説明

光記録媒体の保持方法及び光記録媒体の保持装置、並びに相変化型光記録媒体の初期化方法及び相変化型光記録媒体の初期化装置

【課題】基板の厚みが約0.6mmの薄い光ディスクであっても初期化中の反りの発生を小さくすることができ、光ディスクに傷が付くことがなく、効率よく初期化を行うことができる光記録媒体の保持方法及び光記録媒体の保持装置等の提供。
【解決手段】円板状の光記録媒体を、その半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域の少なくとも一部と、該半径が47mm以上57mm以下の実体領域の少なくとも一部とで基台上に保持する光記録媒体の保持方法である。該実体領域が、半径が50mm以上57mm以下である態様、保持が、エアー吸着により行われる態様、などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体の保持方法及び光記録媒体の保持装置、並びに該光記録媒体の保持方法を含む相変化型光記録媒体の初期化方法及び該光記録媒体の保持装置を有する相変化型光記録媒体の初期化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD+RWディスク等の相変化型光記録媒体(以下、「光記録媒体」、「光ディスク」と称することもある)は、一般には、ポリカーボネート樹脂を射出成形してなる基板上に、第1誘電体層、相変化記録層、第2誘電体層、及び反射層をスパッタリング法により形成し、該反射層上にUV硬化樹脂を塗布し、硬化させて形成されている。
前記基板上に形成された相変化記録層は、そのままのアモルファス状態ではレーザー光が入射したときの反射率が低く、このため記録層の結晶化を行う初期化工程を経ることにより光記録装置で認識可能となる。前記初期化工程は、相変化型光記録媒体の製造方法では必須の工程である。このような初期化工程は、相変化記録層を一旦溶融温度まで昇温した後、徐冷することにより行われている。
【0003】
光ディスクの基板の材料としては、機械特性の安定性、質量、価格等の観点から、通常、ポリカーボネート樹脂が使用されている。この場合、光ディスクの全面を同時に初期化しようとするとパワー密度が高くなり過ぎて、ポリカーボネート樹脂の耐熱温度を超えてしまうおそれがある。そこで、初期化方法としては、光ディスクを回転させ、高パワーのレーザーを焦点制御しながら照射して、部分的に結晶化を進めていくのが一般的である。具体的には、クランプ部分で固定された光ディスクを回転させ、長楕円状のレーザービームの長手方向をトラックと垂直になるように、レーザーヘッド又は回転する光ディスクを半径方向に少しずつ移動させていくことにより、光ディスクの全面の初期化を行っている。このような初期化に用いる初期化装置としては、例えば特許文献1等に開示されている。
【0004】
また、基板の厚みが約0.6mmのDVD+RW等の光ディスクでは、基板の厚みが薄いため、外周から内周(又はその逆)に部分的に初期化を行う間に光ディスクの反りが大きく変化する。初期化工程は光ディスクの記録層にレーザーの焦点を合わせながら、パワーを与えてアモルファス状態を結晶化状態に変化させていくため、初期化中に基板の反りが大きく変化すると、初期化中の焦点が合わせられなくなり、不良となってしまう確率が高くなる。
【0005】
そこで、初期化中の光ディスクの反りの変化を少なくするため、光ディスクの内周から最外周までを満遍なく吸着する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この提案では、回転部分が大きくなるため、初期化装置の精度要求が厳しく、高価になり、また光ディスクに傷が付きやすいという欠点がある。
また、光ディスクの内周部と外周部との少なくとも2箇所で保持する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この提案では、外周部の保持可能な範囲が半径値の60mm−58mm=2mmと狭く、光ディスクを安定に保持することが困難であり、反りが生じてしまうという問題がある。
【0006】
したがって基板の厚みが約0.6mmの薄い光ディスクであっても初期化中の反りの発生を小さくすることができ、光ディスクに傷が付くことがなく、効率よく初期化を行うことができる光記録媒体の保持方法及び光記録媒体の保持装置は未だ提供されていないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特開平10−241212号公報
【特許文献2】特開2001−028156号公報
【特許文献3】特開2003−91889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、基板の厚みが例えば約0.6mmと薄い光ディスクであっても初期化中の反りの発生を小さくすることができ、光ディスクに傷が付くことがなく、効率よく初期化を行うことができる光記録媒体の保持方法及び光記録媒体の保持装置、並びに該光記録媒体の保持方法を含む相変化型光記録媒体の初期化方法及び該光記録媒体の保持装置を有する相変化型光記録媒体の初期化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明者ら鋭意検討を重ねた結果、一般の厚みが1.2mmの光ディスクに比べて、基板の厚みが約0.6mmのDVD+RW等の光ディスクを初期化する場合には、レーザービームの熱の影響により、初期化中に基板の反りが発生してフォーカスエラーが生じることを知見した。そこで、本発明者らが、初期化中のフォーカスエラーを防止するため、初期化装置側での対策について鋭意検討を進めた結果、円板状の光記録媒体をその半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域の少なくとも一部と、該半径が47mm以上57mm以下の実体領域の少なくとも一部とで基台上に保持することにより、基板の厚みが約0.6mmの薄い光ディスクであっても初期化中の反りの発生を小さくすることができ、光ディスクに傷が付くことがなく、効率よく初期化を行うことができ、フォーカスエラーが激減するという知見を得た。
【0010】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 円板状の光記録媒体を、その半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域の少なくとも一部と、該半径が47mm以上57mm以下の実体領域の少なくとも一部とで基台上に保持することを特徴とする光記録媒体の保持方法である。
<2> 実体領域が、半径が50mm以上57mm以下である前記<1>に記載の光記録媒体の保持方法である。
<3> 保持が、エアー吸着により行われる前記<1>から<2>のいずれかに記載の光記録媒体の保持方法である。
<4> 基台と、該基台上に、円板状の光記録媒体をその半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域の少なくとも一部と、該半径が47mm以上57mm以下の実体領域の少なくとも一部とでエアー吸着して保持する保持手段と、を少なくとも有することを特徴とする光記録媒体の保持装置である。
<5> 実体領域が、半径が50mm以上57mm以下である前記<4>に記載の光記録媒体の保持装置である。
<6> 基台の内周領域及び実体領域には、保持手段に連なるエアー吸着用環状溝がそれぞれ形成されている前記<4>から<5>のいずれかに記載の光記録媒体の保持装置である。
<7> 基台の実体領域には、保持手段に連なり、同一円周上に所定間隔離間して設けられた複数個のエアー吸着穴が形成されている前記<4>から<5>のいずれかに記載の光記録媒体の保持装置である。
<8> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の光記録媒体の保持方法により保持された状態で初期化することを特徴とする相変化型光記録媒体の初期化方法である。
<9> 前記<4>から<7>のいずれかに記載の光記録媒体の保持装置を有することを特徴とする相変化型光記録媒体の初期化装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、厚みが約0.6mmの薄い光ディスクであっても初期化中の反りの発生を小さくすることができ、光ディスクに傷が付くことがなく、効率よく初期化を行うことができる光記録媒体の保持方法及び光記録媒体の保持装置、並びに該光記録媒体の保持方法を含む相変化型光記録媒体の初期化方法及び該光記録媒体の保持装置を有する相変化型光記録媒体の初期化装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(光記録媒体の保持方法及び光記録媒体の保持装置)
本発明の光記録媒体の保持方法は、円板状の光記録媒体を、その半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域の少なくとも一部と、該半径が47mm以上57mm以下の実体領域の少なくとも一部とで基台上に保持する。
本発明の光記録媒体の保持装置は、基台と、該基台上に、円板状の光記録媒体を、その半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域の少なくとも一部と、該半径が47mm以上57mm以下の実体領域の少なくとも一部とでエアー吸着して保持する保持手段とを少なくとも有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
以下、本発明の光記録媒体の保持方法及び光記録媒体の保持装置について説明する。
【0013】
前記内周領域は、半径が7.5mm以上17mm以下である。
前記実体領域は、半径が47mm以上57mm以下であり、50mm以上57mm以下が好ましい。
なお、前記円板状の光記録媒体全体の半径は60mmである。
前記保持は、エアー吸着により行われることが、光ディスクにレーザー光を照射する面とは異なる面のみで光ディスクを保持することができ、実体領域を保持した際に光ピックアップ部及びレーザー光の妨げにならない点から好ましい。
【0014】
前記基台の内周領域及び実体領域には、保持手段に連なるエアー吸着用環状溝がそれぞれ形成されていることが好ましい。前記エアー吸着用環状溝の大きさ、形状等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば前記溝幅は2.5mm〜5.0mmが好ましく、溝高さは0.5mm〜1.5mmが好ましい。前記エアー吸着用環状溝の断面形状は、例えば矩形状、四角形状が好ましい。
なお、実体領域における前記エアー吸着用環状溝は、図3に示すように、該環状溝5の一部がところどころ、図3中7のスペーサで分断されていても構わない。
【0015】
前記基台の実体領域には、保持手段に連なり、同一円周上に所定間隔離間して設けられた複数個のエアー吸着穴が形成されていることが好ましい。これにより、内周領域ではエアー吸着用環状溝で吸着保持し、実体領域ではエアー吸着穴で吸着保持することができる。
前記エアー吸着穴の大きさ、形状、数などは特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、前記大きさ(直径)は、1.0mm〜2.0mmが好ましい。前記形状としては、例えば円形、四角形、三角形などが挙げられる。
【0016】
なお、光ディスクの内周領域及び実体領域で保持するとは、該領域内に前記エアー吸着用環状溝の溝幅、前記エアー吸着穴がすべて含まれることを意味する。
また、実体領域においては、複数のエアー吸着環状溝、又は異なる同一円周上に所定間隔離間してエアー吸着穴を設けることもできる。
【0017】
ここで、図1は、本発明の光記録媒体の保持装置の一例を示す概略図である。この図1では、光記録媒体1を保持する基台2と、該基台2を回転させるスピンドル部4とを備えている。
光記録媒体1は、図2に示すように、光記録媒体の内周領域に対応する箇所の基台2に設けられたエアー吸着環状溝3と、光記録媒体の実体領域に対応する箇所の基台2に設けられたエアー吸着環状溝5とで、図示を省略しているコンプレッサーの作動によりエアーを吸気してエアー吸着により保持されている。
また、図4に示すように、光記録媒体の内周領域に対応する箇所の基台2に設けられたエアー吸着環状溝3と、光記録媒体の実体領域に対応する箇所の基台2の同一円周上に所定間隔離間して設けられたエアー吸着穴6とでエアー吸着により保持してもよい。
【0018】
−光記録媒体−
前記光記録媒体としては、初期化が必要な相変化記録層を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基板の厚みが約0.6mmであるDVD+RWやDVD−RWが特に好ましい。
前記DVD+RWの情報基板は、射出成形機によって、溝幅0.25μm、溝深さ27nmの案内溝を有するポリカーボネート樹脂製基板を厚み0.6mmに成形する。
次に、前記基板上に、第1誘電体層、相変化記録層、第2誘電体層、及び反射層、必要に応じて密着性向上層の合計5層をスパッタ装置で順番にスパッタリング法により形成する。
前記誘電体層としては、例えばZnS・SiO層などが挙げられる。前記相変化記録層としては、例えばGe−Ag−In−Sb−Te層などが挙げられる。前記密着性向上層としては例えばSiC層などが挙げられる。前記反射層としては、例えばAg、Ag合金などが挙げられる。
【0019】
前記第1誘電体層の厚みは50nm〜120nmが好ましい。前記相変化記録層の厚みは12nm〜35nmが好ましい。前記第2誘電体層の厚みは6nm〜30nmが好ましい。前記密着性向上層の厚みは1nm〜12nmが好ましい。前記反射層の厚みは80nm〜200nmが好ましい。
スパッタリングを完了した光ディスクは、その反射層上にUV硬化樹脂をコーティングし、紫外線を照射して硬化させる。更に必要に応じてレーザー入射側(ポリカーボネート樹脂製基板側)にも樹脂を塗布し、UV硬化させる。得られた光ディスクにレーザービームを照射して初期化を行う。
【0020】
DVD+RWにおいて樹脂塗布側に貼り合わせるカバー基板としては、まず、射出成形機によって溝幅0.25μm、溝深さ27nmの案内溝を有するポリカーボネート樹脂製基板を厚み0.6mmに成形する。
前記作製した情報基板と、カバー基板を貼り合わせることにより、DVD+RWディスクが完成する。
前記貼り合わせ方法としては、例えばホットメルト接着剤を使う方式、カチオン重合系UV硬化樹脂を使う方法が一般的であり、貼り合わせ層の厚みは10μm〜100μmが好ましい。
【0021】
(相変化型光記録媒体の初期化方法及び相変化型光記録媒体の初期化装置)
本発明の相変化型光記録媒体の初期化方法は、本発明の前記光記録媒体の保持方法により保持された状態の相変化型光記録媒体を初期化する。
本発明の相変化型光記録媒体の初期化装置は、本発明の前記光記録媒体の保持装置を有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
【0022】
ここで、図5は、本発明の相変化型光記録媒体の初期化装置100の一例を示す概略図である。この初期化装置100は、光ディスク1を保持する基台16と、該基台16を回転させるスピンドル部12と、半導体レーザー光整形用の対物レンズ15を備えた自動焦点制御を可能とした光ピックアップ部13と、光ピックアップ部13を光ディスク1の半径方向に変位させる送り手段14とを有する。
基台16の上面にエアーの透過可能な弾性体(例えば高分子ポリエチレン性多孔質シートや紙等)を設けることにより、光ディスク1を基台に吸着したときの光ディスクの傷付きや変形を緩和することができる。
【0023】
前記初期化装置を用いて光ディスク1を初期化する方法としては、自動搬送装置やロボット等により、光ディスク1を基台16に載置する。そして、保持手段としてのエアー吸着用溝又はエアー吸着穴から吸気して光ディスク1を吸着し、この吸着力により光ディスク1を平らに矯正する。この状態でスピンドル部12により光ディスク1を回転する。この回転している光ディスク1の記録層に光ピックアップ部13から照射するレーザー光15を合焦させて記録層を初期化する。この初期化しているときに、光ディスク1は変形を起こそうとするが、基台16が光ディスク1を吸着し保持して変形が生じることを抑制しているので、レーザー光5の記録層に対する合焦状態が正確に保持され、光ディスク1の全面にわたって均一な初期化を安定して行うことができる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0025】
−光記録媒体の作製−
直径12cm、厚み0.6mmで表面にピッチ0.4μm、溝深さ20nmの凹凸の案内溝を持つポリカーボネート樹脂からなる基板上に(ZnS)70・(SiO30からなる第1誘電体層(厚み120nm)、Ge−Ag−In−Sb−Teからなる相変化記録層(厚み6nm)、(ZnS)70・(SiO30からなる第2誘電体層(厚み15nm)、及びAgからなる反射層(厚み140nm)の順に、スパッタ装置を用いてArガス雰囲気中のスパッタ法で成膜した。
次に、アクリル系紫外線硬化樹脂をスピンコート法で厚み5μm〜10μmとなるように塗布し、紫外線硬化させて有機保護層を形成した。以上により、厚み約0.6mmの光ディスクを作製した。
【0026】
(実施例1)
作製した光ディスクを、図1に示すような光記録媒体の保持装置を用いて、半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域と、半径が47mm以上57mm以下の実体領域とを、いずれも図2に示すように基台2に設けられたエアー吸着用環状溝3,5でエアー吸着により保持して、線速10m/sec、パワー1000mW、ヘッド送り37μmの条件で初期化を行った。なお、エアー吸着用環状溝の溝幅は3.0mmであった。
【0027】
(実施例2)
作製した光ディスクを、図1に示すような光記録媒体の保持装置を用いて、半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域と、半径が52mm以上57mm以下の実体領域とを、いずれも図2に示すように基台2に設けられたエアー吸着用環状溝3,5でエアー吸着により保持して、線速10m/sec、パワー1000mW、ヘッド送り37μmの条件で初期化を行った。なお、エアー吸着用環状溝の溝幅は3.0mmであった。
【0028】
(実施例3)
実施例1において、作製した光ディスクを、図4に示すように基台2に設けられたエアー吸着用リング溝3と、エアー吸着穴6でエアー吸着により保持した以外は、実施例1と同様にして、初期化を行った。
なお、エアー吸着用環状溝の溝幅は3.0mm、エアー吸着穴の直径は1.5mmであった。
【0029】
(比較例1)
作製した光ディスクを、基台2の内周から外周まで満遍なく設けた多数のエアー吸着穴で吸着保持して、線速10m/sec、パワー1000mW、ヘッド送り37μmの条件で初期化を行った。なお、エアー吸着穴の直径は1.5mmであった。
【0030】
(比較例2)
作製した光ディスクを、図6に示すような光記録媒体の保持装置を用いて、半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域のみをエアー吸着用環状溝3により吸着保持して、線速10m/sec、パワー1000mW、ヘッド送り37μmの条件で初期化を行った。なお、エアー吸着用環状溝の溝幅は6.0mmであった。
【0031】
次に、実施例1〜3及び比較例1〜2の各光ディスクについて、以下のようにして、反り量、傷付き具合、及びPIエラーを評価した。結果を表1に示す。
【0032】
<反り量の測定>
反り量は、機械特性評価装置を使用して初期化前後の光ディスクの反りを測定し、初期化による、反りの変化量を評価した。「+」は上向きに反っていることを表す。
【0033】
<光ディスクの傷付きの評価>
初期化後の各光ディスクの外観を目視及び顕微鏡を使用して、光ディスクの傷付き具合を評価した。
【0034】
<PIエラーの評価>
評価装置を用いて初期化後の各光ディスクの全面書き込みを行い、PIエラーを評価した。
【0035】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の光記録媒体の保持方法及び本発明の光記録媒体の保持装置は、初期化中のディスク変形を抑制し、フォーカスエラーが減少し、かつ光ディスクに傷が付くことが防止できるので、相変化型光記録媒体の初期化に好適に用いることができる。
本発明の相変化型光記録媒体の初期化方法及び本発明の相変化型光記録媒体の初期化装置は、本発明の光記録媒体の保持方法及び本発明の光記録媒体の保持装置を用いているので、基板の厚みが約0.6mmと薄いDVD+RW、DVD−R等の光記録媒体の初期化に好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の光記録媒体の保持装置の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の光記録媒体の保持装置の一例を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の光記録媒体の保持装置の他の一例を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明の光記録媒体の保持装置の更に他の一例を示す平面図である。
【図5】図5は、本発明の光記録媒体の保持装置を有する本発明の初期化装置の一例を示す概略図である。
【図6】図6は、従来の光記録媒体の保持装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0038】
1 光ディスク
2 基台
3 内周領域のエアー吸着用環状溝
4 スピンドル部
5 実体領域のエアー吸着用環状溝
6 実体領域のエアー吸着穴
7 実体領域のスペーサ
12 スピンドル部
13 光ピックアップ部
14 送り手段
15 対物レンズ
16 基台
100 相変化型光記録媒体の初期化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の光記録媒体を、その半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域の少なくとも一部と、該半径が47mm以上57mm以下の実体領域の少なくとも一部とで基台上に保持することを特徴とする光記録媒体の保持方法。
【請求項2】
実体領域が、半径が50mm以上57mm以下である請求項1に記載の光記録媒体の保持方法。
【請求項3】
保持が、エアー吸着により行われる請求項1から2のいずれかに記載の光記録媒体の保持方法。
【請求項4】
基台と、該基台上に、円板状の光記録媒体をその半径が7.5mm以上17mm以下の内周領域の少なくとも一部と、該半径が47mm以上57mm以下の実体領域の少なくとも一部とでエアー吸着して保持する保持手段と、を少なくとも有することを特徴とする光記録媒体の保持装置。
【請求項5】
実体領域が、半径が50mm以上57mm以下である請求項4に記載の光記録媒体の保持装置。
【請求項6】
基台の内周領域及び実体領域には、保持手段に連なるエアー吸着用環状溝がそれぞれ形成されている請求項4から5のいずれかに記載の光記録媒体の保持装置。
【請求項7】
基台の実体領域には、保持手段に連なり、同一円周上に所定間隔離間して設けられた複数個のエアー吸着穴が形成されている請求項4から5のいずれかに記載の光記録媒体の保持装置。
【請求項8】
請求項1から3のいずれかに記載の光記録媒体の保持方法により保持された状態で初期化することを特徴とする相変化型光記録媒体の初期化方法。
【請求項9】
請求項4から7のいずれかに記載の光記録媒体の保持装置を有することを特徴とする相変化型光記録媒体の初期化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−70495(P2009−70495A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238463(P2007−238463)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】