適用することも可能である。
【0026】
さらに、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液における光触媒性二酸化チタン複合微粒子は、表面上に存在するアミンによって表面電荷が正に帯電していることから、一般的に負の表面電荷をもつ細胞への親和性、取込み性が著しく高く、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子と細胞とが接触すると直ちに細胞への結合や取込みが始まる。このことから、特に生体の皮膚表面や、あるいは気管、消化器などのあるいは生体内部の表層部や、生体内に存在する様々な患部への適用が非常に有効であり、さらに、生体分子を固定化させることで癌細胞内での局在化を可能にする。例えば、核内への移行シグナルを結合することで、核内DNAへの接近を容易にし、より高い治療効果を得ることができる。例えば、本発明の光触媒性二酸化チタン微粒子を含む分散液を含む軟膏やスプレー剤を皮膚癌や喉頭癌といった癌患部に直接塗布したり、あるいは注射により固形ガンに局所投与した後に、太陽光や紫外線ランプ等により治療を施すことにより簡便でかつ高い治療効果を得ることができるものである。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例に従って詳細に説明する。ただし、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
【0028】
(実施例1)
二酸化チタンへのポリエチレンイミンの導入
チタンテトライソプロポキシド3.6gとイソプロパノール3.6gを混合し、氷冷下で60mlの超純水に滴下して加水分解を行った。滴下後に室温で30分間攪拌した。攪拌後、12N硝酸1mlを滴下して80℃で8時間攪拌を行い、ペプチゼーションした。ペプチゼーション終了後0.45μmのフィルターで濾過し、さらに脱塩カラムPD−10(アマシャム・ファルマシア・バイオサイエンス社製)を用いて溶液交換して固形成分1%の酸性二酸化チタンゾルを調製した。この分散液を100ml容のバイアル瓶に入れ、200Hzで30分間超音波処理を行った。超音波処理を行う前後の平均分散粒経はそれぞれ、36.4nm、20.2nmであった。超音波処理後、溶液を濃縮して固形成分20%の二酸化チタンゾルを調製した。得られた二酸化チタンゾル0.75mlを20mlのジメチルホルムアミド(DMF)に分散させ、ポリエチレンイミン(平均分子量:10000、和光純薬社製)450mgを溶解したDMF10mlを添加後、攪拌して混合した。水熱反応容器(HU−50、三愛科学社製)に溶液を移し変え、150℃で6時間合成を行った。反応終了後、反応容器温度が50℃以下になるまで冷却し、2倍量のイソプロパノールを添加し、ポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子を沈殿させ、遠心後に上清を除去することにより未反応のポリエチレンイミンを分離した。70%エタノールを添加して洗浄を行い、遠心後にエタノールを除去した。蒸留水を10ml添加後、200Hzで30分間超音波処理を行い、ポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子を分散させた。超音波処理後、0.45μmのフィルターで濾過して、固形成分1.5%のポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子の分散液を得た。作製したポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子の分散粒径を、ゼータサイザーナノZS(シスメックス社製)を用いて、ゼータ電位測定セルにポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子の分散液0.75mlを仕込み、溶媒の各種パラメーターを水と同値に設定し、25℃にて動的光散乱法により測定したところ、ポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子の平均粒径は67.7nmであった。
【0029】
(実施例2)
ポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子へのタンパク質の固定化
0.1mgのストレプトアビジン(ピアース社製)を含む50mMの2[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液(pH8.0)1mlに20mMの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)と5mMのN−ヒドロキシこはく酸イミド(NHS)の混合液0.1mlを添加して5分間攪拌を行い、ストレプトアビジンのもつカルボキシル基を活性化した。攪拌終了後、10mM酢酸緩衝液(pH5.0)で平衡化した脱塩カラムNAP−10(アマシャム・ファルマシア・バイオサイエンス社製)を用いてゲル濾過を行い、未反応のEDCおよびNHSを除去した。ストレプトアビジンを含む溶液0.1mlを実施例1で得られたポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子を含む分散液2mlに添加し、10分間、4℃にて穏やかに攪拌した。この溶液を透析チューブ(分画分子量:100000、ピアース社製)に移し、20mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン−塩酸緩衝液(pH8.0)に対して12時間透析を行った。透析チューブ内の溶液を回収し、2倍量のイソプロパノールを添加し、10分間、4000gにて遠心分離し、沈殿を70%エタノールで洗浄後、100mMリン酸緩衝食塩水(pH7.5、日本ジーン社製)1mlに溶解した。これにより、ストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子の分散液を得た。この分散液の粒径を、ゼータサイザーナノZS(シスメックス社製)を用いて、ゼータ電位測定セルにこの分散液0.75mlを仕込み、溶媒の各種パラメーターを水と同値に設定し、25℃にて動的光散乱法により測定したところ、作製した光触媒性二酸化チタン複合微粒子の平均粒径は68.2nmであった。
【0030】
(実施例3)
ストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子の生体分子機能性の確認
実施例2で得られたストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子の分散液0.1mlに対し、それぞれ1mMから100nMまで10倍刻みで希釈した異なる濃度のビオチンダイマー(EZ−Link PEO−Biotin Dimer、ピアース社製)を0.01ml添加し、37℃にて10分間静置し、595nmの吸光度をマイクロタイタープレートリーダー(Bench Mark、バイオラッド社製)にて測定した。結果を図2に示す。明らかにビオチンダイマーの濃度に応じて溶液の濁度が上昇しており、光触媒性二酸化チタン複合微粒子にストレプトアビジンが効率的に固定化されていることが判明した。
【0031】
(実施例4)
蛍光色素標識を行った光触媒性二酸化チタン複合微粒子の作製
実施例1で得られたポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子の分散液500μlを100mMリン酸緩衝食塩水(pH7.5)で平衡化した脱塩カラムNAP−10(アマシャム・ファルマシア・バイオサイエンス社製)を用いてゲル濾過を行って溶液交換し、そこへ、最終濃度が0.8mMになるようにDMSOに溶解したフルオレセインイソチオシアネート(ピアース社製)を加え、30分間室温で穏やかに攪拌した。反応終了後、あらかじめ蒸留水にて平衡化したPD−10(アマシャム・ファルマシア・バイオサイエンス社製)により脱塩を行い、その後、溶液を2mlにまで濃縮した。この蛍光色素標識を行った光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液の液滴をガラスプレート上にのせ、蛍光顕微鏡で観察したところ、液滴と空気の境界面で明確に差が見られるようなフルオレセインに起因する蛍光が観察された(図3)。
【0032】
(実施例5)
光触媒性二酸化チタン複合微粒子の細胞取込み性の評価 実施例1で得られた二酸化チタンゾル0.75mlを20mlのジメチルホルムアミド(DMF)に分散させ、ポリアクリル酸(平均分子量:5000、和光純薬社製)0.2gを溶解したDMFを10ml添加後、攪拌して混合した。水熱反応容器に溶液を移し変え、180℃で6時間水熱合成を行った。反応終了後、反応容器温度が50℃以下になるまで冷却し、溶液を取り出した後に水80mlを添加して攪拌混合した。エバポレータでDMFおよび水を除去した後に、再度、水20mlを添加してポリアクリル酸結合二酸化チタン微粒子の水溶液とした。2N塩酸1mlを添加して二酸化チタン粒子を沈殿させて、遠心後に上清を除去することにより未反応のポリアクリル酸を分離した。再度水を添加して洗浄を行い、遠心後に水を除去した。50mMリン酸緩衝液(pH7.0)を10ml添加後、200Hzで30分間超音波処理を行い、二酸化チタン粒子を分散させた。超音波処理後、0.45μmのフィルターで濾過し、重量百分率で0.25%のポリアクリル酸結合二酸化チタン微粒子の分散液を得た。ゼータサイザーナノZS(シスメックス社製)を用いて、ゼータ電位測定セルにポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子の分散液0.75mlを仕込み、溶媒の各種パラメーターを水と同値に設定し、25℃にて動的光散乱法により測定したところ、作製したポリアクリル酸結合二酸化チタン微粒子の平均粒径は45.9nmであった。このポリアクリル酸結合二酸化チタン微粒子の分散液2mlに対して、0.8M 1−Ethyl−3−[3−Dimethylaminopropyl]Carbodiimide Hydrochlorideを250μlおよびN−Hydroxysuccinimideを250μl加えて、撹拌しながら室温で1時間反応させた。10mM 酢酸緩衝液(pH5.0)で平衡化した脱塩カラムNAP−10(アマシャム・ファルマシア・バイオサイエンス社製)を用いてゲル濾過を行って溶液交換し、その後に10mM酢酸緩衝液(pH5.0)を用いて全量を9.5mlとした。そこへ、DMFに溶解させた100mM 5−amino fluorescein(NCI社製)を5μl加え、遮光下で撹拌しながら室温で1時間反応させた。次に、0.1Mのエタノールアミン(和光純薬工業社製)水溶液を500μl加え、遮光下で撹拌しながら室温で30分間反応させた。この溶液を100mMリン酸緩衝食塩水(pH7.5)で平衡化した脱塩カラムPD−10を用いてゲル濾過を行って溶液交換し、未反応の5−amino fluoresceinを分離し、その後、溶液を2mlにまで濃縮した。これを蛍光色素標識ポリアクリル酸結合二酸化チタン複合微粒子の分散液とした。
また、実施例1で得られたポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子の分散液を500μlを、100mMリン酸緩衝食塩水(pH7.5)で平衡化した脱塩カラムNAP−10を用いてゲル濾過を行って溶液交換し、そこへ、最終濃度が0.8mMになるようにDMSOに溶解したフルオレセインイソチオシアネート(ピアース社製)を加え、30分間室温で穏やかに攪拌した。反応終了後、あらかじめPBSにて平衡化したPD−10(アマシャム・ファルマシア・バイオサイエンス社製)により溶液交換を行い、その後、溶液を2mlにまで濃縮した。これを蛍光色素標識光触媒性二酸化チタン複合微粒子の分散液とした。
次に、メラノーマ細胞株T−24を10%血清を含むF12培地(ギブコ社製)で100%コンフルエントにになるまで培養し、フラスコを100mMリン酸緩衝食塩水(pH7.4)で2回洗浄し、100mMトリプシン−エチレンジアミン三酢酸溶液を1ml添加し、10分静置後、フラスコ壁面より剥離した細胞を回収し、9mlの10%血清を含むF12培地で希釈した。細胞数を血球計算盤により計測し、5×104個の細胞を含む培地500μlをそれぞれ24穴マイクロタイタープレートに接種し、最終濃度0.01%になるように分注した。そこに、先の蛍光色素標識ポリアクリル酸結合二酸化チタン複合微粒子の分散液および蛍光色素標識光触媒性二酸化チタン複合微粒子の分散液をそれぞれ最終濃度0.01%となるよう100μl加え、24時間CO2インキュベータ内で培養した。その後、細胞のフラスコへの接着を確認し、フラスコを100mMリン酸緩衝食塩水にて洗浄し、200μlの10%血清を含むF12培地を添加し、蛍光顕微鏡により観察を行った(図4)。蛍光視野像を観察した結果、蛍光色素標識ポリアクリル酸結合二酸化チタン複合微粒子よりも蛍光色素標識ポ光触媒性二酸化チタン複合微粒子のほうが明らかに細胞に対して高い親和性と細胞取込み性をもつことが確認された。
【0033】
(実施例6)
光触媒性二酸化チタン複合微粒子のpH安定性の評価
50mMの異なるpHを持つ緩衝液(pH3=グリシン塩酸緩衝液、pH4および5=酢酸緩衝液、pH6=2−モルフォリノエタンスルホン酸緩衝液)、pH7および8=2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸緩衝液、pH9=ホウ酸緩衝液、pH10=グリシン水酸化ナトリウム緩衝液)を作成し、終濃度0.025(w/v)%になるように実施例2で得られたストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を添加し、1時間室温にて静置した。その後、ゼータサイザーナノZSにて実施例1と同様に平均分散粒径の測定を行った。結果を図5に示す。pHが3から10の間で粒径の変化は認められるものの70から85nm程度であり、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液における光触媒性二酸化チタン複合微粒子は安定した分散性を示した。
【0034】
(実施例7)
光触媒性二酸化チタン複合微粒子の塩強度安定性の評価
0.05〜5Mの異なる塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液に実施例2で得られたストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を終濃度0.025%になるように添加し、1時間室温にて静置した。その後、ゼータサイザーナノZSにて実施例1と同様に平均分散粒径の測定を行った。結果を図6に示す。
系中の塩濃度が0.05から1Mの間はほとんど平均分散粒径の変化は認められず、本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液における光触媒性二酸化チタン複合微粒子安定した分散性を示すことが明らかになった。
【0035】
(実施例8)
ポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子へのレクチンの固定化
実施例1で得られたポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子の分散液を30mM酢酸緩衝液(pH5.5)に懸濁し、1(w/v)%になるようにした。この溶液10mlに、500mMのEDC水溶液250μlと1mlの1mg/mlのDBA(Dolichos Biflorus Agglutinin)−FITC(VEC社製:FITCのDBAに対するモル結合比2.5)を加え、室温にて2時間攪拌を行った。反応後、20mlのイソプロパノールを加え、室温で30分静置後、4000gにて20分間遠心分離を行った。沈殿を70%エタノールで洗浄し、PBS緩衝液に懸濁しDBA−FITC固定化ポリエチレンイミン結合二酸化チタン微粒子の分散液を作成した。この複合体微粒子の平均分散粒子径は68.3nmであった。フルオレセイン(和光純薬工業社製)をPBS緩衝液で希釈し、励起波長595nm蛍光波長625nmにて蛍光光度計で測定し、検量線を作成した。分散液の蛍光強度から600ng/mlのFITCが結合していることが明らかになった。さらに本分散液を400℃に加熱し、酸化チタン含量を測定したところ、1(w/v)%の濃度であった。DBA:FITCの結合比が1:2.5であることから2.5×10−7(DBA−FITC)mol/TiO2(g)であることが判明した。
【0036】
(実施例9)
光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液の均一性(透明度)の評価
0.1Mの塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液を用いて、実施例2で得られたストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を終濃度0.1%になるように調整し、1時間室温にて静置した。また、二酸化チタン微粒子としてP25(日本アエロジル)を0.1Mの塩化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液を用いて、同様に終濃度0.1%になるように調整し、1時間室温にて静置した。その後、シャーレに5ml移し上方から撮影し、確認した。その結果を図7に示す。P25水溶液に対してストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液は明らかに透明度が高く、均一に分散していることが確認された。また、分光光度計(UV−1600、島津製作所)を用いて波長660nmにおける吸光度の測定を行った結果、P25水溶液は吸光度が1を大きく上回り測定不能であったのに対して、ストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液は吸光度が0.044であり、また沈殿の形成は起きていなかった。更に、これらの溶液を室温暗所にて2週間静置した後に、同様に波長660nmにおける吸光度の測定を行った結果、P25水溶液は吸光度が1を大きく上回り測定不能であったのに対して、ストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液は吸光度が0.051であった。このことから、水溶液中においてストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液が透明度の高い、均一な分散性を示し、かつ安定していることが明らかになった。
【0037】
(実施例10)
光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液の細胞毒性評価
実施例2で得られたストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を、固形分が1.0%になるように10%血清を含むRPMI1640培地(GIBCO社製)で調整した。培養ガン細胞(Jurkat)を、10%血清を含むRPMI1640培地(GIBCO社製)で37℃、5%二酸化炭素雰囲気下で培養し、5.0×10 細胞数/mlとなるように調製した。これを再度20時間同条件で培養した。この細胞培養液に、上記ストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を終濃度で0.1%、0.01%、0.001%、0.0001%になるように96穴プレート上で調整し、200μlの試験用細胞培養液とした。この試験用細胞培養液を37℃、5%二酸化炭素雰囲気下で20時間培養した後、それぞれ100μlを用いてCelltiter−Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega社製)により生細胞由来の発光反応を行い、イメージアナライザLAS−3000UVmini(富士フィルム社製)を用いてその発光量測定を行うことで細胞毒性の評価を行った。その結果を図8に示す。何も添加していないコントロールの培養細胞における発光量に比べ、どの分散液濃度においても同等の発光量を確認したことから、この濃度域のストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液は細胞毒性が認められないことが明らかになった。
【0038】
(実施例11)
光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液の細胞殺傷性の評価
メラノーマ細胞株T−24を10%血清を含むF12培地(ギブコ社製)で100%コンフルエントにになるまで培養し、フラスコを100mMリン酸緩衝食塩水(pH7.4)で2回洗浄し、100mMトリプシン−エチレンジアミン三酢酸溶液を1ml添加し、10分静置後、フラスコ壁面より剥離した細胞を回収し、9mlの10%血清を含むF12培地で希釈した。細胞数を血球計算盤により計測し、5×104個の細胞を含む培地500μlをそれぞれ24穴マイクロタイタープレートに接種した。そこに、実施例2で得られたストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を100mMリン酸緩衝食塩水(pH7.4)で調整し、最終濃度0%および0.01%となるよう100μl加え、ブラックライト(東芝社製)により波長340nmの紫外光を2.5mW/cm2で0分間および60分間照射し、24時間CO2インキュベータ内で培養した。Cell counting kit−8(同人化学社製)を試薬のマニュアルに従い調整して加え、96穴プレート上にて吸光度計Benchmark(Bio−Rad社製)を用い、波長450nmの吸光度測定を行った。その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
バックグラウンドの値を差し引いた紫外線照射0分間、ストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子濃度0%における生細胞由来の吸光度を1として相対生存率を示した。この結果から、ストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子が0.01%存在下で紫外線照射60分間の実験条件における場合のみ、相対生存率が減少しており、これによりストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液は細胞殺傷性が高いことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、癌細胞、内分泌撹乱物質などに対する分子認識能を有するタンパク質、抗体、DNAなどの生体分子を、水溶性高分子で修飾したアナターゼ型二酸化チタンに固定することにより、これらに対する分子認識能を有し、かつ紫外線の照射などの光触媒作用によりこれら物質の分解反応を示す光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を提供する。本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液における光触媒性二酸化チタン複合微粒子は水、または水溶液中で目的とする物質を特異的に認識捕捉し、紫外線照射などにより目的物質を強力に分解する能力を有する。特に水系で使用できること、目的物質を正確に捕捉できること、強力な光触媒能を有することは、例えば水系の内分泌攪乱物質の分解処理や癌細胞の破壊などの医療への応用に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液を示す模式図である。
【図2】本発明のストレプトアビジンを固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子のビオチンダイマーによる凝集(吸光度の増加として表示)の結果を示す図である。
【図3】本発明のフルオレセインイソチオシアネートで蛍光色素標識を行った光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液の液滴の透過および蛍光による顕微鏡画像である。
【図4】細胞内に導入された本発明のフルオレセインイソチオシアネートで蛍光色素標識を行った光触媒性二酸化チタン複合微粒子の細胞取込み性を確認した結果を示す写真図である。
【図5】本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子の各pHにおける平均分散粒径を測定した結果を示す図である。
【図6】本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子の各塩濃度における平均分散粒径を測定した結果を示す図である。
【図7】本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液の均一性(透明度)を確認した結果を示す写真図である。
【図8】本発明の光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含む分散液の各濃度における細胞毒性を測定した結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面の一部に光触媒性二酸化チタンが存在する微粒子の表面が、親水性高分子アミンにより表面を修飾された光触媒性二酸化チタン複合微粒子であって、該親水性高分子と光触媒性二酸化チタンが結合しているとともに、該親水性高分子のアミンに生体分子を固定化した光触媒性二酸化チタン複合微粒子を含んでなることを特徴とする、分散液。
【請求項2】
前記微粒子は、光触媒性二酸化チタンの粒径が2〜200nmの光触媒性二酸化チタンであることを特徴とする、請求項1記載の分散液。
【請求項3】
生体への導入が許容される水溶液中に、請求項1または2に記載の二酸化チタン複合微粒子を含んでなることを特徴とする、請求項1または2に記載の分散液。
【請求項4】
前記水溶液がpH3〜9であることを特徴とする、請求項3に記載の分散液。
【請求項5】
前記水溶液がpH緩衝液であることを特徴とする、請求項4に記載の分散液。
【請求項6】
前記水溶液が塩濃度1M以下であることを特徴とする、請求項3〜5いずれか一項に記載の分散液。
【請求項7】
前記水溶液が生理食塩水であることを特徴とする、請求項6に記載の分散液。
【請求項8】
生体への導入が許容される包括体に、該光触媒性二酸化チタン複合微粒子が包括されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項9】
前記包括体が、リポソーム、ウイルス粒子、中空ナノ粒子のいずれかであることを特徴とする、請求項8に記載の分散液。
【請求項10】
前記微粒子は、磁性粒子と光触媒性二酸化チタンからなる複合微粒子であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項11】
前記光触媒性二酸化チタンがアナターゼ型であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項12】
前記親水性高分子が水溶性高分子であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項13】
前記水溶性高分子がポリエチレンイミンであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項14】
前記生体分子がアミノ酸、ペプチド、単純タンパク質、および複合タンパク質のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項15】
前記単純タンパク質がレクチンであることを特徴とする、請求項14に記載の分散液。
【請求項16】
前記生体分子がヌクレオシド、ヌクレオチド、および核酸であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項17】
前記生体分子が単糖、糖鎖、多糖、および複合糖質であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項18】
前記生体分子が単純脂質、複合脂質、リポソームであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項19】
前記生体分子の代わりに、前記親水性高分子のアミンに蛍光色素を固定化したことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項20】
前記分散液が、前記光触媒性二酸化チタン複合微粒子を重量百分率で0.0001〜0.1%含んでなることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の分散液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−150344(P2006−150344A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−276706(P2005−276706)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】