光送出用光プローブ
本発明は、光の送出の用いられる光プローブ(10)を開示する。詳細には、本発明は、ハンドピース(12)、プローブチップ(14)、またはその組み合わせを有する光プローブ(10)、及び人体または他の生物の組織または他の部分の表面に光を送出するための光プローブの使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の表示】
【0001】
本願は、2005年4月21日提出の米国特許仮出願番号60/673,689「医療的用途において光を送出する光プローブチップ」、及び、2006年4月4日提出の代理人ドケット番号1248.022の各利益を主張するものであり、これらの出願の内容は、あらゆる目的において参照として本願に包含される。
【技術分野】
【0002】
本発明は光を送出するために用いられる光プローブに関する。詳細には、本発明は、人体または他の生物の組織または他の部分の表面に光を送出するための光プローブ、プローブチップ、またはこれらを組み合わせたもの、並びにプローブ及び/またはチップの利用に関する。
【背景技術】
【0003】
光の送出は、様々な数々の手順の中でも重要なものである。光の送出は特に、手術、治療、診察等といった医療的用途にとって重要なものである。よって、産業、特に医療機器産業は、光の送出を支援する様々なプローブやプローブチップを開発してきた。しかし、現行のプローブ及びプローブチップの多くは難点に悩まされている。例えば、現行のプローブ及びチップの多くは望ましくない不均等な光の分布が生じてしまう。他の例では、現行のプローブ及び/またはプローブチップの多くは望ましくないほど高レベルの光損失を経験している。他の例では、現行のプローブ及び/またはプローブチップの多くは強度や柔軟性が望ましくないほど低く、望ましくないほど高価なこともある。従って、本発明は、上述の難点を1つ以上克服するか、または詳細な説明を読むと明らかになる他の難点を克服するプローブ、プローブチップ、または両者を提供するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
よって、本発明は、医療的用途に使用中に光を送出するプローブを提供する。プローブは、ハンドピース、プローブチップ、または両者を有している。プローブチップは通常、ハンドピースに着脱自在に固定されるように設計されている。ハンドピースは本体部分を有し、好ましくは本体部分と一体化された光源を有することが可能である。プローブチップはベースまたはキャップ部を有することが可能であり、通常はキャップ部から外側に向かって伸びる長形部材を有する。プローブチップのキャップ部は通常、ハンドセットの一部を収容する開口を区画しており、逆もまた同様である。長形部材及び場合によってはプローブチップ全体が、光学用プラスチックで形成されているか、あるいは光の送出に適したトンネルまたは管を区画しうる。
【0005】
本発明の特徴及び態様は、以下の詳細な説明、請求項、及び図面を読むとより明らかになるであろう。そのうち、以下に示すものは図面の簡単な説明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、光を供給するために用いることが可能なプローブ、プローブチップ、もしくは両者を提供することに基づいている。このプローブ及びプローブチップは様々な用途における光の供給に用いられてもよいが、特に医療的用途に有用であると考えられている。例として、本発明は、光線力学消毒(photo dynamic disinfection:PDD)、光線力学療法(photo dynamic therapy:PDT)、光活性による抗真菌療法、光照射による組織接合、光照射による骨及び硬組織発育、光照射による治療用化合物の溶融または重合、光硬化接合剤の塗布における光硬化(例えば歯科用紫外線硬化接着剤)、眼科関連用途における組織の光凝固、組織特性の光検出、診断プロセスの光検出及びモニタリング、またはこれらの組み合わせ等を、人間または他の生物の口腔または他の身体部分に対して適用するために用いることができる。本発明は、上述の医療的用途、特に人間や他の動物の口腔内部の光線力学消毒療法を行うのに特に有用であることが分かっている。
【0007】
一般に、本発明にかかるプローブはハンドピース及びプローブチップを有する。プローブチップはハンドピースに対して着脱可能であることが好ましい。チップは、チップ、ハンドピース、または両者の一部分または一部材(例えばキャップ)の中に設計されている保持機構(例えば連動機構)を介して、ハンドピースに取り付けることが可能であり、この保持機構は再利用可能であってもよく、また、保持機構がチップを再利用してはいけないという特性を有していてもよい。チップは、ハンドピースの遠位端に取り付けられるとチップの一部分または一部材(例えば把持部)が人間工学的に正しい把持面となるように構成することができる。把持面はバリアとなるようにハンドピースを囲むことができるので、ハンドピースは汚染に晒されることがなく、かつ、ある特定の環境においては必ずしも滅菌する必要はない。チップは通常、ある特定のパターンあるいは所定のパターンにおいて光を放出するかまたは光を集光し得る光放出領域に入力光を導く半透明または透明の材料で、少なくとも部分的に構成されている。チップの形状は、チップのサイズが小さくなるようにテーパーがかかっている、チップの光分布特性を再構築する、柔軟性を与える、もしくはそれらの組み合わせからなる領域を有していてもよい。チップの形状はまた、口腔または他の人体の部分のある特定の位置へとチップを配置するという人間工学を行い易くするための輪郭あるいは湾曲部を有していてもよい。チップの遠位部は、放出または集光された光のパターンの成形を支援する表面特性を有していてもよい。チップはまた、戻ってきた光を分析して被診断部の位置や治療経過、あるいはその両方についての診断情報を供給するように、光を再びハンドピースへと中継する働きをしてもよい。また、チップの遠位部を、特定の材料、化合物、細胞、または他の生物剤からなる薬剤を用いて機能化してもよい。機能化のための薬剤は、治療用光によって活性化されてもよいし、独立したプロセスによって作用させてもよい。機能化のための薬剤を用いて治療的用途や診断的用途、または両者を支援してもよい。
【0008】
図1は本発明にかかるプローブ10の一実施例を示したものである。プローブ10は、ハンドピース12及びハンドピース12に着脱自在に取り付けられたプローブチップ14を含んでいる。チップ14は、本明細書においてさらに説明されているように、使い捨てのものであっても再利用可能なものであってもよい。本図に示すように、チップ14はハンドピース12の遠位端16に取り付けられているが、ハンドピース12の他の位置に取り付けられてもよい。ハンドピース12は通常、プローブチップ14が所望の方法で光を放出するように、光を発生または中継してプローブチップ14へと送る。一般的に、ハンドピース12、チップ14、または両者は、可視光及び不可視光を含む任意の波長(複数の波長)の光を送出するのに用いることができるが、通常は遠紫外線と遠赤外線の間、及び/または遠紫外線から遠赤外線を含む波長の光を送出するために用いられている。
【0009】
ハンドピース12は通常、光源22と一体化された本体部分20(例えば、光をチップに送出する管)を含んでいる。ここに示す実施例では、本体部分20はハンドピース12の遠位端から外側に向かって伸びる遠位端24を有する光源22を実質的に取り囲んでいる。ハンドピース12はまた、遠位端16において直径の小さい環状部32によって少なくとも部分的に区画されている環状の空胴30を含むように示されている。
【0010】
チップ14は通常、キャップ部36から外側に向かって近位端38から遠位端40へと伸びる長形部材37を有するベースまたはキャップ部36を含んでいる。長形部材37は一般的に形が弓状で、湾曲部42を含んでいる。長形部材37はまた、近位端37から遠位端40まで長形部材37に沿ってつけられたテーパーによって部材37の直径が小さくなるように、部材37の少なくとも一部分かあるいはほぼ全体に沿ってテーパーを有するように示されている。
【0011】
通常、本発明にかかるプローブチップのキャップ部によって、チップをハンドピースに取り付けるために、もしくはチップをハンドピースから取り外すためにユーザーが把持しうる構造が得られる。キャップ部分は弾性もしくは半剛性であってもよいが、通常は相対的に剛性である。キャップ部は通常、表面を把持する機構あるいは外形を有する。このような外形は、ローレットをつけた表面、粗面、もしくは図1に示すように空胴及び/またはリッジを含むことが可能であるが、これらに制限されるものではない。機械式工具によるチップの取り外しの支援に適した外形(例えば1つ以上の空胴、縁端等)があってもよい。例えば、キャップは異なる平面内の近傍または隣接の平坦面とともに成形されてもよい(例えばキャップはナットとして成形されてもよく、このナットは六角形であってもキャップの周囲に沿って任意の数の平面が配置されていてもよい)。他の実施形態として、キャップは、図2に示すような、キャップの取り外しや取り付け、もしくはその両方に用いる工具の1つ以上の部分を収容するように構成されたスロット99を1つ、または2つ以上含んでいてもよい。
【0012】
図1に示すように、キャップ部分は一体式の単体チップの一部であってもよい。あるいは、キャップ部は、テーパー形状の光学式部分または長形部材上に成形されるか、そうでなければ取り付けられた第2の材質(つまり、シリコンゴム製把持素材)を備えた結果、図2に示したものと同様に組み立てられてもよい。キャップ部はまた、テーパー形状の光学式部分を捉えてハンドピースに取り付ける完全に別個の部品であり、その結果、図2に示したものと同様に組み立てられてもよい。
【0013】
機械式接合部は通常、チップとハンドピースを一緒に取り付ける物理的結合または締め嵌合を形成するために用いられている。機械式接合部は、図1の入力面まで伸びるように示されている標準光ファイバコネクタと嵌め合わせる円筒形ポケットと同様の、比較的厳しい精度の半径方向に対称な構造(例えば環状)であってもよい。あるいは、機械式接合部は、幾何学的に互いに異なる断面(すなわち角ピン)を有していてもよいし、または、一体になるように接続すると同時にキーによる位置決めの機構を形成する非対称な機構を有していてもよい。これらには、二重筒構成、角柱筒、または種々のキー付き形状が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
保持機構は通常、チップをハンドピース上に少なくとも一時的に保持または把持する方法を提供する。任意で、チップとハンドセットの間の摩擦を増大させる肋状構造、摩擦増大機構または締め嵌合機構があってもよい。図1はチップを単に摩擦、減圧、またはその両方によって所定の位置に保持している設計を示したものであり、これはチップを、特にチップのキャップを押してハンドピースの円筒部分上に配置することによって形成可能である。チップ、特にチップのキャップを成型することによって、ひとたびハンドピースの一部分をチップの空胴(例えばキャップの空胴)に滑り入れるとチップをハンドピースの当該部分から滑り落とそうとするあらゆる力に対して減圧によって逆らうような、比較的厳しい機械的公差を設けることができる。このような減圧を発生させるために、ハンドピースの当該部分が平滑な外面を有することが望ましい場合もある。しかし、機械的機構または外形は、チップをハンドピース上に保持するために追加としてまたは代替として用いられ得ると考えられている。チップとハンドピースの間に減圧を発生させることを阻止する機構を、このような圧力が望ましくない状況では有することもまた可能である。
【0015】
図1において、チップ14は、キャップ部36において円盤形の空間として示されている第1の開口44を区画するように示されており、開口44は、キャップ部36において円筒形の空間として示されている第2の開口46と隣接あるいは連続している。キャップ部36はまた、チップ14のキャップ部36の周りに1つ以上の開口56(例えば環状空胴)と1つ以上の突出部58(例えば環状突出部またはリッジ)を有する把持領域54を含んでいる。長形部材37に沿って伸びていることも、もしくは長形部材37によってほぼ取り囲まれていることも可能であるトンネル等の第3の開口が隣接あるいは連続していることが考えられる。しかし通常は、プローブチップには、長形部材37の外面または他の部分が長形部材37に沿って光を導くクラッディングの役割をすることが可能である自身の長さには足りない実質的な開口がないことが好ましい。
【0016】
チップ14は、ハンドピース12の遠位部16がチップ14の第1の開口44に収容される一方で光源22の遠位部24がチップ46の第2の開口46に収容されるように、ハンドピース12上に嵌合されている。チップ14の第1の開口44は、チップ14の一部分60(環状部として示されている)がチップ14をハンドピース12に上述のように着脱自在に取り付けるハンドピース12の遠位部16に、もしくは遠位部16の周りに圧縮嵌合されるようなサイズに形成されていることが好ましい。図1に示す実施例では、チップ14をハンドピース12に確実に、しかし開放可能に取り付けるためのハンドピース12の環状部16上にフランジ60が摩擦嵌合している。
【0017】
追加の機構または代替の機構をチップのハンドピースへの保持を支援するのに用いてもよく、かつ、チップ、ハンドピース、または両者内に設計及び構築してもよい。図3Aから3C、図4、図5、及び図6は、既に説明した摩擦や真空による技術の範囲にとどまらない、本発明が包含する他の数種類の保持機構を示したものであるが、これに限定する趣旨はない。図3Aから3Cは、ハンドピース上の柱状機構74と係合するスロット72が中にあるタブ70を考慮して設計されたチップ68の図を示したものである。図3Bのように、両者が係合すると、チップは所定の位置に堅固に保持される。タブ70を持ち上げると、チップ68は簡単に外れる。図3A、3Bは、係合/離脱過程中にタブ70が放射状にたわむタブ/柱状機構の構造を示している。
【0018】
図4もまた、係合過程中にチップ82上のタブ80が放射状に外向きにたわむ保持構成を示している。この構成では、最初はハンドピース86内の軸状スロット84に合わせられた2つの対向するタブ80がチップ82上に存在する。チップ82をハンドピース86上へ押し出すと、タブ80の内面から伸びる歯90の上の傾斜部及び/または面取りした面88がタブ80を外向きにたわませる。チップ82を完全に係合すると、歯90が軸状スロット84を通過して、軸状スロット84に垂直に伸びるより深さのあるスロット92内に堅固に嵌まる一方で、タブ80の本体部分は軸状スロット84に配置される。チップ82はこの時、ハンドピース86上に締め嵌合されており、かつ/または比較的堅固に保持されている。
【0019】
図5Bは、ハンドピース100がチップ内に挿入されると、ハンドピース100内の機構がチップ102上の機構と係合する線形バルブ形式の係合の例を示している。図5Aは、ハンドセットをチップ102内に押し込むとチップが保持される線形タイプの係合の例を示している。しかし、図5Aに示す設計は、ハンドピース上の機構104(例えば突出部)がチップ上のポケット106において係合するようにチップ102を回転させることによってチップ102を保持する回転係合のメカニズムを作るためには、わずかな変更しか必要としない。
【0020】
二次汚染の防止を支援するためには、本発明が包含するチップを一度だけ用いて(例えば、1人の人間または1匹の動物の医療的用途に用いて)その後処分するように、選択肢が存在するのが望ましい。チップの一度きりの使用を実行するためには、機構を、最初の使用後に再使用は容易にはできないようにチップの設計に合わせて改良することは本発明の範囲内である。
【0021】
図3A、3Bに示す装置は、適切に設計されたチップに入れる機構を有することにより、使い捨ての設計にすることが任意で可能である。図3Aを厳密に検討すると、タブ70内にノッチ75があることがわかるであろう。これはタブ70をヒンジとして機能させる機構の例であり、これに限定する趣旨はない。タブ70は、最初の使用では係合し保持することが可能になるには十分な強度があるが、タブ70を押し上げてチップ68を取り外すと塑性変形する、例えば、応力を受けてできたヒンジがノッチ72の近傍に生じる。保持用タブ70はこの時、タブ70を一直線に保つとともにハンドピース上の機構に係合したままにする保持力を与える記憶を失ってしまったと思われる。したがって、チップ68は既に使用されているという視覚的な手がかりが存在することになり、ハンドピースをチップ68内に再挿入した場合、チップ68の再使用の可能性も妨げるように、チップ68のハンドピースへの係合及び/または保持が阻止される。
【0022】
同様に、図4A、4Bに示すチップ82は、キャップと接続するタブ80のベースに設計された脆弱な部分94を有する。チップ82を回転させるか軸方向に引っ張ると、タブ80が脆弱な位置94で塑性変形し(例えば割れるか、応力によるヒンジを形成する)、チップ82をハンドピースから開放する。このチップ設計もまた、チップ82が既に使用されているという視覚的な手がかりを与えてくれるので、変形したタブ80により、チップ82の再使用が阻止されるであろう。この種の「押して装着、ひねって分離」保持方式は、臨床技師が使用しやすいので、非常に望ましい。
【0023】
他の例として、図5Bに示すチップ保持のメカニズムも使い捨て用に設計することが可能である。この「線形バルブ」の例では、ハンドピース上の保持機構は一種の柱状物104である。チップ102の一部として示されている一組の弾性アーム108は、柱状物104を挿入すると内側に曲がってしまう。たわみの量はアームの材質を損なうほどのものではないので、アーム108は柱状物104をポケット106内に保持するのを支援するばね力を保持している。しかし、直線的な力を柱状物104にかけてポケット106から取外す時には、アーム108は挿入時以上に大幅にたわまなければならない。これは材質の強度に打ち勝つに足るたわみであり、その結果アーム108が塑性変形してしまう。このような塑性変形の例として、応力をうけてできたヒンジが生じた結果、アーム108が自身のばね力を失うが取り付けられたままであるか、1つ以上のアーム108が折れてなくなってしまう。このことによって、チップの取り外しが可能になり、チップ102が既に使用されているという視覚的な手がかりが与えられる。ハンドピースをチップ内に再挿入した場合、チップの再使用の可能性も妨げるように、チップ102のハンドピースへの係合及び/または保持が阻止される。
【0024】
図5Aに示した装置は、図5Bの設計と同様の方法で使い捨ての装置として機能する「線形バルブ」の片面だけの種類のものである。ここでは、柱状物104を挿入すると壊れる恐れのない程度にたわむ1本のアーム108のみが存在するので、アームによって(図示されているように)チップ102または柱状物104のポケット内での保持を支援するのに十分なばね力が供給される。チップ102を取り外す時には、アーム108は材料の降伏点を越えてたわまなければならず、その結果アーム108を塑性変形させてしまう。このような変形の例として、応力をうけてできたヒンジが生じた結果、アーム108が自身のばね力を失うが保持されたままであるか、アーム108が折れてなくなってしまう。いずれかの結果によって、チップの取り外しが可能になり、チップ102が既に使用されているという視覚的な手がかりが与えられる。ハンドピースをチップ102内に再挿入した場合、チップ102の再使用の可能性も妨げるように、チップのハンドピースへの係合及び/または保持が阻止される。
【0025】
図5Aに示した装置は、「回転バルブ」方式の保持形状を有する使い捨てのチップを形成するようにチップ内に設計可能な機構を示唆している。図5Aを検討してみると、ハンドピースをチップ102内に挿入すると、柱状物が押されてヒンジ機構108の第1の面を越えて進んだ結果、少量のたわみが生じて第1の場所または位置110に落ち着くことが示されている。たわみ量はヒンジ部分108内の材質を損傷するほどのものではなく、ヒンジとなった形状によりわずかにばね力が保持される。チップ102を回して所定の位置にロックすると、柱状物が押し出されてヒンジ機構108の第2の面を越えて進んだ結果、再び比較的少量のたわみが生じる。柱状物104はこの時、チップ102をハンドピース上に保持するためのヒンジのばね力によって、第2の位置112において確実にポケット106に捕らえられている。
【0026】
チップを離脱させるために、いくつかの方法を用いることが可能である。ここに示すすべての設計と同様に、可能ならば図2に示すスロットと同様の補助機構を用いて、軸方向の力をかけてチップをハンドピースから引き出してもよい。この取り外しの力によって、1つ以上の保持機構を塑性変形させるのに十分過ぎるほどの力でヒンジ部分は力ずくで開けられて、柱状物を開放するとともに応力がかかってできたヒンジをヒンジの材料または保持機構内に形成する。その結果、ヒンジは「開いた」ままの状態となり、チップがハンドピースと2度目の再係合をすることは難しいであろう。あるいは、ヒンジを、軸方向の力をかけると壊れることにより塑性変形するように設計することも可能であり、その結果チップは離脱して再係合を防止する。チップを離脱する他の方法は、柱状物を回転させて第1の位置に戻した後、チップを引き抜くことである。図5Aに示した設計では、柱状物は損傷を受けることなくヒンジの第2の面を越えて滑っていく。しかし、ヒンジは柱状物を中に入れるよりは外に出すために開かなければいけないように設計されている。このより多い量のたわみは、通常、応力がかかってできたヒンジ等の塑性変形を生じさせるのに十分であり、その結果、チップを最初に取り外した後、ヒンジが自身の保持力を失ってしまう。その後、チップがハンドピースと2度目に堅固に係合することは防止されるであろう。
【0027】
図5Aに示した装置は、「押して装着、ひねって分離」方式の使い捨て保持機構を有する使い捨てのチップを形成するようにチップ内に設計可能な機構を示唆している。図5Aを検討してみると、ハンドピースをチップ内に挿入すると、柱状物が押されてヒンジ機構の第1の面を越えて進んだ結果、比較的少量のたわみが生じて第1の位置に落ち着くことが示されている。アームは柱状物をポケット内にクランプするように設計することができるので、これにより、上述のようにチップがハンドピース上に確実に保持されている。チップを取り外すために、回転運動を用いて柱状物に力をかけて第2の位置へと向かわせる。この運動は、図2に示すスロットまたはキャップに成型された複数の平面をもつ(例えばナット)パターン(すなわち六面パターン)といった機構をキャップ内に係合する工具(例えばレンチ)を使用することによって支援されることもある。柱状物のポケットへと向かう動きによりアームに力がかかり、チップ上の他の機構がその動きが止めるまでの間、変形してしまう。ひねって回す動きが続くと、アームのヒンジ部が増加する応力を受け続ける。アームの形状は脆弱な箇所を有するように特別に設計されている可能性があるので、適当な量の張力を受けると、ヒンジ部分は塑性変形し(例えば壊れる)、柱状物が外に出てチップがハンドピースから離脱するであろう。このことにより、チップが既に使用されているという視覚的な手がかりが与えられる。ハンドピースをチップ内に再挿入した場合、チップの再使用の可能性も妨げるように、チップのハンドピースへの係合及び/または保持が阻止される。
【0028】
なお、一連の例はすべて、1つの係合機構か複数の係合機構のいずれかとともに動作するように設計することが可能である。各々の場合において、構成材料の特性がポケット(複数のポケット)、アーム(複数のアーム)、及び柱状物(複数の柱状物)の形状設計と組み合わされることにより、装置が複数回の使用に適しているか、あるいは1回きりのみの使用に適しているかが決定される。この使い捨ての機構を形成するために必要な設計は、柱状物をいずれかの方向に渡すのに必要なたわみ量に応じて可変である。一般的に、ヒンジ部分またはアーム内の他の位置にある特別に設計された脆弱性によって、アームが塑性変形するかどうか、及びもしそうならば、どんな力を用いて、そして壊れたり曲がったり等になるのかどうかが決定されるであろう。脆弱性のあるアームの特性は、材料、ビームの大きさ、及び接合部の大きさまたはノッチ等の脆弱機構の大きさによる強度に応じて可変であることも可能である。
【0029】
本開示を利用することにより、成形部品を設計する技術を実施している人ならば本発明の範囲内にある他の使い捨ての保持機構もしくは複数回使用される保持機構の想定が可能であろうということが考えられる。異なる材料を用いた実験によってある特定の設計のパラメータが決定されることに注目しなければならない。例えば、1mmの範囲の中に深さ0.25mmの三角形のノッチのある1mm×0.75mmの大きさのポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate:PMMA)製の成形ビームがあるとすると、ビームは大幅な、もしくはかなりの塑性変形を生じずに15°たわむことができる。しかし、約20°のたわみでは、ビームは通常ノッチの位置で塑性変形し、応力のかかったヒンジが生じてしまう。他の例では、0.5mmのノッチがある1.5mm×1.5mmの大きさのPMMA製のビームは10°以上のたわみでどこかが塑性変形することが判明している。ノッチの深さが0.5mmよりも深い場合、完全に割れる、例えばビームが分断されることがわかった。PMMAは好適な材料の1つであるが、一方、他のプラスチック、成形用ポリマー、エポキシ、硬化性ウレタン等を含む他のほぼあらゆる透明または半透明の材料、またはこれらの組み合わせを用いてもよい。しかし、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において用いられているように、塑性変形という語は、材料が実質的に元の形や構成に戻れないような変形を説明するために用いられており、特に断りのない限り、プラスチック、金属、または他の材料を含むあらゆる材料に関してこの語を用いることが可能であることは理解されるべきである。
【0031】
なお、本発明が包含する任意のチップ設計を用いて、チップを切り離す装置によってチップをハンドピースから取り外すことができる。このことを実現する1つの方法は、少なくとも1つのブレード部分をチップに接触させるように構成された装置を利用することであるが、これに限定されるものではない。このような装置上には、1対の掴み具及び任意で掴み具の各々を接続するハンドルを有する。チップ/ハンドピースの組み立て品を掴み具の間に載置する場合、第1の掴み具がチップを架台の上に置くような形状にすることができるであろう。(例えばハンドルを使って)掴み具を互いに向かって動かすと、第2の掴み具にあるブレードが駆動し、チップを切断するようにしてチップ材料に入り込むであろう。ブレードは好ましくは、掴み具を互いに向かって動かしたときにハンドピースの材料と接触するには短すぎる長さであることが好ましく、そうでない場合は接触できないように構成されているのが好ましいであろう。このようにして、チップを掴み具内に押し込んで閉じることによって、ハンドピースを損傷せずに、チップを切断してハンドピースから取り外すことができる。通常、チップはその後、次に再使用するには適さないであろう。この実施形態の描写の例が図9に示されており、上部掴み部200、下部掴み部202、機械式停止部206、架台208、ブレード210、ハンドピース214、及びチップ216が含まれている。
【0032】
チップ設計の別の種類である、図6に示す例もまた、結果として1度きりの使用のチップ設計または使い捨て用のチップ設計である。図6は、キャップ120及びテーパー122として示されている単一ユニットとしての長形部材に、これらの構成に関わらず対応している。チップは、ハンドピース128をチップ130内に挿入するとハンドピース把握機構126内で係合する変形可能な連動アーム124を有する。図6の例は、ハンドピース128上の延長部126または機構の内部に係合しているチップ130内のアーム124を示しており、これに限定する趣旨はない。この実施形態では、ここに示されているように、連動アーム124及びハンドピース把握機構126はそれぞれの遠位端において、連動フランジ132に対して片持ち伸張である。
【0033】
また、第2の部品134もチップ内に含まれている。この部品は任意の適切な材料でできており、図6の開放リング構造134の切開図として表されているが、これに限定されるものではない。ここに示しているように、この開放リング134は、リングが押されて変形可能な連動アーム124上に出てきた時に、チップもしくは130によって保持されることにより、商品流通に適した組み立て品を作成するような形状を有する。開放リング134をさらに動かしてチップ130内に押し込むと、変形可能なアーム124に力を加えてハンドピース把握機構126ともはや係合しない状態にしてしまうようにして、開放リング134は変形可能な連動アーム124と係合する。ここに示しているように、開放リング134は、チップ130内に押し込むのに十分な程度にさらに動かしてチップ把握機構もしくは空胴138と係合するように、さらなる機構を有する。このようにして、開放リング134をチップ130内に捉えるとともに連動アーム124をハンドピース把握機構と再係合するのに適さない状態で内向きに隔たらせる。
【0034】
図6において、軸方向の力を与えてチップ130を堅固にハンドピース128上へ押し出すことによって、各ハンドピース把握機構126の端部が開放リング134を押してチップ把握機構138内で係合するように備えられたスペースが存在する。このようにして、チップ130をハンドピース128上に堅固に押し出して離脱させることにより、取り外しが可能になる。与えた軸方向の力が不十分な場合、通常チップ130は離脱せず、技術者がより強く押さなければならないであろう。好ましくは、チップ開放リング134がチップ130の内部空胴内に保持されていた場合にのみ、チップ130がハンドピースから開放される。このようにして、チップ130は2度目にハンドピース128上に保持されることはなく、その後も次の再利用には適さなくなるであろう。
【0035】
図7は、キャップ152の把持部151が伸張しているのでハンドピース154のかなりの部分を覆っていることを除いて図1に示すものと同様のチップ150の一種を示している。ハンドピース154とチップ150の間の機械式接合面は、ハンドピース154のかなりの長さ、あるいはほぼすべての長さにわたる。接合部162がハンドピース154の近位端164の近くに位置している状態において、図4に示すものと同じ使い捨ての保持機構160が使用されている。なお、上述の開示されている保持方法のいずれにおいても、効果的に利用することが可能である。
【0036】
把持面の形状において質感、表面の仕上げ、表面の起伏パターン、及び表面の輪郭を変化させることにより、堅固に把握することを促進する一方、人間工学的に快適な把握も提供することができることは本発明の範囲内である。放射状の溝、ローレットをつけた表面、または粗面を用いてもよいが、これに限定する趣旨はない。チップを単体、例えば1つの成形された部品として構成してもよく、また、チップを数個の材料から、もしくは数個の部分に分けて構成してもよい。把持部151はエラストマー(例えばシリコーンゴム)または他の弾性材料であってもこれらを含んでいてもよく、一方、チップ150の残りの部分166は通常、光学用プラスチック、例えば本明細書において説明されているものから形成されているが、これに限定する趣旨はない。他の実施形態として、チップ全体の構造150を単体として形成することが可能であり、弾性の把持部151をオーバーモールド工程等の二次的な処理工程によって形成することが可能である。チップはまた、一緒に取り付けられた数個の部品から構成することが可能である。把持部は一緒に糊付けされたクラムシェル(二枚貝状)であることが可能であり、また、クラムシェルは、各シェルの一端においてシェルを一緒に保持する連動機構を有することができるとともに、他端においてキャップ部分によって一緒に保持されることができるであろうが、これに限定する趣旨はない。
【0037】
チップによって覆われているハンドピースの長さは設計の選択項目として変更可能であることは本発明の範囲内である。しかし、ハンドピースのうちの十分な割合(例えば40%、60%、80%またはそれ以上)がほぼ不透過性の切れ目のないチップで覆われている場合、チップはバリアとなって、ハンドピースを生物的汚染から保護する。これにより、滅菌用の加圧滅菌器内を繰り返し往復することに耐えるように設計する必要がないので、ハンドセットの製造価格がより低くなるという著しい効果が得られる。使い捨て可能なチップを使用するとともに滅菌の必要性をなくすことによっても、技術者が取り扱う時間を大幅に短縮することができる。
【0038】
入力面は、一例として図1の参照符号170で示されたものがあるが、テーパー部分37と空隙172の間にある光学式接合面である。ここに示されているように、入力面170の表面は平坦かつ平滑な面であってもよいが、必要に応じて起伏があってもよい。他の実施形態において、表面には、様々な光の向きを変える機構がその内部に構成されていても、そこに加えられていてもよいことは本発明の範囲内である。この機構は、入力面を通過する光を集光して方向付けるのを支援する1つまたは複数の凸レンズ構造を含んでいてもよいが、これに限定する趣旨はない。また、接続面は、入力面を通過する光をより大きな伝搬角に変換する、すなわち、光放出領域から最適な光分布パターンを生成するのを支援する、1つまたは複数の凹面構造を含んでいてもよい。光の伝搬角を変更する散乱を生じさせることにより、より最適な光分布パターンを光放出領域から生じさせるために、接続面には故意に粗くした面がその上に構成されていても、そこに加えられていてもよい。接続面の外観は、品質的にランダムでも、単数または複数のいずれかのプリズム状もしくはレンズ状の小面からなっていてもよい。さらに、入力面の外観はフレスネルレンズまたはホログラフィック素子を構成していてもよい。
【0039】
入力面上にあるこれらの外観はすべて、直接テーパーの材料になるように形成してもよいし、別個の層もしくは部品として加えられてもよい。さらに、その表面を被膜することにより、入力面の反射、屈折、回折散乱、伝達特性または吸収特性を調整してもよいこともまた本発明の範囲内である。これらの被覆は、この技術において特性がよく知られている反射防止膜を含んでいてもよい。被覆はまた、波長フィルターの機能を有するとともに透明な材料の層状集合体または層状の着色分子のいずれかからなる被覆といった、スペクトル的に活性の被覆を含んでいてもよい。
【0040】
間隙とは光源(ハンドピース上の光学式接合面(または複数の光学式接合面))と入力面との間の領域のことである。間隙はとても小さく、例えば光源と入力面との接触が可能となったり、さらには存在さえしていなくてもよい。他の実施形態として、間隙はかなり大きくてもよい。入力の開口が大きいものを用いる場合、より大きな間隙を用いることが可能であり、かつ、より大きな間隙によってスループット損失や光放出領域での光のパターンの質の低下を最小にすることができる。
【0041】
連結/後方反射特性を調整するために、ポリマー、ゲル、または液体を用いて少なくとも部分的に間隙を埋めてもよいことも本発明の範囲内である。このような実施形態は、光が光学式媒体の接合面を横切る時に隣接する光学式媒体の屈折率をより近いものにし、場合によっては反射損失を小さくすることが可能であるので、効果的である。また、屈折率整合接合剤を用いることにより、追加としてあるいは代替として連結性能を改善し、場合によってはチップをハンドセットに固定するのを支援してもよい。
【0042】
テーパー部分または長形部材は入力面から光放出領域へ光を導く構造体である。キャップは光を導く必要はないので透明、半透明、もしくは不透明な材料でできていてもよいが、テーパー部分は必要以上の損失なしに光を光放出領域に向かって導くように設計されていることが好ましい。従って、テーパー部分は通常、比較的透明または高度に半透明の材質から構成されている。その例としては、アクリル類またはアクリラート類(例えばPMMA)、スチレン類(例えばポリスチレン)、ポリカーボネート類、プラスチック類(塩化ビニル)、エポキシ樹脂類、ウレタン類、ゾル−ゲル等、またはこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。ある程度は材料の選択によって、テーパー部分は例えば短紫外線(<0.2um)から遠赤外線(>10um)までの光の波長の任意の組み合わせを通すことが可能であることは本発明の範囲内である。また、テーパー部分が光を入力面から光放出領域へ、光放出領域から入力面へ、あるいはその両方向に導くことも本発明の範囲内である。さらに、光を導くのを支援するためにクラッディングによってテーパー部分を覆ってもよいことが考えられる。
【0043】
テーパー部分または長形部材は長手方向の形状と断面形状との組み合わせが任意であってもよいことは本発明の範囲内であると考えられる。直線状の壁をつけた部分を有しても、切れ目のないテーパーを有しても、(型から引き上げるための)浅い抜き勾配を有しても、種々の幾何学的外観(すなわち盛り上がった部分や凹んだ部分)を有しても、異なる形状の混合体であってもよいが、これに限定する意図はない。テーパー部分の断面は、円形、長円形、楕円形、種々の多角形及び/または柱状形のうちの任意の組み合わせであってもよいが、これに限定する意図はない。また、テーパー部分はその端から端まで異なる断面形状の組み合わせであってもよく、狭い長手方向のねじりのような連続して変化する形状であってもよい。異なる断面形状を使用する理由の1つは、伝搬光を混合して出力パターンの空間的含有率及び角度的含有率を均質化するのを支援するためである。円形断面と混合された四角形断面はこの種の混合には特に効果的であり得るが、同様の効果を他の異なる断面の組み合わせから得ることもできる。
【0044】
テーパー部分または長形部材の長さ及び断面は、物理的整合性を維持する用途及び要件の必要性によってのみ限定されることは本発明の範囲内である。限定しない図示例として、支持されていない長さ1インチの500umPMMA製テーパー部は適切な照射を送出すると考えられるが、技術者には薄すぎて歯周ポケットへと効率よく導くことが恐らくできないであろう。しかし、このようなテーパー部の形状は、接合剤光硬化のために照射を施すことには適している場合もある。なお、断面の直径(または幅)及びテーパー部分の長さはともにテーパー部分の柔軟性に影響を及ぼす。比較的大きな直径から始まって比較的小さな直径で終わるテーパーが通常もっとも柔軟性があるので、チップの近傍においてよりたわむが、一方比較的大きな直径の長さのある部分や直径が一定のテーパーは通常その全体の長さの間でほぼ同等にたわむ。
【0045】
全反射またはほぼ全反射(例えば80、90、または95パーセント以上の内部反射)の中にテーパーを伝搬する光が含まれていることが好ましいが、必須ではない。このような内部反射の実現を支援する1つの方法は、通常は材料の選択によって、テーパー(コア)と周りの環境(クラッディング)の間の屈折率の差を比較的大きくすることである。図示例として、本発明にて用いられる材料の範囲内に限定せずに、空気界面に対して1.49から1.0の範囲の屈折率を有するPMMAが挙げられる。スネルの法則を用いて、空気中のPMMAはテーパーの軸に対してほぼ58°の角度で伝搬することを示すことができる。テーパーの全長を水性の流体に浸しても、水界面に対するPMMAはまだ26°までの角度で光の伝搬が可能である。従って、クラッディングのない単一の材料のテーパーを用いることによって、少なくとも0.45NAの開口数の光を効率よく伝搬及び送出することが可能である。
【0046】
しかし、テーパー部分を様々な材料で上塗りすることもまた本発明の範囲内である。これらの材料を用いて光の伝搬を支援してもよい。これらの材料には、テーパーよりも低い屈折率を有する層を形成して「クラッディング」を形成する材料もしくはパターン(すなわちCYTOP(商標)、PTFE、またはPFA)を含んでいてもよいが、これに限定する意図はない。このようにして、既知の特性を持つ導波路を形成することができる。「クラッディング」材料は、テーパーの外面に対して特別にドーピングを行ってテーパーよりも屈折率を低くする(すなわち様々なフッ素樹脂類を浸透させる)ことにより形成されてもよい。さらに、鏡面反射を用いてテーパー部分に光を閉じ込めることを助ける鏡面を形成するために、テーパー部分はこの産業では公知である様々な誘電性の積層または金属被膜で上塗りされていてもよいことも本発明の範囲内である。上塗りは、変形(すなわちスクラッチ傷)及び外的分子(すなわち溶媒や染料)の吸収や吸着もしくはその両方からテーパーを保護するのに十分であることも本発明の範囲内である。
【0047】
湾曲部分とは、テーパー部分を曲げる1つまたは複数の領域のことである。湾曲部分によって人間工学が改善され、到達にてこずる領域に到達させることが可能になる。湾曲部分は省略してもよく、また、複数あるいは複合の湾曲部分が存在してもよい。理論上は、光がまだテーパー部分内部において通っている湾曲部分に対して最大角が存在する。この角度は全反射に対する最大角と関連している。現実的には、テーパーの限界は実際には偏向角だけでなく曲率半径の関数である。実例として、図1に示す湾曲部分は約60°であるが、曲率直径が20mmであるため、装置をPMMAで構成した場合に過度の伝搬損失は検出されていない。もし装置に急峻な60°の湾曲が構成されたならば、光が接合部分ではみ出てしまう可能性がある。しかし、鏡として構成された上塗りを含むことは本発明の範囲内であるので、装置に「Z」状の形状が形成されていても、このような上塗りを用いて光をテーパー部分内に保持することができるであろう。
【0048】
光放出領域とは、テーパー部分が内部を伝搬している光を放出するか、テーパー内に光を集光するか、もしくはその両方を行う領域である。テーパー部分は光が放出されることになっている特定の領域を備えて設計することができる。この領域は、遠位端、端部の近くまたはテーパー間の任意の箇所にある領域、あるいは各位置の組み合わせであり得る。光放出領域は、テーパーを有するチップのある部分の周囲全体を覆っていても、限定された領域に存在してもよい。これらの領域はテーパーの両端の間で部分的に存在しても、全体に沿って存在してもよい。複数の光放出領域が存在していてもよい。
【0049】
光がこぼれるように、すなわち不連続部においてテーパー部分の表面を特別に改変している領域によって、図1に182として示されている光放出領域に光を放出させてもよい。本発明の範囲を限定することなく、これらの外観は、粗面(すなわち、粒が不揃いの32um「サンドペーパー」の粗面処理)、隆起パターン、窪みパターン、長手方向または半径方向に伸びるスロットパターン、らせん状の「細線」、長手方向の波形、プリズム形状、レンズ形状、もしくはフレネルレンズまたはホログラフィック素子に似た平らな表面の起伏形状を含んでいてもよい。光放出領域のうち粗面化された部分は通常約3mmから約12mmの間(例えば約7mm)であるが、これは必須のことではない。さらに、チップは外面が、または内部開口がある長形部材に対して内部が粗面化されていてもよい。
【0050】
好ましくは、光放出領域(複数の領域)は型内にある外観で、すなわち型における特定の領域にある外観によって形成されてもよい。ここで、特定の領域とは、テーパーを形成する普通は非常によく研磨された表面によって、32um表面仕上げの部分の加工を施す領域である。これらの外観は成形されたテーパーにおいて複製されることにより、光放出領域を形成することができる。他の実施形態として、他の技術を用いて光放出領域を形成してもよく、この技術には化学的処理(エッチング等)、レーザ処理(パターン描写等)、機械的処理(研磨による機械的粗面化等)、あるいは電子放射(イオン放射等)が含まれるが、限定するものではない。これらの処理は型に対して行っても個々のテーパーに対して行ってもよい。これらの処理は加工される前のテーパー材料に対して行っても、ポリマー膜やセラミック膜等のテーパー表面に広くまたは選択的に塗布された材料に対して行ってもよい。これらの膜はテーパーの上塗りに用いたものと同じであってもよく、また別の材料であってもよい。光放出領域は工程の組み合わせによって形成されてもよい。この例は、型内の外観を用いて粗面を形成し、後処理である加熱処理を用いてその面をわずかにならすことによって示されおり、これに限定する趣旨はない。
【0051】
他の実施形態として、テーパーを構成する材料を改良することによって光放出領域を形成することも可能である。このことは、図2に示す装置において、散乱係数の高い材料から光放出領域を成形するとともに、第2の、好ましくは透明な材料からテーパー部分の残りの部分を成形することによって実現可能である。適切な散乱材料の例として、固有散乱成分または特性を有する半透明の材料、もしくは、材料内に拡散する1つ以上の固有散乱成分を通常含む透明な材料が挙げられるが、これに限定する意図はない。固有散乱成分の例として、アルミニウム化合物、酸化物(例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化バリウム)、セラミック、ポリマー、充填材料(例えばサファイアボール、中空の微粒子)よりも高いまたは低い屈折率を有するかたまり(例えばビーズ、ボール、球)、これらの組み合わせ等が挙げられるが、これに限定する意図はない。
【0052】
他の実施形態として、伝搬する光がテーパー部分の許容開口数を意図的に上回るようにすることにより、テーパー部分に光を放出させるようにすることも可能である。このことは、特別な急カーブの湾曲部をテーパー部に載置することによって用意することができる。また、テーパー断面の直径を小さくする割合を急激に高くすることによっても用意することができる。
【0053】
光放出領域からの光のパターンは角度均一性が高い空間的に一様なパターンであることは本発明の範囲内である。単数または複数の位置において光が光放出領域から放出されてもよいこともまた本発明の範囲内である。さらに、放出された光は、拡散する角分布または狭い角分布もしくはその組み合わせを有していてもよい。チップを用いて特定の照射パターンを単数または複数形成してもよい。チップを用いて光を散乱させても集束させても、またその両方を行ってもよい。
【0054】
光放出領域の外観はすべて、テーパー部分から光を散乱させるために、あるいは光をテーパー部分に集束させるために、またはその両方を行うために用いることができることは本発明の範囲内である。本発明に関して言及した外観のいずれの組み合わせも、光の集束または放出を支援するように設計されていてもよい。これらには、特に説明は行わないが光学技術を生業とする人にとっては既知である開示された技術の延長である機構及び技術が含まれる。
【0055】
光を放出する場合、1つの領域における過度の露光やある領域における不十分な露光を避けるために、その光は比較的一様な分布で領域上に送出されることが通常は好ましい。上述の外観の中には、このような分布の発生を支援することができるものがあり、効果的である。また、プローブは、プローブへの光、プローブを通る光、あるいはプローブが放出した光の量を制限する制御機構を有することができる。上記または本明細書の他の箇所において説明されている機構のうち1つ以上により、プローブが比較的低損失の光を発生するのを支援することができる。好適な実施形態では、プローブチップの設計によって、プローブチップへと放たれた光のかなりの部分(すなわち70%よりも高い割合)またはほぼすべて(すなわち95%よりも高い割合)がプローブチップの遠位端に確実に到達するように支援可能であり、そこで光はチップの粗面部分を通って散乱することもある。
【0056】
ある実施形態では、円錐形のテーパー部分または長形部材によって、比較的高い開口数(numerical aperture:NA)の実質的にエアークラッド光ファイバであるものが構成されている。このように、一般的な体液または別のものがテーパー表面に接触している場合、テーパーはそれでもクラッディングとして機能することが可能であり、装置も自身の光の大部分またはほぼすべてをチップの遠位端へと引き続き導くことができる。
【0057】
チップの遠位端は、光を散乱、方向変換、吸収、または内部反射するように設計された機構を有してもよい。この機構はレンズ状またはプリズム状であり、テーパー断面が増加していること(すなわち、チップ近傍のテーパーの大きさよりも大きなボール状の端部)を含んでいる。この機構は、光を散乱、集束、またはその両方を行うように設計されていてもよい。遠位端は光を放出しても集光しても、またその両方を行ってもよい。放出または集光された光の伝搬、吸収、反射、回折、または散乱を改良する材料またはパターンで、遠位端を上塗りしてもよい。例として、金属化された鏡面状の上塗りが形成された半径が小さい遠位端があげられるであろうが、これに限定する趣旨はない。これにより、順方向伝搬光は、入力面へ向かう高NA逆伝搬光に変換されるであろう。この種の設計は、光放出領域から放出された光の角分散度を高くするのを支援するであろう。
【0058】
機能的被覆:光放出領域と遠位端のいずれか、もしくは両者を、機能的被覆で処理することによりチップの実用性を拡張できることは本発明の範囲内である。これらの被覆を治療とともに用いても、検出に用いても、あるいはその両方に用いてもよいが、これに限定する意図はない。
【0059】
本発明の範囲を限定することなく、チップに施して治療に用いることができる機能的被覆の実例は、光放出領域に塗布されたゾル−ゲル薄膜であろう。ここで、この膜は光増感剤分子を捕捉することによってPDD適用を支援するために用いられる。
【0060】
ゾル−ゲル膜とは、非常に特異的な間隙率特性を含む非常に特異的な特性を有するように改良されたセラミック膜である。ゾル−ゲル材料は、有用な色素分子、すなわちメチレンブルー(methylene blue:MB)を「ドーピング」することが可能な溶液(例えばスラリー)として出発する。この溶液は、浸漬被覆を含む様々な方法によってチップに施すことができる。溶液の粘性等のパラメータを変更することにより、基質内にトラップされ色素分子を乾燥時に含有する特定の膜厚で繰り返し可能な被覆を形成することができる。治療用の光(すなわち、MBに対して約660±40nmの光)をチップを通じて与えると、色素が活性化する(すなわちMBが光を吸収して一重項酸素分子を発生させる)。薄膜の間隙率特性に応じて、色素分子がトラップされたままでも、色素の活性生成物が自由に移動して周りの組織に入り込み、滅菌プロセスを支援する。
【0061】
このように適用した場合、比較的薄い膜を、色素の活性生成物が膜内部で再結合しないように改良する効果があるであろう。また、機能的な薄膜を利用したり色素濃度が低かったり、あるいはその両方であったりしても、治療用の光のかなりの部分がまわりの組織に放射されることが可能になり、同時に薄膜基質にトラップされていない色素分子を用いて「標準的な」PDDを支援することが可能となる。その上、光放出領域内の散乱特性を支援するように薄膜の特性を調整することができる。
【0062】
診断感知:入力面から、適切な方法で光を分散する光放出領域、遠位端、または両者へとチップが光を伝えることは本発明の範囲内である。チップは光を集光してそれを再び入力面へと伝える役目を果たすことができることも本発明の範囲内である。この「戻り」光は、チップを取り囲む環境、光放出領域、遠位端、もしくは機能的被覆からの各光の任意の組み合わせのものであってもよい。この集光された光はさらに、チップから最終的にその光を分析する場合もあるハンドピースへと中継されてもよい。
【0063】
本発明の範囲を限定することなく、PDTの適用によって、チップが集光した戻り光がどのように役に立つかが実例で示される。PDTの適用の中には、効果的な組織の壊死を実現するために、治療の際にインドシアニングリーン(lndocyanine Green:ICG)等の色素が対象となる組織の近傍に十分な濃度で存在する必要があるものもある。さらに、ICG等の色素に一時的または恒久的漂白プロセスを施した後ではPDTはあまり効果的ではない。従って、チップの環境を監視して活性ICGの実現可能な濃度が存在しているかどうかを決定することが望ましい。
【0064】
ICGが存在するかどうかを検出する1つの可能性は、チップが集光した戻り光を分析することである。ICGは約805nmにて最大吸光度を示すが、約832nmにピークを持つ蛍光発光スペクトルを有する。蛍光のピーク、すなわち820nmより低い波長を含む帯域における光照射でICGを励起することが可能である。同時に、励起のピーク、すなわち820〜840nmよりも高い帯域においてチップが集光した戻り光の量を測定することにより、ICGの蛍光発光を分析することが可能である。ICGが存在しない場合、もしくは存在するICGが漂白されてしまう場合、測定帯域内に蛍光発光は少ししか、または全く存在しない。従って、チップが集光した光を分析することにより、治療条件が処理を問題なく行う条件として適しているかどうかを検査するための診断が可能になる。
【0065】
先の例は、今回のチップに関する発明により実現可能な機能膜あるいは診断感知の種類または効用の範囲を制限するために、一例として挙げられているわけでは決してない。例えば、他のパラメータを測定することにより、測定している蛍光に加えてチップ付近の環境についての診断情報を得ることができる。これらには、チップの周りの環境の蛍光、自己蛍光、燐光、発光、吸光、散乱の各特性のスペクトル特性と時間的特性のいずれか、または両者を測定することが含まれるが、これに限定する趣旨はない。
【0066】
範囲:今回のチップに関する発明は、もっぱら治療目的、もっぱら診断目的、治療と診断目的、もしくは他の目的で使用可能である。診断用の光を集光すると、光放出領域または遠位端に塗布された機能膜を監視することを含む、光放出領域または遠位端のまわりの環境や状況についての情報が提供できる。治療及び診断のプロセスは本質的には異なっている可能性があるが、PDD等は1つの波長において発生することが可能で、一方、反射する色素のpH標識の監視は第2の波長において調査する。
【0067】
チップは複数の治療用途や診断用途を同時に行うために用いられてもよい。複数の発光波長、複数の集光波長、または両者を処理することによって達成できる。様々な治療用または感知用の機能膜を、空間的に分離された各領域の形状で、すなわち、縞や点の形状として、あるいは、光放出領域と遠位端に対して異なる処理として、チップに塗布してもよいが、これに限定する趣旨はない。この様々な機能膜を混合して複数の能力を有する化合物膜を形成してもよい。さらに、光の放出及び集光を一時的に変化させて、スペクトル多重化のかわりに、またはスペクトル多重化と組み合わせて使用してもよい一時的な多重化の形を形成してもよい。
【0068】
上述された特定の用途、材料、形状、機能膜、または色素によって、本発明の範囲は限定されない。当業者ならば、特に本明細書では開示されていないが明らかに本発明の範囲内である用途や構成を指定できるであろうことは理解すべきである。このような構成の例をあげるとすれば、組織切除の目的で光をある特定の領域に集束させる効果を有するように設計されたチップ形状であろう。
【0069】
実施例
【0070】
本発明の多くの態様が実行されてきた。図1の描写によって適切に表されているある特定の例は、他の用途を有していてもよいが、歯周PDDの用途用である。この場合、ハンドピースは、長さが5.43mmのよく研磨されたOD2.49mmの円筒形金属製口金のある標準光ファイバコネクタが終端となっている。
【0071】
チップは、射出成形によって形成された一体式のPMMA製部品である。キャップは摩擦や減圧によって図に示すようにハンドピースと係合した結果、0.25mmの間隙ができる。入力面は標準光ファイバコネクタのODと同じ大きさの平坦な小平面であり、成形プロセス中に非常に平滑な表面が形成される。テーパー部分は2.0mmの円形断面を有する。湾曲部分の前にある部分は長さが約11mmで、テーパー部分は湾曲部分の始まりにおいて約1.5mmである。湾曲部分は直径が約20mmで60°の角に対する。湾曲部分の端部において、テーパー部分は約1.0mmの大きさである。湾曲部分から遠位端までの距離は17mmである。光放出領域はテーパーの終わりの方の7mmの範囲に及び、型の表面上に形成されて成形プロセスにおいて転写された32umの表面仕上げで仕上がっている。遠位端において、断面は0.6mmであり、同寸法の球形を有する。
【0072】
660nm付近の帯域の治療用の光を照射すると、遠視野発光パターンは図8に示すようになる。このチップでは、発光パターンに空間過熱点や角過熱点がないことが示されており、遠位端に対して軸方向にある危険な過熱点に悩まされることはない。チップの出力パターンは、その光のほとんどを処置が必要な歯周ポケットに向けて放出するように特別に最適化された設計を反映している。また、出力パターンは、歯周ポケット内部に合うために最適の遠位端の大きさを備えて特別に設計されている。湾曲部分の半径は、口腔内のすべての位置に到達するのに最適である。テーパー部分は、湾曲部分の前ではテーパーに剛性を、湾曲部分の後では柔軟性を持たせるように特別に設計されている。このことによって、患者の口内組織を傷つける可能性を最小限にしながら歯周ポケット内に到達することも支援する。
【0073】
この特定の例におけるチップパラメータに与えられた各数値は、特定のパラメータに従って、大きく、または小さく変えることが可能であることは理解すべきである。一般的なガイドラインとしては、各パラメータは、例にて与えられた値に対して±10%、±20%、±50%、またはそれ以上だけ変えられてもよいと考えられる。
【0074】
構成に応じて、プローブは複数の効果を示す。長形部材のテーパー形状によって、比較的大きな光入力面を有する比較的強いベースが提供できる。チップの端部は、狭い空間(例えば、罹患した歯茎組織にある歯周ポケット)に合うように十分小さく設計することができる。入力面、テーパー部分、遠位端、発光処理、またはこれらの組み合わせが合わさって得られる効果によって、特定の用途の要望に合うように特化することが可能な所望の出力パターンが供給でき、その結果、光放出領域及び遠位端において出力光の均一性がより良くなる。テーパー部分内での固有の混合や散乱領域の効率のおかげで、空間均一性や角度均一性が比較的よくない光源があったとしても、より均質な出力を支援するようにチップを設計することができる。さらに、エアークラッディングを有するPMMA製のコアを使用しているので、許容NAは通常0.5から1.0の間(例えば、約0.74)であり、このことは約35°から60°の間(例えばほぼ48°)の角度であることを示している。これにより、特別な光源整形光学を必要とせずに、様々な種類の光源から光を効率よく送出することが可能となる。
【0075】
テーパー形状によって、チップが追加の支持部品(例えば、従来技術で用いられている注射針のケース)を必要とせずにほぼ、あるいは完全に自立できるような強度をチップに与えることができる。もちろん、他に特に説明されていなければ、このような部品を用いてもよい。PMMAは、使用されるとともにテーパー部分のサイズと組み合わされた場合、弾性のあるチップを製造できる。これにより、技術者が歯茎の一部分や他の組織の一部分をより精度よく精査することを支援することができるので、かすり傷を生じたり突き刺してしまったりすることを回避することで患者の快適さを高められる。この設計はプラスチック内に成形された単一の部品として形成することが可能で、これは比較的安価である。成形プラスチックの設計は、用いられた場合、大量の量産計画に適しているので、価格を抑える。さらに、成形プロセスは通常、サイズまたは形状等が均一なチップを製造するために高い精度で繰り返すことが可能である。
【0076】
また、チップを使用後使い捨てとすることを認めることで滅菌を繰り返す必要性を回避することによって、かつ、二次汚染の防止を支援することによって、チップを十分に低価格で形成可能であることが考えられる。把持部はハンドピースを部分的に取り囲んで保護するように構成可能である。これにより、滅菌を繰り返す必要なしにハンドピースが安全に再使用されることが可能になる。この結果、より低コストのハンドピースが実現され、技術者の貴重な時間が節約される。
【0077】
プローブ内の材料は生体適合性材料であり、患者の体内で有害な反応を起こす可能性は非常に低い。チップの設計、すなわちテーパー部分及び湾曲部分によって、患者の不快感を最小にしながら、ある個体が口腔内や他の体の部分にある多くの隙間に快適に到達して精査することが可能となっている。把持部の設計によって、プローブ全体が技術者の手に快適にフィットするとともに処理中に優れた把持を維持することが可能となる。
【0078】
プローブは、希望するならば治療プロセスの監視とともに、診断用の光検出の用途に対しても対処する。光放出領域への表面処理の機能性と組み合わさり、チップが適応範囲から光をピックアップして再びハンドピースへ導くことができるので、プロセスについての診断やまわりの環境の状況が有益である用途においてチップを使用することが可能になる。
【0079】
また、追加の、または代替の機構を加えても含んでいてもよいと考えられる。プローブチップは、チップを通じて、またはチップから戻る機構を通じて薬物を送達するために構成されてもよい。プローブチップを2つの部分からなるチップとして構成することも可能であり、例えば、光学チップは他の(光学式ではない)材料からなるキャップ部分とともに上からの成形を行うことも可能であり、また、光学式テーパー部分をキャップ部分の「ナット」によって保持することもできる。遠位側のチップは、光放出の補完をハンドピースに向かって行うように鏡部分であることも可能で、これにより、出力パターンを調整している。
【0080】
特に明記しない限り、本明細書に記載された様々な構造の大きさ及び形状は、本発明を限定することを意図するものではなく、他の大きさや形状も可能である。複数の構造構成要素を1つの集積構造によって形成することが可能である。場合によっては、1つの集積構造を複数の別々の構成要素に分割することもできる。さらに、本発明の1つの特徴を、実施例のうちのたった1つの実施例の内容で説明してきたが、このような特徴を、あらゆる用途に対して、他の実施例の他の1つ以上の特徴と組み合わせてもよい。また、上述から、本明細書特有の構造及びその動作もまた本発明に従った方法を構成していることも理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明にかかるプローブの一例の部分的な断面図である。
【図2】本発明にかかるプローブの別の一例の部分的な断面図である。
【図3A】本発明にかかるプローブチップとプローブの一例の斜視図である。
【図3B】本発明にかかるプローブチップとプローブの一例の切開斜視図である。
【図3C】本発明にかかるプローブチップとプローブの一例の断面図である。
【図4A】本発明にかかるさらに2つのプローブの一例の斜視図である。
【図4B】本発明にかかるさらに2つのプローブの一例の斜視図である。
【図5A】本発明にかかる別のプローブの一例の側面図である。
【図5B】本発明にかかる別のプローブの一例の側面図である。
【図6】本発明にかかるさらに別のプローブの一例の部分的な断面図である。
【図7】本発明にかかる別のプローブの一例の切開斜視図である。
【図8】本発明にかかるプローブの光出力の一例を図示したものである。
【図9】プローブチップの取り外し技術の一例を表したものである。
【関連出願の表示】
【0001】
本願は、2005年4月21日提出の米国特許仮出願番号60/673,689「医療的用途において光を送出する光プローブチップ」、及び、2006年4月4日提出の代理人ドケット番号1248.022の各利益を主張するものであり、これらの出願の内容は、あらゆる目的において参照として本願に包含される。
【技術分野】
【0002】
本発明は光を送出するために用いられる光プローブに関する。詳細には、本発明は、人体または他の生物の組織または他の部分の表面に光を送出するための光プローブ、プローブチップ、またはこれらを組み合わせたもの、並びにプローブ及び/またはチップの利用に関する。
【背景技術】
【0003】
光の送出は、様々な数々の手順の中でも重要なものである。光の送出は特に、手術、治療、診察等といった医療的用途にとって重要なものである。よって、産業、特に医療機器産業は、光の送出を支援する様々なプローブやプローブチップを開発してきた。しかし、現行のプローブ及びプローブチップの多くは難点に悩まされている。例えば、現行のプローブ及びチップの多くは望ましくない不均等な光の分布が生じてしまう。他の例では、現行のプローブ及び/またはプローブチップの多くは望ましくないほど高レベルの光損失を経験している。他の例では、現行のプローブ及び/またはプローブチップの多くは強度や柔軟性が望ましくないほど低く、望ましくないほど高価なこともある。従って、本発明は、上述の難点を1つ以上克服するか、または詳細な説明を読むと明らかになる他の難点を克服するプローブ、プローブチップ、または両者を提供するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
よって、本発明は、医療的用途に使用中に光を送出するプローブを提供する。プローブは、ハンドピース、プローブチップ、または両者を有している。プローブチップは通常、ハンドピースに着脱自在に固定されるように設計されている。ハンドピースは本体部分を有し、好ましくは本体部分と一体化された光源を有することが可能である。プローブチップはベースまたはキャップ部を有することが可能であり、通常はキャップ部から外側に向かって伸びる長形部材を有する。プローブチップのキャップ部は通常、ハンドセットの一部を収容する開口を区画しており、逆もまた同様である。長形部材及び場合によってはプローブチップ全体が、光学用プラスチックで形成されているか、あるいは光の送出に適したトンネルまたは管を区画しうる。
【0005】
本発明の特徴及び態様は、以下の詳細な説明、請求項、及び図面を読むとより明らかになるであろう。そのうち、以下に示すものは図面の簡単な説明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、光を供給するために用いることが可能なプローブ、プローブチップ、もしくは両者を提供することに基づいている。このプローブ及びプローブチップは様々な用途における光の供給に用いられてもよいが、特に医療的用途に有用であると考えられている。例として、本発明は、光線力学消毒(photo dynamic disinfection:PDD)、光線力学療法(photo dynamic therapy:PDT)、光活性による抗真菌療法、光照射による組織接合、光照射による骨及び硬組織発育、光照射による治療用化合物の溶融または重合、光硬化接合剤の塗布における光硬化(例えば歯科用紫外線硬化接着剤)、眼科関連用途における組織の光凝固、組織特性の光検出、診断プロセスの光検出及びモニタリング、またはこれらの組み合わせ等を、人間または他の生物の口腔または他の身体部分に対して適用するために用いることができる。本発明は、上述の医療的用途、特に人間や他の動物の口腔内部の光線力学消毒療法を行うのに特に有用であることが分かっている。
【0007】
一般に、本発明にかかるプローブはハンドピース及びプローブチップを有する。プローブチップはハンドピースに対して着脱可能であることが好ましい。チップは、チップ、ハンドピース、または両者の一部分または一部材(例えばキャップ)の中に設計されている保持機構(例えば連動機構)を介して、ハンドピースに取り付けることが可能であり、この保持機構は再利用可能であってもよく、また、保持機構がチップを再利用してはいけないという特性を有していてもよい。チップは、ハンドピースの遠位端に取り付けられるとチップの一部分または一部材(例えば把持部)が人間工学的に正しい把持面となるように構成することができる。把持面はバリアとなるようにハンドピースを囲むことができるので、ハンドピースは汚染に晒されることがなく、かつ、ある特定の環境においては必ずしも滅菌する必要はない。チップは通常、ある特定のパターンあるいは所定のパターンにおいて光を放出するかまたは光を集光し得る光放出領域に入力光を導く半透明または透明の材料で、少なくとも部分的に構成されている。チップの形状は、チップのサイズが小さくなるようにテーパーがかかっている、チップの光分布特性を再構築する、柔軟性を与える、もしくはそれらの組み合わせからなる領域を有していてもよい。チップの形状はまた、口腔または他の人体の部分のある特定の位置へとチップを配置するという人間工学を行い易くするための輪郭あるいは湾曲部を有していてもよい。チップの遠位部は、放出または集光された光のパターンの成形を支援する表面特性を有していてもよい。チップはまた、戻ってきた光を分析して被診断部の位置や治療経過、あるいはその両方についての診断情報を供給するように、光を再びハンドピースへと中継する働きをしてもよい。また、チップの遠位部を、特定の材料、化合物、細胞、または他の生物剤からなる薬剤を用いて機能化してもよい。機能化のための薬剤は、治療用光によって活性化されてもよいし、独立したプロセスによって作用させてもよい。機能化のための薬剤を用いて治療的用途や診断的用途、または両者を支援してもよい。
【0008】
図1は本発明にかかるプローブ10の一実施例を示したものである。プローブ10は、ハンドピース12及びハンドピース12に着脱自在に取り付けられたプローブチップ14を含んでいる。チップ14は、本明細書においてさらに説明されているように、使い捨てのものであっても再利用可能なものであってもよい。本図に示すように、チップ14はハンドピース12の遠位端16に取り付けられているが、ハンドピース12の他の位置に取り付けられてもよい。ハンドピース12は通常、プローブチップ14が所望の方法で光を放出するように、光を発生または中継してプローブチップ14へと送る。一般的に、ハンドピース12、チップ14、または両者は、可視光及び不可視光を含む任意の波長(複数の波長)の光を送出するのに用いることができるが、通常は遠紫外線と遠赤外線の間、及び/または遠紫外線から遠赤外線を含む波長の光を送出するために用いられている。
【0009】
ハンドピース12は通常、光源22と一体化された本体部分20(例えば、光をチップに送出する管)を含んでいる。ここに示す実施例では、本体部分20はハンドピース12の遠位端から外側に向かって伸びる遠位端24を有する光源22を実質的に取り囲んでいる。ハンドピース12はまた、遠位端16において直径の小さい環状部32によって少なくとも部分的に区画されている環状の空胴30を含むように示されている。
【0010】
チップ14は通常、キャップ部36から外側に向かって近位端38から遠位端40へと伸びる長形部材37を有するベースまたはキャップ部36を含んでいる。長形部材37は一般的に形が弓状で、湾曲部42を含んでいる。長形部材37はまた、近位端37から遠位端40まで長形部材37に沿ってつけられたテーパーによって部材37の直径が小さくなるように、部材37の少なくとも一部分かあるいはほぼ全体に沿ってテーパーを有するように示されている。
【0011】
通常、本発明にかかるプローブチップのキャップ部によって、チップをハンドピースに取り付けるために、もしくはチップをハンドピースから取り外すためにユーザーが把持しうる構造が得られる。キャップ部分は弾性もしくは半剛性であってもよいが、通常は相対的に剛性である。キャップ部は通常、表面を把持する機構あるいは外形を有する。このような外形は、ローレットをつけた表面、粗面、もしくは図1に示すように空胴及び/またはリッジを含むことが可能であるが、これらに制限されるものではない。機械式工具によるチップの取り外しの支援に適した外形(例えば1つ以上の空胴、縁端等)があってもよい。例えば、キャップは異なる平面内の近傍または隣接の平坦面とともに成形されてもよい(例えばキャップはナットとして成形されてもよく、このナットは六角形であってもキャップの周囲に沿って任意の数の平面が配置されていてもよい)。他の実施形態として、キャップは、図2に示すような、キャップの取り外しや取り付け、もしくはその両方に用いる工具の1つ以上の部分を収容するように構成されたスロット99を1つ、または2つ以上含んでいてもよい。
【0012】
図1に示すように、キャップ部分は一体式の単体チップの一部であってもよい。あるいは、キャップ部は、テーパー形状の光学式部分または長形部材上に成形されるか、そうでなければ取り付けられた第2の材質(つまり、シリコンゴム製把持素材)を備えた結果、図2に示したものと同様に組み立てられてもよい。キャップ部はまた、テーパー形状の光学式部分を捉えてハンドピースに取り付ける完全に別個の部品であり、その結果、図2に示したものと同様に組み立てられてもよい。
【0013】
機械式接合部は通常、チップとハンドピースを一緒に取り付ける物理的結合または締め嵌合を形成するために用いられている。機械式接合部は、図1の入力面まで伸びるように示されている標準光ファイバコネクタと嵌め合わせる円筒形ポケットと同様の、比較的厳しい精度の半径方向に対称な構造(例えば環状)であってもよい。あるいは、機械式接合部は、幾何学的に互いに異なる断面(すなわち角ピン)を有していてもよいし、または、一体になるように接続すると同時にキーによる位置決めの機構を形成する非対称な機構を有していてもよい。これらには、二重筒構成、角柱筒、または種々のキー付き形状が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
保持機構は通常、チップをハンドピース上に少なくとも一時的に保持または把持する方法を提供する。任意で、チップとハンドセットの間の摩擦を増大させる肋状構造、摩擦増大機構または締め嵌合機構があってもよい。図1はチップを単に摩擦、減圧、またはその両方によって所定の位置に保持している設計を示したものであり、これはチップを、特にチップのキャップを押してハンドピースの円筒部分上に配置することによって形成可能である。チップ、特にチップのキャップを成型することによって、ひとたびハンドピースの一部分をチップの空胴(例えばキャップの空胴)に滑り入れるとチップをハンドピースの当該部分から滑り落とそうとするあらゆる力に対して減圧によって逆らうような、比較的厳しい機械的公差を設けることができる。このような減圧を発生させるために、ハンドピースの当該部分が平滑な外面を有することが望ましい場合もある。しかし、機械的機構または外形は、チップをハンドピース上に保持するために追加としてまたは代替として用いられ得ると考えられている。チップとハンドピースの間に減圧を発生させることを阻止する機構を、このような圧力が望ましくない状況では有することもまた可能である。
【0015】
図1において、チップ14は、キャップ部36において円盤形の空間として示されている第1の開口44を区画するように示されており、開口44は、キャップ部36において円筒形の空間として示されている第2の開口46と隣接あるいは連続している。キャップ部36はまた、チップ14のキャップ部36の周りに1つ以上の開口56(例えば環状空胴)と1つ以上の突出部58(例えば環状突出部またはリッジ)を有する把持領域54を含んでいる。長形部材37に沿って伸びていることも、もしくは長形部材37によってほぼ取り囲まれていることも可能であるトンネル等の第3の開口が隣接あるいは連続していることが考えられる。しかし通常は、プローブチップには、長形部材37の外面または他の部分が長形部材37に沿って光を導くクラッディングの役割をすることが可能である自身の長さには足りない実質的な開口がないことが好ましい。
【0016】
チップ14は、ハンドピース12の遠位部16がチップ14の第1の開口44に収容される一方で光源22の遠位部24がチップ46の第2の開口46に収容されるように、ハンドピース12上に嵌合されている。チップ14の第1の開口44は、チップ14の一部分60(環状部として示されている)がチップ14をハンドピース12に上述のように着脱自在に取り付けるハンドピース12の遠位部16に、もしくは遠位部16の周りに圧縮嵌合されるようなサイズに形成されていることが好ましい。図1に示す実施例では、チップ14をハンドピース12に確実に、しかし開放可能に取り付けるためのハンドピース12の環状部16上にフランジ60が摩擦嵌合している。
【0017】
追加の機構または代替の機構をチップのハンドピースへの保持を支援するのに用いてもよく、かつ、チップ、ハンドピース、または両者内に設計及び構築してもよい。図3Aから3C、図4、図5、及び図6は、既に説明した摩擦や真空による技術の範囲にとどまらない、本発明が包含する他の数種類の保持機構を示したものであるが、これに限定する趣旨はない。図3Aから3Cは、ハンドピース上の柱状機構74と係合するスロット72が中にあるタブ70を考慮して設計されたチップ68の図を示したものである。図3Bのように、両者が係合すると、チップは所定の位置に堅固に保持される。タブ70を持ち上げると、チップ68は簡単に外れる。図3A、3Bは、係合/離脱過程中にタブ70が放射状にたわむタブ/柱状機構の構造を示している。
【0018】
図4もまた、係合過程中にチップ82上のタブ80が放射状に外向きにたわむ保持構成を示している。この構成では、最初はハンドピース86内の軸状スロット84に合わせられた2つの対向するタブ80がチップ82上に存在する。チップ82をハンドピース86上へ押し出すと、タブ80の内面から伸びる歯90の上の傾斜部及び/または面取りした面88がタブ80を外向きにたわませる。チップ82を完全に係合すると、歯90が軸状スロット84を通過して、軸状スロット84に垂直に伸びるより深さのあるスロット92内に堅固に嵌まる一方で、タブ80の本体部分は軸状スロット84に配置される。チップ82はこの時、ハンドピース86上に締め嵌合されており、かつ/または比較的堅固に保持されている。
【0019】
図5Bは、ハンドピース100がチップ内に挿入されると、ハンドピース100内の機構がチップ102上の機構と係合する線形バルブ形式の係合の例を示している。図5Aは、ハンドセットをチップ102内に押し込むとチップが保持される線形タイプの係合の例を示している。しかし、図5Aに示す設計は、ハンドピース上の機構104(例えば突出部)がチップ上のポケット106において係合するようにチップ102を回転させることによってチップ102を保持する回転係合のメカニズムを作るためには、わずかな変更しか必要としない。
【0020】
二次汚染の防止を支援するためには、本発明が包含するチップを一度だけ用いて(例えば、1人の人間または1匹の動物の医療的用途に用いて)その後処分するように、選択肢が存在するのが望ましい。チップの一度きりの使用を実行するためには、機構を、最初の使用後に再使用は容易にはできないようにチップの設計に合わせて改良することは本発明の範囲内である。
【0021】
図3A、3Bに示す装置は、適切に設計されたチップに入れる機構を有することにより、使い捨ての設計にすることが任意で可能である。図3Aを厳密に検討すると、タブ70内にノッチ75があることがわかるであろう。これはタブ70をヒンジとして機能させる機構の例であり、これに限定する趣旨はない。タブ70は、最初の使用では係合し保持することが可能になるには十分な強度があるが、タブ70を押し上げてチップ68を取り外すと塑性変形する、例えば、応力を受けてできたヒンジがノッチ72の近傍に生じる。保持用タブ70はこの時、タブ70を一直線に保つとともにハンドピース上の機構に係合したままにする保持力を与える記憶を失ってしまったと思われる。したがって、チップ68は既に使用されているという視覚的な手がかりが存在することになり、ハンドピースをチップ68内に再挿入した場合、チップ68の再使用の可能性も妨げるように、チップ68のハンドピースへの係合及び/または保持が阻止される。
【0022】
同様に、図4A、4Bに示すチップ82は、キャップと接続するタブ80のベースに設計された脆弱な部分94を有する。チップ82を回転させるか軸方向に引っ張ると、タブ80が脆弱な位置94で塑性変形し(例えば割れるか、応力によるヒンジを形成する)、チップ82をハンドピースから開放する。このチップ設計もまた、チップ82が既に使用されているという視覚的な手がかりを与えてくれるので、変形したタブ80により、チップ82の再使用が阻止されるであろう。この種の「押して装着、ひねって分離」保持方式は、臨床技師が使用しやすいので、非常に望ましい。
【0023】
他の例として、図5Bに示すチップ保持のメカニズムも使い捨て用に設計することが可能である。この「線形バルブ」の例では、ハンドピース上の保持機構は一種の柱状物104である。チップ102の一部として示されている一組の弾性アーム108は、柱状物104を挿入すると内側に曲がってしまう。たわみの量はアームの材質を損なうほどのものではないので、アーム108は柱状物104をポケット106内に保持するのを支援するばね力を保持している。しかし、直線的な力を柱状物104にかけてポケット106から取外す時には、アーム108は挿入時以上に大幅にたわまなければならない。これは材質の強度に打ち勝つに足るたわみであり、その結果アーム108が塑性変形してしまう。このような塑性変形の例として、応力をうけてできたヒンジが生じた結果、アーム108が自身のばね力を失うが取り付けられたままであるか、1つ以上のアーム108が折れてなくなってしまう。このことによって、チップの取り外しが可能になり、チップ102が既に使用されているという視覚的な手がかりが与えられる。ハンドピースをチップ内に再挿入した場合、チップの再使用の可能性も妨げるように、チップ102のハンドピースへの係合及び/または保持が阻止される。
【0024】
図5Aに示した装置は、図5Bの設計と同様の方法で使い捨ての装置として機能する「線形バルブ」の片面だけの種類のものである。ここでは、柱状物104を挿入すると壊れる恐れのない程度にたわむ1本のアーム108のみが存在するので、アームによって(図示されているように)チップ102または柱状物104のポケット内での保持を支援するのに十分なばね力が供給される。チップ102を取り外す時には、アーム108は材料の降伏点を越えてたわまなければならず、その結果アーム108を塑性変形させてしまう。このような変形の例として、応力をうけてできたヒンジが生じた結果、アーム108が自身のばね力を失うが保持されたままであるか、アーム108が折れてなくなってしまう。いずれかの結果によって、チップの取り外しが可能になり、チップ102が既に使用されているという視覚的な手がかりが与えられる。ハンドピースをチップ102内に再挿入した場合、チップ102の再使用の可能性も妨げるように、チップのハンドピースへの係合及び/または保持が阻止される。
【0025】
図5Aに示した装置は、「回転バルブ」方式の保持形状を有する使い捨てのチップを形成するようにチップ内に設計可能な機構を示唆している。図5Aを検討してみると、ハンドピースをチップ102内に挿入すると、柱状物が押されてヒンジ機構108の第1の面を越えて進んだ結果、少量のたわみが生じて第1の場所または位置110に落ち着くことが示されている。たわみ量はヒンジ部分108内の材質を損傷するほどのものではなく、ヒンジとなった形状によりわずかにばね力が保持される。チップ102を回して所定の位置にロックすると、柱状物が押し出されてヒンジ機構108の第2の面を越えて進んだ結果、再び比較的少量のたわみが生じる。柱状物104はこの時、チップ102をハンドピース上に保持するためのヒンジのばね力によって、第2の位置112において確実にポケット106に捕らえられている。
【0026】
チップを離脱させるために、いくつかの方法を用いることが可能である。ここに示すすべての設計と同様に、可能ならば図2に示すスロットと同様の補助機構を用いて、軸方向の力をかけてチップをハンドピースから引き出してもよい。この取り外しの力によって、1つ以上の保持機構を塑性変形させるのに十分過ぎるほどの力でヒンジ部分は力ずくで開けられて、柱状物を開放するとともに応力がかかってできたヒンジをヒンジの材料または保持機構内に形成する。その結果、ヒンジは「開いた」ままの状態となり、チップがハンドピースと2度目の再係合をすることは難しいであろう。あるいは、ヒンジを、軸方向の力をかけると壊れることにより塑性変形するように設計することも可能であり、その結果チップは離脱して再係合を防止する。チップを離脱する他の方法は、柱状物を回転させて第1の位置に戻した後、チップを引き抜くことである。図5Aに示した設計では、柱状物は損傷を受けることなくヒンジの第2の面を越えて滑っていく。しかし、ヒンジは柱状物を中に入れるよりは外に出すために開かなければいけないように設計されている。このより多い量のたわみは、通常、応力がかかってできたヒンジ等の塑性変形を生じさせるのに十分であり、その結果、チップを最初に取り外した後、ヒンジが自身の保持力を失ってしまう。その後、チップがハンドピースと2度目に堅固に係合することは防止されるであろう。
【0027】
図5Aに示した装置は、「押して装着、ひねって分離」方式の使い捨て保持機構を有する使い捨てのチップを形成するようにチップ内に設計可能な機構を示唆している。図5Aを検討してみると、ハンドピースをチップ内に挿入すると、柱状物が押されてヒンジ機構の第1の面を越えて進んだ結果、比較的少量のたわみが生じて第1の位置に落ち着くことが示されている。アームは柱状物をポケット内にクランプするように設計することができるので、これにより、上述のようにチップがハンドピース上に確実に保持されている。チップを取り外すために、回転運動を用いて柱状物に力をかけて第2の位置へと向かわせる。この運動は、図2に示すスロットまたはキャップに成型された複数の平面をもつ(例えばナット)パターン(すなわち六面パターン)といった機構をキャップ内に係合する工具(例えばレンチ)を使用することによって支援されることもある。柱状物のポケットへと向かう動きによりアームに力がかかり、チップ上の他の機構がその動きが止めるまでの間、変形してしまう。ひねって回す動きが続くと、アームのヒンジ部が増加する応力を受け続ける。アームの形状は脆弱な箇所を有するように特別に設計されている可能性があるので、適当な量の張力を受けると、ヒンジ部分は塑性変形し(例えば壊れる)、柱状物が外に出てチップがハンドピースから離脱するであろう。このことにより、チップが既に使用されているという視覚的な手がかりが与えられる。ハンドピースをチップ内に再挿入した場合、チップの再使用の可能性も妨げるように、チップのハンドピースへの係合及び/または保持が阻止される。
【0028】
なお、一連の例はすべて、1つの係合機構か複数の係合機構のいずれかとともに動作するように設計することが可能である。各々の場合において、構成材料の特性がポケット(複数のポケット)、アーム(複数のアーム)、及び柱状物(複数の柱状物)の形状設計と組み合わされることにより、装置が複数回の使用に適しているか、あるいは1回きりのみの使用に適しているかが決定される。この使い捨ての機構を形成するために必要な設計は、柱状物をいずれかの方向に渡すのに必要なたわみ量に応じて可変である。一般的に、ヒンジ部分またはアーム内の他の位置にある特別に設計された脆弱性によって、アームが塑性変形するかどうか、及びもしそうならば、どんな力を用いて、そして壊れたり曲がったり等になるのかどうかが決定されるであろう。脆弱性のあるアームの特性は、材料、ビームの大きさ、及び接合部の大きさまたはノッチ等の脆弱機構の大きさによる強度に応じて可変であることも可能である。
【0029】
本開示を利用することにより、成形部品を設計する技術を実施している人ならば本発明の範囲内にある他の使い捨ての保持機構もしくは複数回使用される保持機構の想定が可能であろうということが考えられる。異なる材料を用いた実験によってある特定の設計のパラメータが決定されることに注目しなければならない。例えば、1mmの範囲の中に深さ0.25mmの三角形のノッチのある1mm×0.75mmの大きさのポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate:PMMA)製の成形ビームがあるとすると、ビームは大幅な、もしくはかなりの塑性変形を生じずに15°たわむことができる。しかし、約20°のたわみでは、ビームは通常ノッチの位置で塑性変形し、応力のかかったヒンジが生じてしまう。他の例では、0.5mmのノッチがある1.5mm×1.5mmの大きさのPMMA製のビームは10°以上のたわみでどこかが塑性変形することが判明している。ノッチの深さが0.5mmよりも深い場合、完全に割れる、例えばビームが分断されることがわかった。PMMAは好適な材料の1つであるが、一方、他のプラスチック、成形用ポリマー、エポキシ、硬化性ウレタン等を含む他のほぼあらゆる透明または半透明の材料、またはこれらの組み合わせを用いてもよい。しかし、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において用いられているように、塑性変形という語は、材料が実質的に元の形や構成に戻れないような変形を説明するために用いられており、特に断りのない限り、プラスチック、金属、または他の材料を含むあらゆる材料に関してこの語を用いることが可能であることは理解されるべきである。
【0031】
なお、本発明が包含する任意のチップ設計を用いて、チップを切り離す装置によってチップをハンドピースから取り外すことができる。このことを実現する1つの方法は、少なくとも1つのブレード部分をチップに接触させるように構成された装置を利用することであるが、これに限定されるものではない。このような装置上には、1対の掴み具及び任意で掴み具の各々を接続するハンドルを有する。チップ/ハンドピースの組み立て品を掴み具の間に載置する場合、第1の掴み具がチップを架台の上に置くような形状にすることができるであろう。(例えばハンドルを使って)掴み具を互いに向かって動かすと、第2の掴み具にあるブレードが駆動し、チップを切断するようにしてチップ材料に入り込むであろう。ブレードは好ましくは、掴み具を互いに向かって動かしたときにハンドピースの材料と接触するには短すぎる長さであることが好ましく、そうでない場合は接触できないように構成されているのが好ましいであろう。このようにして、チップを掴み具内に押し込んで閉じることによって、ハンドピースを損傷せずに、チップを切断してハンドピースから取り外すことができる。通常、チップはその後、次に再使用するには適さないであろう。この実施形態の描写の例が図9に示されており、上部掴み部200、下部掴み部202、機械式停止部206、架台208、ブレード210、ハンドピース214、及びチップ216が含まれている。
【0032】
チップ設計の別の種類である、図6に示す例もまた、結果として1度きりの使用のチップ設計または使い捨て用のチップ設計である。図6は、キャップ120及びテーパー122として示されている単一ユニットとしての長形部材に、これらの構成に関わらず対応している。チップは、ハンドピース128をチップ130内に挿入するとハンドピース把握機構126内で係合する変形可能な連動アーム124を有する。図6の例は、ハンドピース128上の延長部126または機構の内部に係合しているチップ130内のアーム124を示しており、これに限定する趣旨はない。この実施形態では、ここに示されているように、連動アーム124及びハンドピース把握機構126はそれぞれの遠位端において、連動フランジ132に対して片持ち伸張である。
【0033】
また、第2の部品134もチップ内に含まれている。この部品は任意の適切な材料でできており、図6の開放リング構造134の切開図として表されているが、これに限定されるものではない。ここに示しているように、この開放リング134は、リングが押されて変形可能な連動アーム124上に出てきた時に、チップもしくは130によって保持されることにより、商品流通に適した組み立て品を作成するような形状を有する。開放リング134をさらに動かしてチップ130内に押し込むと、変形可能なアーム124に力を加えてハンドピース把握機構126ともはや係合しない状態にしてしまうようにして、開放リング134は変形可能な連動アーム124と係合する。ここに示しているように、開放リング134は、チップ130内に押し込むのに十分な程度にさらに動かしてチップ把握機構もしくは空胴138と係合するように、さらなる機構を有する。このようにして、開放リング134をチップ130内に捉えるとともに連動アーム124をハンドピース把握機構と再係合するのに適さない状態で内向きに隔たらせる。
【0034】
図6において、軸方向の力を与えてチップ130を堅固にハンドピース128上へ押し出すことによって、各ハンドピース把握機構126の端部が開放リング134を押してチップ把握機構138内で係合するように備えられたスペースが存在する。このようにして、チップ130をハンドピース128上に堅固に押し出して離脱させることにより、取り外しが可能になる。与えた軸方向の力が不十分な場合、通常チップ130は離脱せず、技術者がより強く押さなければならないであろう。好ましくは、チップ開放リング134がチップ130の内部空胴内に保持されていた場合にのみ、チップ130がハンドピースから開放される。このようにして、チップ130は2度目にハンドピース128上に保持されることはなく、その後も次の再利用には適さなくなるであろう。
【0035】
図7は、キャップ152の把持部151が伸張しているのでハンドピース154のかなりの部分を覆っていることを除いて図1に示すものと同様のチップ150の一種を示している。ハンドピース154とチップ150の間の機械式接合面は、ハンドピース154のかなりの長さ、あるいはほぼすべての長さにわたる。接合部162がハンドピース154の近位端164の近くに位置している状態において、図4に示すものと同じ使い捨ての保持機構160が使用されている。なお、上述の開示されている保持方法のいずれにおいても、効果的に利用することが可能である。
【0036】
把持面の形状において質感、表面の仕上げ、表面の起伏パターン、及び表面の輪郭を変化させることにより、堅固に把握することを促進する一方、人間工学的に快適な把握も提供することができることは本発明の範囲内である。放射状の溝、ローレットをつけた表面、または粗面を用いてもよいが、これに限定する趣旨はない。チップを単体、例えば1つの成形された部品として構成してもよく、また、チップを数個の材料から、もしくは数個の部分に分けて構成してもよい。把持部151はエラストマー(例えばシリコーンゴム)または他の弾性材料であってもこれらを含んでいてもよく、一方、チップ150の残りの部分166は通常、光学用プラスチック、例えば本明細書において説明されているものから形成されているが、これに限定する趣旨はない。他の実施形態として、チップ全体の構造150を単体として形成することが可能であり、弾性の把持部151をオーバーモールド工程等の二次的な処理工程によって形成することが可能である。チップはまた、一緒に取り付けられた数個の部品から構成することが可能である。把持部は一緒に糊付けされたクラムシェル(二枚貝状)であることが可能であり、また、クラムシェルは、各シェルの一端においてシェルを一緒に保持する連動機構を有することができるとともに、他端においてキャップ部分によって一緒に保持されることができるであろうが、これに限定する趣旨はない。
【0037】
チップによって覆われているハンドピースの長さは設計の選択項目として変更可能であることは本発明の範囲内である。しかし、ハンドピースのうちの十分な割合(例えば40%、60%、80%またはそれ以上)がほぼ不透過性の切れ目のないチップで覆われている場合、チップはバリアとなって、ハンドピースを生物的汚染から保護する。これにより、滅菌用の加圧滅菌器内を繰り返し往復することに耐えるように設計する必要がないので、ハンドセットの製造価格がより低くなるという著しい効果が得られる。使い捨て可能なチップを使用するとともに滅菌の必要性をなくすことによっても、技術者が取り扱う時間を大幅に短縮することができる。
【0038】
入力面は、一例として図1の参照符号170で示されたものがあるが、テーパー部分37と空隙172の間にある光学式接合面である。ここに示されているように、入力面170の表面は平坦かつ平滑な面であってもよいが、必要に応じて起伏があってもよい。他の実施形態において、表面には、様々な光の向きを変える機構がその内部に構成されていても、そこに加えられていてもよいことは本発明の範囲内である。この機構は、入力面を通過する光を集光して方向付けるのを支援する1つまたは複数の凸レンズ構造を含んでいてもよいが、これに限定する趣旨はない。また、接続面は、入力面を通過する光をより大きな伝搬角に変換する、すなわち、光放出領域から最適な光分布パターンを生成するのを支援する、1つまたは複数の凹面構造を含んでいてもよい。光の伝搬角を変更する散乱を生じさせることにより、より最適な光分布パターンを光放出領域から生じさせるために、接続面には故意に粗くした面がその上に構成されていても、そこに加えられていてもよい。接続面の外観は、品質的にランダムでも、単数または複数のいずれかのプリズム状もしくはレンズ状の小面からなっていてもよい。さらに、入力面の外観はフレスネルレンズまたはホログラフィック素子を構成していてもよい。
【0039】
入力面上にあるこれらの外観はすべて、直接テーパーの材料になるように形成してもよいし、別個の層もしくは部品として加えられてもよい。さらに、その表面を被膜することにより、入力面の反射、屈折、回折散乱、伝達特性または吸収特性を調整してもよいこともまた本発明の範囲内である。これらの被覆は、この技術において特性がよく知られている反射防止膜を含んでいてもよい。被覆はまた、波長フィルターの機能を有するとともに透明な材料の層状集合体または層状の着色分子のいずれかからなる被覆といった、スペクトル的に活性の被覆を含んでいてもよい。
【0040】
間隙とは光源(ハンドピース上の光学式接合面(または複数の光学式接合面))と入力面との間の領域のことである。間隙はとても小さく、例えば光源と入力面との接触が可能となったり、さらには存在さえしていなくてもよい。他の実施形態として、間隙はかなり大きくてもよい。入力の開口が大きいものを用いる場合、より大きな間隙を用いることが可能であり、かつ、より大きな間隙によってスループット損失や光放出領域での光のパターンの質の低下を最小にすることができる。
【0041】
連結/後方反射特性を調整するために、ポリマー、ゲル、または液体を用いて少なくとも部分的に間隙を埋めてもよいことも本発明の範囲内である。このような実施形態は、光が光学式媒体の接合面を横切る時に隣接する光学式媒体の屈折率をより近いものにし、場合によっては反射損失を小さくすることが可能であるので、効果的である。また、屈折率整合接合剤を用いることにより、追加としてあるいは代替として連結性能を改善し、場合によってはチップをハンドセットに固定するのを支援してもよい。
【0042】
テーパー部分または長形部材は入力面から光放出領域へ光を導く構造体である。キャップは光を導く必要はないので透明、半透明、もしくは不透明な材料でできていてもよいが、テーパー部分は必要以上の損失なしに光を光放出領域に向かって導くように設計されていることが好ましい。従って、テーパー部分は通常、比較的透明または高度に半透明の材質から構成されている。その例としては、アクリル類またはアクリラート類(例えばPMMA)、スチレン類(例えばポリスチレン)、ポリカーボネート類、プラスチック類(塩化ビニル)、エポキシ樹脂類、ウレタン類、ゾル−ゲル等、またはこれらの組み合わせ等が挙げられるが、これらに限定されない。ある程度は材料の選択によって、テーパー部分は例えば短紫外線(<0.2um)から遠赤外線(>10um)までの光の波長の任意の組み合わせを通すことが可能であることは本発明の範囲内である。また、テーパー部分が光を入力面から光放出領域へ、光放出領域から入力面へ、あるいはその両方向に導くことも本発明の範囲内である。さらに、光を導くのを支援するためにクラッディングによってテーパー部分を覆ってもよいことが考えられる。
【0043】
テーパー部分または長形部材は長手方向の形状と断面形状との組み合わせが任意であってもよいことは本発明の範囲内であると考えられる。直線状の壁をつけた部分を有しても、切れ目のないテーパーを有しても、(型から引き上げるための)浅い抜き勾配を有しても、種々の幾何学的外観(すなわち盛り上がった部分や凹んだ部分)を有しても、異なる形状の混合体であってもよいが、これに限定する意図はない。テーパー部分の断面は、円形、長円形、楕円形、種々の多角形及び/または柱状形のうちの任意の組み合わせであってもよいが、これに限定する意図はない。また、テーパー部分はその端から端まで異なる断面形状の組み合わせであってもよく、狭い長手方向のねじりのような連続して変化する形状であってもよい。異なる断面形状を使用する理由の1つは、伝搬光を混合して出力パターンの空間的含有率及び角度的含有率を均質化するのを支援するためである。円形断面と混合された四角形断面はこの種の混合には特に効果的であり得るが、同様の効果を他の異なる断面の組み合わせから得ることもできる。
【0044】
テーパー部分または長形部材の長さ及び断面は、物理的整合性を維持する用途及び要件の必要性によってのみ限定されることは本発明の範囲内である。限定しない図示例として、支持されていない長さ1インチの500umPMMA製テーパー部は適切な照射を送出すると考えられるが、技術者には薄すぎて歯周ポケットへと効率よく導くことが恐らくできないであろう。しかし、このようなテーパー部の形状は、接合剤光硬化のために照射を施すことには適している場合もある。なお、断面の直径(または幅)及びテーパー部分の長さはともにテーパー部分の柔軟性に影響を及ぼす。比較的大きな直径から始まって比較的小さな直径で終わるテーパーが通常もっとも柔軟性があるので、チップの近傍においてよりたわむが、一方比較的大きな直径の長さのある部分や直径が一定のテーパーは通常その全体の長さの間でほぼ同等にたわむ。
【0045】
全反射またはほぼ全反射(例えば80、90、または95パーセント以上の内部反射)の中にテーパーを伝搬する光が含まれていることが好ましいが、必須ではない。このような内部反射の実現を支援する1つの方法は、通常は材料の選択によって、テーパー(コア)と周りの環境(クラッディング)の間の屈折率の差を比較的大きくすることである。図示例として、本発明にて用いられる材料の範囲内に限定せずに、空気界面に対して1.49から1.0の範囲の屈折率を有するPMMAが挙げられる。スネルの法則を用いて、空気中のPMMAはテーパーの軸に対してほぼ58°の角度で伝搬することを示すことができる。テーパーの全長を水性の流体に浸しても、水界面に対するPMMAはまだ26°までの角度で光の伝搬が可能である。従って、クラッディングのない単一の材料のテーパーを用いることによって、少なくとも0.45NAの開口数の光を効率よく伝搬及び送出することが可能である。
【0046】
しかし、テーパー部分を様々な材料で上塗りすることもまた本発明の範囲内である。これらの材料を用いて光の伝搬を支援してもよい。これらの材料には、テーパーよりも低い屈折率を有する層を形成して「クラッディング」を形成する材料もしくはパターン(すなわちCYTOP(商標)、PTFE、またはPFA)を含んでいてもよいが、これに限定する意図はない。このようにして、既知の特性を持つ導波路を形成することができる。「クラッディング」材料は、テーパーの外面に対して特別にドーピングを行ってテーパーよりも屈折率を低くする(すなわち様々なフッ素樹脂類を浸透させる)ことにより形成されてもよい。さらに、鏡面反射を用いてテーパー部分に光を閉じ込めることを助ける鏡面を形成するために、テーパー部分はこの産業では公知である様々な誘電性の積層または金属被膜で上塗りされていてもよいことも本発明の範囲内である。上塗りは、変形(すなわちスクラッチ傷)及び外的分子(すなわち溶媒や染料)の吸収や吸着もしくはその両方からテーパーを保護するのに十分であることも本発明の範囲内である。
【0047】
湾曲部分とは、テーパー部分を曲げる1つまたは複数の領域のことである。湾曲部分によって人間工学が改善され、到達にてこずる領域に到達させることが可能になる。湾曲部分は省略してもよく、また、複数あるいは複合の湾曲部分が存在してもよい。理論上は、光がまだテーパー部分内部において通っている湾曲部分に対して最大角が存在する。この角度は全反射に対する最大角と関連している。現実的には、テーパーの限界は実際には偏向角だけでなく曲率半径の関数である。実例として、図1に示す湾曲部分は約60°であるが、曲率直径が20mmであるため、装置をPMMAで構成した場合に過度の伝搬損失は検出されていない。もし装置に急峻な60°の湾曲が構成されたならば、光が接合部分ではみ出てしまう可能性がある。しかし、鏡として構成された上塗りを含むことは本発明の範囲内であるので、装置に「Z」状の形状が形成されていても、このような上塗りを用いて光をテーパー部分内に保持することができるであろう。
【0048】
光放出領域とは、テーパー部分が内部を伝搬している光を放出するか、テーパー内に光を集光するか、もしくはその両方を行う領域である。テーパー部分は光が放出されることになっている特定の領域を備えて設計することができる。この領域は、遠位端、端部の近くまたはテーパー間の任意の箇所にある領域、あるいは各位置の組み合わせであり得る。光放出領域は、テーパーを有するチップのある部分の周囲全体を覆っていても、限定された領域に存在してもよい。これらの領域はテーパーの両端の間で部分的に存在しても、全体に沿って存在してもよい。複数の光放出領域が存在していてもよい。
【0049】
光がこぼれるように、すなわち不連続部においてテーパー部分の表面を特別に改変している領域によって、図1に182として示されている光放出領域に光を放出させてもよい。本発明の範囲を限定することなく、これらの外観は、粗面(すなわち、粒が不揃いの32um「サンドペーパー」の粗面処理)、隆起パターン、窪みパターン、長手方向または半径方向に伸びるスロットパターン、らせん状の「細線」、長手方向の波形、プリズム形状、レンズ形状、もしくはフレネルレンズまたはホログラフィック素子に似た平らな表面の起伏形状を含んでいてもよい。光放出領域のうち粗面化された部分は通常約3mmから約12mmの間(例えば約7mm)であるが、これは必須のことではない。さらに、チップは外面が、または内部開口がある長形部材に対して内部が粗面化されていてもよい。
【0050】
好ましくは、光放出領域(複数の領域)は型内にある外観で、すなわち型における特定の領域にある外観によって形成されてもよい。ここで、特定の領域とは、テーパーを形成する普通は非常によく研磨された表面によって、32um表面仕上げの部分の加工を施す領域である。これらの外観は成形されたテーパーにおいて複製されることにより、光放出領域を形成することができる。他の実施形態として、他の技術を用いて光放出領域を形成してもよく、この技術には化学的処理(エッチング等)、レーザ処理(パターン描写等)、機械的処理(研磨による機械的粗面化等)、あるいは電子放射(イオン放射等)が含まれるが、限定するものではない。これらの処理は型に対して行っても個々のテーパーに対して行ってもよい。これらの処理は加工される前のテーパー材料に対して行っても、ポリマー膜やセラミック膜等のテーパー表面に広くまたは選択的に塗布された材料に対して行ってもよい。これらの膜はテーパーの上塗りに用いたものと同じであってもよく、また別の材料であってもよい。光放出領域は工程の組み合わせによって形成されてもよい。この例は、型内の外観を用いて粗面を形成し、後処理である加熱処理を用いてその面をわずかにならすことによって示されおり、これに限定する趣旨はない。
【0051】
他の実施形態として、テーパーを構成する材料を改良することによって光放出領域を形成することも可能である。このことは、図2に示す装置において、散乱係数の高い材料から光放出領域を成形するとともに、第2の、好ましくは透明な材料からテーパー部分の残りの部分を成形することによって実現可能である。適切な散乱材料の例として、固有散乱成分または特性を有する半透明の材料、もしくは、材料内に拡散する1つ以上の固有散乱成分を通常含む透明な材料が挙げられるが、これに限定する意図はない。固有散乱成分の例として、アルミニウム化合物、酸化物(例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化バリウム)、セラミック、ポリマー、充填材料(例えばサファイアボール、中空の微粒子)よりも高いまたは低い屈折率を有するかたまり(例えばビーズ、ボール、球)、これらの組み合わせ等が挙げられるが、これに限定する意図はない。
【0052】
他の実施形態として、伝搬する光がテーパー部分の許容開口数を意図的に上回るようにすることにより、テーパー部分に光を放出させるようにすることも可能である。このことは、特別な急カーブの湾曲部をテーパー部に載置することによって用意することができる。また、テーパー断面の直径を小さくする割合を急激に高くすることによっても用意することができる。
【0053】
光放出領域からの光のパターンは角度均一性が高い空間的に一様なパターンであることは本発明の範囲内である。単数または複数の位置において光が光放出領域から放出されてもよいこともまた本発明の範囲内である。さらに、放出された光は、拡散する角分布または狭い角分布もしくはその組み合わせを有していてもよい。チップを用いて特定の照射パターンを単数または複数形成してもよい。チップを用いて光を散乱させても集束させても、またその両方を行ってもよい。
【0054】
光放出領域の外観はすべて、テーパー部分から光を散乱させるために、あるいは光をテーパー部分に集束させるために、またはその両方を行うために用いることができることは本発明の範囲内である。本発明に関して言及した外観のいずれの組み合わせも、光の集束または放出を支援するように設計されていてもよい。これらには、特に説明は行わないが光学技術を生業とする人にとっては既知である開示された技術の延長である機構及び技術が含まれる。
【0055】
光を放出する場合、1つの領域における過度の露光やある領域における不十分な露光を避けるために、その光は比較的一様な分布で領域上に送出されることが通常は好ましい。上述の外観の中には、このような分布の発生を支援することができるものがあり、効果的である。また、プローブは、プローブへの光、プローブを通る光、あるいはプローブが放出した光の量を制限する制御機構を有することができる。上記または本明細書の他の箇所において説明されている機構のうち1つ以上により、プローブが比較的低損失の光を発生するのを支援することができる。好適な実施形態では、プローブチップの設計によって、プローブチップへと放たれた光のかなりの部分(すなわち70%よりも高い割合)またはほぼすべて(すなわち95%よりも高い割合)がプローブチップの遠位端に確実に到達するように支援可能であり、そこで光はチップの粗面部分を通って散乱することもある。
【0056】
ある実施形態では、円錐形のテーパー部分または長形部材によって、比較的高い開口数(numerical aperture:NA)の実質的にエアークラッド光ファイバであるものが構成されている。このように、一般的な体液または別のものがテーパー表面に接触している場合、テーパーはそれでもクラッディングとして機能することが可能であり、装置も自身の光の大部分またはほぼすべてをチップの遠位端へと引き続き導くことができる。
【0057】
チップの遠位端は、光を散乱、方向変換、吸収、または内部反射するように設計された機構を有してもよい。この機構はレンズ状またはプリズム状であり、テーパー断面が増加していること(すなわち、チップ近傍のテーパーの大きさよりも大きなボール状の端部)を含んでいる。この機構は、光を散乱、集束、またはその両方を行うように設計されていてもよい。遠位端は光を放出しても集光しても、またその両方を行ってもよい。放出または集光された光の伝搬、吸収、反射、回折、または散乱を改良する材料またはパターンで、遠位端を上塗りしてもよい。例として、金属化された鏡面状の上塗りが形成された半径が小さい遠位端があげられるであろうが、これに限定する趣旨はない。これにより、順方向伝搬光は、入力面へ向かう高NA逆伝搬光に変換されるであろう。この種の設計は、光放出領域から放出された光の角分散度を高くするのを支援するであろう。
【0058】
機能的被覆:光放出領域と遠位端のいずれか、もしくは両者を、機能的被覆で処理することによりチップの実用性を拡張できることは本発明の範囲内である。これらの被覆を治療とともに用いても、検出に用いても、あるいはその両方に用いてもよいが、これに限定する意図はない。
【0059】
本発明の範囲を限定することなく、チップに施して治療に用いることができる機能的被覆の実例は、光放出領域に塗布されたゾル−ゲル薄膜であろう。ここで、この膜は光増感剤分子を捕捉することによってPDD適用を支援するために用いられる。
【0060】
ゾル−ゲル膜とは、非常に特異的な間隙率特性を含む非常に特異的な特性を有するように改良されたセラミック膜である。ゾル−ゲル材料は、有用な色素分子、すなわちメチレンブルー(methylene blue:MB)を「ドーピング」することが可能な溶液(例えばスラリー)として出発する。この溶液は、浸漬被覆を含む様々な方法によってチップに施すことができる。溶液の粘性等のパラメータを変更することにより、基質内にトラップされ色素分子を乾燥時に含有する特定の膜厚で繰り返し可能な被覆を形成することができる。治療用の光(すなわち、MBに対して約660±40nmの光)をチップを通じて与えると、色素が活性化する(すなわちMBが光を吸収して一重項酸素分子を発生させる)。薄膜の間隙率特性に応じて、色素分子がトラップされたままでも、色素の活性生成物が自由に移動して周りの組織に入り込み、滅菌プロセスを支援する。
【0061】
このように適用した場合、比較的薄い膜を、色素の活性生成物が膜内部で再結合しないように改良する効果があるであろう。また、機能的な薄膜を利用したり色素濃度が低かったり、あるいはその両方であったりしても、治療用の光のかなりの部分がまわりの組織に放射されることが可能になり、同時に薄膜基質にトラップされていない色素分子を用いて「標準的な」PDDを支援することが可能となる。その上、光放出領域内の散乱特性を支援するように薄膜の特性を調整することができる。
【0062】
診断感知:入力面から、適切な方法で光を分散する光放出領域、遠位端、または両者へとチップが光を伝えることは本発明の範囲内である。チップは光を集光してそれを再び入力面へと伝える役目を果たすことができることも本発明の範囲内である。この「戻り」光は、チップを取り囲む環境、光放出領域、遠位端、もしくは機能的被覆からの各光の任意の組み合わせのものであってもよい。この集光された光はさらに、チップから最終的にその光を分析する場合もあるハンドピースへと中継されてもよい。
【0063】
本発明の範囲を限定することなく、PDTの適用によって、チップが集光した戻り光がどのように役に立つかが実例で示される。PDTの適用の中には、効果的な組織の壊死を実現するために、治療の際にインドシアニングリーン(lndocyanine Green:ICG)等の色素が対象となる組織の近傍に十分な濃度で存在する必要があるものもある。さらに、ICG等の色素に一時的または恒久的漂白プロセスを施した後ではPDTはあまり効果的ではない。従って、チップの環境を監視して活性ICGの実現可能な濃度が存在しているかどうかを決定することが望ましい。
【0064】
ICGが存在するかどうかを検出する1つの可能性は、チップが集光した戻り光を分析することである。ICGは約805nmにて最大吸光度を示すが、約832nmにピークを持つ蛍光発光スペクトルを有する。蛍光のピーク、すなわち820nmより低い波長を含む帯域における光照射でICGを励起することが可能である。同時に、励起のピーク、すなわち820〜840nmよりも高い帯域においてチップが集光した戻り光の量を測定することにより、ICGの蛍光発光を分析することが可能である。ICGが存在しない場合、もしくは存在するICGが漂白されてしまう場合、測定帯域内に蛍光発光は少ししか、または全く存在しない。従って、チップが集光した光を分析することにより、治療条件が処理を問題なく行う条件として適しているかどうかを検査するための診断が可能になる。
【0065】
先の例は、今回のチップに関する発明により実現可能な機能膜あるいは診断感知の種類または効用の範囲を制限するために、一例として挙げられているわけでは決してない。例えば、他のパラメータを測定することにより、測定している蛍光に加えてチップ付近の環境についての診断情報を得ることができる。これらには、チップの周りの環境の蛍光、自己蛍光、燐光、発光、吸光、散乱の各特性のスペクトル特性と時間的特性のいずれか、または両者を測定することが含まれるが、これに限定する趣旨はない。
【0066】
範囲:今回のチップに関する発明は、もっぱら治療目的、もっぱら診断目的、治療と診断目的、もしくは他の目的で使用可能である。診断用の光を集光すると、光放出領域または遠位端に塗布された機能膜を監視することを含む、光放出領域または遠位端のまわりの環境や状況についての情報が提供できる。治療及び診断のプロセスは本質的には異なっている可能性があるが、PDD等は1つの波長において発生することが可能で、一方、反射する色素のpH標識の監視は第2の波長において調査する。
【0067】
チップは複数の治療用途や診断用途を同時に行うために用いられてもよい。複数の発光波長、複数の集光波長、または両者を処理することによって達成できる。様々な治療用または感知用の機能膜を、空間的に分離された各領域の形状で、すなわち、縞や点の形状として、あるいは、光放出領域と遠位端に対して異なる処理として、チップに塗布してもよいが、これに限定する趣旨はない。この様々な機能膜を混合して複数の能力を有する化合物膜を形成してもよい。さらに、光の放出及び集光を一時的に変化させて、スペクトル多重化のかわりに、またはスペクトル多重化と組み合わせて使用してもよい一時的な多重化の形を形成してもよい。
【0068】
上述された特定の用途、材料、形状、機能膜、または色素によって、本発明の範囲は限定されない。当業者ならば、特に本明細書では開示されていないが明らかに本発明の範囲内である用途や構成を指定できるであろうことは理解すべきである。このような構成の例をあげるとすれば、組織切除の目的で光をある特定の領域に集束させる効果を有するように設計されたチップ形状であろう。
【0069】
実施例
【0070】
本発明の多くの態様が実行されてきた。図1の描写によって適切に表されているある特定の例は、他の用途を有していてもよいが、歯周PDDの用途用である。この場合、ハンドピースは、長さが5.43mmのよく研磨されたOD2.49mmの円筒形金属製口金のある標準光ファイバコネクタが終端となっている。
【0071】
チップは、射出成形によって形成された一体式のPMMA製部品である。キャップは摩擦や減圧によって図に示すようにハンドピースと係合した結果、0.25mmの間隙ができる。入力面は標準光ファイバコネクタのODと同じ大きさの平坦な小平面であり、成形プロセス中に非常に平滑な表面が形成される。テーパー部分は2.0mmの円形断面を有する。湾曲部分の前にある部分は長さが約11mmで、テーパー部分は湾曲部分の始まりにおいて約1.5mmである。湾曲部分は直径が約20mmで60°の角に対する。湾曲部分の端部において、テーパー部分は約1.0mmの大きさである。湾曲部分から遠位端までの距離は17mmである。光放出領域はテーパーの終わりの方の7mmの範囲に及び、型の表面上に形成されて成形プロセスにおいて転写された32umの表面仕上げで仕上がっている。遠位端において、断面は0.6mmであり、同寸法の球形を有する。
【0072】
660nm付近の帯域の治療用の光を照射すると、遠視野発光パターンは図8に示すようになる。このチップでは、発光パターンに空間過熱点や角過熱点がないことが示されており、遠位端に対して軸方向にある危険な過熱点に悩まされることはない。チップの出力パターンは、その光のほとんどを処置が必要な歯周ポケットに向けて放出するように特別に最適化された設計を反映している。また、出力パターンは、歯周ポケット内部に合うために最適の遠位端の大きさを備えて特別に設計されている。湾曲部分の半径は、口腔内のすべての位置に到達するのに最適である。テーパー部分は、湾曲部分の前ではテーパーに剛性を、湾曲部分の後では柔軟性を持たせるように特別に設計されている。このことによって、患者の口内組織を傷つける可能性を最小限にしながら歯周ポケット内に到達することも支援する。
【0073】
この特定の例におけるチップパラメータに与えられた各数値は、特定のパラメータに従って、大きく、または小さく変えることが可能であることは理解すべきである。一般的なガイドラインとしては、各パラメータは、例にて与えられた値に対して±10%、±20%、±50%、またはそれ以上だけ変えられてもよいと考えられる。
【0074】
構成に応じて、プローブは複数の効果を示す。長形部材のテーパー形状によって、比較的大きな光入力面を有する比較的強いベースが提供できる。チップの端部は、狭い空間(例えば、罹患した歯茎組織にある歯周ポケット)に合うように十分小さく設計することができる。入力面、テーパー部分、遠位端、発光処理、またはこれらの組み合わせが合わさって得られる効果によって、特定の用途の要望に合うように特化することが可能な所望の出力パターンが供給でき、その結果、光放出領域及び遠位端において出力光の均一性がより良くなる。テーパー部分内での固有の混合や散乱領域の効率のおかげで、空間均一性や角度均一性が比較的よくない光源があったとしても、より均質な出力を支援するようにチップを設計することができる。さらに、エアークラッディングを有するPMMA製のコアを使用しているので、許容NAは通常0.5から1.0の間(例えば、約0.74)であり、このことは約35°から60°の間(例えばほぼ48°)の角度であることを示している。これにより、特別な光源整形光学を必要とせずに、様々な種類の光源から光を効率よく送出することが可能となる。
【0075】
テーパー形状によって、チップが追加の支持部品(例えば、従来技術で用いられている注射針のケース)を必要とせずにほぼ、あるいは完全に自立できるような強度をチップに与えることができる。もちろん、他に特に説明されていなければ、このような部品を用いてもよい。PMMAは、使用されるとともにテーパー部分のサイズと組み合わされた場合、弾性のあるチップを製造できる。これにより、技術者が歯茎の一部分や他の組織の一部分をより精度よく精査することを支援することができるので、かすり傷を生じたり突き刺してしまったりすることを回避することで患者の快適さを高められる。この設計はプラスチック内に成形された単一の部品として形成することが可能で、これは比較的安価である。成形プラスチックの設計は、用いられた場合、大量の量産計画に適しているので、価格を抑える。さらに、成形プロセスは通常、サイズまたは形状等が均一なチップを製造するために高い精度で繰り返すことが可能である。
【0076】
また、チップを使用後使い捨てとすることを認めることで滅菌を繰り返す必要性を回避することによって、かつ、二次汚染の防止を支援することによって、チップを十分に低価格で形成可能であることが考えられる。把持部はハンドピースを部分的に取り囲んで保護するように構成可能である。これにより、滅菌を繰り返す必要なしにハンドピースが安全に再使用されることが可能になる。この結果、より低コストのハンドピースが実現され、技術者の貴重な時間が節約される。
【0077】
プローブ内の材料は生体適合性材料であり、患者の体内で有害な反応を起こす可能性は非常に低い。チップの設計、すなわちテーパー部分及び湾曲部分によって、患者の不快感を最小にしながら、ある個体が口腔内や他の体の部分にある多くの隙間に快適に到達して精査することが可能となっている。把持部の設計によって、プローブ全体が技術者の手に快適にフィットするとともに処理中に優れた把持を維持することが可能となる。
【0078】
プローブは、希望するならば治療プロセスの監視とともに、診断用の光検出の用途に対しても対処する。光放出領域への表面処理の機能性と組み合わさり、チップが適応範囲から光をピックアップして再びハンドピースへ導くことができるので、プロセスについての診断やまわりの環境の状況が有益である用途においてチップを使用することが可能になる。
【0079】
また、追加の、または代替の機構を加えても含んでいてもよいと考えられる。プローブチップは、チップを通じて、またはチップから戻る機構を通じて薬物を送達するために構成されてもよい。プローブチップを2つの部分からなるチップとして構成することも可能であり、例えば、光学チップは他の(光学式ではない)材料からなるキャップ部分とともに上からの成形を行うことも可能であり、また、光学式テーパー部分をキャップ部分の「ナット」によって保持することもできる。遠位側のチップは、光放出の補完をハンドピースに向かって行うように鏡部分であることも可能で、これにより、出力パターンを調整している。
【0080】
特に明記しない限り、本明細書に記載された様々な構造の大きさ及び形状は、本発明を限定することを意図するものではなく、他の大きさや形状も可能である。複数の構造構成要素を1つの集積構造によって形成することが可能である。場合によっては、1つの集積構造を複数の別々の構成要素に分割することもできる。さらに、本発明の1つの特徴を、実施例のうちのたった1つの実施例の内容で説明してきたが、このような特徴を、あらゆる用途に対して、他の実施例の他の1つ以上の特徴と組み合わせてもよい。また、上述から、本明細書特有の構造及びその動作もまた本発明に従った方法を構成していることも理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明にかかるプローブの一例の部分的な断面図である。
【図2】本発明にかかるプローブの別の一例の部分的な断面図である。
【図3A】本発明にかかるプローブチップとプローブの一例の斜視図である。
【図3B】本発明にかかるプローブチップとプローブの一例の切開斜視図である。
【図3C】本発明にかかるプローブチップとプローブの一例の断面図である。
【図4A】本発明にかかるさらに2つのプローブの一例の斜視図である。
【図4B】本発明にかかるさらに2つのプローブの一例の斜視図である。
【図5A】本発明にかかる別のプローブの一例の側面図である。
【図5B】本発明にかかる別のプローブの一例の側面図である。
【図6】本発明にかかるさらに別のプローブの一例の部分的な断面図である。
【図7】本発明にかかる別のプローブの一例の切開斜視図である。
【図8】本発明にかかるプローブの光出力の一例を図示したものである。
【図9】プローブチップの取り外し技術の一例を表したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と一体化された本体部分を含むハンドピースと、
キャップ部及び該キャップ部から外側に向かって伸びる長形部材を有するプラスチック製プローブチップを備えた、医療的用途に使用中に光を送出するプローブであって、
前記プローブチップは前記ハンドピースに着脱自在に固定されるように設計されており、
前記長形部材の近位端から遠位端へと光を導く前記長形部材は、光学用プラスチックで形成されているか、光の送出に適したトンネルを区画しているプローブ。
【請求項2】
前記光源は、遠紫外線と遠赤外線の間の波長及び/または遠紫外線から遠赤外線を含む波長の光を送出するように構成されている請求項1記載のプローブ。
【請求項3】
前記プローブチップのキャップ部は、前記ハンドピースにおいて前記チップを前記ハンドピースに着脱自在に固定する部分を収容する開口を区画している請求項1または2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記長形部材は、前記長形部材の外面が前記長形部材を通って光を送出するクラッディングとしての役割を果たすように、前記光学用プラスチックで形成されている請求項1,2または3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記光学用プラスチックは半透明、透明、またはこれらの組み合わせである請求項4記載のプローブ。
【請求項6】
前記プローブチップには、前記ハンドピースから前記チップを取り外す際に、前記チップが再使用に適さないように塑性変形が生じる請求項1,2,3,4または5に記載のプローブ。
【請求項7】
前記塑性変形は、前記チップにおいて他の部分と比べて細くなっている脆弱な範囲で生じる請求項6記載のプローブ。
【請求項8】
前記ハンドピースは突出部を有し、前記チップを前記ハンドピースに組み立てる際に、前記チップの1つ以上のアームが湾曲することにより前記突出部が前記チップの開口に入り込むことが可能になり、前記チップを前記ハンドピースから取り外す際に、前記1つ以上のアームが塑性変形する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項9】
前記ハンドピースには長さがあり、前記チップのキャップ部は前記ハンドピースの長さの略全体にわたって伸びている請求項1乃至8のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項10】
前記ハンドピースの60%が前記チップによって覆われている請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項11】
前記長形部材には実質的な開口がない請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項12】
前記プローブチップは、PMMAを含む成形プラスチックの略全体に形成された一体式の構造である請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項13】
前記長形部材は円弧状であり、隣接する近位端から遠位端までテーパーを有している請求項1乃至12のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項14】
前記チップはエラストマーで形成された把持部を有し、一方前記チップの残りの部分は光学用プラスチックで形成されている請求項1乃至13のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項15】
プローブチップの略全体が、前記長形部材が前記光学用プラスチックを通って光を送出するように、光学用成形プラスチック製の単一のユニットとして形成されている請求項1乃至13のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項16】
光線力学消毒中に光を送出する請求項1乃至15のいずれか1項に記載のプローブの使用方法であって、
光を前記プローブチップから個人の組織へと導くことにより該組織の消毒を行う方法。
【請求項17】
前記組織は前記個人の口腔の一部であり、前記消毒は歯周の光線力学消毒である請求項13記載の方法。
【請求項1】
光源と一体化された本体部分を含むハンドピースと、
キャップ部及び該キャップ部から外側に向かって伸びる長形部材を有するプラスチック製プローブチップを備えた、医療的用途に使用中に光を送出するプローブであって、
前記プローブチップは前記ハンドピースに着脱自在に固定されるように設計されており、
前記長形部材の近位端から遠位端へと光を導く前記長形部材は、光学用プラスチックで形成されているか、光の送出に適したトンネルを区画しているプローブ。
【請求項2】
前記光源は、遠紫外線と遠赤外線の間の波長及び/または遠紫外線から遠赤外線を含む波長の光を送出するように構成されている請求項1記載のプローブ。
【請求項3】
前記プローブチップのキャップ部は、前記ハンドピースにおいて前記チップを前記ハンドピースに着脱自在に固定する部分を収容する開口を区画している請求項1または2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記長形部材は、前記長形部材の外面が前記長形部材を通って光を送出するクラッディングとしての役割を果たすように、前記光学用プラスチックで形成されている請求項1,2または3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記光学用プラスチックは半透明、透明、またはこれらの組み合わせである請求項4記載のプローブ。
【請求項6】
前記プローブチップには、前記ハンドピースから前記チップを取り外す際に、前記チップが再使用に適さないように塑性変形が生じる請求項1,2,3,4または5に記載のプローブ。
【請求項7】
前記塑性変形は、前記チップにおいて他の部分と比べて細くなっている脆弱な範囲で生じる請求項6記載のプローブ。
【請求項8】
前記ハンドピースは突出部を有し、前記チップを前記ハンドピースに組み立てる際に、前記チップの1つ以上のアームが湾曲することにより前記突出部が前記チップの開口に入り込むことが可能になり、前記チップを前記ハンドピースから取り外す際に、前記1つ以上のアームが塑性変形する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項9】
前記ハンドピースには長さがあり、前記チップのキャップ部は前記ハンドピースの長さの略全体にわたって伸びている請求項1乃至8のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項10】
前記ハンドピースの60%が前記チップによって覆われている請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項11】
前記長形部材には実質的な開口がない請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項12】
前記プローブチップは、PMMAを含む成形プラスチックの略全体に形成された一体式の構造である請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項13】
前記長形部材は円弧状であり、隣接する近位端から遠位端までテーパーを有している請求項1乃至12のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項14】
前記チップはエラストマーで形成された把持部を有し、一方前記チップの残りの部分は光学用プラスチックで形成されている請求項1乃至13のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項15】
プローブチップの略全体が、前記長形部材が前記光学用プラスチックを通って光を送出するように、光学用成形プラスチック製の単一のユニットとして形成されている請求項1乃至13のいずれか1項に記載のプローブ。
【請求項16】
光線力学消毒中に光を送出する請求項1乃至15のいずれか1項に記載のプローブの使用方法であって、
光を前記プローブチップから個人の組織へと導くことにより該組織の消毒を行う方法。
【請求項17】
前記組織は前記個人の口腔の一部であり、前記消毒は歯周の光線力学消毒である請求項13記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2008−537313(P2008−537313A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507709(P2008−507709)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/013380
【国際公開番号】WO2006/115761
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507022282)オンディーヌ インターナショナル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/013380
【国際公開番号】WO2006/115761
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(507022282)オンディーヌ インターナショナル リミテッド (8)
【Fターム(参考)】
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