説明

免疫療法および改良ワクチン

【課題】予防的にまたは治療上において、病原体の感染またはヒトの疾患に対する個体の免疫化にしばしば効果的な改良ワクチンのための増強された免疫応答を産生する組成物および方法を提供。
【解決手段】a)IL−2の各サブユニットをコードする各コード配列が別のプロモーターに制御可能なように連結しているかまたはIL−12が単鎖IL−12である、制御要素に制御可能なように連結したIL−12をコードするヌクレオチド配列;およびb)免疫原をコードするヌクレオチド配列からなる、プラスミド。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
【発明の詳細な説明】
【0002】
産業上の利用分野
本発明は、免疫療法的な組成物および方法に関し、また、改良された予防用および治療用のワクチン、および、抗原に対する免疫応答を予防および/または治療に導入するための改良された方法に関する。
【0003】
発明の背景
ワクチンは、病原体抗原またはヒトの疾病に関与する細胞に関連する抗原などの標的抗原に対して、個体に免疫性を与えるために有用である。ヒトの疾病に関与する細胞に関連する抗原は、癌に関連した腫瘍抗原、および自己免疫疾患に関与する細胞と関連した抗原を含む。
【0004】
あらゆる免疫化計略の全般的な目的は、獲得した病原体から、免疫化された個体を生涯を通して保護する特異的な免疫応答を導入することである。この目的に到達するための一つの主な挑戦は、個々の病原体から得た防護の関連性を一つの伝染性媒介から次のそれへと変化させることである。それゆえに、さらに臨床的に効果的なワクチンが標的病原体に対するさらに特異的な免疫応答を引き起こすと考えられる。特定の病原体に対する既知の防御の関連性に従って「焦点を合わせる」ことが可能である免疫化の計略が計画される必要がある。
【0005】
そのようなワクチンの計画においては、ワクチン接種された個体の細胞内で標的抗原を産生するワクチンは、免疫系における細胞性の武器を誘発するために効果的であることが認識されている。特定すれば、生弱毒ワクチン、非病原性ベクターを使用する組換えワクチン、およびDNAワクチンはいずれもワクチン接種された個体の細胞における抗原の産生を導き、それにより免疫系における細胞性の武器の誘発をもたらす。他方で、タンパク質および無毒または弱毒ワクチンのみを含むサブユニットワクチンは、優れた細胞性免疫応答を誘発しない。
【0006】
細胞性免疫応答は、病原体感染に対する防御を供給するため、および病原体感染、癌または自己免疫疾患の治療のための、免疫を介した効果的な治療法を供給するためにしばしば必要である。従って、ワクチン接種された個体の細胞において標的抗体を産生する、生弱毒ワクチン、非病原性ベクターを使用する組換えワクチン、およびDNAワクチンなどのワクチンが好ましい。
【0007】
核酸免疫化は、特異的免疫原をコードするDNA構築物を宿主内に運搬する新しいワクチン接種技術である。DNAワクチンの、抗原特異的細胞性および体液性免疫応答の両方を誘発する能力に加えて、この技術は、免疫学的に重要な分子の共運搬を通して生じた免疫応答を操作する潜在能力を有する。
【0008】
そのようなワクチンは、予防的にまたは治療上において、病原体の感染またはヒトの疾患に対する個体の免疫化にしばしば効果的である一方で、改良ワクチンが必要であり、増強された免疫応答を産生する組成物および方法が必要である。
【0009】
発明の概要
本発明は、予防上または治療上のワクチン接種計画、または治療上の免疫調節計画を受けるべき個体に投与することが可能である免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物に関する。免疫調節タンパク質はヒトのIL-12,GB-CSF,IL-1,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-4,IL-5,IL-10,IL-15,IL-18タンパク質,およびBL-1と称される新規の分子を含む。
【0010】
本発明は、IL-12,GM-CSF,IL-1,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-4,IL-5,IL-10,IL-15,IL-18,またはBL-1をコードするヌクレオチド配列;またはIL-12,GM-CSF,IL-1,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-4,IL-5,IL-10,IL-15,IL-18,またはBL-1の2種またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物に関する。遺伝子構築物は、多コピーの同一のヌクレオチド配列を有することが可能であることを意図するものである。
【0011】
本発明は、増強された免疫応答、および/またはさらに望ましい免疫応答をもたらす一種類またはそれ以上の免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物の導入と組み合わせて免疫原を個体へ導入する目的における、ワクチン組成物の投与による個体のワクチン接種の方法に関する。さらに、本発明は、一種類またはそれ以上の免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物の投与による個体の免疫応答の調節方法に関する。免疫応答の調節は、患者の免疫応答がワクチン組成物と、ある形態の免疫応答を促進する免疫調節タンパク質との最初の共投与によって、およびワクチン組成物と、他の形態の免疫応答を促進する免疫調節タンパク質との共投与により個体を追加免疫(boosting)することによって、初期のTh1からTh2反応、またはその逆に変化するワクチン接種計画の一工程であると考えられる。
【0012】
ワクチン組成物は、好ましくは個体に直接導入するプラスミドである。同様に、一種類またはそれ以上の免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物は、好ましくはプラスミドである。
【0013】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子と作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列、および真核細胞内で発現するために必要な制御因子と作動可能なように連結した、免疫原性標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドに関する。幾つかの好ましい態様においては、免疫原性標的抗原は、病原体抗原、癌関連抗原、または自己免疫疾患に関する細胞に結合した抗原である。幾つかの態様においては、プラスミドは真核細胞内で発現するために必要な制御因子と作動可能なように連結した、一本鎖ヒトIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。一本鎖ヒトIL-12タンパク質は単一コード配列によりコードされ、二つのサブユニットを連結する連結部位を含む単一のタンパク質である。連結部位は、単一タンパク質が機能を有する元来の2サブユニットのIL-12タンパク質から推定される、生物学的に活性を有する立体構造へと折り畳まれ得るための充分な大きさ、および充分な柔軟性を有する。
【0014】
本発明は、個体の細胞において発現するために必要な制御因子を作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列、および個体の細胞内で発現するために必要な制御因子と作動可能なように連結した、標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドの個体への投与の工程を含む、個体において抗原に対する免疫応答を誘発するための方法に関する。幾つかの好ましい態様においては、標的抗原は、病原体抗原、癌関連抗原、または自己免疫疾患に関連した細胞に結合した抗原である。好ましい態様においては、標的抗原に対して誘発された免疫応答は、抗-抗原免疫応答が仕向けられるタンパク質に関連して、および/または病原体または抗原に対して産生された免疫応答と交差反応するタンパク質を有する細胞に対して防御的免疫応答が誘発されるタンパク質に関連して、感染、疾患、異常および条件に関して治療上の利益を供給する。幾つかの態様においては、ヒトIL-12タンパク質は一本鎖IL-12タンパク質である。
【0015】
本発明は、いずれのコード配列も遺伝子発現に必要な制御因子を作動可能なように連結しているような、ヒトIL-12の両方のサブユニットおよび標的抗原をコードするヌクレオチド配列を集合的に含む多数のプラスミドを含む組成物に関する。幾つかの態様においては、組成物は2種類のプラスミドを含む:真核細胞内で発現するために必要な制御因子と作動可能なように連結した、IL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第一のプラスミド、および真核細胞内で発現するために必要な制御因子と作動可能なように連結した、免疫原性標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含む第二のプラスミドである。幾つかの態様においては、一つのプラスミドは免疫原性標的抗原およびヒトIL-12の一つのサブユニットをコードするヌクレオチド配列を有し、第二のプラスミドはヒトIL-12のもう一方のサブユニットをコードするヌクレオチド配列を有する。幾つかの態様においては、3種類の異なるプラスミドが提供される:免疫原性標的タンパク質をコードするヌクレオチド配列を有するプラスミド、ヒトIL-12のp35サブユニットをコードするプラスミドおよびヒトIL-12のp40サブユニットをコードするプラスミドである。幾つかの態様においては、組成物は3種類のプラスミドを有する:真核細胞内で発現するために必要な制御因子と作動可能なように連結した、一本鎖のIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第一のプラスミド、および、真核細胞内で発現するために必要な制御因子と作動可能なように連結した、免疫原性標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含む第二のプラスミドである。
【0016】
本発明は、いずれのコード配列も遺伝子発現に必要な制御因子を作動可能なように連結した、ヒトIL-12の両方のサブユニットおよび標的抗原をコードするヌクレオチド配列を集合的に含む多数のプラスミドを含む組成物の個体への投与の工程を含む、個体において抗原に対する免疫応答を誘発するための方法に関する。幾つかの態様においては、ヒトIL-12タンパク質の両方のサブユニットおよび免疫原性標的タンパク質をコードするヌクレオチド配列をともに含む、上記のような2または3種類のプラスミドは、個体の細胞内で発現するために必要な制御因子を作動可能なように連結したヌクレオチド配列である。好ましい態様においては、標的抗原により誘発された免疫応答は、病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連した細胞に結合した抗原と交差反応する。本発明は、病原体、癌または自己免疫疾患に対する個体の免疫化のための方法に関する。好ましい態様においては、標的抗原は病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連した細胞と結合した抗原である。いくつかの態様においては、ヒトIL-12は一本鎖IL-12タンパク質である。
【0017】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5およびIL-10の一種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列および、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した免疫原性標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドに関する。幾つかの好ましい態様においては、免疫原性標的抗原は、病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連した細胞に結合した抗原である。
【0018】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5またはIL-10の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列および、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した免疫原性標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドの個体への投与の工程を含む、抗原に対する個体内での免疫応答の誘発のための方法に関する。幾つかの好ましい態様においては、標的抗原は、病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連した細胞に結合した抗原である。好ましい態様においては、標的抗原に対して誘発された免疫応答は、抗-抗原免疫応答が仕向けられるタンパク質に関連して、および/または病原体または抗原に対して産生された免疫応答と交差反応するタンパク質を有する細胞に対して防御的免疫応答が誘発されるタンパク質に関連して、感染、疾患、異常および条件に関して治療上の利益を供給する。
【0019】
本発明は2種類のプラスミドを含む多数のプラスミドを含む組成物に関する:真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5またはIL-10タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む第一のプラスミド、および、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した免疫原性標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含む第二のプラスミドである。幾つかの態様においては、組成物は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5またはIL-10タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む第三のプラスミドを含めた、3種類のプラスミドを含む。幾つかの態様においては、組成物は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5またはIL-10タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む第三のプラスミド、および真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5またはIL-10タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む第四のプラスミドを含めた、4種類のプラスミドを含む。
【0020】
本発明は、2種類のプラスミド:すなわち真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5またはIL-10の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む第一のプラスミド、および真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した免疫原性標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含む第二のプラスミド、を含む多数のプラスミドからなる組成物の個体への投与の工程を含む、抗原に対する個体内での免疫応答の誘発のための方法に関する。好ましい態様においては、標的抗原に対して誘発された免疫応答は、病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連した細胞に結合した抗原と交差反応を起こす。本発明は、病原体、癌または自己免疫疾患に対する個体の免疫化のための方法に関する。好ましい態様においては、標的抗原は病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連した細胞に結合した抗原である。
【0021】
幾つかの態様においては、その方法は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5またはIL-10タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む第三のプラスミドを含めた、3種類のプラスミドを含む組成物の投与を含む。幾つかの態様においては、その方法は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5またはIL-10タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む第三のプラスミド、および真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトGM-CSF,IL-1α,TNF-α,TNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5またはIL-10タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む第四のプラスミドを含めた、4種類のプラスミドを含む組成物の投与を含む。
【0022】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトIL-12,GM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18, IL-4,IL-5,IL-10またはBL-1タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列、および真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含む改良された組換えワクチンベクターに関する。幾つかの態様においては、ヒトIL-12タンパク質をコードする遺伝子はIL-12を一本鎖タンパク質としてコードする。好ましい態様においては、標的抗原は病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連した細胞に結合した抗原である。
【0023】
本発明は、個体の細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトIL-12,GM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5,IL-10またはBL-1タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列、および個体の細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した標的抗原をコードするヌクレオチド配列を含む改良された組換えワクチンベクターの個体への投与の工程を含む、病原体、癌または自己免疫疾患に対する個体の免疫化のための方法に関し、但し、標的抗原は、病原体抗原、癌関連抗原または自己免疫疾患に関連した細胞に結合した抗原である。
【0024】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトIL-12,GM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5,IL-10またはBL-1タンパク質、または一本鎖IL-12タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む、改良された生弱毒ワクチンに関する。
【0025】
本発明は、個体の細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトIL-12,GM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5,IL-10またはBL-1タンパク質、または一本鎖IL-12タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む弱毒ワクチンの個体への投与の工程を含めた、病原体、癌または自己免疫疾患に対する個体の免疫化のための方法に関する。
【0026】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトIL-12,GM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5,IL-10またはBL-1タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドに関する。
【0027】
本発明は、一方のプラスミドが真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質p35サブユニットをコードするヌクレオチド配列を含み、他方のプラスミドが真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質p40サブユニットをコードするヌクレオチド配列を含む、一組のプラスミドに関する。
【0028】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した一本鎖ヒトIL-12タンパク質をコードする単一ヌクレオチド配列を含むプラスミドに関し、一本鎖ヒトIL-12タンパク質は、発現した場合に、該一本鎖タンパク質が生物学的に活性のあるIL-12分子を形成することが可能であり、連結配列によりp35およびp40サブユニットが互いに連結された単一のタンパク質である。
【0029】
本発明は、真核細胞内、および薬学的に受容可能な担体または希釈剤内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトIL-12,GM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5,IL-10またはBL-1タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドを含む薬学組成物に関する。
【0030】
本発明は、一方のプラスミドが真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質p35サブユニットをコードするヌクレオチド配列を含み、他方のプラスミドが真核細胞内、および薬学的に受容可能な担体または希釈剤内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質p40サブユニットをコードするヌクレオチド配列を含む、一組のプラスミドを含む薬学組成物に関する。
【0031】
本発明は、真核細胞内、および薬学的に受容可能な担体または希釈剤内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、一本鎖ヒトIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドを含む薬学組成物に関し、一本鎖ヒトIL-12タンパク質は、発現した場合に、該一本鎖タンパク質が生物学的に活性のあるIL-12分子を形成することが可能であり、連結配列によりp35およびp40サブユニットが互いに連結された単一のタンパク質である。
【0032】
本発明は、個体の細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、IL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドの個体への投与の工程を含む、アレルギー反応、病原体感染、癌または自己免疫疾患に苦しむ個体の治療のための方法に関する。
【0033】
本発明は、一方のプラスミドが、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質p35サブユニットをコードするヌクレオチド配列を含み、他方のプラスミドが、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質p40サブユニットをコードするヌクレオチド配列を含む、一組のプラスミドの個体への投与の工程を含む、アレルギー反応、病原体感染、癌または自己免疫疾患に苦しむ個体の治療のための方法に関する。
【0034】
本発明は、個体の細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、一本鎖ヒトIL-12タンパク質をコードする単一のヌクレオチド配列を含むプラスミドの個体への投与の工程を含む、アレルギー反応、病原体感染、癌または自己免疫疾患に苦しむ個体の治療のための方法に関し、但し、一本鎖ヒトIL-12タンパク質は、発現した場合に、該一本鎖タンパク質が生物学的に活性のあるIL-12分子を形成することが可能であり、連結配列によりp35およびp40サブユニットが互いに連結された単一のタンパク質である。
【0035】
本発明は、個体の細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドの個体への投与の工程を含めた、Th1型免疫応答に向けて個体における免疫応答を増強または推進するための方法に関する。
【0036】
本発明は、一方のプラスミドが、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質p35サブユニットをコードするヌクレオチド配列を含み、他方のプラスミドが、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質p40サブユニットをコードするヌクレオチド配列を含む、一組のプラスミドの個体への投与の工程を含む、個体におけるTH1型免疫応答を増強、またはTh1型免疫応答に向けて個体における免疫応答を推進するための方法に関する。
【0037】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、一本鎖ヒトIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドの個体への投与の工程を含む、個体におけるTH1型免疫応答を増強するか、またはTh1型免疫応答に向けて個体における免疫応答を推進するための方法に関し、一本鎖ヒトIL-12タンパク質は、発現した場合に、該一本鎖タンパク質が生物学的に活性のあるIL-12分子を形成することが可能であり、連結配列によりp35およびp40サブユニットが互いに連結された単一のタンパク質である。
【0038】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む組換えベクターに関する。
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、一本鎖ヒトIL-12タンパク質をコードする単一のヌクレオチド配列を含む組換えベクターに関し、一本鎖ヒトIL-12タンパク質は、発現した場合に、該一本鎖タンパク質が生物学的に活性のあるIL-12分子を形成することが可能であり、連結配列によりp35およびp40サブユニットが互いに連結された単一のタンパク質である。
【0039】
本発明は、真核細胞内、および薬学的に受容可能な担体または希釈剤内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結したヒトIL-12,GM-CSF,IL-1α,TNF-αおよびTNF-β,IL-2,IL-15,IL-18,IL-4,IL-5,IL-10またはBL-1タンパク質の1種類またはそれ以上をコードするヌクレオチド配列を含む組換えベクターを含む薬学組成物に関する。
【0040】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、一本鎖ヒトIL-12タンパク質をコードする単一のヌクレオチド配列を含む組換えベクターを含む薬学組成物に関し、一本鎖ヒトIL-12タンパク質は、発現した場合に、該一本鎖タンパク質が生物学的に活性のあるIL-12分子および薬学的に受容可能な担体または希釈剤を形成することが可能であり、連結配列によりp35およびp40サブユニットが互いに連結された単一のタンパク質である。
【0041】
本発明は、個体の細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む組換えベクターの個体への投与の工程を含めた、アレルギー反応、病原体感染、癌または自己免疫疾患に苦しむ個体の治療のための方法に関する。
【0042】
本発明は、真核細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、一本鎖ヒトIL-12タンパク質をコードする単一のヌクレオチド配列を含む組換えベクターの個体への投与の工程を含む、アレルギー反応、病原体感染、癌または自己免疫疾患に苦しむ個体の治療のための方法に関し、一本鎖ヒトIL-12タンパク質は、発現した場合に、該一本鎖タンパク質が生物学的に活性のあるIL-12分子および薬学的に受容可能な担体または希釈剤を形成することが可能であり、連結配列によりp35およびp40サブユニットが互いに連結された単一のタンパク質である。
【0043】
本発明は、個体の細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、ヒトIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む組換えベクターの個体への投与の工程を含む、個体におけるTH1型免疫応答を増強するか、またはTh1型免疫応答に向けて個体における免疫応答を推進するための方法に関する。
【0044】
本発明は、個体の細胞内で発現するために必要な制御因子に作動可能なように連結した、一本鎖ヒトIL-12タンパク質をコードする単一のヌクレオチド配列を含む組換えベクターの個体への投与の工程を含む、個体におけるTH1型免疫応答を増強するか、またはTh1型免疫応答に向けて個体における免疫応答を推進するための方法に関し、一本鎖ヒトIL-12タンパク質は、発現した場合に、該一本鎖タンパク質が生物学的に活性のあるIL-12分子を形成することが可能であり、連結配列によりp35およびp40サブユニットが互いに連結された単一のタンパク質である。
【0045】
本発明は、一次薬剤として、一種類またはそれ以上のヒトの炎症誘発性のサイトカイン(IL-1α,TNF-αおよびTNF-β)、Th1サイトカイン(IL-2,IL-15,およびIL-18)、Th2サイトカイン(IL-4,IL-5およびIL-10)タンパク質をコードする核酸分子を含む組成物、およびそのような核酸分子の個体への投与による免疫応答を推進し、そして指示するための同様の方法を供給する。本発明は、IL-5またはIL-18と、DNAワクチン構築物のような標的免疫原を誘発するワクチンとの共輸送により、抗原特異的な体液性応答を増強するための方法に関する。本発明は、IL-2,IL-5,IL-10,IL-18,TNF-αまたはTNF-βと、DNAワクチン構築物のような標的免疫原を誘発するワクチンとの共輸送により、抗原特異的ヘルパーT細胞の増殖を増加させるための方法に関する。本発明は、DNAワクチン構築物のような標的免疫原を誘発するワクチンとTNF-αまたはIL-15遺伝子との共投与とともに、細胞障害応答を増強するための方法に関する。
【0046】
本発明は、ヒトGM-CSFをコードする核酸分子を含む組成物、およびGM-CSFをコードする遺伝子構築物の輸送または共輸送により、免疫応答を誘発および制御するための方法を提供する。本発明は、GM-CSF遺伝子のDNAワクチン構築物との共注入により抗原特異的抗体およびヘルパーT細胞の増殖反応を増強するための方法に関する。
【0047】
本発明は、実質的に純粋なBL1およびその免疫調節断片に関する。
本発明は、BL1およびその免疫調節断片をコードする単離された核酸分子に関する。
本発明は、BL1またはその免疫調節断片をコードする核酸分子に特に向けられた核酸プローブおよびプライマーに関する。
【0048】
本発明は、BL1をコードする核酸配列の特定の部分に相補的な核酸配列からなるオリゴヌクレオチド分子に関する。
本発明は、BL1またはその免疫調節断片をコードする核酸配列を含むベクターに関する。
【0049】
本発明は、BL1またはその免疫調節断片をコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターに関する。
本発明は、BL1またはその免疫調節断片をコードする核酸配列を含む組換え発現ベクターを含む宿主細胞に関する。本発明は、BL1またはその免疫調節断片をコードする核酸配列を含む遺伝子治療ベクターに関する。
【0050】
本発明は、BL1における抗原決定基に結合する単離された抗体に関する。
本発明は、BL1およびその免疫調節断片を作製するための方法に関する。
本発明は、BL1タンパク質またはその免疫調節断片、またはBL1タンパク質またはその免疫調節断片をコードするヌクレオチド配列を含むベクターを個体へ投与することを含む、個体における免疫応答を調節する方法に関する。本発明の側面によれば、BL1をコードする配列を含むベクターは免疫応答を調節するために十分である。
【0051】
本発明は、免疫原およびBL1タンパク質またはその免疫調節断片、またはBL1タンパク質またはその免疫調節断片をコードするヌクレオチド配列を含むベクターの輸送のためにワクチン組成物を個体へ投与することを含む、個体における免疫応答を増強および指示するための方法に関する。本発明の側面によれば、BL1をコードする配列を含むベクターは免疫応答を調節するために十分である。
【0052】
発明の詳細な記述
本明細書において、”免疫調節タンパク質”という用語はヒトIL-12、GM-CSF、IL-1、TNF-α、TNF-β、IL-2、IL-15、IL-18、IL-4、IL-5およびIL-10およびBL-1と名付けられた新規の分子のうちの一つについて言及することを意味する。
【0053】
本明細書において、"IL-12遺伝子構築物"という用語はヒトIL-12タンパク質サブユニット群および/または免疫源性標的タンパク質、の一つまたはすべてをコードするコード配列、真核細胞においてコード配列を発現するために必要な調節因子に作動可能なように連結されたコード配列を含むプラスミドについて言及することを意味する。DNA発現のための調節因子はプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む。さらに、コザック領域のようなその他の因子が遺伝子構築物に含まれ得る。開始および終止シグナルはしばしばコード配列の一部と考えられる調節因子を必要とする。本発明の遺伝子構築物のコード配列は機能のある開始および終止シグナルを含む。
【0054】
本明細書において、"望ましいIL-12タンパク質"という用語は二つのサブユニットが一つのコード配列によりコードされ、二つのサブユニットをつなぐ連結配列を有する一つのタンパク質として発現される一本鎖IL-12タンパク質を含む、ヒトIL-12サブユニットのひとつまたは両方について言及することを意味する。
【0055】
本明細書においては、"望ましいタンパク質"という用語は免疫原性標的タンパク質をコードする核酸分子を含むワクチンのコード配列によりコードされる免疫原性標的タンパク質について言及すること意味する。
【0056】
本明細書においては"一本鎖タンパク質"および"一本鎖IL-12タンパク質"という用語は、単一のタンパク質の二つのサブユニット部位が互いに相互作用することおよびIL-12であるところの生物学的に活性のある複合体の配位をとることを可能にするようなアミノ酸連結部位により、IL-12p35およびp40サブユニットがお互いに連結された単一のタンパク質について言及することを意味する。一本鎖IL-12は、p35およびp40からなるIL-12と本質的には同様に機能する。本発明はIL-12が用いられる全ての場所で一本鎖のIL-12を用いることを含む。単一のタンパク質は単一のヌクレオチド配列によりコードされる。
【0057】
ヘテロ二量体サイトカインであるインターロイキン-12(IL-12)はマクロファージおよびB細胞により主として生産される。IL-12はp35およびp40と名付けられた二つの異なるサブユニットを含む(本明細書に参考文献として含まれるPodlaski,F.J.et al.(1991)Arch.Biochem.Biophys.294(1):230-237)。
【0058】
異なる免疫応答にはT細胞集団が関与する。特に、1型T-ヘルパー細胞(Th1)および2型T-ヘルパー細胞(Th2)という2つの型のT細胞が存在し、それらはとくにサイトカインの生産の点で異なる。IL-12はTh1免疫応答において主にTh-1関連サイトカインであるインターフェロン-γ(INF-γ)の生産を誘導することにより決定的な役割を果たす。それはINF-γを含む様々なサイトカインの誘導及び放出を通じてナチュラルキラー(NK)およびT細胞を活性化する。
【0059】
本発明の側面はヒトIL-12タンパク質をコードする核酸分子の免疫調節物質としての使用に関連する。ヒトIL-12タンパク質をコードする核酸分子は初期の活性薬剤として、例えば遺伝子治療として、または免疫原性標的タンパク質をコードする核酸を含むワクチンのようなワクチン組成物の一部またはそれらと共に投与され得る。
【0060】
ヒトIL-12タンパク質をコードする核酸分子の初期薬剤としての使用に関して、本発明はヒトIL-12タンパク質をコードする核酸分子の個体への投与によりTh1免疫応答を引き起こすかまたは増強するための組成物および方法を提供する。本発明のいくつかの側面によれば、アレルギー炎症、病原感染、癌または自己免疫疾患を罹患する個体は、そのような個体に対してその個体の細胞内においてその核酸配列が発現するような調節領域に作動可能なように連結された、ヒトIL-12をコードする核酸配列を含む核酸分子を投与することにより、治療され得る。核酸分子は細胞により取り込まれ、ヒトIL-12をコードする核酸配列が発現される。このようにして細胞により生産されたヒトIL-12は生物学的に活性があり、その活性は個体により形成される免疫応答の誘導および/または増強をもたらす。
【0061】
いくつかの好ましい態様においてはヒトIL-12タンパク質をコードする核酸分子はプラスミドである。
本発明の側面は、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)をコードする核酸分子の使用を含む。GM-CSFは好中球、単核球/マクロファージ、および好エオシン球のコロニー形成を刺激する造血性増殖因子である。これは、赤血球および巨核球前駆細胞の分化も誘導する。GM-CSFは、好中球、好エオシン球およびマクロファージの抗体依存性の細胞を介した細胞傷害性も増大させるが、in vivoでのCTL応答の形成において直接的な役割を果たしているとは報告されていなかった。本発明は個体へのGM-CSFをコードする核酸配列を含む遺伝子構築物の投与により免疫応答を引き起こす組成物および方法を提供する。核酸分子は、細胞により取り込まれ、GM-CSFをコードする核酸配列が発現し、即ち細胞により生産される。GM-CSFは生物学的に活性があり、その活性は個体により形成される免疫応答の誘導および/または増強を引き起こす。いくつかの好ましい態様においてはGM-CSFをコードする核酸分子はプラスミドである。
【0062】
本発明の側面は、ヒト前炎症性サイトカイン(IL-1α、TNF-α、およびTNF-β)、Th1サイトカイン(IL-2、IL-15、およびIL-18)およびTh2サイトカイン(IL-4、IL-5、およびIL-10)タンパク質をコードする核酸分子の初期薬剤としての使用を含む。
【0063】
本発明は、前炎症性サイトカイン(IL-1α、TNF-α、およびTNF-β)、Th1サイトカイン(IL-2、IL-15、およびIL-18)およびTh2サイトカイン(IL-4、IL-5、およびIL-10)タンパク質をコードする核酸分子の個体への投与により免疫応答を引き起こすかまたは増強する組成物および方法を提供する。本発明のいくつかの側面において、個体は、その個体の細胞内においてその核酸配列が発現するような調節領域に作動可能なように連結されたヒト前炎症性サイトカイン(IL-1α、TNF-α、およびTNF-β)、Th1サイトカイン(IL-2、IL-15、およびIL-18)およびTh2サイトカイン(IL-4、IL-5、およびIL-10)タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の投与により、治療され得る。核酸分子は細胞により取り込まれ、タンパク質をコードした核酸配列が発現される。このようにして細胞により生産されたヒトタンパク質は生物学的に活性があり、その活性は個体により形成される免疫応答の誘導および/または増強を引き起こす。いくつかの好ましい態様においては核酸分子はプラスミドである。
【0064】
ヒトIL-12タンパク質をコードする核酸分子の、免疫原性標的タンパク質をコードする核酸分子とともに、またはその一部、例えば免疫原性タンパク質に対する免疫応答を誘導するワクチンの一部としての使用に関して、ヒトIL-12タンパク質をコードする核酸分子は、免疫原性標的を含むワクチンの成分である免疫原性標的タンパク質をコードする核酸分子を含むワクチンの成分、または、免疫原性標的タンパク質をコードする核酸分子を含むワクチンまたは免疫原性標的を含むワクチンのいずれかと共に投与される別の組成物で有り得る。いくつかの好ましい態様においてはヒトIL-12タンパク質をコードする核酸分子はプラスミドであり、ワクチンは免疫原性標的タンパク質をコードするプラスミドを含むDNAワクチンである。いくつかの好ましい態様においてはDNAワクチンは免疫原性標的タンパク質およびヒトIL-12タンパク質をコードするプラスミドを含む。
【0065】
IL-12は本明細書に参考文献として含まれる、1990年5月17日に公表されたPCT出願WO90/05147に記載された。本明細書に参考文献として含まれる、Wolf,D.F.et al.1991 J.Immunol.146(9):3074-3081は、IL-12をコードするcDNAのヌクレオチド配列およびIL-12タンパク質の予想されたアミノ酸配列を開示する。
【0066】
天然のヒトIL-12タンパク質は、p35およびp40の二つのサブユニットを含む。二つのサブユニットは、生物学的に活性のあるヘテロ二量体複合体を形成する。
本発明のいくつかの態様によれば、IL-12のそれぞれのサブユニットをコードするヌクレオチド配列は単一のプラスミド、非プラスミド核酸分子、または、それぞれのサブユニットをコードするヌクレオチド配列がそれ自身の調節因子群の制御下にあるウィルスまたは微生物ゲノム上に存在し得る。いくつかの好ましい態様においては、IL-12の両方のサブユニットをコードする配列は、それぞれのコード配列がそれ自身の調節因子群に作動可能なように連結されて、単一のプラスミド上に存在する。いくつかの態様においては、作動可能なように調節因子に連結された標的免疫原性タンパク質をコードする配列は、両方のサブユニットをコードする配列を含むプラスミド由来の別々のプラスミド上に存在し、二つのプラスミドが単一個体に投与される。
【0067】
本発明のいくつかの態様によれば、p35サブユニットをコードするヌクレオチド配列は第一のプラスミド上に存在し、p40サブユニットをコードするヌクレオチド配列は第二のプラスミド上に存在し、二つのプラスミドは個体の同一部位に、共に投与される。いくつかの態様においては、作動可能なように調節因子に連結された標的免疫原性タンパク質をコードする配列はp35サブユニットをコードする配列と同一のプラスミド上に存在する。いくつかの態様においては、作動可能なように調節因子に連結された標的免疫原性タンパク質をコードする配列はp40サブユニットをコードする配列と同一のプラスミド上に存在する。いくつかの態様において、作動可能なように調節因子に連結された標的免疫原性タンパク質をコードする配列は、それぞれのサブユニットをコードするプラスミドの配列を含むプラスミドのいずれとも別のプラスミド上に存在し、3つのサブユニットは単一個体に投与される。
【0068】
IL-12タンパク質およびこれをコードするヌクレオチド配列は二つのサブユニットが一つのヌクレオチド配列によりコードされ、一本鎖の(融合)タンパク質分子として発現されるように修飾され得る。本発明によれば、本質的には二つのサブユニットを連結するが、一本鎖タンパク質の異なる部分の複合により生物学的に活性のあるタンパク質を形成できるほど十分に柔軟な連結アミノ酸配列が提供される。図8Aは一本鎖タンパク質をコードする配列がヒトサイトメガロウィルスのプロモーターにより制御されるような一本鎖タンパク質の例を示す。一本鎖タンパク質をコードする配列は、5'から3'の順序で、p35サブユニットをコードする配列、連結部位をコードする配列、およびp40サブユニットをコードする配列を一つのコード配列として含む。代替的な配置においては、一本鎖タンパク質をコードする配列は、p40サブユニットをコードする配列、連結部位をコードする配列、およびp35サブユニットをコードする配列を一つのコード配列として含む。連結部位は、単一タンパク質の二つの部位が生物学的に活性のある複合体が形成できるような相互の位置をとれるように充分に長く、柔軟でなければならない。
【0069】
本発明のいくつかの態様によれば、二つのサブユニットが連結部位により連結され、一つのタンパク質を形成している一本鎖のIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、プラスミド、非プラスミド核酸分子、またはウィルスまたは微生物ゲノム中に導入され、真核細胞中での発現に必要な調節因子に作動可能なように連結される。好ましい態様においては、二つのサブユニットが連結部位により結合されて一つのタンパク質を形成する一本鎖タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、プラスミド中に導入される。いくつかの態様においては、調節因子に作動可能なように連結した標的免疫原タンパク質をコードする配列は一本鎖IL-12タンパク質をコードする配列と同一のプラスミド上に存在する。いくつかの態様においては、調節因子に作動可能なように連結した標的免疫原タンパク質をコードする配列は一本鎖タンパク質をコードする配列を含むプラスミドとは別のプラスミド上に存在し、二つのプラスミドは単一個体に投与される。
【0070】
本発明のいくつかの側面はワクチン、特に、個体に対し標的免疫原をコードするDNAが投与され、DNAが取り込まれ、発現し、免疫原に対する免疫応答が起きる、DNAワクチンの改善された方法および組成物に関連する。本発明のいくつかの側面によれば、免疫調節タンパク質をコードするDNAが共に個体に対し投与され、そのようなDNAの発現は、免疫調節タンパク質を生産させ、そのタンパク質は免疫応答の強さおよび方向を制御し、特異的な免疫応答を引き起こし、免疫感作を、疾患ごとに異なる防御の相関に対してより密接になるようにする。
【0071】
ワクチン投与され、標的抗原を発現している細胞においてIL-12タンパク質を共に生産することは、標的抗原に対する驚異的に増幅された免疫応答をもたらす。
発現可能な状態のIL-12タンパク質をコードするヌクレオチド配列を提供することで、DNAワクチン、組換えベクターワクチンおよび弱毒化ワクチンのような、ワクチン投与された個体の細胞において標的抗原を発現することで機能するワクチンが、改善される。
【0072】
抗原を生産する細胞内でIL-12を共に生産することは抗原に対する細胞性免疫の増幅をもたらす。したがって、DNAワクチン、無毒組換えベクターワクチンおよび弱毒化生ワクチンのようなワクチンの一部として、被投与個体内での発現に必要な調節配列に作動可能なように連結されたIL-12をコードするヌクレオチド配列を提供することで、改善されたワクチンを提供する。
【0073】
本発明は、GM-CSFをコードする遺伝子構築物を同時に投与することによる免疫応答の誘導及び調節を提供する。GM-CSF遺伝子をDNAワクチン構築物と共に注入することで、抗原特異的な抗体およびTヘルパー細胞の増殖応答が増強される。
【0074】
本発明は、前炎症性サイトカイン(IL-1α、TNF-αおよびTNF-β)、Th1サイトカイン(IL-2、IL-15、およびIL-18)、およびTh2サイトカイン(IL-4、IL-5およびIL-10)をコードする遺伝子構築物を同時に投与することによる免疫応答の誘導及び調節を提供する。
【0075】
本発明のいくつかの側面は、IL-5またはIL-18を同時に投与することによる、抗原特異的体液性応答の有意な増強を提供する。
本発明のいくつかの側面は、IL-2、IL-5、IL-10、IL-18、TNF-αまたはTNF-βを同時に投与することによる、Tヘルパー細胞の抗原特異的な増殖の増大を提供する。
【0076】
本発明のいくつかの側面は、TNF-αまたはIL-15遺伝子を同時に投与することによる、細胞傷害性応答の増強を提供する。
即ち、T細胞を介した応答が優勢だが、体液性応答は必要ではなく有害でさえある場合、特異的なDNA免疫原と共に投与される免疫調節物質としてIL-12遺伝子が好ましい。一方、細胞外の細菌を標的とするワクチンの構築のためには、例えばIL-4、IL-5またはIL-10遺伝子がともに注入され得る。さらに、CD4+ Tヘルパー細胞および抗体が防御においてより重要な役割を果たす場合は、IL-12およびGM-CSFが共に投与され得る。最後に、3系統の免疫応答が全て決定的である場合は、抗体、Tヘルパー細胞およびCTL応答の組み合わさった増幅を起こすために、TNF-αが共に注入され得る。
【0077】
ヒトIL-1αのヌクレオチドおよびアミノ酸配列は良く知られており、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、Telfor,et al.(1986)Nucl,Acids Res14:9955-9963,Furutani,et al.(1985)Nucl.Acids Res.14:3167-3179,March,et al.(1985)Nature 315:641-647,および登録番号Swissprot P0135に提出されている。
【0078】
ヒトIL-2のヌクレオチドおよびアミノ酸配列はよく知られており、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、Holbrook,et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:1634-1638,Fujita,et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:7437-7441,Fuse,et al.(1984)Nucl.Acids Res.12:9323-9331,Taniguchi,et al.(1983)Nature 302:305-310,Maeda,et al.(1983)Biochem.Biophys.Res.Comm.115:1040-1047,Devos,et al.(1983)Nucl.Acids Res.11:4307-4323,および登録番号Swissprot P01585に提出されている。
【0079】
ヒトIL-4のヌクレオチドおよびアミノ酸配列はよく知られており、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、Arai,et al.(1989)J.Immunol.142:274-282,Otsuka,et al.(1987)Nucl.Acids Res.15:333-344,Yokota,et a;.(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:5894-5898,Noma,et al.(1984)Nature 319:640-646,Lee,et al.(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:2061-2063,および登録番号Swissprot P05112(マウスのIL-4の登録番号はSwissprot 07750である)に提出されている。
【0080】
ヒトIL-5のヌクレオチドおよびアミノ酸配列はよく知られており、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、Campbell,et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:6629-6633,Tanabe,et al.(1987)J.Biol.Chem.262:16580-16584,Campbell,et al.(1988)Eur.J.Biochem.174:345-352,Azuma,et al.(1986)Nucl.Acids Res.14:9149-9158,Yokota,et al.(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7388-7392および登録番号Swissprot P05113に提出されている。
【0081】
ヒトIL-10のヌクレオチドおよびアミノ酸配列はよく知られており、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、Viera et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:1172-1176および登録番号Swissprot P22301に提出されている。
【0082】
ヒトIL-15のヌクレオチドおよびアミノ酸配列はよく知られており、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、Grabstein,et al.(1994)Science 264:965-968および登録番号Swissprot U03099に提出されている。
【0083】
ヒトIL-18のヌクレオチドおよびアミノ酸配列はよく知られており、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、Ushino,et al.(1996)J.Immunol.156:4274-4279および登録番号D49950に提出されている。
【0084】
ヒトTNF-αのヌクレオチドおよびアミノ酸配列はよく知られており、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、Pennica,(1984)Nature 312:724-729および登録番号Swissprot P01375に提出されている。
【0085】
ヒトTNF-βのヌクレオチドおよびアミノ酸配列はよく知られており、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、Gray,(1984)Nature 312:721-724および登録番号Swissprot P01374に提出されている。
【0086】
DNAワクチンはそれぞれ本明細書に参考文献として含まれる、米国特許番号5,593,972、米国特許番号5,589,466、PCT/US9/01515、PCT/US93/02338、PCT/US93/048131およびPCT/US94/00899およびそれぞれの特許および公表された特許出願書に引用された優先出願書に記載されている。これらの出願書に記載された投与方式に加えて、代替的なDNA投与法が共に本明細書に参考文献として含まれる米国特許番号4,945,050および5,036,006に記載される。
【0087】
本発明の改良点はDNAワクチンの核酸配列によりコードされる抗原性標的の生産に加えて免疫調節タンパク質を共に生産させるための遺伝物質を含むことに関連する。
本発明は遺伝物質によりコードされる、タンパク質及びペプチドに対する免疫応答を誘導するために、個体の細胞に遺伝物質を導入する方法に関連する。その方法は、標的タンパク質をコードするヌクレオチド配列および免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単一の核酸分子、または標的タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むものおよび免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むものの、二つの核酸分子を含む組成物の、前述の個体の組織への投与の段階を含む。核酸分子はプラスミドDNA、組換えベクターの核酸分子または弱毒化ワクチン中の遺伝物質の一部として提供され得る。
【0088】
本発明によれば、病原または異常な疾患関連細胞に対して予防上および/または治療上免疫感作する組成物および方法が提供される。標的タンパク質、即ち標的となるべき病原または細胞上に見られる免疫原性タンパク質と、少なくとも一つのエピトープが同一なペプチドまたはタンパク質、および免疫調節タンパク質をコードする遺伝物質を含む遺伝物質が個体の細胞により発現され、それに対して免疫応答力が引き起こされる免疫原性標的として働く。その結果起こる免疫応答は標的となる病原または細胞に反応するものであり、また広範な基盤を持つ。
【0089】
即ち、体液性免疫応答に加えて両系統の細胞性免疫応答が誘導される。本発明の方法は、予防上および治療上免疫を与えるために有用である。従って、免疫感作の方法は、個体を病原の攻撃または特異的な細胞の発生または増殖から保護する方法および、病原感染、過剰増殖疾患または自己免疫疾患を罹患している個体の治療法の両方を含む。
【0090】
本明細書において用いられるとおり、"標的タンパク質"という語は、本発明の遺伝子構築物によりコードされた免疫応答の標的タンパク質として働くペプチドまたはタンパク質を指すことを意図している。"的タンパク質"なる語はそれに対して免疫応答が引き起こされ得るタンパク質を指す。標的タンパク質は、免疫感作が要求される、病原または、癌細胞または自己免疫疾患に関与する細胞のような望ましくない細胞種由来のタンパク質と少なくともエピトープを共有する免疫原性タンパク質である。標的タンパク質に対する免疫応答は、標的タンパク質が関与する特異的な感染または疾患から個体を守り、個体を治療する。標的タンパク質は、それに対する免疫応答が望まれるタンパク質と同一である必要はない。
【0091】
むしろ標的タンパク質は、それに対する免疫応答が望まれるタンパク質と交差反応する免疫応答を誘導することが出来なければならない。
本発明は標的タンパク質、即ち病原または個体自身の"異常な"細胞に特異的に関連するタンパク質、に対する広範な免疫応答を引き起こすために有用である。
【0092】
本発明は病原性薬剤、および病原タンパク質に対する免疫応答が病原に対する防御的な免疫を提供するような生物に対して個体を免疫感作するために有用である。
本発明は過剰増殖細胞に特異的に関連する標的タンパク質に対する免疫応答を引き起こすことにより、癌のような過剰増殖性の疾患および損傷を排除するために有用である。本発明は自己免疫状態に関与する細胞に特異的に関連する標的タンパク質に対する免疫応答を引き起こすことにより、自己免疫疾患および損傷を排除するために有用である。
【0093】
本発明によれば、標的タンパク質および免疫調節タンパク質をコードするDNAまたはRNAが、それが発現され、従って標的タンパク質を生産する個体の組織の細胞に導入される。標的タンパク質および免疫調節タンパク質をコードするDNAまたはRNA配列は個体の細胞において発現されるのに必要な調節因子に連結される。DNA発現のための調節因子はプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む。さらに、コザック領域のようなその他の因子もまた遺伝子構築物に含まれ得る。
【0094】
本明細書において用いられるとおり、"発現可能な形態"という用語は、個体の細胞内に存在するときにコード配列が発現されるように、標的タンパク質または免疫調節タンパク質をコードするコード配列に作動可能なように連結された、必要な調節因子を含む遺伝子構築物を指す。
【0095】
本明細書において用いられるとおり、"エピトープを共有する(sharing an epitope)"という用語は、他のタンパク質のエピトープと同一または実質的に類似した、少なくとも一つのエピトープを含むタンパク質を指す。
【0096】
本明細書において用いられるとおり、"実質的に類似のエピトープ(substantially similar epitope)"という用語は、あるタンパク質のエピトープと同一ではないが、にもかかわらずそのタンパク質と交差反応する細胞性または体液性免疫応答を引き起こす構造を持つ部分を指す。
【0097】
遺伝子構築物は遺伝子発現に必要な調節因子と人為的に連結された標的タンパク質および/または免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。
本発明によれば、標的タンパク質をコードする、発現可能な形のヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物、および免疫調節タンパク質をコードする、発現可能な形のヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物の組み合わせが提供される。生きた細胞への、遺伝子構築物の組み合わせを含むDNAまたはRNA分子の導入はDNAまたはRNAの発現および標的タンパク質および免疫調節タンパク質の生産をもたらす。標的タンパク質に対する増幅された免疫応答が起きる。
【0098】
細胞によって取り込まれると遺伝子構築物の細胞内での機能性の染色体外分子としての残留、および/または細胞の染色体DNAへのインテグレーションが起こる。DNAは細胞に導入され、プラスミドまたはプラスミド群の形で分離した遺伝物質として残留する。あるいは、染色体にインテグレーションされ得る線形のDNAが細胞に導入され得る。細胞にDNAを導入するとき、染色体へのDNAのインテグレーションを促進する試薬が加えられ得る。インテグレーションを促進するのに有用なDNA配列もまたDNA分子中に含まれ得る。あるいは、RNAが細胞に投与され得る。セントロメア、テロメア、および複製起点を含む線形のミニ染色体状の遺伝子構築物の提供もまた考慮される。細胞内で生存する弱毒化された生きた微生物または組換え微生物ベクター中の遺伝物質の一部として、遺伝子構築物がとどまり得る。遺伝子構築物は、遺伝物質が細胞の染色体にインテグレートされるかまたは染色体外にとどまる組換えウィルスワクチンのゲノムの一部で有り得る。
【0099】
遺伝子構築物は核酸分子の遺伝子発現に必要な調節因子を含む。その因子は、プロモーター、開始コドン、終止コドン、およびポリアデニル化シグナルを含む。さらに、標的タンパク質または免疫調節タンパク質の発現にはエンハンサーがしばしば必要である。これらの因子がに望まれるタンパク質をコードする配列に作動可能なように連結されること、および、調節因子が人為的に投与される個体中に作動可能なように入れられることが必要である。
【0100】
開始コドンおよび終止コドンは、一般的に、望まれるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の一部であると考えられる。しかしながら、遺伝子構築物が投与される個体内で、これらの因子が機能を持つことが必要である。開始及び終止コドンはコード配列と読み枠が一致しなければならない。
【0101】
用いられるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルは個体の細胞中で機能を持たなければならない。
特にヒトのための遺伝子ワクチンの生産において本発明を実行するために有用なプロモーターの例は、シミアンウィルス40(SV40)、マウス乳ガンウィルス(MMTV)プロモーター、HIV末端長反復プロモーター(LTR)のようなヒト免疫不全症候群ウィルス(HIV)プロモーター、CMV最初期プロモーターのようなCMVプロモーター、エプシュタインバーウィルス(EBV)、ルース腫瘍ウィルス(RSV)および、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチンおよびヒトメタロチオネインのようなヒトの遺伝子由来のプロモーターを含むが、それらに限定されない。
【0102】
特にヒトに対する遺伝子ワクチンの生産において本発明を実施するために有用なポリアデニル化シグナルの例ははSV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナルを含むが、それらに限定されない。特にSV40ポリアデニル化シグナルと呼ばれる、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego CA)中に存在するSV40ポリアデニル化シグナルが用いられる。
【0103】
DNA発現に必要な調節因子に加えて、その他の因子もまたDNA分子中に含まれ得る。そのような付加的な因子はエンハンサーを含む。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチンおよび、CMV、RSVおよびEBVに由来するようなウィルスエンハンサーを含むが、それらに限定されないような集団から選択され得る。
【0104】
細胞内で構築物を染色体外で維持し、構築物の複数の複製を生産するために、遺伝子構築物は哺乳類の複製起点と共に提供され得る。Invitrogen(San Diego,CA)より得られたプラスミドpCEP4およびpREP4はエプシュタインバーウィルスの複製起点および、インテグレーションなしに多数のエピソームの複製を起こす核抗原EBNA-1をコードする領域を含む。
【0105】
免疫感作への応用に関連するいくつかの好ましい態様においては、標的タンパク質、IL-12タンパク質をコードする核酸配列、および付加的にそのような標的タンパク質に対する免疫応答をさらに増強するタンパク質の遺伝子を含む核酸分子が投与される。そのような遺伝子の例は、α-インテグリン、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、GC-SF,GM-CSF、TNF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10およびB7.2のようなサイトカインおよびリンフォカインをコードするものである。いくつかの態様においてはGM-CSFの遺伝子は免疫感作組成物に用いられる遺伝子構築物に含まれることが望ましい。
【0106】
なんらかの理由で遺伝子構築物を受容した細胞を除去することが望まれる場合は、細胞破壊の標的として働く付加的な因子が加えられ得る。発現できる形のヘルペスチミジンキナーゼ(tk)遺伝子が遺伝子構築物に含まれ得る。ガングシクロヴィアなる薬剤が個体に投与され得、その薬剤がtkを発現する任意の細胞の選択的な殺傷を引き起こし、したがって遺伝子構築物をもつ細胞の選択的な破壊の方法を提供する。
【0107】
タンパク質生産を最大化するために、構築物が投与される細胞中での遺伝子発現によく適した調節配列が選択され得る。さらに、細胞内でもっとも効率的に転写されるコドンが選択され得る。当該技術分野において通常の技術を有するものは細胞内で機能を持つDNA構築物を作製し得る。
【0108】
二種類の基盤の例は、2プラスミドの系での使用のための種類および単一プラスミドの系での使用のための種類を含む。2プラスミドの系においては一つのプラスミドは発現できる形の標的コード配列を有し、一つが発現できる形のIL-12コード配列を有する。単一プラスミドの系においては単一のプラスミドが発現できる形の標的コード配列およびIL-12コード配列の両方を含む。
【0109】
本発明の方法は、個体の組織に核酸分子を投与する工程を含む。いくつかの好ましい態様においては核酸分子は、筋内、鼻腔内、噴門内、皮下、皮膚内、静脈内に、またはエアロゾル投与により肺組織に、または外用的に、または、洗浄によって、膣、腸、尿道、口腔、および舌下からなる集団より選択された粘膜組織に投与される。
【0110】
いくつかの態様においては、核酸分子は促進剤の投与と共に細胞に投与される。促進剤は、ポリヌクレオチド機能エンハンサーまたは遺伝子ワクチン促進剤とも呼ばれる。促進剤は、それぞれ本明細書に参考文献として含まれる、1993年1月26日に出願された米国特許番号08/008,342、1993年3月11日に出願された米国特許番号08/029,336、1997年1月14日に公表された米国特許番号5,593,972および1994年1月26日に出願された国際出願番号PCT/US94/00899に記載される。さらに、促進剤はそれぞれ本明細書に参考文献として含まれる、9/28/95に出願されたPCT/US95/12502および3/30/95に出願されたPCT/US95/04071に記載される。核酸分子と共に投与された促進剤は、核酸分子との混合物として投与され得るか、または、核酸分子の投与と別々に、同時、投与前または投与後に投与され得る。さらに、トランスフェクト試薬および/または複製試薬および/または炎症性試薬として機能する試薬および促進剤と共にあるいは促進剤なしに、一緒に投与され得るその他の試薬は、成長因子、α-インターフェロン、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、GC-SF、GM-CSF、TNF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、およびB7.2といったサイトカインおよびリンフォカイン、および繊維芽細胞成長因子、免疫刺激複合体(ISCOMS)のような界面活性剤、フロイント不完全アジュバンド、およびモノフォスフォリル脂質A(MPL)を含むLPS類似物、ムラミルペプチド、キノン類似物、およびスクアレンのような小胞、およびヒアルロン酸を含む。
【0111】
いくつかの好ましい態様においては、本発明の遺伝子構築物はベンゼン酸エステル、アニリド、アミジン、ウレタン、および局所麻酔の類のもののような、それらの塩酸塩を含む集団から選択された促進剤とともに形成されるかまたは、それらと共に投与される。
【0112】
いくつかの好ましい態様における促進剤は以下の構造式のうちの一つを有する化合物で有り得る。
Ar-R1-O-R2-R3または
Ar-N-R1-R2-R3または
R4-N-R5-R6または
R4-O-R1-N-R7
式中、 Arはベンゼン、p-アミノベンゼン、m-アミノベンゼン、o-アミノベンゼン、置換されたベンゼン、置換されたp-アミノベンゼン、置換されたm-アミノベンゼン、置換されたo-アミノベンゼンであり、ここで、アミノベンゼン化合物のアミノ基はアミノ、C1-C5アルキルアミン、C1-C5,C1-C5ジアルキルアミンであり、置換された化合物の置換基はハロゲン、C1-C5アルキル、およびC1-C5アルコキシであり得る。
【0113】
R1はC=0、 R2は分岐アルキルを含むC1-C10アルキル、 R2は水素、アミン、C1-C5アルキルアミン、C1-C5,C1-C5ジアルキルアミンである。
R2+R3は環状アルキル、C1-C10アルキルで置換された環状アルキル、環状脂肪族アミン、C1-C10アルキルで置換された環状脂肪族アミン、ヘテロ環、およびC1-C10アルキルでN置換されたヘテロ環を含むC1-C10アルキルで置換されたヘテロ環、を形成し得る。
【0114】
R4はAr,R2またはC1-C5アルコキシ、環状アルキル、C1-C10アルキルで置換された環状アルキル、環状脂肪族アミン、C1-C10アルキルで置換された環状脂肪族アミン、ヘテロ環、C1-C10アルキルで置換されたヘテロ環およびC1-C10でN置換されたヘテロ環を含むC1-C10で置換されたヘテロ環である。
【0115】
R5はC=NHである。
R6はAr,R2またはC1-C5アルコキシ、環状アルキル、C1-C10アルキルで置換された環状アルキル、環状脂肪族アミン、C1-C10アルキルで置換された脂肪族アミン、ヘテロ環、C1-C10アルキルで置換されたヘテロ環、およびC1-C10アルキルでN置換されたヘテロ環を含むC1-C10アルコキシで置換されたヘテロ環である。
【0116】
R7はAr,R2またはC1-C5アルコキシ、環状アルキル、C1-C10アルキルで置換された環状アルキル、環状脂肪族アミン、C1-C10で置換された環状脂肪族アミン、ヘテロ環、C1-C10アルキルで置換されたヘテロ環およびC1-C10アルキルでN置換されたヘテロ環を含むC1-C10アルコキシで置換されたヘテロ環である。
【0117】
エステルの例は、ピペロカイン、メプリカインおよびイソブカインのようなベンゼン酸エステル、;および、プロカイン、テトラカイン、ブテタミン、プロポキシカインおよびクロロプロカインのようなパラ-アミノベンゼン酸、;およびメタブタミンおよびプリマカインを含むをふくむメタ-アミノベンゼン酸エステル;およびパレトキシカインのようなパラ-エトキシベンゼン酸エステルを含む。アニリドの例はリドカイン、エチドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、ピロカインおよびプリロカインを含む。そのような化合物のその他め例は、ジブカイン、ベンゾカイン、ディクロニン、プラモキシン、プロパラカイン、ブタカイン、ベノキシ酸、カルボカイン、メチルブピバカイン、ピクリン酸ブタシン、フェナカイン、ジオタン、ルクカイン、イントラカイン、ヌペルカイン、メタブトキシイカイン、ピリドカイン、ビフェナミンおよび、コカインシナモイルコカイン、ツルキシルリンおよびコカエチレンを含む植物由来の二環化合物、および塩化水素と化合するそのような全ての化合物を含む。
【0118】
好ましい態様においては、促進剤はブピバカインである。ブピバカインとメピバカインの違いは、ブピバカインはメピバカインのN-メチル基の位置にN-ブチル基をを持つ点である。化合物はそのNの位置にC1-C10を持ち得る。化合物はプロカインおよびクロロプロカインのようなハロゲンにより置換され得る。アニリドが望ましい。
【0119】
促進剤は、遺伝子構築物の前、同時またはその後に投与される。促進剤および遺伝子構築物は同一の組成物中に作製され得る。
ブピバカイン-HClは化学的にデザインされて、2-ピペリジンカルボキシアミド、1-ブチル-N-(2,6-ジメチルフェニル)-一塩酸塩、一水塩を生じ、薬学用途にAstra Pharmaceutical Products Inc.(Westboro,MA)およびSanofi Winthrop Pharmaceuticals(New York,NY)、Eastman Kodak(Rochester,NY)を含む多くの供給源から商業的に入手可能である。ブピバカインは商業的にメチルパラベンとともにおよびそれ無しに、およびエピネフリンとともにまたはそれ無しに製剤される。任意のそのような製剤が用いられ得る。0.25%、0.5%および0.75%の濃度で製剤のための用途で商業的に入手可能であり、それらは本発明に用いられ得る。望ましい効果を引き起こす代替的な濃度、特に0.05%-1.0%の間の濃度が、望ましければ調製され得る。本発明によれば、約250gから約10mgのブピバカインが投与される。いくつかの態様においては、約0.05mgから約5.0mgが投与される。いくつかの態様においては、約0.5mgから約3.0mgが投与される。いくつかの態様においては、5から50gが投与される。例えばいくつかの態様においては約50μlから約2mlまでの、好ましくは50μlから約1500μl、およびより好ましくは約1mlの0.25%-0.50%の等張の製剤学的担体中のブピバカイン-HClおよび0.1%のメチルパラベンがワクチンと同一の部位に、ワクチンの投与の前、同時、またはその後に投与される。同様に、いくつかの態様においては約50μlから約2mlの、好ましくは50μlから約1500μlの、およびさらに好ましくは約1mlの0.25-0.50%の、等張の製剤学的担体中のブピバカイン-HClがワクチンと同一の部位に、ワクチンの投与の前、同時またはその後に、投与される。ブピバカインおよびその他の任意の同様な働きを持つ化合物、特に局所麻酔剤に関連する種類のものが細胞による遺伝子構築物の取り込みの望ましい促進を提供する濃度において投与され得る。
【0120】
本発明のいくつかの態様においては、遺伝子構築物の投与に先立って、個体は初めに促進剤の注入を受ける。即ち、例えば遺伝子構築物の投与の約1週間から10日前に個体は初めに促進剤を注入される。いくつかの態様においては遺伝子構築物の投与の前または後、約1から5日,いくつかの態様においては24時間の間に個体は促進剤を注入される。もしくは、仮に用いられるなら、遺伝子構築物の投与と同時または数分前または後に促進剤は投与される。したがって、促進剤及び遺伝子構築物は併せて、単一の製剤学的組成物を形成し得る。
【0121】
いくつかの態様においては、遺伝子構築物は促進試薬無しに投与され得、促進剤無しの製剤においては、遺伝子構築物が促進剤の投与と組み合わされれて投与されることのない投与法を用いる。
【0122】
本発明により細胞に投与される核酸分子は、予防上および/または治療上免疫感作試薬として機能するタンパク質の遺伝上の鋳型として働き得る。好ましい態様においては核酸分子は動物細胞内でのコード領域の転写および翻訳に必要な調節配列を含む。
【0123】
本発明はウィルス、原核生物、および、単細胞病原性生物および多細胞寄生体のような病原性真核生物のような全ての病原にたいして個体を免疫感作するために用いられ得る。本発明はウィルス、およびゴノレア、リステリアおよびシゲラのような原核生物のような細胞に感染する、被覆されていない病原に対して個体を免疫感作するために特に有用である。さらに、本発明はまた、細胞内病原の時期を生活環の中に持つ原生生物性の病原に対して個体を免疫感作するためにも有用である。本明細書に用いられる限りにおいて、"細胞内病原"という用語は、少なくともその生殖サイクルまたは生活環の中において宿主細胞の中に存在し、その中で病原タンパク質を生産するまたは生産させられるウィルスまたは病原性生物を指す。表1はそれに対する本発明のワクチンが作られ得るウィルスの種類及び属のいくつかのリストを提供する。表に挙げられた抗原のような病原性抗原上に提示された部分と同一またはそれに類似した少なくとも一つの部分を含むペプチドをコードしたDNA配列を含むDNA構築物がワクチンにおいて有用である。さらに、本発明は表2に挙げられたような原核および真核原生生物の病原および多細胞性寄生生物を含むその他の病原に対して個体を免疫感作するためにも有用である。
【0124】
病原感染を防ぐ遺伝子ワクチンを生産するために、それに対する防御的免疫応答が起こり得る免疫原性タンパク質をコードする遺伝物質が、標的をコードする配列として遺伝子構築物中に含まれなければならない。病原は、本発明が特に有用である細胞内に感染するか、または、全ての病原抗原が防御応答を引き起こしにくい細胞外に感染する。DNAおよびRNAは共に比較的小さく、比較的簡単に生産され得るため、本発明は複数の病原性抗原に対するワクチンの投与を可能にするという付加的な利点を提供する。遺伝子ワクチンに用いられた遺伝子構築物は多くの病原性抗原をコードする遺伝子物質を含み得る。例えば、いくつかのウィルス遺伝子が単一の構築物に含まれ得、従って複数の標的を提供し得る。
【0125】
表1および2は、それらによる感染から個体を防御するために遺伝子ワクチンが調製され得る病原性試薬および生物のいくつかのリストを含む。いくつかの好ましい態様においては病原に対して個体を免疫感作する方法は直接にHIV、HTLVまたはHBVに対するものである。
【0126】
本発明の別の側面は、過剰増殖性疾病に特徴的な過剰増殖細胞に対する広範な防御性免疫応答を与える方法および過剰増殖性疾病に患者の治療法を提供する。
ここで用いられる場合、「過剰増殖性疾病」とは、細胞の過剰増殖によって特徴づけられる疾病および障害を指す。過剰増殖性疾病の例は癌および乾癬の全ての形を含む。
【0127】
免疫原性「過剰増殖細胞」関連タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物の、個体の細胞内への導入は、個体のワクチン注射された細胞中のタンパク質生産を引き起こす。ここで用いられる場合、「過剰増殖性ー関連タンパク質」の語は、過剰増殖性疾病と関連のあるタンパク質を指す。過剰増殖性疾病に対して免疫化するために、過剰増殖性疾病と関連のあるタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物が個体に投与される。
【0128】
過剰増殖性関連タンパク質が効果的な免疫原性標的となるためには、それが、排他的に、または正常細胞と比べて過剰増殖細胞の中で高いレベルで生産されるタンパク質でなければならない。標的抗原は、このようなタンパク質、その断片、およびこのようなタンパク質上に見出されるエピトープを少なくとも一つ含むペプチドを含む。過剰増殖性ー関連タンパク質がタンパク質をコードする遺伝子の突然変異の産物である場合もある。突然変異を受けた遺伝子は、その遺伝子が正常タンパク質には見られない異なるエピトープを生じさせる、わずかに異なるアミノ酸配列を持つことを除けば、正常タンパク質とほぼ同一のタンパク質をコードする。このような標的タンパク質は、myb,myc,fynなどのがん遺伝子、およびbcr/abl,ras,src,P53,neu,trk,EGRF等の転位遺伝子を含む。標的抗原としてのがん遺伝子産物に加え、抗癌治療および保護養生のための標的タンパク質は、B細胞リンパ腫によって作られる可変領域およびいくつかの態様において自己免疫病のための標的抗原として用いられるT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域を含む。他の癌関連タンパク質が標的タンパク質として用いられ得る。そのタンパク質は、モノクローナル抗体17-1Aによって認識されるタンパク質および葉酸結合タンパク質を含む、癌細胞で高レベルに見られるタンパク質などである。
【0129】
本発明が一つまたはそれ以上の癌のいくつかの形に対して個体を免疫化するために用いられ得るのに対して、本発明は特に、特定の癌を発達させやすいか、または癌を持ち、それゆえ再発する可能性がある個体を予防的に免疫化するのに有効である。疫学と同様に遺伝学および技術の発達は、個体における癌の発達の可能性の決定および危険度の検定を可能にする。遺伝学的スクリーニングおよび/または家系の病歴を用いることで、特定の個体が一つかいくつかの型の癌を発達させる可能性を予言することが可能である。
【0130】
同様に、既に癌を発達させ、癌を除去する治療を受けた、またはそうでなければ鎮静された個体は、特に再発しやすい。治療養生の一部として、そのような個体は、再発と闘うために、それらが持つと診断されたことのある癌に対して免疫にされ得る。このように、一つの個体が一つの型の癌を持ち、再発のおそれがあることがいったん分かると、それらは癌の任意の未来の出現と闘うためのそれらの免疫系を準備するために免疫にされることが可能である。
【0131】
本発明は過剰増殖性疾病の患者の治療法の一つを提供する。このような方法においては、遺伝子構築物の導入は、標的タンパク質を生産する過剰増殖細胞と闘うための個体の免疫系を指示し促進する免疫療法として役立つ。
【0132】
本発明は、細胞受容体および「自己」認識抗体を含む、自己免疫に関連する標識に対する広範な防御性免疫応答を与えることにより、自己免疫疾患および障害の患者の治療法を提供する。
【0133】
T細胞を介した自己免疫疾患は、リューマチ関節炎(RA),多発性硬化症(MS),シェーグレン症候群(Sjogren's syndrome)、サルコイドーシス、インシュリン依存性糖尿病(IDDM)、自己免疫甲状腺炎、反応性関節炎、硬直性脊椎炎、鞏皮症、多発性筋炎(polymyositis),皮膚筋炎、乾癬、脈管炎、ウェゲナー肉芽腫、クローン病、および潰瘍性大腸炎を含む。これらの疾病のそれぞれは、細胞膜内抗原に結合し自己免疫疾患に関連する炎症性カスケードを誘発するT細胞受容体によって性格づけられる。T細胞の可変領域に対するワクチン接種はこれらのT細胞を除去するためのCTLsを含む免疫応答を顕現させると思われる。
【0134】
RAにおいては、疾病に関与しているT細胞受容体のいくつかの特異的可変領域(TCRs)がすでに同定されている。これらのTCRsはVβ-3、Vβ-14、Vβ-17およびVα-17を含む。これゆえ、これらのタンパク質の少なくとも一つをコードしているDNA構築物によるワクチン接種は、RAに含まれるT細胞を標的とする免疫応答を顕現すると考えられる。Howell,M.D.,et al.,1991 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10921-10925;Paliard,X.,et al.,1991 Science 253:325-329;Williams,W.V.,et al.,1992 J.Clin.Invest.90:326-333を参照。これらのいずれも、参照により本明細書に編入されている。
【0135】
MSにおいては、疾病に関与しているTCRsのいくつかの特異的可変領域がすでに同定されている。これらのTCRsはVβ-7およびVα-10を含む。これゆえ、これらのタンパク質の少なくとも一つをコードするDNA構築物によるワクチン接種はMSに含まれるT細胞を標的とする免疫応答を顕現させると考えられる。Wucherpfennig,K.W.,et al.,1990 Science 248:1016-1019;Oksenberg,J.R.,et al.,1990 Nature345:344-346を参照。これらのいずれも、参照によって本明細書に編入されている。
【0136】
鞏皮症においては、疾病に関与するTCRsのいくつかの特異的可変領域がすでに同定されている。これらのTCRsはVβ-6、Vβ-8、Vβ-14、およびVα-16、Vα-3C、Vα-7、Vα-14、Vα-15、Vα-16、Vα-28、およびVα-12を含む。これゆえ、これらのタンパク質の少なくとも一つをコードするDNA構築物によるワクチン注射は、鞏皮症に関与するT細胞を標的とする免疫応答を顕現させると考えられる。
【0137】
T細胞を介する自己免疫疾患に苦しむ患者、特に、TCRの可変領域がいまだ同定されていない患者を治療するために、滑液生検が実施され得る。存在するT細胞の試料が採取されることができ、これらのTCRsの可変領域が標準的な技術を用いて同定され得る。遺伝学的ワクチンは、この情報を用いて調製し得る。
【0138】
B細胞を介した自己免疫疾患は、狼そう(皮膚結核)(SLE)、グレーヴス病、筋無力症、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症、喘息、クリオグロブリン血症、一次胆汁硬化症、および悪性貧血を含む。これらの疾病の各々は、細胞膜内抗原に結合し、自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始させる抗体によって特徴付けされる。抗体の可変領域に対するワクチン接種は、抗体を生産するこれらのB細胞を除去するためにCTLsを含む免疫応答を顕現させることが考えられる。
【0139】
B細胞を介する自己免疫疾患に苦しむ患者を治療するために、自己免疫活性に関与する抗体の可変領域が同定されなければならない。生検が実施されることができ、炎症の部位に存在する抗体の試料が採取され得る。これらの抗体の改変領域は標準技術を用いて同定され得る。遺伝子ワクチンは、この情報を用いて調製し得る。
【0140】
SLEの場合は、一つの抗原はDNAであることが信じられている。これゆえ、SLEに対して免疫化する必要がある患者においては、その血清は抗DNA抗体についてスクリーニングすることができ、血清に見出されるこのような抗DNA抗体の可変領域をコードするDNA構築物を含むワクチンが一つ調製され得る。
【0141】
TCRsおよび抗体の両方の可変領域に共通する構造形態はよく知られている。特定のTCRまたは抗体をコードするDNA配列は一般に、参照によって本明細書に編入される、Kabat,et al.1987 Sequence of Proteins of Immunological Interest U.S.Department of Health and Human Services,Bethesda MDのなかに記載された方法などの既知の方法にしたがって見出され得る。さらに、抗体由来の機能的可変領域を単離するための一般的方法が、参照によって本明細書に編入される、Chaudhary,V.K.,et al.,1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1066において見出され得る。
【0142】
遺伝学的ワクチンを改良するための免疫改変タンパク質をコードする配列の発現可能な形態を用いることに加え、本発明は、改良された、弱毒生ワクチン、および、抗原をコードする異質の遺伝子を放出するために組換えベクターを用いる改良ワクチンに関する。弱毒生ワクチンおよび異質抗原を放出するための組換えベクターを用いるワクチンは、米国特許番号4,722,848;5,017,467;5,077,044;5,110,587;5,112,749;5,174,993;5,223,424;5,225,336;5,240,703;5,242,829;5,294,441;5,294,548;5,310,668;5,387,744;5,389,368;5,424,065;5,451,499;5,453,364;5,462,734;5,470,734;および5,482,713に記載されており、これらは各々、参照により本明細書に編入されている。免疫改変タンパク質をコードし、発現を行わせるためにワクチン中で機能する調節配列に作動可能なように連鎖したヌクレオチド配列を含む遺伝子構築物が提供される。この遺伝子構築物は、本発明に従って改善されたワクチンを生産するために、弱毒生ワクチンおよび組換えワクチンの中に組み込まれる。
【0143】
本発明は遺伝子構築物をDNAワクチン、弱毒生ワクチンおよび組換えワクチンを含むワクチン組成物として個体の細胞に放出する段階を含む、個体を免疫化するための改良された方法の一つを提供する。その遺伝子構築物は、免疫改変タンパク質をコードし、発現を行わせるためにワクチンの中で機能し得る調節配列に作動可能なように連結されたヌクレオチド配列を含む。この改良されたワクチンは、強化された細胞免疫応答をひきおこす。
【0144】
本発明のいくつかの側面において、ヒト免疫改変タンパク質をコードする核酸分子が治療用遺伝子として、すなわち、免疫原性標的または免疫原性標的タンパク質をコードする核酸分子と共に投与されることなく、投与される。遺伝子治療の側面は、免疫応答を推進する免疫改変タンパク質の機能から生ずる。
【0145】
治療用遺伝子として放出される遺伝子構築物は、ヒトIL-12をコードする核酸分子である。このような遺伝子構築物はプラスミドであるのが好ましい。また、他の核酸に基くベクターも予期される。それらは組換えウイルス、組換え微生物、および線状の核酸分子などであり、これらすべては通常の当業者にはよく知られている。プラスミドが置かれ発現される組織を持つ個体への投与に有用なプラスミドは、よく知られている。予期される組換えウイルスは次のものを含む。すなわち、組換えワクシニア、ウイルスベクター、組換えアデノウイルスベクター、および組換えレトロウイルスベクターである。予期される組換え微生物は次のものを含む。すなわち、組換えBCGベクター、および組換えサルモネラベクターである。線状の核酸分子は、プラスミドDNA分子と同様、ミクロスフェアおよびリポソームの中にカプセル化され得る。
【0146】
いくつかの好ましい態様では、ヒトの免疫改変タンパク質をコードするプラスミドは上に記載された遺伝子構築物である。本質的には、この同じ組成物および方法は、遺伝子治療組成物が免疫標的タンパク質のためのコーディング配列を含まないということを除けば、ヒト免疫改変タンパク質をコードする遺伝子構築物を含む遺伝的免疫合成および方法について記載されたように、ヒト免疫改変タンパク質をコードする治療用遺伝子のために用いられ得る。本発明の開示は、上の遺伝子構築物に言及することによって、ヒト免疫改変タンパク質をコードする治療用遺伝子を記載する意図をもつ。ヒト免疫改変タンパク質をコードし個体での発現に必要な調節要素に作動可能なように連結したヌクレオチド配列を含む、上に記載されたこの遺伝子構築物は、治療用遺伝子を記載する意図をもつ。このような構築物は、免疫応答を改変および/または推進するために、個体に投与され得る。
【0147】
例えば、IL-12はアレルギー、癌、自己免疫疾患または伝染病の患者を治療するために投与され得る。IL-12をコードする遺伝子構築物は促進剤とともに、または促進剤なしに投与される。いくつかの態様においては、遺伝子構築物は上に記載された一つまたはそれ以上の促進剤と協同的に投与される。いくつかの態様においては、遺伝子構築物はいかなる促進剤も含まないかたちで投与される。いくつかの好ましい態様においては、IL-12をコードする遣伝子はいかなる病原菌にも汚染されていない。いくつかの態様では、遺伝子構築物は無針注射装置を用いて投与される。いくつかの態様においては、IL-12をコードする遺伝子はマイクロプロジェクターを用いて投与される。いくつかの態様では、IL-12をコードする遺伝子はいかなる個体分子をも含まないかたちで投与される。
【0148】
遺伝子ワクチンまたは遺伝子治療組成物のいずれかである、本発明に従った薬学組成物は、約1ナノグラムから1000ミクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい態様では、組成物は、約10ナノグラムから800ミクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい態様では、組成物は約0.1から約500ミクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい態様では、組成物は約1から約350ミクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい態様では、組成物は約25から約250ミクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい態様では、組成物は約100ミクログラムのDNAを含む。
【0149】
本発明に従った薬学組成物は、用いられるべき投与法に従って処方される。当業者は、遺伝子構築物を含む薬学組成物をただちに処方し得る。筋肉内注射が選ばれた投与法である場合には、等張的処方が使用されることが望ましい。一般的には、等張性のための添加物は、塩化ナトリウム、デキストロース、マニトール、ソルビトール、および乳糖を含み得る。いくつかの場合では、リン酸緩衝液中塩水といった等張溶液が好ましい。安定剤はゼラチンおよびアルブミンを含む。
【0150】
いくつかの態様では、血管収縮剤は処方に追加される。本発明に従った薬学上の調製は無菌で、ピロゲンが含まれないかたちで提供される。
本発明の方法はヒトおよび獣医学の両方の分野において有用である。それゆえ、本発明は、哺乳類、鳥類および魚類の遺伝学的免疫化に関する。本発明の方法は、特にヒト、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、およびネコの各種を含む哺乳類に有用である。
新しい免疫改変剤であるヒトBL1がすでに発見されている。DNAおよび予測されるアミノ酸配列は図14に述べられる。このタンパク質およびその断片は個体に免疫原を導入し得るワクチン組成物と共に投与される際、免疫応答を強化させる。
【0151】
本明細書に用いられる場合、「免疫改変断片」の語は、図14に示された全長配列より短いが全長化合物の活性を保っているBL1の断片を指す。本発明の従えば、BL1遺伝子配列の放出は、免疫改変を引き起こす。いくつかの実験では、タンパク質発現は検出されなかったが、免疫応答は、それにもかかわらず共投与によって影響を受けた。このことは、BL1DNAの投与は、免疫応答の改変および指示の決定的な段階であることを示している。本明細書に述べられるように、本発明の開示は、免疫改変組成物におけるBL1DNAの使用および方法をタンパク質生産にかかわりなく開示する意図をもつ。したがって、本開示は、BL1DNAおよび、免疫改変剤としてのBL1DNAを含むベクターを用いた方法および、一次活性剤または、免疫原または免疫原をコードするDNAと共に投与される協力剤として免疫応答を操作および推進するのに有用な免疫改変組成物に関する。
【0152】
BL1のDNAによってコードされるタンパク質は単離され、精製され得る。タンパク質に結合する抗体を生産するハイブリドーマが生産され得る。このタンパク質をコードするcDNAsは単離され、配列決定され、発現ベクターを含むベクターに組込まれており、それらのベクターは、組換えで生ずるタンパク質を発現する宿主細胞に導入された。ベクターを、免疫原をコードするベクターと共に投与すると、免疫原に対する強化された免疫応答が生じた。
【0153】
BL1の発見は、免疫応答を強化し、推進し、支持するワクチン接種のプロトコルを設計し利用する手段を提供する。
BL1をコードする単離されたcDNAは、BL1またはその免疫改変断片を生産し得る組換え発現ベクターの製造における出発材料として有用である。cDNAは発現ベクターを含むベクターに組込まれ、そのベクターは宿主細胞に導入され、宿主細胞は組換えで生じたタンパク質を発現する。核酸分子およびその断片は、プローブとして、BL1コーディング配列の存在を検出するのに用いられ得る。このようなプローブはBL1のコーディング配列に特異的にハイブリッド形成する。ここで使用される場合、「特異的BL1配列」の語は、BL1に固有の配列を指す。BL1をコードする特異的cDNA断片に相補するヌクレオチド配列を含む核酸分子は、アンチセンス分子およびプライマーとして、各々mRNAの翻訳を阻害するため、および遺伝配列を増幅するために用いられ得る。
【0154】
BL1は図14に示されるcDNAにコードされ、図14に示す予測されるアミノ酸配列を持つ。BL1コーディング配列は通常の方法で合成されることができ、BL1タンパク質は組換えDNA法で製造され得るか、標準的タンパク質合成技術で合成され得る。
【0155】
標準的技術および即座に手に入る標準材料を用いて、BL1をコードする核酸分子が調製され得る。本発明は、BL1をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子に関する。本発明は、図14のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列またはその免疫改変断片を含む、単離された核酸分子に関する。いくつかの態様においては、核酸分子はBL1をコードするヌクレオチド配列からなる。いくつかの態様においては、核酸分子は、図14のコーディング配列からなるヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、核酸分子は、図14に述べられたヌクレオチド配列からなる。本発明の単離された核酸分子は、構築物および組換え発現ベクターを調製するのに有用である。
【0156】
BL1に特異的なプローブまたはプライマーは、少なくとも16ヌクレオチド、好ましくは、少なくとも24ヌクレオチドを持つ。このプローブまたはプライマーは、標準的ハイブリダイゼーション技術を用いてcDNAライブラリーをスクリーニングするために用いられる。
【0157】
BL1をコードするcDNAは、核酸配列を増幅するためのPCRプライマーを設計するために用いられ得る。PCR技術は通常の方法で、通常の当業者によって実施され、診断学におけるこの方法の使用は良く知られており、承認されている。PCR技術の実施のための方法は、参照によって本明細書に編入されている"PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications",Innis,M.A.,et al.Eds.Academic Press,Inc.San Diego,CA(1990)において開示されている。PCR技術の応用法は、参照によって本明細書に編入されている"Polymerase Chain Reaction"Erlich,H.A.,et al.,Eds.Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)において開示されている。いくつかの単純な規則が有効なプライマーの設計に役立つ。典型的なプライマーは、18から28ヌクレオチドの長さを持ち、50%から60%のGC組成を持つ。完全なプライマーは、ハイブリッドするべき配列に相補していることが好ましい。プライマーは、100ベースペアから2000ベースペアのPCR産物を生産することが好ましい。しかしながら、50bpから10kbおよびそれ以上にいたる産物を生産することも可能である。
【0158】
PCR技術は、核酸分子に存在する配列にハイブリッドする5'および3'プライマーを提供することで、および、相補鎖DNAを生産するための、遊離ヌクレオチド、および遊離ヌクレオチドによってプライマー間のヌクレオチド配列に相補する塩基を埋める酵素を提供することで、多コピーのヌクレオチド配列の急速な生産を可能にする。酵素はプライマーに隣接した相補配列を埋める。もし5'プライマーおよび3'プライマーが核酸の同じ断片の相補鎖上でヌクレオチド配列にハイブリッドすると、特異的二本鎖産物の指数関数的な増幅が生じる。もし一方のプライマーが核酸分子にハイブリッドすると、線状増幅が様々な長さの一本鎖産物を生産する。
【0159】
本発明は、図14のアミノ酸配列を含むBL1をコードするヌクレオチド配列を含むベクターまたは組換え発現ベクターに関する。ここで使用する場合、「組換え発現ベクター」の語は、適当な宿主に導入された場合、BL1をコードするコーディング配列の発現を指示するための必要な遺伝子要素を含むプラスミド、ファージ、ウイルス粒子または他のベクターを指す。通常の当業者は、標準的技術および即座に手に入る出発材料を用いて、BL1をコードする核酸分子を発現ベクターに挿入し得る。コーディング配列は作動可能なように必要な調節配列と連結された。発現ベクターはよく知られており、即座に手に入る。発現ベクターの例は、プラスミド、ファージ、ウイルスベクターおよび他の核酸分子または宿主細胞を形質転換し、コーディング配列の発現を容易にするのに有用な運び手を含む核酸分子を含む。いくつかの態様では、組換え発現ベクターは、図14に述べられたヌクレオチド配列を含む。本発明の組換え発現ベクターはプラスミドであることが好ましい。
【0160】
本発明はBL1をコードするヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクターを含む宿主細胞に関する。いくつかの態様では、宿主細胞は図14のヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクターを含む。タンパク質生産のためのよく知られた組換え発現系において用いられる宿主細胞はよく知られており、即座に手に入る。宿主細胞の例は、E.coliなどのバクテリア細胞、S.cerevisiaeなどの酵母細胞、S.frugiperdaなどの昆虫細胞、中国ハムスター卵巣(CHO)細胞などの非ヒト哺乳類組織培養細胞、およびHeLa細胞などのヒト組織培養細胞を含む。
【0161】
いくつかの態様では、例えば、通常の当業者は、既知の技術を用いて、DNA分子を、良く知られた発現系で用いられる、商業的に手に入る発現ベクターに挿入し得る。例えば、商業的に手に入るプラスミドpSE420(Invitrogen,San Diego,CA)は、例えば、中国ハムスター卵巣細胞などの哺乳類細胞での生産に用いられ得る。通常の当業者は、通常の技術および即座に手に入る出発材料を用いて、hVIPを生産するためにこれらの商業的発現ベクターおよび系またはそれ以外のものを用い得る。(例えば、参照によって本明細書に編入された、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Habor Press(1989)を参照。)これゆえ、望まれるタンパク質は原核細胞系および真核細胞系の両方において調製されることができ、タンパク質の一連のプロセス形を生じさせる。
【0162】
通常の当業者は、よく知られた方法および即座に手に入る出発材料を用いてベクターを生産するために、他の商業的に入手可能な発現ベクターおよび系を用い得る。プロモーターおよびポリAシグナルおよび好ましくはエンハンサーなどの必要な制御配列を含む発現系は、即座に入手可能で、および様々な宿主について当該技術分野で知られている。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,Second Ed.Cold Spring Harbor Press(1989)を参照。
【0163】
BL1をコードするDNAを含む発現ベクターは和合する宿主を形質転換するのに用いられ、宿主はついで培養され、外来DNAの発現が起こる条件下で保存される。
このようにして生産された本発明のタンパク質は、培地から、溶菌によって、または適当な、および当該技術分野で知られている培養培地から、回収される。通常の当業者は、よく知られた技術を用いて、このような発現系を用いて生産されるBL1を単離し得る。上に記載されたようなBL1に特異的に結合する抗体を用いて自然源からBL1を精製する方法は、同じように組換えDNA技術によって生産されたBL1を精製するのに応用され得る。
遺伝子構築物の例は、上に述べたようにヒトにおいて、または構築物がトランスフェクションされる細胞系において機能するプロモーターに作動可能なように連鎖したBL1コーディング配列を含む。構造性プロモーターの例は、巨細胞ウイルスまたはSV40由来のプロモーターを含む。導入可能なプロモーターの例は、マウス哺乳類白血病ウイルスまたはメタロチオネインプロモーターを含む。
【0164】
組換え技術によりBL1を生産することに加えて、自動化ペプチド合成機もまたBL1を生産するのに用いられ得る。このような技術は当該技術分野で通常の技術を有する者にはよく知られており、代替となる誘導剤が提供されない場合、DNAにコードされたタンパク質生産のために有用である。
【0165】
BL1をコードする核酸分子は、個体または和合する宿主細胞への導入または発現に作用するために、直接プラスミド投与、組換えウイルス発現ベクターまたは他の適当な輸送手段といった様々な輸送成分のいずれか一つを用いて輸送し得る。
【0166】
一般に、ウイルスベクターは、組換えアデノウイルスおよび組換えワクシニアウイルスといったDNAウイルス、または組換えレトロウイルスなどのRNAウイルスであり得る。他の組換えベクターは、細胞に感染し組換え遺伝子を発現することができる組換え原核細胞を含む。組換えベクターに加えて、リポソームへのカプセル化、トランスフェリンを介したトランスフェクション、および他の受容体媒介法などの他の輸送成分もまた予期し得る。本発明はこのような、同じ機能をもち、今後当該技術分野で知られるようになる他の発現ベクター形および他の適当な輸送法を含むことを意図するものである。
【0167】
本発明は、また、BL1をコードする核酸配列を含むトランスジェニック非ヒト哺乳類に関するものである。組換えタンパク質を生産するのに有用なトランスジェニック非ヒト哺乳類は、トランスジェニック動物を生産するための必要な発現ベクターおよび技術としてよく知られている。一般に、トランスジェニック動物はBL1をコードするヌクレオチド配列が作動可能なように哺乳類細胞特異的プロモーターと連結された組換え発現ベクターを含む。そのプロモーターによってコーディング配列は哺乳類細胞のみで発現し、そのように発現された組換えタンパク質は動物の乳より回収される。通常の当業者は、本明細書に参照によって編入された1989年10月にWagnerへ出された米国特許番号4,873,191、および1988年4月12日にLederへ出された米国特許番号4,736,866において教えられる標準技術を用いてBL1を生産するトランスジェニック動物を生産し得る。好ましい動物は、ヤギ、ヒツジ、またはげっし類、特にラットおよびマウスである。
【0168】
BL1タンパク質またはこのタンパク質を生産する発現ベクターは薬学組成物のかたちで処方され得る。
本発明による薬学組成物は、核酸分子と組み合わされた輸送成分を含み、それらはさらに、薬学上受容可能な担体または媒体、例えば塩水を含む。核酸の首尾よい輸送を可能にするいかなる媒質も用い得る。通常の当業者は、本発明で使用しうる薬学上受容可能な多くの媒質を即座に理解するであろう。適当な薬学的担体は、この分野の標準的参照物であり、また本明細書に参照によって編入されるRemington's Pharmaceutical Science,A.Osolに記述されている。本発明の薬学組成物は、活性剤が標的細胞に到達することを可能にするいかなる方法によっても投与され得る。ペプチドは経口的に投与された場合消化されやすいため、吸収を効果的にするため、非経口的投与、すなわち、静脈注射、皮下注射、皮膚を通した投与、筋肉内注射が一般に用いられるであろう。静脈注射は、点滴ポンプに補助されて行われ得る。本発明の薬学組成物は、乳濁液として処方され得る。あるいはそのかわりに、それらの組成物は、鼻腔内または吸入法による投与のためのエーロゾル薬品として処方され得る。いくつかの場合では、局所的投与が望ましい。
【0169】
投与される投薬量は、次のような因子に依存して変化する。すなわち、薬学上の性質、その形式および投与経路;受容者の年齢、健康、および体重;病状の性質および広がり;同時に行われる治療の種類;および治療の頻度である。通常は、ペプチドの投薬量は、50キログラムの体重に対して1から3000ミリグラムであり得る。好ましくは、体重50キログラムに対して10から1000ミリグラムであり得る。さらに好ましくは、体重50キログラムに対して25から800ミリグラムであり得る。一般に、一日に、1から6回に分けた量として、または維持放出の形で、8から800ミリグラムが個体に投与されることができ、これが、望まれる効果を獲得するのに効果的である。局所的投与のための処方は、皮膚内膏薬、軟膏、外用水液、クリーム、ゼリー、ドロップ、坐薬、スプレー、液体および粉を含み得る。慣習的薬学的担体、液体、粉、または油の基体、シックナー、およびそれに類するものが必要であり、望ましい。経口投与のための組成物は、粉または細粒、水または水でない媒体への懸濁、または溶解、カプセル、香粉または錠剤を含む。シックナー、調味剤、希釈剤、乳化剤、分散剤、または結合剤が望ましい。非経口的、静脈内、包膜内、または心室内投与のための組成物は、同じように緩衝液、希釈液、および他の適当な添加物を含む無菌の水溶液を含み、無菌であり、および発熱物質が入っていないことが好ましい。本発明に従った静脈内投与に適した薬学組成物は、無菌であり、発熱物質が含まれない。
【0170】
非経口的投与のためには、本発明のペプチドは、薬学上受容可能な非経口的媒体と結合した溶液、懸濁液、乳濁液、または凍結乾燥された粉末などとして処方されることができる。このような媒体の例は、水、塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンである。リポソームおよび、固定油などの非水媒体もまた使用できる。媒体または凍結乾燥粉末は、等張性を保つ添加剤(例えば、塩化ナトリウム、マニトール)および化学的安定性を保つ添加剤(例えば、緩衝液および防腐剤)を含み得る。この処方は、通常用いられる技術によって無菌化される。例えば、注射による投与に適した非経口組成物は、質量の1.5%の活性成分を0.9%の塩化ナトリウム水溶液に溶解することで調製される。
【0171】
本発明の薬学組成物は、活性剤が哺乳類の体内の薬剤活性部位に達することを可能にするいかなる方法によっても投与され得る。本発明の薬学組成物は、局所的または全身的治療が望まれるか否か、および治療されるべき領域にしたがって様々な方法で投与され得る。投与は、局所的(眼、膣、直腸、鼻腔内、皮膚を通した方法を含む)、経口的または非経口的でありうる。非経口的投与は、静脈内点滴、皮下、腹膜内、または筋肉内注射、吸入などの肺投与、または包膜内、心室内投与を含む。
【0172】
BL1に結合する抗体を生産するハイブリドーマ、および抗体そのものは、BL1およびBL1を含む複合タンパク質を単離し精製するのに有効である。さらに、抗体は、BL1活性の特異的阻害剤である。hVIPに特異的に結合する抗体はよく知られた技術および即座に入手可能な材料を用いて、自然源からタンパク質を精製するのに用いられることができる。このような抗体は、また、組換えDNA技術によってタンパク質を生産する際、存在する材料からタンパク質を精製するのに用い得る。
【0173】
本明細書にて使用される場合、用語「抗体」は、完全無傷な抗体、およびFab断片、およびそのF(ab)2断片を指す。完全無傷な抗体は、ネズミモノクローナル抗体などのモノクローナル抗体、キメラ抗体およびヒト化された抗体を含む。一つのエピトープに結合する抗体は、自然源から、または組換え発現系から、アフィニティクロマトグラフィーなどのよく知られた技術を用いてタンパク質を単離および精製するのに役立つ。換言すれば、抗体は、他のタンパク質と交差反応をおこさない。このような抗体は、試料中のこのようなタンパク質の存在を検出するのに、また細胞がタンパク質を発現しているかどうか決定するのに有効である。
【0174】
抗体の生産および完全無傷の抗体、Fab断片およびF(ab)2断片のタンパク質構造、およびこのような分子をコードする遺伝子配列はよく知られており、例えば本明細書に参照により編入されているHarlow,E.and D.Lane(1988)ANTIBODIES:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NYに記述されている。簡単にいえば、例えば、BL1またはその免疫改変断片がマウスに注射される。マウスの脾臓が取り除かれ、脾臓細胞が単離されて不死化されたマウス細胞と融合される。ハイブリッド細胞またはハイブリドーマは、培養され、抗体を分泌する細胞が選択される。抗体は分析され、もしBL1に特異的に結合することがわかれば、それらを生産するハイブリドーマが、連続的に抗体を供給するために培養される。
【0175】
下に詳しく述べられた例は、本発明のいくつかの側面に対応する例を含む。それらの例は本発明の視野を制限するためではなく、むしろ例証的な目的に役立つ。さらに、本発明の多様な側面が次の記述によって要約され得る。しかしながら、この記述は本発明の視野を制限するためのものではなく、むしろ本発明の多様な側面をきわだたせるためのものである。通常の当業者は、即座に付加的側面および本発明の諸態様を評価し得る。
【0176】
実施例
実施例1
以下は、本発明の方法に用いられる構築物のリストである。下に記述された構築物の多くを生産するための出発材料として使用されるベクターpBabe.puroは、もともとは、参照により編入されているMorgenstern,J.P.and H.Land,1990Nucl.Acids Res.18(12):3587-3596により構築され報告された。pBabe.puroプラスミドは、特に哺乳類細胞での細胞膜外遺伝子の発現に役立つ。発現するべきDNA配列はMoloneyネズミ白血病ウイルス(MOMuLV)長末端反復(LTR)プロモーターの制御下でクローニング部位に挿入される。プラスミドはピューロマイシン耐性のための選択マーカーを含む。
【0177】
プラスミドpBa.Vα3-IL-12は、pBabe.puroのEcoRI部位にクローニングされたL、V、およびJセグメントを含むT細胞受容体Vα3領域をコードする2.7kbのEcoRIゲノム断片およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。T細胞受容体由来標的タンパク質は、T細胞を介した自己免疫疾患およびクロノタイプのT細胞リンパ腫および白血病に対する免疫化および治療に役立つ。
【0178】
プラスミドpBa.gagpol-vpr-IL-12は、pBabe.puroにクローニングされた、HIV/MN由来のgag/polおよびvif遺伝子を含む。vpr遺伝子を欠失させる。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に役立つ。HIVのDNA配列は参照により本明細書に編入されたReiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human Retro.8:1549によって発表されている。この配列は、参照によって本明細書に編入されたGenbank No.:M17449から得られ得る。
【0179】
プラスミドpM160は、HIV-I/3B包膜タンパク質をコードする2.3kbのPCR断片およびpMAMneoBlueにクローニングされたrev/tat遺伝子を含むプラスミドである。
nef領域を欠失させる。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連鎖したIL-12コーディング配列を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に役立つ。HIV-1/3BのDNA配列は、参照により本明細書に編入されたFisher,A.,1985 Nature 316:262によって発表されている。この配列は参照によって本明細書に編入されたGenbank No.:K03455から入手可能である。
【0180】
プラスミドpBa.VL-IL-12は、pBabe.puroのXbaIおよびEcoRI部位にクローニングされた抗DNA抗体のVL領域をコードするPCR断片、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。抗体由来標的タンパク質は、B細胞を介した自己免疫疾患およびクロノタイプのB細胞リンパ腫および白血病に対する免疫化および治療に役立つ標的タンパク質の一例である。抗体由来の機能性可変領域のクローニングのための一般的方法は、参照により本明細書に編入されたChaudhary,V.K.,et al.,1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1066に見られる。
【0181】
プラスミドp0spA.B-IL-12は、Borrelia nurgdorferiのOSpAおよびOspB抗原をコードするコーディング領域、pBabe.puroのBamHIおよびSalI部位にクローニングされたリーマ病の原因となるスピロヘータ、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。参照により本明細書に編入しているWilliams,W.V.,et al.1992 DNA and Cell.Biol.11(3):207を参照。標的タンパク質をコードするこれらの病原遺伝子を含むプラスミドはリーマ病に対する免疫化に有用である。
【0182】
プラスミドpBa.Rb-G-IL-12は、BamHI部位でpBabe.puroにクローニングされている狂犬病Gタンパク質をコードするPCRによって生産された断片、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。狂犬病Gタンパク質をコードするこの病原タンパク質を含むプラスミドは狂犬病に対する免疫化に有用である。DNA配列は、参照により本明細書に編入されているGenebank No.:M32751に開示されている。参照により本明細書に編入されているAnilionis,A.,et al.,1981 Nature 294:275も参照のこと。
【0183】
プラスミドpBa.HPV-L1は、BamHI部位およびEcoRI部位でpBabe.puroにクローニングされている、HPV鎖16、18、31,および33を含むヒト乳頭腫ウイルス(HPV)
のL1キャプシッドタンパク質をコードするPCRで生産した断片、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。このプラスミドはHPV感染およびそれによってひきおこされる癌に対する免疫化に有用である。DNA配列は参照により本明細書に編入されたGenebank No.:M15781に開示されている。Howley,1990 Fields Virology,Volume 2,Eds.:Channock,R.M.etal.Chapter 58:1625;および、Shar,K.andP.Howley,1990 Fields Virology,Volume 2,Eds.:Channock,R.M.et al.Chapter 59も参照のこと。これら両者は参照により本明細書に編入されている。
【0184】
プラスミドpBa.HPV-L2-IL-12は、BamHI部位およびEcoRI部位でpBabe.puroにクローニングされている、HPV鎖16、18、31、および33を含むヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のL2キャプシッドタンパク質をコードするPCRで生産した断片、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。このプラスミドはHPV感染およびそれによってひきおこされる癌に対する免疫化に有用である。DNA配列は参照により本明細書に編入されたGenebank No.:M15781において開示されている。Howley,1990 Fields Virology,Volume 2,Eds.:Channock,R.M.et al.Chapter 58:1625;および、Shar,K.and P.Howley,1990 Field Virology,Volume 2,Eds.:Channock,R.M.et al.Chapter 59も参照のこと。これら両者は参照により本明細書に編入されている。
【0185】
プラスミドpBa.MNp7-IL-12は、BamHI部位でpBane.puroにクローニングされているHIV MN gag(コアタンパク質)を含むp7コーディング領域をコードするPCRで生産された断片、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。参照により編入されたReiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human Retro.8:1549を参照。この配列は、参照により本明細書に編入されたGenebank No.:M17449から得られる。
【0186】
プラスミドpGA733-2-IL-12は、結腸直腸カルシノーマ細胞系SW948からとられ、BstXI部位でpCDM8ベクター(B.and A.Aruffo,1987 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3365)にクローニングされたGA733-2癌表面抗原、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。癌関連標的タンパク質は、癌などの過剰増殖性疾病に対する免疫化および治療に有用である。GA733-2抗原は、結腸癌に対する有用な標的抗原である。GA733抗原は参照により本明細書に編入されているSzala,S.et al.,1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3542-3546によって報告されている。
【0187】
プラスミドpT4-pMV7-IL-12はEcoRI部位でpMV7ベクターにクローニングされているヒトCD4受容体をコードするcDNA、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。CD4標的タンパク質はT細胞リンパ腫に対する免疫化および治療に有用である。プラスミドpT4-pMV7はAIDS Repository Catalog No.158から入手可能である。
【0188】
プラスミドpDJGA733-IL-12は、BamHI部位においてpBabe.puroにクローニングされているGA733癌表面抗原、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。癌関連標的タンパク質は、癌などの過剰増殖性疾病に対する免疫化および治療に有用な標的タンパク質の一例である。GA733抗原は結腸癌に対する有用な標的抗原の一つである。
【0189】
プラスミドpBa.RAS-IL-12は初めpZIPneoRASよりサブクローニングされ、ついでBamHI部位においてpBabe.puroにクローニングされているrasコーディング領域、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。ras標的タンパク質は細胞質シグナル分子の一例である。rasをクローニングする方法は、参照により本明細書に編入されているWeinberg 1984 mol.,Cell.Biol.4:1577において報告されている。Rasをコードするプラスミドは癌などの過剰増殖性疾病、特に、膀胱、筋肉、肺、脳および骨の癌などのrasが関係する癌に対する免疫化および治療に有用である。
【0190】
プラスミドpBa.MNp55-IL-12は、BamHI部位においてpBabe.puroにクローニングされたHIV MN gag前駆体(コアタンパク質)配列を含むp55コーディング配列およびCMVプロモーターおよびSV40ポリアデニル化配列に作動可能なように連結したIL-12コーディング配列をコードするPCR生産断片を含むプラスミドである。このプラスミドは、HIV標的タンパク質を含むこれらのHIVウイルス遺伝子を含み、HIVおよびAIDSを対象とする免疫化および治療に有用である。参照により本明細書に編入されたReiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human Retro.8:1549を参照。この配列は、参照により本明細書に編入されたGenbank No.:MI7449から入手可能である。
【0191】
プラスミドpBa.MNp24-IL-12は、BamHIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされたHIV MN gagコーディング領域全長p24コーディング領域およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列をコードするpMN-SF1の鋳型からPCRで生産された断片を含むプラスミドである。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。
【0192】
参照により本明細書に編入されたReiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human Retro.8:1549を参照。この配列は、参照により本明細書に編入されたGenbank No.:MI7449から入手可能である。
【0193】
プラスミドpBa.MNp17-IL-12はBamHIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされたHIV MN gag(コアタンパク質)を含むp17コーディング領域およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列をコードするPCRで生産された断片を含むプラスミドである。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。参照により本明細書に編入されたReiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human Retro.8:1549を参照。この配列は、参照により本明細書に編入されたGenbank No.:MI7449から入手可能である。
【0194】
プラスミドpBa.SIVenv-IL-12は、BamHIおよびEcoRI部位においてpBR322にクローニングされたSIV239を含む構築物よりPCRで生産された、増幅された2.71断片、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。このプラスミドはAIDS Research and Reference Reagent Program;Catalog No.210から得られる。
【0195】
プラスミドpcTSP/ATK.env-IL-12は、pcDNA1/neoベクターにサブクーローニングされたHTLV-1/TSPおよび/ATK単離物由来の完全HTLV包膜コーディング配列およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列をコードするPCRで生産された断片を含むプラスミドである。プラスミドpcTSP/ATK.envは参照により本明細書に編入された1988 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:3599において報告されている。HTLV env標的タンパク質はHTLVおよびT細胞リンパ腫による感染に対する免疫化および治療において有用である。
【0196】
プラスミドpBa.MNgp160-IL-12は、pSP72においてMNenvを含む構築物から増幅され、BamHIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされた2.8kbPCR増幅断片および、CMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。本明細書に編入されたReiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human Retro.8:1549を参照。この配列は、参照により本明細書に編入されたGenbank No.:MI7449から入手可能である。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。
【0197】
プラスミドpC.MNp55-IL-12はMN単離物のgag領域から増幅され、pCEP4ベクターにクローニングされた1.4kbPCR断片を含むプラスミドである。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。本明細書に編入されたReiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human Retro.8:1549を参照。この配列は、参照により本明細書に編入されたGenbank No.:MI7449から入手可能である。
【0198】
プラスミドpC.Neu-IL-12は、LTR-2/erbB-2構築物から切り出され、pCEP4ベクターにクローニングされたヒトneu癌遺伝子コーディング配列を含む3.8kbDNA断片を含むプラスミドおよびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。pC.Neuプラスミドは本明細書に参照により編入されているDiFiore 1987 Science 237:178で報告されている。neu癌遺伝子標的タンパク質は、癌などの過剰増殖性疾病、特に結腸、胸、肺および脳の癌に対する免疫化および治療のための標的タンパク質として有用な成長因子受容体の一例である。
【0199】
プラスミドpC.RAS-IL-12は、まずpZIPneoRASからサブクローニングされ、BamHI部位においてpCEP4にサブクローニングされたras癌遺伝子コーディング領域を含む1.4kbDNA断片およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドである。pC.RASプラスミドは参照により本明細書に編入されたWeingerg 1984 Mol.,Cell.Biol.4:1577において報告されている。ras標的タンパク質は細胞質シグナル分子の一例である。Rasをコードするプラスミドは癌などの過剰増殖性疾病、特に膀胱、筋肉、肺、脳および骨の癌といったrasが関連する癌に対する免疫化および治療に有用である。
【0200】
プラスミドpNLpuro-IL-12はHIV gag/polおよびSV40-puro挿入を含むプラスミドである。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子、およびCMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。
【0201】
実施例2
プラスミドpCSIL-12は、CMVプロモーターおよびSV40ポリA配列に作動可能なように連結されたIL-12コーディング配列を含む。
【0202】
実施例3
本発明のいくつかの態様に従った組成物は、プラスミドpCSIL-12を次のプラスミドのいずれかと組み合わせることにより調製し得る。
【0203】
プラスミドpBa.Vα3は、pBabe.puroのBamHI部位にクローニングされたL,VおよびJ配列を含むT細胞受容体Va3領域をコードする2.7kbEcoRIゲノム断片を含む7.8kbプラスミドである。T細胞受容体由来標的タンパク質は、T細胞を介した自己免疫疾患およびクロノタイプのT細胞リンパ腫および白血病に対する免疫化および治療に有用である。
【0204】
プラスミドpBa.gagpol-vprは、pBabe.puroにクローニングされたHIV/MN由来のgag/polおよびvif遺伝子を含む9.88kbのプラスミドである。vpr遺伝子は欠失している。HIV標的タンパク質をコードしているこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。HIV DNA配列は参照により本明細書に編入された、Reiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human Retro.8:1549において発表されている。この配列は、参照により本明細書に編入されたGenbank No.:MI7449より得られる。
【0205】
プラスミドpM160は、HIV-I/3B包膜タンパク質をコードする2.3kbPCR断片およびpMAMneoBlueにクローニングされたrev/tat遺伝子を含む11.0kbプラスミドである。nef領域を欠失させる。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドはHIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。HIV-1/3BのDNA配列は、参照により本明細書に編入されているFisher,A.,1985 Nature 316:262において発表されている。この配列は、参照により本明細書に編入されているGenbank No.:K03455より得られる。
【0206】
プラスミドpBa.VLは、XbaIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされた抗DNA抗体のVL領域をコードするPCR断片を含む5.4kbプラスミドである。抗体由来の標的タンパク質は、B細胞を介する自己免疫疾患およびクロノタイプN細胞リンパ腫および白血病に対する免疫化および治療に有用である標的タンパク質の一例である。抗体から機能的可変領域をクローニングする一般的方法は、参照により本明細書に編入されているChaudhary,V.K.,et al.,1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1066において見出すことができる。
【0207】
プラスミドpOspA.Bは、pBabe.puroのBamHIおよびSalI部位にクローニングされた、ライム病の原因となるスピロヘータBorrelia burgdorferiのOspAおよびOspBをコードするコーディング領域を含む6.84kbのプラスミドである。本明細書に参照により編入されたWilliams,W.V.,et al.1992 DNA and Cell.Biol.11(3):207を参照。標的タンパク質をコードするこれらの病原遺伝子を含むプラスミドはライム病に対する免疫化に有用である。
【0208】
プラスミドpBa.Rb-GはBamHIにおいてpBabe.puroにクローニングされた狂犬病Gタンパク質をコードする、PCRで生産された断片を含む7.10kbプラスミドである。狂犬病Gタンパク質をコードするこの病原遺伝子を含むプラスミドは、狂犬病に対する免疫化に有用である。DNA配列は参照により本明細書に編入されているGenebank No.:M32751において開示されている。参照により本明細書に編入されているAnilionis,A.,et al.,1981 Nature 294:275も参照。
【0209】
プラスミドpBa.HPV-L1はBamHIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされたHPV鎖16,18,31,および33を含むヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のL1キャプシッドタンパク質をコードするPCR断片を含む6.80kbプラスミドである。このプラスミドは、HPV感染およびそれによってひきおこされる癌に対する免疫化に有用である。DNA配列は参照により本明細書に編入されているGenebank No.:M15781において開示されている。Howley,P.,1990 Fields Virology,Volume 2,Eds.:Channock,R.M.et al.Chapter 58:1625;およびShah,K.and P.Howley,1990 Fields Virology,Volume 2,Eds.:Channock,R.M.et al.Chapter 59をも参照。これら両者は参照により本明細書に編入されている。
【0210】
プラスミドpBa.HPV-L2はBamHIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされたHPV鎖16,18,31,および33を含むヒト乳頭腫ウイルス(HPV)のL2キャプシッドタンパク質をコードするPCR断片を含む6.80kbプラスミドである。このプラスミドはHPV感染およびそれによりひきおこされる癌に対する免疫化に有用である。このDNA配列は参照により本明細書に編入されているGenebank No.:M15781に開示されている。Howley,P.,1990 Fields Virology,Volume 2,Eds.:Channock,R.M.et al.Chapter 58:1625;およびShah,K.and P.Howley,1990 Fields Virology,Volume 2,Eds.:Channock,R.M.et al.Chapter 59をも参照。これら両者は参照により本明細書に編入されている。
【0211】
プラスミドpBa.MNp7はBamHI部位でpBabe.puroにクローニングされたHIV MN gag(コアタンパク質)配列を含むp7コーディニング領域をコードするPCR断片を含む5.24kbプラスミドである。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫および治療に有用である。参照により本明細書に編入されているReiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human.Retro.8:1549を参照。この配列は参照により本明細書に編入されているGenbank No.M17449より得られる。
【0212】
プラスミドpGA733-2は直腸結腸カルシノーマ細胞系SW948からpCDM8ベクター(参照により本明細書に編入されたB.and A.Aruffo,1987 Proc.Natl.Acad.Aci.USA 84:3365参照)のBstXI部位にクローニングされたGA733-2癌表面抗原を含む6.3kbプラスミドである。この癌関連標的タンパク質は、癌などの過剰増殖疾病に対する免疫化および治療に有用な標的タンパク質の一例である。GA733-2抗原は結腸癌に対する有用な標的抗原である。GA733抗原は、参照により本明細書に編入されたAzala,S.et al.,1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:3542-3546において報告されている。
【0213】
プラスミドpT4-pMV7は、EcoRI部位においてpMV7ベクターにクローニングされたヒトCD4受容体をコードするcDNAを含む11.5kbプラスミドである。CD4標的タンパク質はT細胞リンパ腫に対する免疫化および治療に有用である。プラスミドpT4-pMV7はAIDS Repository,Catalog No.158より得られる。
【0214】
プラスミドpDJGA733は、BamHI部位においてpBabe.puroにクローニングされたGA733癌表面抗原を含む5.1kbプラスミドである。この癌関連標的タンパク質は癌などの過剰増殖性疾病に対する免疫化および治療に有用である標的タンパク質の一例である。GA733抗原は、結腸癌に対する有用な標的抗原の一つである。
【0215】
プラスミドpBa.RASは最初にpZIPneoRASからサブクローニングされ、BamHI部位においてpBabe.puroにクローニングされたrasコーディング領域を含む6.8kbプラスミドである。ras標的タンパク質は細胞質内シグナル分子の一例である。rasをクローニングする方法は、参照により本明細書に編入されたWeinberg 1984 Mol.,Cell.Biol.4:1577において報告されている。Rasをコードするプラスミドは癌などの過剰増殖疾病、特に膀胱、筋肉、肺、脳および骨の癌に対する免疫化および治療に有用である。
【0216】
プラスミドpBa.MNp55はBamHI部位においてpBabe.puroにクローニングされたHIV MN gag前駆体(コアタンパク質)配列を含むp55コーディング領域をコードする、PCRで生産された断片を含む6.38kbプラスミドである。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。Reiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human.Retro.8:1549を参照。この配列は参照により本明細書に編入されているGenbank No.M17449より得られる。
【0217】
プラスミドpBa.MNp24は、BamHIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされた全長HIV MN gagコーディング配列を含むp24コーディング領域をコードするpMN-SF1鋳型よりPCRで生産された断片を含む。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。Reiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human.Retro.8:1549を参照。この配列は参照により本明細書に編入されているGenbank No.M17449より得られる。
【0218】
プラスミドpBa.MNp17は、BamHIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされたHIV MN gag(コアタンパク質)配列を含むp17コーディング領域をコードするPCRで生産された断片を含む5.5kbプラスミドである。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドは、HIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。Reiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human.Retro.8:1549を参照。この配列は参照により本明細書に編入されているGenbank No.M17449より得られる。
【0219】
プラスミドpBa.SIVenvはBamHIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされたpBR322におけるSTV239を含む構築物より増幅された2.71kbPCR断片を含む7.8kbプラスミドである。このプラスミドはthe AIDS Research and Reference Reagent Program:CatalogNo.210より得られる。
【0220】
プラスミドpcTSP/ATK.envはpcDNA1/neoベクターにサブクローニングされたHTLV-1/TSPおよび/ATK単離物由来の完全なHTLV包膜コーディング領域をコードするPCRで生産された断片を含む。プラスミドpcTSP/ATK.envは参照により本明細書に編入された1988 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:3599において報告されている。HTLVenv標的タンパク質はHTLVおよびT細胞リンパ腫に対する免疫化および治療に有用である。
【0221】
プラスミドpBa.MNgp160はpSP72におけるMNenvを含む構築物よりPCRで増幅され、BamHIおよびEcoRI部位においてpBabe.puroにクローニングされた断片を含む7.9kbプラスミドである。Reiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human.Retro.8:1549を参照。この配列は参照により本明細書に編入されているGenbank No.M17449より得られる。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドはHIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。
【0222】
プラスミドpC.MNp55は、MN単離物のgag領域より増幅され、pCEP4ベクターにクローニングされた1.4kbPCR断片を含む11.8kbプラスミドである。Reiz,M.S.,1992 AIDS Res.Human.Retro.8:1549を参照。この配列は参照により本明細書に編入されているGenbank No.M17449より得られる。
【0223】
プラスミドpCNeuはLTR-2/erbB-2構築物から切り出され、pCEP4ベクターにサブクローニングされたヒトneu癌遺伝子コーディング領域を含む3.8kbDNA断片を14.2kbプラスミドである。pC.Neuプラスミドは、参照により本明細書に編入されたDiFiore 1987 Science 237:178において報告されている。neu癌遺伝子標的タンパク質は、癌などの過剰増殖性疾病、特に結腸、胸、肺および脳の癌に対する免疫化および治療への標的タンパク質として有用な成長因子受容体の一例である。
【0224】
プラスミドpC.RASは、最初pZIPneoRASからサブクローニングされ、BamHIにおいてpCEP4にサブクローニングされたras癌遺伝子コーディング領域を含む1.4kbDNAを含む11.7kbプラスミドである。pC.RASプラスミドは、参照により本明細書に編入されたWeinberg 1984 Mol.,Cell.Biol.4:1577において報告されている。
【0225】
このras標的タンパク質は、細胞質内シグナル分子の一例である。Rasをコードするプラスミドは、癌などの過剰増殖性疾病、特に、膀胱、筋肉、肺、脳、および骨の癌などrasに関連する癌に対する免疫化および治療へ有用である。
【0226】
プラスミドpNLpuroはHIV gag/polおよびSV40-puro挿入を含む15kbプラスミドである。HIV標的タンパク質をコードするこれらのHIVウイルス遺伝子を含むプラスミドはHIV感染およびAIDSに対する免疫化および治療に有用である。
【0227】
実施例4
ワクチンを改良するために免疫応答を特異的に指示することが大切であろう。
この種類の免疫応答(Th1対Th2)は、感染性疾病、自己免疫疾病、およびアレルギーを含む様々な疾病モデルにおいて重要であることが報告されている。HIV感染性疾病に対する強く安定な細胞媒介免疫応答を誘導するために、免疫化と共に、免疫学的補助的手段(アジュバント)およびサイトカインなどの免疫改変剤の使用は細胞抗原反応を強化し、Th2からTh1タイプの抗原依存性免疫応答を指示し得るであろう。
【0228】
生体内での免疫応答を設計するために、ヒトサイトカイン遺伝子、IL-12遺伝子またはGM-CSF遺伝子が、HIV構築物と共に与えられた。HIV-1DNAワクチンとの、これらの遺伝子が共に与えられることによってひきおこされた免疫応答が検査され、細胞免疫の誘導、特に抗ウイルスCTL応答が研究された。
【0229】
IL-12およびGM-CSFにあたる遺伝子は、おのおのCMVプロモーターの制御下で発現ベクターにクローニングされた。ついで、遺伝子プラスミト発現カセットが、HIV-1のためのDNAワクチンと共にマウスに注射された。このワクチンカセットは上記あるいは、参照により本明細書に編入された、1996年5月6日に出願の米国連続番号08/642,045において言及されている。これらの遺伝的アジュバントカセットとの共免疫化の、抗原特異的免疫応答の大きさへの免疫学的効果が分析された。IL-12共免疫化では体液性応答のいくらかの強化が見られたのに対して、体液性応答の減少がIL-12との共投与で見られた。抗原特異的Tヘルパー細胞増殖における増加が、IL-12、またはGM-CEFとの共免疫化で見られた。重要なのは、直接CTL検定を用いるとき、IL-12の遺伝子の共投与でかなりのCTL誘導が観察されたことである。それに対して、これらの研究では、GM-CSFの遺伝子との共投与では、ほとんどいかなるCTL誘導への効果も観察されなかった。これらの結果は、特異的免疫応答の調製された生産のためのDNAワクチンの有効性を例証する。これらの結果は、また、分子特異的様式における基本的免疫学的機能を解明するためのこの研究方法の有効性をも例証する。
【0230】
材料および方法マウス
生後6−8週のBalb/c雌マウスがHarlan Spraque Dawley,Inc.,(Indianapolis,Indiana)より購入された。このマウスは制御された温度、光で囲まれた部屋に入れられた。彼らの世話はNational Institute of Healthおよびペンシルバニア大学のガイドラインに従って行われる。
【0231】
試薬
DNAワクチン処方pCMN160,pCGN160,pCGag/Polが調製された。IL-12およびGM-CSF遺伝子はクローニングされ、CMVプロモーターと共に発現ベクターに挿入された。組換えワクシニア(vMN462,vVK1,VV:gag,およびvSC8)はNIH AIDS Research and Reference Reagent Programより得られた。
【0232】
DNA接種
生体内でプラスミド由来遺伝子からの増加された生体内タンパク質発現をひきおこす簡易化されたDNA接種プロトコルが使用された。特異的に、BALB/cマウスの大腿四頭筋が0.25%ブピバカイン-HCl(Sigma,St.Louis)を含む溶液100μlと共に27内径の針を用いて注射された。二日後に、リン酸塩緩衝液中の50gのDNA構築物がブピバカイン注射と同じ筋肉領域に注射された。様々な遺伝子発現カセットの共投与は、注射前の既定プラスミド混合を含んだ。
【0233】
FACS解析
細胞(1×105)がFACS緩衝液(1% BSAおよび0.1%アジ化ナトリウムを含むPBS)で3回洗浄され、FITCおよび/またはPE結合モノクローン抗体とともに氷上で飽和条件で30分保温された。FACS緩衝液で3回洗浄された後、細胞はFACScan(Becton Dickinson)を用いて解析された。
【0234】
ELISA
0.1M炭酸-二炭酸緩衝液(pH9.5)中の2μg/mlのgp120またはgp41(Intracel Corp.,Cambridge,MA)が、以前に記載されたようにマイクロタイタープレートの穴に4℃で一晩吸着された。プレートはPBS-0.05% Tween-20で洗浄され、3% BSAを含むPBS-0.05% Tween-20で37℃で1時間ブロッキングされ、次に製造者推奨のように希釈されたHRP結合ヤギ抗マウスIgGまたはIgA(Sigma,ST Louis,MO)とともに保温された。プレートは洗浄され、TM blue緩衝液(Sigma)で発色された。450nm吸光が、Dynatech MR5000プレート読取装置で読みとられた。
【0235】
T細胞増殖試験
回収されたマウス脾臓由来のリンパ球が調製された。単離細胞懸濁液は、1×106細胞/mLの濃度に再懸濁された。1×105細胞を含む100μL分画が直ちに96穴マイクロタイター平底プレートの各穴に加えられた。10μlのタンパク質が20μg/mLで3つ独立に穴に加えられた。細胞は5% CO2で37℃3日間保温された。1μCiのトリチウム化チミジンが各穴に加えられ、細胞は37℃で12-18時間保温された。プレートから細胞が回収され、取り込まれたチミジンがベータプレートリーダー(Wallac,Turku,Finland)で測定された。細胞が健康であることを確認するため、10g/mlのPHAがポリクローン刺激性の正の対照として用いられた。
【0236】
細胞傷害性Tリンパ球試験
5時間のクロミウム51放出CTL試験が行われた。脾臓からリンパ球が回収され、赤血球の除去、および新鮮な培地による数回の洗浄によってエフェクター細胞として調製された。3×106p815細胞を37℃16時間感染させることによって、ワクシニアに感染した標的が調製された。標的細胞は100μCi/mlのNa251CrO4で90分間標識され、刺激を受けた脾臓細胞を37℃で4-6時間保温するために用いられた。CTLは、エフェクター:標的(E:T)比50:1から12.5:1で試験された。上清が回収され、LKBガンマ計数器で計測された。特異的溶解の割合は、式: 100×(実験上の放出-自発放出)/(最大放出-自発放出)で決定された。最大放出は、1% Triton X-100を含む培地中での標的細胞の溶解によって決定された。自発放出の計数値が最大放出の20%以上である場合は、試験は無効とされた。
【0237】
結果マウス脾臓の表現型
共接種の後、個々の実験集団から回収された脾臓は外見上異なることが観察された。従って、全ての免疫化された動物から回収された脾臓は計量され、視覚的に検査された。それらの動物の脾臓重量を図1Aに示す。対照の単一の調剤を注射されたマウスの脾臓が非免疫化対照マウスの脾臓と同様の重量(約100mg)だったのに対し、Gag/Pol+IL-12遺伝子を注射されたマウスの脾臓は対照の脾臓の3倍もの重量であった。一方、Gag/Pol+GM-CSFで免疫化されたマウスの脾臓は肥大していなかった。注目すべきは、Gag/Polのみ、またはIL-12のみで免疫化されたものの脾臓が有意に肥大しなかったことである。抗原およびIL-12遺伝子カセットが共注射された時にのみ脾臓肥大が生じることから、これが両方の遺伝子産物の複合効果であることが示唆される。さらに、図1Bに示すように、Gag/Pol+IL-12の脾臓由来のリンパ球数は、対照の脾臓由来の数の3倍以上である。ここでも、Gag/Polのみ、またはIL-12のみで免疫化されたマウスのリンパ球数は、対照の脾臓細胞数以上に有意に上昇することはなかった。代表的な脾臓の写真を図2に示す。
【0238】
重量と一致して、抗原+IL-12の脾臓は他の脾臓の数倍大きいことが観察された。
IL-12のp35鎖が多くの型の細胞で構成的に発現されていることが以前に報告されている。即ち、p40一本鎖およびDNA免疫原のみが、これらの効果の原因であり得る。これを調べるために、2つのIL-12ヘテロ二量体遺伝子(p35およびp40)の各々がGag/Polとともに共投与された。図3に示すように、どちらの場合にも脾臓の肥大は観察されなかった。これらのデータから、DNAワクチンおよびp35とp40 IL-12遺伝子との共注射によって、脾臓が肥大し、脾臓細胞数がそれに対応して増大することが示唆される。これらのデータにより、in vivoで複数のプラスミドが同一の細胞に入り、p35鎖、p40鎖および特異的な抗原の3組成物全ての転写が同調して起こり、観察された生物的変化をもたらしたことが支持される。
【0239】
FACS解析
肥大した脾臓の細胞内組成の特性をさらに調べるために、FACS解析が行われた。表3に、CD3に対する抗体と、B220、CD4、およびCD8に対する抗体による脾臓細胞の二重染色によるFACSの結果を示す。示されたように、エンベロープ+IL-12またはGag/Pol+IL-12構築物で免疫化されたグループでは、対照の非免疫化脾臓中のB細胞の割合(25.43%)に比べて、B220陽性B細胞の割合が僅かに減少する(それぞれ17.46%、21.62%)ことが観察された。さらに、エンベロープ+IL-12またはGag/Pol+IL-12構築物で免疫化されたグループでは、対照の非免疫化グループ中のCD8+T細胞の割合(13.69%)に比べて、CD8+T細胞の割合がある程度上昇する(それぞれ21.72%、16.88%)ことが観察された。
【0240】
体液性応答
免疫化されたマウス由来の抗血清が回収され、HIV-1抗原に対する特異的な抗体応答についてELISA解析された。図4に、免疫後28日目に回収された試料のELISAの結果を示す。1:100の希釈では、pCEnv+pCGM-CSFによる免疫化グループ由来の血清は、pCEnvのみによる免疫化グループよりも大きいHIV-1 gp120タンパク質に対する抗体応答を示した。一方、pCEnv+pCIL-12による免疫化グループは、同一の期間有意に低い体液性応答を示した。複数回行われた実験において、IL-12は大体において特異的抗体応答を10-20%抑圧し、GM-CSFは見かけ上逆の効果を有した。この体液性効果は、FACS解析で同定された脾臓細胞中のB細胞数の変化の観察結果に関連し得る。
【0241】
T細胞増殖
Tヘルパーリンパ球の増殖の活性化は、抗原により活性化されるB細胞の増殖を介する体液性免疫応答と、CD8+細胞傷害性Tリンパ球の増殖を介する細胞性免疫応答の両者を誘導するために重要な役割をしている。DNA免疫化後2週間で、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離された。これらの細胞は次に上に記載したようにT細胞増殖について試験された。図5に、HIV-1 gag/pol(pCGag/Pol)をコードするDNAワクチンで免疫化されたマウスと、pCGag/PolとIL-12またはGM-CSFで共免疫化されたマウスの増殖試験の結果を示す。レクチンPHAの組換えp55タンパク質20g/mlが、ポリクローン刺激性の正の対照として用いられた。示したように、無処理のマウス脾臓由来のグループからは増殖のバックグラウンド値が低いことが観察され(1:2希釈で活性化指数1.2)、pCGag/Polのみで免疫化されたグループからは中程度の増殖が観察された(1:2希釈で活性化指数9.2)。pCGag/PolとIL-12遺伝子で共免疫化されたグループおよび、pCGag/PolとGM-CSF遺伝子で共免疫化されたグループからは、増殖の劇的な加速が観察された(それぞれ活性化指数17.1、15.6)。
【0242】
in vitro刺激を行わないCTL試験
細胞活性の増強をさらに調査するために、直接的CTL試験が行われた。CTL試験は、脾臓細胞にin vitro刺激を誘導せずに、免疫化されたマウスから回収した脾臓に対して上に記載したように行われた。試験は脾臓回収の日に、特定のワクシニア感染標的および不特定のワクシニア感染標的からのクロミウムの放出を測定することによって行われた。Gag/Pol+IL-12で免疫化された脾臓細胞では、特異的CTL活性の劇的な上昇が観察された(図6)。IL-12遺伝子カセットのみで免疫化された対照グループでは、標的細胞の特異的な溶解はバックグラウンド値以上には起きなかった。さらに、エフェクター:標的比50:1のGag/Polのみの免疫化では、特異的な溶解レベルは低かった(3%)。対照的に、エフェクター:標的比50:1のGag/Pol+IL-12共投与試料では62%の特異的な溶解が観察され、エフェクター:標的比12.5:1では9%に下がった。一方、Gag/PolおよびGM-CSFプラスミドで免疫化されたものでは、検出可能なCTL活性は見られなかった。同様な結果が、HIV-1エンベロープ構築物とサイトカイン遺伝子で共免疫化されたマウスで観察された(図7)。
【0243】
エンベロープのみで免疫化されたグループ、およびエンベロープ+GM-CSFで免疫化されたグループでは、それぞれ4%と1%という低いレベルの特異的CTLが見られた。一方、エンベロープ+IL-12グループでは、59%という劇的なCTL活性の増強が見られた。Gag/Polおよびエンベロープの共免疫化の両者において(図6および7)、無関係な抗原発現ワクシニアを用いて調製された標的に対して同一のCTL試験が行われ、有意なCTL溶解は起こらなかった。即ち、12のDNA免疫化の結果は、抗原特異的であり、NK活性のためではない。
【0244】
考察
DNAの接種を用いたin vivoでの免疫応答の誘導は、種々の治療標的および導入法を用いて報告されている。
【0245】
細胞を介する免疫反応の誘導は、多くのワクチンにとって重要な特徴である。
例えば自然界での感染において、抗HIV-1 CTL応答は非常に初期に見られ、ウィルスの設定値の確立と一時的に相関するように見える。CTL T細胞はウィルスに感染した細胞を標的として破壊することで、ウィルスの排除に重要な役割を担っている。特異的CTL応答の誘導によりウィルスタンパク質に対して免疫応答を行うことによって、ウィルス中の複数の抗原性標的に対するより広範な免疫応答の誘導が可能になると考えられる。ウィルスに対するCTL活性は、AIDS患者に比べて、健康な感染者においてより良く測定され、疾患の病原が増大するに従って特異的CTLが減少することが報告され、好ましい臨床状態とCTL応答が関係付けられている。この観点から、高い特異的CTLと低い抗体応答を有するカニクイザルはキメラSIV/HIV(SHIV)の攻撃から守られ、低い特異的CTLと高い抗体応答を有する動物はウィルスの複製は制御したが、その防御は完全ではなかった。特異的CTL応答は、HIV感染の無症候期の維持に貢献していると考えられる。即ち、DNA免疫化によるin vivoでの強いHIV-1特異的CTLの誘導は、HIV感染の進行から究極的に宿主を防御するために重要な役割を果たし得る。
【0246】
IL-12およびGM-CSF遺伝子を遺伝的アジュバントとして共導入することによるHIV-1のDNAワクチンにより免疫応答(特にCTL応答)が増強される可能性が調査された。IL-12およびGM-CSF遺伝子が発現ベクターにクローン化され、HIV-1のDNAワクチンカセットとともにマウスに注射された。IL-12をコードするプラスミドとHIV-1のDNAワクチンとの共免疫化により、抗原特異的CTL応答の劇的な上昇が見られた。GM-CSFの共導入によって見かけ上体液性応答が上昇し、IL-12の共導入によって体液性応答が約20%抑制された。
【0247】
サイトカイン遺伝的アジュバントとHIV-1 DNAワクチンの共導入には、多くの有意な免疫学的効果が存在する。第一に、DNAワクチンとIL-12遺伝子を注射されたマウス由来の脾臓の大きさおよび重量は、対照の脾臓のおよそ3倍であった。
【0248】
さらに、それらの脾臓由来の白血球数は対照の脾臓の2倍以上であった。これらの結果は、組換えIL-12のマウスへのin vivo投与により脾臓肥大が生じるという以前の発見と一致する。Carらは、野生型のマウスにおいてIL-12注射によって脾臓重量が5倍上昇することを発見した。野生型のマウスにおいてIL-12により誘導されるこれらの変化は、IFN-γの血清レベルの顕著な上昇と関係を有する。しかし、IL-12の投与はまた、IFN-γ欠失マウスにおいて脾臓の大きさの質的に同様な上昇(正常の2倍)を誘導する。これらの初期の研究は、IL-12の注射に伴う脾臓肥大を報告している。これらの公開された研究と同程度のレベルの脾臓肥大を誘導するためには、少量のIL-12遺伝子が組換えIL-12タンパク質とともにin vivo導入される。マウスへの組換えIL-12のin vivo注射は、注射されたマウスに対して体重の減少や死亡などのある程度の毒性効果を有し得ることが報告されている。注目すべきは、複数のIL-12遺伝子の共投与によって脾臓が肥大するが、注射されたマウスにはいかなる悪性の変化も観察されないことである。このことから、何らかの天然のプロセシングおよびプラスミドの接種を介した持続性の低レベルの投与が臨床的に有益であることが示唆される。有意な全身性免疫応答を誘導するための毒性の無いDNA導入法が、ここで示される。
【0249】
脾臓肥大の誘導以外に、Th2からTh1の特異的免疫応答が、DNAワクチンとIL-12遺伝子の共投与によって操作され得る。この観点から、IL-12遺伝子とDNAワクチンの共導入により、特異的抗体応答の減少が起こった。一方、GM-CSF遺伝子の共注射により、特異的抗体応答の増強が見られた。これらの結果は、IL-12がTh2からTh1型の免疫応答を引き起こす主要なサイトカインであるという以前の報告と一致する。これらの抗体の結果はさらに、免疫原(HIV-1エンベロープまたはGag/Pol)とIL-12遺伝子で免疫化されたマウスでB220+ B細胞の割合が減少するという脾臓細胞のFACSデータと一致する。さらに、サイトカインの共導入によるT細胞の有意な抗原特異的刺激が観察された。抗原特異的な増殖は、全サイトカインの特徴と考えられるCD4ヘルパーT細胞誘導の良い指標である。
【0250】
DNA共免疫化に対するT細胞応答をさらに解明するため、回収された脾臓細胞をin vitroで刺激しない直接的CTL試験が行われた。CTL応答の増強は、DNA免疫原がTh2からTh1型の免疫応答を引き起こす能力を示す主要な証拠である。DNAワクチンとIL-12遺伝子で共免疫化したグループでは、特異的CTL応答の劇的な上昇が観察された。要約すると、免疫原およびIL-12(Th1型免疫応答を引き起こす主要なサイトカイン)をコードする遺伝子がin vivoで共投与され、T細胞増殖およびCTL試験により測定される細胞性免疫応答を増強することが示された。
【0251】
免疫応答の型および方向の指示および操作(例えば応答をTh2型からTh1型にすること)に資するために、免疫学的に重要な分子の遺伝子を共導入することは、臨床的により有効な免疫応答を誘発するために用いられ得る。IL-12遺伝子をDNA免疫原とともに共投与することにより、体液性応答はある程度抑制され、CTL応答は劇的に上昇した。さらに、組換えIL-12タンパク質をマウスにin vivo投与した場合の特徴である脾臓肥大が誘導された。即ち、より効果的なワクチンの新規産成のための、また免疫機能の機構の分子解析のための分析法としてのin vivoでのDNA導入の威力が示された。
【0252】
実施例5
in vivoでの免疫応答をさらに制御するために、HIV-1 DNA免疫原構築物と広範なサイトカイン遺伝子の共導入による免疫応答の誘導および制御が調査された。
【0253】
サイトカイン遺伝子の共導入が選択されたのは、免疫においてサイトカインが主要な制御および信号伝達の役割を果たすためである。サイトカインは免疫系細胞以外にも多くの細胞によって産成され放出されるが、リンパ球により産成されるサイトカインは免疫系細胞を制御する役割を有するため特に興味深い。例えば、IL-2、IFN-γ、およびIL-12の存在はTh0前駆細胞を活性化してTh1炎症性T細胞にする。一方、IL-4、IL-5、またはIL-10の放出により、Th0前駆細胞は攻撃性Th2ヘルパー細胞になる。さらに、IL-1、TNF-αおよびTNF-βのような炎症誘発性サイトカインは炎症性応答の開始に積極的に関与する。
【0254】
炎症誘発性サイトカイン(IL-1α、TNF-αおよびTNF-β)、Th1サイトカイン(IL-2、IL-15、およびIL-18)、およびTh2サイトカイン(IL-4、IL-5、およびIL-10)が調査された。特に、これらの炎症誘発性、Th1、およびTh2サイトカインはそれぞれサイトメガロウィルス(CMV)プロモーターの制御下にある発現ベクターにクローン化された。これらの遺伝子プラスミド発現カセットは次に、以前に記載されたHIV-1 DNAワクチンカセットとともにマウスに注射された。これらの遺伝的アジュバントカセットとの共注射が抗原特異的免疫応答の方向または強度に与える免疫的効果が解析された。
【0255】
抗原特異的免疫応答は、サイトカイン遺伝子とDNA免疫原カセットとの共注射によって調節され得る。より一般的には、免疫学的に重要な遺伝子を次世代DNAワクチン生成の担体として共導入し、増強された臨床効率および有用性を有し得るこの方法の威力が示される。
【0256】
材料と方法
DNAプラスミド
HIV-1エンベロープタンパク質を発現するDNAワクチン構築物(pCEnv)およびgag/polタンパク質を発現するDNAワクチン構築物(pCGag/Pol)が、標準的な方法および直ちに入手可能な原材料を用いて調製された。ヒトIL-1α(IL-2、IL-5、IL-10、IL-15、TNF-α、TNF-β、およびマウスIL-4およびIL-18が、標準的な方法および直ちに入手可能な原材料を用いてpCDNA3発現ベクター(Invitrogen,Inc.,San Diego,CA)にクローン化された。ヒトIL-1α、IL-2、IL-5、IL-10、IL-15、TNF-αおよびTNF-βは、マウス細胞中で活性を有することが報告されている。プラスミドDNAは細菌中で生産され、Qiagen Maxi Prepキット(Qiagen,Santa Clara,CA)を用いて精製された。
【0257】
試薬および細胞系列
ヒト横紋筋肉腫(RD)およびマウス肥満細胞腫p815細胞系列がATCC(Rockville,MD)から入手された。HIV-1エンベロープ(vMN462)、gag/pol(vVK1)、およびβ-ガラクトシダーゼ(vSC8)を発現する組換えワクシニアが、NIH AIDS Research and Refence Reagent Programから入手された。HIV-1エンベロープペプチド(RIHIGPGRAFYTTKN)が標準的な方法および直ちに入手可能な原材料を用いて合成された。
【0258】
組換えPr55またはgp120タンパク質はQuality Biological(Gaithersburg,MD)から入手された。組換えp24タンパク質はIntracell(Cambridge,MA)から購入された。
IL-1α、IL-2、IL-5、IL-10、IL-15、TNF-αおよびTNF-βに対する抗体は、R&D Systems(Minneapolis,MN)から入手された。
【0259】
サイトカイン遺伝子構築物の発現
サイトカイン遺伝子構築物の発現は、RD細胞へのトランスフェクション後に免疫沈降またはサイトカインELISAによって確認された。細胞はPBSで2回洗浄され、血清、メチオニンおよびシステインを含まないDMEM中で1時間飢餓状態におかれ、次に200μCi/ml(1200Ci/mmole)の35Sタンパク質標識反応液(NEN/DuPont)で標識された。標識された細胞は0.5mlのRIPA緩衝液(50mM Tris-HCl(pH7.6);150mM NaCl;0.2% Triton X-100;0.2%デオキシコール酸;0.1%SDKs;1mM PMSF)中で氷上で溶解され、次に1分15000rpmで遠心され浄化された。浄化された溶解液は個々の抗体(R&D System)とともに氷上で90分保温された。プロテインAセファロースが抗原-抗体複合体に加えられ、4℃で90分振とうして混合された。BSAを含む高塩濃度の緩衝液で念入りに洗浄された後、タンパク質沈殿物は50μlの1×試料緩衝液に再懸濁され、100℃で3-5分熱された。タンパク質試料の一部がSDS 12%-PAGEによって解析された。蛍光写真のために、ゲルは10%グリセロールを含む1Mサリチル酸ナトリウムに15分浸され、乾燥され、コダックX-omat-ARフィルムを用いて放射線写真を撮影された。トランスフェクションしたRD細胞由来の上清は回収され、サイトカインELISAキット(Pharmingen,San Diego,CAおよびR&D System)を用いて発現を調べられた。
【0260】
マウスへのDNA接種
生後6から8週齢のbalb/cマウス(Harlan Sprague Dawley,Inc.,Indianapolis,IN)の四頭筋に、0.25%ブピバカイン-HClを含むりん酸塩緩衝液(PBS)中に調製された目的の各DNA構築物50μgが注射された。種々の遺伝子発現カセットとの共投与には、注射に先だって選択されたプラスミドを総量100μg/注射で混合することが含まれた。
【0261】
ELISA
0.1M炭酸-二炭酸緩衝液(pH9.5)中に2μg/ml濃度で希釈されたp24またはgp120タンパク質50μlが、マイクロタイタープレートの穴に4℃一晩吸着された。プレートはPBS-0.05% Tween-20で洗浄され、3% BSAを含むPBS-0.05% Tween-20で37℃で1時間ブロッキングされた。マウス抗血清が0.05% Tween-20で希釈され、37℃1時間保温され、次にHRP結合ヤギ抗マウスIgG(Sigma,ST Louis,MO)とともに保温された。プレートは洗浄され、3'3'5'5'TMB緩衝液(Sigma)で発色された。プレートの450nm吸光が、Dynatech MR5000プレート読取装置で読みとられた。
【0262】
Tヘルパー細胞増殖試験
脾臓からリンパ球が回収され、赤血球の除去、および新鮮な培地による数回の洗浄によってエフェクター細胞として調製された。単離細胞懸濁液は、5×106細胞/mLの濃度に再懸濁された。5×105細胞を含む100μL分画が直ちに96穴マイクロタイター平底プレートの各穴に加えられた。組換えPr55またはgp120タンパク質が最終濃度5μg/mLおよび1μg/mLで3つ独立に穴に加えられた。細胞は5%CO2で37℃3日間保温された。1μCiのトリチウム化チミジンが各穴に加えられ、細胞は37℃で12-18時間保温された。プレートから細胞が回収され、取り込まれたトリチウム化チミジンの量がBeta Plate reader(Wallac,Turku,Finland)で測定された。活性化指数(SI)は式: 活性化指数(SI)=計測カウント/自発カウントで決定された。自発カウントウエルは、非特異的タンパク質の対照となる10%ウシ胎児血清を含む。さらに、pCEnvまたは対照の免疫化動物は通常、gp120タンパク質に対してSI値1である。細胞が健康であることを確認するため、PHAまたはCon A(Sigma)がポリクローン刺激性の正の対照として用いられた。PHAまたはCon Aの対照試料は、20-40のSIを有する。
【0263】
細胞傷害性Tリンパ球アッセイ
ワクシニアに感染した標的、またはペプチドで処理した標的を用いて、5時間の51CR放出CTL試験が行われた。アッセイは、in vitroエフェクター刺激存在下および非存在下の両者について行われた。in vitro刺激アッセイでは、エフェクターは特定のワクシニア(エンベロープにはvMN462、gag/polにはvVK1)に感染した細胞による刺激を受け、0.1%グルタルアルデヒド、または濃度1mMのエンベロープ特異的ペプチド(RIHIGPGRAFYTTKN)で5×106細胞/mlでCTL培地中で4-5日間固定された。CTL培地は、10%ウシ胎児血清1640(Gibco-BRL)および10% RAT-T-STIM without Con A(Becton Dickinson Labware,Bedford,MA)を含む、1:1のIscove's Modified Dulbecco培地(Gibco-BRL,Grand Island,NY)およびHank's Balanced Salt溶液(Gibco-BRL)からなる。3×106p815細胞を10から20の複合感染(MOI)で37℃で5から12時間感染させることによって、ワクシニアに感染した標的が調製された。ペプチドで処理した標的は、p815細胞を1μM濃度のペプチドと保温することによって調製された。標準的なクロミウム51放出CTL試験が行われ、標的細胞は100μCi/mlのNa251CrO4で60から120分間標識され、刺激を受けたエフェクター脾臓細胞とともに37℃で4-6時間保温するために用いられた。CTLは、エフェクター:標的(E:T)比50:1から12.5:1で決定された。上清が回収され、LKB CliniGammaガンマ計数器で計測された。特異的溶解の割合は、式: 100×(実験放出-自発放出)/(最大放出-自発放出)で決定された。最大放出は、1% Triton X-100を含む培地中での標的細胞の溶解によって決定された。自発放出の計数値が最大放出の20%以上である場合は、試験は無効とされた。
【0264】
CD8+ T細胞の補体溶解
抗CD8モノクローン抗体(Pharmingen,San Diego,CA)処理によってCD8+ T細胞が脾臓細胞から単離され、次にウサギ補体(Sigma)とともに37℃で45分保温された。
【0265】
結果
サイトカイン遺伝子カセットの発現
サイトカイン遺伝子は各々pCDNA3プラスミド発現ベクターにクローン化された(図10)。これらのサイトカイン発現カセットは、挿入断片全長のシークエンス解析によって確認された(5'側と3'側の両方)。さらに材料と方法に記載されたように、これらのサイトカイン遺伝子はRD細胞へトランスフェクションされ、特定の抗体を用いた免疫沈降またはサイトカインELISAによって発現を確認された。
【0266】
サイトカイン遺伝子の共注射に伴う体液性応答
pCGag/Pol免疫化マウスの抗血清が回収され、ELISAによってHIV-1抗原に対する特異的抗体応答について解析された。
【0267】
これらの実験では、50μgの各DNAが0日目および14日目に筋肉内に共投与された。注射の前および28日後に、マウス(4匹/グループ)から血清が回収された。希釈シリーズは1:100、1:200、1:400、1:800、1:1600、および1:3200であった。ELISAの最大バックグラウンド吸光度は0.015以下であった。これらの実験は繰り返され、同様の結果であった。データに示すように、これらの免疫化グループの最終抗体力価はELISAでp24gagタンパク質、およびgp120エンベロープタンパク質に対して決定された。以下のデータは、DNA免疫化後28日目に回収された血清由来のgag/pol特異的抗体力価について得られた。
【0268】
【表1】

【0269】
最終力価の最も高い値は、IL-2、IL-4、IL-5、およびIL-18共注射グループ由来の血清で観察された。pCGag/polのみで免疫化されたグループに対する体液性応答の劇的な増強は、さらにIL-1α、TNF-α、TNF-β、およびIL-10共注射グループで観察された。同様の結果がpCEnvで免疫化されたグループでも見られた。
【0270】
【表2】

【0271】
ここでも、最終力価の最も高い値は、IL-4、IL-5、およびIL-18共注射グループ由来の血清で観察された。
【0272】
Tヘルパー細胞の生産
Tヘルパーリンパ球の活性化および増殖は、B細胞を介した体液性免疫応答およびCD8+細胞傷害性T細胞を介した細胞性免疫応答の両者の誘導において重要な役割を果たす。マウスは2週間おきに2回のDNA免疫化を受けた(各50μg)。追加注射の1週間後にマウスは屠殺され、脾臓が回収され、リンパ球が単離されてTヘルパー細胞増殖を検査された。
【0273】
炎症誘発性サイトカインの共注射
pCEnvまたはpCGag/polと炎症誘発性サイトカインIL-1α、TNF-αおよびTNF-βを共注射されたマウス由来の脾臓を用いて増殖試験が行われた。
【0274】
炎症誘発性サイトカインIL-1α、TNF-αおよびTNF-βの共注射に伴うTヘルパー細胞増殖応答を評価する実験では、方法は以下の通りであった。pCEnv(50μg)による最初のDNA免疫化の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて組換えgp120タンパク質(最終濃度5および1μg/ml)に対して試験された。pCGag/pol(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されてPr55タンパク質(最終濃度5および1μg/ml)に対するT細胞増殖性応答を検査された。
【0275】
これらの実験は2回繰り返され、結果は同様であった。以下のデータが得られた。
【0276】
【表3】

【0277】
これらのデータから、対照グループでは増殖はバックグラウンド値であり、pCEnvまたはpCGag/polのみで免疫化されたグループでは中程度であることが示される。IL-1αを共注射されたグループではpCEnvまたはpCGag/polの免疫化ではTヘルパー細胞増殖性応答は上昇しなかったが、pCEnv+TNF-βを共注射されたグループでは、5μg/mlのgp120タンパク質濃度で活性化指数3.1というTヘルパー細胞増殖の有意な増強が見られた。同様に、pCGag/pol+TNF-βでは5μg/mlのPr55タンパク質濃度で活性化指数4.0という結果が得られた。pCEnv+TNF-αおよびpCGag/pol+TNF-αの共注射では、さらに高レベルのTヘルパー細胞増殖が観察された(5μg/mlの各タンパク質濃度でそれぞれ活性化指数6.1および12.4)。
【0278】
Th1サイトカイン共注射
Th1サイトカインIL-2、IL-15およびIL-18の共注射の効果が調査された。pCEnv+IL-18およびpCGag/pol+IL-18共注射グループはそれぞれ活性化指数4.4および10.0であった(5μg/mlの各タンパク質濃度)。INF-γ誘導性Th1サイトカインIL-12およびIL-18の共注射に伴うTヘルパー細胞増殖応答を評価する実験では、方法は以下の通りであった。pCEnv(50μg)による最初のDNA免疫化の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて組換えgp120タンパク質(最終濃度5および1μg/ml)に対して試験された。pCGag/pol(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されてPr55タンパク質(最終濃度5および1μg/ml)に対するT細胞増殖性応答を検査された。これらの実験は2回繰り返され、結果は同様であった。以下のデータが得られた。
【0279】
【表4】

【0280】
さらにpCEnv+IL-2およびpCGag/pol+IL-2の共注射では、それぞれ活性化指数6.0および12.0という結果が得られた(5μg/mlの各タンパク質濃度)。しかしIL-15の共導入では、より緩やかにTヘルパー細胞増殖が上昇した。IL-2受容体依存性Th1サイトカインIL-2およびIL-15の共注射に伴うTヘルパー細胞増殖応答を評価する実験では、方法は以下の通りであった。pCEnv(50μg)による最初のDNA免疫化の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて組換えgp120タンパク質(最終濃度5および1μg/ml)に対して試験された。pCGag/pol(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されてPr55タンパク質(最終濃度5および1μg/ml)に対するT細胞増殖性応答を検査された。これらの実験は2回繰り返され、結果は同様であった。以下のデータが得られた。
【0281】
【表5】

【0282】
Th2サイトカイン共注射
炎症誘発性およびTh1サイトカインの試験に加えて、Th2サイトカインIL-4、IL-55およびIL-10と、pCEnvおよびpCGag/polとの共注射の効果が同様に調査された。pCEnv+IL-18およびpCGag/polのみを注射されたグループに比べて、IL-4およびIL-5の共注射グループはそれぞれ中程度のTヘルパー細胞の増殖を示した。Th2サイトカインIL-5およびIL-10の共注射に伴うTヘルパー細胞増殖応答を評価する実験では、方法は以下の通りであった。pCEnv(50μg)による最初のDNA免疫化の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて組換えgp120タンパク質(最終濃度5および1μg/ml)に対して試験された。pCGag/pol(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されてPr55タンパク質(最終濃度5および1μg/ml)に対するT細胞増殖性応答を検査された。これらの実験は2回繰り返され、結果は同様であった。以下のデータが得られた。
【0283】
【表6】

【0284】
IL-10の共導入では、それぞれ活性化指数4.5および8.0という、より劇的なTヘルパー細胞増殖の増強が起きた(5μg/mlの各タンパク質濃度)。
【0285】
細胞傷害性Tリンパ球の生産
細胞性免疫の増強をさらに調査するために、pCEnvおよびpCGag/polで免疫化されたマウスの脾臓を用いて細胞傷害性Tリンパ球(CTL)試験が行われた。マウスは2週間おきに2回のDNA免疫化を受けた(各50μg)。追加注射の1週間後にマウスは屠殺され、脾臓が回収され、リンパ球が単離されてCTL応答を検査された。試験は、特異的および非特異的ワクシニアに感染した標的、またはペプチドで処理した標的からのクロミウムの放出の測定に先だつエフェクター脾臓細胞に対する刺激の存在下および非存在下の両者について行われた。標的の特異的溶解を測定するために、非特異的標的(vSC8感染)の溶解度が、特異的(vMN462またはvVK1感染)標的の溶解度から差し引かれた。
【0286】
エフェクターをin vitro刺激した場合のCTL応答
細胞傷害性Tリンパ球応答を評価するために、種々のサイトカインの共注射後にデータが得られた。以下のデータが得られた。
【0287】
【表7】

【0288】
炎症誘発性サイトカインIL-1α、TNF-αおよびTNF-βの共注射に伴う細胞傷害性Tリンパ球応答を評価する実験では、pCGag/pol(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて非特異的(vSC8)および特異的(vVK1感染)ワクシニアに感染した標的細胞を用いてCTL応答について検査された。pCEnv(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて非特異的標的(vSC8)および特異的(vMN462)ワクシニアに感染した標的細胞を用いてCTL応答について検査された。これらの実験は2回繰り返され、結果は同様であった。
【0289】
INF-γ誘導性Th1サイトカイン、IL-12およびIL-18の共注射に伴うTヘルパー細胞増殖応答を評価する実験では、pCGag/pol(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて非特異的(vSC8)および特異的(vVK1)ワクシニアに感染した標的細胞を用いてCTL応答について検査された。pCEnv(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて非特異的標的(vSC8)および特異的(vMN462)ワクシニアに感染した標的細胞を用いてCTL応答について検査された。これらの実験は2回繰り返され、結果は同様であった。
【0290】
IL-2受容体依存性Th1サイトカイン、IL-2およびIL-15の共注射に伴うTヘルパー細胞増殖応答を評価する実験では、pCGag/pol(50pg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて非特異的(vSC8)および特異的(vVK1)ワクシニアに感染した標的細胞を用いてCTL応答について検査された。pCEnv(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて非特異的標的(vSC8)および特異的(vMN462)ワクシニアに感染した標的細胞を用いてCTL応答について検査された。これらの実験は2回繰り返され、結果は同様であった。
【0291】
Th2サイトカイン、IL-5およびIL-10の共注射に伴うTヘルパー細胞増殖応答を評価する実験では、pCGag/pol(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて非特異的(vSC8)および特異的(vVK1感染)ワクシニアに感染した標的細胞を用いてCTL応答について検査された。pCEnv(50μg)による最初のDNA共注射の2週間後、マウス(4匹/グループ)は同量で追加刺激された。さらに1週間後、免疫化マウスから脾臓が回収され、リンパ球が単離されて非特異的標的(vSC8)および特異的(vMN462)ワクシニアに感染した標的細胞を用いてCTL応答について検査された。これらの実験は2回繰り返され、結果は同様であった。
【0292】
炎症誘発性サイトカインの共注射
炎症誘発性サイトカイン、IL-1α、TNF-αおよびTNF-βとpCEnvまたはpCGag/polとの共注射を受けたマウスのCTL試験のデータについては、特定の細胞破壊の一定のバックグラウンド値が対照動物でも観察され、pCEnvのみで免疫化した動物は低レベルのCTL応答を示した。pCEnv+IL-1αまたはpCEnv+TNF-βの共注射によって、CTL活性は中程度上昇した。一方、pCEnv+TNF-αの共注射に伴って、ワクシニア(vMN462)に感染した、HIV-1を発現する標的細胞の特異的な破壊が観察された。エフェクター:標的(E:T)比50:1で、pCEnv+TNF-αの共注射に伴って、標的細胞の30%以上の特異的溶解が観察された。同様に、pCGag/pol+TNF-αで免疫化されたマウスでは、抗原特異的CTLによる、ワクシニア(vMN462)に感染した、HIV-1 gag/polを発現する標的細胞の溶解の有意な増強が観察され(E:T比50:1で29%溶解)、pCGag/pol+IL-1αまたはpCGag/pol+TNF-βの共注射によるCTL活性の上昇は小さかった。
【0293】
Th1サイトカインの共注射
Th1サイトカインをDNAワクチン構築物と共導入する効果が調査された。Th1サイトカインIL-12およびIL-18により免疫化されたマウス、およびpCEnvにより免疫化されたマウスのCTL試験のデータについては、IL-12の共投与とは異なり、IL-18共注射によってはCTL応答がより緩やかに上昇した。IL-2の共投与によっても、CTL応答は中程度上昇した。一方、pCEnv+IL-15による免疫化に伴って、46%特異的溶解という劇的なCTL応答の上昇が観察された。同様に、pCGag/pol+IL-15を注射されたマウスでは、抗原特異的溶解の有意な増強(30%)が起きた。
【0294】
Th2サイトカインの共注射
炎症誘発性サイトカインおよびTh1サイトカインの共注射の効果の調査に加えて、Th2サイトカインIL-4、IL-5およびIL-10がCTL応答に与える効果が調査された。これらのサイトカインの共注射によりTヘルパー細胞増殖応答が上昇したが、pCEnvまたはpCGag/polのいずれとも、IL-4、IL-5およびIL-10の共注射でCTL応答の特定の上昇をおこさなかった。
【0295】
CTL応答のMHCクラスI制限の決定
TNF-αおよびIL-15の共注射を介するCTL応答の上昇が、CD8+ MHCクラスI制限性刺激によるかどうか決定するため、balb/cマウスについて、MHCクラスI制限性CTLに特異的なエピトープであるHIV-1エンベロープペプチド(RIHIGPGRAFYTTKN)を用いてCTL試験が行われた。マウスは各DNA構築物(50μg)による2回の免疫化を2週間おきに受け、2回目の免疫化の1週間後、脾臓が回収された。in vitro刺激後、エンベロープ特異的ペプチドを用いて脾臓のCTL検査が行われた。IL-15およびTNF-αの共注射後、E:T比50:1でそれぞれ25%および32%の特異的細胞破壊を伴う有意なCTL応答の上昇が観察された(図11A-11E)。この観察結果は、補体溶解によってエフェクター細胞集団からCD8+ T細胞を取り出した後のCTL活性を測定することによって確認された。マウスは各プラスミド(50μg)による2回の免疫化を2週間おきに受けた。CTL試験が行われ、エフェクター細胞の1つのグループが上のように処理され、別のグループからCD8+ T細胞が取り出された。図11F-110に示すように、CD8+ T細胞の除去によって、IL-15およびTNF-αの共注射後に観察される抗原特異的CTL増強が抑制された。これらの結果から、細胞溶解活性の増強が抗原特異的であり、クラスIに制限され、CD8+細胞依存性であることが示唆された。
【0296】
直接的CTL応答(エフェクターをin vitro刺激しない場合)
IL-15またはTNF-αの共注射グループでは一定の高いレベルの直接的CTL応答(エフェクターをin vitro刺激しない場合)が観察されたため、それらによって誘導される直接的CTL応答のレベルが調査された。クロミウム放出試験が、脾臓細胞が単離された日に行われた。IL-12共注射の場合の直接的CTLを観察した場合と異なり、pCEnvとTNF-αまたはIL-15の共注射後には直接的CTL活性は誘導されなかった(図12)。
【0297】
考察
いかなる免疫化の方法でも、総体的な目標は、最少数の免疫化を用いて、有効で持続的な病原体特異的免疫応答を誘導することである。しかし、防御の相関現象は病原体ごとに異なり得、方法の改善は免疫応答を制御することによって達成され得る。例えば、B型肝炎ウィルスの感染に対する防御には高レベルの特異的抗体応答が重要であると考えられ、リンパ細胞choriomeningitisウィルス(LCMV)感染に対する防御は主にT細胞を介した応答に媒介される。DNA種痘化法の設計は、誘導される免疫応答の方向と強度を調節して、各標的病原体に対する防御相関現象に適合するようにすることで改善され得る。
【0298】
新規の免疫化法として、核酸免疫化が抗原特異的体液性応答および細胞性免疫応答の両者を種々の動物モデルにおいてin vivoで引き起こすことが示された。
さらに臨床的に有効なワクチンが、免疫応答の方向と強度を調節する戦略によって生産され得る。ワクチンによる免疫応答および免疫治療の特定の型および方向を得る際により精密な調節は、サイトカインおよび共活性化分子のような免疫学的に重要な分子の遺伝子を共導入することによって達成され得る。
【0299】
サイトカインは免疫系の開始因子および調節因子として免疫および炎症性応答において重要な役割を果たしている。免疫系におけるその特定の機能に基づき、それらのサイトカインはさらに炎症誘発性、Th1、およびTh2サイトカインに分類される。炎症誘発性サイトカインIL-1、TNF-αおよびTNF-βは、傷害および感染に対する宿主応答の開始分子として重要な役割を果たす。IL-2の生産を誘導し、それらの細胞上のIL-2受容体を正に制御することによって、IL-1は間接的にT細胞を活性化する。またB細胞の分化、増殖およびIgG合成を誘導することによって、IL-1はさらにB細胞に影響する。少なくとも2つの型のIL-1(IL-1αおよびIL-1β)が、非常に近縁のタンパク質であり(アミノ酸配列で約30%相同)、同じ細胞表面受容体に結合する。TNF-αは活性化したマクロファージ、単核球、好中球、活性化したリンパ球およびNK細胞により生産され、TNF-βはリンパ球によって生産される。TNF-αおよびTNF-βはさらに、グラム陽性細菌の感染に伴う敗血症発作および慢性間接リウマチに関与している。さらに、TNF-αは他の炎症誘発性サイトカインの合成を制御するのに重要な役割を果たしていることが示唆されている。
【0300】
Th1サイトカインは細胞性のまたはT細胞を介した免疫防御応答を制御する。IFN-γは原型Th1型サイトカインであり、Th1、CD8+およびNK細胞により生産され、抗ウィルス効果とともに、MHCクラスIおよびII抗原の正の制御のような免疫調節効果も有することが示されている。新規のサイトカインIFN-γ誘導因子(IGIF)であるIL-18はIFN-γの生産を増強する一方、活性化されたPBMC中でのIL-10の生産を阻害することが発見された。IL-18はさらに、ヒト末梢血細胞(PBMC)の培養液中でナチュラルキラー(NK)細胞の活性を増強する点で、構造的には異なるIL-12と同様である。IL-2は主に外界刺激で活性化されたT細胞により生産され、抗原特異的T細胞の増殖およびクローン性増殖に必要である。IL-2は3本鎖α、β、γc鎖からなる受容体系と相互作用することによって、T細胞の活性化に重要な役割を果たす。IL-15は新規に同定されたIL-2相同物であり、IL-2と同様なT細胞活性化活性を有する多面発現性サイトカインである。
【0301】
Th2サイトカインは、体液性のまたは抗体を介した防御性免疫応答を制御する。IL-5はB細胞が抗体生産プラズマ細胞に分化するのを制御する2量体サイトカインである。IL-5はマウスおよびヒトB細胞による抗原特異的IgAの生産を誘導することが示されている。さらに、IL-5は、好酸球の成長および増殖を促進することが示されている。IL-10は当初はTh2 T細胞クローンによって生産されることが示されていたが、B細胞および単核球によっても生産される。原型Th2型サイトカインとして同定されたIL-10は、有糸分裂促進剤により活性化された単核球によるIL-1α、IL-6、IL-8、およびTNF-αのようなサイトカインの生産を阻害し、またIFN-γのマクロファージ活性化効果を阻害することが示されている。HIV-1感染におけるIL-10の考えられる役割も報告されている。非感染者のPBMCと比べた場合、無症候性HIV陽性患者由来のPBMCではIL-10 mRNAは増大し、IL-10のレベルは上昇する。さらに、IL-10はヒトのマクロファージにおいてin vitroのウィルス複製を減少させることが示されている。
【0302】
DNAワクチンによって誘導される免疫応答のin vivo調節因子として働く炎症誘発性、Th1およびTh2サイトカインの能力を解析するために、炎症誘発性、Th1およびTh2サイトカインの発現カセットが開発された。DNA免疫原構築物とともにサイトカイン遺伝子がマウスの筋肉内に共導入され、誘導される免疫応答の方向および強度に与える影響が解析された。IL-2、IL-4、IL-5、IL-10およびIL-18の共注射により、抗体応答の劇的な上昇が観察された。TNF-α、TNF-β、IL-2、IL-10およびIL-18の共注射により、Tヘルパー細胞増殖応答の劇的な増強が観察された。一方、IL-5およびIL-15の共注射によっては、Tヘルパー細胞の増殖はより緩やかに上昇した。さらに、全ての共注射の組み合わせ中で、TNF-αおよびIL-15の共注射によってのみ、IL-12の共注射と同様のレベルのCTL増強(30%以上の特異的溶解)が起きた。TNF-β、IL-2およびIL-18の共注射により、CTL応答はDNA免疫原のみで免疫化されたグループよりは大きいが、より緩やかに上昇した。IL-12またはCD86の共注射で観察されたように、TNF-αおよびIL-15の共注射によって観察されたCTL応答の増強は、MHCクラスIおよびII、およびCD8+ T細胞に限定されていた。
【0303】
IL-18はIL-12と同様の活性を有することが報告されている。例えば、IL-18はヒト末梢血細胞(PBMC)の培養液中でナチュラルキラー(NK)細胞の活性を増強する点で、構造的には異なるIL-12と同様である。さらにIL-18はIFN-γの生産を増強する一方、コンカナバリンA(Con A)によって活性化されたPBMC中でのIL-10の生産を阻害する。IL-18はIL-12とは独立の経路でIFN-γを誘導することが観察されている。IL-12共導入によってT細胞を介する応答レベルが有意に上昇し体液性応答がある程度減少するが、同様の効果はIL-18の共投与によっては観察されない。その代わり、IL-18の共投与によって抗体力価が有意に上昇する。さらに、IL-12の共導入がCTLの劇的な増強を誘導するのと異なり、IL-18の共注射では同様のレベルのCTLの増強は誘導されない。IL-18の免疫調節特性はIL-10に似ていると考えられる。
【0304】
IL-12およびIL-18の共投与の異なるin vivo効果に加えて、IL-2およびIL-15の共注射もまた、異なる方向および強度の免疫応答を引き起こす。IL-2およびIL-15は、IL-2受容体のγ鎖やT細胞活性化のシグナル機構の共有など、同様な生物活性を有することが報告されている。IL-2の共投与によって、抗体およびTヘルパー細胞増殖性応答が劇的に上昇した。一方、IL-15共注射によってはCTL応答の有意な増強が起きた。このような違いは、IL-15の他面発現性によって説明され得る。例えば、IL-15は滑液T細胞の活性化と介して慢性間接リウマチにおける有意なTNF-α生産を誘導することが報告されている。一方、IL-2はかなり低いレベルのTNF-αを誘導する。このin vivoデータから、シグナル機構がこれらの2つの分子の協調によって異なった活性化を受けることが示唆される。
【0305】
Th2サイトカインは、T細胞を介する応答レベルに影響すること無しにTh2型免疫応答を改善するために用いられ得る。IL-4、IL-5およびIL-10は、有効なTh2サイトカインであることが報告されており、共注射によって抗体応答レベル、またTヘルパー細胞の増殖レベルが有意に上昇した。一方、CTL応答レベルの上昇は観察されなかった。これらの結果から、Th2型応答はIL-4、IL-5またはIL-10の共投与によって調節され得ることが示された。
【0306】
興味深い結果は、多機能性免疫調節因子としてのTNF-αおよびIL-15の役割である。
DNA免疫化による宿主の免疫応答の誘導における種々の免疫学的に重要なサイトカインの役割が調査された。図13に要約するように、特異的防御性免疫応答の誘導は、サイトカイン遺伝子の共投与によって設計され得る。このサイトカイン遺伝子アジュバントの系は、疾病ごとに異なる防御の相関現象により正確に合わせて種痘化プログラムを設計するための、特異的免疫応答の誘導における新たなレベルの制御が特徴である。ワクチンおよび免疫治療のこの型の精密な制御は、以前には得られなかった。この結果、免疫応答の方向および強度の調節は種々の種痘化法において有益である。例えば、T細胞を介する応答が好ましいが体液性応答が不要であるか有害である場合、特定の免疫原とともに共導入される免疫調節因子としてIL-12遺伝子が選択され得る。一方、細胞外細菌を標的とするワクチンを生産する場合、例えばIL-4、IL-5またはIL-10遺伝子が共注射され得る。
【0307】
さらに、CD4+ Tヘルパー細胞および抗体が防御においてより重要な役割を果たす場合、GM-CSFやIL-2が共導入され得る。最後に、免疫応答の3つの防御全てが重要である場合、抗体、Tヘルパー細胞およびCTL応答の複合的な増強をもたらすためにTNF-αが共注射され得る。
【0308】
実施例6
PCR反応および図15に示す適当な制限酵素を用いて、図14に示すBL1挿入断片がライゲーションによってPCR3真核生物発現ベクターおよびpBBKanベクターにクローン化された。BL1構築物は異なるHIV-1抗原とともに共投与され、マウス中での免疫活性化効果が測定された。図16および17A、17B、17C、および17Dに示す結果から、HIV-1抗原で共免疫化された場合に、BL1のDNA断片が免疫応答を増強することが示唆された。観察された異なる効果は、脾臓サイズの上昇および抗体およびCTL応答の上昇である。
【0309】
【表8】

【0310】
【表9】

【0311】
【表10】

【0312】
【表11】

【0313】
【表12】

【0314】
【表13】

【0315】
【表14】

【図面の簡単な説明】
【0316】
【図1A】図1Aおよび1Bは、実施例4からのデータを示す。図1Aにおいて、50μgの各々のcDNA発現カセットを第0日に筋肉内に投与した。免疫化後第14日に、全ての免疫化した動物から採集した脾臓の重量を計測した。陰性対照群の動物を免疫化した。Gag/Pol単独およびIL-12単独を注入したマウスに由来する脾臓を非免疫化対照マウス(およそ100mg)に由来するものと同様に重量を計測した。しかしながら、Gag/Pol+IL-12遺伝子を注入したマウスに由来する脾臓は対照の脾臓のほぼ3倍の重量であった。対照的に、Gag/Pol+GM-CSFで免疫化したマウス脾臓は肥大しなかった。
【図1B】図1Bにおいては、各々の脾臓から白血球を調製および精製した。脾臓の重量差に直接的に対応して、Gag/Pol+IL-12で免疫化した脾臓に由来する細胞の数は対照の脾臓に由来する数の3倍であった。Gag/Pol+GM-CSFで免疫化したマウス脾臓は対照の脾臓の細胞数と比べてリンパ球の数に有意な増加はなかった。
【図2】図2においては、50μgの各々のcDNA発現カセットを第0日に筋肉内に投与した。免疫化後第14日に、脾臓を採集し、写真を撮影した。脾臓の視覚上の大きさは重量に直接対応して、免疫原+IL-12でワクチン接種した脾臓は非免疫化対照脾臓よりも有意に大きかった。群:(-)非免疫化;IL-12免疫化;エンベロープ+IL-12免疫化;Gag/Pol+IL-12免疫化。
【図3】図3においては、IL-12の各々の鎖の共投与をおこなった。50μgの各々のプラスミドを使用した。Gag/Polと同様に、p35およびp40鎖の両方が脾臓の肥大化に必要であった。
【図4】図4において、50μgの各々のcDNA発現カセットを第0日に筋肉内に投与した。免疫化したマウスに由来する抗血清を回収し、ELISAによってHIV-1抗原に対する特異的抗体反応を解析した。第28日に回収した試料からのELISAの結果を示した。1:100希釈で、エンベロープ+GM-CSFで免疫化した群に由来する血清は、エンベロープのみにより免疫化した群のものよりも大きな、HIV-1 gp120タンパク質に対する抗体反応を示した。他方で、エンベロープ+IL-12により免疫化した群は同じ時期を通して有意に少ない体液性応答を示した。
【図5】図5においては、ヘルパーTリンパ球の活性化および増殖が、抗原により活性化されたB細胞の増殖を経由した体液性免疫応答およびCD8+細胞障害性T細胞の増殖を経由した細胞性免疫応答の両方の誘発に重大な役割を担う。50μgの各々のcDNA発現カセットを第0日に筋肉内に投与した。採集した脾臓細胞をT細胞増殖について試験した。T細胞の増殖を刺激するために、組換えp55タンパク質20μg/mlを各々の穴に置いた。10μg/mlのレクチンPHAをポリクローナル刺激剤の陽性対照として使用した。刺激指数は特異的タンパク質によって刺激した細胞から検出された放射能の量を培地内の細胞から検出された量で割った値である。PHA刺激対照の刺激指数値は、58.8であった。
【図6−1】図6においては、50μgの各々のcDNA発現カセットを第0日に筋肉内に投与した。採集した脾臓から調製した細胞を用いて、インビトロ刺激なしでCTL分析を行なった。IL-12発現カセットのみで免疫化した対照群は、バックグラウンド量を越える標的細胞の特異的溶解をもたらさなかった。さらに、50:1のエフェクター:標的比でGag/Polのみにより免疫化したものについては、低い程度(3%)の特異的溶解が観察された。対照的に、50:1のエフェクター:標的比でGag/Pol+IL-12によって共投与した試料については、62%の特異的溶解が観察されたが、12.5:1のエフェクター:標的比では9%と測定された。Gag/PoI+GM-CSFプラスミドにより免疫化したものは、CTL活性が検出されなかった。関連性のない抗原発現ワクチンにより調製された標的に対して行なった同一のCTL分析は有意なCTL反応を全くもたらさなかった。
【図6−2】図6においては、50μgの各々のcDNA発現カセットを第0日に筋肉内に投与した。採集した脾臓から調製した細胞を用いて、インビトロ刺激なしでCTL分析を行なった。IL-12発現カセットのみで免疫化した対照群は、バックグラウンド量を越える標的細胞の特異的溶解をもたらさなかった。さらに、50:1のエフェクター:標的比でGag/Polのみにより免疫化したものについては、低い程度(3%)の特異的溶解が観察された。対照的に、50:1のエフェクター:標的比でGag/Pol+IL-12によって共投与した試料については、62%の特異的溶解が観察されたが、12.5:1のエフェクター:標的比では9%と測定された。Gag/PoI+GM-CSFプラスミドにより免疫化したものは、CTL活性が検出されなかった。関連性のない抗原発現ワクチンにより調製された標的に対して行なった同一のCTL分析は有意なCTL反応を全くもたらさなかった。
【図6−3】図6においては、50μgの各々のcDNA発現カセットを第0日に筋肉内に投与した。採集した脾臓から調製した細胞を用いて、インビトロ刺激なしでCTL分析を行なった。IL-12発現カセットのみで免疫化した対照群は、バックグラウンド量を越える標的細胞の特異的溶解をもたらさなかった。さらに、50:1のエフェクター:標的比でGag/Polのみにより免疫化したものについては、低い程度(3%)の特異的溶解が観察された。対照的に、50:1のエフェクター:標的比でGag/Pol+IL-12によって共投与した試料については、62%の特異的溶解が観察されたが、12.5:1のエフェクター:標的比では9%と測定された。Gag/PoI+GM-CSFプラスミドにより免疫化したものは、CTL活性が検出されなかった。関連性のない抗原発現ワクチンにより調製された標的に対して行なった同一のCTL分析は有意なCTL反応を全くもたらさなかった。
【図7】図7においては、50μgの各々のcDNA発現カセットを第0日に筋肉内に投与した。採集した脾臓から調製した細胞を用いて、インビトロ刺激なしでCTL分析を行なった。50:1のエフェクター:標的比では、エンベロープのみおよびエンベロープ+GM-CSFにより免疫化したものは、各々4%および1%の低い程度の特異的CTLをもたらす結果となった。他方で、エンベロープ+IL-12群に由来するものは59%という劇的な増強が見られた。関連性のない抗原発現ワクチンにより調製された標的に対して行なった同一のCTL分析は、有意なCTL反応を全くもたらさなかった。
【図8A】図8A,8Bおよび8Cは、本発明において有用なプラスミドを示す。図8Aは一本鎖タンパク質としてIL-12をコードする配列を含むプラスミドを示す。
【図8B】図8Bは2個のサブユニットのそれぞれに対する2種類のコード配列を含むプラスミドを示す。
【図8C】図8Cは2個のサブユニットのそれぞれに対する2種類のコード配列を含むプラスミドを示す。
【図9】図9は表3を示す。
【図10】図10に示すとおりに、各サイトカイン遺伝子を、CMVプロモーターの制御化にある発現プラスミドにクローン化し、インビトロでRD細胞に感染させた。サイトカインの発現は免疫沈降またはサイトカインELISAのいずれかを用いて確認された。
【図11−1】図11A-110はクラスI MHC-制限されたCTLを決定する実験からの結果を示す。図11A-11Bに示すように、最初のDNAをpCEnv(各々50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、balb/cマウスにおいてクラスI MHC制限されることが報告されているエンベロープ特異的ペプチド(RIHIGPGRAFYTTKN)により調製した標的細胞を用いてCTL反応を試験した。
【図11−2】図11A-110はクラスI MHC-制限されたCTLを決定する実験からの結果を示す。図11C-11Dに示すように、最初のDNAをpCEnv(各々50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、balb/cマウスにおいてクラスI MHC制限されることが報告されているエンベロープ特異的ペプチド(RIHIGPGRAFYTTKN)により調製した標的細胞を用いてCTL反応を試験した。
【図11−3】図11A-110はクラスI MHC-制限されたCTLを決定する実験からの結果を示す。図11Eに示すように、最初のDNAをpCEnv(各々50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、balb/cマウスにおいてクラスI MHC制限されることが報告されているエンベロープ特異的ペプチド(RIHIGPGRAFYTTKN)により調製した標的細胞を用いてCTL反応を試験した。
【図11−4】図11A-110はクラスI MHC-制限されたCTLを決定する実験からの結果を示す。図11F-11Gに示したように、最初のDNAをpCGag/pol(それぞれ50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、CTL反応を試験した。CTL分析は、補体溶解によるCD8+ T細胞の除去とともに行なった。エフェクター細胞は、記載したようにCD8+ T細胞の存在下(上図)およびCD8+ T細胞の除去下(下図)にて調製した。
【図11−5】図11A-110はクラスI MHC-制限されたCTLを決定する実験からの結果を示す。図11H-11Iに示したように、最初のDNAをpCGag/pol(それぞれ50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、CTL反応を試験した。CTL分析は、補体溶解によるCD8+ T細胞の除去とともに行なった。エフェクター細胞は、記載したようにCD8+ T細胞の存在下(上図)およびCD8+ T細胞の除去下(下図)にて調製した。
【図11−6】図11A-110はクラスI MHC-制限されたCTLを決定する実験からの結果を示す。図11J-11Kに示したように、最初のDNAをpCGag/pol(それぞれ50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、CTL反応を試験した。CTL分析は、補体溶解によるCD8+ T細胞の除去とともに行なった。エフェクター細胞は、記載したようにCD8+ T細胞の存在下(上図)およびCD8+ T細胞の除去下(下図)にて調製した。
【図11−7】図11A-110はクラスI MHC-制限されたCTLを決定する実験からの結果を示す。図11L-11Mに示したように、最初のDNAをpCGag/pol(それぞれ50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、CTL反応を試験した。CTL分析は、補体溶解によるCD8+ T細胞の除去とともに行なった。エフェクター細胞は、記載したようにCD8+ T細胞の存在下(上図)およびCD8+ T細胞の除去下(下図)にて調製した。
【図11−8】図11A-110はクラスI MHC-制限されたCTLを決定する実験からの結果を示す。図11N-110に示したように、最初のDNAをpCGag/pol(それぞれ50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、CTL反応を試験した。CTL分析は、補体溶解によるCD8+ T細胞の除去とともに行なった。エフェクター細胞は、記載したようにCD8+ T細胞の存在下(上図)およびCD8+ T細胞の除去下(下図)にて調製した。
【図12−1】図12A-12Bは、(インビトロでのエフェクター細胞の刺激なしでの)抗原特異的CTLを直接評価する実験の結果を示す。最初のDNAをpCEnv(各々50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、特異的(vMN462)および非特異的ワクチン(vSC8)に感染された標的細胞を用いてCTL反応を試験した。これらの実験は同様の結果をもって再現されている。
【図12−2】図12C-12Dは、(インビトロでのエフェクター細胞の刺激なしでの)抗原特異的CTLを直接評価する実験の結果を示す。最初のDNAをpCEnv(各々50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、特異的(vMN462)および非特異的ワクチン(vSC8)に感染された標的細胞を用いてCTL反応を試験した。これらの実験は同様の結果をもって再現されている。
【図12−3】図12Eは、(インビトロでのエフェクター細胞の刺激なしでの)抗原特異的CTLを直接評価する実験の結果を示す。最初のDNAをpCEnv(各々50μg)とともに共注入してから2週間後、マウス(1群あたり4個体)を同一量で追加免疫した。さらに1週間後、免疫化されたマウスから脾臓を採集し、そのリンパ球を単離し、特異的(vMN462)および非特異的ワクチン(vSC8)に感染された標的細胞を用いてCTL反応を試験した。これらの実験は同様の結果をもって再現されている。
【図13】図13は、各々のサイトカインの共投与による、抗体(y軸)、ヘルパーT(x軸)、および細胞障害性Tリンパ球応答(z軸)への効果の要約を示す。各々のサイトカインは免疫応答の3種類の様式への効果に従って3-D軸に打点した。
【図14−1】図14AはBL1のヌクレオチドおよび予想されるアミノ酸配列を示す。図14−2に続く。
【図14−2】図14Bは図14AのBL1のヌクレオチドおよび予想されるアミノ酸配列の続きを示す。
【図15】図15は、PCR3真核細胞発現ベクターおよびpBBKanへのBL1の核酸連結を示す。
【図16】図16は、BL1の共投与の有無における、HIV抗原Nefで指示された抗HIV抗原反応を比較したELISAの結果を示す。
【図17−1】図17Aおよび17Bは、BL1の共投与の有無における、HIV抗原Gag/Polで指示された抗HIV抗原免疫応答を比較した分析結果を示す。
【図17−2】図17Cおよび17Dは、BL1の共投与の有無における、HIV抗原Gag/Polで指示された抗HIV抗原免疫応答を比較した分析結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) IL-12の各サブユニットをコードする各コード配列が別のプロモーターに制御可能なように連結しているかまたはIL-12が単鎖IL-12である、制御要素に制御可能なように連結したIL-12をコードするヌクレオチド配列;および
b)免疫原をコードするヌクレオチド配列
からなる、プラスミド。
【請求項2】
上記の免疫原が、制御要素に制御可能なように連結された標的タンパク質であって、但し、標的タンパク質は病原体抗原、癌関連抗原、または自己免疫疾患関連細胞に結合された抗原をコードする、請求項1のプラスミド。
【請求項3】
免疫原がHIV抗原である、請求項1のプラスミド。
【請求項4】
IL-12、TNF-α、TNF-β、IL-5、IL-10、IL-15、IL-18およびBL-1を含むグループから選択される免疫調節タンパク質の複数をコードするヌクレオチド配列からなり、上記ヌクレオチド配列の各々が制御要素に制御可能なように連結された、請求項1のプラスミド。
【請求項5】
免疫調節タンパク質をコードする複数のヌクレオチド配列からなる、請求項1のプラスミド。
【請求項6】
a) IL-12の各サブユニットをコードする各コード配列が別のプロモーターに制御可能なように連結している、制御要素に制御可能なように連結したIL-12をコードするヌクレオチド配列;および
b)免疫原をコードするヌクレオチド配列
からなる、請求項1のプラスミド。
【請求項7】
請求項1のプラスミドからなる薬学組成物。
【請求項8】
請求項1のプラスミドをヒト以外の動物に投与することからなる、病原体に対してヒト以外の動物を免疫化する方法。
【請求項9】
IL-12の各サブユニットをコードする各コード配列が別のプロモーターに制御可能なように連結しているかまたはIL-12が単鎖IL-12である、制御要素に制御可能なように連結したIL-12からなる免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第1のプラスミド;および
免疫原をコードするヌクレオチド配列を含む第2のプラスミド
を含む、2つ以上のプラスミドからなる、真核細胞における発現のための組成物。
【請求項10】
第2のプラスミドが病原体抗原、癌関連抗原、または自己免疫疾患関連細胞に結合された抗原からなるグループから選択される免疫原をコードする、請求項9の組成物。
【請求項11】
免疫原がHIV-1抗原である場合の、請求項9の組成物。
【請求項12】
第1のプラスミドがIL-12、TNF-α、TNF-β、IL-5、IL-10、IL-15、IL-18、およびBL-1を含むグループから選択される免疫調節タンパク質をコードする複数のヌクレオチド配列からなり、免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列の各々が制御要素に制御可能なように連結された、請求項9の組成物。
【請求項13】
制御要素に制御可能なように連結されたIL-12、TNF-α、TNF-β、IL-5、IL-10、IL-15、IL-18およびBL-1を含むグループから選択される免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列からなる第3のプラスミドを含む、請求項9の組成物。
【請求項14】
第1のプラスミドが、免疫調節タンパク質をコードする複数のヌクレオチド配列からなる、請求項9の組成物。
【請求項15】
第1のプラスミドが制御要素に制御可能なように連結したIL-12からなる免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、IL-12の各サブユニットをコードする各コード配列が別のプロモーターに制御可能なように連結している、請求項9の組成物。
【請求項16】
請求項9の組成物からなる薬学組成物。
【請求項17】
請求項9の組成物をヒト以外の動物に投与することからなる、ヒト以外の動物を病原体に対して免疫化する方法。
【請求項18】
IL-12の各サブユニットをコードする各コード配列が別のプロモーターに制御可能なように連結しているかまたはIL-12が単鎖IL-12である、制御要素に制御可能なように連結したIL-12をコードするヌクレオチド配列;および
免疫原をコードするヌクレオチド配列
からなる、組換えワクチン。
【請求項19】
病原体抗原、癌関連抗原、または自己免疫疾患関連細胞に結合された抗原からなるグループから上記の免疫原が選択される、請求項18の組換えワクチン。
【請求項20】
ワクチンが組換えワクシニアワクチンである、請求項18の組換えワクチン。
【請求項21】
免疫原が病原体抗原である、請求項18の組換えワクチン。
【請求項22】
IL-12、TNF-α、TNF-β、IL-5、IL-10、IL-15、IL-18およびBL-1からなるグループから選択される複数の免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列からなるが、免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列の各々が制御要素に制御可能なように連結された、請求項18の組換えワクチン。
【請求項23】
免疫調節タンパク質をコードする複数のヌクレオチド配列を含む、請求項18の組換えワクチン。
【請求項24】
IL-12の各サブユニットをコードする各コード配列が別のプロモーターに制御可能なように連結している、制御要素に制御可能なように連結したIL-12をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項18の組換えワクチン。
【請求項25】
請求項18の組換えワクチンをヒト以外の動物に投与することからなる、ヒト以外の動物を病原体に対して免疫化する方法。
【請求項26】
IL-12の各サブユニットをコードする各コード配列が別のプロモーターに制御可能なように連結しているかまたはIL-12が単鎖IL-12である、制御要素に制御可能なように連結したIL-12からなる免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列からなる、弱毒生病原体。
【請求項27】
IL-12の各サブユニットをコードする各コード配列が別のプロモーターに制御可能なように連結している、請求項26の弱毒生病原体。
【請求項28】
IL-12、TNF-α、TNF-β、IL-5、IL-10、IL-15、IL-18およびBL-1を含むグループから選択される免疫調節タンパク質の複数をコードするヌクレオチド配列からなるが、免疫調節タンパク質をコードするヌクレオチド配列の各々が制御要素に制御可能なように連結された、請求項26の弱毒生病原体。
【請求項29】
免疫調節タンパク質をコードする複数のヌクレオチド配列からなる、請求項26の弱毒生病原体。
【請求項30】
請求項26の弱毒生病原体をヒト以外の動物に投与することからなる、ヒト以外の動物を病原体に対して免疫化する方法。
【請求項31】
請求項18の組換えワクチン、および薬学上受容可能な担体からなる、薬学組成物。
【請求項32】
単鎖IL-12をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミド。
【請求項33】
図14に示すアミノ酸配列またはその免疫調節断片を有する、実質的に純粋なBL-1タンパク質。
【請求項34】
請求項33のタンパク質をコードするヌクレオチド配列からなる、組換え発現ベクター。
【請求項35】
図14のヌクレオチド配列からなる、請求項34の組換え発現ベクター。
【請求項36】
請求項33のタンパク質上のエピトープに結合する、単離された抗体。
【請求項37】
抗体がモノクローン抗体である、請求項36の抗体。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図11−5】
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【図11−6】
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【図11−7】
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【図11−8】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15】
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【図16】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【公開番号】特開2008−194046(P2008−194046A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45969(P2008−45969)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【分割の表示】特願平10−519714の分割
【原出願日】平成9年10月23日(1997.10.23)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】