免疫ナノ治療剤による抗原提示細胞のターゲティング
本発明は、免疫系の細胞へのナノキャリアの送達のための組成物およびシステムを提供する。本発明は、T細胞および/またはB細胞において免疫応答を刺激することができるナノキャリアを提供する。本発明は、免疫特徴表面を含むナノキャリアを提供する。ナノキャリアは、被験体に投与された場合、抗原提示細胞を標的にすることができる。本発明は、本発明のナノキャリアを含む薬学的組成物を提供する。本発明は、本発明のナノキャリアおよびその薬学的組成物を設計し、製造し、使用するための方法を提供する。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)少なくとも1つの表面を有する合成ナノキャリアであって、その第1の表面が免疫特徴表面を含む合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項2】
前記免疫特徴表面は、複数の成分を含み、前記複数の成分は、抗原提示細胞(APC)結合アッセイでモノクローナル抗体(MAb)について観察される最大固定化の、少なくとも10%を得るために必要とされる密度以上の密度で存在し、ただし、前記APC結合アッセイにおいて、前記複数の成分についての最大半量の結合密度は、前記MAbについての最大半量の結合密度の少なくとも2倍である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記複数の成分は、前記APC結合アッセイでMAbについて観察される最大固定化の、少なくとも20%を得るために必要とされる密度以上の密度で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記複数の成分についての前記最大半量の結合密度は、前記MAbについての前記最大半量の結合密度の少なくとも4倍である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記APC結合アッセイは、
(a)機能成分のコーティングを一連の表面コーティング密度で有する、一連の基材を調製する工程であって、前記機能成分は樹状細胞(DC)または被膜下洞マクロファージ表面受容体に結合することができる、工程、
(b)前記一連の基材をDCまたは被膜下洞マクロファージの単一細胞懸濁物に所定の期間、曝露する工程、
(c)前記一連の基材から非接着APCを除去し、前記一連の基材に接着したAPCを固定する工程、
(d)前記一連の基材のそれぞれの基材に関し、単位表面積当たりの接着したAPCの数を定量する工程、
(e)前記機能成分の前記コーティング密度に対して前記(d)からの結果をプロットする工程、
(f)前記一連の基材についての単位表面積当たりの接着したAPCの最大数を決定することによって、前記最大固定化の値を得る工程、および
(g)前記最大の50%をもたらす前記表面コーティング密度を決定することによって、最大半量の結合密度の値を得る工程
を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記MAbは、抗CD1c(BDCA−1)クローンAD5−8E7およびラット抗マウスCD169、クローン3D6.112、アイソタイプIgG2aから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記免疫特徴表面は、B細胞抗原を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記免疫特徴表面は、複数の異なる成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
1つまたは複数の成分が、7.2〜7.4の範囲のpHの緩衝水溶液中にある場合、前記免疫特徴表面は、正に荷電している、負に荷電している、または中性である、前記1つまたは複数の成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記合成ナノキャリアの前記表面は、高親和性ターゲティング成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記合成ナノキャリアは、免疫刺激作用物質、免疫調節作用物質、B細胞抗原、およびT細胞抗原のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記免疫刺激作用物質、B細胞抗原、またはT細胞抗原は、(i)前記免疫特徴表面上にある、(ii)前記ナノキャリアの第2の表面上にある、または(iii)前記ナノキャリアのコア領域内に封入されている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ナノキャリアの直径は、100nmを超える、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散補助剤または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、および滑沢剤から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
被膜下洞マクロファージを標的にする、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
樹状細胞を標的にする、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
補体を実質的に活性化しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物の第1の用量を被験体に投与する工程を含む方法。
【請求項19】
1日〜1年の範囲の間隔をおいて前記組成物の第2の用量を前記被験体に投与する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記間隔の範囲は、1日〜1か月である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記間隔の範囲は、1日〜1週間である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
被膜下洞マクロファージによる抗原の取り込みを増加させるための方法であって、
(1)(a)合成ナノキャリアの第1の表面が免疫特徴表面を含む少なくとも1つの表面、
(b)(i)前記免疫特徴表面上にある、(ii)前記合成ナノキャリアの第2の表面上にある、または(iii)前記合成ナノキャリアのコア領域内の封入されている抗原
を含む前記合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物を、被膜下洞マクロファージによる抗原の取り込みを増加させる必要のある被験体に投与する工程を含む方法。
【請求項23】
前記抗原は、抗原提示細胞結合アッセイでモノクローナル抗体(MAb)について観察される、最大の固定化の少なくとも10%を得るために必要とされる密度以上の密度で前記ナノキャリアにコンジュゲートされる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記被膜下マクロファージは、CD169+マクロファージである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ナノキャリアは、(i)前記免疫特徴表面上にある、(ii)前記ナノキャリアの第2の表面上にある、または(iii)前記ナノキャリアの前記コア領域内に封入されている、免疫刺激作用物質をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
(1)少なくとも1つの表面を有する合成ナノキャリアであって、その第1の表面が、成分に対して体液性応答をもたらすのに有効な量で複数の前記成分を含む、合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項27】
前記成分は、哺乳動物抗原提示細胞に対するアビディティベースの結合をもたらすのに有効な量で存在する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記ナノキャリアの直径は、100nmを超える、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散補助剤または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、および滑沢剤から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
被膜下洞マクロファージを標的にする、請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
樹状細胞を標的にする、請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
補体を実質的に活性化しない、請求項26に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1または26に記載の組成物を投与する工程を含む、体液性免疫応答を引き出すための方法。
【請求項1】
(1)少なくとも1つの表面を有する合成ナノキャリアであって、その第1の表面が免疫特徴表面を含む合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項2】
前記免疫特徴表面は、複数の成分を含み、前記複数の成分は、抗原提示細胞(APC)結合アッセイでモノクローナル抗体(MAb)について観察される最大固定化の、少なくとも10%を得るために必要とされる密度以上の密度で存在し、ただし、前記APC結合アッセイにおいて、前記複数の成分についての最大半量の結合密度は、前記MAbについての最大半量の結合密度の少なくとも2倍である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記複数の成分は、前記APC結合アッセイでMAbについて観察される最大固定化の、少なくとも20%を得るために必要とされる密度以上の密度で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記複数の成分についての前記最大半量の結合密度は、前記MAbについての前記最大半量の結合密度の少なくとも4倍である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記APC結合アッセイは、
(a)機能成分のコーティングを一連の表面コーティング密度で有する、一連の基材を調製する工程であって、前記機能成分は樹状細胞(DC)または被膜下洞マクロファージ表面受容体に結合することができる、工程、
(b)前記一連の基材をDCまたは被膜下洞マクロファージの単一細胞懸濁物に所定の期間、曝露する工程、
(c)前記一連の基材から非接着APCを除去し、前記一連の基材に接着したAPCを固定する工程、
(d)前記一連の基材のそれぞれの基材に関し、単位表面積当たりの接着したAPCの数を定量する工程、
(e)前記機能成分の前記コーティング密度に対して前記(d)からの結果をプロットする工程、
(f)前記一連の基材についての単位表面積当たりの接着したAPCの最大数を決定することによって、前記最大固定化の値を得る工程、および
(g)前記最大の50%をもたらす前記表面コーティング密度を決定することによって、最大半量の結合密度の値を得る工程
を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記MAbは、抗CD1c(BDCA−1)クローンAD5−8E7およびラット抗マウスCD169、クローン3D6.112、アイソタイプIgG2aから選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記免疫特徴表面は、B細胞抗原を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記免疫特徴表面は、複数の異なる成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
1つまたは複数の成分が、7.2〜7.4の範囲のpHの緩衝水溶液中にある場合、前記免疫特徴表面は、正に荷電している、負に荷電している、または中性である、前記1つまたは複数の成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記合成ナノキャリアの前記表面は、高親和性ターゲティング成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記合成ナノキャリアは、免疫刺激作用物質、免疫調節作用物質、B細胞抗原、およびT細胞抗原のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記免疫刺激作用物質、B細胞抗原、またはT細胞抗原は、(i)前記免疫特徴表面上にある、(ii)前記ナノキャリアの第2の表面上にある、または(iii)前記ナノキャリアのコア領域内に封入されている、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ナノキャリアの直径は、100nmを超える、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散補助剤または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、および滑沢剤から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
被膜下洞マクロファージを標的にする、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
樹状細胞を標的にする、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
補体を実質的に活性化しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物の第1の用量を被験体に投与する工程を含む方法。
【請求項19】
1日〜1年の範囲の間隔をおいて前記組成物の第2の用量を前記被験体に投与する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記間隔の範囲は、1日〜1か月である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記間隔の範囲は、1日〜1週間である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
被膜下洞マクロファージによる抗原の取り込みを増加させるための方法であって、
(1)(a)合成ナノキャリアの第1の表面が免疫特徴表面を含む少なくとも1つの表面、
(b)(i)前記免疫特徴表面上にある、(ii)前記合成ナノキャリアの第2の表面上にある、または(iii)前記合成ナノキャリアのコア領域内の封入されている抗原
を含む前記合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物を、被膜下洞マクロファージによる抗原の取り込みを増加させる必要のある被験体に投与する工程を含む方法。
【請求項23】
前記抗原は、抗原提示細胞結合アッセイでモノクローナル抗体(MAb)について観察される、最大の固定化の少なくとも10%を得るために必要とされる密度以上の密度で前記ナノキャリアにコンジュゲートされる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記被膜下マクロファージは、CD169+マクロファージである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ナノキャリアは、(i)前記免疫特徴表面上にある、(ii)前記ナノキャリアの第2の表面上にある、または(iii)前記ナノキャリアの前記コア領域内に封入されている、免疫刺激作用物質をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
(1)少なくとも1つの表面を有する合成ナノキャリアであって、その第1の表面が、成分に対して体液性応答をもたらすのに有効な量で複数の前記成分を含む、合成ナノキャリアおよび
(2)薬学的に許容される賦形剤
を含む組成物。
【請求項27】
前記成分は、哺乳動物抗原提示細胞に対するアビディティベースの結合をもたらすのに有効な量で存在する、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記ナノキャリアの直径は、100nmを超える、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散補助剤または懸濁補助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、および滑沢剤から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
被膜下洞マクロファージを標的にする、請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
樹状細胞を標的にする、請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
補体を実質的に活性化しない、請求項26に記載の組成物。
【請求項33】
請求項1または26に記載の組成物を投与する工程を含む、体液性免疫応答を引き出すための方法。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図17−3】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図19−1】
【図19−2】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34a】
【図34b】
【図34c】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図41C】
【図41D】
【図2】
【図11−1】
【図11−2】
【図13A】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図12E】
【図12F】
【図12G】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図17−3】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図18E】
【図19−1】
【図19−2】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図20E】
【図20F】
【図20G】
【図20H】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34a】
【図34b】
【図34c】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図41C】
【図41D】
【図2】
【図11−1】
【図11−2】
【図13A】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2012−505249(P2012−505249A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531225(P2011−531225)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060250
【国際公開番号】WO2010/042876
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【出願人】(507403735)プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ (15)
【出願人】(504412945)ザ ブライハム アンド ウイメンズ ホスピタル, インコーポレイテッド (54)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060250
【国際公開番号】WO2010/042876
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【出願人】(507403735)プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ (15)
【出願人】(504412945)ザ ブライハム アンド ウイメンズ ホスピタル, インコーポレイテッド (54)
【Fターム(参考)】
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