説明

免疫調節剤粒子および処置方法

対象において免疫応答を刺激する方法であって、抗原とカップリングしたマイクロメートルサイズの粒子を対象に投与することを含み、その際、マイクロメートルサイズの粒子のアスペクト比の増大が免疫応答を増大させる方法。対象において免疫応答を刺激する方法であって、対象に複数の粒子を投与することを含み、その際、各粒子が免疫刺激作用物およびタンパク質とカップリングしている方法。第1タンパク質を第1速度で放出しかつ第2タンパク質を第2速度で放出するように構築され、かつ1回量で初回抗原刺激能および追加抗原刺激能を備えるように構築された複数の粒子を含む、ワクチン粒子組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引照
[001] 本出願は、米国仮特許出願No.61/068,227、2008年3月4日出願、に基づく優先権を主張し、それの全体を本明細書に援用する。
【0002】
発明の技術分野
[002] 本発明は、ある態様において、迅速無細胞製造方法により作製した合成ワクチンナノ粒子に関する。より詳細には、ある態様において、ナノ粒子は抗原および/または免疫増強作用物を含む。
【背景技術】
【0003】
[003] マラリア、結核、炭疽病、野兎病、ブルセラ症、C型肝炎感染症、ヒストプラスマ症、クシジオイデス症、ウイルス性出血熱、腺ペスト、ウイルス性脳炎、黄熱病、ならびにウイルス性および細菌性胃腸炎を含めた多くの感染性疾患について、依然としてワクチンが無いか、または有効なワクチンが無い。これらの疾患に対処するために新たなワクチンが求められている。さらに、抗原変動性および免疫タイプにおける挑戦は新たな研究方法を必要とする。
【0004】
[004] ワクチンとして使用するのに適切ないかなる組成物においても、コンホメーション統合性ならびに免疫原エピトープおよび抗原部位を無傷のまま保存することが必須である。これらの分子および化合物の立体構造、化学的電荷、または空間配向の変化は、抗原としての活性および有用性を部分的または完全に失う結果となる可能性がある。付随するキャリヤー粒子がワクチンの不都合な反応を最小限にしなおかつ抗原性化合物と免疫系の相互作用を促進する能力は、主要な関心事である。ワクチンとして使用するコンジュゲートとして、または特定の受容体を認識するための生体材料として、組成物を調製する際には、これらの要因をすべて考慮に入れなければならない。
【0005】
[005] ある抗原に対して強い免疫応答を誘導するためには、タンパク質、アジュバントまたは他の免疫増強作用物が必要である。最適な免疫応答を獲得するためには、抗原および作用物(1以上)をしばしば共送達しなければならない。共送達のための技術には2つのタンパク質を融合させることが含まれているが、これらの技術は欠点を含む;これには、他の欠点のうち特に、それら2成分間の物理的干渉、免疫系への各成分の提示が制御されないこと、この技術に利用できる融合タンパク質および組成物が制限されることが含まれる。
【0006】
[006] 他の技術には、ミョウバン、伝統的な二層または多層リポソーム、ポリマー粒子およびウイルス様粒子を含有する組成物の使用が含まれる。そのような技術は著しい欠点をもち、これには、物理的および化学的安定性、広範な抗原との適合性、抗原と免疫調節剤を共送達できないこと、ならびに細胞または卵をベースとする製造に起因する安全性の問題、ならびに組換えウイルスについてのリスクが含まれる。したがって、抗体と細胞性応答の両方をもたらし、広範な抗原と適合性であり、共送達および多価性が可能であり、かつ一貫した製品を確保するための安全で再現性のある製造方法をもつ、新たなワクチンが求められている。
【発明の概要】
【0007】
[007] 本発明の態様によれば、対象において免疫応答を刺激する方法は、対象に複数の粒子を投与することを含み、その際、各粒子は免疫刺激作用物およびタンパク質とカップリングしている。1態様において、前記の複数の粒子の投与により、粒子とカップリングしていない免疫刺激作用物およびタンパク質の投与により起きるものより抗体価が少なくとも約10倍大きくなる。1態様において、実質的に、前記の複数の粒子の各粒子は、約200nm×約200nm×約200nmの寸法を有する粒子を含む。他の態様において、実質的に、前記の複数の粒子の各粒子は、約2μm×約2μm×約2μmの寸法を有する粒子を含み、その際、複数の粒子の投与により、粒子とカップリングしていない免疫刺激作用物およびタンパク質の投与により起きるものより抗体価が少なくとも約100倍大きくなる。
【0008】
[008] 本発明の他の態様によれば、対象において免疫応答を刺激する方法は、抗原とカップリングしたマイクロメートルサイズの粒子を対象に投与することを含み、その際、マイクロメートルサイズの粒子のアスペクト比の増大は免疫応答を増大させる。1態様において、マイクロメートルサイズの粒子のアスペクト比は約3:1であり、約1:1のアスペクト比を有する粒子の投与により起きるものより免疫応答が約2〜約3倍大きい。1態様において、マイクロメートルサイズの粒子は、約1マイクロメートル×約1マイクロメートル×約3マイクロメートルの寸法を有する粒子を含む。他の態様において、マイクロメートルサイズの粒子は、約2マイクロメートル×約2マイクロメートル×約6マイクロメートルの寸法を有する粒子を含む。他の態様において、マイクロメートルサイズの粒子のアスペクト比は約10:1であり、約1:1のアスペクト比を有する粒子の投与により起きるものより免疫応答が約3〜約4倍大きい。そのような1態様において、マイクロメートルサイズの粒子は、約1マイクロメートル×約1マイクロメートル×約10マイクロメートルの寸法を有する粒子を含む。
【0009】
[009] 本発明の他の態様によれば、ナノメートルサイズの粒子にカップリングした抗原により起きる免疫応答を低下させる方法は、ナノメートルサイズの粒子のアスペクト比を増大させることを含む。
【0010】
[0010] 本発明の他のある態様において、対象に投与した免疫刺激作用物により起きる免疫応答を実質的に阻害する方法は、免疫刺激作用物を対象に投与する前に、免疫刺激作用物を非分解性リンカーにより粒子にカップリングさせることを含む。1態様において、該方法により、免疫刺激作用物を対象に初回投与した後の免疫応答が実質的に阻害される。他の態様において、該方法により、免疫刺激作用物を対象に追加抗原刺激(ブースター)投与した後の免疫応答が実質的に阻害される。
【0011】
[0011] 本発明のある態様によるワクチン粒子組成物は、第1タンパク質を第1速度で放出しかつ第2タンパク質を第2速度で放出するように構築され、かつ1回量で初回抗原刺激能および追加抗原刺激能を備えるように構築された、複数の粒子を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
[0012]
【図1】図1は、本発明の1態様によるワクチン粒子の初回注射後3週目の応答を示す;その際、抗体レベルは200nmのワクチン粒子について1,280;2マイクロメートルのワクチン粒子について10,240;rProteinについて101である。
【0013】
[0013]
【図2】図2は、本発明の1態様によるワクチン粒子の初回注射後の他の応答を示す。 [0014]
【図3】図3は、本発明の1態様によるワクチン粒子の初回注射後のさらに他の応答を示す。
【0014】
[0015]
【図4】図4は、非分解性リンカーと分解性リンカーを比較した、初回注射後の本発明の1態様によるワクチン粒子に対する応答を示す。 [0016]
【図5】図5は、非分解性リンカーと分解性リンカーを比較した、追加抗原刺激注射後の本発明の1態様によるワクチン粒子に対する応答を示す。
【0015】
[0017]
【図6】図6は、本発明の1態様による80nm×80nm×360nmポリ(ジメチルアミノメタクリレート)(PLGA)ワクチン粒子を示す。 [0018]
【図7】図7は、本発明の1態様によるワクチン粒子についてビオチン−アビジン連結システムの模式図を示す。
【0016】
[0019]
【図8】図8は、本発明の1態様による血球凝集反応アッセイを示す:(1)マウス血清アルブミンでコートした200nm×200nm×200nmのワクチン粒子(対照);(2)HAタンパク質でコートした200nm×200nm×200nmのワクチン粒子(活性);(3)HAタンパク質陽性対照;および(4)陰性対照を比較した複合イメージを示し、その際、粒子の表面にHAタンパク質が存在することの指標となる血球凝集は囲まれたウェル内に示される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0020] 本発明のある態様は、ナノ粒子成形法によりワクチンを作製する。意外な結果のひとつは、抗原、たとえばインフルエンザHA(”HA”)(Protein Sciences CorporationからのInfluenza Wyoming HAタンパク質)と免疫刺激作用物または免疫増強作用物、たとえばフラジェリンまたはIL−12(eBiosciences Inc.)とをナノ粒子上またはナノ粒子内で組み合わせると、強力な適応免疫応答を誘発しうることである。さらに、抗原および/または免疫増強作用物(以下、”作用物”と呼ぶ)は、ある態様において、個々の適用および/または抗原/作用物の組合わせに対して最適化しうるように、ナノ粒子内にパッケージするか、あるいはナノ粒子の外側に提示することができる。さらに、ある態様において、ナノ粒子の免疫増強作用物と抗原成分の比率を、個々の適用に合わせて構築することができる。ある態様においては、1種類以上の免疫増強作用物をナノ粒子および1種類以上の抗原と共に含有させることができる。他の態様において、ナノ粒子は、細胞特異的または組織特異的な結合剤またはターゲティング剤をも含有することができる。
【0018】
[0021] PRINT(登録商標)技術(Liquidia Technologies、ノースカロライナ州)は、ナノ粒子のサイズ、形状、組成、表面機能性、および他の物理的特性、たとえばモジュラスなどを特異に制御することができる、ナノ粒子製造方法である。この技術を本発明のある態様に使用すると、特異な共送達方式、形状特異的およびサイズ特異的な免疫原性、抗原および免疫増強作用物など生物学的な装填物(cargo)の無ウイルス送達、合成による送達ベクター、ならびに非経口、鼻、経口、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、吸入などを含めた多数の送達経路を得ることが可能になる。
【0019】
[0022] 本発明のある態様によるナノ粒子の組成は、種々の用量の抗原を、および/または抗原と作用物成分を、持続放出するように構築して、免疫系との相互作用および抗体形成を最適化することができる。ある態様において、ナノ粒子の組成は、予め定めた速度で、および/または予め定めた環境条件、たとえばpH、水性環境、特定の酵素などに応答して分解するように構築できる。ある態様において、ナノ粒子は、架橋剤および/または架橋剤密度を予め選択することにより、予め選択した環境または予め選択した分解速度での粒子の分解を促進するように、分解を調節することができる。ある態様において、ナノ粒子は、目的とする細胞をスクリーニングし、結合し、またはそれから遮蔽するために、多様なタイプおよび量の表面作用物を含有することができる。本発明のある態様によるナノ粒子は、ナノ粒子のポリマーマトリックスを制御することにより、ナノ粒子が分解する前に抗原を細胞内空間へ送達するように設計することもでき、これにより抗原および/または抗原/免疫増強作用物の細胞内送達が得られる。本発明のある態様による組成物は、生分解性材料、親水性材料、GRAS(generally regarded as safe)材料などを含有することができる。ある態様において、本発明の粒子はポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリカプロラクトンなどを含有するか、またはそれらから形成することができる。
【0020】
[0023] ある態様において、粒子組成物は抗原と作用物の両方を含む。ある態様において、粒子組成物は抗原または作用物のうち一方のみを含む。ある態様においては、1種類以上の抗原または作用物をナノ粒子の表面にコンジュゲートさせる。ある態様において、作用物と抗体の比率は、ナノ粒子に成形する組成物またはナノ粒子の表面にコンジュゲートさせる組成物を制御することにより制御できる。
【0021】
[0024] ある態様において、表面における抗原の量は粒子の約0〜約50重量%を構成する。ある態様において、表面における抗原の量は粒子の約0〜約40重量%を構成する。ある態様において、表面における抗原の量は粒子の約0〜約30重量%を構成する。ある態様において、表面における抗原の量は粒子の約0〜約20重量%を構成する。ある態様において、表面における抗原の量は粒子の約0.1〜約20重量%を構成する。ある態様において、表面における抗原の量は粒子の約0.1〜約10重量%を構成する。
【0022】
[0025] ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0〜約70重量%を構成する。ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0〜約60重量%を構成する。ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0〜約50重量%を構成する。ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0〜約40重量%を構成する。ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0〜約30重量%を構成する。ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0〜約20重量%を構成する。ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0〜約10重量%を構成する。ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0.1〜約30重量%を構成する。ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0.1〜約20重量%を構成する。ある態様において、免疫増強作用物は抗原量の約0.1〜約10重量%を構成する。
【0023】
[0026] ある態様において、本発明のナノ粒子は粒子仲介による制御放出をもたらし、これにより現在の免疫調節ワクチン技術に対する応答を改善し、反応原性(reactogenicity)を低下させることができる。ある態様によるナノ粒子は、たとえばマトリックス組成を操作することにより、用量節減およびブースト節減方式を提供するように、かつ製品の安定性および貯蔵寿命を高めるように構築することもできる。ある態様における免疫調節ワクチンのナノ粒子パッケージングはさらに、予め選択した環境条件に対してインビボ分解を最小限にし、またはインビボ分解を制御することができる。本発明のある態様におけるナノ粒子は、さらに追加の免疫調節剤および/または抗原を、1回量または多数回量を構成する単一のナノ粒子内または複数のナノ粒子内に共パッケージングする可能性を提供する。
【0024】
[0027] 他の態様において、本発明のナノ粒子は、多価ワクチンおよびTh1/Th2調節をもたらす。ある態様において、ナノ粒子は、エンドソームを回避して粒子仲介による細胞質ゾルへの送達をもたらすこともでき、これによりT細胞誘導のために効果的な抗原提示が可能になる。本発明のある態様におけるナノ粒子は、単一粒子の内部または上におけるフラジェリンおよび免疫原の共パッケージングをもたらこともでき、これにより融合タンパク質の必要性を避けることができる。ある態様において、本発明のナノ粒子は、フラジェリンおよび/または免疫原の適正なコンホメーションの維持、APCターゲティングの向上、投与要求量の減少、反応原性の低下、その組合わせなどを増強する。ある態様においては、粒子を作製した後、すべての水性条件および化学を使用した後に、免疫原および/またはフラジェリンを粒子に付着させるので、フラジェリンおよび/または免疫原の適正なコンホメーションが本発明のナノ粒子において増強される。
【0025】
[0028] ある態様において、本明細書に援用したナノ粒子成形技術(PRINT(登録商標)(Liquidia Technologies Inc.、ノースカロライナ州))に記載されたナノ粒子作製により、抗原、免疫調節剤、アジュバントおよび他の免疫増強作用物を含めた多数の生物学的作用物を容易にナノ粒子マトリックス内に取り込むことができる。このナノ粒子成形技術により、ある態様において、ターゲティングリガンドを粒子の表面に付着させることもできる。ある態様によるワクチン適用について、療法剤をターゲティングさせることは全身的な反応原性をもつ機会を減らし、および/または投与要求量を減少させる。本発明のある態様において、粒子は表面、全表面または粒子内に、1種類以上の免疫増強作用物および1種類以上の抗原を含有する。ある態様において、粒子は1種類以上の目的抗原、免疫増強作用物、およびターゲティング剤を含む。前記のナノ粒子成形技術により、ある態様において、多価ワクチンも可能となる。ある態様において、ナノ粒子は多価ワクチン抗原を含有または収容する。
【0026】
[0029] ある態様において、ナノ粒子は、抗原(1以上)と免疫増強作用物が物理的に分離されるように構成される。抗原と作用物を物理的に分離するための技術のひとつは、ある態様において、抗原を封入し、そして粒子の表面を作用物で機能化するか、あるいはその逆を含む。抗原と作用物を物理的に分離するための他の技術は、ある態様において、抗原と作用物の両方を同一粒子の表面の異なる領域に付着させ、粒子に抗原と作用物の間を連結させることを含む。ある態様において、これによりタンパク質の形状、すなわちコンホメーションを維持することができる;これは、適切な免疫応答を発生させるために、たとえば抗体誘導のために重要であり、免疫増強作用物の活性にとって決定的となることができる。
【0027】
[0030] 本発明のある態様において、粒子は、含有される免疫増強作用物に応じて免疫応答をTh1またはTh2のいずれかに偏る方向へ偏らせるように設計される。ある態様において、粒子マトリックスの分解は特定の応答を誘導するように設計される。ある態様において、粒子は、エンドソーム内で分解し、それを破裂させ、CD8応答を発生させるように設計される。ある態様において、粒子はエンドソーム/リゾソーム経路で分解され、CD4 T細胞に提示されて、最終的にさらに多くの抗体応答を誘導するように設計される。
【0028】
[0031] ある態様において、粒子は2種類以上のタンパク質を異なる速度で放出するように設計される。ある態様において、2種類以上のタンパク質はそれぞれ異なる速度で放出される。ある態様においては、単一のナノ粒子デザインが同じ投与で初回抗原刺激能および追加抗原刺激能を備えることができるように、放出速度を調整する。ある態様において、ある粒子は、あるタンパク質を速やかに放出し、かつそのナノ粒子と結合または組み合わせた他のタンパク質を徐々に放出するように設計される。ある態様においては、装填物を遮蔽して、遅れて追加抗原刺激する能力を高める。ある態様においては、装填物をインビボ分解から保護し、これにより有効性が改善され、おそらく投与要求量の減少につながるであろう。
【0029】
[0032] ある態様において、本発明のワクチン粒子を特定の形状に加工して、目的とする増強または低下した抗体応答を誘発することができる。ある態様において、高いアスペクト比の粒子は、より低いアスペクト比をもつ粒子より大きな免疫原応答を誘発する。他の場合、より低いアスペクト比がより大きな免疫原応答を誘発する。アスペクト比は、粒子の最短軸に対する最長軸の比を表わす。ある態様において、好ましい粒子形状は、取込み機序、抗原、免疫刺激作用物、応答のタイプなどの関数である可能性がある。ある態様においては、より大きな表面−対−体積比をもつ粒子形状が好ましい。
【0030】
[0033] ある態様においては、少なくとも約1:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、少なくとも約2:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、少なくとも約3:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、少なくとも約4:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、少なくとも約5:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、少なくとも約6:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、少なくとも約7:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、少なくとも約8:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、少なくとも約9:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、少なくとも約10:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様によれば、約1:1〜約60:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。別態様においては、約1:1〜約50:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。他の態様においては、約1:1〜約40:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様によれば、約1:1〜約30:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約20:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約15:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約10:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約9:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約8:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約7:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様において、約1:1〜約6:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約5:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約4:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約3:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約1:1〜約2:1の範囲のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、約1:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、約2:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、約3:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、約4:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、約5:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、約6:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、約7:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、約8:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様においては、約9:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。別態様においては、約10:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。他の態様においては、約15:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。他の態様においては、約20:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。ある態様によれば、約30:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約40:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約50:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約60:1のアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。さらに他の態様においては、約60:1より大きなアスペクト比をもつワクチン粒子を作製することができる。
【0031】
[0034] したがって、本発明のワクチン粒子はナノスケールで制御されるいかなる寸法でも作製できる。たとえば、前記アスペクト比をもつ本発明のワクチンナノ粒子を、約80nm×約90nmの寸法の円筒形をもつ粒子;約80nm×約80nm×約360nmの寸法をもつ粒子;約80nm×約80nm×約2000nmの寸法をもつ粒子;約80nm×約80nm×約5000nmの寸法をもつ粒子;約1マイクロメートル×約1マイクロメートルの寸法をもつ粒子;約1マイクロメートル×約3マイクロメートルの寸法の円筒形をもつ粒子;約1マイクロメートル×約10マイクロメートルの寸法をもつ粒子として作製することができる。
【0032】
[0035] 本発明のある態様による、HAおよびIL−12を共送達するワクチン粒子(たとえば実施例2の粒子)は、図1に示すように、2種類の可溶性タンパク質の混合物を投与したマウスにおいて発生する応答と比較してより強い抗体応答をHAタンパク質に対して誘導する。ある態様における抗体応答の増大は、約10倍から約100倍までの増大に及ぶことができる。ある態様においては、粒子サイズも抗体応答に影響を及ぼす。図1に示すように、初回注射の3週後に、可溶性タンパク質は約100抗体価の応答を発生し、本発明の200nm×200nm×200nmのワクチン粒子は約1280抗体価の応答を発生し、本発明の2マイクロメートル×2マイクロメートル×2マイクロメートルのワクチン粒子は約10,240抗体価の応答を発生する。ある態様において、本発明のワクチン粒子は、抗原とタンパク質アジュバントを効果的に送達するように、かつ目的とする免疫原性が得られるように、形状、サイズおよびアスペクト比を調整することができる。
【0033】
[0036] 他の態様によれば、本発明のワクチンナノ粒子のアスペクト比は、ワクチンナノ粒子に対して発生する応答に影響を及ぼすことができる。ある態様において、図2に示すように、初回注射の後、それらの表面とカップリングしたインフルエンザHAをもつマイクロメートルサイズのワクチンナノ粒子のアスペクト比は、ワクチンナノ粒子のアスペクト比が増大するのに伴って増大する免疫応答を発生する。ある態様において、約3:1のアスペクト比をもつ粒子の免疫応答は、1:1のアスペクト比をもつ粒子の免疫応答の約2〜3倍である。ある態様において、約10:1のアスペクト比をもつマイクロメートル粒子の免疫応答は、1:1のアスペクト比をもつマイクロメートルサイズの粒子の免疫応答の約3〜4倍である。1回注射後に誘導された抗体応答を図2に示す。
【0034】
[0037] ある態様において、図3に示すように、ナノメートルサイズのワクチン粒子のアスペクト比は、初回注射の後、表面にインフルエンザHAがカップリングしたワクチン粒子のアスペクト比が増大するのに伴って低下する免疫応答を生じる。図3に示すワクチン粒子の組成物は、架橋したポリエチレングリコール(PEG)ベースのもの(79%のポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、20%のアミノメチルメタクリレートHCl、1%のHCPKから構成され、次いでビオチンリンカー表面修飾により処理されたもの)を含有する。
【0035】
[0038] 本発明のワクチン粒子は、ある態様において、低い表面エネルギーの型内で、下記の特許出願に記載された方法および材料を用いて成形される:米国特許出願Nos.:10/583,570、2006年6月19日出願、および11/594,023、2006年11月7日出願;ならびにPCT国際特許出願Nos.:PCT/US04/42706、2004年12月20日出願;PCT/US/06/23722、2006年6月19日出願;PCT/US06/34997、2006年9月7日出願;PCT/US06/43305、2006年11月7日出願;およびPCT/US07/02476、2007年1月29日出願;そのそれぞれの全体を本明細書に援用する。下記も参照されたい:米国仮特許出願Nos.:60/531,531、2003年12月19日出願;60/583,170、2004年6月25日出願;60/604,970、2004年8月27日出願;60/691,607、2005年6月17日出願;60/714,961、2005年9月7日出願;60/762,802、2006年1月27日出願;60/798,858、2006年5月9日出願;60/734,228、2005年11月7日出願;60/757,411、2006年1月9日出願;60/799,876、2006年5月12日出願;60/833,736、2006年7月27日出願;60/979,710、2007年10月12日出願、および60/828,719、2006年10月9日出願;そのそれぞれの全体を本明細書に援用する。
【0036】
[0039] ある態様において、本発明のワクチン粒子は免疫応答を生じないように配合される。ある態様による粒子の免疫原性は、リンカー基化学を用いて抗原および/または作用物を粒子の表面にコンジュゲートさせることにより制御できる。詳細には、ある態様において、リンカー基の分解速度により免疫原性を制御できる。非分解性結合により表面に連結したHAを含有する粒子と対比して、分解性ジスルフィド架橋剤により表面に連結したHAを含有する粒子を注射したマウスにおいて、より高い抗体応答がみられる。この効果は、初回抗原刺激および追加抗原刺激の両方の注射後にみることができる。
【0037】
[0040] ある態様によれば、図4および5にみられるように、非分解性架橋剤によりナノ粒子に連結したタンパク質は活性を生じないか、または限られた活性を生じ、これに対し、分解性架橋剤により連結したタンパク質は応答を生じる。ある態様において、ナノ粒子はそれに非分解性架橋剤により付着したアジュバントをもち、したがってそのアジュバントに関して免疫応答は発生しないかまたは発生は最小限である。これは、単に非分解性リンカーによりアジュバントをナノ粒子に付着させるだけで、たとえば多数回の注射にわたってアジュバントの効果を維持するのを補助することができ、さほど存在量を考慮せずに有効性の高いアジュバントを使用するのを可能にし、しばしば有害反応を誘発するアジュバントの使用を可能にする。図4に示すように、分解性リンカーで付着させた場合にはHAタンパク質でコートしたワクチンナノ粒子を投与したマウスにおいて抗HA抗体応答が発生したが、非分解性リンカーでHAタンパク質を付着させた場合には初回注射後に検出可能な応答は発生しなかった。これらの結果は、200nm×200nm×200nmのワクチン粒子および2マイクロメートル×2マイクロメートル×2マイクロメートルのワクチン粒子の両方についてみられた。2回目の注射後、図5にみられるように、非分解性リンカーで連結したHAタンパク質を含有する粒子について抗HA抗体応答は検出可能ではあったが、200nmのワクチン粒子についての応答は、分解性リンカーにより付着したHAをもつ200nmのワクチン粒子で発生した応答より約3〜4倍少なく、2マイクロメートルのワクチン粒子についての応答は、分解性リンカーにより付着したHAをもつ2マイクロメートルのワクチン粒子から発生したものより約5〜6倍少なかった。
【0038】
[0041] 本発明のある態様によれば、それに対する免疫応答を望まないかまたは限られた免疫応答を望む作用物、抗原、分子などを付着させる非分解性リンカーを用いて、ワクチン粒子を形成することができる。たとえば、ターゲティング剤または他のタンパク質もしくは分子を非分解性リンカーにより本発明のワクチン粒子に付着させることができ、その作用物がワクチン粒子上に存在することによる免疫応答は誘発されないか、または限られた免疫応答が誘発されるであろう。
【0039】
[0042] ある態様においては、抗原に対する免疫応答を改善するために抗原を粒状で送達する。ある態様においては、適切な応答を得るためにアジュバントおよび/または免疫増強作用物の用量を変更する。ある態様においては、送達される抗原の量を減らす必要なしに反応原免疫調節剤を少なく投与するように、用量を調整する。ある態様においては、反応原タンパク質を粒子内に封入する。ある態様においては、粒子を目的細胞へターゲティングさせる。ある態様において、細胞は抗原提示細胞である。他の態様において、粒子は、細胞内に取り込まれ、次いで粒子がインターナリゼーションされた時点で分解するように設計される。ある態様においては、粒子の表面を1種類以上の抗原、免疫増強作用物およびターゲティングリガンドで機能化することができる。ある態様においては、1種類以上の抗原、免疫増強作用物およびターゲティングリガンドを分解性リンカー基で表面に付着させる。ある態様においては、1種類以上の抗原、免疫増強作用物およびターゲティングリガンドを非分解性リンカー基で表面に付着させる。ある態様においては、1種類以上の抗原、免疫増強作用物およびターゲティングリガンドを分解性リンカー基で表面に付着させ、他を非分解性リンカー基で表面に付着させる。たとえば、1態様において、PLGAナノ粒子は、表面に多様な量で付着したHA、IL−12および細胞ターゲティングリガンドをもつことができる;HAおよびIL−12を分解性リンカー基で付着させ、細胞ターゲティングリガンドを非分解性リンカー基で付着させることができる。
【0040】
[0043] 本発明のナノ粒子ワクチンに用いる抗原はいかなるタイプの抗原であってもよく、たとえば下記のものを含むが、これらに限定されない:病原体関連抗原、腫瘍関連抗原、アレルギー関連抗原、神経欠損関連抗原、心血管疾患抗原、リウマチ様関節炎関連抗原、他の疾病関連抗原、ホルモン、妊娠関連抗原、胚性抗原、および/または胎児性抗原など。1態様において、ナノ粒子ワクチンは組換えタンパク質、または組換えリポタンパク質、または組換え糖タンパク質、および1以上の抗原である。
【0041】
[0044] 本発明のナノ粒子ワクチンをその必要がある対象に投与して、目的抗原に対する免疫応答および抗体形成を誘発することができる。ナノ粒子ワクチンは、注射、吸入、経皮、経粘膜、肛門、膣、眼、経口摂取、静脈内、その組合わせなどにより投与できる。ある態様において、ウイルス抗原/作用物ナノ粒子製剤、たとえば抗原−フラジェリンナノ粒子は、著しく免疫原性ではないターゲットに対してすら応答を発生することができ、これにはウイルスタンパク質の高度に保存された領域が含まれる。
【0042】
[0045] ヒトまたは動物対象に投与すると、本発明のある態様によるナノ粒子ワクチンはたとえば樹状細胞およびマクロファージと相互作用することができる。この相互作用は2つの結果を伴うであろう:第1に、ナノ粒子ワクチンの免疫刺激作用物部分がシグナル伝達経路、たとえばNF−カッパB、JNKおよび/またはp38経路と相互作用してそれを刺激するであろう。第2に、受容体とのこの相互作用のため、ナノ粒子ワクチンは細胞タイプ、ナノ粒子ワクチンのサイズ、および刺激作用物の素性に応じて、食作用、エンドサイトーシスまたはマクロピノサイトーシスにより樹状細胞およびマクロファージに取り込まれるであろう。次いで、シグナル伝達経路の活性化によって、樹状細胞およびマクロファージ、場合によってはB細胞による、サイトカイン、ケモカイン、接着分子、および共刺激分子の発現が誘導されるであろう。ナノ粒子の取込みにより、粒子内または粒子上に含まれる抗原(1以上)のプロセシング、ならびにMHCクラス−IおよびMHCクラス−II分子による提示が生じるであろう。これは、ナイーブT細胞の活性化に必要な2つのシグナル、すなわち特異的抗原シグナルおよび共刺激シグナルを発生するであろう。さらに、ナノ粒子ワクチンにより誘導されたケモカインはナイーブT細胞をAPCへ動員し、サイトカイン、たとえばIL−12はT細胞からTh−1エフェクター細胞への分化を誘導するであろう。その結果、強力なT細胞性免疫応答が誘導され、これが次いで適応免疫応答の他の面、たとえば抗原特異的B細胞およびマクロファージの活性化を活性化するであろう。
【0043】
[0046] ある態様において、本発明に有用な物質は下記にみられる:米国特許番号US7,285,535、表題:Toll/インターロイキン−1受容体アダプタータンパク質(TIRAP);およびUS6,960,343、表題:Toll/インターロイキン−1受容体アダプタータンパク質(TIRAP);ならびに米国特許出願公開US20070160623、表題:先天性免疫系指向性ワクチン;US20070122421、表題:先天性免疫系指向性ワクチン;US20060188933、表題:IRAK−Mはtoll様受容体シグナル伝達の負の調節物質である;US20060130164、表題:Toll/インターロイキン−1受容体アダプタータンパク質(TIRAP);US20060121460、表題:Toll様受容体11;US20050163764、表題:toll様受容体のアゴニストによる治療;US20030232055、表題:先天性免疫系指向性ワクチン;US20030224388、表題:RIP2:先天性および適応免疫系におけるシグナル伝達の仲介物質;US20030175287、表題:先天性免疫系指向性ワクチン;US20030157539、表題:IRAK−Mはtoll様受容体シグナル伝達の負の調節物質である;US20030023993、表題:Toll/インターロイキン−1受容体アダプタータンパク質(TIRAP);およびUS20020061312、表題:先天性免疫系指向性ワクチン;これらのそれぞれをそこに開示されるすべてについて全体として本明細書に援用する。ある態様において、前記に援用した参考文献中の情報の一部には、免疫刺激タンパク質または作用物、抗原、融合タンパク質、送達技術、投与計画などが含まれる。
【0044】
[0047] 本発明に有用な他の物質には、下記のものを含めることができる:米国特許番号7,060,284、これは特に免疫系を刺激するための、およびHER−2タンパク質の過剰発現に関連する悪性疾患を処置するための、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを含む組成物について考察している; Brennan, et al.,”Cowpea Mosaic Virus as a Vaccine Carrier of Heterologous Antigens,”Mol. Biotechnol. 17(1): 15-26 (2001)、これは特にヘテロロガス抗原のキャリヤーとしてのキメラウイルス粒子について考察している;米国特許番号6,060,064、Adamsらに付与、これは特にワクチンとして使用するための免疫原アミノ酸配列をディスプレーするために用いるタンパク質キャリヤーの使用について記載している;米国特許番号6,086,881、Freyらに付与、これは特に金属酸化物粒子を含む他の多価ワクチン構築体について記載している;米国特許番号5,686,113、Speakerらに付与、これは特に合成によらない多糖類ベースのスペルミン、アルギネートカプセルについて記載している;米国特許番号6,326,021、Schwendemanらに付与、これは特に合成によるポリラクチド−co−グリコリドの生体適合性ベースのポリマーについて記載している;米国特許番号5,709,879、Barchfeldらに付与;6,342,226、Betbederらに付与;6,090,406、Popescuらに付与;ならびにLian, et al., Trends and Developments in Liposome Drug Delivery Systems, J. of Pharma. Sci. 90(6): 667-680 (2001)、およびvan Slooten, et al., Liposomes Containing Interferon-gamma as Adjuvant in Tumor Cell Vaccines, Pharm Res. 17(1): 42-48 (2000)、これらは特に脂質または他の脂肪酸から製造したワクチンとして使用するためのナノ粒子キャリヤーについて記載している;ならびにKreuter,”Nanoparticles and Microparticles for Drug and Vaccine Delivery,” J. Anat. 189: 503-505 (1996)、これは特に非脂質組成物について記載している;これらのそれぞれをそこに開示されるすべてについて全体として本明細書に援用する。
【0045】
[0048] ”ワクチン”は、抗原、および場合により他の補助分子(ancillary molecule)を含む組成物を表わすことができる;それの目的は、そのような組成物を対象に投与して、特異的にその抗原に対する免疫応答を刺激し、好ましくは対象が将来いつかその抗原に遭遇した際に免疫応答の装着(mounting)をもたらす免疫記憶を生じさせることである。他の補助分子の例は、非特異的免疫刺激分子であるアジュバント、および抗原の薬物動態特性および/または薬力学的特性を改善する他の分子である。一般に、ワクチンは通常、疾患を引き起こす生物(適切に弱毒化または死滅させたもの)または病原性生物のある部分を抗原として含む。弱毒化した生物、たとえば弱毒化したウイルスまたは弱毒化した細菌は、それらの自然宿主におけるそれらの増殖能の一部または全部を失うように操作されている。現在では、ワクチンの製造のために用いられる広範なバイオテクノロジー方法がある(たとえばW. Bains (1998) Biotechnology From A to Z, Second Edition, Oxford University Press参照);これの全体を本明細書に援用する。
【0046】
[0049] ”抗原”は、適応免疫系の抗原受容体によって特異的に認識される物質を表わす。たとえば、本明細書中で用いる用語”抗原”には、抗原、抗原の免疫原性である誘導体または部分、および抗原に由来する免疫原性分子が含まれる。好ましくは、本発明に使用する抗原は単離された抗原である。本発明に特に有用な抗原には、病原体関連、アレルゲン関連または疾病関連であるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
[0050] 抗原は、インビボまたはインビトロで、幾らかの潜伏期(ヒトにおいては、普通は数日ないし数週間)の後、感受性および/または免疫応答性の状態を誘導し、感作された対象の抗体および/または免疫細胞と証明可能な形で反応するいずれかの物質でもある。抗原の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:微生物関連抗原、特に病原体、たとえばウイルス、真菌もしくは細菌の抗原、またはそれらに由来する免疫原分子;細胞性抗原:正常な移植抗原および/または腫瘍関連抗原を含む細胞が含まれる;RR Rh抗原;特定の細胞または組織または体液に特徴的または特異的な抗原;ならびにアレルゲン関連抗原、たとえば環境アレルゲン(たとえば、牧草(grasses)、花粉、カビ、塵埃、昆虫および鱗屑)、職業性抗原(たとえば、ラテックス、鱗屑、ウレタン、エポキシ樹脂)、食物(たとえば、貝、ピーナッツ、卵、乳製品)、薬物(たとえば抗生物質、麻酔薬)、およびワクチン(たとえばインフルエンザワクチン)に関連するもの。
【0048】
[0051] 抗原プロセシング、およびディスプレーされたペプチドのTリンパ球による認識は、抗原の三次元構造よりむしろ、大部分は抗原のアミノ酸配列に依存する。したがって、本発明のナノ粒子ワクチンに用いる抗原部分は、配列全体よりむしろ、目的とするエピトープまたは特異的ドメインを含むことができる。事実、本発明のナノ粒子ワクチンの抗原性部分は、抗原全体よりむしろ、抗原の1以上の免疫原部分または誘導体を含むことができる。さらに、本発明のナノ粒子ワクチンは、抗原の空間エピトープに対する抗体応答を発生させるために、無傷の三次元構造をもつ抗原全体、または抗原の抗原決定基の三次元構造を保持する部分を含むことができる。
【0049】
[0052] 病原体関連抗原。病原体関連抗原の具体例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:下記のものからなる群から選択される抗原:ワクシニア、アビポックスウイルス、七面鳥インフルエンザウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、鳥インフルエンザウイルス、ニワトリ肺ウイルス症(pneumovirosis)ウイルス、イヌパルボウイルス、ウマインフルエンザ、FHV、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、ニワトリ/ペンシルベニア/1/83インフルエンザウイルス;感染性気管支炎ウイルス;デング熱ウイルス、麻疹(measles)ウイルス、風疹ウイルス、仮性狂犬病、エプスタイン−バーウイルス、HIV、SIV、EHV、BHV、HCMV,ハンターン(Hantaan)、破傷風菌(C.tetani)、流行性耳下腺炎、麻疹ウイルス(Morbillivirus)、単純疱疹ウイルス1型、単純疱疹ウイルス2型、ヒトサイトメガロウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、呼吸系発疹ウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザウイルス、サルモネラ(Salmonella)、ナイセリア(Neisseria)、ボレリア(Borrelia)、クラミジア(Chlamydia)、ボルデテラ(Bordetella)、およびプラスモジウム(Plasmodium)およびトキソプラズマ(Toxoplasma)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ジフテリア(Diptheria)、破傷風(Tetanus)菌、百日咳(Pertussis)菌、エシェリキア(Escherichia)、カンジダ(Candida)、アスペルギルス(Aspergillus)、体内寄生性アメーバ(Entamoeba)、ジアルジア(Giardia)、ならびにトリパノソーマ(Trypanasoma)。
【0050】
[0053] 癌関連抗原。本発明の方法および組成物は、腫瘍関連タンパク質抗原、たとえば黒色腫関連抗原、乳癌関連抗原、結腸直腸癌関連抗原、前立腺癌関連抗原などに対抗するワクチンの製造にも使用できる。
【0051】
[0054] そのようなワクチンに有用な腫瘍関連または組織特異的タンパク質抗原の具体例には、前立腺特異的抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、Her−2、上皮増殖因子受容体、gpl20、およびp24からなる群から選択される抗原が含まれるが、これらに限定されない。腫瘍が増殖性および悪性の細胞を生じるためには、それらは血管新生性にならなければならない。腫瘍の血管新生を阻止する方策は治療法になる可能性をもつ。本発明の方法および組成物は、腫瘍の血管新生に対抗するナノ粒子ワクチンの製造にも使用できる。そのようなナノ粒子ワクチンのターゲット抗原の例は、血管内皮増殖因子、血管内皮増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子および線維芽細胞増殖因子受容体などである。
【0052】
[0055] アレルゲン関連抗原。本発明の方法および組成物は、アレルギーおよび喘息の予防および治療にも使用できる。本発明によれば、1以上のタンパク質アレルゲンを1以上のナノ粒子または免疫刺激作用物に連結させて、作用物/抗原キメラ構築体を調製し、そしてその抗原に対してアレルギー性である対象に投与することができる。したがって、本発明の方法および組成物は、アレルギー反応を抑制しうるナノ粒子ワクチンの構築にも使用できる。
【0053】
[0056] 本発明の方法および組成物に有用なアレルゲン関連タンパク質抗原の具体例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:花粉に由来するアレルゲン、たとえば樹木、たとえば杉(Japanese cedar)(スギ属(Cryptomeria)、スギ(Cryptomeria japonica))、牧草(Gramineae)、たとえば鴨萱(オーチャードグラス)(orchard−grass)(カモガヤ属(Dactylis),カモガヤ(Dactylis glomerata))、雑草(weed)、たとえば豚草(ragweed)(ブタクサ属(Ambrosia)、ブタクサ(Ambrosia artemisiifolia));花粉アレルゲンの具体例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:スギ花粉アレルゲンCry j 1(J. Allergy Clin. Immunol. (1983) 71: 77-86)およびCry j 2(FEBS Letters (1988) 239: 329-332);これらの全体を本明細書に援用する;ならびにブタクサアレルゲンAmb a I.1、Amba I.2、Amb a I.3、Amnb a I.4、Amb a IIなど;真菌(アスペルギルス属(Aspergillus)、カンジダ属(Candida)、アルテルナリア属(Alternaria)など)に由来するアレルゲン;ダニに由来するアレルゲン(ヤケチリダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)、コナチリダニ(Dermatophagoides farinae)などに由来するアレルゲン;ダニアレルゲンの具体例には、Der p I、Der p II、Der p III、Der p VII、Der f I、Der f II、Der f III、Der f VIIなどが含まれる);ハウスダスト;動物の皮膚片、糞および毛に由来するアレルゲン(たとえば、ネコアレルゲンFel d I);昆虫に由来するアレルゲン(たとえば、ガ、チョウ、ユスリカ科(Chironomidae)などの鱗毛または鱗粉、スズメバチ科(Vespidae)、たとえばオオスズメバチ(Vespa mandarinia)の毒);食物アレルゲン(卵、牛乳、食肉、海産食物、マメ類、穀類、果実、ナッツ類および野菜など);寄生生物(たとえば回虫および線虫、たとえばアニサキス属(Anisakis))に由来するアレルゲン;ならびにタンパク質またはペプチドをベースとする薬物(たとえばインスリン)。
【0054】
[0057] 他の疾病抗原。本発明においては、癌、アレルギーおよび喘息以外の疾病に関連する抗原に対抗するナノ粒子ワクチンも考慮される。多数のうちの限定ではない一例として、ベータ−アミロイド前駆タンパク質のタンパク質開裂産物、”アミロイドベータペプチド”と呼ばれるものの細胞外蓄積は、アルツハイマー病の病因と関連する(Janus et al., Nature (2000) 408: 979-982; Morgan et al., Nature (2000) 408: 982-985);それらの全体を本明細書に援用する。したがって、本発明のナノ粒子ワクチン中に用いるキメラ構築体は、アミロイドベータペプチド、またはアミロイドベータペプチドの抗原性ドメインを構築体の抗原部分として含むことができる。
【0055】
[0058] ”免疫増強作用物(immuno enhancement agent)”または”免疫刺激作用物(immuno stimulatory agent)”または”作用物(agent)”は、微生物中にみられるがヒトにはみられない分子パターンであって、先天性免疫応答を誘発することができるものを意味することができる。したがって、本明細書中で用いる前記の用語は、そのような微生物分子パターンをいずれも含み、病原性の微生物(microorganismまたはmicrobe)に関連するものに限定されない。本明細書中で用いる前記の用語には、先天性免疫応答の潜在的イニシエーターである構造体またはその誘導体が含まれる。免疫刺激構造体は、下記を含めた分子(それらに限定されない)にみられるか、またはそれからなる:リポ多糖類;ホスファチジルコリン;サイトカインアジュバント;グリカン:ペプチドグリカンを含む;テイコ酸(teichoic acid)類:リポテイコ酸(lipoteichoic acid)類を含む;タンパク質:リポタンパク質およびリポペプチドを含む;細菌細胞壁の外膜タンパク質(OMP)、外面タンパク質(OSP)および他のタンパク質成分;細菌DNA;一本鎖および二本鎖ウイルスRNA;非メチル化CpG−DNA;マンナン;マイコバクテリア膜;ポーリン(porin)類;ならびに多様な他の細菌および真菌の細胞壁成分:酵母にみられるものを含む。
【0056】
[0059] 本明細書中で用いる免疫刺激作用物は、大きな微生物グループが共有する明確に区別される分子構造体である。それらはしばしば保存された微生物代謝産物であり、抗原変動性を受けず、自己抗原とは区別される;参照:Medzhitov et al. (1997) Current Opinion in Immunology 9: 4;それの全体を本明細書に援用する。
【0057】
[0060] 免疫刺激作用物は、下記のタイプの分子(それらに限定されない)からなるか、またはそれらにみられる:リポ多糖類(LPS)、ポーリン類、脂質A−関連タンパク質(LAP)、リポ多糖類、線毛タンパク質(fimbrial protein)、非メチル化CpGモチーフ、細菌DNA、二本鎖ウイルスRNA、マンナン、細胞壁関連タンパク質、熱ショックタンパク質、糖タンパク質、脂質、細胞表面多糖類、グリカン(たとえばペプチドグリカン)、ホスファチジルコリン、テイコ酸類(たとえばリポテイコ酸類)、マイコバクテリア細胞壁成分/膜、細菌リポタンパク質(BLP)、外膜タンパク質(OMP)、および外面タンパク質A(Osp A)。他の有用なアジュバントは下記に示されている:Henderson et al. (1996) Microbiol. Review 60: 316; Medzhitov et al (1997) Current Opinion in Immunology 9: 4-9); The European Medicines Agency Evaluation of Medicines for Human Use, January 20, 2005, http://www.emea.europa.eu/pdfs/human/vwp/13471604en.pdf;これらそれぞれの全体を本明細書に援用する。
【0058】
[0061] 本発明の1態様において、本発明の好ましい免疫刺激作用物には、DNAコードタンパク質成分を含むもの、たとえばBLP、ナイセリア(Neisseria)ポーリン、OMPおよびOspAが含まれる。本発明に使用する免疫刺激作用物のひとつはBLPである;BLPは先天性免疫応答の活性化を誘導することが知られており(Henderson et al. (1996) Microbiol. Review 60: 316)、免疫系により認識されることが示されている(Aliprantis et al. (1999) Science 285: 763)からである;これらそれぞれの全体を本明細書に援用する。
【0059】
[0062] 本発明には、同一または異なる組成の多数のナノ粒子を大規模バッチ法または連続法で作製することによって複数の免疫増強作用物、抗原、および/またはターゲティング剤をスクリーニングする方法も含まれる。ナノ粒子は、ナノ粒子の組成物全体として作用物/抗原のみを含有することができ、あるいは作用物/抗原の組合わせを、目的とするインビボ活性を提供しうる第3組成物と混合し、またはそれに包み込む(encase)ことができる。そのような目的とするインビボ活性には循環時間の延長、分解からの遮蔽、望ましくない免疫応答からの遮蔽、細胞膜の通過、細胞内分解、その組合わせなどを含めることができるが、それらに限定されない。さらに、抗原からナノ粒子を作製し、次いで作用物をナノ粒子と結合させ、あるいはターゲティング剤をナノ粒子とカップリングさせることができる。スクリーニング方法のひとつにおいて、リンカー基、たとえば第一級アミン、ヒドロキシル基、スルフィド、カルボン酸などを含むマトリックスから、目的抗原を含有する大量のナノ粒子を作製することができる。次いで、抗原含有粒子のサブセットに、これらのリンカー基により、当技術分野で既知の有機化学を用いて免疫増強作用物を化学的または物理的にカップリングさせることができる。これらの粒子は、粒子を型から採集した後に溶液状または乾燥粉末状で機能化するか、あるいはコンビナトリアル様式で粒子のアレイ上において直接機能化することができる。この方法により、1以上の異なる免疫調節剤を制御された密度、比率および位置で表面に含むように粒子を機能化することができる。この表面機能化された粒子のライブラリーを、次いで適切なインビトロまたはインビボモデルにおいてスクリーニングして、目的とする抗原に最適な免疫増強作用物、作用物の組合わせ、および相対濃度を決定することができる。他のスクリーニング方法には、表面の免疫増強作用物のほか粒子内の抗原濃度の変更が含まれる。
【0060】
[0063] 他の態様において、本発明のナノ粒子ワクチンは、対象を抗体の存在についてスクリーニングするために、あるいは一連の多様な刺激作用物/抗原の組合わせナノ粒子を試料に対してスクリーニングして抗体の存在もしくは不存在または刺激作用物/抗原の組合わせの機能を判定するために使用できる。ナノ粒子は、目的とする抗体と接触した際に検出可能であるかまたは信号を発する物理的または化学的変化を生じる成分を用いて構築できる;たとえば、ナノ粒子はバイオセンサーを含むか、またはバイオセンサーであってもよく、それはナノ粒子が特異的ターゲットに結合した際に誘発可能である。したがって、刺激作用物−対−抗原の異なる組合わせおよび/または比率をもつ多様な組合わせのナノ粒子を対象に投与し、または試料に適用して、抗体の存在、または抗原/刺激作用物の組合わせの機能もしくは実用性を検出することができる。
【0061】
[0064] ある態様においては、本発明のナノ粒子を用いて、生物または試料に由来する特定の細胞またはタンパク質を引き付け、結合し、フラギング(flagging)または濾過を容易にすることができる。そのような態様によれば、細胞、タンパク質またはウイルスに特異的な結合剤、たとえば捕獲リガンドを用いて、ナノ粒子を構築することができる;これは、いったん結合するとそのような細胞、タンパク質またはウイルスを非自己としてフラギングすることができ、したがってその細胞、タンパク質またはウイルスを生物から分離するのが容易になる。他の態様において、ナノ粒子は、目的とする免疫系成分を刺激してナノ粒子の方向または周囲に集合、凝集または移行させる免疫刺激作用物を含むことができ、これにより、ナノ粒子の捕獲リガンドが免疫系細胞と結合し、非自己としてフラギングし、その結果その細胞を対象から分離するのが容易になる。ある態様において、認識されないタンパク質コートで遮蔽された自己の細胞またはタンパク質またはウイルスをフラギングする方法は、自己作用物と結合したナノ粒子を現時点では非自己作用物として免疫系が認識するのを容易にし、これにより抗原を対象から分離するのを容易にすることによって、対象を処置することができる。
【0062】
[0065]
【実施例】
【0063】
[0066] 以下の実施例は、本明細書に開示する主題の代表的な態様を当業者が実施するための指針を提供するために含まれる。以下の実施例が例示にすぎないこと、ならびに本明細書の開示内容および一般的な技術水準を考慮して本明細書に開示する対象事項の範囲から逸脱することなく多数の変更、改変および入れ替えを採用できることを、当業者は認識することができる。
【0064】
[0067] 実施例1.粒子の作製および分析法
[0068] タンパク質の修飾:タンパク質を、[スクシンイミジル 2−(ビオチンアミド)−エチル−1,3’−ジチオプロピオネート](分解性ジスルフィドビオチンリンカー)またはスルホスクシンイミジル−6−[ビオチンアミド]ヘキサノエート(非分解性ビオチンリンカー)で、下記の標準法により修飾した。
【0065】
[0069] Wyoming H3 HA:(Protein sciences):Wyoming HA溶液(120μg/mL,1.75mL,全タンパク質210μg)を、14.2μLの10mM[スクシンイミジル 2−(ビオチンアミド)−エチル−1,3’−ジチオプロピオネート](6mgを1mLのHOに溶解したもの)で処理した。混合物を30分間振とうし、次いで10 MWCO γ線照射slide−a−lyzerカセット(Pierce)を用いる透析により精製した。試料を150mLのHOに対して透析し、これを30分間隔で7回交換した。次いでタンパク質を透析カセットから回収し、粒子修飾に用いた。
【0066】
[0070] 組換えマウスIL−12:(eBiosciences):マウスIL−12溶液(400μg/mL,5μL,全タンパク質2μg)を、0.3μLの10mM[スクシンイミジル 2−(ビオチンアミド)−エチル−1,3’−ジチオプロピオネート](6mgを1mLのHOに溶解したもの)で処理した。混合物を30分間振とうし、次いで0.025μmのニトロセルロース膜(Millipore)を用いる滴下透析により精製した。試料を膜に乗せ、これを50mLのHO上に浮遊させ、30分間透析した。次いでタンパク質を透析膜から回収し、粒子修飾用にHOで4倍希釈した。
【0067】
[0071] PEG粒子の作製および修飾:PRINT法により、目的とするサイズおよび形状のキャビティーを備えたFluorocur型を用いて粒子を作製した。型に、20重量%の2−アミノエチルメタクリレート塩酸塩、79重量%のポリエチレングリコールジメタクリレート(MW 約1000)、および1%の1−ヒドロキシルシクロヘキシルフェニルケトンを含有するモノマー混合物を充填した。充填した型をPETシートに向けて積層し、次いでUV線露光により硬化させた。硬化した後、型をPETシートから取り除くと、粒子は離脱してPETシート上に残った。粒子をポリエチレンブレードで掻き取ることによりPETシートから溶液(無菌HO)中へ採集した。この粒子懸濁液を遠心(16K x g,10分)によりペレット化し、上清を除去し、次いで70:30 エタノール:水に音波処理により再分散させた。この操作を3回繰り返し、粒子を70%エタノールに10mg/mLで再分散させ、4℃に保存した。
【0068】
[0072] PLGA粒子の作製:HA(FLUVIRIN(登録商標))(Novartis,2008−2009季節型)の表面吸着のためのカチオン性PLGA粒子を、PRINT法により、95:5 PLGA(50:50,0.3i.v.)およびポリ(ジメチルアミノメタクリレート)(MW 約20,000)混合物のDMF中における5重量%溶液を用いて製造した。このポリマー混合物を、80nm x 80nm x 360nmのキャビティーを含むFLUOROCUR(登録商標)(Liquidia Technologies,Inc.,ノースカロライナ州)型で成形した。粒子を遠心により精製し、0.1重量%ポリビニルアルコール溶液中へ再懸濁した。
【0069】
[0073] HAタンパク質(FLUVIRIN(登録商標))を下記により表面に吸着させた:10K MWCO透析膜を用いたHOに対する透析により、まずすべての塩類をタンパク質から除去した。粒子の表面にタンパク質10重量%を付与する目標のために、10μgのタンパク質(100μL)を、200μLの0.1重量%ポリビニルアルコール溶液に懸濁した0.1mgの粒子に添加した。懸濁液を4℃で15分間振とうし、次いで粒子を遠心(16,000 x g,10分)によりペレット化した。上清を除去し、残留タンパク質含量をBCAアッセイにより分析した。次いで、タンパク質濃度が25μg/mLになるように、粒子を0.4mLの0.1重量%ポリビニルアルコール溶液に再分散させた。得られた80nm x 80nm x 360nmのPLGAワクチン粒子を図6に示す。
【0070】
[0074] ビオチン−アビジン化学:粒子を[スクシンイミジル 2−(ビオチンアミド)−エチル−1,3’−ジチオプロピオネート](分解性ジスルフィドビオチンリンカー)またはスルホスクシンイミジル−6−[ビオチンアミド]ヘキサノエート(非分解性ビオチンリンカー)で、下記の標準法により表面修飾した。200nm x 200nm x 200nmの粒子の70%エタノール中における懸濁液(1mL,10mg/mL)をペレット化し、次いで1mLの無水DMFに3回再懸濁した。10mgの[スクシンイミジル 2−(ビオチンアミド)−エチル−1,3’−ジチオプロピオネート]および70mgのトリエチルアミンを0.5mLのDMF中に含有する溶液を粒子懸濁液に添加し、次いで混合物を振とう台に1時間乗せた。次いで混合物を遠心と70%エタノール中への再懸濁(3 x 1mL)の繰返しにより精製し、70%エタノールに懸濁して10mg/mLにした。
【0071】
[0075] 表面機能化:粒子を下記の2工程法でタンパク質によりコートした。ビオチニル化粒子の懸濁液(0.2mL,10mg/mL,70%エタノール中)をペレット化し、1重量%マウスアルブミン溶液または0.1重量%ポリビニルアルコール溶液中で遠心と再懸濁により2回洗浄した。粒子を水性ビヒクル中にそれらの元の体積で再懸濁し、次いで等体積の3mg/mLアビジン溶液を添加した。次いで混合物を室温で15分間振とうした。次いで粒子懸濁液を遠心と水性ビヒクル中への再懸濁により3回精製した。このアビジンコートした粒子を次いでビヒクルに10mg/mLで再懸濁した。
【0072】
[0076] 次いで第2工程において、粒子をHAおよび/またはIL−12でコートした。目的量のタンパク質をエッペンドルフ試験管内のHOに添加し、続いてアビジンコートした粒子を添加した。懸濁液を4℃で15分間振とうし、次いで遠心によりペレット化した。上清を除去し、次いで粒子をビヒクルに再懸濁して、目的量のタンパク質/注射が40μLで行なわれる体積にした。粒子を0.1重量%ポリビニルアルコールに懸濁した場合、上清を残留タンパク質についてBradfordアッセイにより分析した(一般に>95%のタンパク質が上清から除去される)。粒子を1%マウスアルブミンに懸濁した場合、粒子上のアビジンへのビオチニル化タンパク質の結合の化学量論を用いて、粒子の結合容量を間接的に測定した。アビジンコートした粒子を蛍光標識タンパク質(ビオチンとHylite 647の両方で標識したウシIgG)で処理した。粒子をペレット化し、粒子処理の前と後の蛍光強度を比較し、作成した標準曲線に対して検量した。各粒子について結合容量を計算し、次いで、測定した結合容量と同等またはそれ未満の値のHAおよびIL−12を、粒子に付与した。本発明のビオチン−アビジンナノ粒子の模式図を図7に示す。
【0073】
[0077] カチオン性表面吸着:修飾されていない粒子(20%のアミノエチルメタクリレートHCL、79%のPEG1K−ジメタクリレート、1%のHCPK)をエタノール懸濁液からペレット化し、0.1重量%ポリビニルアルコール溶液中で遠心と再懸濁により2回洗浄した。粒子(1mg,10mg/mL)を、HOに対し透析してタンパク質調製物からNaClを除去したHA溶液(10μg,222μL,45μg/mLのもの)に添加した。懸濁液を4℃で15分間振とうし、次いで粒子をペレット化し、0.25mLの0.1重量%ポリビニルアルコールに再懸濁した。上清をタンパク質の存在についてBradfordアッセイにより分析し、>95%のタンパク質が粒子に吸着されていた。組換えマウスIL−12を同様にして単独でまたはHAタンパク質との組合わせで吸着させることができる。
【0074】
[0078] 分析:HA ELISA。標準的なELISA法を用いて抗HA抗体応答を検出した。このアッセイにおいては、96ウェルプレートを50ng/ウェルのヘマグルチニンタンパク質(H3 A/Wyoming/03/2003,Protein Sciences,カタログ番号3006)でコートした。血清試料を系列2倍希釈法で試験した。ヤギにおいて発色するアルカリホスファターゼと共に抗マウスIgG全分子(Sigma,カタログ番号=A3688)を用いて抗体を検出した。このアッセイをSigma Fast(商標)p−ニトロフェニルホスフェート錠(Sigma,カタログ番号N2770−50SET)で発色させ、Molecular Devices SpectraMax M5プレートリーダーで読み取った。
【0075】
[0079] HA/IL12コートした粒子についての抗体染色:IL12が表面に付着した粒子を、IL12に対する標識抗体(抗マウスIL12 PE,BioLegend,カタログ番号505203)に曝露し、洗浄した。粒子は、IL12に対して特異的なこの赤色標識抗体のため、蛍光顕微鏡検査で赤色に見える。
【0076】
[0080] HAが表面に付着した粒子を、HAに対する抗体(抗H3インフルエンザヘマグルチニン−ウサギポリクローナル抗体,Protein Sciences,カタログ番号6100)に曝露した。粒子を洗浄すると、粒子表面に存在するHAに結合した抗体が残った。抗体結合は、緑色標識した抗ウサギ二次抗体(抗ウサギIgG AlexaFluor 488,Invitrogen,カタログ番号A21206)により認識された。過剰の二次抗体を洗浄し、粒子を蛍光顕微鏡検査によりイメージングして、粒子表面のHAの存在の指標となる緑色蛍光を検出した。
【0077】
[0081] IL12およびHAが表面に付着した粒子を、IL12に対する標識抗体(抗マウスIL12 PE,BioLegend,カタログ番号505203)およびHAに対する抗体(抗H3インフルエンザヘマグルチニン−ウサギポリクローナル抗体,Protein Sciences,カタログ番号6100)に曝露した。粒子を洗浄すると、粒子表面に存在するHAに結合した一方の抗体、および表面のIL12に結合した他方の抗体が残った。HA抗体結合は、緑色標識した抗ウサギ二次抗体(抗ウサギIgG AlexaFluor 488,Invitrogen,カタログ番号A21206)により認識された。過剰の二次抗体を洗浄し、粒子を蛍光顕微鏡検査によりイメージングして、粒子表面のHAの存在の指標となる緑色蛍光、および粒子表面のIL12の存在の指標となる赤色蛍光を検出した;図8に示す。
【0078】
[0082] 実施例2:送達されたPRINTタンパク質ワクチン粒子の免疫原性
[0083] HAおよびIL12を表面に含むワクチン粒子(79%のポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、20%のアミノエチルメタクリレートHCl、1%のHCPKからなり、次いで分解性ビオチンリンカーで表面処理したもの)を、それらがインターフェロンガンマを刺激する能力について試験した。第1に、脾細胞をマウス全脾臓(BALB/cマウス,Charles River Laboratoriesから)から分離し、96ウェルプレートに接種した。被験粒子を脾細胞に付与し、一夜インキュベートしておいた。これらの細胞からの上清を、インターフェロンガンマの産生について標準ELISAキット(マウスINFg ELISAキット,eBiosciences,カタログ番号88−7314−77)により分析した。表1に述べるデータは、IL12が粒子上にあり、機能性を保持していることを示す。
【0079】
[0084]
【0080】
【表1】

【0081】
[0085] 表1
[0086] 可溶性タンパク質として、またはワクチン粒子に付着して送達された場合に、インフルエンザHAタンパク質(免疫刺激作用物IL−12を含むもの、および含まないもの)に対して発生する免疫応答を測定するためのインビボ試験法を設計した。架橋ポリエチレングリコール(PEG)ベースのPRINT(商標)粒子(79%のポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、20%のアミノエチルメタクリレートHCl、1%のHCPKからなり、次いで分解性ビオチンリンカーで表面処理したもの)を用いて、HA抗原およびIL−12タンパク質を提示した。HA:IL12は100:1である。
【0082】
[0087] インビボ試験には、Charles River Laboratoriesからの雌BALB/cマウスを用いた。マウスは試験開始時に7週令であった。動物の体重はマウス当たり15〜25gであった。あるグループでは、マウスに筋肉内(IM)用量40uL(脇腹(flank)当たり20uL)の粒子溶液を投与し、したがって各動物は粒子0.150mg上のHAタンパク質2ugを投与された。他のグループでは、動物に40uL(足蹠(footpad)当たり20uL)の粒子溶液を後足蹠注射し、したがって各動物はHAタンパク質2ugを投与された。試験にはグループ当たり3匹の動物を用い、同一用量を投与した。動物に1日目に初回抗原刺激注射し、続いて21日目に追加抗原刺激注射した。0、8、21日目にすべてのグループについて眼窩後放血により血液を採取した。動物を29日目にCO窒息により安楽死させ、全採血により確認した。それぞれの放血血液から血清試料を採取し、ELISAにより抗体価を測定した。
【0083】
[0088] 実施例3.サイズおよび形状による免疫原性の相異
[0089] この試験は、可溶性タンパク質として、または多様なサイズおよび形状のワクチン粒子に付着させて送達した場合に、インフルエンザHAタンパク質に対して発生する免疫応答を評価するために設計された。架橋ポリエチレングリコール(PEG)ベースの(79%のポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、20%のアミノエチルメタクリレートHCl、1%のHCPKからなり、次いでビオチンリンカー表面修飾により処理したもの)PRINT粒子システムを、HA抗原提示のために使用する。
【0084】
[0090] インビボ試験には、Charles River Laboratoriesからの雌BALB/cマウスを用いた。マウスは試験開始時に7週令であった。動物の体重はマウス当たり15〜25gであった。動物に筋肉内(IM)用量40uL(脇腹当たり20uL)の粒子溶液を投与し、したがって各動物はHAタンパク質2ugを投与され、粒子量は結合容量に応じて注射当たり粒子0.08〜0.3mgの範囲にわたっていた。この試験には特定の被験試料のグループ当たり6匹の動物を用いた。動物に1日目に初回抗原刺激注射し、続いて21日目に追加抗原刺激注射した。0および20日目にすべてのグループについて眼窩後放血により血液を採取した。動物を29日目にCO窒息により安楽死させ、全採血により確認した。剖検には血液および脾臓の採取が含まれる。それぞれの放血血液から血清試料を採取し、ELISAにより抗体価を測定した。結果を図2および3に示す。
【0085】
[0091] 実施例4.分解性リンカーと非分解性リンカーの対比:
[0092] この試験は、可溶性タンパク質として、または異なるリンカー基化学を用いてワクチン粒子に付着させて送達した場合に、インフルエンザHAタンパク質に対して発生する免疫応答を評価するために設計された。架橋ポリエチレングリコール(PEG)(79%のポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、20%のアミノエチルメタクリレートHCl、1%のHCPKからなり、次いで分解性ビオチンリンカーで処理したもの)ベースのPRINT粒子システムを、HA抗原提示のために使用する。
【0086】
[0093] インビボ試験には、Charles River Laboratoriesからの雌BALB/cマウスを用いた。マウスは試験開始時に7週令であった。動物の体重はマウス当たり15〜25gであった。動物に筋肉内(IM)用量40uL(脇腹当たり20uL)の粒子溶液を投与し、したがって各動物はHAタンパク質2ugを、粒子の結合容量に応じて0.1〜0.3mgの粒子上において投与された。この試験には特定の被験試料のグループ当たり6匹の動物を用いた。動物に1日目に初回抗原刺激注射し、続いて21日目に追加抗原刺激注射した。0および20日目にすべてのグループについて眼窩後放血により血液を採取した。動物を29日目にCO窒息により安楽死させ、全採血により確認した。剖検には血液および脾臓の採取が含まれる。それぞれの放血血液から血清試料を採取し、ELISAにより抗体価を測定した。結果を図4および5に示す。
【0087】
[0094] 本発明を特定の態様に関して以上に述べたが、本発明の精神および範囲内での改変および置換が当業者に明らかであろう。本発明において特定の態様に属すると同定した個々の要素が本発明の他の態様に含まれる可能性があることも明らかなはずである。本発明はその中心的な属性から逸脱することなく他の具体的形態で実施することができる。したがって、あらゆる観点で、例示および記載した態様および例は例示とみなすべきであって限定とみなすべではなく、本発明の範囲を示すためには特許請求の範囲を参照されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において免疫応答を刺激する方法であって、
抗原とカップリングしたマイクロメートルサイズの粒子を対象に投与することを含み、その際、マイクロメートルサイズの粒子のアスペクト比の増大が免疫応答を増大させる方法。
【請求項2】
マイクロメートルサイズの粒子のアスペクト比が約3:1であり、約1:1のアスペクト比を有する粒子の投与により起きるものより免疫応答が約2〜約3倍大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マイクロメートルサイズの粒子が、約1マイクロメートル×約1マイクロメートル×約3マイクロメートルの寸法を有する粒子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
マイクロメートルサイズの粒子が、約2マイクロメートル×約2マイクロメートル×約6マイクロメートルの寸法を有する粒子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
マイクロメートルサイズの粒子のアスペクト比が約10:1であり、約1:1のアスペクト比を有する粒子の投与により起きるものより免疫応答が約3〜約4倍大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
マイクロメートルサイズの粒子が、約1マイクロメートル×約1マイクロメートル×約10マイクロメートルの寸法を有する粒子を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ナノメートルサイズの粒子にカップリングした抗原により起きる免疫応答を低下させる方法であって、
ナノメートルサイズの粒子のアスペクト比を増大させることを含む方法。
【請求項8】
対象に投与した免疫刺激作用物により起きる免疫応答を実質的に阻害する方法であって、
免疫刺激作用物を対象に投与する前に、免疫刺激作用物を非分解性リンカーにより粒子にカップリングさせることを含む方法。
【請求項9】
該方法により、免疫刺激作用物を対象に初回投与した後の免疫応答が実質的に阻害される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該方法により、免疫刺激作用物を対象に追加抗原刺激投与した後の免疫応答が実質的に阻害される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第1タンパク質を第1速度で放出しかつ第2タンパク質を第2速度で放出するように構築され、かつ1回量で初回抗原刺激能および追加抗原刺激能を備えるように構築された複数の粒子を含む、ワクチン粒子組成物。
【請求項12】
対象において免疫応答を刺激する方法であって、
対象に複数の粒子を投与することを含み、その際、各粒子が免疫刺激作用物およびタンパク質とカップリングしている方法。
【請求項13】
複数の粒子の投与により、粒子とカップリングしていない免疫刺激作用物およびタンパク質の投与により起きるものより抗体価が少なくとも約10倍大きくなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数の粒子の各粒子が、実質的に、約200nm×約200nm×約200nmの寸法を有する粒子を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
実質的に、複数の粒子の各粒子が、約2μm×約2μm×約2μmの寸法を有する粒子を含み、その際、これらの複数の粒子の投与により、粒子とカップリングしていない免疫刺激作用物およびタンパク質の投与により起きるものより抗体価が少なくとも約100倍大きくなる、請求項1に記載の方法。

【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−525477(P2011−525477A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549861(P2010−549861)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/036068
【国際公開番号】WO2009/111588
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(509157410)リクイディア・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】