光量検出回路及び表示装置
【課題】光センサの出力特性のばらつきを適正に補正して、外光検出を精度良く行うことができる光量検出回路及び表示装置を提供する。
【解決手段】光検知部LSの照度−出力特性を少なくとも2つの外光照度領域に分け、各領域の照度−出力特性を直線で近似する。そして、各近似線を理想特性線Iに一致させるための傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFを用いて光検知部の出力値LLSを補正することで、製造プロセス等に由来する光センサ出力特性のばらつきを補正し、正確な外光照度Lを検出する。
【解決手段】光検知部LSの照度−出力特性を少なくとも2つの外光照度領域に分け、各領域の照度−出力特性を直線で近似する。そして、各近似線を理想特性線Iに一致させるための傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFを用いて光検知部の出力値LLSを補正することで、製造プロセス等に由来する光センサ出力特性のばらつきを補正し、正確な外光照度Lを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサの出力特性のばらつきを補正し、精度良く外光を検出することができる光量検出回路及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置では、視認性の確保やバックライトの消費電力を低減する目的で、周囲の明るさを検出し、それに応じてバックライトの輝度を調整している。
このような表示装置として、表示パネル内のガラス基板上に光センサを搭載して外光を検出し、検出した外光の照度に応じてバックライト輝度を調整するというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、光センサ本体の光入射面側に、当該光入射面の中心位置からずれた位置に開口部を有する遮光層を配置することで、遮光層の開口部を通過して光センサ本体の光入射面に入射される外光の照度を、表示パネルの視野角に対応させて検出している。
【0003】
しかしながら、上記のようにガラス基板上に光センサを搭載する場合、製造プロセスに由来するセンサ特性のばらつきが生じ、外光照度を正確に検出できないおそれがある。
また、光センサの出力結果(電圧、電流、放電時間など)を受信・処理する際にも、A/Dコンバータの電圧ばらつきやカウンタ回路のオシレータのばらつき等が生じ得る。
これらのばらつきを補正する手法として、レーザトリミングやFIBリペアなどが考えられるが、このような手法を用いるとコストが嵩む。
【0004】
そこで、光センサを制御するIC側で、バイアス抵抗となる抵抗素子又は抵抗回路の抵抗値、及び光センサの出力を増幅する増幅器のゲインを調整することで、上記ばらつきを補正する手法(例えば、特許文献2参照)や、複数の光センサをガラス基板上に形成してばらつきを平均化する手法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2000−131137号公報
【特許文献2】特開2003−258975号公報
【特許文献3】特開2007−114315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガラス基板上に形成した光センサの出力特性は、低照度において十分な光電流を確保できなかったり、光照度において出力が飽和したりすることにより、非線形な特性となるため、上記特許文献2に記載の光センサにあっては、その出力特性を適正に補正することができない。
また、上記特許文献3に記載の表示装置にあっては、光センサを複数配置する必要がありコストが嵩む。
【0006】
そこで、本発明は、光センサの出力特性のばらつきを適正に補正して、外光検出を精度良く行うことができる光量検出回路及び表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明に係る光量検出回路は、外光を検知する光センサを有する光検知部を備える光量検出回路であって、前記光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数により近似した近似線と前記光検知部の出力値とに基づいて外光の光量を検出する光量検出部を備えることを特徴としている。
これにより、製造プロセスによる光センサ出力特性のばらつきを補正することができるので、正確に外光の照度を検出することができる。このとき、光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似した近似線を用いるので、光センサ出力特性が非線形であっても精度良く上記ばらつきを補正することができる。
【0008】
さらに、製造プロセスに由来する光センサ特性のばらつきや、光センサ出力を検出するドライバICの判定電圧のばらつき、オシレータのばらつき等を個別に補正するのではなく、一括してばらつきを補正することができるため合理的である。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記近似線は、前記照度−出力特性を少なくとも2つの外光照度領域に分け、各領域における最大照度での動作点と最小照度での動作点とを結ぶ直線の繋ぎ合わせであることを特徴としている。
【0009】
これにより、外光の光量検出に用いる近似線を比較的簡易に設定することができる。また、外光照度領域の分割数を増やすことで、光センサ出力特性を精度良く近似することができ、ばらつき補正をより正確に行うことができる。
さらに、第3の発明は、第2の発明において、前記光量検出部は、前記各直線を所定の理想特性線に一致させるためのオフセット補正値及び傾き補正値を用いて、前記光検知部の出力値を補正することで、外光の光量を検出することを特徴としている。
【0010】
これにより、光センサ出力特性のばらつきをロジック処理にて補正することができる。また、光センサを駆動するIC内部で当該光センサの出力値補正を完結することができるので、システムとして新たな付加物やコストアップなく、低照度から高照度まで広範囲に亘って正確な外光検出結果を得ることができる。
また、第4の発明は、第3の発明において、前記光センサの温度を検出する温度検出部を有し、前記光量検出部は、前記温度検出部で検出した温度に応じて、前記オフセット補正値及び傾き補正値の少なくとも一方を補正する温度補償部を備えていることを特徴としている。
【0011】
これにより、光センサ出力特性の温度依存性を補償することができ、より精度良く外光検出を行うことができる。
さらにまた、第5の発明に係る表示装置は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、前記光検知部は、前記光センサとしての薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間に接続されたコンデンサと、前記ソース電極と前記コンデンサの一方の端子に接続されたスイッチ素子とを有し、前記スイッチ素子のオン状態で基準電圧に充電され、前記スイッチ素子のオフ状態で前記薄膜トランジスタへ光が照射されることにより生じる漏れ電流により低下する前記コンデンサの電圧を検知することを特徴としている。
【0012】
これにより、センサ部に照射される光を精度良く検知することができる。
また、第6の発明に係る表示装置は、第1乃至第5の発明の何れかの光量検出回路と、表示パネルを照光する照光部と、前記光量検出回路の出力値に基づいて前記照光部を制御する制御部とを備えることを特徴としている。
これにより、光量検出回路で外光照度を正確に検出して、適正にバックライト等の照光部を制御することができるので、表示パネルの視認性の確保や消費電力の低減を実現した表示装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の表示装置としての液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。ここでは、液晶表示装置1として半透過型液晶表示装置を例示する。また、図2は、図1のX−X線で切断した断面図である。
この液晶表示装置1の表示パネルは、図1及び図2に示すように、透明な絶縁性を有する材料、例えばガラス基板からなり、表面に薄膜トランジスタ(TFT)等を搭載したアクティブマトリクス基板(以下、TFT基板という)2と、表面にカラーフィルタ等が形成されたカラーフィルタ基板(以下、CF基板という)25との間に液晶層14が形成され、上記2枚の基板の上下面に偏光板を貼り付けた構成となっている。
【0014】
このうちTFT基板2は、その表示領域DAにゲート線4及びソース線5がマトリクス状に形成されており、ゲート線4とソース線5とで囲まれる部分に画素電極が形成され、ゲート線4とソース線5との交差部に画素電極と接続されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている。なお、符号LSは光検知部であって、後述するように表示領域DAの外周縁部に設けられている。これらの配線、TFT及び画素電極は、図2においてこれらを模式的に第1構造物3として示す。
【0015】
TFT基板2には、図1に示すように、その短辺部に液晶表示装置1を駆動するための図示しない画像供給装置と接続するためのフレキシブル配線基板FPCが設けられ、このフレキシブル配線基板FPCを通して画像供給装置から導出されたデータ線及び制御線が液晶ドライバICに接続されている。そして、液晶を駆動するVCOM信号、ソース信号、ゲート信号等の信号は、液晶ドライバIC内で生成されて、それぞれTFT基板2上のコモン線11、ソース線5及びゲート線4に供給される。
【0016】
また、TFT基板2の四隅には、複数のトランスファ電極10a〜10dが設けられている。これらのトランスファ電極10a〜10dは、コモン線11を介して互いに直接接続ないしは液晶ドライバIC内で互いに接続されている。各トランスファ電極10a〜10dは、後述する対向電極26と電気的に接続され、液晶ドライバICから出力される対向電極電圧が対向電極26に印加されるようになっている。
【0017】
CF基板25には、ガラス基板の表面にR(赤)、G(緑)、B(青)等の複数色からなるカラーフィルタと、ブラックマトリクスとが形成されている。このCF基板25は、TFT基板2に対向配置されるとともに、ブラックマトリクスが少なくともTFT基板2のゲート線4やソース線5に対応する位置に配置され、このブラックマトリクスによって区画された領域にカラーフィルタが設けられている。これらカラーフィルタ等は、図2において模式的に第2構造物27として示す。また、このCF基板25には、更に酸化インジウム、酸化スズ等で構成された透明電極からなる対向電極26が設けられており、この対向電極26は、表示領域DA全体に亘って形成されている。
【0018】
シール材6は、TFT基板2の表示領域DAの周囲に図示しない注入口を除いて塗布されている。また、両基板を接続するコンタクト材10Aは、例えば表面に金属メッキが施された導電性粒子と熱硬化性樹脂とから構成されている。そして、TFT基板2とCF基板25との張り合わせは、例えば、以下の手順で行われる。
まず、TFT基板2を第1のディスペンサ装置にセットしてシール材6を所定パターンで塗布し、次に、TFT基板2を第2のディスペンサ装置にセットしてコンタクト材10Aを各トランスファ電極10a〜10d上に塗布する。その後、TFT基板2の表示領域DAにスペーサ15を均一に散布し、CF基板25のシール材6やコンタクト材10Aが当接する部分に仮止め用接着剤を塗布する。その後、TFT基板2とCF基板25とを貼り合わせ、仮止め用接着剤を硬化させて仮止めが完了する。
【0019】
そして、仮止めされた両基板2、25を加圧しながら加熱処理すると、シール材6及びコンタクト材10Aの熱硬化性樹脂が硬化し、空の液晶表示パネルが完成する。この空の液晶表示パネル内に図示しない注入口から液晶14を注入し、この注入口を封止材で塞ぐと半透過型の液晶表示装置1が完成する。
また、TFT基板2の下方には、図示しない周知の光源(あるいは照光部)、導光板、拡散シート等を有するバックライトが配置されている。このバックライトは、表示パネル外部に設けられた後述するバックライト制御回路にて、その輝度が制御されるようになっている。
【0020】
次に、光検知部LSの構造について説明する。
図3は、光検知部LSを構成する光センサ及びスイッチ素子の断面図である。
光検知部LSを構成するTFT光センサ及びスイッチ素子SWは、図3に示すように、いずれもTFTからなりTFT基板2上に形成されている。すなわち、TFT基板2は、その表面にTFT光センサのゲート電極GL、コンデンサCの一方の端子C1及び一方のスイッチ素子SWを構成するゲート電極GSが形成され、これらの表面を覆うようにして窒化シリコンや酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜17が積層されている。
【0021】
また、TFT光センサのゲート電極GLの上及びスイッチ素子SWを構成するTFTのゲート電極GSの上には、それぞれゲート絶縁膜17を介して非晶質シリコンや多結晶シリコンなどからなる半導体層19L及び19Sが形成されている。
また、ゲート絶縁体17上には、アルミニウムやモリブデン等の金属からなるTFT光センサのソース電極SL及びドレイン電極DL、一方のスイッチ素子SWを構成するTFTのソース電極SS及びドレイン電極DSがそれぞれの半導体層19L及び19Sと接触するように設けられている。
【0022】
このうち、TFT光センサのソース電極SL及びスイッチ素子SWを構成するTFTのドレイン電極DSは、互いに延長されて接続されてコンデンサCの他方の端子C2が形成されている。更に、TFT光センサ、コンデンサC及びTFTからなるスイッチ素子SWの表面を覆うようにして、例えば、無機絶縁材料からなる保護絶縁膜18が積層されており、また、TFTからなるスイッチ素子SWの表面には、外部光の影響を受けないようにするために、遮光層21が被覆されている。
【0023】
さらに、この光検知部LSが配設された向かい側のCF基板25上には、図2に示すように、光検知部LSと対向する位置まで対向電極26が延設され、光検知部LSを構成するTFT光センサのドレイン電極DL及びコンデンサCにおけるグラウンド端子GR側の他方の端子C2が、この対向電極26にトランスファ電極10bを介して接続されている。
【0024】
この構造の光検知部LSは、図4に示すように、TFT光センサのドレイン電極DLとソース電極SLとの間にコンデンサCが並列接続され、ソース電極SLとコンデンサCの一方の端子とがスイッチ素子SWを介して基準電圧源に接続され、更に、TFT光センサのドレイン電極DL及びコンデンサCの他方の端子が対向電極(VCOM)に接続された構成となる。
【0025】
このような構成により、所定期間毎にスイッチ素子SWがオン状態となると、基準電圧源から所定の基準電圧Vs(例えば、+2V)がコンデンサCに印加されて充電される。この充電により、コンデンサCの両端には基準電圧Vsと対向電極電圧VCOM間の電位差が掛かって充電されるが、ゲート電極GLには逆極性のゲート電圧GVが印加されてゲートオフされているので、スイッチ素子SWをオフ状態とすると、TFT光センサへ光が照射されることにより生じる漏れ電流によって、この充電電圧が低下する。
【0026】
そして、コンデンサCへの充電タイミングから所定の読み取り時間後に、コンデンサCに充電された電圧を読み取り(検知し)、この検知出力によって、バックライト等の制御が可能となる。
【0027】
図5は、バックライト制御回路の詳細な構成を示すブロック図である。
この図5に示すように、バックライト制御回路は、光検知部LSから得られるアナログ情報を取得する読み取り部31と、読み取り部31の出力値に基づいて外光の照度Lを算出する補正部32と、該補正部32の出力値を後述する所定の基準値と比較する比較部33と、該比較部33の結果に基づいてバックライト35を制御するB/L制御部34とを備えている。
【0028】
読み取り部31は、光検知部LSのスイッチ素子SWのオン/オフ制御を行って、光検知部LSのコンデンサCへの充電を行うと共に、所定のタイミングで光検知部LSのコンデンサCに充電されている充電電圧を読み取る。また、このようにして取得したアナログ情報をA/D変換して照度データLLSとし、これを補正部32に出力する。
補正部32には、読み取り部31から出力される照度データLLSと、温度センサ40で検出されるTFT光センサの周囲温度Tとが入力され、補正部32は、これらに基づいて照度Lを算出する。ここで、温度センサ40は、バックライト制御回路内に備えられているものとし、例えば、バンドギャップのエネルギー変化を監視することで周囲温度を検出する。
【0029】
次に、照度Lの算出方法について説明する。
図6は、光センサの出力特性を示す図である。この図6に示すように、周囲温度による熱リークや外光以外の光(バックライトの漏れ光など)による光リークを無視できるような理想状態では、光センサの出力は破線Iに示すように外光照度に正比例(或いは逆比例)すると考えられる。
【0030】
しかし、本実施形態のように、ガラス基板上に光センサを形成する場合、低照度領域αにおいて十分な光電流を確保できなかったり、高照度領域βにおいて出力が飽和したりする場合がある。そのため、光センサの出力特性は実線に示すように非線形な特性となる。さらに、実線a〜cに示すように、製造プロセスのばらつきにより光センサの出力強度がシフトする。
【0031】
そこで、本実施形態では、このような光センサの出力特性のばらつきを考慮し、光センサ出力値LLSを補正することで正確に外光検出を行うようにする。具体的には、外光照度を低照度(L0〜L1[Lx])、中照度(L1〜L2[Lx])、高照度(L2〜L3[Lx])の3つの領域に分割し、各領域における光センサの出力特性を直線で近似して、これらの近似線が理想直線Iに一致するように定義した傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFを用いて光センサ出力値LLSを補正することで、外光照度Lを算出する。
【0032】
図7は、外光照度を3つの領域に分割した場合の補正例を示す図である。
この図7に示すように、外光照度を3つの領域に分け、各領域において光センサの出力特性Ioutを一次関数で近似し、直線Iout1〜Iout3とする。ここで、直線Iout1〜Iout3は、各領域における最大照度での動作点と最小照度での動作点とを結ぶ直線である。
【0033】
そして、これらの直線Iout1〜Iout3がそれぞれ理想直線Iに一致するように、傾き補正値ASLP1〜ASLP3[符号なし(n−1)ビット]及びオフセット補正値AOFF1〜AOFF3[符号付きnビット]を定義する。
すると、ばらつき補正後の照度Lは、傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFを用いて下記(1)式で表される。
【0034】
L=(LLS+AOFF)×ASLP/2n-1 ………(1)
ここで、補正値の組(ASLP,AOFF)は、光センサ出力値LLSに応じて、傾き補正値(ASLP1,AOFF1)、(ASLP2,AOFF2)及び(ASLP3,AOFF3)のうち何れかに設定される。
また、外光照度L0及びL1に対応する光センサ出力値をそれぞれPout(L0)及びPout(L1)、外光照度L0及びL1に対応する理想出力値をそれぞれI(L0)及びI(L1)とすると、直線Iout1に対応する傾き補正値ASLP1及びAOFF1は、それぞれ次式で表される。
【0035】
AOFF1={I(L1)×Pout(L0)−I(L0)×Pout(L1)}/{I(L0)−I(L1)} ………(2)
ASLP1={I(L0)/(Pout(L0)+AOFF1)+I(L1)/(Pout(L1)+AOFF1)}×2n-2 ………(3)
また、外光照度L2及びL3に対応する光センサ出力値をそれぞれPout(L2)及びPout(L3)、外光照度L2及びL3に対応する理想出力値をそれぞれI(L2)及びI(L3)とすると、直線Iout2に対応する傾き補正値ASLP2及びAOFF2は下記(4)及び(5)式で表され、直線Iout3に対応する傾き補正値ASLP2及びAOFF2は下記(6)及び(7)式で表される。
【0036】
AOFF2={I(L2)×Pout(L1)−I(L1)×Pout(L2)}/{I(L1)−I(L2)} ………(4)
ASLP2={I(L1)/(Pout(L1)+AOFF2)+I(L2)/(Pout(L2)+AOFF2)}×2n-2 ………(5)
AOFF3={I(L3)×Pout(L2)−I(L2)×Pout(L3)}/{I(L2)−I(L3)} ………(6)
ASLP3={I(L2)/(Pout(L2)+AOFF3)+I(L3)/(Pout(L3)+AOFF3)}×2n-2 ………(7)
このように、本実施形態では、光センサの出力特性Ioutを複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似し、その近似線と光センサ出力値LLSとに基づいて外光照度Lを検出する。
【0037】
一方で、光センサの出力特性は温度依存性を有しており、周囲温度に応じてその出力特性が変化することが分かっている。
図8は、光センサ出力特性の温度依存性を示す図であり、(a)は周囲温度Tに対する光センサ出力誤差、(b)は周囲温度Tに対する光センサ出力特性の変化を示している。
この図8(a)に示すように、室温(25℃)では光センサ出力誤差は零であり、例えば、外光照度100Lxにおいて外光検出値も100Lxとなるが、周囲温度Tが低いほど光センサ出力誤差は大きくなり、実際の外光照度に対してセンサ出力値が大きくなる。また、周囲温度が高い場合にもセンサ出力誤差は大きくなり、周囲温度Tが高いほど実際の外光照度に対してセンサ出力値が小さくなる。
【0038】
したがって、図8(b)に示すように、低温(例えば、−30℃)での光センサ出力特性は、一点鎖線で示すように、実線で示す室温(25℃)での出力特性を上側にオフセットした形となり、高温(例えば、70℃)での光センサ出力特性は、二点鎖線で示すように、室温(25℃)での出力特性を下側にオフセットした形となる。
そこで、本実施形態では、光センサの周囲温度Tを取得し、この周囲温度Tに応じてオフセット補正値AOFFを補正する。すなわち、下記(8)式に示すように、周囲温度Tに応じた温度係数Cをオフセット補正値AOFFに乗算することでオフセット補正値AOFFを補正して、照度Lを算出する。
【0039】
L=(LLS+AOFF×C)×ASLP/2n-1 ………(8)
補正部32では、先ず、読み取り部31から出力される照度LLSが、上記3つの照度領域のうちどの領域内にあるかを判別し、その判別結果に基づいて、予め上記(2)〜(7)式をもとに算出されメモリに記憶された補正値の組(ASLP1,AOFF1)、(ASLP2,AOFF2)及び(ASLP3,AOFF3)のうち、適切な補正値の組を選択する。次に、周囲温度Tに応じて、選択した補正値の組を補正し、最終的な補正値の組(ASLP,AOFF×C)を求める。そして、このようにして得られた補正値の組(ASLP,AOFF×C)を用いて、上記(8)式をもとに補正後の照度Lを算出する。
【0040】
図9は、補正部32で実行する照度補正処理手順を示すフローチャートである。
先ずステップS1で、補正部32は、光検知部LSで検知した照度LLSを読み込み、ステップS2に移行する。
ステップS2では、補正部32は、光検知部LSで検知した照度LLSが低照度判定閾値Pout(L1)以下であるか否かを判定し、LLS≦Pout(L1)である場合には、TFT光センサに低照度の光が照射していると判定してステップS3に移行する。
【0041】
ステップS3では、補正部32は、メモリに記憶された傾き補正値ASLP1及びオフセット補正値AOFF1を、それぞれ傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFとして選択して後述するステップS7に移行する。
また、前記ステップS2でLLS>Pout(L1)であると判定した場合には、ステップS4に移行して、照度LLSが高照度判定閾値Pout(L2)以下であるか否かを判定する。
【0042】
そして、LLS≦Pout(L2)である場合にはステップS5に移行して、メモリに記憶された傾き補正値ASLP2及びオフセット補正値AOFF2を、それぞれ傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFとして選択してから後述するステップS7に移行し、LLS≦Pout(L3)である場合にはステップS6に移行して、メモリに記憶された傾き補正値ASLP3及びオフセット補正値AOFF3を、それぞれ傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFとして選択してからステップS7に移行する。
【0043】
ステップS7では、補正部32は、温度センサにより周囲温度Tを読み込み、ステップS8に移行する。
ステップS8では、補正部32は、温度Tが低温判定閾値T1以下であるか否かを判定し、T≦T1であるときには、ステップS9に移行して、予めメモリに記憶された温度係数C1(例えば、0<C1<1)を最終的な温度係数Cとして選択してから後述するステップS13に移行する。一方、前記ステップS8でT>T1であると判定したときには、ステップS10に移行して、温度Tが高温判定閾値T2以下であるか否かを判定する。
【0044】
そして、このステップS10でT≦T2であると判定したときには、ステップS11に移行して、予めメモリに記憶された温度係数C2(例えば、C2=1)を最終的な温度係数Cとして選択してから後述するステップS13に移行し、前記ステップS10でT>T2であると判定したときには、ステップS12に移行して、予めメモリに記憶された温度係数C3(例えば、C3>1)を最終的な温度係数Cとして選択してからステップS13に移行する。
【0045】
ステップS13では、補正部32は、上記(8)式をもとに補正後の照度Lを算出し、ステップS14に移行する。
ステップS14では、補正部32は、前記ステップS13で算出した補正後の照度Lを、比較部33に出力してから照度補正処理を終了する。
比較部33は、補正部32から入力される補正後の照度Lを所定の照度閾値と比較し、その結果をB/L制御部34に出力する。ここで、上記照度閾値は、対応するバックライトの輝度、外光の照度Lに対して表示の見栄えが最適になる、あるいは低消費電力になる値に設定する。
【0046】
そして、B/L制御部34は、比較部33での比較結果をもとに、バックライト35を最適な輝度に制御する。
図5において、光検知部LS、読み取り部31及び補正部32が光量検出回路に対応し、比較部33及びB/L制御部34が制御部に対応し、バックライト35が照光部に対応し、温度センサ40が温度検出部に対応している。また、図9において、ステップS8〜S12が温度補償部に対応している。
【0047】
次に、本発明における実施形態の動作について説明する。
先ず、室温状態で、液晶表示装置1に4段階の照度L0,L1,L2及びL3の光をそれぞれ照射し、各照度における光センサ出力値Pout(L0),Pout(L1),Pout(L2)及びPout(L3)を取得する。そして、これら光センサ出力値Pout(L0)〜Pout(L3)を用いて、上記(2)〜(7)式をもとに、傾き補正値ASLP1〜ASLP3及びオフセット補正値AOFF1〜AOFF3をそれぞれ算出し、メモリに記憶しておく。
【0048】
今、LLS≦Pout(L1)となるような低照度の外光がTFT光センサに照射しているものとする。このとき、読み取り部31が光検知部LSのスイッチ素子SWをオン状態とし、光検知部LSのコンデンサCに基準電圧Vsを充電する。そして、その後、読み取り部31がスイッチ素子SWをオフ状態に切り替え、TFT光センサに上記外光が照射されることにより生じる漏れ電流によって、コンデンサCに充電された充電電圧が所定の放電特性で低下する。その後、読み取り部31は、所定の読み取り時間が経過した時点で、コンデンサCの充電電圧を読み取り、その読み取り値から照度LLSを算出する。
【0049】
LLS≦Pout(L1)であることから、補正部32では、図9のステップS2でYesと判定してステップS3に移行し、上記(2)及び(3)式をもとに算出されるオフセット補正値AOFF1及び傾き補正値ASLP1を、オフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPとして選択する。このとき、周囲温度Tが室温(25℃)近傍であって、T1<T≦T2であるものとすると、補正部32は、ステップS8でNoと判定してステップS10に移行し、該ステップS10でYesと判定して、ステップS11で温度係数C2を温度係数Cとして選択する。
【0050】
そして、ステップS13で、前記ステップS3で選択したオフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPと、前記ステップS11で選択した温度係数Cとを用いて、上記(8)式をもとに照度Lを算出する。この照度Lは、光検知部LSから得られる照度LLSより大きい値となり、実際の外光照度と略等しい値となる。このように、光センサ出力特性のばらつきに起因する光センサ出力誤差が補正され、実際の外光照度に対応した正確な照度Lを得ることができる。
【0051】
また、LLS>Pout(L2)となるような高照度の外光がTFT光センサに照射しているものとすると、補正部32は、図9のステップS2でNoと判定してステップS4に移行する。そして、ステップS4でNoと判定してステップS6に移行し、上記(6)及び(7)式をもとに算出されるオフセット補正値AOFF3及び傾き補正値ASLP3を、オフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPとして選択する。このとき、周囲温度Tが室温(25℃)近傍であって、T1<T≦T2であるものとすると、補正部32は、ステップS11で温度係数C2を温度係数Cとして選択する。
【0052】
したがって、ステップS13で、前記ステップS6で選択したオフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPと、前記ステップS11で選択した温度係数Cとを用いて、上記(8)式をもとに照度Lを算出する。
このように、センサ出力値が低照度領域内にあるときと高照度領域内にあるときとで、傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFを変更するので、光センサ出力特性が非線形であっても、各照度領域の出力特性のばらつきに対応した補正が可能となり、適正に外光検出を行うことができる。
【0053】
また、この状態から周囲温度Tが上昇し、T>T2となると、補正部32は、図9のステップS8でNoと判定してステップS10に移行し、該ステップS10でもNoと判定するので、ステップS12で温度係数C3を温度係数Cとして選択する。
そして、ステップS13で、前記ステップS6で選択したオフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPと、前記ステップS12で選択した温度係数Cとを用いて、上記(8)式をもとに照度Lを算出する。
【0054】
ここで、温度係数C3は、温度係数C2より大きく設定されているため、T>T2である高温時の照度LLSは、前述したT1<T≦T2である室温時と比較して大きい値に補正される。これにより、図8(b)に示すように、高温時に光センサ出力特性が室温時の出力特性に対して下側にオフセットするような場合でも、光センサ出力誤差を適正に補正して正確な外光照度を得ることができる。
【0055】
このように、周囲温度Tを検出し、その周囲温度Tに応じてオフセット補正値AOFFを補正するので、光センサ出力特性の温度依存性を補償することができる。
ところで、ガラス基板上に形成した光センサの出力特性のばらつきを補正する手法として、光センサを制御するIC側で、バイアス抵抗となる抵抗素子又は抵抗回路の抵抗値、及び光センサの出力を増幅する増幅器のゲインを調整する手法や、複数の光センサをガラス基板上に形成してばらつきを平均化する手法が知られている。
【0056】
しかしながら、これらの手法を適用した場合、光センサ出力特性が非線形となる場合に対応できなかったり、複数の光センサを形成する必要がありコストが嵩んだりする。
これに対して、本実施形態では、光センサ出力特性を複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似し、その近似線の傾きとオフセット量とを調整することにより、光センサ出力特性のばらつき補正を行うので、光センサ出力特性が非線形の場合であっても上記ばらつきを適正に補正して、正確な外光照度を検出することができると共に、複数の光センサを設ける必要がないため、コスト面やデザイン自由度の面で有利である。
【0057】
図10は、本実施形態の効果を説明する図である。この図10からも明らかなように、光センサ出力特性を3つの照度領域に分割し、照度L0〜L3の4点で補正した場合、光センサ出力特性のばらつき補正前に発生している光センサ出力誤差を精度良く解消することができることがわかる。
このように、上記実施形態は、光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似し、その近似線と光検知部の出力値とに基づいて外光の光量を検出するので、製造プロセスによる光センサ出力特性のばらつきを補正することができ、正確に外光の照度を検出することができる。このとき、光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似した近似線を用いるので、光センサ出力特性が非線形であっても精度良く上記ばらつきを補正することができる。
【0058】
さらに、製造プロセスに由来する光センサ特性のばらつきや、光センサ出力を検出するドライバICの判定電圧のばらつき、オシレータのばらつき等を個別に補正するのではなく、一括してばらつきを補正することができるため合理的である。
また、上記近似線は、光検知部の照度−出力特性を少なくとも2つの外光照度領域に分け、各領域における最大照度での動作点と最小照度での動作点とを結ぶ直線の繋ぎ合わせとするので、外光の光量検出に用いる近似線を比較的簡易に設定することができる。また、外光照度領域の分割数を増やすことで、光センサ出力特性を精度良く近似することができ、ばらつき補正をより正確に行うことができる。
【0059】
さらに、上記各直線を理想特性線に一致させるためのオフセット補正値及び傾き補正値を用いて光検知部の出力値を補正することで、外光の光量を検出するので、光センサ出力特性のばらつきをロジック処理にて補正することができる。
また、光センサを駆動するIC内部で当該光センサの出力値補正を完結することができるので、システムとして新たな付加物やコストアップなく、低照度から高照度まで広範囲に亘って正確な外光検出結果を得ることができる。
【0060】
さらにまた、光センサの周囲温度に応じて、オフセット補正値及び傾き補正値の少なくとも一方を補正するので、光センサ出力特性の温度依存性を補償することができ、より精度良く外光検出を行うことができる。
また、上記のような光量検出回路を、バックライト制御を行う表示装置に適用するので、光量検出回路で検出した正確な外光照度を用いて適正にバックライトを制御することができ、表示パネルの視認性の確保や消費電力の低減を実現した表示装置とすることができる。
【0061】
なお、上記実施形態においては、周囲温度Tに応じて温度係数Cをオフセット補正値AOFFに乗じることで、当該オフセット補正値AOFFを補正する場合について説明したが、周囲温度Tに応じた所定の温度係数C´とオフセット補正値AOOFとを加減算することで、当該オフセット補正値AOFFを補正することもできる。
また、照度判定閾値L0〜L3、温度判定閾値T1,T2、及び温度係数C(又はC´)の値は、光センサの特性に応じて変更することもできる。これにより、個々の光センサ特性のばらつきに対応することができ、正確に外光検出誤差を補正することができる。
【0062】
さらに、上記実施形態においては、外光照度を3つの領域に分割する(4点補正する)場合について説明したが、4つ以上の領域に分割することもできる。このように、分割数を増やすことにより、光センサ特性のばらつき補正の精度を向上させることができる。
また、上記実施形態においては、周囲温度Tに応じてオフセット補正値AOFFを補正する場合について説明したが、傾き補正値ASLPを補正することもでき、更にはオフセット補正値AOFFと傾き補正値ASLPとの両方を補正することもできる。
【0063】
図11は、光センサ出力特性の温度依存性の別の例を示す図であり、(a)は低照度における周囲温度Tに対する光センサ出力誤差、(b)は周囲温度Tに対する光センサ出力特性の変化を示している。
この図11(a)に示すように、低照度領域において、周囲温度Tが室温(25℃)を超えて高温になるほど、光センサ出力誤差が大きくなる場合がある。これは、低照度側では光センサが熱リークの影響を受け易いことに起因する。このような光センサの出力特性は、図11(b)に示すように、高温になるほど低照度領域での傾きが緩やかになる。
【0064】
したがって、この場合、補正部32では周囲温度Tに応じて傾き補正値ASLPを補正する必要があり、補正部32で実行する照度補正処理は、図12に示すようになる。この照度補正処理では、前述した図9に示す照度補正処理において、ステップS8〜S13の処理をステップS21〜S27の処理に置換したことを除いては、図9と同様の処理を行う。
【0065】
すなわち、補正部32は、前記ステップS7で周囲温度Tを読み込んだ後、ステップS21に移行し、照度LLSが低照度判定閾値Pout(L1)以下であるか否かを判定する。そして、LLS≦Pout(L1)である場合には、TFT光センサに低照度の光が照射しており、傾き補正値ASLPの補正が必要である可能性があると判定してステップS22に移行し、周囲温度Tが低温判定閾値T1以下であるか否かを判定する。そして、T≦T1であるときにはステップS23に移行する。
【0066】
ステップS23では、補正部32は、予めメモリに記憶された温度係数D1を最終的な温度係数Dとして選択し、後述するステップS27に移行する。
一方、前記ステップS22でT>T1であると判定したときには、ステップS24に移行して、周囲温度Tが高温判定閾値T2以下であるか否かを判定する。そして、T≦T2であるときにはステップS25に移行して、予めメモリに記憶された温度係数D2を最終的な温度係数Dとして選択し、後述するステップS27に移行する。また、T>T2であるときにはステップS26に移行して、予めメモリに記憶された温度係数D3を最終的な温度係数Dとして選択し、ステップS27に移行する。
【0067】
なお、ここでは、周囲温度Tが室温より高いときに、周囲温度Tが高いほど温度係数Dが大きくなるように、温度判定閾値T1及びT2、並びに温度係数D1〜D3を設定するものとする。
ステップS27では、補正部32は、下記(9)式をもとに照度Lを算出し、前記ステップS14に移行する。
【0068】
L=(LLS+AOFF)×ASLP×D/2n-1 ………(9)
また、前記ステップS21でLLS>Pout(L1)であると判定したときには、TFT光センサに中〜高照度の光が照射しており、傾き補正値ASLPを補正する必要はないと判断して、そのままステップS27に移行する。なお、このとき、温度係数Dは初期値“1”に設定されているものとする。
【0069】
このように、周囲温度Tに応じて傾き補正値AOFFを補正することで、図11に示すように、温度に応じて光センサ出力特性の傾きが変化するような場合であっても対応することができる。
さらに、上記実施形態においては、照度LLSと周囲温度Tとに基づいて、予め格納されたルックアップテーブルを参照して、温度係数を算出することもできる。これにより、より緻密に光センサ出力特性の温度依存性を補償することができる。
【0070】
また、上記実施形態においては、本発明を半透過型液晶表示装置に適用する場合について説明したが、透過型液晶表示装置や反射型液晶表示装置に本発明を適用することも可能である。なお、反射型液晶表示装置の場合には、バックライトないしはサイドライトに代えてフロントライトを使用すればよい。
さらに、上記実施形態においては、光センサとしてTFT光センサを適用する場合について説明したが、周知のフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトTFT、フォトSCR、光導電体、光電池など、任意の光−電気変換素子を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明における実施形態の液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視して表した表示パネルを模式的に示した平面図ある。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】TFT基板上の光センサ及びスイッチ素子の断面図である。
【図4】光検知部の回路図である。
【図5】バックライト制御の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】光センサの出力特性を示す図である。
【図7】外光照度を3つの領域に分割した場合の補正例を示す図である。
【図8】光センサ出力特性の温度依存性を示す図である。
【図9】照度算出部で実行する照度補正処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態の効果を説明する図である。
【図11】光センサ出力特性の温度依存性の別の例を示す図である。
【図12】照度補正処理手順の別の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1…液晶表示装置、2…TFT基板、4…ゲート線、5…ソース線、11…コモン線、25…CF基板、26…対向電極、31…読み取り部、32…補正部、33…比較部、34…B/L制御部、35…バックライト、40…温度検出部、LS…光検知部、SW…スイッチ素子、C…コンデンサ、Vs…基準電圧
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センサの出力特性のばらつきを補正し、精度良く外光を検出することができる光量検出回路及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表示装置では、視認性の確保やバックライトの消費電力を低減する目的で、周囲の明るさを検出し、それに応じてバックライトの輝度を調整している。
このような表示装置として、表示パネル内のガラス基板上に光センサを搭載して外光を検出し、検出した外光の照度に応じてバックライト輝度を調整するというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、光センサ本体の光入射面側に、当該光入射面の中心位置からずれた位置に開口部を有する遮光層を配置することで、遮光層の開口部を通過して光センサ本体の光入射面に入射される外光の照度を、表示パネルの視野角に対応させて検出している。
【0003】
しかしながら、上記のようにガラス基板上に光センサを搭載する場合、製造プロセスに由来するセンサ特性のばらつきが生じ、外光照度を正確に検出できないおそれがある。
また、光センサの出力結果(電圧、電流、放電時間など)を受信・処理する際にも、A/Dコンバータの電圧ばらつきやカウンタ回路のオシレータのばらつき等が生じ得る。
これらのばらつきを補正する手法として、レーザトリミングやFIBリペアなどが考えられるが、このような手法を用いるとコストが嵩む。
【0004】
そこで、光センサを制御するIC側で、バイアス抵抗となる抵抗素子又は抵抗回路の抵抗値、及び光センサの出力を増幅する増幅器のゲインを調整することで、上記ばらつきを補正する手法(例えば、特許文献2参照)や、複数の光センサをガラス基板上に形成してばらつきを平均化する手法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2000−131137号公報
【特許文献2】特開2003−258975号公報
【特許文献3】特開2007−114315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガラス基板上に形成した光センサの出力特性は、低照度において十分な光電流を確保できなかったり、光照度において出力が飽和したりすることにより、非線形な特性となるため、上記特許文献2に記載の光センサにあっては、その出力特性を適正に補正することができない。
また、上記特許文献3に記載の表示装置にあっては、光センサを複数配置する必要がありコストが嵩む。
【0006】
そこで、本発明は、光センサの出力特性のばらつきを適正に補正して、外光検出を精度良く行うことができる光量検出回路及び表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明に係る光量検出回路は、外光を検知する光センサを有する光検知部を備える光量検出回路であって、前記光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数により近似した近似線と前記光検知部の出力値とに基づいて外光の光量を検出する光量検出部を備えることを特徴としている。
これにより、製造プロセスによる光センサ出力特性のばらつきを補正することができるので、正確に外光の照度を検出することができる。このとき、光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似した近似線を用いるので、光センサ出力特性が非線形であっても精度良く上記ばらつきを補正することができる。
【0008】
さらに、製造プロセスに由来する光センサ特性のばらつきや、光センサ出力を検出するドライバICの判定電圧のばらつき、オシレータのばらつき等を個別に補正するのではなく、一括してばらつきを補正することができるため合理的である。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記近似線は、前記照度−出力特性を少なくとも2つの外光照度領域に分け、各領域における最大照度での動作点と最小照度での動作点とを結ぶ直線の繋ぎ合わせであることを特徴としている。
【0009】
これにより、外光の光量検出に用いる近似線を比較的簡易に設定することができる。また、外光照度領域の分割数を増やすことで、光センサ出力特性を精度良く近似することができ、ばらつき補正をより正確に行うことができる。
さらに、第3の発明は、第2の発明において、前記光量検出部は、前記各直線を所定の理想特性線に一致させるためのオフセット補正値及び傾き補正値を用いて、前記光検知部の出力値を補正することで、外光の光量を検出することを特徴としている。
【0010】
これにより、光センサ出力特性のばらつきをロジック処理にて補正することができる。また、光センサを駆動するIC内部で当該光センサの出力値補正を完結することができるので、システムとして新たな付加物やコストアップなく、低照度から高照度まで広範囲に亘って正確な外光検出結果を得ることができる。
また、第4の発明は、第3の発明において、前記光センサの温度を検出する温度検出部を有し、前記光量検出部は、前記温度検出部で検出した温度に応じて、前記オフセット補正値及び傾き補正値の少なくとも一方を補正する温度補償部を備えていることを特徴としている。
【0011】
これにより、光センサ出力特性の温度依存性を補償することができ、より精度良く外光検出を行うことができる。
さらにまた、第5の発明に係る表示装置は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、前記光検知部は、前記光センサとしての薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間に接続されたコンデンサと、前記ソース電極と前記コンデンサの一方の端子に接続されたスイッチ素子とを有し、前記スイッチ素子のオン状態で基準電圧に充電され、前記スイッチ素子のオフ状態で前記薄膜トランジスタへ光が照射されることにより生じる漏れ電流により低下する前記コンデンサの電圧を検知することを特徴としている。
【0012】
これにより、センサ部に照射される光を精度良く検知することができる。
また、第6の発明に係る表示装置は、第1乃至第5の発明の何れかの光量検出回路と、表示パネルを照光する照光部と、前記光量検出回路の出力値に基づいて前記照光部を制御する制御部とを備えることを特徴としている。
これにより、光量検出回路で外光照度を正確に検出して、適正にバックライト等の照光部を制御することができるので、表示パネルの視認性の確保や消費電力の低減を実現した表示装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の表示装置としての液晶表示装置1の構成を示すブロック図である。ここでは、液晶表示装置1として半透過型液晶表示装置を例示する。また、図2は、図1のX−X線で切断した断面図である。
この液晶表示装置1の表示パネルは、図1及び図2に示すように、透明な絶縁性を有する材料、例えばガラス基板からなり、表面に薄膜トランジスタ(TFT)等を搭載したアクティブマトリクス基板(以下、TFT基板という)2と、表面にカラーフィルタ等が形成されたカラーフィルタ基板(以下、CF基板という)25との間に液晶層14が形成され、上記2枚の基板の上下面に偏光板を貼り付けた構成となっている。
【0014】
このうちTFT基板2は、その表示領域DAにゲート線4及びソース線5がマトリクス状に形成されており、ゲート線4とソース線5とで囲まれる部分に画素電極が形成され、ゲート線4とソース線5との交差部に画素電極と接続されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている。なお、符号LSは光検知部であって、後述するように表示領域DAの外周縁部に設けられている。これらの配線、TFT及び画素電極は、図2においてこれらを模式的に第1構造物3として示す。
【0015】
TFT基板2には、図1に示すように、その短辺部に液晶表示装置1を駆動するための図示しない画像供給装置と接続するためのフレキシブル配線基板FPCが設けられ、このフレキシブル配線基板FPCを通して画像供給装置から導出されたデータ線及び制御線が液晶ドライバICに接続されている。そして、液晶を駆動するVCOM信号、ソース信号、ゲート信号等の信号は、液晶ドライバIC内で生成されて、それぞれTFT基板2上のコモン線11、ソース線5及びゲート線4に供給される。
【0016】
また、TFT基板2の四隅には、複数のトランスファ電極10a〜10dが設けられている。これらのトランスファ電極10a〜10dは、コモン線11を介して互いに直接接続ないしは液晶ドライバIC内で互いに接続されている。各トランスファ電極10a〜10dは、後述する対向電極26と電気的に接続され、液晶ドライバICから出力される対向電極電圧が対向電極26に印加されるようになっている。
【0017】
CF基板25には、ガラス基板の表面にR(赤)、G(緑)、B(青)等の複数色からなるカラーフィルタと、ブラックマトリクスとが形成されている。このCF基板25は、TFT基板2に対向配置されるとともに、ブラックマトリクスが少なくともTFT基板2のゲート線4やソース線5に対応する位置に配置され、このブラックマトリクスによって区画された領域にカラーフィルタが設けられている。これらカラーフィルタ等は、図2において模式的に第2構造物27として示す。また、このCF基板25には、更に酸化インジウム、酸化スズ等で構成された透明電極からなる対向電極26が設けられており、この対向電極26は、表示領域DA全体に亘って形成されている。
【0018】
シール材6は、TFT基板2の表示領域DAの周囲に図示しない注入口を除いて塗布されている。また、両基板を接続するコンタクト材10Aは、例えば表面に金属メッキが施された導電性粒子と熱硬化性樹脂とから構成されている。そして、TFT基板2とCF基板25との張り合わせは、例えば、以下の手順で行われる。
まず、TFT基板2を第1のディスペンサ装置にセットしてシール材6を所定パターンで塗布し、次に、TFT基板2を第2のディスペンサ装置にセットしてコンタクト材10Aを各トランスファ電極10a〜10d上に塗布する。その後、TFT基板2の表示領域DAにスペーサ15を均一に散布し、CF基板25のシール材6やコンタクト材10Aが当接する部分に仮止め用接着剤を塗布する。その後、TFT基板2とCF基板25とを貼り合わせ、仮止め用接着剤を硬化させて仮止めが完了する。
【0019】
そして、仮止めされた両基板2、25を加圧しながら加熱処理すると、シール材6及びコンタクト材10Aの熱硬化性樹脂が硬化し、空の液晶表示パネルが完成する。この空の液晶表示パネル内に図示しない注入口から液晶14を注入し、この注入口を封止材で塞ぐと半透過型の液晶表示装置1が完成する。
また、TFT基板2の下方には、図示しない周知の光源(あるいは照光部)、導光板、拡散シート等を有するバックライトが配置されている。このバックライトは、表示パネル外部に設けられた後述するバックライト制御回路にて、その輝度が制御されるようになっている。
【0020】
次に、光検知部LSの構造について説明する。
図3は、光検知部LSを構成する光センサ及びスイッチ素子の断面図である。
光検知部LSを構成するTFT光センサ及びスイッチ素子SWは、図3に示すように、いずれもTFTからなりTFT基板2上に形成されている。すなわち、TFT基板2は、その表面にTFT光センサのゲート電極GL、コンデンサCの一方の端子C1及び一方のスイッチ素子SWを構成するゲート電極GSが形成され、これらの表面を覆うようにして窒化シリコンや酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜17が積層されている。
【0021】
また、TFT光センサのゲート電極GLの上及びスイッチ素子SWを構成するTFTのゲート電極GSの上には、それぞれゲート絶縁膜17を介して非晶質シリコンや多結晶シリコンなどからなる半導体層19L及び19Sが形成されている。
また、ゲート絶縁体17上には、アルミニウムやモリブデン等の金属からなるTFT光センサのソース電極SL及びドレイン電極DL、一方のスイッチ素子SWを構成するTFTのソース電極SS及びドレイン電極DSがそれぞれの半導体層19L及び19Sと接触するように設けられている。
【0022】
このうち、TFT光センサのソース電極SL及びスイッチ素子SWを構成するTFTのドレイン電極DSは、互いに延長されて接続されてコンデンサCの他方の端子C2が形成されている。更に、TFT光センサ、コンデンサC及びTFTからなるスイッチ素子SWの表面を覆うようにして、例えば、無機絶縁材料からなる保護絶縁膜18が積層されており、また、TFTからなるスイッチ素子SWの表面には、外部光の影響を受けないようにするために、遮光層21が被覆されている。
【0023】
さらに、この光検知部LSが配設された向かい側のCF基板25上には、図2に示すように、光検知部LSと対向する位置まで対向電極26が延設され、光検知部LSを構成するTFT光センサのドレイン電極DL及びコンデンサCにおけるグラウンド端子GR側の他方の端子C2が、この対向電極26にトランスファ電極10bを介して接続されている。
【0024】
この構造の光検知部LSは、図4に示すように、TFT光センサのドレイン電極DLとソース電極SLとの間にコンデンサCが並列接続され、ソース電極SLとコンデンサCの一方の端子とがスイッチ素子SWを介して基準電圧源に接続され、更に、TFT光センサのドレイン電極DL及びコンデンサCの他方の端子が対向電極(VCOM)に接続された構成となる。
【0025】
このような構成により、所定期間毎にスイッチ素子SWがオン状態となると、基準電圧源から所定の基準電圧Vs(例えば、+2V)がコンデンサCに印加されて充電される。この充電により、コンデンサCの両端には基準電圧Vsと対向電極電圧VCOM間の電位差が掛かって充電されるが、ゲート電極GLには逆極性のゲート電圧GVが印加されてゲートオフされているので、スイッチ素子SWをオフ状態とすると、TFT光センサへ光が照射されることにより生じる漏れ電流によって、この充電電圧が低下する。
【0026】
そして、コンデンサCへの充電タイミングから所定の読み取り時間後に、コンデンサCに充電された電圧を読み取り(検知し)、この検知出力によって、バックライト等の制御が可能となる。
【0027】
図5は、バックライト制御回路の詳細な構成を示すブロック図である。
この図5に示すように、バックライト制御回路は、光検知部LSから得られるアナログ情報を取得する読み取り部31と、読み取り部31の出力値に基づいて外光の照度Lを算出する補正部32と、該補正部32の出力値を後述する所定の基準値と比較する比較部33と、該比較部33の結果に基づいてバックライト35を制御するB/L制御部34とを備えている。
【0028】
読み取り部31は、光検知部LSのスイッチ素子SWのオン/オフ制御を行って、光検知部LSのコンデンサCへの充電を行うと共に、所定のタイミングで光検知部LSのコンデンサCに充電されている充電電圧を読み取る。また、このようにして取得したアナログ情報をA/D変換して照度データLLSとし、これを補正部32に出力する。
補正部32には、読み取り部31から出力される照度データLLSと、温度センサ40で検出されるTFT光センサの周囲温度Tとが入力され、補正部32は、これらに基づいて照度Lを算出する。ここで、温度センサ40は、バックライト制御回路内に備えられているものとし、例えば、バンドギャップのエネルギー変化を監視することで周囲温度を検出する。
【0029】
次に、照度Lの算出方法について説明する。
図6は、光センサの出力特性を示す図である。この図6に示すように、周囲温度による熱リークや外光以外の光(バックライトの漏れ光など)による光リークを無視できるような理想状態では、光センサの出力は破線Iに示すように外光照度に正比例(或いは逆比例)すると考えられる。
【0030】
しかし、本実施形態のように、ガラス基板上に光センサを形成する場合、低照度領域αにおいて十分な光電流を確保できなかったり、高照度領域βにおいて出力が飽和したりする場合がある。そのため、光センサの出力特性は実線に示すように非線形な特性となる。さらに、実線a〜cに示すように、製造プロセスのばらつきにより光センサの出力強度がシフトする。
【0031】
そこで、本実施形態では、このような光センサの出力特性のばらつきを考慮し、光センサ出力値LLSを補正することで正確に外光検出を行うようにする。具体的には、外光照度を低照度(L0〜L1[Lx])、中照度(L1〜L2[Lx])、高照度(L2〜L3[Lx])の3つの領域に分割し、各領域における光センサの出力特性を直線で近似して、これらの近似線が理想直線Iに一致するように定義した傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFを用いて光センサ出力値LLSを補正することで、外光照度Lを算出する。
【0032】
図7は、外光照度を3つの領域に分割した場合の補正例を示す図である。
この図7に示すように、外光照度を3つの領域に分け、各領域において光センサの出力特性Ioutを一次関数で近似し、直線Iout1〜Iout3とする。ここで、直線Iout1〜Iout3は、各領域における最大照度での動作点と最小照度での動作点とを結ぶ直線である。
【0033】
そして、これらの直線Iout1〜Iout3がそれぞれ理想直線Iに一致するように、傾き補正値ASLP1〜ASLP3[符号なし(n−1)ビット]及びオフセット補正値AOFF1〜AOFF3[符号付きnビット]を定義する。
すると、ばらつき補正後の照度Lは、傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFを用いて下記(1)式で表される。
【0034】
L=(LLS+AOFF)×ASLP/2n-1 ………(1)
ここで、補正値の組(ASLP,AOFF)は、光センサ出力値LLSに応じて、傾き補正値(ASLP1,AOFF1)、(ASLP2,AOFF2)及び(ASLP3,AOFF3)のうち何れかに設定される。
また、外光照度L0及びL1に対応する光センサ出力値をそれぞれPout(L0)及びPout(L1)、外光照度L0及びL1に対応する理想出力値をそれぞれI(L0)及びI(L1)とすると、直線Iout1に対応する傾き補正値ASLP1及びAOFF1は、それぞれ次式で表される。
【0035】
AOFF1={I(L1)×Pout(L0)−I(L0)×Pout(L1)}/{I(L0)−I(L1)} ………(2)
ASLP1={I(L0)/(Pout(L0)+AOFF1)+I(L1)/(Pout(L1)+AOFF1)}×2n-2 ………(3)
また、外光照度L2及びL3に対応する光センサ出力値をそれぞれPout(L2)及びPout(L3)、外光照度L2及びL3に対応する理想出力値をそれぞれI(L2)及びI(L3)とすると、直線Iout2に対応する傾き補正値ASLP2及びAOFF2は下記(4)及び(5)式で表され、直線Iout3に対応する傾き補正値ASLP2及びAOFF2は下記(6)及び(7)式で表される。
【0036】
AOFF2={I(L2)×Pout(L1)−I(L1)×Pout(L2)}/{I(L1)−I(L2)} ………(4)
ASLP2={I(L1)/(Pout(L1)+AOFF2)+I(L2)/(Pout(L2)+AOFF2)}×2n-2 ………(5)
AOFF3={I(L3)×Pout(L2)−I(L2)×Pout(L3)}/{I(L2)−I(L3)} ………(6)
ASLP3={I(L2)/(Pout(L2)+AOFF3)+I(L3)/(Pout(L3)+AOFF3)}×2n-2 ………(7)
このように、本実施形態では、光センサの出力特性Ioutを複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似し、その近似線と光センサ出力値LLSとに基づいて外光照度Lを検出する。
【0037】
一方で、光センサの出力特性は温度依存性を有しており、周囲温度に応じてその出力特性が変化することが分かっている。
図8は、光センサ出力特性の温度依存性を示す図であり、(a)は周囲温度Tに対する光センサ出力誤差、(b)は周囲温度Tに対する光センサ出力特性の変化を示している。
この図8(a)に示すように、室温(25℃)では光センサ出力誤差は零であり、例えば、外光照度100Lxにおいて外光検出値も100Lxとなるが、周囲温度Tが低いほど光センサ出力誤差は大きくなり、実際の外光照度に対してセンサ出力値が大きくなる。また、周囲温度が高い場合にもセンサ出力誤差は大きくなり、周囲温度Tが高いほど実際の外光照度に対してセンサ出力値が小さくなる。
【0038】
したがって、図8(b)に示すように、低温(例えば、−30℃)での光センサ出力特性は、一点鎖線で示すように、実線で示す室温(25℃)での出力特性を上側にオフセットした形となり、高温(例えば、70℃)での光センサ出力特性は、二点鎖線で示すように、室温(25℃)での出力特性を下側にオフセットした形となる。
そこで、本実施形態では、光センサの周囲温度Tを取得し、この周囲温度Tに応じてオフセット補正値AOFFを補正する。すなわち、下記(8)式に示すように、周囲温度Tに応じた温度係数Cをオフセット補正値AOFFに乗算することでオフセット補正値AOFFを補正して、照度Lを算出する。
【0039】
L=(LLS+AOFF×C)×ASLP/2n-1 ………(8)
補正部32では、先ず、読み取り部31から出力される照度LLSが、上記3つの照度領域のうちどの領域内にあるかを判別し、その判別結果に基づいて、予め上記(2)〜(7)式をもとに算出されメモリに記憶された補正値の組(ASLP1,AOFF1)、(ASLP2,AOFF2)及び(ASLP3,AOFF3)のうち、適切な補正値の組を選択する。次に、周囲温度Tに応じて、選択した補正値の組を補正し、最終的な補正値の組(ASLP,AOFF×C)を求める。そして、このようにして得られた補正値の組(ASLP,AOFF×C)を用いて、上記(8)式をもとに補正後の照度Lを算出する。
【0040】
図9は、補正部32で実行する照度補正処理手順を示すフローチャートである。
先ずステップS1で、補正部32は、光検知部LSで検知した照度LLSを読み込み、ステップS2に移行する。
ステップS2では、補正部32は、光検知部LSで検知した照度LLSが低照度判定閾値Pout(L1)以下であるか否かを判定し、LLS≦Pout(L1)である場合には、TFT光センサに低照度の光が照射していると判定してステップS3に移行する。
【0041】
ステップS3では、補正部32は、メモリに記憶された傾き補正値ASLP1及びオフセット補正値AOFF1を、それぞれ傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFとして選択して後述するステップS7に移行する。
また、前記ステップS2でLLS>Pout(L1)であると判定した場合には、ステップS4に移行して、照度LLSが高照度判定閾値Pout(L2)以下であるか否かを判定する。
【0042】
そして、LLS≦Pout(L2)である場合にはステップS5に移行して、メモリに記憶された傾き補正値ASLP2及びオフセット補正値AOFF2を、それぞれ傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFとして選択してから後述するステップS7に移行し、LLS≦Pout(L3)である場合にはステップS6に移行して、メモリに記憶された傾き補正値ASLP3及びオフセット補正値AOFF3を、それぞれ傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFとして選択してからステップS7に移行する。
【0043】
ステップS7では、補正部32は、温度センサにより周囲温度Tを読み込み、ステップS8に移行する。
ステップS8では、補正部32は、温度Tが低温判定閾値T1以下であるか否かを判定し、T≦T1であるときには、ステップS9に移行して、予めメモリに記憶された温度係数C1(例えば、0<C1<1)を最終的な温度係数Cとして選択してから後述するステップS13に移行する。一方、前記ステップS8でT>T1であると判定したときには、ステップS10に移行して、温度Tが高温判定閾値T2以下であるか否かを判定する。
【0044】
そして、このステップS10でT≦T2であると判定したときには、ステップS11に移行して、予めメモリに記憶された温度係数C2(例えば、C2=1)を最終的な温度係数Cとして選択してから後述するステップS13に移行し、前記ステップS10でT>T2であると判定したときには、ステップS12に移行して、予めメモリに記憶された温度係数C3(例えば、C3>1)を最終的な温度係数Cとして選択してからステップS13に移行する。
【0045】
ステップS13では、補正部32は、上記(8)式をもとに補正後の照度Lを算出し、ステップS14に移行する。
ステップS14では、補正部32は、前記ステップS13で算出した補正後の照度Lを、比較部33に出力してから照度補正処理を終了する。
比較部33は、補正部32から入力される補正後の照度Lを所定の照度閾値と比較し、その結果をB/L制御部34に出力する。ここで、上記照度閾値は、対応するバックライトの輝度、外光の照度Lに対して表示の見栄えが最適になる、あるいは低消費電力になる値に設定する。
【0046】
そして、B/L制御部34は、比較部33での比較結果をもとに、バックライト35を最適な輝度に制御する。
図5において、光検知部LS、読み取り部31及び補正部32が光量検出回路に対応し、比較部33及びB/L制御部34が制御部に対応し、バックライト35が照光部に対応し、温度センサ40が温度検出部に対応している。また、図9において、ステップS8〜S12が温度補償部に対応している。
【0047】
次に、本発明における実施形態の動作について説明する。
先ず、室温状態で、液晶表示装置1に4段階の照度L0,L1,L2及びL3の光をそれぞれ照射し、各照度における光センサ出力値Pout(L0),Pout(L1),Pout(L2)及びPout(L3)を取得する。そして、これら光センサ出力値Pout(L0)〜Pout(L3)を用いて、上記(2)〜(7)式をもとに、傾き補正値ASLP1〜ASLP3及びオフセット補正値AOFF1〜AOFF3をそれぞれ算出し、メモリに記憶しておく。
【0048】
今、LLS≦Pout(L1)となるような低照度の外光がTFT光センサに照射しているものとする。このとき、読み取り部31が光検知部LSのスイッチ素子SWをオン状態とし、光検知部LSのコンデンサCに基準電圧Vsを充電する。そして、その後、読み取り部31がスイッチ素子SWをオフ状態に切り替え、TFT光センサに上記外光が照射されることにより生じる漏れ電流によって、コンデンサCに充電された充電電圧が所定の放電特性で低下する。その後、読み取り部31は、所定の読み取り時間が経過した時点で、コンデンサCの充電電圧を読み取り、その読み取り値から照度LLSを算出する。
【0049】
LLS≦Pout(L1)であることから、補正部32では、図9のステップS2でYesと判定してステップS3に移行し、上記(2)及び(3)式をもとに算出されるオフセット補正値AOFF1及び傾き補正値ASLP1を、オフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPとして選択する。このとき、周囲温度Tが室温(25℃)近傍であって、T1<T≦T2であるものとすると、補正部32は、ステップS8でNoと判定してステップS10に移行し、該ステップS10でYesと判定して、ステップS11で温度係数C2を温度係数Cとして選択する。
【0050】
そして、ステップS13で、前記ステップS3で選択したオフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPと、前記ステップS11で選択した温度係数Cとを用いて、上記(8)式をもとに照度Lを算出する。この照度Lは、光検知部LSから得られる照度LLSより大きい値となり、実際の外光照度と略等しい値となる。このように、光センサ出力特性のばらつきに起因する光センサ出力誤差が補正され、実際の外光照度に対応した正確な照度Lを得ることができる。
【0051】
また、LLS>Pout(L2)となるような高照度の外光がTFT光センサに照射しているものとすると、補正部32は、図9のステップS2でNoと判定してステップS4に移行する。そして、ステップS4でNoと判定してステップS6に移行し、上記(6)及び(7)式をもとに算出されるオフセット補正値AOFF3及び傾き補正値ASLP3を、オフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPとして選択する。このとき、周囲温度Tが室温(25℃)近傍であって、T1<T≦T2であるものとすると、補正部32は、ステップS11で温度係数C2を温度係数Cとして選択する。
【0052】
したがって、ステップS13で、前記ステップS6で選択したオフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPと、前記ステップS11で選択した温度係数Cとを用いて、上記(8)式をもとに照度Lを算出する。
このように、センサ出力値が低照度領域内にあるときと高照度領域内にあるときとで、傾き補正値ASLP及びオフセット補正値AOFFを変更するので、光センサ出力特性が非線形であっても、各照度領域の出力特性のばらつきに対応した補正が可能となり、適正に外光検出を行うことができる。
【0053】
また、この状態から周囲温度Tが上昇し、T>T2となると、補正部32は、図9のステップS8でNoと判定してステップS10に移行し、該ステップS10でもNoと判定するので、ステップS12で温度係数C3を温度係数Cとして選択する。
そして、ステップS13で、前記ステップS6で選択したオフセット補正値AOFF及び傾き補正値ASLPと、前記ステップS12で選択した温度係数Cとを用いて、上記(8)式をもとに照度Lを算出する。
【0054】
ここで、温度係数C3は、温度係数C2より大きく設定されているため、T>T2である高温時の照度LLSは、前述したT1<T≦T2である室温時と比較して大きい値に補正される。これにより、図8(b)に示すように、高温時に光センサ出力特性が室温時の出力特性に対して下側にオフセットするような場合でも、光センサ出力誤差を適正に補正して正確な外光照度を得ることができる。
【0055】
このように、周囲温度Tを検出し、その周囲温度Tに応じてオフセット補正値AOFFを補正するので、光センサ出力特性の温度依存性を補償することができる。
ところで、ガラス基板上に形成した光センサの出力特性のばらつきを補正する手法として、光センサを制御するIC側で、バイアス抵抗となる抵抗素子又は抵抗回路の抵抗値、及び光センサの出力を増幅する増幅器のゲインを調整する手法や、複数の光センサをガラス基板上に形成してばらつきを平均化する手法が知られている。
【0056】
しかしながら、これらの手法を適用した場合、光センサ出力特性が非線形となる場合に対応できなかったり、複数の光センサを形成する必要がありコストが嵩んだりする。
これに対して、本実施形態では、光センサ出力特性を複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似し、その近似線の傾きとオフセット量とを調整することにより、光センサ出力特性のばらつき補正を行うので、光センサ出力特性が非線形の場合であっても上記ばらつきを適正に補正して、正確な外光照度を検出することができると共に、複数の光センサを設ける必要がないため、コスト面やデザイン自由度の面で有利である。
【0057】
図10は、本実施形態の効果を説明する図である。この図10からも明らかなように、光センサ出力特性を3つの照度領域に分割し、照度L0〜L3の4点で補正した場合、光センサ出力特性のばらつき補正前に発生している光センサ出力誤差を精度良く解消することができることがわかる。
このように、上記実施形態は、光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似し、その近似線と光検知部の出力値とに基づいて外光の光量を検出するので、製造プロセスによる光センサ出力特性のばらつきを補正することができ、正確に外光の照度を検出することができる。このとき、光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数の繋ぎ合わせで近似した近似線を用いるので、光センサ出力特性が非線形であっても精度良く上記ばらつきを補正することができる。
【0058】
さらに、製造プロセスに由来する光センサ特性のばらつきや、光センサ出力を検出するドライバICの判定電圧のばらつき、オシレータのばらつき等を個別に補正するのではなく、一括してばらつきを補正することができるため合理的である。
また、上記近似線は、光検知部の照度−出力特性を少なくとも2つの外光照度領域に分け、各領域における最大照度での動作点と最小照度での動作点とを結ぶ直線の繋ぎ合わせとするので、外光の光量検出に用いる近似線を比較的簡易に設定することができる。また、外光照度領域の分割数を増やすことで、光センサ出力特性を精度良く近似することができ、ばらつき補正をより正確に行うことができる。
【0059】
さらに、上記各直線を理想特性線に一致させるためのオフセット補正値及び傾き補正値を用いて光検知部の出力値を補正することで、外光の光量を検出するので、光センサ出力特性のばらつきをロジック処理にて補正することができる。
また、光センサを駆動するIC内部で当該光センサの出力値補正を完結することができるので、システムとして新たな付加物やコストアップなく、低照度から高照度まで広範囲に亘って正確な外光検出結果を得ることができる。
【0060】
さらにまた、光センサの周囲温度に応じて、オフセット補正値及び傾き補正値の少なくとも一方を補正するので、光センサ出力特性の温度依存性を補償することができ、より精度良く外光検出を行うことができる。
また、上記のような光量検出回路を、バックライト制御を行う表示装置に適用するので、光量検出回路で検出した正確な外光照度を用いて適正にバックライトを制御することができ、表示パネルの視認性の確保や消費電力の低減を実現した表示装置とすることができる。
【0061】
なお、上記実施形態においては、周囲温度Tに応じて温度係数Cをオフセット補正値AOFFに乗じることで、当該オフセット補正値AOFFを補正する場合について説明したが、周囲温度Tに応じた所定の温度係数C´とオフセット補正値AOOFとを加減算することで、当該オフセット補正値AOFFを補正することもできる。
また、照度判定閾値L0〜L3、温度判定閾値T1,T2、及び温度係数C(又はC´)の値は、光センサの特性に応じて変更することもできる。これにより、個々の光センサ特性のばらつきに対応することができ、正確に外光検出誤差を補正することができる。
【0062】
さらに、上記実施形態においては、外光照度を3つの領域に分割する(4点補正する)場合について説明したが、4つ以上の領域に分割することもできる。このように、分割数を増やすことにより、光センサ特性のばらつき補正の精度を向上させることができる。
また、上記実施形態においては、周囲温度Tに応じてオフセット補正値AOFFを補正する場合について説明したが、傾き補正値ASLPを補正することもでき、更にはオフセット補正値AOFFと傾き補正値ASLPとの両方を補正することもできる。
【0063】
図11は、光センサ出力特性の温度依存性の別の例を示す図であり、(a)は低照度における周囲温度Tに対する光センサ出力誤差、(b)は周囲温度Tに対する光センサ出力特性の変化を示している。
この図11(a)に示すように、低照度領域において、周囲温度Tが室温(25℃)を超えて高温になるほど、光センサ出力誤差が大きくなる場合がある。これは、低照度側では光センサが熱リークの影響を受け易いことに起因する。このような光センサの出力特性は、図11(b)に示すように、高温になるほど低照度領域での傾きが緩やかになる。
【0064】
したがって、この場合、補正部32では周囲温度Tに応じて傾き補正値ASLPを補正する必要があり、補正部32で実行する照度補正処理は、図12に示すようになる。この照度補正処理では、前述した図9に示す照度補正処理において、ステップS8〜S13の処理をステップS21〜S27の処理に置換したことを除いては、図9と同様の処理を行う。
【0065】
すなわち、補正部32は、前記ステップS7で周囲温度Tを読み込んだ後、ステップS21に移行し、照度LLSが低照度判定閾値Pout(L1)以下であるか否かを判定する。そして、LLS≦Pout(L1)である場合には、TFT光センサに低照度の光が照射しており、傾き補正値ASLPの補正が必要である可能性があると判定してステップS22に移行し、周囲温度Tが低温判定閾値T1以下であるか否かを判定する。そして、T≦T1であるときにはステップS23に移行する。
【0066】
ステップS23では、補正部32は、予めメモリに記憶された温度係数D1を最終的な温度係数Dとして選択し、後述するステップS27に移行する。
一方、前記ステップS22でT>T1であると判定したときには、ステップS24に移行して、周囲温度Tが高温判定閾値T2以下であるか否かを判定する。そして、T≦T2であるときにはステップS25に移行して、予めメモリに記憶された温度係数D2を最終的な温度係数Dとして選択し、後述するステップS27に移行する。また、T>T2であるときにはステップS26に移行して、予めメモリに記憶された温度係数D3を最終的な温度係数Dとして選択し、ステップS27に移行する。
【0067】
なお、ここでは、周囲温度Tが室温より高いときに、周囲温度Tが高いほど温度係数Dが大きくなるように、温度判定閾値T1及びT2、並びに温度係数D1〜D3を設定するものとする。
ステップS27では、補正部32は、下記(9)式をもとに照度Lを算出し、前記ステップS14に移行する。
【0068】
L=(LLS+AOFF)×ASLP×D/2n-1 ………(9)
また、前記ステップS21でLLS>Pout(L1)であると判定したときには、TFT光センサに中〜高照度の光が照射しており、傾き補正値ASLPを補正する必要はないと判断して、そのままステップS27に移行する。なお、このとき、温度係数Dは初期値“1”に設定されているものとする。
【0069】
このように、周囲温度Tに応じて傾き補正値AOFFを補正することで、図11に示すように、温度に応じて光センサ出力特性の傾きが変化するような場合であっても対応することができる。
さらに、上記実施形態においては、照度LLSと周囲温度Tとに基づいて、予め格納されたルックアップテーブルを参照して、温度係数を算出することもできる。これにより、より緻密に光センサ出力特性の温度依存性を補償することができる。
【0070】
また、上記実施形態においては、本発明を半透過型液晶表示装置に適用する場合について説明したが、透過型液晶表示装置や反射型液晶表示装置に本発明を適用することも可能である。なお、反射型液晶表示装置の場合には、バックライトないしはサイドライトに代えてフロントライトを使用すればよい。
さらに、上記実施形態においては、光センサとしてTFT光センサを適用する場合について説明したが、周知のフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトTFT、フォトSCR、光導電体、光電池など、任意の光−電気変換素子を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明における実施形態の液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視して表した表示パネルを模式的に示した平面図ある。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】TFT基板上の光センサ及びスイッチ素子の断面図である。
【図4】光検知部の回路図である。
【図5】バックライト制御の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】光センサの出力特性を示す図である。
【図7】外光照度を3つの領域に分割した場合の補正例を示す図である。
【図8】光センサ出力特性の温度依存性を示す図である。
【図9】照度算出部で実行する照度補正処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態の効果を説明する図である。
【図11】光センサ出力特性の温度依存性の別の例を示す図である。
【図12】照度補正処理手順の別の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1…液晶表示装置、2…TFT基板、4…ゲート線、5…ソース線、11…コモン線、25…CF基板、26…対向電極、31…読み取り部、32…補正部、33…比較部、34…B/L制御部、35…バックライト、40…温度検出部、LS…光検知部、SW…スイッチ素子、C…コンデンサ、Vs…基準電圧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外光を検知する光センサを有する光検知部を備える光量検出回路であって、
前記光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数により近似した近似線と前記光検知部の出力値とに基づいて外光の光量を検出する光量検出部を備えることを特徴とする光量検出回路。
【請求項2】
前記近似線は、前記照度−出力特性を少なくとも2つの外光照度領域に分け、各領域における最大照度での動作点と最小照度での動作点とを結ぶ直線の繋ぎ合わせであることを特徴とする請求項1に記載の光量検出回路。
【請求項3】
前記光量検出部は、前記各直線を所定の理想特性線に一致させるためのオフセット補正値及び傾き補正値を用いて、前記光検知部の出力値を補正することで、外光の光量を検出することを特徴とする請求項2に記載の光量検出回路。
【請求項4】
前記光センサの温度を検出する温度検出部を有し、
前記光量検出部は、前記温度検出部で検出した温度に応じて、前記オフセット補正値及び傾き補正値の少なくとも一方を補正する温度補償部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の光量検出回路。
【請求項5】
前記光検知部は、前記光センサとしての薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間に接続されたコンデンサと、前記ソース電極と前記コンデンサの一方の端子に接続されたスイッチ素子とを有し、前記スイッチ素子のオン状態で基準電圧に充電され、前記スイッチ素子のオフ状態で前記薄膜トランジスタへ光が照射されることにより生じる漏れ電流により低下する前記コンデンサの電圧を検知することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光量検出回路。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の光量検出回路と、
表示パネルを照光する照光部と、前記光量検出回路の出力値に基づいて前記照光部を制御する制御部とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
外光を検知する光センサを有する光検知部を備える光量検出回路であって、
前記光検知部の照度−出力特性を複数の一次関数により近似した近似線と前記光検知部の出力値とに基づいて外光の光量を検出する光量検出部を備えることを特徴とする光量検出回路。
【請求項2】
前記近似線は、前記照度−出力特性を少なくとも2つの外光照度領域に分け、各領域における最大照度での動作点と最小照度での動作点とを結ぶ直線の繋ぎ合わせであることを特徴とする請求項1に記載の光量検出回路。
【請求項3】
前記光量検出部は、前記各直線を所定の理想特性線に一致させるためのオフセット補正値及び傾き補正値を用いて、前記光検知部の出力値を補正することで、外光の光量を検出することを特徴とする請求項2に記載の光量検出回路。
【請求項4】
前記光センサの温度を検出する温度検出部を有し、
前記光量検出部は、前記温度検出部で検出した温度に応じて、前記オフセット補正値及び傾き補正値の少なくとも一方を補正する温度補償部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の光量検出回路。
【請求項5】
前記光検知部は、前記光センサとしての薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極の間に接続されたコンデンサと、前記ソース電極と前記コンデンサの一方の端子に接続されたスイッチ素子とを有し、前記スイッチ素子のオン状態で基準電圧に充電され、前記スイッチ素子のオフ状態で前記薄膜トランジスタへ光が照射されることにより生じる漏れ電流により低下する前記コンデンサの電圧を検知することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光量検出回路。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の光量検出回路と、
表示パネルを照光する照光部と、前記光量検出回路の出力値に基づいて前記照光部を制御する制御部とを備えることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−139301(P2009−139301A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317976(P2007−317976)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]