説明

免疫分析方法およびそれに用いる検体分析用具

【課題】煩雑な前処理操作を要さず、非特異的反応を抑制可能な免疫分析方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の免疫分析方法は、検出部を有し、かつ前記検出部に固定化抗体が固定された多孔質体を含む検体分析用具を用い、試料中の分析対象物である抗原と、前記抗原に対する標識化抗体とを、前記検出部に導入することにより、前記抗原を介して前記標識化抗体と前記固定化抗体とが複合体を形成し、前記複合体における前記標識化抗体の前記標識を検出する免疫分析方法であって、前記試料を前記検出部に導入する前に、前記試料とγ−グロブリンとを接触させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫分析方法およびそれに用いる検体分析用具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症の診断において、細菌やウイルス等の病原体の抗原を、免疫反応を利用して検出する検体分析用具が普及している。前記検体分析用具では、簡便かつ迅速に測定可能なことから、イムノクロマトグラフィー法が汎用されている。前記イムノクロマトグラフィー法による検体分析用具の測定原理は、つぎのとおりである。すなわち、まず、鼻腔等から検体を採取し、前記検体を含む試料を準備する。そして、多孔質膜に固定化抗体が固定された検出部を有する検体分析用具を準備する。この検体分析用具に、着色粒子等で標識した標識化抗体と、前記試料とを加える。前記試料中に分析対象物である抗原が存在すると、前記抗原を介して、前記標識化抗体と前記固定化抗体とが複合体を形成し、前記着色粒子等の標識により多孔質膜上の検出部が着色する。前記標識としては、着色粒子の他に、酵素と、酵素反応により着色する基質との組み合わせもある。
【0003】
しかし、前記イムノクロマトグラフィー法による検体分析用具を用いて検体を分析すると、検体中に抗原が存在しないにもかかわらず、非特異的結合反応が観察されることがある。特に、検体が、鼻汁や咽頭検体等のように粘稠性を有する場合に、前記非特異的結合反応は顕著である。この原因として、粘稠性検体に含まれるムチンが、検体を展開する多孔質膜の孔を物理的に塞ぎ、さらに、前記検体中に含まれる剥離した上皮細胞等の細胞を凝集させて前記多孔質膜孔を閉塞するため、検体中の抗原が、多孔質膜内を毛細管現象により移動できなくなることを挙げる報告もある(例えば、特許文献1)。この非特異的結合反応は、誤診につながる可能性があり、検体分析用具に対する分析精度の信頼性にも影響する。そこで、検体を、検体分析用具適用前に前処理する、非特異的反応の抑制方法(例えば、特許文献1および2等)が提案されている。しかし、前処理による非特異的反応の抑制方法は、ろ過操作等を要するため、測定操作が煩雑になり、検体分析用具の利便性が損なわれる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−24323号公報
【特許文献2】特開2005−24324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、煩雑な前処理操作を要さず、簡便に非特異的反応を抑制可能な、検体分析用具を用いた免疫分析方法およびこの免疫分析方法に用いる検体分析用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の免疫分析方法は、検出部を有し、かつ前記検出部に固定化抗体が固定された多孔質体を含む検体分析用具を用い、
検体中の分析対象物である抗原と、前記抗原に対する標識化抗体とを、前記検出部に導入することにより、前記抗原を介して前記標識化抗体と前記固定化抗体とが複合体を形成し、前記複合体における前記標識化抗体の前記標識を検出する免疫分析方法であって、
前記検体を前記検出部に導入する前に、前記検体とγ−グロブリンとを接触させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明者は、検体分析用具を用いた免疫分析方法における非特異的反応の抑制を目的として、一連の研究を重ねた。その中で、検体が固定化抗体と接触するまでに、検体をγ−グロブリンに接触させることにより、前記非特異的反応が抑制されることを見出し、本発明に到達した。本発明の免疫分析方法および検体分析用具によれば、非特異的反応を、煩雑な前処理無しで抑制することが可能であり、分析の信頼性が向上する。本発明による前記非特異的反応の抑制効果は、検体が粘稠性を有する場合に、特に有効である。また、本発明は、検体分析用具を用いるため利便性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、前記検体が前記固定化抗体と接触する前としては、特に限定されず、例えば、前記検体と前記標識化抗体との接触前、前記検体と前記標識化抗体との接触時、前記検体の前記標識化抗体との接触後から前記固定化抗体との接触前までの間等が挙げられる。
【0009】
本発明の免疫分析方法において、前記検体分析用具が、さらに、前記検体を供給するための検体供給部と、前記標識化抗体を保持する標識化抗体保持部とを有するラテラルフロー型の検体分析用具であり、
前記検体分析用具において、
前記検体供給部に保持された前記検体が、前記標識化抗体保持部に移動し、
前記標識化抗体と前記検体が、前記検出部に移動し、
前記γ−グロブリンが、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置されていてもよい。
【0010】
本発明の免疫分析方法において、前記γ−グロブリンを含む液状試料を、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置し、
前記液状試料中の前記γ−グロブリンの濃度を、0.1mg/mL〜2mg/mLの範囲としてもよい。
【0011】
本発明の免疫分析方法において、前記多孔質体が、多孔質膜であり、前記検体供給部が、サンプルパッドであり、前記標識化抗体保持部が、コンジュゲートパッドであってもよい。本発明の免疫分析方法において、例えば、前記γ−グロブリンを含む液状試料を前記サンプルパッドおよび前記コンジュゲートパッドの少なくとも一方に含浸させることにより、前記γ−グロブリンを、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置してもよい。
【0012】
本発明の免疫分析方法において、前記検体分析用具が、フロースルー型の検体分析用具であり、前記検体と前記標識化抗体の混合前もしくは混合時に、前記検体と前記γ−グロブリンとを接触させてもよい。
【0013】
本発明の免疫分析方法において、前記γ−グロブリンを含む液状試料を、前記検出部に導入し、
前記液状試料中の前記γ−グロブリンの濃度を、0.1mg/mL〜2mg/mLの範囲としてもよい。
【0014】
本発明の免疫分析方法において、前記標識化抗体の標識が、着色不溶性担体粒子および酵素のいずれか一方であってもよい。
【0015】
本発明の免疫分析方法において、前記着色不溶性担体粒子が、着色ラテックス粒子および金属コロイド粒子のいずれか一方であってもよい。
【0016】
本発明の免疫分析方法において、前記検出部に、前記固定化抗体に代えて、固定化抗原が固定化され、
前記検体中の前記分析対象物が、前記抗原に代えて、抗体であり、
前記抗原に対する前記標識化抗体に代えて、前記抗体に対する標識化抗原を用い、
前記抗体を介して前記標識化抗原と前記固定化抗原とが前記複合体を形成し、前記複合体における前記標識化抗体の前記標識を検出してもよい。
【0017】
本発明の検体分析用具は、前記本発明の免疫分析方法に用いる検体分析用具であって、
前記検出部を有し、かつ前記検出部に前記固定化抗体が固定された多孔質体を含むのが好ましい。
【0018】
本発明の検体分析用具は、さらに、前記検体を供給するための検体供給部と、前記標識化抗体を保持する標識化抗体保持部とを有するラテラルフロー型の検体分析用具であり、
前記検体分析用具において、
前記検体供給部に保持された前記検体が、前記標識化抗体保持部に移動し、
前記標識化抗体と前記検体が、前記検出部に移動し、
前記γ−グロブリンが、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置されていてもよい。
【0019】
前記ラテラルフロー型の検体分析用具において、前記γ−グロブリンを含む液状試料を、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置し、
前記液状試料中の前記γ−グロブリンの濃度が、0.1mg/mL〜2mg/mLの範囲であってもよい。
【0020】
前記ラテラルフロー型の検体分析用具において、前記多孔質体が、多孔質膜であり、前記検体供給部が、サンプルパッドであり、前記標識化抗体保持部が、コンジュゲートパッドであってもよい。前記ラテラルフロー型の検体分析用具において、例えば、前記γ−グロブリンを含む液状試料を、前記サンプルパッドおよび前記コンジュゲートパッドの少なくとも一方に含浸させることで、前記γ−グロブリンが、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置されてもよい。
【0021】
本発明の検体分析用具は、フロースルー型の検体分析用具であってもよい。この場合、前記検体と前記標識化抗体の混合前もしくは混合時に、前記検体と前記γ−グロブリンとを接触させてもよい。
【0022】
前記フロースルー型の検体分析用具において、前記γ−グロブリンを含む液状試料が、前記検出部に導入され、
前記液状試料中の前記γ−グロブリンの濃度が、0.1mg/mL〜2mg/mLの範囲であってもよい。
【0023】
本発明の検体分析用具において、前記標識化抗体の標識が、着色不溶性担体粒子および酵素のいずれか一方であってもよい。
【0024】
本発明の検体分析用具において、前記着色不溶性担体粒子が、着色ラテックス粒子および金属コロイド粒子のいずれか一方であってもよい。
【0025】
本発明の検体分析用具は、前記検出部に、前記固定化抗体に代えて、固定化抗原が固定化され、
前記検体中の分析対象物が、前記抗原に代えて、抗体であり、
前記抗原に対する前記標識化抗体に代えて、前記抗体に対する標識化抗原を用い、
前記抗体を介して前記標識化抗原と前記固定化抗原とが複合体を形成し、前記複合体における前記標識化抗体の前記標識を検出する検体分析用具であってもよい。
【0026】
つぎに、本発明について例を挙げて詳細に説明する。
【0027】
本発明において、前記γ−グロブリンは、例えば、マウス、ウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳動物、ニワトリ等の鳥類、ヒト等の動物種由来のものでもよく、特に制限されない。前記γ−グロブリンとしては、特に限定されないが、例えば、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEおよびIgY等の免疫グロブリン、S−アルキル化γ−グロブリン、S−スルホ化γグロブリン等の科学的に修飾されたγ−グロブリン誘導体等が挙げられ、好ましくは、IgGである。前記γ−グロブリンは、例えば、塩析、イオン交換クロマトグラフィおよびゲルろ過等の工程により調製されたものでもよく、あるいは市販品でもよく、特に制限されない。前記γ−グロブリンの具体例としては、例えば、前記動物の血漿の硫安分画から、DEAEイオン交換クロマトグラフィにより回収したグロブリン分画や、さらに、このグロブリン分画から、プロテインAまたはプロテインGによるアフィニティクロマトグラフィにより精製したIgG等が挙げられる。
【0028】
本発明において、前記γ−グロブリンは、例えば、前記検体分析用具の作製または前記検体分析用具を用いた分析において、前記検体分析用具に導入される液状試料に含まれていてもよい。前記液状試料としては、特に限定されないが、例えば、前記検体の抽出液(希釈液)、前記標識化抗体を含む抗体液、前記検体供給部に含浸させる含浸液等が挙げられる。前記抽出液は、例えば、検体分析用具の前記検体供給部、前記多孔質体等に含浸させてもよい。また、本発明において、例えば、前記抗体液を標識化抗体保持部形成材料に含浸させ、それを乾燥させて、前記標識化抗体保持部を作製してもよい。そして、本発明において、例えば、前記含浸液を検体供給部形成材料に含浸させ、それを乾燥させて、前記検体供給部を作製してもよい。
【0029】
前記液状試料中の前記γ−グロブリン濃度は、特に限定されないが、例えば、0.1mg/mL〜2mg/mLの範囲である。前記濃度を前記範囲とすれば、非特異的反応の抑制効果を向上させ、かつ分析感度を低下させることなく、高精度に分析可能である。前記濃度は、好ましくは、0.2mg/mL〜1.5mg/mLの範囲であり、より好ましくは、0.5mg/mL〜1.0mg/mLの範囲である。
【0030】
前記液状試料は、緩衝液、界面活性剤、抗菌剤等を含んでいてもよい。前記緩衝液としては、特に制限されず、例えば、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等が挙げられる。前記緩衝液のpHは、特に限定されないが、例えば、pH4〜10の範囲であり、好ましくは、pH6〜9の範囲である。前記界面活性剤としては、特に制限されず、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。前記抗菌剤としては、特に限定されず、例えば、アジ化ナトリウム、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
【0031】
本発明において、前記検体としては、特に限定されず、例えば、鼻腔吸引液、鼻腔洗浄液、鼻腔ぬぐい液、鼻汁、咽頭ぬぐい液、含漱液、唾液、全血、血清、血漿、汗、尿等の生体試料等が挙げられ、好ましくは、粘稠性を有する検体である。前記粘稠性を有する検体としては、特に限定されないが、例えば、鼻腔吸引液、鼻腔洗浄液、鼻腔ぬぐい液、鼻汁、咽頭ぬぐい液、含漱液、唾液等が挙げられる。前記検体は、液状のものに限られず、固体状のものを緩衝液等に溶解したものでもよく、例えば、細胞、糞便等の生体試料、動物および植物等の食物や加工食品等の食品等が挙げられる。前記緩衝液としては、特に限定されないが、例えば、前述の緩衝液等が挙げられる。
【0032】
本発明において、前記検体中の前記分析対象物としては、例えば、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、コロナウイルス、アストロウイルス、ノロウイルス、麻疹ウイルス、ロタウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−1)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヘルペスウイルス、マイコプラズマ、梅毒トレポネーマ、クラミジア・トラコマチス、結核菌、大腸菌群、A群溶連菌、B群溶連菌、肺炎球菌、ブドウ球菌、MRSA、レジオネラ、腸管出血性大腸菌O157、ベロ毒素、サルモネラ、クロストリジウム・ディフィシル、ヘリコバクター・ピロリ、CRP、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗原、HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、前立腺特異抗原(PSA)、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)、トロポニンT、トロポニンI、ミオグロビン、D−ダイマー、便中ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、IgE抗体等の病原体抗原、抗体、癌マーカー、ホルモン等の生体成分、残留農薬、環境ホルモン、食品中のアレルギー物質等が挙げられ、特に制限されない。
【0033】
本発明において、前記標識化抗体としては、特に限定されず、例えば、着色不溶性担体粒子を結合させた抗体でもよく、酵素を結合させた抗体でもよい。
【0034】
本発明において、前記着色不溶性担体粒子としては、特に限定されず、例えば、着色ラテックス粒子、金属コロイド粒子、着色ポリメチルメタクリレート粒子、着色ポリ乳酸粒子、着色多孔性ガラス粒子、着色シリカ粒子、着色アガロース粒子、着色デキストラン粒子等が挙げられる。前記着色ラテックス粒子としては、特に限定されないが、例えば、青色ラテックス粒子、赤色ラテックス粒子等が挙げられる。前記金属コロイド粒子としては、特に限定されないが、例えば、金コロイド粒子、白金コロイド粒子等が挙げられる。前記着色不溶性担体粒子の平均粒子径は、特に限定されず、前記着色ラテックス粒子の場合には、例えば、0.05μm〜5μmの範囲であり、好ましくは、0.1μm〜1μmの範囲であり、前記金属コロイド粒子の場合には、例えば、2nm〜100nmの範囲であり、好ましくは、10nm〜50nmの範囲である。
【0035】
前記酵素としては、反応して基質を着色させるものであればよく、特に限定されないが、例えば、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等が挙げられる。
【0036】
前記基質としては、前記酵素に反応して着色するものであれば特に限定されない。前記基質としては、例えば、2,2´−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)、3,3´,5,5´−テトラメチルベンチジン(TMB)、ジアミノベンチジン(DAB)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、4−メチルウムベリフェニル−β−D−ガラクトシド(4MUG)、3−(2´−スピロアダマンタン)−4−メトキシ−4−(3´´−β−D−ガラクトピラノシル)フェニル−1,2−ジオキセタン(AMGPD)等が挙げられる。
【0037】
前記標識化抗体の抗体としては、分析対象物である抗原と結合するものであれば特に限定されず、例えば、前述の各種抗原等に対する抗体が挙げられる。前記抗体は、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEおよびIgYのいずれであってもよく、例えば、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEおよびIgY等の免疫グロブリン分子、Fab、Fab’、F(ab’)2等の抗体フラグメント等が挙げられる。前記抗体は、例えば、マウス、ウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳動物、ニワトリ等の鳥類、ヒト等の動物種由来のものでもよく、特に制限されない。前記抗体の動物種は、前記γ−グロブリンの動物種と同じでもよく、異なっていてもよい。また、前記抗体としては、例えば、前記動物種由来の血清から、従来公知の方法により作製してもよく、あるいは市販の各種抗体を利用してもよく、特に制限されない。前記抗体としては、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体のいずれを用いてもよく、前記抗原等に応じて適宜設定できる。
【0038】
前記標識化抗体が、前記着色不溶性担体粒子を結合させた抗体の場合、前記標識化抗体は、例えば、前記着色不溶性担体粒子を緩衝液等に懸濁し、この懸濁液に前記抗体を加えた反応液中で、前記着色不溶性担体粒子と前記抗体とを反応させて調製してもよい。前記緩衝液としては、特に限定されないが、例えば、前記緩衝液等が挙げられる。また、前記標識化抗体の調製において、前記懸濁液中の前記着色不溶性担体粒子の濃度は、特に制限されないが、例えば、0.001〜10重量%の範囲であり、好ましくは、0.01〜1重量%の範囲である。そして、前記反応液中の前記抗体の濃度も、特に制限されないが、例えば、0.01〜20mg/mLの範囲であり、好ましくは、0.1〜5mg/mLの範囲である。
【0039】
前記標識化抗体が、前記酵素を結合させた抗体の場合、前記標識化抗体の調製方法は、特に限られず、例えば、従来公知の方法を用いてもよい。
【0040】
本発明において、前記固定化抗体の抗体としては、例えば、前記標識化抗体と同じ抗原に結合可能な抗体であれば特に制限されず、例えば、前述の抗体等が挙げられる。前記固定化抗体の多孔質体への固定方法としては、特に制限されないが、例えば、塗布装置等を用いて、多孔質体上に前記固定化抗体を含む抗体液を塗布し、乾燥機等により風乾させる等、従来公知の方法を用いることができる。前記抗体液は、例えば、前記固定化抗体を緩衝液等に懸濁して調製してもよく、特に制限されない。前記緩衝液としては、特に限定されないが、例えば、前記緩衝液等が挙げられる。また、前記固定化抗体を含む抗体液中の前記抗体の濃度は、特に制限されないが、例えば、0.01〜20mg/mLの範囲であり、好ましくは、0.1〜5mg/mLの範囲である。
【0041】
前述のように、本発明において、前記検体中の分析対象物が、前記抗原に代えて、抗体であり、前記固定化抗体に代えて、固定化抗原が前記検出部に固定化され、前記抗原に対する前記標識化抗体に代えて、前記抗体に対する標識化抗原であってもよい。前記検体中の分析対象物が抗体である場合、前記抗体としては、特に制限されず、例えば、前述の抗体等が挙げられ、前記固定化抗原の抗原および前記標識化抗原の抗原としては、前記抗体に結合可能な抗原であれば特に制限されず、例えば、前述の抗原等が挙げられる。前記固定化抗原の作製方法は、例えば、従来公知の方法等が挙げられ、特に制限されない。また、本発明において、前記固定化抗原の多孔質体への固定方法としては、例えば、従来公知の方法等を用いることができ、特に制限されない。前記標識化抗原としては、特に限定されず、例えば、着色不溶性担体粒子を結合させた抗原でもよく、酵素を結合させた抗原でもよい。前記標識化抗原の作製方法としては、例えば、従来公知の方法等が挙げられ、特に制限されない。前記検体中の分析対象物が、前記抗原に代えて、前記抗体である場合には、本発明の検体分析用具は、前記標識化抗体保持部に代えて、標識化抗原保持部を有する。
【0042】
つぎに、本発明の免疫分析方法および検体分析用具について、例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定されない。
【0043】
(実施形態1)
図1に、本例の検体分析用具1を示す。本例の検体分析用具1は、試験片2がケース体3に収容された構成である。図1(A)は、前記試験片2の平面図であり、図1(B)は、図1(A)のI−I方向に見た断面図であり、図1(C)は、前記検体分析用具1の平面図である。同図に示すように、本例の検体分析用具1は、ラテラルフロー型である。前記試験片2は、支持体21上に前記支持体21より長さの短い多孔質膜22が配置され、この多孔質膜22表面上の一端(同図において左側端部)側にコンジュゲートパッド23が配置され、前記コンジュゲートパッド23表面上に、さらに、サンプルパッド24が配置されている。本例の検体分析用具1において、前記多孔質膜22が、前記多孔質体である。また、本例の検体分析用具1において、前記コンジュゲートパッド23が、前記標識化抗体保持部である。そして、本例の検体分析用具1において、前記サンプルパッド24が、前記検体供給部であり、前記サンプルパッド24側が、前記検体の流れの上流側となる。前記多孔質膜22表面上には、上流側から順に、前記固定化抗体(図示せず)がライン状に固定された検出部4aおよび4bが形成されている。さらに、前記多孔質膜22表面上の他端(同図において右側端部)側に、吸収パッド25が配置されている。前記コンジュゲートパッド23は、その全体が前記多孔質膜22の上に載った状態であってもよいし、その一部のみが前記多孔質膜22の上に載った状態であってもよい。同図においては、前記コンジュゲートパッド23の一端(同図において左側端部)側は、前記多孔質膜22の端部(同図において左側端部)から前記支持体21上へと垂らされ、前記支持体21の一端(同図において左側端部)側に固定されている。前記サンプルパッド24は、その全体が前記コンジュゲートパッド23の上に載った状態であってもよいし、その一部のみが前記コンジュゲートパッド23の上に載った状態であってもよい。同図においては、前記サンプルパッド24の一端(同図において左側端部)側は、前記コンジュゲートパッド23の端部(同図において左側端部)から前記支持体21上へと垂らされ、前記支持体21の一端(同図において左側端部)に固定されている。また、前記吸収パッド25の一端(同図において右側端部)側は、前記多孔質膜22表面の他端(同図において右側端部)から前記支持体21上へと垂らされ、前記支持体21の他端(同図において右側端部)に固定されている。前記ケース体3は、中空の直方体である。前記ケース体3表面の一端(同図において左側端部)側に孔が貫通され、試料孔31が形成されている。また、前記ケース体3表面の中央部が矩形に切り取られて、計測窓32が形成されている。前記試験片2は、前記ケース体3内に収容され、前記検出部4aおよび4bは、前記計測窓32直下に位置して露出しており、前記サンプルパッド24は、前記試料孔31直下に位置している。
【0044】
前記支持体21の材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、酢酸セルロース等が挙げられる。また、前記支持体21の形状としては、特に制限されず、例えば、フィルム状、シート状、板状等が挙げられる。前記支持体21の形および大きさは、特に制限されず、前記検体分析用具の構成等に応じて、適宜設定できる。
【0045】
前記多孔質膜22は、毛細管作用を奏するものであれば特に限定されず、例えば、セルロース膜、酢酸セルロース、ニトロセルロース等のセルロース誘導体膜、ガラスフィルター、濾紙等が挙げられる。本発明において、前記多孔質膜22の形状は、特に限定されず、例えば、長方形、円形等が挙げられる。本発明において、前記多孔質膜22の大きさは、特に制限されず、適宜設定できる。本発明において、前記多孔質体は、前記多孔質膜21に限られず、例えば、ポリマービーズ、ガラスビーズ、二酸化チタン、セルロース、塩類、疎水化多糖類等の粒状物質または微粒子粉末等であってもよく、多孔質構造であれば特に制限されない。本発明において、前記多孔質体の形状および大きさは、特に制限されず、適宜設定できる。
【0046】
前記多孔質膜22は、例えば、常法により前記支持体21上に配置でき、具体的には、両面テープや接着剤を用いて、前記支持体21上に固定してもよい。
【0047】
前記コンジュゲートパッド23の材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、グラスファイバー、レーヨン、ナイロン、紙、セルロース等が挙げられる。前記コンジュゲートパッド23の形状および大きさは、特に制限されず、適宜設定できる。本発明において、前記標識化抗体保持部は、前記コンジュゲートパッド23に限られず、標識化抗体を保持可能であればよく、特に制限されない。
【0048】
本例において、前記コンジュゲートパッド23は、γ−グロブリン、青色ラテックス標識抗A型インフルエンザモノクローナル抗体および赤色ラテックス標識抗B型インフルエンザモノクローナル抗体を含んでいる。
【0049】
前記コンジュゲートパッド23は、例えば、γ−グロブリンおよび前述の二つの標識化抗体を含む抗体液を含浸させた後、風乾等により乾燥させて作製する。前記γ−グロブリンの前記抗体液中の濃度は、特に制限されないが、例えば、前述の範囲である。また、各標識化抗体の前記抗体液中の濃度は、特に制限されず、適宜設定できる。本発明において、前記標識化抗体保持部に含浸させる成分としては、標識化抗体以外に特に制限されず、例えば、γ−グロブリン、緩衝液等が挙げられる。
【0050】
前記サンプルパッド24の材質としては、特に制限されず、例えば、前記コンジュゲートパッド23で挙げた材料等を用いてもよい。前記サンプルパッド24の形状および大きさは、特に制限されず、適宜設定できる。本発明において、前記検体供給部は、前記サンプルパッド24に限られず、試料を適用可能であれば特に制限されない。
【0051】
本発明において、前記γ−グロブリンは、前記検体供給部、前記標識化抗体保持部および前記液状試料のうちの少なくとも一つに含まれていればよく、二つ以上に含まれていてもよい。前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に含まれる前記γ−グロブリン量は、特に制限されないが、後述する検体抽出液120μLに対して、例えば、0.01mg以上である。
【0052】
本発明において、例えば、検体分析用具の一つの部位が、前記検体供給部と前記標識化抗体保持部とを兼ねていてもよい。すなわち、本発明において、例えば、前記コンジュゲートパッド23が、前記検体供給部と前記標識化抗体保持部とを兼ねていてもよく、前記サンプルパッド24が、前記検体供給部と前記標識化抗体保持部とを兼ねていてもよい。
【0053】
前記検出部4aは、例えば、抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体が固定化されたA型インフルエンザウイルス検出部であり、前記検出部4bは、例えば、抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体が固定化されたB型インフルエンザウイルス検出部である。
【0054】
本例の検体分析用具1では、多孔質膜22の幅方向に伸びる二本のライン状に検出部を形成したが、本発明の検体分析用具は、これに限定されず、検出部の個数は、1〜10個の範囲で自由に設定でき、また検出部の形状も、ライン状以外に、例えば、矩形、円形等が挙げられる。
【0055】
前記吸収パッド25の材質としては、特に制限されず、例えば、前記サンプルパッド24の材料等が挙げられる。前記吸収パッド25の形状および大きさは、特に制限されず、適宜設定できる。
【0056】
前記ケース体3の材質としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂等が挙げられる。前記ケース体3の形状および大きさは、特に制限されず、前記試験片の形状および大きさ等に応じて適宜設定できる。
【0057】
つぎに、本例の検体分析用具1を用いた免疫分析方法の一例について、図1に基づき説明する。
【0058】
まず、抽出液を準備する。前記抽出液としては、例えば、前述の緩衝液等が挙げられる。ついで、鼻腔内の鼻甲介を綿棒で拭って、鼻腔ぬぐい液(検体)を採取する。つぎに、前記綿棒を前記抽出液に浸して前記検体を抽出し、検体抽出液を調製する。
【0059】
つぎに、前記サンプルパッド24に、前記検体抽出液を滴下する。滴下した前記検体抽出液は、前記サンプルパッド24に供給され、さらに、下層の前記コンジュゲートパッド23に供給される。前記検体抽出液により、前記コンジュゲートパッド23に含まれる前記γ−グロブリンおよび前記標識化抗体が溶解する。前記検体抽出液が分析対象物である抗原を含む場合には、抗原抗体反応により、前記標識化抗体と前記抗原とが結合し、抗原−標識化抗体結合体を形成する。そして、前記抗原−標識化抗体結合体は、毛細管現象により、前記多孔質膜22中を移動して検出部4aおよび4bに導入され、前記検出部4aおよび4bの前記固定化抗体に結合して複合体を形成する。前記複合体の形成により、検出部4aおよび4bが着色する。
【0060】
この一連の反応について、図2の模式図に基づき、具体的に説明する。同図において、図1と同一部分には同一符号を付している。すなわち、まず、図2(A)に示すように、検出部4に固定化抗体5を固定した、多孔質膜22を準備する。ついで、前記多孔質膜22の一端(同図において左側端部)に、抗原7を含む検体抽出液および標識化抗体6を導入する。同図において、61は抗体であり、62は標識である。つぎに、図2(B)に示すように、標識化抗体6は、抗原7と結合して抗原−標識化抗体結合体8を形成する。前記結合体8は、同図において矢印で示すように、毛細管現象により、多孔質膜22内を長手方向に移動して検出部4に到達する。ついで、図2(C)に示すように、前記結合体8は、抗原7を介して、前記固定化抗体5と結合し複合体9を形成する。前記複合体9の形成により、検出部4が標識62によって着色する。前記検出部4に保持されなかった検体抽出液は、前記吸収パッド25に吸収される。本例において、前記検体抽出液に、A型インフルエンザウイルス抗原が含まれる場合には、前記複合体9の形成により、前記検出部4aが青色に着色する。また、本例において、前記検体抽出液に、B型インフルエンザウイルス抗原が含まれる場合には、前記複合体9の形成により、前記検出部4bが赤色に着色する。本発明では、所定時間経過後、前記着色を、例えば、目視で確認してもよく、分析機器等を用いて、前記検出部4の反射率もしくは透過率等から光学的に測定してもよく、特に制限されない。前記所定時間は、特に限定されないが、例えば、5〜15分の範囲である。
【0061】
(実施形態2)
本例の検体分析用具1は、前記γ−グロブリンが、前記コンジュゲートパッドではなく、前記サンプルパッドに含まれていること以外は、実施形態1と同様にして作製する。
【0062】
本例において、前記サンプルパッド24は、γ−グロブリンを含む前記含浸液を含浸後、風乾等により乾燥させて作製する。本発明において、前記サンプルパッド24に前記含浸液を含浸させる場合、前記γ−グロブリンの前記含浸液中の濃度は、特に制限されず、例えば、前述の範囲である。本例において、前記含浸液としては、特に限定されず、例えば、前述の緩衝液等が挙げられる。
【0063】
つぎに、本例の検体分析用具1を用いた免疫分析方法の一例を、図1および図2に基づき説明する。まず、実施形態1と同様にして検体抽出液を調製する。前記検体抽出液を、前記サンプルパッド24に滴下する。前記検体抽出液により、前記サンプルパッド24に含まれる前記γ−グロブリンが溶解し、前記検体抽出液と共に、前記コンジュゲートパッド23に供給される。前記検体抽出液および前記γ−グロブリンにより、前記コンジュゲートパッド23に含まれる二つの前記標識化抗体6が、溶解する。前記検体抽出液が分析対象物である抗原7を含む場合には、抗原抗体反応により、前記標識化抗体6と前記抗原7とが結合し、抗原−標識化抗体結合体8を形成する。そして、実施形態1と同様にして、前記抗原−標識化抗体結合体8が、前記多孔質膜22中を毛細管現象により移動し、前記固定化抗体5に結合し、複合体9を形成する。前記複合体9により、前記検出部4aおよび4bが着色する。前記着色を、実施形態1と同様に、目視または分析機器等により確認する。
【0064】
(実施形態3)
本例の検体分析用具1は、前記γ−グロブリンが、前記コンジュゲートパッドに含まれていないこと以外は、実施形態1と同様にして作製する。
【0065】
つぎに、本例の検体分析用具1を用いた免疫分析方法の一例を、図1および図2に基づき説明する。まず、γ−グロブリンを0.1〜2mg/mLの範囲で添加した抽出液(試料)を準備する。そして、γ−グロブリンを含む前記抽出液を用いること以外は、実施形態1と同様にして、前記検体抽出液を調製する。つぎに、前記サンプルパッド24に、前記検体抽出液を滴下する。滴下された前記検体抽出液は、前記サンプルパッド24に供給され、さらに、下層の前記コンジュゲートパッド23に供給される。前記検体抽出液により、前記コンジュゲートパッド23に含まれている前記標識化抗体6が、溶解する。前記検体抽出液が検出対象物である抗原7を含む場合には、抗原抗体反応により、前記標識化抗体6と前記抗原7とが結合し、抗原−標識化抗体結合体8を形成する。そして、実施形態1と同様にして、前記抗原−標識化抗体結合体8が前記多孔質膜22中を毛細管現象により移動し、前記固定化抗体5に結合し、複合体9を形成する。前記複合体9により、前記検出部4aおよび4bが着色する。前記着色を、実施形態1と同様に、目視または分析機器等により確認する。
【0066】
実施形態1〜3では、試験片およびケース体から構成された検体分析用具を用いたが、本発明では、これらの例に限られず、例えば、前記試験片のみから構成される検体分析用具を用いてもよい。
【0067】
(実施形態4)
図3に、本例の検体分析用具1を示す。図3(A)は、本例の検体分析用具1の平面図であり、図3(B)は、図3(A)のI−I方向に見た断面図である。前記二図において、同一部分には同一符号を付している。前記二図に示すように、本例の検体分析用具1は、フロースルー型である。図3(A)に示すように、本例の検体分析用具1では、矩形の多孔質膜22の上面の一部に、固定化抗体を円状に固定し、検出部4が形成されている。本例において、例えば、前記検出部4は、抗RSウイルスモノクローナル抗体が固定化されたRSウイルス検出部である。そして、図3(B)に示すように、前記多孔質膜22の下には、吸収パッド25を接触状態で配置する。
【0068】
つぎに、前記検体分析用具1を用いた本例の免疫分析方法の一例について、図3に基づき説明する。
【0069】
まず、γ−グロブリンおよび前記標識化抗体を含有する抗体液(試料)を準備する。一方、鼻腔内の鼻甲介を綿棒で拭って、鼻腔ぬぐい液(検体)を採取する。そして、前記綿棒を前記抗体液に浸して前記検体を抽出し、検体抽出液を調製する。つぎに、前記多孔質膜22の上方から、前記検体抽出液を滴下し、前記検出部4に導入する。前記検体抽出液が分析対象物である抗原を含む場合には、抗原抗体反応により、前記標識化抗体は、前記抗原を介して前記検出部4の前記固定化抗体に結合し、複合体を形成する。前記複合体の形成により、検出部4が着色する。この一連の反応について、図4(A)および図4(B)の模式図に基づき、具体的に説明する。前記二図において、図1〜図3と同一部分には、同一符号を付している。図4(A)に示すように、固定化抗体5を固定した検出部4を含む多孔質膜22を準備する。前記多孔質膜22の上方から、抗原7および標識化抗体6を含む検体抽出液を適用する。同図において、61は抗体であり、62は標識である。図4(B)に示すように、標識化抗体6は、抗原7を介して前記固定化抗体5と結合し、複合体9を形成する。前記複合体9の形成により、前記検出部4が標識62によって着色する。また、検体抽出液中の他の液体等は、矢印で示すように、多孔質膜22の厚み方向に浸透し、吸収パッド25で吸収される。本例において、前記検体抽出液にRSウイルス抗原7が含まれる場合には、前記検出部4が赤色に着色する。本例において、前記着色の確認方法は、特に制限されない。本例では、実施形態1と同様に、所定時間経過後、前記着色を、例えば、目視で確認してもよく、分析機器等を用いて、前記検出部4の反射率もしくは透過率等から光学的に測定してもよい。前記所定時間は、特に限定されないが、例えば、5〜15分の範囲である。
【実施例】
【0070】
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例および比較例に限定ないし制限されない。
【0071】
(実施例1)
本例では、図1に示す検体分析用具1を用いて、試料中のA型およびB型インフルエンザウイルスを検出した。
【0072】
<インフルエンザウイルス検出用検体分析用具の作製>
本例の検体分析用具1は、以下のようにして作製した。
【0073】
(1)青色ラテックス標識抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液の調製
まず、20mmol/Lのホウ酸緩衝液(pH8.2)に、青色ラテックス粒子(粒子径0.3μm、セラダイン社製)を、1重量%の濃度になるように懸濁し、懸濁液を得た。この懸濁液に、1mg/mL濃度の抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(フィッツジェラルド社製)を1:1の容量比で混合して、室温で60分間反応させた。つぎに、前記反応液を遠心分離後、上清を除去し、1w/v%ウシ血清アルブミン含有ホウ酸緩衝液(pH8.2)で再懸濁した。前記再懸濁液を遠心分離後、上清を除去し、下記組成のラテックス分散用緩衝液2.5mLに懸濁し、青色ラテックス標識抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液を調製した。
【0074】
(ラテックス分散用緩衝液の組成)
成分 濃度
トリス緩衝液(pH8.4) 25mmol/L
NaCl 100mmol/L
ウシ血清アルブミン(BSA) 1w/v%
【0075】
(2)赤色ラテックス標識抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液の調製
赤色ラテックス標識抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液は、前記青色ラテックス粒子ではなく、赤色ラテックス粒子(粒子径0.3μm、セラダイン社製)を用い、前記抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体ではなく、抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(フィッツジェラルド社製)を用いたこと以外は、前記青色ラテックス標識抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液と同様にして、調製した。
【0076】
(3)コンジュゲートパッド形成用シートの作製
前記青色ラテックス標識抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液および前記赤色ラテックス標識抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液を1:1の比率で混合して混合液を調製した。混合液2.2mLを、幅1cm、長さ30cmに裁断したガラスフィルター(ミリポア社製)に含浸させ、乾燥機を用いて70℃で45分間乾燥し、コンジュゲートパッド形成用シートを作製した。
【0077】
(4)抗体固定化膜形成用シートの作製
ニトロセルロースメンブレン(ミリポア社製)を幅3cm、長さ30cmの帯状に裁断した。前記裁断したニトロセルロースメンブレンを、抗体塗布装置(バイオドット社製)にセットし、帯の長辺側の一端から11mm離れた部分に、抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(フィッツジェラルド社製)をライン状に塗布して検出部4aを形成し、前記一端から15mm離れた部分に、抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(フィッツジェラルド社製)をライン状に塗布して検出部4bを形成した。前記抗体を塗布したメンブレンを、乾燥機を用いて40℃で20分間乾燥し、前記ニトロセルロースメンブレン(多孔質膜)に抗体が固定化された抗体固定化膜形成用シートを作製した。
【0078】
(5)検体分析用具の作製
試験片2を、以下のようにして作製した。まず、ろ紙(ミリポア社製)を幅2.6cm、長さ30cmに裁断して、サンプルパッド形成用シートを準備した。また、ろ紙(ワットマン社製)を幅2.9cm、長さ30cmに裁断して、吸収パッド形成用シートを準備した。さらに、両面テープ付のプラスチックシートを幅7.7cm、長さ30cmに裁断して、支持体形成用シートを準備した。そして、前記支持体形成用シート上に、前記抗体固定化膜形成用シート、コンジュゲートパッド形成用シート、サンプルパッド形成用シートおよび吸収パッド形成用シートを、各短辺側の両端を揃えて、つぎのようにして積層した。まず、前記支持体形成用シートの幅方向中央領域に、前記抗体固定化膜形成用シートを貼付した。本例の検体分析用具1は、前記検出部4a側を上流側とし、前記検出部4b側を下流側とした。つぎに、前記抗体固定化膜形成用シートの前記検出部4b側端部から、下流側の前記支持体形成用シート端部上に、前記抗体固定化膜形成用シートと7mm重なるようにして、前記吸収パッド形成用シートを貼付した。そして、前記抗体固定化膜形成用シートの前記検出部4a側端部から、上流側の前記支持体形成用シート端部上に、前記抗体固定化膜形成用シートと1mm重なるようにして、前記コンジュゲートパッド形成用シートを貼付した。そして、さらに前記コンジュゲートパッド形成用シート上に前記サンプルパッド形成用シートを積層した。前記積層したシートを、シートの長さ方向を幅方向とする4mm幅の短冊状に裁断し、幅4mm、長さ77mmの試験片2を作製した。前記試験片2を、試料孔31および計測窓32を備えたケース体3に封入し、本例の検体分析用具1を作製した。本例の検体分析用具1において、前記多孔質膜形成用シートの裁断部分が、多孔質膜22であり、前記コンジュゲートパッド形成用シートの裁断部分が、コンジュゲートパッド23であり、前記サンプルパッド形成用シートの裁断部分が、サンプルパッド24であり、前記吸収パッド形成用シートの裁断部分が、吸収パッド25である。
【0079】
<インフルエンザウイルスの検出>
本例の検体分析用具1を用いて、以下のようにして、検体中のインフルエンザウイルスを分析した。本例において、前記検体として、綿棒で採取した鼻腔ぬぐい液の検体10例(検体1〜10)を使用した。なお、前記検体中のインフルエンザウイルスの存在の有無は、下記(6)に示すRT−PCR法を用いて確認した。
【0080】
(6)RT−PCR法によるインフルエンザウイルスの検出
本例では、Wangdong Zhang and David.H.EvansによるA型およびB型インフルエンザウイルスのマトリックス蛋白検出方法(Journal of Virological methods、1991年、33巻、165−189頁)を用いて、前記RT−PCR法を実施した。前記RT−PCR法による検出の結果、検体1〜6は、インフルエンザウイルスが検出されず(陰性)、検体7および8は、A型インフルエンザウイルスが検出され(A型陽性)、検体9および10は、B型インフルエンザウイルスが検出された(B型陽性)。
【0081】
(7)検体分析用具を用いたインフルエンザウイルスの検出
本例では、前記10検体について、つぎのようにして、本例の検体分析用具1を用いて分析した。まず、前記検体を表1に示す組成の抽出液0.7mLに懸濁し、懸濁液を調製した。そして、前記懸濁液120μLを、前記サンプルパッド24に滴下した。滴下15分後に、前記検出部4aおよび4bの着色の有無を目視により確認し、前記インフルエンザウイルスの存否を判定した。前記目視による判定において、前記検出部4aが青色の場合はA型インフルエンザ陽性、前記検出部4bが赤色の場合はB型インフルエンザ陽性、着色のない場合は陰性と判定した。
【0082】
(表1)抽出液の組成
成分 濃度
トリス緩衝液(pH7.5) 50mmol/L
Tween20 0.5w/v%
NaCl 0.9w/v%
BSA 1w/v%
ウシγ−グロブリン(オリエンタル酵母工業社製) 1mg/mL
【0083】
(比較例1)
本例では、前記抽出液として、表1の組成からウシγ−グロブリンを除いた組成の抽出液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インフルエンザウイルスを検出した。
【0084】
表2に、実施例1および比較例1の分析結果を示す。同表において、「−」は陰性を示し、「+」は陽性を示す。同表に示すように、比較例1では、10検体中3検体(検体1、2および3)が、A型インフルエンザ陽性と判定され、RT−PCR法による判定結果と異なっていた。一方、実施例1では、全ての判定結果が、RT−PCR法による判定結果と一致した。すなわち、前記3検体について、抽出液中に1mg/mLのγ−グロブリンを添加することにより、正しい判定結果が得られた。
【0085】
【表2】

【0086】
(実施例2)
本例では、検体として、実施例1と同様にして採取した検体12例(検体11〜22)を使用した。そして、前記検体中のインフルエンザウイルスの有無を、実施例1と同様に、RT−PCR法を用いて確認した。前記RT−PCR法による検出の結果、検体11〜18は、インフルエンザウイルスが検出されず(陰性)、検体19および20は、A型インフルエンザウイルスが検出され(A型陽性)、検体21および22は、B型インフルエンザウイルスが検出された(B型陽性)。一方、本例では、実施例1と同様にして、検体分析用具1を作製した。そして、前記検体分析用具1を用いて、前記12検体について、実施例1と同様にして、インフルエンザウイルスを検出した。
【0087】
(実施例3)
本例では、前記混合液に、さらに、ウシγ−グロブリン(オリエンタル酵母工業社製)を0.5mg/mLの濃度になるように添加した混合液を用いて、前記コンジュゲートパッドを作製したこと以外は、実施例1と同様にして、検体分析用具1を作製した。そして、前記検体分析用具1を用いて、前記12検体について、実施例2と同様にして、インフルエンザウイルスを検出した。なお、本例において、前記γ−グロブリンは、前記懸濁液120μL中に0.12mg含まれ、前記コンジュゲートパッド中に約0.015mg含まれた。
【0088】
表3に、実施例2および実施例3の分析結果を示す。同表において、「−」は陰性を示し、「+」は陽性を示す。同表に示すように、実施例2(γ−グロブリン濃度0mg/mL)では、12検体中、10検体において、RT−PCR法と同じ分析結果が得られた。しかし、実施例2では、RT−PCR法では陰性の検体12がA型インフルエンザ陽性、同法では陰性の検体18がA型およびB型インフルエンザ共に陽性と判定され、2検体について、正しい分析結果が得られなかった。一方、実施例3では、前記検体12および18の分析結果は、RT−PCR法と同様に陰性となり、12検体全てにおいて、正しい分析結果が得られた。すなわち、分析結果が偽陽性であった2検体について、1mg/mL濃度のγ−グロブリンを含む抽出液に加え、さらに、コンジュゲートパッドにγ−グロブリンを含浸させることにより、正しい判定結果を得ることができた。
【0089】
【表3】

【0090】
(実施例4)
本例では、標識化抗体の標識粒子、抗体、検出部および各多孔質体が、後述のように異なること以外は、実施例1と同じ構成の検体分析用具を用いて、検体中のRSウイルスを検出した。
【0091】
<RSウイルス検出用検体分析用具の作製>
本例の検体分析用具を、以下のようにして作製した。
【0092】
(1)抗体液(金コロイド標識抗RSウイルスモノクローナル抗体液)の作製
本例では、前記青色ラテックス粒子および前記赤色ラテックス粒子ではなく、金コロイド粒子(粒子径20nm、BBI社製)を用い、前記抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体および抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体ではなく、抗RSウイルスモノクローナル抗体(フィッツジェラルド社製)を用い、前記ラテックス分散用緩衝液ではなく、金コロイド分散用緩衝液(20mmol/Lトリス緩衝液、pH8.0)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、抗体液(金コロイド標識抗RSウイルスモノクローナル抗体液)を作製した。
【0093】
(2)コンジュゲートパッドの作製
本例では、前記含浸させる抗体液として、前記青色ラテックス標識抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液および前記赤色ラテックス標識抗B型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体液ではなく、前記金コロイド標識抗RSウイルスモノクローナル抗体液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、コンジュゲートパッド23を作製した。
【0094】
(3)抗体固定化膜の作製
本例では、前記抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体ではなく、抗RSウイルスモノクローナル抗体(フィッツジェラルド社製)を検出部4aに塗布し、前記検出部4bに抗体を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、抗体固定化膜22を作製した。
【0095】
(4)検体分析用具の作製
本例では、前記コンジュゲートパッド23および前記抗体固定化膜22を用い、実施例1と同様にして、検体分析用具を作製した。
【0096】
<RSウイルスの検出>
前記検体分析用具を用いて、以下のようにして、検体中のRSウイルスを分析した。前記検体としては、鼻腔内の鼻甲介を綿棒で拭って採取した鼻腔ぬぐい液の検体6例(検体23〜28)を使用した。なお、前記検体中のRSウイルスの存在の有無は、下記(5)に示すRT−PCR法を用いて確認した。
【0097】
(5)RT−PCR法によるRSウイルスの検出
本例では、J.StocktonらによるRSウイルスの検出方法(Journal of Clinical Microbiology、1998年、36巻、10号、2990−2995頁)を用いて、前記RT−PCR法を実施した。前記RT−PCR法による検出の結果、検体23〜26は、RSウイルスが検出されず(陰性)、検体27および28は、RSウイルスが検出された(陽性)。
【0098】
(6)検体分析用具を用いたRSウイルスの検出
本例では、下記6検体について、本例の検体分析用具を用い、次のようにして分析した。まず、本例に用いる抽出液として、前記表1の組成の抽出液のγ−グロブリン濃度を、1mg/mLではなく、0.125mg/mLとした抽出液(試料)を準備した。そして、前記検体を前記抽出液0.8mLに懸濁し、懸濁液を調製した。前記懸濁液120μLを、前記サンプルパッド24に滴下した。滴下15分後に、前記検出部4aの着色の有無を目視により確認し、前記RSウイルスの存否を判定した。前記目視による判定において、前記検出部4aが赤色の場合は陽性、着色のない場合は陰性と判定した。
【0099】
(実施例5)
本例では、前記抽出液中のγ−グロブリン濃度を、0.125mg/mLではなく、0.25mg/mLにしたこと以外は、実施例4と同様にして、RSウイルスを検出した。
【0100】
(実施例6)
本例では、前記抽出液中のγ−グロブリン濃度を、0.125mg/mLではなく、0.5mg/mLにしたこと以外は、実施例4と同様にして、RSウイルスを検出した。
【0101】
(実施例7)
本例では、前記抽出液中のγ−グロブリン濃度を、0.125mg/mLではなく、1mg/mLにしたこと以外は、実施例4と同様にして、RSウイルスを検出した。
【0102】
(実施例8)
本例では、前記抽出液中のγ−グロブリン濃度を、0.125mg/mLではなく、2mg/mLにしたこと以外は、実施例4と同様にして、RSウイルスを検出した。
【0103】
(比較例2)
本例では、前記抽出液中のγ−グロブリン濃度を、0.125mg/mLではなく、0mg/mLにしたこと以外は、実施例4と同様にして、RSウイルスを検出した。
【0104】
表4に、実施例4〜8および比較例2の分析結果を示す。同表において、「−」は陰性を示し、「+」は陽性を示す。同表に示すように、比較例2では、RT−PCR法により陰性と分析された検体4例(検体23〜26)が、全て陽性と分析され、正しい分析結果が得られなかった。一方、抽出液中に0.125〜2mg/mLの濃度範囲でγ−グロブリンを添加した実施例4〜8では、全ての検体(検体23〜28)が、RT−PCR法と同じ分析結果となり、正しい分析結果が得られた。
【0105】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の免疫分析方法および検体分析用具によれば、イムノクロマトグラフィー法による免疫分析において、煩雑な前処理を要さずに、簡便に、非特異的反応を抑制できる。本発明は、臨床検査、生化学検査、医学研究等の分野に適用可能であり、その用途は限定されず、広い分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1(A)は、本発明の検体分析用具を構成する試験片の一例を示す平面図である。図1(B)は、図1(A)に示す試験片のI−I方向に見た断面図である。図1(C)は、図1(A)に示す試験片を収容した本発明の検体分析用具の一例を示す平面図である。
【図2】図2(A)、図2(B)および図2(C)は、本発明のラテラルフロー型検体分析用具における着色反応過程の一例を示す模式図である。
【図3】図3(A)は、本発明の検体分析用具のその他の例を示す平面図である。図3(B)は、図3(A)に示す検体分析用具のI−I方向に見た断面図である。
【図4】図4(A)および図4(B)は、本発明のフロースルー型検体分析用具における着色反応過程の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0108】
1 検体分析用具
2 試験片
21 支持体
22 多孔質膜、抗体固定化膜
23 コンジュゲートパッド
24 サンプルパッド
25 吸収パッド
3 ケース体
31 試料孔
32 計測窓
4、4a、4b 検出部
5 固定化抗体
6 標識化抗体
61 抗体
62 標識
7 抗原
8 抗原−標識化抗体結合体
9 複合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部を有し、かつ前記検出部に固定化抗体が固定された多孔質体を含む検体分析用具を用い、
検体中の分析対象物である抗原と、前記抗原に対する標識化抗体とを、前記検出部に導入することにより、前記抗原を介して前記標識化抗体と前記固定化抗体とが複合体を形成し、前記複合体における前記標識化抗体の前記標識を検出する免疫分析方法であって、
前記検体を前記検出部に導入する前に、前記検体とγ−グロブリンとを接触させることを特徴とする免疫分析方法。
【請求項2】
前記検体分析用具が、さらに、前記検体を供給するための検体供給部と、前記標識化抗体を保持する標識化抗体保持部とを有するラテラルフロー型の検体分析用具であり、
前記検体分析用具において、
前記検体供給部に保持された前記検体が、前記標識化抗体保持部に移動し、
前記標識化抗体と前記検体が、前記検出部に移動し、
前記γ−グロブリンが、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置されている請求項1記載の免疫分析方法。
【請求項3】
前記γ−グロブリンを含む液状試料を、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置し、
前記液状試料中の前記γ−グロブリン濃度を、0.1mg/mL〜2mg/mLの範囲とする請求項2記載の免疫分析方法。
【請求項4】
前記検体分析用具が、フロースルー型の検体分析用具であり、前記検体と前記標識化抗体の混合前もしくは混合時に、前記検体と前記γ−グロブリンとを接触させる請求項1記載の免疫分析方法。
【請求項5】
前記γ−グロブリンを含む液状試料を、前記検出部に導入し、
前記液状試料中の前記γ−グロブリン濃度を、0.1mg/mL〜2mg/mLの範囲とする請求項4記載の免疫分析方法。
【請求項6】
前記標識化抗体の標識が、着色不溶性担体粒子および酵素のいずれか一方である請求項1から5のいずれか一項に記載の免疫分析方法。
【請求項7】
前記着色不溶性担体粒子が、着色ラテックス粒子および金属コロイド粒子のいずれか一方である請求項6記載の免疫分析方法。
【請求項8】
前記検出部に、前記固定化抗体に代えて、固定化抗原が固定化され、
前記検体中の前記分析対象物が、前記抗原に代えて、抗体であり、
前記抗原に対する前記標識化抗体に代えて、前記抗体に対する標識化抗原を用い、
前記抗体を介して前記標識化抗原と前記固定化抗原とが前記複合体を形成し、
前記複合体における前記標識化抗原の前記標識を検出する請求項1から7のいずれか一項に記載の免疫分析方法。
【請求項9】
請求項1記載の免疫分析方法に用いる検体分析用具であって、
前記検出部を有し、かつ前記検出部に前記固定化抗体が固定された多孔質体を含む検体分析用具。
【請求項10】
前記検体分析用具が、さらに、前記検体を供給するための検体供給部と、前記標識化抗体を保持する標識化抗体保持部とを有するラテラルフロー型の検体分析用具であり、
前記検体分析用具において、
前記検体供給部に保持された前記検体が、前記標識化抗体保持部に移動し、
前記標識化抗体と前記検体が、前記検出部に移動し、
前記γ−グロブリンが、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置されている請求項9記載の検体分析用具。
【請求項11】
前記γ−グロブリンを含む液状試料を、前記検体供給部および前記標識化抗体保持部の少なくとも一方に配置し、
前記液状試料中の前記γ−グロブリン濃度が、0.1mg/mL〜2mg/mLの範囲である請求項10記載の検体分析用具。
【請求項12】
フロースルー型の検体分析用具であり、前記検体と前記標識化抗体の混合前もしくは混合時に、前記検体と前記γ−グロブリンとを接触させる請求項9記載の検体分析用具。
【請求項13】
前記γ−グロブリンを含む液状試料が、前記検出部に導入され、
前記液状試料中の前記γ−グロブリン濃度が、0.1mg/mL〜2mg/mLの範囲である請求項12記載の検体分析用具。
【請求項14】
前記標識化抗体の標識が、着色不溶性担体粒子および酵素のいずれか一方である請求項9から13のいずれか一項に記載の検体分析用具。
【請求項15】
前記着色不溶性担体粒子が、着色ラテックス粒子および金属コロイド粒子のいずれか一方である請求項14記載の検体分析用具。
【請求項16】
前記検出部に、前記固定化抗体に代えて、固定化抗原が固定化され、
前記検体中の分析対象物が、前記抗原に代えて、抗体であり、
前記抗原に対する前記標識化抗体に代えて、前記抗体に対する標識化抗原を用い、
前記抗体を介して前記標識化抗原と前記固定化抗原とが複合体を形成し、
前記複合体における前記標識化抗原の前記標識を検出する請求項9から15のいずれか一項に記載の検体分析用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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