説明

光音響画像生成装置及び方法

【課題】光音響画像を生成したい部分とは異なる位置に光が照射されることを防止する。
【解決手段】超音波駆動手段23は、プローブ11の超音波検出部21から音響波の一例としての超音波を送信させる。超音波検出部21は、送信した超音波に対する反射音響信号を検出する。画像構築手段26は、反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する。参照画像保存手段28は、事前に生成された、プローブ11が光音響画像を生成すべき位置にあるときの超音波画像を参照画像として保存する。プローブ位置判定手段29は、超音波画像の特徴と、参照画像の特徴とを比較する。レーザ制御手段30は、反射音響信号の特徴が一致すると判断されると、レーザユニット13に光出射を指示する。超音波検出部21は、レーザ光の照射により被検体内で生じた光音響信号を検出する。画像構築手段26は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響画像生成装置及び方法に関し、更に詳しくは、被検体にレーザ光を照射し、レーザ光照射により被検体内で生じた超音波を検出して光音響画像を生成する光音響画像生成装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内部の状態を非侵襲で検査できる画像検査法の一種として、超音波検査法が知られている。超音波検査では、超音波の送信及び受信が可能な超音波探触子を用いる。超音波探触子から被検体(生体)に超音波を送信させると、その超音波は生体内部を進んでいき、組織界面で反射する。超音波探触子でその反射音波を受信し、反射超音波が超音波探触子に戻ってくるまでの時間に基づいて距離を計算することで、内部の様子を画像化することができる。
【0003】
また、光音響効果を利用して生体の内部を画像化する光音響イメージングが知られている。一般に光音響イメージングでは、パルスレーザ光を生体内に照射する。生体内部では、生体組織がパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、そのエネルギーによる断熱膨張により超音波(光音響信号)が発生する。この光音響信号を超音波プローブなどで検出し、検出信号に基づいて光音響画像を構成することで、光音響信号に基づく生体内の可視化が可能である。
【0004】
ここで、光音響イメージングでは、比較的出力の高いレーザ光を生体内に照射する必要がある。安全性の観点からは、プローブが生体に接触していないときはパルスレーザ光の出射を抑止することが好ましい。これに関して、特許文献1には、光路上に配置された被測定物を検出する被測定物検出手段を設け、被測定物検出手段が被測定物を検出しているときに光照射を行うことが記載されている。被測定物の検出には、被測定物の特定を利用できる。具体的には、被測定物の遮光性、反射性、固有の温度、重さ、静電容量を利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−142320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光音響画像の生成では、光音響画像を生成したい場所に光照射を行い、その場所で発生した光音響を検出する必要がある。しかし、特許文献1における被測定物検出手段は、レーザが出射する位置に被測定物が位置しているか否かを検出しているだけであり、被測定物のどの部分にレーザ光が照射されるかまでは検出できない。特許文献1では、被測定物がセットされればレーザ光照射が可能になるため、所望の位置とは異なる位置にレーザ光が照射され、画像化したい位置とは異なる位置で光音響画像を生成することがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、光音響画像を生成したい部分とは異なる位置にレーザ光等の光が照射されることを防止できる光音響画像生成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、被検体に対して照射すべき光を出射する光源ユニットと、前記被検体に対して音響波の送信を行うと共に、前記光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号、及び前記送信された音響波に対する反射音響信号を検出するプローブと、前記プローブで検出された反射音響信号の特徴と、事前に取得された、前記プローブが光音響画像を生成すべき位置にあるときに前記プローブで検出された反射音響信号の特徴とを比較し、両者が一致するか否かを判定するプローブ位置判定手段と、前記プローブ位置判定手段で一致すると判定されると、前記光源ユニットに光出射を指示する光源制御手段と、前記プローブで検出された光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成手段とを備える光音響画像生成装置を提供する。
【0009】
本発明の光音響画像生成装置は、前記反射音響信号に基づいて音響波画像を生成する音響波画像生成手段を更に備え、前記プローブ位置判定手段が、前記音響波画像を利用して前記反射音響信号の特徴を比較する構成を採用することができる。この場合、前記プローブ位置判定手段が、前記生成された音響波画像から特徴を抽出し、該抽出した特徴と、前記事前に取得された反射音響信号に基づいて生成された音響波画像の特徴とを比較することとしてもよい。
【0010】
本発明の光音響画像生成装置は、前記プローブが光音響画像を生成すべき位置にあるときに前記プローブで検出された反射音響信号に基づいて前記音響波画像生成手段が生成した音響波画像を参照画像として保存する参照画像保存手段を更に備え、前記プローブ位置判定手段が、前記保存された前記参照画像から特徴を抽出し、前記音響波画像の特徴を比較する構成としてもよい。
【0011】
本発明の光音響画像生成装置は、前記プローブが被検体に接触しているか否かを判定する接触状態判定手段と、前記接触状態判定手段で接触していないと判定されると、前記光の出射を抑止する光照射抑止手段とを更に備えていてもよい。この場合、前記接触状態判定手段は、前記プローブで検出された反射音響信号に基づいて、前記プローブが被検体に接触しているか否かを判定してもよい。
【0012】
また本発明の光音響画像生成装置においては、プローブとして、
バッキング材と、
このバッキング材の表面上に配列された複数の無機圧電素子と、
これら複数の無機圧電素子の上に配置された第1の音響整合層と、
この第1の音響整合層の上に配置された第2の音響整合層とを備え、
前記第2の音響整合層は、複数の有機圧電素子を構成する上側有機層と、前記上側有機層と併せて前記複数の無機圧電素子に対する音響整合を行うための下側有機層とからなるものが用いられることが望ましい。
【0013】
あるいは、プローブとして、
バッキング材の上に配列された複数の無機圧電素子と、
これらの無機圧電素子と共に、バッキング材の表面と平行な方向に並べて配列された複数の有機圧電素子とからなるものが用いられてもよい。
【0014】
なお上述のような各プローブにおいては、複数の無機圧電素子が音響波の送信に用いられ、複数の有機圧電素子が反射音響信号の検出に用いられることが望ましい。
【0015】
本発明は、また、プローブから、被検体に対して音響波を送信するステップと、前記プローブにより、前記送信された音響波に対する反射音響信号を検出するステップと、前記プローブで検出された反射音響信号の特徴と、事前に取得された、前記プローブが光音響画像を生成すべき位置にあるときに前記プローブで検出された反射音響信号の特徴とを比較するステップと、前記比較するステップで反射音響信号の特徴が一致すると判断されると、前記被検体に対して光の照射を行うステップと、前記プローブにより、前記光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号を検出するステップと、前記検出された光音響信号に基づいて光音響画像を生成するステップとを有する光音響画像生成方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光音響画像生成装置及び方法では、事前に光音響像を生成した位置において音響波の送受信を行い、その位置における反射音響波を検出しておく。光音響画像の生成では、光照射に先立って、被検体に対して音響波の送受信を行い、検出された反射音響波と、事前の検出しておいた反射音響波との特徴が一致するか否かを判定する。一致すると判定されたとき、被検体に対して光を照射し、光音響信号を検出して光音響画像を生成する。このようにすることで、事前に音響波の検出を行っておいた所望の位置において光音響画像を生成することができ、光音響画像を生成したい部分とは異なる位置に無駄に光が照射されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態の光音響画像生成装置を示すブロック図。
【図2】位置登録時の動作手順を示すフローチャート。
【図3】光音響画像生成時の動作手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2実施形態の光音響画像生成装置を示すブロック図。
【図5】プローブの一例を示す一部破断斜視図。
【図6】図5のプローブの一部を示す側断面図。
【図7】図5のプローブの作製方法を示す概略図。
【図8】図5のプローブの駆動回路を示す図。
【図9】プローブの別の例を示す一部破断斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の光音響画像生成装置を示す。光音響画像生成装置10は、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12、及びレーザ光源(レーザユニット)13を備える。レーザユニット13は、被検体に照射すべきレーザ光を出射する。レーザ光の波長は、観察対象物に応じて適宜設定すればよい。レーザユニット13から出射したレーザ光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光される。
【0019】
プローブ11は、音響波の一例としての超音波を検出する超音波検出部21と光照射部22とを含む。光照射部22は、レーザユニット13が出射したレーザ光を被検体に向けて照射する。超音波検出部21は、被検体に対する超音波の出力(送信)、及び被検体からの超音波の検出(受信)を行う。超音波検出部21は、例えば一次元的に配列された複数の超音波振動子を有する。超音波検出部21は、二種類の超音波(超音波信号)を検出する。1つは、被検体内の測定対象物がレーザユニット13からのレーザ光を吸収することで生じた超音波(以下、光音響信号とも呼ぶ)であり、もう1つは、被検体に出力された超音波に対する反射超音波(以下、反射音響信号とも呼ぶ)である。なお光照射部22は、プローブ11とは別体に形成されてもよい。
【0020】
超音波ユニット12は、超音波駆動手段23、受信回路24、データメモリ25、画像構築手段26、画像メモリ27、参照画像保存手段28、プローブ位置判定手段29、及びレーザ制御手段30を含む。超音波駆動手段23は、プローブ11の超音波検出部21が有する複数の超音波振動子を駆動し、超音波検出部21から超音波を出力させる。超音波駆動手段23は、例えば複数の超音波振動子に所定波形のパルス電気信号を出力することで、超音波振動子から超音波を出力させる。受信回路24は、超音波検出部21が検出した超音波信号(光音響信号又は反射音響信号)を受信する。受信回路24は、例えば超音波信号をサンプリングしてデジタル信号に変換するAD変換器などを含む。受信回路24は、受信した超音波信号(そのサンプリングデータ)をデータメモリ25に格納する。
【0021】
画像構築手段26は、超音波信号に基づいて断層画像を生成する。画像構築手段26は、例えばデータメモリ25から光音響信号を読み出し、読み出した光音響信号に基づいて光音響画像を生成する。また、画像構築手段26は、データメモリ25から反射音響信号を読み出し、読み出した反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する。画像構築手段26は、生成した光音響画像及び超音波画像を画像メモリ27に格納する。なお、図1では、光音響画像と超音波画像とを1つの画像構築手段26で生成しているが、光音響画像生成装置が、光音響画像を生成する光音響画像生成手段と、超音波画像を生成する超音波画像生成手段とを別個の手段として備えていてもよい。
【0022】
プローブ位置判定手段29は、プローブ11で検出された反射音響信号の特徴と、事前に取得された、プローブ11が光音響画像を生成すべき位置にあるときにプローブ11で検出された反射音響信号の特徴とを比較する。本実施形態では、プローブ位置判定手段29は、反射音響信号を直接用いるのではなく、反射音響信号に基づいて生成された超音波画像を利用して、超音波画像(反射音響信号)の特徴を比較する。超音波画像の特徴としては、例えば血管の存在の有無、表皮と思われる部分の境界の有無やその位置、或いは信号が十分大きく得られる深さ、位置などを用いることができる。プローブ位置判定手段29は、例えば画像メモリ27に格納された超音波画像から特徴を抽出し、抽出した特徴と、プローブ11が光音響画像を生成する位置にあるときの反射音響信号に基づいて生成された超音波画像の特徴とを比較する。
【0023】
参照画像保存手段28は、画像構築手段26により、プローブ11が光音響画像を生成すべき位置にあるときにプローブ11で検出された反射音響信号に基づいて生成された超音波画像を、参照画像として保存する。プローブ位置判定手段29は、例えば保存された参照画像から特徴を抽出し、参照画像から抽出した特徴と、画像構築手段26で生成された今回の超音波画像から抽出した特徴とを比較する。これに代えて、参照画像から抽出した特徴を保存し、保存された特徴と、画像構築手段26で生成された今回の超音波画像から抽出した特徴とを比較してもよい。光源制御手段であるレーザ制御手段30は、プローブ位置判定手段29で特徴が一致すると判定されると、レーザユニット13に対して光出射を指示する旨の信号を出力する。
【0024】
動作手順について説明する。ユーザは、事前に、光音響画像を生成すべき位置の登録を行う。図2は、位置登録時の動作手順を示す。ユーザは、光音響画像生成装置10に対して、光音響画像を生成すべき位置の登録を行う旨を指示する。ユーザは、プローブ11を、光音響画像を生成すべき位置に移動する(ステップA1)。プローブ11の移動後、超音波駆動手段23は、プローブ11の超音波検出部21の超音波振動子に駆動信号を与え、プローブ11から被検体に対する超音波送信を行わせる(ステップA2)。超音波検出部21は、送信された超音波に対する反射音響信号を検出する(ステップA3)。受信回路24は、検出された反射音響信号をデータメモリ25に格納する。
【0025】
画像構築手段26は、データメモリ25から反射音響信号を読み出し、超音波画像を生成する(ステップA4)。参照画像保存手段28は、ステップA4で生成された超音波画像を、参照画像として保存する(ステップA5)。光音響画像を生成したい位置が複数ある場合には、ステップA1からステップA5を繰り返し実行し、複数の位置における超音波画像を参照画像として保存すればよい。参照画像を保存することで、光音響画像生成の前段階の準備が整う。
【0026】
図3は、光音響画像生成時の動作手順を示す。ユーザは、位置の登録後、プローブ11を任意の位置に置いた状態で、光音響画像の生成を指示する。ユーザは、例えば手動スイッチや、フットスイッチなどを用いて、光音響画像生成装置10を、光音響画像の生成が可能な状態に切り替える。あるいは、この切り替えは自動的に行われてもよい。超音波駆動手段23は、プローブ11を駆動し、被検体に対して超音波を送信させる(ステップB1)。プローブ11の超音波検出部21は、ステップB1で送信された超音波に対する反射音響信号を検出する(ステップB2)。受信回路24は、検出された反射音響信号をデータメモリ25に格納する。
【0027】
画像構築手段26は、データメモリ25から反射音響信号を読み出し、超音波画像を生成する(ステップB3)。画像構築手段26は、生成した超音波画像を画像メモリ27に格納する。プローブ位置判定手段29は、参照画像保存手段28に参照画像として保存された超音波画像と、画像メモリ27に格納された今回の超音波画像とを比較し、両画像の特徴が一致するか否かを判定する(ステップB4)。プローブ位置判定手段29は、特徴が一致しないときは、プローブ11が、光音響画像を生成すべき位置として登録された位置、又はその位置と同じ特徴を持つ位置に配置されていないと判断する。この場合はステップB1に戻る。光音響画像生成装置10は、ステップB4で特徴が一致すると判定されるまで、ステップB1からステップB4を繰り返し実行する。
【0028】
ステップB4で特徴が一致すると判定されると、プローブ11が、光音響画像を生成すべき位置として登録された位置、又はその位置と同じ特徴を持つ位置に配置されていると判断される。その場合、レーザ制御手段30は、レーザユニット13に対してレーザ光出射を指示する旨の信号を出力する(ステップB5)。レーザユニット13は、レーザ制御手段30からの信号を受けてレーザ光を出射する。レーザユニット13から出射したレーザ光は、プローブ11の光照射部22から被検体に向けて照射される(ステップB6)。超音波検出部21は、レーザ光照射により被検体内で生じた光音響信号を検出する(ステップB7)。受信回路24は、検出された光音響信号をデータメモリ25に格納する。画像構築手段26は、データメモリ25から光音響信号を読み出し、光音響画像を生成する(ステップB8)。生成された光音響画像は、例えば図示しない画像表示手段などに表示される。
【0029】
本実施形態では、事前に光音響像を生成したい位置において超音波の送受信を行い、その位置における超音波画像を参照画像として保存しておく。光音響画像の生成では、レーザ光照射に先立って、被検体に対して超音波の送受信を行い、生成された超音波画像と参照画像として保存された超音波画像とを比較する。超音波ユニット12は、両者の特徴が一致するとき、レーザユニット13に対してレーザ光の出射を指示する。本実施形態では、超音波画像に基づいて、プローブ11が事前に登録された位置、又は同様な特徴を持つ位置にあるか否かを判定する。プローブ11が事前に登録された位置、又は同様な特徴を持つ位置にあることを確認した後に、被検体に対してレーザ光が照射されるようにしている。このようにすることで、所望の位置でレーザ光照射及び光音響信号の検出を行って光音響画像を生成することができ、光音響画像を生成したい部分とは異なる位置に無駄にレーザ光が照射され、光音響画像が生成されることを防止することができる。
【0030】
続いて、本発明の第2実施形態を説明する。図4は、本発明の第2実施形態の光音響画像生成装置を示す。本実施形態における光音響画像生成装置10aと、図1に示す第1実施形態における光音響画像生成装置10との相違点は、超音波ユニット12aが、接触状態判定手段31と、光照射抑止手段32とを更に有する点である。その他の部分は、第1実施形態と同様でよい。なお、図4では、接触状態判定手段31及び光照射抑止手段32を超音波ユニット12a内に配置しているが、これらのうちの何れか一方又は双方を、プローブ11内に配置することも可能である。
【0031】
接触状態判定手段31は、プローブ11が被検体に接触しているか否かを判定する。接触状態判定手段31には、例えばプローブ11が被検体に接触していることを検出する圧力センサなどの手段を用いることができる。この場合、接触状態判定手段31は、検出された圧力に応じて、被検体への接触状態を判定すればよい。物理的なセンサを用いるのに代えて、接触状態判定手段31が、画像構築手段26で生成された超音波画像に基づいて接触状態を判定してもよい。例えば、接触状態判定手段31は、超音波画像が、プローブ11が被検体に接触していないときに典型的に現れる画像パターンを示すとき、具体的には超音波画像に、超音波振動子の近傍に素子に平行な高輝度なラインが含まれているとき、プローブ11が被検体に接触していないと判定する。
【0032】
接触状態判定手段31は、プローブ11が被検体から離れると、その旨を示す信号を光照射抑止手段32に出力する。光照射抑止手段32は、接触状態判定手段31でプローブ11が被検体に接触していないと判定されると、被検体に対するレーザ光の照射を抑止する。例えば、光照射抑止手段32は、レーザ制御手段30に対してレーザ抑止信号を出力する。レーザ制御手段30は、レーザ抑止信号を受け取ったときは、レーザユニット13に対してレーザ光出射を指示する旨の信号を出力しない。これにより、被検体に対するレーザ光照射を抑止できる。レーザユニット13へのレーザ出射指示を抑制するのに代えて、レーザユニット13を出射したレーザ光が被検体に照射されるまでの光路中に、出射したレーザ光を遮断する手段を設けることで、被検体に対するレーザ光の照射を抑止してもよい。
【0033】
本実施形態では、プローブ11が被検体から離れたときは光照射抑止手段32が被検体に対するレーザ光照射を抑止する。このようにすることで、レーザ光が空間に出射して人間の眼などに入射する事態を避けることができ、眼に対する安全性を向上できる。その他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0034】
なお、図3における超音波の送信から超音波画像の特徴比較まで(ステップB1〜B4)は、必ずしも毎回行う必要はない。例えば繰り返し光音響画像の生成を行うような場合に、最初の1回目だけ超音波の送受信から超音波画像の特徴の比較までを行った上で光音響画像の生成を行い、その後の光音響画像の生成では、ステップB1からステップB4を省略してもよい。あるいは、複数回の1回の割合で、ステップB1からステップB4を実行し、間欠的にプローブ11の位置を確認するようにしてもよい。
【0035】
ここで、本発明の光音響画像生成装置において、前記プローブ11に代えて用いられ得るプローブ(超音波探触子)の例について詳しく説明する。まず、図5および図6に示すプローブについて説明する。このプローブにおいては、バッキング材1の表面上に複数の無機圧電素子2が所定のピッチPで配列形成されている。超音波振動子となるこれらの無機圧電素子2は、互いに分離された複数の無機圧電体51を有し、それぞれの無機圧電体51の一方の面に信号電極層52が接合され、他方の面に接地電極層53が接合されている。すなわち、それぞれの無機圧電素子2は、専用の無機圧電体51と信号電極層52と接地電極層53から形成されている。
【0036】
このような複数の無機圧電素子2の上に、第1の音響整合層3が接合されている。第1の音響整合層3は、複数の断片に分断され、複数の無機圧電素子2と同じピッチPで配列されている。
【0037】
この第1の音響整合層3の上に第2の音響整合層4が接合されている。第2の音響整合層4は、上側有機層41と下側有機層42の2層を有する。
【0038】
下側有機層42は、複数の断片に分断され、複数の無機圧電素子2と同じピッチPで第1の音響整合層3の上に配列されている。一方、上側有機層41は、複数の断片に分断されることなく、下側有機層42の全体にわたって延在している。上側有機層41の厚さと下側有機層42の厚さの和は、複数の無機圧電素子2から送信される超音波の基本波の波長λに対してλ/4共振条件を満たす厚さに形成され、上側有機層41と下側有機層42を併せて複数の無機圧電素子2から送信される超音波の音響整合を行う。
【0039】
さらに、上側有機層41は、複数の有機圧電素子5の一部を構成する。すなわち、上側有機層41には、表面上にわたって延在する接地電極層43が接合されると共に、下側有機層42に対向する裏面上に複数の無機圧電素子2と同じピッチPで互いに分離された複数の信号電極層44が接合され、これにより上側有機層4が複数の有機圧電素子5の有機圧電体として機能する。このように配列形成されたそれぞれの有機圧電素子5は、専用の信号電極層44、複数の有機圧電素子5に共通の上側有機層41、および接地電極層43から構成される。このため、複数の有機圧電素子5の配列ピッチは、上側有機層41の裏面上に接合された複数の信号電極層44の配列ピッチのみにより決定され、複数の有機圧電素子5は複数の無機圧電素子2と同じピッチPで配列されることとなる。
【0040】
また、複数の無機圧電素子2、第1の音響整合層3、第2の音響整合層4の下側有機層42および信号電極層44の各層において同じピッチPで分離された複数の断片は、それぞれの層の間で位置を合わせて積層方向に整列し、それぞれの列の間には充填剤6が充填されている。すなわち、充填剤6は、同じピッチPで繰り返し充填されており、それぞれ信号電極層44の表面上からバッキング材1の表面上まで各層を貫通するように充填されている。さらに、複数の有機圧電素子5の上には、保護層7を介して音響レンズ8が接合されている。
【0041】
無機圧電素子2の無機圧電体51は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:登録商標)に代表される圧電セラミックまたはマグネシウムニオブ酸・チタン酸鉛固溶体(PMN−PT)に代表される圧電単結晶から形成されている。一方、有機圧電素子5の上側有機層41は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体(P(VDF-TrFE))等の高分子圧電素子から形成されている。
【0042】
バッキング材1は、複数の無機圧電素子2を支持すると共に、後方へ放出された超音波を吸収するもので、フェライトゴム等のゴム材から形成することができる。
【0043】
第1の音響整合層3は、複数の無機圧電素子2から発せられた超音波を効率よく被検体内に入射させるためのもので、無機圧電素子2の音響インピーダンスと生体の音響インピーダンスの中間的な値の音響インピーダンスを有する材料から形成される。
【0044】
第2の音響整合層4は、複数の無機圧電素子2からの超音波ビームを効率よく被検体内に入射させるためのもので、下側有機層42は、上側有機層41と同様に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリフッ化ビニリデン三フッ化エチレン共重合体(P(VDF-TrFE))等の高分子圧電素子から形成することができる。なお、上側有機層41と下側有機層42は、互いに同じまたは近い音響インピーダンスを有する材料で形成されるのが好ましく、例えば互いの音響インピーダンスが±10%の範囲内のものであれば超音波の音響整合に影響を与えずに第2の音響整合層4を構成することができる。
【0045】
充填剤6は、隣り合う断片の位置および姿勢を固定するためのもので、例えばエポキシ樹脂などから形成される。
【0046】
保護層7は、有機圧電素子5の接地電極層43を保護するもので、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)により形成される。
【0047】
音響レンズ8は、屈折を利用して超音波ビームを絞り、エレベーション方向の分解能を向上させるもので、シリコーンゴム等から形成されている。
【0048】
次に、このプローブの動作について説明する。動作時には、例えば複数の無機圧電素子2が超音波の送信専用の振動子として、複数の有機圧電素子5が超音波の受信専用の振動子として使用される。
【0049】
複数の無機圧電素子2の信号電極層52と接地電極層53との間にそれぞれパルス状または連続波の電圧を印加すると、それぞれの無機圧電素子2の無機圧電体51が伸縮してパルス状または連続波の超音波が発生する。これらの超音波は、第1の音響整合層3、第2の音響整合層4、保護層7および音響レンズ8を介して被検体内に入射し、互いに合成され、超音波ビームを形成して被検体内を伝搬する。
【0050】
被検体内を伝搬して反射された反射超音波は、音響レンズ8および保護層7を介してそれぞれの有機圧電素子5に入射する。すると、上側有機層41が超音波の高調波成分に高感度に応答して伸縮し、信号電極層44と接地電極層43の間に電気信号が発生して、受信信号として出力される。
【0051】
このようにして、複数の有機圧電素子5から出力された受信信号に基づいて、例えば超音波画像を生成し、それを前述した特徴比較に用いることができる。ここで、複数の無機圧電素子2と複数の有機圧電素子5は、互いに同じピッチPで配列形成されているため、超音波の送信位置と同じ配列位置で被検体からの反射超音波を受信することができ、高精度に超音波画像を生成可能となる。
【0052】
なお、複数の無機圧電素子2を超音波の送受信兼用の振動子として使用することもできる。この場合、音響レンズ8および保護層7を介して有機圧電素子5で受信された反射超音波が、さらに第2の音響整合層4および第1の音響整合層3を介してそれぞれの無機圧電素子2に入射し、無機圧電体51が主に超音波の基本波成分に応答して伸縮し、信号電極層52と接地電極層53の間に電気信号を発生する。
【0053】
このようにして複数の無機圧電素子2から得られた基本波成分に対応する受信信号と、有機圧電素子5から得られた高調波成分に対応する受信信号とに基づいて、基本波成分と高調波成分とを複合したコンパウンド超音波画像を生成することができる。
【0054】
この場合も、複数の無機圧電素子2と複数の有機圧電素子5とが位置合わせして同じピッチPで配列形成されているため、反射超音波の基本波成分と高調波成分を同じ配列位置で受信することができ、基本波成分と高調波成分を高精度に複合したコンパウンド超音波画像を生成することができる。
【0055】
以上述べたプローブは、次のようにして製造することができる。
【0056】
まず、図7(A)に示されるように、バッキング材1の表面全域にわたって延びる無機圧電素子層91aを接着剤等によりバッキング材1の表面上に接合する。この無機圧電素子層91aは、バッキング材1の全面にわたって延びる無機圧電体層91の両面に、全面にわたってそれぞれ導電層92および93が形成されたものである。
【0057】
次に、図7(B)に示されるように、無機圧電素子層91aの全域にわたって延びる音響整合層94を、例えば120℃〜150℃の温度で導電層93の上に接合する。そして、図7(C)に示されるように、音響整合層94の上に有機層95が接合される。この有機層95は、音響整合層94の全面にわたって延びるだけの大きさを有し、音響整合層94に対向する面とは反対側の表面には全面にわたって導電層96が予め形成されている。
【0058】
続いて、図7(D)に示されるように、導電層96、有機層95、音響整合層94および無機圧電素子層91aの各層をピッチPでダイシングすることにより、各層を複数の断片に分離する。この時、ダイシングは、導電層96から無機圧電素子層91aまでの各層を完全に分断するように行われるため、分断された各層のそれぞれの断片は位置を合わせて整列される。これにより、バッキング材1の表面上には、配列ピッチPで配列された複数の無機圧電素子2が形成され、それぞれの無機圧電素子2の上には第1の音響整合層3、下側有機層42および信号電極層44の各断片が位置を合わせて順次重なるように形成される。また、各層の複数の断片がピッチPで積層方向に整列されたそれぞれの列の間には、ダイシングにより各層を積層方向に貫通した平板状の複数の溝97が形成される。
【0059】
このように、導電層96から無機圧電素子層91aまでの各層をピッチPでダイシングすることにより、各層が簡便に複数の断片に分離されると共に分離された各層のそれぞれの断片を積層方向に位置合わせすることができる。そして、複数の有機圧電素子5の信号電極層44と、複数の無機圧電素子2の信号電極層52および接地電極層53とを互いに正確に位置合わせすることができる。
【0060】
次に、ダイシングにより形成された複数の溝97の内部に充填材6を充填して、図7(E)に示されるように、各層の複数の断片の位置および姿勢を固定した後、複数の信号電極層44の上に上側有機層41を、例えば80℃程度の温度で圧着させる。上側有機層41は、複数の信号電極層44の全体にわたって延びるだけの大きさを有し、複数の信号電極層44に対向する面とは反対側の表面には全面にわたって接地電極層43が予め形成されている。
【0061】
ここで、上側有機層41は、複数の無機圧電素子2から送信される超音波を音響整合するための第2の音響整合層4の一部を構成しているが、上側有機層41と下側有機層42を併せた厚さが、複数の無機圧電素子2から送信される基本波の中心波長λに対してλ/4共振条件を満たす値を有していればよく、上側有機層41のみに着目すると、この共振条件に制限されることなく上側有機層41を薄く形成して有機圧電素子5の電気容量を高めることができる。すなわち、有機圧電素子5で受信される反射超音波が受信信号に効率よく変換されるような電気容量を有する所望の厚さで上側有機層41を形成し、この上側有機層41の厚さに下側有機層42の厚さを加算することにより、上側有機層41と下側有機層42を併せた厚みが上記の共振条件を満たすように形成する。これにより、第2の音響整合層4が複数の無機圧電素子2に対する共振条件を満たしながら、複数の有機圧電素子5を薄く形成することができる。
【0062】
ここで、上側有機層41は、温度上昇によって徐々に結晶化度が低下するため、キュリー点よりかなり低い温度に使用上限温度がある。例えば音響整合層94などの各層を積層する際に使用される80℃〜100℃の高い温度を与えると容易に脱分極されてしまうが、上側有機層41は保護層7および音響レンズ8を除くその他の層が積層された後に積層される。このため、上側有機層41は、その他の層を積層する際または充填剤6が溝97に充填される際の高い温度に曝されることがなく、脱分極するのを抑制することができる。
【0063】
さらに、上側有機層41の下側に積層された各層、すなわち信号電極層52、無機圧電体51、接地電極層53、第1の音響整合層3、下側有機層42および信号電極層44を順次接着するまでの間は、上側有機層41が存在しないため、これらの層を互いに高温で接着して高い接着力で積層させることができる。
【0064】
このようにして複数の信号電極層44の上に上側有機層41が積層された後、複数の有機圧電素子5の接地電極層43の上に保護層7を介して音響レンズ8を接合することにより、図5および図6に示したプローブが完成する。
【0065】
例えば、複数の無機圧電素子2から送信される超音波の周波数が7MHz程度、第1の音響整合層3の音響インピーダンスが約8.9Mrayl(kg/ms)、そして第2の音響整合層4の音響インピーダンスが約4.0Mraylであるリニアプローブを作製する場合には、無機圧電体51としてPZT(登録商標)を使用して、この厚みを190μm程度に形成し、第1の音響整合層3の厚みを80μm程度に形成することができる。そして、下側有機層42および上側有機層41としてそれぞれPVDFを使用し、下側有機層42の厚みを60μm程度、上側有機層41の厚みを20μm程度に形成し、第2の音響整合層4全体としての厚みを80μm程度とすることにより、第2の音響整合層4が複数の無機圧電素子2に対する共振条件を満たしながら、複数の有機圧電素子5を所望の厚さで形成することができる。
【0066】
このように、第2の音響整合層4を上側有機層41と下側有機層42の2層構造とし、複数の有機圧電素子5を構成する上側有機層41を所望の厚さで形成すると共に上側有機層41と下側有機層42を併せた厚みが共振条件を満たすように第2の音響整合層4を形成することにより、複数の無機圧電素子2から送信される超音波に対して優れた音響透過率を保ちながら、複数の有機圧電素子5における受信信号の変換効率を向上させることができる。
【0067】
また、複数の無機圧電素子2と複数の有機圧電素子5とが互いに位置を合わせて配列されているため、高精度な超音波コンパウンド画像を生成することができる。
【0068】
さらに、超音波探触子を製造する際に有機圧電素子5の有機圧電体として機能する上側有機層41を高温に曝すことが少ないので、上側有機層41が脱分極するのを抑制することができる。
【0069】
なお、図8に示されるように、それぞれの無機圧電素子2の信号線電極層52に無機圧電素子用A/Dコンバータ60を接続し、それぞれの有機圧電素子5の信号線電極層44に、有機圧電素子用アンプ61および有機圧電素子用A/Dコンバータ62を順次接続することができる。
【0070】
ここで、複数の有機圧電素子5の電気容量は、上記のように有機圧電体の厚さを小さく設定することで高めることはできるが、それだけでは、まだ十分な強度を有する受信信号を得ることが難しく、有機圧電素子用アンプ61により増幅する必要がある。このとき、有機圧電素子5から有機圧電素子用アンプ61に伝送される間に受信信号が減衰するのを防ぐために、有機圧電素子用アンプ61を有機圧電素子5の信号線電極層44の近傍に接続または直結させるのが好ましい。
【0071】
また、プローブ内にマルチプレクサを配置することにより、プローブから引き出される信号線の本数を減少させることができる。例えば、無機圧電素子用A/Dコンバータ60および有機圧電素子用A/Dコンバータ62の後段にマルチプレクサを配置し、無機圧電素子用A/Dコンバータ60と有機圧電素子用A/Dコンバータ62から引き出された2本の信号線を1本にまとめることができる。
【0072】
また、表面上に導電層96が予め形成された下側有機層95を第1の音響整合層94の上に積層したが、これに限るものではなく、第1の音響整合層94の上に下側有機層95を積層し、その後、下側有機層95の表面上に導電層96を形成してもよい。
【0073】
同様に、表面上に接地電極層43が予め形成された上側有機層41を複数の信号電極層44の上に接合したが、複数の信号電極層42の上に上側有機層41を接合した後、上側有機層41の表面上に接地電極層43を形成してもよい。
【0074】
次に図9を参照して、本発明の本発明の光音響画像生成装置において用いられ得るプローブ(超音波探触子)の別の例について説明する。なおこの図9において、図5および図6中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。
【0075】
図9のプローブにおいては、超音波送信用の複数の無機圧電素子2と、反射超音波受信用の複数の有機圧電素子5とが、互いに重なることなくバッキング材1の表面と平行な方向に並べて配設されている。なお本例においては、有機圧電素子5の接地電極層43が、無機圧電素子5の接地電極層として兼用されている。また本例では、バッキング材1の上に別のバッキング材1’が雛壇状に積層されて、その上に有機圧電素子5が形成されているが、バッキング材1を雛壇状に加工しても構わない。
【0076】
以上の構成においては、無機圧電素子2から発せられた超音波が有機圧電素子5の部分を経ることなく被検体に照射されることになる。このような構成のプローブを用いる場合も、複数の有機圧電素子5から出力された受信信号に基づいて、例えば超音波画像を生成し、それを前述した特徴比較に用いることができる。
【0077】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光音響画像生成装置及び方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
2:超音波送信用無機圧電素子
5:反射超音波受信用有機圧電素子
10:光音響画像生成装置
11:プローブ
12:超音波ユニット
13:レーザユニット
51:超音波検出部
22:光照射部
23:超音波駆動手段
24:受信回路
25:データメモリ
26:画像構築手段
27:画像メモリ
28:参照画像保存手段
29:プローブ位置判定手段
30:レーザ制御手段
31:接触状態判定手段
32:光照射抑止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して照射すべき光を出射する光源ユニットと、
前記被検体に対して音響波の送信を行うと共に、前記光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号、及び前記送信された音響波に対する反射音響信号を検出するプローブと、
前記プローブで検出された反射音響信号の特徴と、事前に取得された、前記プローブが光音響画像を生成すべき位置にあるときに前記プローブで検出された反射音響信号の特徴とを比較し、両者が一致するか否かを判定するプローブ位置判定手段と、
前記プローブ位置判定手段で一致すると判定されると、前記光源ユニットに光出射を指示する光源制御手段と、
前記プローブで検出された光音響信号に基づいて光音響画像を生成する光音響画像生成手段とを備える光音響画像生成装置。
【請求項2】
前記反射音響信号に基づいて音響波画像を生成する音響波画像生成手段を更に備え、
前記プローブ位置判定手段が、前記音響波画像を利用して前記反射音響信号の特徴を比較するものであることを特徴とする請求項1に記載の光音響画像生成手段。
【請求項3】
前記プローブ位置判定手段が、前記生成された音響波画像から特徴を抽出し、該抽出した特徴と、前記事前に取得された反射音響信号に基づいて生成された音響波画像の特徴とを比較するものであることを特徴とする請求項2に記載の光音響画像生成装置。
【請求項4】
前記プローブが光音響画像を生成すべき位置にあるときに前記プローブで検出された反射音響信号に基づいて前記音響波画像生成手段が生成した音響波画像を参照画像として保存する参照画像保存手段を更に備え、前記プローブ位置判定手段が、前記保存された前記参照画像から特徴を抽出し、前記音響波画像の特徴を比較するものであることを特徴とする請求項3に記載の光音響画像生成装置。
【請求項5】
前記プローブが被検体に接触しているか否かを判定する接触状態判定手段と、
前記接触状態判定手段で接触していないと判定されると、前記光の出射を抑止する光照射抑止手段とを更に備えることを特徴とする請求項1から4何れかに記載の光音響画像生成装置。
【請求項6】
前記接触状態判定手段が、前記プローブで検出された反射音響信号に基づいて、前記プローブが被検体に接触しているか否かを判定するものであることを特徴とする請求項5に記載の光音響画像生成装置。
【請求項7】
前記プローブが、
バッキング材と、
このバッキング材の表面上に配列された複数の無機圧電素子と、
これら複数の無機圧電素子の上に配置された第1の音響整合層と、
この第1の音響整合層の上に配置された第2の音響整合層とを備え、
前記第2の音響整合層は、複数の有機圧電素子を構成する上側有機層と、前記上側有機層と併せて前記複数の無機圧電素子に対する音響整合を行うための下側有機層とからなることを特徴とする請求項1から6何れかに記載の光音響画像生成装置。
【請求項8】
前記プローブが、
バッキング材の上に配列された複数の無機圧電素子と、
これらの無機圧電素子と共に、バッキング材の表面と平行な方向に並べて配列された複数の有機圧電素子とからなることを特徴とする請求項1から6何れかに記載の光音響画像生成装置。
【請求項9】
前記複数の無機圧電素子が音響波の送信に用いられ、
前記複数の有機圧電素子が反射音響信号の検出に用いられていることを特徴とする請求項7または8に記載の光音響画像生成装置。
【請求項10】
プローブから、被検体に対して音響波を送信するステップと、
前記プローブにより、前記送信された音響波に対する反射音響信号を検出するステップと、
前記プローブで検出された反射音響信号の特徴と、事前に取得された、前記プローブが光音響画像を生成すべき位置にあるときに前記プローブで検出された反射音響信号の特徴とを比較するステップと、
前記比較するステップで反射音響信号の特徴が一致すると判断されると、前記被検体に対して光の照射を行うステップと、
前記プローブにより、前記光の照射により前記被検体内で生じた光音響信号を検出するステップと、
前記検出された光音響信号に基づいて光音響画像を生成するステップとを有する光音響画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−205886(P2012−205886A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−48784(P2012−48784)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】