説明

光配線部

【課題】簡易な構成を追加するだけで特に光ファイバコードのモジュールトレーへの誘導を容易にするとともに配線しにくい箇所を通過させて配線できるようにし、配線の作業性の向上や装置の小型化を実現した光配線部を提供する。
【解決手段】筐体の内部にチューブ体31をほぼ等間隔で複数取り付け、このチューブ体31の一方の開口部32から挿通された入力側光ファイバコード2を他方の開口部33まで誘導するチューブ型誘導部30を設けた光配線部とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバコード同士の接続を行うための光配線部に関する。
【0002】
光配線に関する従来技術として、例えば、特許文献1(特開2006−3532号公報、発明の名称「余長収納トレイにおける光ファイバ引回し方法及び余長収納トレイ」)に記載の発明が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の従来技術では、効率良く配線するため、スルーチューブを使用するというものである。余長収納トレーを構成する上段トレーと下段トレーとの間に光ファイバを引回して配線するため、上段トレーと下段トレーとの間を、複数の光ファイバを挿通可能な内径を有し且つ光ファイバを挿通時の滑走性を有するスルーチューブで連通し、このスルーチューブ内に光ファイバを挿通して配線する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−3532号公報(段落番号[0033],[0034],図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の従来技術は、単体のトレーの中や複数のトレー間でチューブを用いて配線を行うというものであるが、トレー間に留まるものであり、一の光配線部内を総合的に配線するというものではなかった。特に光配線部が複数のトレーを有するとき、配線は容易ではなかった。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成を追加するだけで特に光ファイバコードのモジュールトレーへの誘導を容易にするとともに配線しにくい箇所を通過させて配線できるようにし、配線の作業性の向上や装置の小型化を実現した光配線部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る光配線部は、
入力側光ファイバコード、中間光ファイバコードおよび出力側光ファイバコードの光学的な接続を行うための光配線部であって、
箱状の筐体と、
筐体の内部に取り付けられるチューブ体であり、このチューブ体の一方の開口部から挿通された入力側光ファイバコードを他方の開口部まで誘導するチューブ型誘導部と、
チューブ型誘導部により誘導された入力側光ファイバコードが導入されて中間光ファイバコードと接続され、これら入力側光ファイバコードおよび中間光ファイバコードが収容されるモジュールトレーと、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る光配線部は、
請求項1に記載の光配線部において、
前記チューブ型誘導部の開口部は、前記チューブ体のチューブ軸に対して傾斜させつつ切断して形成した傾斜開口部であり、
正面から見て楕円状の開口として開口の断面積を拡げたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に係る光配線部は、
請求項1または請求項2に記載の光配線部において、
前記モジュールトレーは、鉛直方向に伸びる軸支部により回転可能に設けられて水平面を回転するようになされ、
前記チューブ型誘導部は、前記モジュールトレー内または前記モジュールトレーの周囲に前記チューブ体の一方の開口部が配置されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に係る光配線部は、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光配線部において、
前記チューブ型誘導部は、複数の前記チューブ体を略等間隔にてR付き略L字状、曲線状または直線状に並べて配置するものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項5に係る光配線部は、
請求項4に記載の光配線部において、
前記モジュールトレーを多段に重ねて設けてトレー部を形成し、それぞれの前記モジュールトレー内または前記モジュールトレーの周囲に、前記チューブ型誘導部のチューブ体がそれぞれ配線されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成を追加するだけで特に光ファイバコードのモジュールトレーへの誘導を容易にするとともに配線しにくい箇所を通過させて配線できるようにし、配線の作業性の向上や装置の小型化を実現した光配線部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を実施するための形態の光配線部の外観図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は平面図、図1(c)は底面図、図1(d)は側面図である。
【図2】本発明を実施するための形態の光配線部の内観図であり、図2(a)は内部正面図、図2(b)は内部平面図、図2(c)は側面図である。
【図3】本発明を実施するための形態の光配線部のチューブ型誘導部とトレー部との位置関係を説明する説明図である。
【図4】本発明を実施するための形態の光配線部のチューブ型誘導部およびチューブ体開口押さえ部の詳細を説明する説明図であり、図4(a)はチューブ型誘導部の説明図、図4(b)はチューブ体開口押さえ部の拡大図、図4(c)はチューブ体開口押さえ部の断面を示すA−A矢視図、図4(d)はチューブ体の断面を示すB−B矢視図である。
【図5】他の形態のチューブ型誘導部の説明図であり、図5(a)は円弧状のチューブ型誘導部の説明図、図5(b)は直線状のチューブ型誘導部の説明図である。
【図6】発明を実施するための形態の光配線部のモジュールトレーの構成図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は背面図、図6(c)は正面図、図6(d)は側面図である。
【図7】モジュールトレーの実際の接続形態を説明する説明図である。
【図8】モジュールトレーの実際の接続形態を説明する説明図である。
【図9】本発明を実施するための形態の光配線部のモジュールトレーの回転構造の説明図であり、図9(a)は光配線部の内部構造の平面図、図9(b)は回転軸用支持部を取り去った内部構造の平面図である。
【図10】本発明を実施するための形態の光配線部のモジュールトレーの回転構造の説明図であり、図10(a)は回転軸用支持部の平面図、図10(b)は積層されたモジュールトレーの軸支部の説明図である。
【図11】本発明を実施するための形態の光配線部のモジュールトレーの回転状態の説明図である。
【図12】モジュールトレーの支持状態の説明図であり、図12(a)は支持板によるトレー本体の支持を説明するC−C矢視図、図12(b)は支持板によるトレー本体の支持を説明する拡大図である。
【図13】モジュールトレー上の入力側光ファイバコード、中間光ファイバコード、出力側光ファイバコードの配線状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、本発明を実施するための形態の光配線部について図を参照しつつ以下に説明する。本形態の光配線部100は、筐体10を備え、他の構成は後述するが筐体10内に収容されている。筐体10は図1の外観図で示すように箱体として形成されるものであり、詳しくは、筐体本体11、天板12、底板13、ケーブル導入口14、扉部15、抜き差し蝶番16、銘板17、カムロック18を備える。
【0015】
筐体本体11は、図2で示すように、平面から視たとき、板体の取り付け面11aの両側で略垂直に折り曲げられて略コ字状に形成されている。この筐体本体11の端部には、さらに補強リブ11bが形成されており、堅牢な構造としている。
天板12は、図1(b)で示すように、筐体本体11の上面に固着される板体である。
【0016】
底板13は、図1(c)で示すように、筐体本体11の下面に固着される板体である。
ケーブル導入口14は、底板13に形成される導入口であり、後述するが光ファイバケーブル1が導入される。
【0017】
扉部15は、筐体本体11の前面に開閉可能に設けられる。扉部15は、特に、図1(b),図1(d)で示すように側部や上部では板体が突出して形成されているが、図1(c)で示すように下部には板体はない。
抜き差し蝶番16は、筐体本体11に対して扉部15を開閉可能に支持する。なお、扉部15が開いた状態で扉部15を持ち上げると抜き差し蝶番16の支軸部が外れて扉部15を取り外すことができ、図2のような状態になる。特に配線作業時に扉部15を取り外して行うことで、作業性を向上させている。
【0018】
銘板17は、扉部15の正面に設けられる。この銘板には、例えば「光配線箱」等の名称を表示する。
カムロック18は、扉部15に固定されており、施錠すると内部のカムが回転して補強リブ11bに係止されて扉部15を開けない状態にし、解錠すると内部カムが補強リブ11bから外れて扉部15を開くことができるようにする。
光配線部100の外観はこのようなものである。
【0019】
続いて、光配線部100の内部構造について説明する。
光配線部100は、図2で示すように、さらに防護カバー20、チューブ型誘導部30、チューブ体開口押さえ部40、テンションメンバ固定金具50、ケーブル固定金具60、コード固定金具70、トレー部80を備える。
【0020】
防護カバー20は、トレー部80の前側に取り付けられており、トレー部80内の光ファイバコードへ外部から衝撃力が加わる事態を防止する。なお、防護カバー20は、筐体本体11に対して着脱可能に構成されており、後述するが、例えば、トレー部80が有するモジュールトレー81のアダプタに対して外部コネクタや内部コネクタを挿抜するときに防護カバー20を外してモジュールトレー81を手前側まで回転させることで接続配線作業が容易になる。
【0021】
チューブ型誘導部30は、筐体部10の筐体本体11の取り付け面11aに取り付けられる複数のチューブ体31からなるものである。このチューブ体31は、光ファイバコードの挿通時に円滑に移動させるように内部の摩擦力が低いチューブである。チューブ型誘導部30は、例えば、図3で示すように配置される。図3で示すように、チューブ体31の一方の下側(入力側)の開口部32から挿通された入力側光ファイバコードを他方の上側(トレー側)の開口部33まで誘導する。この開口部33の付近にはモジュールトレー81の入口が配置されており、モジュールトレー81の入力側まで入力側光ファイバコードを誘導する機能を有している。
【0022】
なお、図3ではチューブ型誘導部30の形状と、トレー部80と、の位置関係を明瞭にするため、隠れ線を使用することなく、両者を図示している。トレー部80を取り去った場合、チューブ型誘導部30の形状は、図4(a)で示すようになる。
【0023】
本形態では図4(a)で示すように一のチューブ体31にR部34が形成されたR部付略L字状のチューブ体であり、このチューブ体を略等間隔で並べて配置したチューブ型誘導部である。しかしながら、図5(a)で示すように、円弧状(曲線状)のチューブ体を略等間隔で並べて配置したチューブ型誘導部としたり、図5(b)で示すように、直線状のチューブ体を略等間隔で並べて配置したチューブ型誘導部としても良い。なお、図5(a),(b)では一部間隔が離れているが、全部等間隔にしても良い。チューブ体が弾性であるため事情に応じて適宜形状にて配線される。これら形状は光ファイバコードが限界曲率半径を超えて折れ曲がる事態を防止するように緩やかな円弧状の曲線や直線を採用するものであり、光ファイバコードに対して負担がかからないようにして折り曲げや破損を防止する。
【0024】
チューブ体開口押さえ部40は、チューブ体31の先端を固定し、チューブ体31の一方の開口部32を並べて配置する。チューブ体開口押さえ部40は、図4(b),図4(c)のチューブ体がない箇所について示すように、嵌め込み孔部41、押さえ部側開口部42を備えており、図4(d)のチューブ体がある箇所について示すように、この嵌め込み孔部41にチューブ体31が嵌め込まれ、切断により開口部32を形成して固定されるというものである。
【0025】
上記のようなチューブ体31は一方の開口部32が図4(b)でも明らかなようにチューブ体開口押さえ部40により並んで配置決定されている。なお、チューブ体31の開口部32は、図4(b),図4(d)でも明らかなようにチューブ体31のチューブ軸(チューブの中心を結ぶ軸)に対して斜めに切断形成されており、開口部32の形状が楕円形となっている。このため、チューブ体31のチューブ軸に対して垂直に切断した開口部32と比較すると、楕円形のチューブ体31の開口部32はその断面積を増大させており、光ファイバコードを挿通し易くしている。特に挿入側となる下側の開口部32ではこのような楕円形の開口とすることが好ましい。
【0026】
テンションメンバ固定金具50は、図2(a)で示すように筐体本体11の取り付け面11aに固定されており、後述するが光ファイバケーブルから引き出されたテンションメンバを固定する。
ケーブル固定金具60は、図2(a)で示すように筐体本体11の取り付け面11aに固定されており、後述するがケーブル導入口から引き込まれた入力側の光ファイバケーブルを固定する。
【0027】
コード固定金具70は、図2(a)で示すように筐体本体11の取り付け面11aに固定されており、後述するがトレー部80から引き出された出力側光ファイバコードを固定する。
【0028】
トレー部80は、図2(a),図3で示すよに、複数個(本形態では例示的に12個としている)のモジュールトレー81を上下方向に積層してなるものである。
モジュールトレー81は、図6で示すように、トレー本体811、アダプタパネル812、回転軸813、作業口814、チューブ押さえ815、コード誘導壁816、コード押さえ部817、アダプタ818、トレー用銘板819、融着スリーブホルダ820、経路821を備える
【0029】
トレー本体811は、樹脂製の堅牢な板体である。
アダプタパネル812は、アダプタ818を保持するパネルであり、トレー本体811に固定される。
【0030】
回転軸813は、トレー本体811と一体に形成される円柱体であり、後述するが軸支されてモジュールトレー81を回転させるように支持する。
作業口814は、アダプタ818に対して外部用コネクタを接続するときに手指を入れて作業できるようにしている。
【0031】
チューブ押さえ815は、チューブ型誘導部30の一本のチューブ体31を押さえる機能を有している。このチューブ押さえ815はチューブ体31がモジュールトレー81内へ引き込まれる場合に用いられるが、チューブ体31の開口部33がモジュールトレー81の周囲に設けられる場合、開口部33から引き出された入力側光ファイバコードを押さえることとなる。後述するが、本形態ではチューブ体31の開口部をモジュールトレー81の周囲に配置し、モジュールトレー81内へは入力側光ファイバコードを進入させるようにする。
コード誘導壁816は、チューブ体31から引き出された入力側光ファイバコードや中間光ファイバコードの余長を誘導し、楕円状の巻体として形成する機能を有している。
【0032】
コード押さえ部817は、コード誘導壁816で楕円状に形成される入力側光ファイバコード2や中間光ファイバコード3を押さえて楕円形状として安定させる機能を有している。
アダプタ818は、内側で中間光ファイバコード3の先端に設けられた内部用コネクタ5を連結する。また、外側で出力側光ファイバコード7の先端に設けられた外部用コネクタ6を連結する。アダプタ818は、これら内部用コネクタ5および外部用コネクタ6を光学的に接続する。図7,図8は実際の接続形態を表すモジュールトレー81である。コネクタは各種あり、図7,図8で示すように適宜採用することができる。
【0033】
トレー用銘板819はトレーに関する情報を表すものであり、例えば、トレーの番号を表す。
融着スリーブホルダ820は、チューブ体31から引き出された入力側光ファイバコード2の先端と中間光ファイバコード3の先端とを融着接続した箇所を覆う融着スリーブ4を保持固定する。
【0034】
経路821は、外部用コネクタ6に接続されている出力用光ファイバコード7を誘導する経路である。
モジュールトレー81はこのようなものである。
【0035】
このようなモジュールトレー81は、図9,図10で示すような回転軸用支持部82にて支持される。回転軸用支持部82は、筐体本体11の取り付け面11aから突出するように設けられており、その先端にある孔部82aにモジュールトレー81の回転軸813が枢支され、回転軸用支持部82に対してモジュールトレー81が図11で示すように矢印a方向に回動することとなる。配線作業時には前側へ回転させて筐体10からモジュールトレー81が突出する状態とし、配線作業を容易に行えるようにすることができる。
【0036】
このようなモジュールトレー81は、収容時でも配線作業時でも傾斜することなく安定した状態を維持している。収容時では、図9(b)で示すようにトレー本体811の先端部811aが先端保持部83の保持板83a上に位置するとともにトレー本体811の一部が支持部材11c上に位置して支持されており、安定した状態となっている。
また、配線時では図11,図12で示すようにトレー本体811の先端部811aやその周辺が、取り付け面11aから突出する支持板11dの上に位置しており、モジュールトレー81が安定した状態となっている。
【0037】
このようなモジュールトレー81を、図2で示すように複数個(本形態では例示的に12個)重ねて配置している。回転軸813は、図10(b)に示すように、円柱体形状である軸支部822の上側から突出している。一のモジュールトレー81では、軸支部822と回転軸813とにより多段円柱状に形成される。軸支部822の下側には他のモジュールトレー81の回転軸813が枢支される穴部が形成されている。この穴部に他のモジュールトレー81の回転軸813を枢支し、図10(b)で示すように複数重ねて配置するとともに軸支部822を円柱状に形成する。一番下の軸支部822の穴部には、下側の回転軸用支持部82の回転軸813を枢支する。積層された軸支部822は鉛直方向に伸びる状態であり、モジュールトレー81は水平面を回転する。これにより、全てのモジュールトレー81を回動可能に配置することができる。
【0038】
続いて、実際の配線について説明する。図1(c)で示すように、下側の底板13に形成したケーブル導入口14から光ファイバケーブル1を引き込む。光ファイバケーブル1は、図3で示すように複数本(本形態では例示的に6本)であり、ケーブル固定金具60で全ての光ファイバケーブル1を固定する。さらに光ファイバケーブル1の内部からテンションメンバを引き出し、一のテンションメンバに対し一のテンションメンバ固定金具50で固定するものであり、全てのテンションメンバが固定される。
【0039】
この光ファイバケーブル1からそれぞれ引き出された入力側光ファイバコード2は、チューブ型誘導部30により、モジュールトレー81まで誘導される。本形態では例示的に一の光ファイバケーブル1から2本の入力側光ファイバコード2が引き出され、1本のチューブ体31に一本の入力側光ファイバコード2が挿通されるものとする。しかしながら、1本の入力側光ファイバコード2は勿論のこと、3本,4本というようにチューブ体31に挿通可能な複数本の入力側光ファイバコード2を入力することが可能である。
【0040】
下側の開口部32から少しづつ入力側光ファイバコード2を押し入れて行き、チューブ体31の他方の開口部33まで到達する。このため配線作業が極めて容易になっている。そして、チューブ体31の他方の開口部33が図13でも明らかなようにモジュールトレー81の入口部周辺まで到達する。開口部33からは入力側光ファイバコード2が引き出される。入力側光ファイバコード2の一端は中間光ファイバコード3の一端と融着接続され、融着スリーブ4により保護されている。中間光ファイバコード3は余長を楕円状に配置するとともに他端に内部コネクタ5が接続されており、アダプタ818に内部用コネクタ5が連結される。
【0041】
他方では出力側光ファイバコード7が接続されている外部用コネクタ6がアダプタ818に連結されており、中間光ファイバコード3と出力側光ファイバコード7とは光学的に接続されている。この出力側光ファイバコード7は集線部23bを経て下側へ向けて配線される。出力側光ファイバコード7は、図3で示すように、コード固定金具70により集線状態にて固定されており、整理された配線状態とすることができる。なお、図示しないが多数ある出力側光ファイバコード7を図示しない結束バンドで結束してより整理された配線とすることができる。そして、図示しないが、ケーブル導入口14を経て外側へ引き出される。このような配線は全てのモジュールトレー81にて行われる。
【0042】
先に説明した図7,図8は実際の接続形態を表すモジュールトレー81である。融着スリーブ4により入力側光ファイバコード2の一端と中間光ファイバコード3の一端とが接続される。中間光ファイバコード3は余長がモジュールトレー81内に収容され、中間光ファイバコード3の他端は内部用コネクタ5が接続されている。この内部用コネクタ5をアダプタ818に接続する。アダプタ818の対向する位置には外部用コネクタ6が接続されている。外部用コネクタ6には出力側光ファイバコード7が接続されている。この出力側光ファイバコード7はU字状に設けられるとともに経路、集線部を経て下側に引き出される。
【0043】
以上本発明の光配線部について説明した。
なお、本形態ではモジュールトレー81の周囲でチューブ体31の開口部33が形成されるものとして説明したが。このような形態に代えて、一本のチューブ体31が一のモジュールトレー81のチューブ押さえ部815まで到達するようにしても良い。弾性体であるチューブ体31はモジュールトレー81が回転するときでも変形して追従するため、モジュールトレー81の移動を妨げるような事態は生じない。また、チューブ体31に挿通された入力側光ファイバコード2が確実にモジュールトレー81内へ到達するという利点もある。
【0044】
このような光配線部では以下のような利点が見込める。
(1)特に配線ルートを予め確定させているため、作業者によらず整理された配線を実現することができる。
(2)また、配線ルートとして複数のルートを所望位置まで設定することができるため、多数のモジュールトレーを採用しても配線作業を確実に行うことができ、この点でも作業者によらず整理された配線を実現することができる。
【0045】
(3)また、配線ルートとしてチューブ体の両端の開口部以外はトレー部の裏側などに配置すれば良く、見過ごされていた空間を活用することができるようになり、光配線部の小型化を実現している。
(4)また、心線増設する際には、新たな光ファイバを既存のチューブ体内に挿通できるので、効率よく増設配線できる
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、光ファイバケーブルと光通信機器をつなぐインターフェースとして、光ケーブルの中継、光ケーブルから光コードへの変換、回線の切替・切分けなどを行う光配線部として適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
100:光配線部
10:筐体
11:筐体本体
11a:取り付け面
11b:補強リブ
11c:支持部材
11d:支持板
12:天板
13:底板
14:ケーブル導入口
15:扉部
16:抜き差し蝶番
17:銘板
18:カムロック
20:防護カバー
30:チューブ型誘導体
31:チューブ体
32:開口部
33:開口部
34:R部
40:チューブ体開口押さえ部
41:嵌め込み孔部
42:押さえ部側開口部
50:テンションメンバ固定金具
60:ケーブル固定金具
70:コード固定金具
80:トレー部
81:モジュールトレー
811:トレー本体
811a:先端部
812:アダプタパネル
813:回転軸
814:作業口
815:チューブ押さえ
816:コード誘導壁
817:コード押さえ部
818:アダプタ
819:トレー用銘板
820:融着スリーブホルダ
821:経路
822:軸支部
82:回転軸用支持部
83:先端保持部
83a:保持板

1:光ファイバケーブル
2:入力側光ファイバコード
3:中間光ファイバコード
4:融着スリーブ
5:内部用コネクタ
6:外部用コネクタ
7:出力側光ファイバコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側光ファイバコード、中間光ファイバコードおよび出力側光ファイバコードの光学的な接続を行うための光配線部であって、
箱状の筐体と、
筐体の内部に取り付けられるチューブ体であり、このチューブ体の一方の開口部から挿通された入力側光ファイバコードを他方の開口部まで誘導するチューブ型誘導部と、
チューブ型誘導部により誘導された入力側光ファイバコードが導入されて中間光ファイバコードと接続され、これら入力側光ファイバコードおよび中間光ファイバコードが収容されるモジュールトレーと、
を備えることを特徴とする光配線部。
【請求項2】
請求項1に記載の光配線部において、
前記チューブ型誘導部の開口部は、前記チューブ体のチューブ軸に対して傾斜させつつ切断して形成した傾斜開口部であり、
正面から見て楕円状の開口として開口の断面積を拡げたことを特徴とする光配線部。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光配線部において、
前記モジュールトレーは、鉛直方向に伸びる軸支部により回転可能に設けられて水平面を回転するようになされ、
前記チューブ型誘導部は、前記モジュールトレー内または前記モジュールトレーの周囲に前記チューブ体の一方の開口部が配置されることを特徴とする光配線部。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の光配線部において、
前記チューブ型誘導部は、複数の前記チューブ体を略等間隔にてR付き略L字状、曲線状または直線状に並べて配置するものであることを特徴とする光配線部。
【請求項5】
請求項4に記載の光配線部において、
前記モジュールトレーを多段に重ねて設けてトレー部を形成し、それぞれの前記モジュールトレー内または前記モジュールトレーの周囲に、前記チューブ型誘導部のチューブ体がそれぞれ配線されることを特徴とする光配線部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−252238(P2012−252238A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125921(P2011−125921)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000145954)株式会社昭電 (22)
【Fターム(参考)】