説明

光触媒除菌脱臭機

【課題】浄化対象中の空気に粉塵等が含まれる場合においても、光触媒シート上に蓄積される粉塵を除去することで、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力を復元することができる光触媒除菌脱臭機を提供することを目的とする。
【解決手段】光触媒除菌脱臭機1は光触媒シート2が間隔をあけて積層されており、励起光源3と送風手段4と粉塵蓄積量検知手段5を備えている。送風手段4により吸引された空気は光触媒シート2の表面を通過することで有害ガスや悪臭成分を除去または浄化される。粉塵蓄積量検知手段5により粉塵の蓄積を検知した場合に、適当な粉塵除去手段により光触媒シート2上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が再活性化され、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中の菌体やウイルスの除去および有害ガスの除去や悪臭成分の浄化に使用される光触媒除菌脱臭機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光触媒除菌脱臭としては、光触媒と吸着剤とを混合してなる脱臭剤を用いて、有害ガスや悪臭成分を浄化する脱臭装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その脱臭装置について図7を参照しながら説明する。
【0004】
図7に示すように、脱臭装置101は板状脱臭体102と紫外線ランプ103を備えている。板状脱臭体102は酸化チタン等の光触媒とゼオライト等の吸着剤とを混合して板状に成形されており、紫外線ランプ103は長手方向を板状脱臭体の配列方向に沿わせて配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−286436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の脱臭装置においては、送風機の働きにより脱臭装置内に浄化対象の空気を吸入し、複数の板状脱臭体の表面に空気を接触させる構造を有している。紫外線ランプから照射された励起光により、板状脱臭体に含まれる光触媒が活性化される。活性化された光触媒により生成されるOHラジカルなどの働きにより、浄化対象中の空気に含まれる悪臭成分等を浄化することができるものである。また、同様に浄化対象中の空気に含まれる菌体およびウイルスを除去することができる。
【0007】
しかし、浄化対象中の空気には除去すべき悪臭成分や菌体およびウイルス以外に、本来の除去対象ではない砂塵や繊維埃などの粉塵も含まれている。空気の吸引に伴い板状脱臭体の表面に付着した粉塵は、板状脱臭体に含まれる光触媒の働きにより分解することができないので、板状脱臭体の表面にそのまま蓄積されてしまう。
【0008】
そのため、従来の脱臭装置においては、板状脱臭体の表面に蓄積された粉塵が励起光源からの励起光を遮蔽してしまうので光触媒が活性化しなくなり悪臭成分の浄化性能や菌体およびウイルスの除去性能が低下するという課題を有していた。
【0009】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、光触媒シート表面に蓄積された粉塵を除去手段により除去することで悪臭成分の浄化性能や菌体およびウイルスの除去性能が低下しない光触媒除菌脱臭機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために、本発明は、光触媒シート表面の光学的反射率の変化を検知することで光触媒シート表面に蓄積した粉塵を検知するものであり、これにより所期の目的を達成するものである。また、本発明は、光触媒シート表面に蓄積した粉塵を検知した場合は、光触媒シートに振動を加えることにより粉塵を除去するものであり、これにより初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光触媒上に蓄積した粉塵を検知し、速やかに除去することで、励起光源からの励起光が粉塵によって遮蔽されることを防ぎ、光触媒の活性を維持することができるので、悪臭成分の浄化性能や菌体およびウイルスの除去性能が低下しないという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1の光触媒除菌脱臭機を示す概略断面図
【図2】本発明の実施の形態2の光触媒除菌脱臭機を示す概略断面図
【図3】本発明の実施の形態3の光触媒除菌脱臭機を示す概略断面図
【図4】本発明の実施の形態4の光触媒除菌脱臭機を示す概略断面図
【図5】本発明の実施の形態5の光触媒除菌脱臭機を示す概略断面図
【図6】本発明の実施の形態6の光触媒除菌脱臭機を示す概略断面図
【図7】従来の脱臭装置の概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の請求項1記載の光触媒除菌脱臭機は、光触媒シートと励起光源と送風手段を備えた光触媒除菌脱臭機であって、光触媒シート上の粉塵蓄積量検知手段を備えたという構成を有する。これにより、光触媒シート上に蓄積した粉塵量を検知することができ、表示等で在室者に知らせて光触媒シート上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が活性化されるという効果を奏する。
【0014】
また、光触媒シートと励起光源と送風手段を備えた光触媒除菌脱臭機であって、光触媒シートの光学的反射率測定手段を備えたという構成にしてもよい。これにより、光触媒シートの光学的反射率の変化から粉塵の蓄積量を検知することができ、表示等で在室者に知らせて光触媒シート上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が活性化されるという効果を奏する。
【0015】
また、光触媒シートと励起光源と送風手段を備えた光触媒除菌脱臭機であって、光触媒シートの重量測定手段を備えたという構成にしてもよい。これにより、光触媒シートの重量変化から粉塵の蓄積量を検知することができ、表示等で在室者に知らせて光触媒シート上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が活性化されるという効果を奏する。
【0016】
また、光触媒シートと励起光源と送風手段を備えた光触媒除菌脱臭機であって、光触媒シートの粉塵除去手段を備えたという構成にしてもよい。これにより、粉塵除去手段を動作させて光触媒シート上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が活性化されるという効果を奏する。
【0017】
また、光触媒シートと励起光源と送風手段を備えた光触媒除菌脱臭機であって、光触媒シートの加振手段を備えたという構成にしてもよい。これにより、加振手段を動作させて光触媒シートに振動を加えることで光触媒シート上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が活性化されるという効果を奏する。
【0018】
また、光触媒シートと励起光源と送風手段を備えた光触媒除菌脱臭機であって、光触媒シートの表面堆積物剥離手段を備えたという構成にしてもよい。これにより、表面堆積物剥離手段を光触媒シートに作用させて光触媒シート上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が活性化されるという効果を奏する。
【0019】
また、光触媒シートの粉塵除去手段を定期的に動作させるという構成にしてもよい。これにより、適当な除去手段により光触媒シート上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が活性化されるという効果を奏する。
【0020】
また、光触媒シートの粉塵除去手段を光触媒シート上の粉塵蓄積量検知手段からの出力に応じて動作させるという構成にしてもよい。これにより、適当な除去手段により光触媒シート上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が活性化されるという効果を奏する。
【0021】
(実施の形態1)
図1に示すように、光触媒除菌脱臭機1は光触媒シート2が間隔をあけて積層されており、励起光源3と送風手段4と粉塵蓄積量検知手段5を備えている。矢印で示すように送風手段4により吸引された空気は光触媒シート2の表面を通過することで有害ガスや悪臭成分を除去または浄化されるものである。
【0022】
光触媒シート2は酸化チタンなどの光触媒を含んで平板状に形成されており、励起光源3から照射される紫外線の働きにより、光触媒シート2上でOHラジカルなどの活性種が生成される。OHラジカルの作用により吸引した空気中に含まれる有害ガスや悪臭成分を分解することができる。同様に光触媒シート2上で生成されたOHラジカルは、吸引した空気中に含まれている菌体やウイルスに作用することで除菌不活化することができる。
【0023】
このような構成において、光触媒除菌脱臭機に吸引された空気中に砂塵や繊維埃などの粉塵が含まれている場合、光触媒シート上に粉塵が付着することがある。光触媒シート2上で生成されるOHラジカルでは粉塵を分解除去することは困難であるので、光触媒シート2上に付着した粉塵はそのまま残り、継続的な粉塵の付着を繰り返すことで、光触媒シート2上に粉塵が堆積する。堆積した粉塵は励起光源からの励起光を遮蔽するので、光触媒シート2の活性低下につながり、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が低下することになる。
【0024】
一方、光触媒シート2には粉塵蓄積量検知手段5が備えられている。粉塵蓄積量検知手段5は励起光源からの励起光である紫外線を検知することができる紫外線検知素子である。光触媒シート2の表面と同様に粉塵蓄積量検知手段5の表面にも粉塵が蓄積することから、紫外線検知素子で受光している励起光量が減少した場合は粉塵の蓄積により励起光が遮蔽されたことが分かる。粉塵の蓄積を検知した場合には、本実施の形態では図示していないが、適当な表示手段により光触媒シート2上の粉塵蓄積状態を報知することができる。さらに光触媒シート2上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が再活性化され、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が復元することになる。
【0025】
なお、本実施の形態では粉塵蓄積量検知手段5を紫外線検知素子であるとしたが、この構成に限ったものではなく、光触媒シート2上に蓄積する粉塵の量に対応して信号出力が変化する特性を持つ検知手段を用いれば可視光領域の光量を検知する素子を用いても同様の効果を得ることができる。
【0026】
また、本実施の形態では粉塵蓄積量検知手段5を1箇所しか図示しなかったが、複数の粉塵蓄積量検知手段5を設けても良い。励起光源3からの励起光量は粉塵の蓄積だけでなく、励起光源3自体の劣化によっても光量が低下する可能性があるので、光触媒除菌脱臭機1内部で粉塵が蓄積しない場所に紫外線検知素子を備え、光触媒シート2上に備えられた紫外線検知素子との信号を比較することで光触媒シート2上の粉塵蓄積量を推定することでさらに高精度に粉塵蓄積量を検出することができる。
【0027】
(実施の形態2)
図2において図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0028】
図2に示すように、光触媒除菌脱臭機1内部の光触媒シート2に面した位置に、光学的反射率測定手段6が備えられている。光学的反射率測定手段6は発光部7と受光部8を備えており、発光部7から放射した光が光触媒シート2で反射され受光部8で受光される。
【0029】
実施の形態1と同様に、光触媒除菌脱臭機に吸引された空気中に砂塵や繊維埃などの粉塵が含まれている場合、光触媒シート2上に粉塵が付着することがある。光触媒シート2上で生成されるOHラジカルでは粉塵を分解除去することは困難であるので、光触媒シート2上に付着した粉塵はそのまま残り、継続的な粉塵の付着を繰り返すことで、光触媒シート2上に粉塵が堆積する。堆積した粉塵は励起光源からの励起光を遮蔽するので、光触媒シート2の活性低下につながり、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が低下することになる。
【0030】
このように、光触媒シート2上に粉塵が蓄積した場合は、光触媒シート2上において発光部7から放射された光の反射率が低下するので受光部8での受光量が低下することになる。すなわち、光学的反射率測定手段6により光触媒シート2上の粉塵蓄積量を検知することができる。
【0031】
粉塵の蓄積を検知した場合には、本実施の形態では図示していないが、適当な表示手段により光触媒シート2上の粉塵蓄積状態を報知することができる。さらに光触媒シート2上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が再活性化され、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が復元することになる。
【0032】
なお、本実施の形態では発光部7から放射する光の波長について特に記載しなかったが、光触媒シート2の反射率と粉塵による反射率が異なる領域の波長を有する光を利用することで、粉塵蓄積状態を高感度に検知することができる。
【0033】
(実施の形態3)
図3において図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】
図3に示すように、光触媒除菌脱臭機1内部の光触媒シート2に面した位置に、重量測定手段9が備えられている。重量測定手段9は光触媒シート2の重量を測定している。
【0035】
実施の形態1と同様に、光触媒除菌脱臭機に吸引された空気中に砂塵や繊維埃などの粉塵が含まれている場合、光触媒シート2上に粉塵が付着することがある。光触媒シート2上で生成されるOHラジカルでは粉塵を分解除去することは困難であるので、光触媒シート2上に付着した粉塵はそのまま残り、継続的な粉塵の付着を繰り返すことで、光触媒シート2上に粉塵が堆積する。堆積した粉塵は励起光源からの励起光を遮蔽するので、光触媒シート2の活性低下につながり、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が低下することになる。
【0036】
このように、光触媒シート2上に粉塵が蓄積した場合は、光触媒シート2上の重量が増加することになる。すなわち、重量測定手段9により光触媒シート2上の粉塵蓄積量を検知することができる。
【0037】
粉塵の蓄積を検知した場合には、本実施の形態では図示していないが、適当な表示手段により光触媒シート2上の粉塵蓄積状態を報知することができる。さらに光触媒シート2上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が再活性化され、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が復元することになる。
【0038】
なお、本実施の形態では重量測定手段9の重量測定方法について特定しなかったが、圧電素子などの重量に応じて電気特性が変化する素子を用いれば、光触媒シート2の重量変化を測定することができる。また、光触媒シート2に水晶振動子などを接合し、共振周波数の変化を検出することで光触媒シート2の重量変化を測定することができる。
【0039】
(実施の形態4)
図4において図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図4に示すように、光触媒除菌脱臭機1には粉塵除去手段10が備えられている。粉塵除去手段10はノズル11から高速の気流を噴射する構造となっている。
【0041】
実施の形態1と同様に、光触媒除菌脱臭機に吸引された空気中に砂塵や繊維埃などの粉塵が含まれている場合、光触媒シート2上に粉塵が付着することがある。光触媒シート2上で生成されるOHラジカルでは粉塵を分解除去することは困難であるので、光触媒シート2上に付着した粉塵はそのまま残り、継続的な粉塵の付着を繰り返すことで、光触媒シート2上に粉塵が堆積する。堆積した粉塵は励起光源からの励起光を遮蔽するので、光触媒シート2の活性低下につながり、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が低下することになる。
【0042】
実施の形態1から3のいずれかで示したように粉塵の蓄積を検知した場合には、本実施の形態で示す粉塵除去手段10により光触媒シート2上の粉塵を除去すれば、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が再活性化され、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が復元することになる。
【0043】
また、前記実施の形態に示す方法で粉塵の蓄積状態を検知した場合だけでなく、目視により光触媒シート2状の粉塵蓄積量を確認した後で粉塵除去手段10を動作させてもよい。
【0044】
また、本実施の形態では粉塵除去手段10のノズル11から高速の気流が噴出されるとしたが、この方法に限ったものではなく、洗浄液を噴出することで光触媒シート2上の粉塵を除去する構成にしても同様の効果を得ることができる。なお、粉塵除去手段10から噴出する流体が気体および液体のいずれかであっても、粉塵除去手段10を動作させる場合は送風手段4を停止し、光触媒除菌脱臭機1から粉塵や洗浄液が飛散することが無いようにする。同時に光触媒シート2上から回収した粉塵を収集すればよい。
【0045】
(実施の形態5)
図5において図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0046】
図5に示すように、光触媒除菌脱臭機1には加振手段12が備えられている。加振手段12は光触媒シート2に結合しており光触媒シート2に振動を与える構造となっている。
【0047】
実施の形態1と同様に、光触媒除菌脱臭機に吸引された空気中に砂塵や繊維埃などの粉塵が含まれている場合、光触媒シート2上に粉塵が付着することがある。光触媒シート2上で生成されるOHラジカルでは粉塵を分解除去することは困難であるので、光触媒シート2上に付着した粉塵はそのまま残り、継続的な粉塵の付着を繰り返すことで、光触媒シート2上に粉塵が堆積する。堆積した粉塵は励起光源からの励起光を遮蔽するので、光触媒シート2の活性低下につながり、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が低下することになる。
【0048】
実施の形態1から3のいずれかで示したように粉塵の蓄積を検知した場合に、本実施の形態で示す加振手段12により光触媒シート2に振動を与えると、光触媒シート2上の粉塵が脱離するので、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が再活性化され、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が復元することになる。
【0049】
また、前記実施の形態に示す方法で粉塵の蓄積状態を検知した場合だけでなく、目視により光触媒シート2状の粉塵蓄積量を確認した後で加振手段12を動作させてもよい。なお、加振手段12を動作させる場合は送風手段4を停止し、光触媒除菌脱臭機1から粉塵が飛散することが無いようにする。同時に光触媒シート2上から回収した粉塵を収集すればよい。
【0050】
(実施の形態6)
図6において図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0051】
図6に示すように、光触媒除菌脱臭機1に備えられた光触媒シート2は環状に形成されており、その一端が回転軸13により保持されている。光触媒シート2は回転軸13を回転させることで、ベルト状に回転移動することができる。また、光触媒シート2の表面に接するように表面堆積物剥離手段14が備えられている。回転軸13の回転に伴い光触媒シート2が回転移動する際に、表面堆積物剥離手段14の働きで光触媒シート2の表面に付着した粉塵などが剥離される。
【0052】
実施の形態1と同様に、光触媒除菌脱臭機に吸引された空気中に砂塵や繊維埃などの粉塵が含まれている場合、光触媒シート2上に粉塵が付着することがある。光触媒シート2上で生成されるOHラジカルでは粉塵を分解除去することは困難であるので、光触媒シート2上に付着した粉塵はそのまま残り、継続的な粉塵の付着を繰り返すことで、光触媒シート2上に粉塵が堆積する。堆積した粉塵は励起光源からの励起光を遮蔽するので、光触媒シート2の活性低下につながり、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が低下することになる。
【0053】
実施の形態1から3のいずれかで示したように粉塵の蓄積を検知した場合に、本実施の形態で示す回転軸13と表面堆積物剥離手段14により光触媒シート2表面の粉塵を剥離除去すると、励起光源からの励起光が粉塵により遮蔽されることがなくなり光触媒が再活性化され、悪臭成分の分解能力や除菌能力およびウイルス不活化能力が復元することになる。
【0054】
また、前記実施の形態に示す方法で粉塵の蓄積状態を検知した場合だけでなく、目視により光触媒シート2状の粉塵蓄積量を確認した後で回転軸13と表面堆積物剥離手段14を動作させてもよい。なお、回転軸13と表面堆積物剥離手段14を動作させる場合は送風手段4を停止し、光触媒除菌脱臭機1から粉塵が飛散することが無いようにする。同時に光触媒シート2上から回収した粉塵を収集すればよい。
【0055】
なお、本実施の形態では表面堆積物剥離手段14はブラシ状の構造を示したが、この構造に限ったものではなく、光触媒シート2上に堆積する粉塵を剥離できる構造であれば、スクレーパ状の構造であっても同様の効果を得ることができる。
【0056】
(実施の形態7)
図4において図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図4に示すように、光触媒除菌脱臭機1には粉塵除去手段10が備えられている。粉塵除去手段10はノズル11から高速の気流を噴射する構造となっている。
【0058】
実施の形態4では、実施の形態1から3のいずれかで示したように粉塵の蓄積を検知した場合または目視により光触媒シート2状の粉塵蓄積量を確認した後で粉塵除去手段10を動作させるとしたが、本実施の形態では、粉塵除去手段10を定期的に動作させる。
【0059】
粉塵除去手段10を定期的に動作させることで、粉塵蓄積量を確認する手間を省略して光触媒シート2状の粉塵を除去することができるものである。なお、粉塵除去手段10の定期的な動作間隔は常に一定である必要はなく、光触媒除菌脱臭機1の使用環境において動作間隔を変更すればよい。具体的には粉塵飛散量の多い環境で光触媒除菌脱臭機1を使用する場合は粉塵除去手段10の動作間隔を短めに設定すればよく、粉塵飛散量の少ない環境で光触媒除菌脱臭機1を使用する場合は粉塵除去手段10の動作間隔を長めに設定すればよい。また、光触媒シート2上に蓄積した粉塵を除去する手段としては実施の形態4で示した粉塵除去手段10だけではなく、実施の形態5示した加振手段12または実施の形態6で示した表面堆積物剥離手段14を用いても同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施の形態8)
図4において図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0061】
図4に示すように、光触媒除菌脱臭機1には粉塵除去手段10が備えられている。粉塵除去手段10はノズル11から高速の気流を噴射する構造となっている。本実施の形態では、実施の形態1で示した粉塵蓄積量検知手段5の出力に応じて粉塵除去手段10を動作させる。
【0062】
粉塵除去手段10を粉塵蓄積量検知手段5の出力に応じて動作させることで、粉塵蓄積量を確認する手間を省略して光触媒シート2状の粉塵を除去することができるものである。なお、粉塵蓄積量検知手段5の出力と粉塵除去手段10の動作条件は一定である必要はなく、光触媒除菌脱臭機1の使用環境において動作条件を変更すればよい。具体的には除去対象である悪臭物質の多い環境で光触媒除菌脱臭機1を使用する場合は粉塵蓄積量検知手段5の出力がわずかでも増加した場合に速やかに粉塵除去手段10を動作させて粉塵を除去することで、光触媒シート2の表面を常に清浄に保ことで、高い脱臭能力を維持することができる。
【0063】
また、光触媒シート2上に蓄積した粉塵を検知する手段としては実施の形態1で示した粉塵蓄積量検知手段5だけではなく、実施の形態2で示した光学的反射率測定手段6または実施の形態3で示した重量測定手段9を用いても同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、光触媒シート2上に蓄積した粉塵を除去する手段としては実施の形態4で示した粉塵除去手段10だけではなく、実施の形態5で示した加振手段12または実施の形態6で示した表面堆積物剥離手段14を用いても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明にかかる光触媒除菌脱臭機は、光触媒シート表面に蓄積した粉塵を検知し、適切に除去することができるので、空気中の菌やウイルスの除去および有害ガスの除去や悪臭成分の浄化に使用される光触媒除菌脱臭機等として有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 光触媒除菌脱臭機
2 光触媒シート
3 励起光源
4 送風手段
5 粉塵蓄積量検知手段
6 光学的反射率測定手段
7 発光部
8 受光部
9 重量測定手段
10 粉塵除去手段
11 ノズル
12 加振手段
13 回転軸
14 表面堆積物剥離手段
101 脱臭装置
102 板状脱臭体
103 紫外線ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理空気を除菌脱臭する光触媒シートと光触媒を活性化する励起光を照射する励起光源と被処理空気を吸引する送風手段を備え、光触媒シート上の粉塵蓄積量を検知する粉塵蓄積量検知手段を備えた光触媒除菌脱臭機。
【請求項2】
粉塵蓄積量検知手段は光触媒シート表面の光学的反射率を測定する光触媒シートの光学的反射率測定手段である請求項1記載の光触媒除菌脱臭機。
【請求項3】
粉塵蓄積量検知手段は光触媒シートの重量を測定する光触媒シートの重量測定手段である請求項1記載の光触媒除菌脱臭機。
【請求項4】
被処理空気を除菌脱臭する光触媒シートと光触媒を活性化する励起光を照射する励起光源と被処理空気を吸引する送風手段を備え、光触媒シート上に蓄積した粉塵を除去する光触媒シートの粉塵除去手段を備えた光触媒除菌脱臭機。
【請求項5】
粉塵除去手段は光触媒シートに振動を加える光触媒シートの加振手段である請求項4記載の光触媒除菌脱臭機。
【請求項6】
粉塵除去手段は光触媒シートの表面の堆積物を剥離する光触媒シートの表面堆積物剥離手段である請求項4記載の光触媒除菌脱臭機。
【請求項7】
光触媒シートの粉塵除去手段を定期的に動作させる請求項4から6のいずれか一項に記載の光触媒除菌脱臭機。
【請求項8】
光触媒シート上の粉塵蓄積量を検知する粉塵蓄積量検知手段を備え、光触媒シートの粉塵除去手段を粉塵蓄積量検知手段からの出力に応じて動作させる請求項4から6のいずれか一項に記載の光触媒除菌脱臭機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−218073(P2011−218073A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92845(P2010−92845)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】