説明

入力装置

【課題】利便性の向上が図れる入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置3Aは、タッチ面71Aを有するサーフェイス部材7と、タッチ面71Aを外部に露出させる開口部412を有する第1筐体41と、第1筐体41との間でサーフェイス部材7を移動可能に挟持する第2筐体11と、タッチ面71A上の押圧された位置を検出する位置検出手段8と、サーフェイス部材7の移動量が一定量以上となったか否かを検出する移動検出手段9とを備える。サーフェイス部材7は、タッチ面71Aを有する本体71と、本体71外縁から突出する第1突出部721、及び第1突出部721の先端に設けられ第1筐体41側に突出する第2突出部722を有する少なくとも3つの突起部72とを備える。第1筐体41の内面には、サーフェイス部材7の移動に伴う第2突出部722の移動を案内する移動案内部413が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ面が押圧されることで情報の入力を受け付ける入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケースに形成された開口部を介してタッチ面が外部に露出し、タッチ面上で利用者により押圧(操作)された位置を検出するとともに、利用者による押圧に応じて移動可能に構成されたタッチパネルを有する入力装置(画面入力装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の入力装置では、ケースとタッチパネルとの間への異物の挟み込みを防止するために、以下の構造が採用されている。
ケースにおいて、開口部の縁部分には、当該縁部分からタッチパネル側に突出する枠状の内壁が形成されている。
また、タッチパネルのタッチ面には、ケースに形成された内壁と同様に枠状に形成され、当該内壁が挿入される溝を有するリブが取り付けられている。
そして、リブは、タッチ面が押圧された際に、ケースに形成された内壁との間で微小間隔を保ちながら、タッチパネルとともに移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−271307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の入力装置では、例えば、タッチ面の外縁側が強く押圧され、タッチパネルが初期位置に対して傾斜(タッチ面が初期位置に対して傾斜)するように移動した場合には、以下に示すような問題が生じることがある。
すなわち、タッチパネルが傾くと、リブも同様に傾くこととなる。このため、タッチパネルが傾いた場合には、ケースにおける開口部の縁部分から突出する枠状の内壁先端の端縁がリブの溝内面に食い込み、当該タッチパネルが傾いた状態で初期位置に復帰しないといった問題が生じることがある。
したがって、特許文献1に記載の入力装置では、タッチ面を押圧させるにあたって、上記の問題が生じないように、利用者に必要以上に注意させることとなり、利便性の向上が図れない。
【0005】
本発明の目的は、利便性の向上が図れる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の入力装置は、タッチ面を有するサーフェイス部材と、前記タッチ面を外部に露出させる開口部を有する第1筐体と、前記第1筐体との間で、前記タッチ面が押圧される方向に前記サーフェイス部材を移動可能に挟持する第2筐体と、前記タッチ面上の押圧された位置を検出する位置検出手段と、前記タッチ面への押圧による前記サーフェイス部材の移動量が一定量以上となったか否かを検出する移動検出手段とを備え、前記サーフェイス部材は、前記タッチ面を有する本体と、前記本体外縁から突出する第1突出部、及び前記第1突出部の先端に設けられ前記第1筐体側に突出する第2突出部を有する少なくとも3つの突起部とを備え、前記第1筐体及び前記第2筐体の少なくともいずれか一方の内面には、前記タッチ面への押圧による前記サーフェイス部材の移動に伴う前記第2突出部の移動を案内する移動案内部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、タッチ面を有するサーフェイス部材は、上述した少なくとも3つの突起部を有し、利用者によるタッチ面への押圧によって、第2突出部が上述した移動案内部にて案内されながら、第2筐体側に移動する。
このことにより、利用者によるタッチ面への押圧によってサーフェイス部材が初期位置に対して傾斜するように移動した場合には、少なくとも3つの突起部の各第2突出部のみが移動案内部に当接することとなる。
すなわち、サーフェイス部材が傾いた場合であっても、従来の構成に比較して、サーフェイス部材(各第2突出部)と移動案内部との接触面積が小さいため、弱い力でもサーフェイス部材を初期位置に復帰させることができる。
したがって、タッチ面を押圧させるにあたって、利用者に必要以上に注意させることがなく、利便性の向上が図れる。
【0008】
また、例えば、第1突出部がタッチ面との間で段差を有さずに本体外縁に接続されている構成を考えた場合には、第2突出部が第1突出部の先端から第1筐体側に突出するように形成されているので、以下の効果を奏する。
すなわち、サーフェイス部材が第1筐体側に移動した初期位置に位置する状態では、本体(タッチ面)と第1筐体における開口部の縁部分とには、第1突出部からの第1筐体側への第2突出部の突出寸法分だけ、予め隙間が設けられていることとなる。このため、本体と第1筐体における開口部の縁部分との間で塵埃を挟み込み難い構造となり、塵埃を挟み込むことでサーフェイス部材が傾いた状態で初期位置に復帰しないといった現象の発生を抑制できる。
【0009】
本発明の入力装置では、前記第2突出部の角部分は、面取りされていることが好ましい。
本発明では、第2突出部は、角部分が面取りされているので、サーフェイス部材が傾いた場合には、移動案内部に対して略点で接触することとなる。
したがって、サーフェイス部材が傾いた場合でのサーフェイス部材(各第2突出部)と移動案内部との接触面積を大幅に小さくすることができ、サーフェイス部材を初期位置にさらに容易に復帰させることができる。
【0010】
本発明の入力装置では、前記サーフェイス部材は、前記本体外縁から突出するとともに前記本体外縁を囲むように形成され、前記第1突出部に接続する張出部を備え、前記第2突出部の先端は、前記張出部に対して、前記第1筐体側に位置することが好ましい。
本発明では、サーフェイス部材が上述した張出部を備えるので、本体と第1筐体における開口部の縁部分との間から内部に塵埃が侵入した場合であっても、塵埃を張出部上で留まらせることができる。このため、内部への塵埃の侵入を抑制できる。
また、第2突出部の先端は、張出部に対して第1筐体側に位置する。
このことにより、サーフェイス部材が第1筐体側に移動した初期位置に位置する状態では、張出部と第1筐体における開口部の縁部分とには、張出部に対する第1筐体側への第2突出部の突出寸法分だけ、予め隙間が設けられていることとなる。このため、張出部と第1筐体における開口部の縁部分との間で塵埃を挟み込み難い構造となり、塵埃を挟み込むことでサーフェイス部材が傾いた状態で初期位置に復帰しないといった現象の発生を抑制できる。
【0011】
本発明の入力装置では、前記第1突出部は、前記タッチ面に対して前記第2筐体側に位置するように前記本体外縁に接続され、前記本体は、少なくとも一部が前記開口部内に位置するように配設されていることが好ましい。
本発明では、本体は、当該本体外縁に対して上述したように第1突出部が接続されていることで、少なくとも一部が第1筐体における開口部内に位置するように配設されている。
このことにより、例えば、第1突出部がタッチ面との間で段差を有さずに本体外縁に接続されている構成(本体が開口部内に位置しない構成)と比較して、開口部内に位置する本体の少なくとも一部によって、サーフェイス部材と開口部の縁部分との隙間を介して内部に塵埃が侵入することを抑制できる。
【0012】
本発明の入力装置では、前記サーフェイス部材及び前記第2筐体の間には、前記サーフェイス部材を前記第1筐体側に付勢し、前記タッチ面への非押圧時に前記第2突起部の先端を前記第1筐体内面に当接させる付勢部材が配設されていることが好ましい。
本発明では、サーフェイス部材及び第2筐体の間に上述した付勢部材が配設されているので、サーフェイス部材が傾いて少なくとも3つの突起部における各第2突出部が移動案内部に当接した場合でも、サーフェイス部材を容易に初期位置に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態における虚像表示システムを示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるタッチパッドの構成を示す分解斜視図。
【図3】本実施形態におけるサーフェイスシートの一部を拡大した斜視図。
【図4】本実施形態におけるタクトスイッチの配設位置を示す図。
【図5】本実施形態におけるタッチパッドの支持構造を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態におけるフロントケースの裏面側を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔1.虚像表示システムの構成〕
図1は、虚像表示システム1を示す斜視図である。
虚像表示システム1は、図1に示すように、虚像表示装置2と、コントローラー3とを備え、コントローラー3による制御の下、虚像表示装置2を動作させ、観察者に対して虚像による画像光を認識させる。
【0015】
〔2.虚像表示装置の構成〕
虚像表示装置2は、図1に示すように、眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイで構成され、ハーネスHを介してコントローラー3に接続されている。
そして、虚像表示装置2は、ハーネスHを介してコントローラー3から入力した画像信号に基づく画像光を形成し、形成した画像光を虚像として観察者に観察させる。
この虚像表示装置2は、図1に示すように、画像形成装置2Aと、導光板2Bと、リム2Cと、画像形成装置2Aに接続するテンプル2Dとを備える。
なお、画像形成装置2A、導光板2B、及びテンプル2Dは、図1に示すように、左右対称となるように、それぞれ一対設けられている。
【0016】
画像形成装置2Aは、具体的な図示は省略したが、カバー2E内部に、画像光を形成するLCD(Liquid Crystal Display)等の表示素子、ハーネスHを介してコントローラー3と接続し、コントローラー3からの画像信号に基づいて表示素子を駆動させる駆動回路、表示素子にて形成された画像光を平行光として投射する投射レンズ等を有する。
一対の導光板2Bは、図1に示すように、虚像表示装置2を装着する観察者の左目及び右目にそれぞれ対応するようにリム2Cに取り付けられる。
この導光板2Bは、画像形成装置2A(投射レンズ)から投射された画像光を内部に取り込み、取り込んだ画像光を全反射により他方の導光板2Bに近接する側に画像光を導く。そして、導光板2Bは、他方の導光板2Bに近接する側に導いた画像光を、虚像表示装置2を装着した観察者の左目または右目に導く。
【0017】
〔3.コントローラーの構成〕
コントローラー3は、図1に示すように、外装筐体4と、外装筐体4外部に露出する複数の操作ボタン5及びタッチパッド6と、操作ボタン5及びタッチパッド6からの信号に基づいて、画像信号を虚像表示装置2に出力させる制御装置(図示略)等を備える。
外装筐体4は、図1に示すように、フロントケース41及びリアケース42を組み合わせることで構成され、全体略直方体形状を有する。
フロントケース41には、複数の操作ボタン5を外部にそれぞれ露出させる複数のボタン用開口部411と、タッチパッド6のタッチ面71Aを外部に露出させる矩形状のパッド用開口部412とが形成されている。
なお、フロントケース41における裏面(パッド用開口部412の周縁)の構造については、後述するタッチパッド6の支持構造において、詳細に説明する。
【0018】
複数の操作ボタン5は、虚像表示装置2を装着した観察者により押下されるボタンであり、例えば、虚像表示装置2の表示素子に形成させる画像(画像光)の輝度を調整するための操作ボタン、メニュー画面やキーボードを模したキーボード画面等を表示させるための操作ボタン等を備える。そして、操作ボタン5の押下に伴い、外装筐体4内部に配設された回路基板(図示略)上のタクトスイッチ(図示略)が押下され、押下に応じた信号が前記回路基板から前記制御装置に出力される。
【0019】
〔4.タッチパッドの構成〕
図2は、タッチパッド6の構成を示す分解斜視図である。
タッチパッド6は、虚像表示装置2を装着した観察者によりタッチ面71Aが押圧された際に、タッチ面71A上の当該押圧された位置に関する信号を前記制御装置に出力する。
また、タッチパッド6は、具体的には後述するが、フロントケース41及び挟持部材11の間で、当該押圧される方向に沿って移動可能に支持される。
そして、タッチパッド6は、押圧による後述するサーフェイスシート7(後述する静電容量シート8を含む)の移動量が一定量に達した場合に、一定量に達した旨を示す信号を前記制御装置に出力する。
このタッチパッド6は、図2に示すように、サーフェイス部材としてのサーフェイスシート7と、位置検出手段としての静電容量シート8と、移動検出手段としてのタクトスイッチ9(図4参照)とを備える。
【0020】
〔4-1.サーフェイスシートの構成〕
図3は、サーフェイスシート7の一部を拡大した斜視図である。
サーフェイスシート7は、ABS樹脂等の絶縁性材料から構成されたものであり、図1または図2に示すように、タッチ面71Aがパッド用開口部412を介して外部に露出し、観察者により操作される部分である。
このサーフェイスシート7は、図2または図3に示すように、タッチ面71Aを有する本体71と、突起部72と、張出部73とを備え、各部材71〜73が一体形成されたものである。
本体71は、図2に示すように、矩形状の板体で構成されており、フロントケース41側の板面が観察者により押圧されるタッチ面71Aとして機能する。
なお、本体71におけるタッチ面71A側の外縁角部分は、図2または図3に示すように、面取りされている。
また、本体71には、リアケース42側の板面の外縁から垂下する矩形枠状の垂設部71Bが形成されている(図3、図5参照)。
なお、以下では、説明の便宜上、タッチ面71Aの法線方向から見た本体71の4つの辺縁のうち、互いに対向し、複数の操作ボタン5の配設位置に対して近接隔離する方向D(他の左縁7Lまたは右縁7Rに沿う方向D)に交差する一対の辺縁を、上縁7U及び下縁7Dとする(図2、図3)。
【0021】
突起部72は、図2に示すように、本体71における外縁の四隅部分にそれぞれ設けられている。
具体的に、突起部72は、図2に示すように、タッチ面71Aの法線方向から見て、本体71における上縁7U及び下縁7Dの各両端部分にそれぞれ設けられている。
なお、4つの突起部72は、同一の形状を有するものである。
そして、突起部72は、図2または図3に示すように、第1突出部721及び第2突出部722が一体形成されたものであり、略L字形状を有する。
第1突出部721は、垂設部71Bの先端部分から方向Dに沿って突出する。
【0022】
すなわち、第1突出部721は、図3に示すように、タッチ面71Aに対して挟持部材11側に位置するように本体71外縁に接続されている。
そして、第1突出部721は、コントローラー3内部にタッチパッド6が組み込まれた状態で、タッチ面71Aの法線方向から見て、先端側がフロントケース41にて隠れるように配設される(図5参照)。
また、第1突出部721において、フロントケース41側の端面721Aは、図2または図3に示すように、タッチ面71Aに平行となる平坦状に形成されている。
【0023】
第2突出部722は、図2または図3に示すように、第1突出部721の先端に設けられている。
そして、第2突出部722は、フロントケース41側に突出することで、図3に示すように、先端部分722Aが第1突出部721の端面721Aよりもフロントケース41側でタッチ面71Aの平面位置よりも第1突出部721側に位置するように形成されている。
また、第2突出部722は、角部分が面取りされることで、タッチ面71Aの法線方向から見て半円形状を有するとともに(図3)、タッチ面71Aに沿う方向から見た先端部分722Aの断面が略1/4円形状を有するように形成されている(図5参照)。
【0024】
張出部73は、図2または図3に示すように、第1突出部711と同様に垂設部71Bの先端部分からタッチ面71Aに対して平行に突出するとともに、本体71外縁を囲むように形成され、4つの突起部72における各第1突出部721に接続する。
なお、張出部73は、断面形状が第1突出部721の断面形状と同一に設定され、図3に示すように、フロントケース41側の端面731が第1突出部721の端面721Aと面一となるように形成されている。
すなわち、第2突出部722の先端部分722Aは、張出部73に対してフロントケース41側に位置する。
また、張出部73は、第1突出部721と同様に、コントローラー3内部にタッチパッド6が組み込まれた状態で、タッチ面71Aの法線方向から見て、先端側がフロントケース41にて隠れるように配設される。
【0025】
〔4-2.静電容量シートの構成〕
静電容量シート8は、具体的な図示は省略したが、電極層と、制御IC(Integrated Circuit)を搭載する基板層から構成され、サーフェイスシート7の本体71裏面(タッチ面71Aの反対側の面)に貼り付けられる(図5参照)。
この静電容量シート8は、観察者にてタッチ面71Aが押圧された際に、本体71を介して観察者の指との間でコンデンサーを形成し、当該コンデンサーがタッチ面71A上のどの位置に存在するか(タッチ面71A上のどの位置が押圧されたか)を微弱な静電容量の変化として検出する。
そして、静電容量シート8(制御IC)は、タッチ面71A上の押圧された位置に関する信号を前記制御装置に出力する。
前記制御装置は、上記信号を入力することで、タッチ面71A上の押圧された位置(座標)を認識し、虚像表示装置2の前記表示素子に形成させる画像中の対応する位置にマウスポインターを重畳させる。
【0026】
〔4-3.タクトスイッチの構成〕
図4は、タクトスイッチ9の配設位置を示す図である。具体的に、図4は、静電容量シート8の裏面(タッチ面71Aから離間する側の面)を示す図である。
タクトスイッチ9は、図4に示すように、静電容量シート8の裏面において、タッチ面71Aの中心に対向する位置に設けられている。
そして、タクトスイッチ9は、観察者によるタッチ面71Aへの押圧によりサーフェイスシート7の移動量が一定量以上となった場合に、後述する挟持部材11の押付部111に押し付けられてON状態となり、一定量に達した旨を示す信号を前記制御装置に出力する。
なお、タクトスイッチ9は、内部にバネが配設されており、当該バネによる弾性力によって、静電容量シート8及び挟持部材11の間で、サーフェイスシート7をフロントケース41側に付勢する。
【0027】
例えば、観察者は、虚像表示装置2の前記表示素子にキーボード画面が表示されている状態で、タッチ面71A上を指で押圧すると、キーボード画面において、上述したように、タッチ面71A上の押圧された位置に対応する位置にマウスポインターが表示される。
また、観察者は、タッチ面71A上を指で押圧しながら、当該押圧する位置を変更する(タッチ面71A上で指を動かす)ことで、指の動きに合わせてマウスポインターの位置が変更される。
さらに、観察者は、キーボード画面において、マウスポインターの位置をキー入力したいキーの位置に合わせた状態で、さらにタッチ面71Aを押圧すると、タクトスイッチ9がON状態となり、タクトスイッチ9から前記制御装置に信号(サーフェイスシート7の移動量が一定量に達した旨の信号)が出力される。
そして、前記制御装置は、上記信号の入力により、観察者によるキー入力を受け付ける。
なお、タクトスイッチ9は、ON状態となる際に、微小な振動を生じ、観察者にクリック感を与えるものである。
【0028】
〔5.タッチパッドの支持構造〕
図5は、タッチパッド6の支持構造を模式的に示す断面図である。具体的に、図5は、4つの突起部72のうち、対角位置に配設される2つの突起部72を通る平面にてタッチパッド6を切断した断面図である。
上述したタッチパッド6は、図5に示すように、フロントケース41、付勢部材10、及び挟持部材11により、観察者によるタッチ面71Aへの押圧方向に沿って移動可能に支持される。
【0029】
図6は、フロントケース41の裏面側を模式的に示す斜視図である。
フロントケース41の裏面において、パッド用開口部412の周縁部分には、図5または図6に示すように、パッド用開口部412の四隅角位置に対応し、当該裏面から突出する4つの移動案内部413がそれぞれ形成されている。
4つの移動案内部413は、タッチ面71Aの法線方向から見て、4つの第2突出部722を囲むように形成されている。また、移動案内部413は、図6に示すように、タッチ面71Aの法線方向から見て、第2突出部722における半円形状の側面に対応し、円弧状に延びるように形成されている。
そして、サーフェイスシート7は、フロントケース41の裏面側から、4つの第2突出部722を各移動案内部413に合わせるように組み込むことで、フロントケース41に対して位置決めされる。
【0030】
付勢部材10は、シリコーンゴム等の弾性部材で構成され、図4に示すように、静電容量シート8の裏面において、四隅位置にそれぞれ取り付けられている。
なお、4つの付勢部材10は、図4に示すように、同一の形状を有するものである。
そして、付勢部材10は、図4に示すように、静電容量シート8の裏面に取り付けられる円板状の基部10Aと、基部10Aの中心位置から突出し、挟持部材11に当接する略円柱状の凸部10Bとを備え、静電容量シート8及び挟持部材11の間で、サーフェイスシート7をフロントケース41側に付勢する。
なお、凸部10Bの先端は、図4または図5に示すように、球面状に形成されている。
【0031】
挟持部材11は、図2または図5に示すように、略矩形板状に形成され、フロントケース41の裏面に固定されることで、フロントケース41との間でサーフェイスシート7(静電容量シート8を含む)を移動可能に挟持する。
この挟持部材11において、タクトスイッチ9に対向する位置には、図2または図5に示すように、フロントケース41側に膨出し、タクトスイッチ9を押下するための押付部111が設けられている。
【0032】
そして、サーフェイスシート7は、上述した支持構造により、図5に示すように、フロントケース41及び挟持部材11の間で、タクトスイッチ9及び付勢部材10による付勢力により、フロントケース41側に付勢され、第2突出部722の先端部分722Aがフロントケース41の裏面に当接した状態(初期位置に位置する状態)となる。
また、この状態では、サーフェイスシート7は、図5に示すように、タッチ面71Aがパッド用開口部412内部に位置するように配設される。
そして、上述した状態において、観察者によりタクトスイッチ9及び付勢部材10の付勢力に抗してタッチ面71Aが押圧されると、4つの第2突出部722が各移動案内部413にて案内されながら、サーフェイスシート7が外装筐体4内部に向けて移動することとなる。
また、観察者がタッチ面71Aへの押圧を止めた場合には、サーフェイスシート7は、タクトスイッチ9及び付勢部材10の付勢力により、初期位置に復帰する。
【0033】
なお、上述したフロントケース41は、本発明に係る第1筐体に相当する。また、挟持部材11は、本発明に係る第2筐体に相当する。
また、上述したタッチパッド6、フロントケース41、挟持部材11、及び付勢部材10は、本発明に係る入力装置3A(図2、図5)に相当する。
【0034】
上述した実施形態によれば、以下に示す効果がある。
本実施形態では、サーフェイスシート7は、4つの突起部72を有し、観察者によるタッチ面71Aへの押圧によって、第2突出部722が移動案内部413にて案内されながら、外装筐体4内部に移動する。
このことにより、観察者によるタッチ面71Aへの押圧によってサーフェイスシート7が初期位置に対して傾斜(タッチ面71Aが初期位置に対して傾斜)するように移動した場合には、4つの突起部72の各第2突出部722のみが各移動案内部413に当接することとなる。
すなわち、サーフェイスシート7が傾いた場合であっても、サーフェイスシート7(各第2突出部722)と移動案内部413との接触面積が小さいため、弱い力でもサーフェイスシート7を初期位置に復帰させることができる。
したがって、タッチ面71Aを押圧させるにあたって、観察者に必要以上に注意させることがなく、利便性の向上が図れる。
【0035】
また、第2突出部722は、角部分が面取りされているので、サーフェイスシート7が傾いた場合には、移動案内部413に対して略点で接触することとなる。
したがって、サーフェイスシート7が傾いた場合でのサーフェイスシート7と移動案内部413との接触面積を大幅に小さくすることができ、サーフェイスシート7を初期位置にさらに容易に復帰させることができる。
【0036】
さらに、本体71のタッチ面71Aは、パッド用開口部412内部に位置するように配設されている。
このことにより、例えば、第1突出部721がタッチ面71Aに対してタッチ面71Aの法線方向に段差を有さずに本体71外縁に接続されている構成(本体71がパッド用開口部412内部に位置しない構成)と比較して、パッド用開口部412内部に位置する本体71によって、サーフェイスシート7とパッド用開口部412の縁部分との隙間を介して外装筐体4内部に塵埃が侵入することを抑制できる。
【0037】
また、サーフェイスシート7が張出部73を備えるので、本体71とパッド用開口部412の縁部分との隙間を介して塵埃が侵入した場合であっても、当該張出部73上で塵埃を留まらせることができる。このため、内部への塵埃の侵入を抑制できる。
さらに、第2突出部722の先端部分722Aが張出部73に対してフロントケース41側に位置するので、サーフェイスシート7が初期位置に位置する状態では、張出部73とフロントケース41の裏面とには、第2突出部722の先端部分722Aの突出寸法分だけ、予め隙間が設けられていることとなる。このため、張出部73とフロントケース41の裏面との間で塵埃を挟み込み難い構造となり、塵埃を挟み込むことでサーフェイスシート7が傾いた状態で初期位置に復帰しないといった現象の発生を抑制できる。
【0038】
また、静電容量シート8及び挟持部材11の間に付勢部材10が配設されているので、サーフェイスシート7が傾いて4つの突起部72の各第2突出部722が移動案内部413に当接した場合でも、容易にサーフェイスシート7を初期位置に復帰させることができる。
【0039】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、第1突出部721の端面721Aは、タッチ面71Aとの間で段差を有するようにタッチ面71Aに対して挟持部材11側に位置していたが、これに限らず、タッチ面71Aと第1突出部721の端面721Aとが面一となるように構成(本体71がパッド用開口部412内部に位置しない構成)としても構わない。
【0040】
前記実施形態では、突起部72は、本体71外縁における四隅位置にそれぞれ設けられていたが、その数は、これに限らず、少なくとも3つあればよく、さらに、その形成位置も四隅位置に限らず、その他の位置に設けても構わない。
同様に、タクトスイッチ9や付勢部材10の数や配設位置も前記実施形態で説明した数や配設位置に限らず、その他の数や配設位置で構成しても構わない。
前記実施形態では、第2突出部722の移動を案内する移動案内部413がフロントケース41に形成されていたが、これに限らず、挟持部材11に当該移動案内部を設けても構わない。
また、移動案内部413は、4つの突起部72に対応して、4つ設けられていたが、これに限らず、タッチ面71Aの法線方向から見て4つの突起部72を囲む枠状に形成しても構わない。
【0041】
前記実施形態では、位置検出手段として静電容量シート8を採用していたが、タッチ面71A上の押圧された位置を検出する方式としては、静電容量方式に限らず、その他の方式を採用しても構わない。
例えば、発光素子と受光素子を用いてタッチ面71A上にマトリクス状の光軸を形成し、その光軸の遮断の有無によりタッチ面71A上の押圧された位置を検出する赤外線方式を採用しても構わない。
また、例えば、透明導電性薄膜付きのシートを対向配置し、タッチ面71Aを触れることによりシートが接触した位置を検出する抵抗膜方式を採用しても構わない。
【0042】
前記実施形態では、移動検出手段としてタクトスイッチ9を採用し、当該タクトスイッチ9をタッチ面71Aの中心に対向する位置に設けていたが、これに限らず、サーフェイスシート7の裏面側において、当該サーフェイスシート7の外縁側に複数、設けた構成や、単体の光スイッチまたは複数の光スイッチ等で構成することにより、タッチ面71Aへの押圧によりサーフェイスシート7の移動量が一定量以上となったか否かを検出する構成を採用しても構わない。
【0043】
前記実施形態では、虚像表示装置2に用いられるコントローラー3に入力装置3Aを搭載した構成を説明したが、これに限らず、例えば、パーソナルコンピューター、テレビ、プロジェクター等の他の電子機器に入力装置3Aを搭載しても構わない。
前記実施形態では、入力装置3Aは、虚像表示装置2による画像光を観察者に認識させながら、当該入力装置3Aを操作させる構成としていたが、これに限らず、液晶パネル等の表示装置上に入力装置3Aを配設し、サーフェイスシート7等を介して表示装置に表示された画像を確認させながら入力装置3Aを操作させる構成を採用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、タッチ面が押圧されることで情報の入力を受け付ける入力装置に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
3A・・・入力装置、7・・・サーフェイスシート(サーフェイス部材)、8・・・静電容量シート(位置検出手段)、9・・・タクトスイッチ(移動検出手段)、10・・・付勢部材、11・・・挟持部材(第2筐体)、41・・・フロントケース(第1筐体)、71・・・本体、71A・・・タッチ面、412・・・パッド用開口部、413・・・移動案内部、72・・・突起部、73・・・張出部、721・・・第1突出部、722・・・第2突出部、722A・・・先端部分(第2突出部の先端)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ面を有するサーフェイス部材と、
前記タッチ面を外部に露出させる開口部を有する第1筐体と、
前記第1筐体との間で、前記タッチ面が押圧される方向に前記サーフェイス部材を移動可能に挟持する第2筐体と、
前記タッチ面上の押圧された位置を検出する位置検出手段と、
前記タッチ面への押圧による前記サーフェイス部材の移動量が一定量以上となったか否かを検出する移動検出手段とを備え、
前記サーフェイス部材は、
前記タッチ面を有する本体と、
前記本体外縁から突出する第1突出部、及び前記第1突出部の先端に設けられ前記第1筐体側に突出する第2突出部を有する少なくとも3つの突起部とを備え、
前記第1筐体及び前記第2筐体の少なくともいずれか一方の内面には、
前記タッチ面への押圧による前記サーフェイス部材の移動に伴う前記第2突出部の移動を案内する移動案内部が設けられている
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記第2突出部の角部分は、面取りされている
ことを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の入力装置において、
前記サーフェイス部材は、
前記本体外縁から突出するとともに前記本体外縁を囲むように形成され、前記第1突出部に接続する張出部を備え、
前記第2突出部の先端は、
前記張出部に対して、前記第1筐体側に位置する
ことを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の入力装置において、
前記第1突出部は、
前記タッチ面に対して前記第2筐体側に位置するように前記本体外縁に接続され、
前記本体は、
少なくとも一部が前記開口部内に位置するように配設されている
ことを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の入力装置において、
前記サーフェイス部材及び前記第2筐体の間には、
前記サーフェイス部材を前記第1筐体側に付勢し、前記タッチ面への非押圧時に前記第2突起部の先端を前記第1筐体内面に当接させる付勢部材が配設されている
ことを特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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