説明

光(紫外線、可視光線)による劣化度合いの判定材及び光(紫外線、可視光線)劣化判定材用保管試料及びその判定方法

【課題】 光(紫外線、可視光線)の被爆による繊維強度の低下を個々の製品の単位で破壊試験を行うことなく判定可能にする。
【解決手段】本発明の光(紫外線、可視光線)(紫外線、可視光(紫外線、可視光線)線)の累積被爆による繊維の劣化度合いを個々の製品の破壊試験を行わずして見ることができる、劣化判定材は、ゲル紡糸法で紡糸されたポリエチレン繊維、アラミド繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維製の織布または不織布の表面またはそれを包み込む素材に、この繊維の光(紫外線、可視光線)(紫外線、可視光(紫外線、可視光線)の曝露による強度低下の状況を判断するための、光(紫外線、可視光線)(紫外線、可視光線)の累積曝露時間により色相が変化する物質が塗布されている。この色相の変化を劣化判定剤用保管試料の色相と比較することにより劣化の程度を判定することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張り強度や引張り弾性率が高い、所謂、高強力繊維の分野における光(紫外線、可視光線)の曝露による強度低下の判定のための判定材とそれを使った判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の紫外線曝露の測定方法として、特許文献1記載のインジケーターを例示する。このインジケーターは、光(紫外線、可視光線)反応性半導体に紫外線が照射された時に発現する同触媒の酸化力が染料を酸化させて変色させることにより、変色の強度から紫外線強度を判定できるものである。
【0003】
【特許文献1】 特開2002−139378
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1記載の光(紫外線、可視光線)反応性半導体に使用されている酸化チタンと染料の組み合わせの場合において、有効となる光(紫外線、可視光線)の波長が360nm以下に限定されるため、600nmより波長の長い光(可視光線)の曝露によっても強度低下が生じるPBO繊維の測定には使用が出来ない。
【0005】
また、ゲル紡糸法で紡糸されたポリエチレン繊維においては、耐光性が極めて高く、1,500時間以上の長時間における紫外線の曝露累積及び測定が必須条件となるが、特許文献1記載の酸化チタンと染料の組み合わせの場合には、そのような長時間の使用には耐えられない。
【0006】
また、酸化チタンの組み合わせの場合、光触媒のラジカル反応により発生したOHラジカル等の影響で周辺の有機繊維、つまり被測定物自体を分解劣化してしまう恐れが有り、このような条件での判定には不向きである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、それら有機高分子を素材とする高強力繊維の弱点として、吸水やヒートサイクルによる該繊維の引張強度の低下が顕著であったり、有機高分子ゆえの光(紫外線、可視光線)の暴露による該繊維の引張強度の低下という弱点があり、それらの問題を解決する為に防水加工を施したり、使用する環境を制限したりしていたが、屋外で使用することの多い製品である軍手状の手袋においては、光(紫外線、可視光線)曝露による引張強度の低下を防止する為の策を講じることが難しく、また、その耐久性を個別に判断する手段が無いという課題がある。
【0008】
また、アラミド繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維は耐光性が極めて弱く、素材そのものが光(紫外線、可視光線)の暴露により変色することがあるが、その変色度合いと引張強度の低下の相関関係は一定ではないと考えられている。
【0009】
また、ゲル紡糸法で紡糸された超高分子量ポリエチレン繊維においては、前記有機高分子繊維に比較して光(紫外線、可視光線)の暴露による耐光性は良い方であるが、繊維素材固有の色が変色し難いため強度低下を判断することが非常に困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第1の発明の光(紫外線、可視光線)劣化判定材は、ゲル紡糸法で紡糸された超高分子ポリエチレン繊維、アラミド繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維製の織布または不織布の表面またはそれを包み込む素材に、該繊維の光(紫外線、可視光線)の暴露による強度低下の状況を判断するための、光(紫外線、可視光線)の暴露時間により色相が変化する物質が塗布されている。
【0011】
前記色相が変化する物質としては、各々の有機高分子繊維の光(紫外線、可視光線)暴露時間による引張強度の低下率もしくは引張強度保持率と、予め設定された安全強度の値、すなわち有効光(紫外線、可視光線)累積暴露時間を決め、その累積時間以上のタームで色変化が進行する物質を塗布し、その色相の変化の度合いを保管されている光(紫外線、可視光線)劣化判定材用保管試料との比較で明確に判断することが可能となる。
【0012】
光(可視光線や紫外線等)による分解もしくは反応によって色相が変化する着色剤としては蛍光材料、染料、クロミック材料、色素、顔料等でよい。具体的な材料としては、染料としては、分散染料、直接染料、反応性染料、カチオン染料、バット染料等があり、特に代表的な化合物はモノアゾ染料、ポリアゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染料などのアゾ系染料類、アントラキノン誘導体染料、アントロン誘導体染料などのアントラキノン系染料類、スチルベン染料、インジゴ誘導体染料、チオインジゴ誘導体染料などのインジゴイド系染料類、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、スチリン染料、フタロシアニン系染料類、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料などのカルボニウム系染料類、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料などのキノンイミン系染料類、ポリメチン染料、ジアニン染料、アゾメチン染料などのメチン系染料類、ジアリルメタン系染料、トリアリルメタン系染料などのアリルメタン系染料類、キノリン系染料類、ニトロ系染料類、ニトロソ系染料類、ベンゾキノン系染料類、ナフトキノン系染料類、ナフトール系染料類、ナフタルイミド系染料類、ペリノン系染料類、キノフタロン染料、ニトロ染料、オキサザン染料、スチルベン染料、シアニン染料、トリフェニル染料等が揚げられる。染料と顔料の中間体としては、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸、アントラキノン誘導体等が挙げられる。顔料としては、有機系と無機系があり、前者の例としてはアゾ顔料や縮合多環系顔料がある。
【0013】
又、このような染料や顔料による色相変化を起こす際に増感剤を添加することにより変化を大きくすることも方法である。
【0014】
逆に、色相の変化の為の所要時間を長くするための紫外線吸収剤等の遅延剤を添加することも方法である。
【0015】
その使用量としては、着色剤の含有量が少ないと、着色力不足により、光分解もしくは反応による変色又は脱色の視認性が劣り、多過ぎると着色成分過剰により逆に変色又は脱色の判定が困難になるため、判定液中の着色剤濃度は、0.1〜10.0重量%程度とするのが好ましい。
【0016】
本発明で上記着色剤を分散させる為に用いる分散剤は、水性であっても油性であってもよく、可変色着色剤を溶解もしくは分散させて可変色着色剤組成物を調製できるものであればよい。水性の場合には、水溶性樹脂、水懸濁樹脂(エマルションなど)が良く、一方、油性の場合には、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1.4−ジオキサン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、ニトロメタン、ジミチルスルホキシド、スルホランなどの脂肪族溶媒やベンゼン、トルエン、ナフタレン、クロロベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ピリジン、ニトロベンゼンなどの芳香族溶媒などの低分子量有機化合物、オリゴマーあるいはポリマーあるいはこれらの1つ以上の混合物でよく、特に限定されるものではない。
【0017】
本発明で用いる油性分散剤の他の例として、非水系ビヒクルを挙げることができる。非水系ビヒクルは、前記溶媒や非水系インクなどあるいはこれらの混合物であればよく、特に限定されない。非水系インクとしては、具体的には、例えば、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリフェニルアセトアセタール、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジウムハライド、メラミン樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリエステル、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸エステル共重合体などの合成樹脂、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジメチル・ジアリル・アンモニウムクロライドを主成分とする化合物あるいはこれらの2種以上の混合物などのカチオン性樹脂を用いたインクを挙げることができる。その他、電子線硬化型インク、紫外線硬化型インク、スルホン酸基、カルボキシル基、硫酸エステル基、燐酸エステル基などのアニオン性基を有する例えばロジン変成マレイン酸などのアニオン性樹脂なども必要に応じて使用できる。
【0018】
電子線硬化型や紫外線硬化型インクとしては、公知のアクリル系光重合性モノマーまたはアクリル系光重合性オリゴマーから任意に選んで用いることができる。
【0019】
光重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−アクリレート及びメタクリレート、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びメタクリレートなど、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N′−アルキレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミドなど、アリル化合物、例えばアリルアルコール、アリルイソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレートなどを挙げることができる。
【0020】
また、硬化収縮が支障となる用途の場合には、例えばイソボルニルアクリレート又はメタクリレート、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、ポリオキシエチレン若しくはポリプロピレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいはこれらのスピログリコールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加重合体のモノ−、ジアクリレート、又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートなどの光重合性モノマーを用いることができる。これらの光重合性モノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0021】
アクリル系光重合性オリゴマーとしては、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリビニルアルコールとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物などのような不飽和ポリエステル系プレポリマーや、ポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化した後、グリシジルメタクリレートを付加させたものなどのようなポリビニルアルコール系プレポリマー、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そのほか、ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げることができる。これらのアクリル系光重合性オリゴマーは、重量平均分子量凡そ2000〜30000の範囲のものが適当である。
【0022】
本発明の可変色着色剤組成物は、例えば、刷毛塗り、ロールコーテイング法、キスコート、ホイラーコート、スプレー法、カーテン塗装法、浸漬法、静電塗装法、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター、平板オフセットコーター、ダイリソコーター、フレキソ、エアナイフコーター、バーコーター、凸版印刷、凹版印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの塗工手段により対象物の面の所定部あるいは全部に塗工し、必要に応じて乾燥、硬化して、対象物に密着した塗膜、図柄、模様などを形成することができる。
【0023】
本発明で用いる光(紫外線、可視光線)劣化判定剤の対象物面への塗工量は、特に限定されないが、例えば約1〜100g/mの例を挙げることができる。
【実施例1】
【0024】
アクリルラッカーに着色剤として、次の配合のオイル染料(製造元:三精塗料工業株式会社)を3重量%添加したものを被塗物に膜厚50μmの厚さで塗布した。サンシャインウエザオメーターで光(紫外線、可視光線)を照射し色相の変化を追跡したところ、初期段階で暗黒色であったものが100時間経過後、赤色が脱色し、緑色になり、更に、200時間経過後、青色も脱色し、淡黄色に変化した。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【実施例2】
【0027】
実施例1で用いたオイル染料に、紫外線吸収剤 チヌビン1130(製造元:チバガイギー(株))を3部添加したものを用いて耐光性試験を行った。色相の変化は、200時間で緑色に、350時間で淡黄色になった。紫外線吸収剤を添加する事により、変色の程度を制御出来た。
【0028】
【表3】

【0029】
【表4】

【実施例3】
【0030】
着色剤として、顔料系の下記の配合(製造元:三精塗料工業株式会社)を用いたところ、当初、暗黒色であったが、700時間でオレンジ色に、1500時間で黄味がかったグレーに変化した。
【0031】
【表5】

【0032】
【表6】

【0033】
次に、光(紫外線、可視光線)劣化判定材用保管試料としては、繊維製品を判定する場合において、この保管試料がフイルムや紙への印刷よりも、同じ繊度の糸で同じ目付けの織物等に染色されたものの方が風合いが統一されるため判定がし易く、また予め時間設定された色相の前後の近似色を添付することで、より判定が容易になる。
【0034】
更に、この試料の保管方法としては、光から遮断されることが肝要であり、アルミホイルで覆われた遮蔽容器に封入し、長期の保管であれば脱酸素剤、乾燥剤、湿気調整剤等の基材となる繊維や着色剤に変化を与えないようなものを同時に封入することで長期の保管にも対応することが可能となる。
【実施例4】
【0035】
次に、本発明において重要な要件である、アラミド繊維、PBO繊維の光(紫外線、可視光線)の曝露時間による引張り強度の低下率を表7に表わす。
この試験に用いられたアラミド繊維、PBO繊維製の供試体は、1110dtexのマルチフィラメントを4本使用した組紐をそれぞれ100本製作し、サンシャインウエザーメーターに掛けた後に引張り試験機により測定した平均値である。
【0036】
【表7】

【0037】
これらの測定値から判断されることとして、光(紫外線、可視光線)に曝されることにより引張り強度の低下が考えられるものにおいては、曝露されないための工夫というものが必要となるが、軍手状の手袋やロープのような屋外で使用するものの場合その対策が非常に困難であり、個々の製品の曝露時間によって使用可能な限度を設定することの方がより安全に使用することが可能である。
【0038】
つまり、引張り強度の保証値を50kgと設定した組紐の場合、温度や湿度という他の条件を除外すると、単純にPBO繊維製の組紐の場合には50時間という曝露時間以内に使用可能な限度を設定すると良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
表1から表6は本発明を具体化した塗料ならびに使用方法により、光(紫外線、可視光線)の曝露時間により、色相の変化を示している。
実施例1の表1に示されたものを用いてセンサーとする場合、使用可能な強度の保持率を初期強度の60%と想定した場合、予めその被爆時間を測定し、それが例えば光(紫外線、可視光線)の被爆時間100時間に相当するものであれば、表2にある、緑色に変わると使用を中止してくださいということが言えるのである。
【0040】
次に、実施例2及び3の、表3から表6については、より長時間の期間を要するような耐候性の良い素材、つまりゲル紡糸法で紡糸されたポリエチレン繊維等に用いられる系のものである。
【0041】
実施例4の表7にある試験結果によると、特にPBO繊維の場合、累積された光(紫外線、可視光線)の被爆量が初期の段階で、引張り強度に与える影響が大きく、著しく引張り強度が減少していることがわかる。
【0042】
このような素材に取り付ける光(紫外線、可視光線)劣化判定材としては実施例1で用いられた配合のもので、なお且つ、より細分化した色相のものを前後に配して細やかな色相の変化に対応することが肝要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル紡糸法で紡糸されたポリエチレン繊維、アラミド繊維、PBO繊維、ポリアリレート繊維製の織布または不織布の表面またはそれを包み込む素材に、該繊維の光(紫外線、可視光線)の暴露による強度低下の状況を判断するため、光(紫外線、可視光線)の累積暴露時間に依存して色相が変化する物質が塗布されていることを特徴とする光(紫外線、可視光線)劣化判定材。
【請求項2】
前記光(紫外線、可視光線)劣化判定材に用いられる色相が変化する物質が顔料、染料またはそれらを複合したものであり、繊維化、塗料化もしくはインキ化されたものである光(紫外線、可視光線)劣化判定材。
【請求項3】
前記光(紫外線、可視光線)劣化判定材で用いられる色相が変化する物質が顔料、染料またはそれらを複合したものであり、それにより着色された繊維、塗料、インキ、樹脂フィルムである光(紫外線、可視光線)劣化判定材。
【請求項4】
前記光(紫外線、可視光線)劣化判定材の基材となる繊維がアクリル系の繊維で、光(紫外線、可視光線)の曝露量に依存して色相が変化する染料、顔料またはそれらを複合したものにより着色されていることを特徴とする光劣化判定材。
【請求項5】
前記光(紫外線、可視光線)劣化判定材の光(紫外線、可視光線)暴露の状況を判断するための色相の変化を確認するための保管試料の色相が、予め特定の時間紫外線の暴露により変色されたもの、またはその近似色である染料、顔料またはそれらを複合したものであることを特徴とする光(紫外線、可視光線)劣化判定材用保管試料。
【請求項6】
前記光(紫外線、可視光線)劣化判定材用保管試料に用いられる染料、顔料またはそれらを複合したものが印刷により表示されたものであり、変色もしくは退色を防止するためのコーティングがされていることを特徴とする請求項5記載の光(紫外線、可視光線)劣化判定材用保管試料。
【請求項7】
前記光劣化判定用保管試料が、予め特定の時間、光(紫外線、可視光線)の暴露により変色した色を中心に前後の近似色が配色されていることを特徴とする請求項5及び6記載の光(紫外線、可視光線)劣化判定材用保管試料。
【請求項8】
光(紫外線、可視光線)劣化判定材を塗布することと光劣化判定材用保管試料の色相とを比較することによって光(紫外線、可視光線)の暴露による強度低下の状況を判断する判定方法

【公開番号】特開2006−300912(P2006−300912A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147292(P2005−147292)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(501231440)興和グローブ株式会社 (2)
【出願人】(594189187)三精塗料工業株式会社 (4)
【出願人】(594189176)有限会社高尾商事 (7)
【Fターム(参考)】