説明

入力補助装置、入力補助方法、入力補助プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体

【課題】マウスポインタを必要以上に移動させることなく入力文字を確定できるようにすること。
【解決手段】この入力補助装置において、表示部210は、操作内容を各領域に割り当てた入力パネル212を表示する。次に、操作入力部220は、入力パネル212へのマウスポインタによる入力を受け付ける。次に、循環入力部230は、同一の文字が連続して入力された場合、入力された文字の属する行で現在の文字を循環させる。また、循環入力部230は、先に入力された文字に続いて先に入力された文字と異なる次の文字が入力された場合、先に入力された文字で確定して次の文字が属する行で次の文字を循環させる。文字確定部240は、文字が循環された後に、入力パネル212中の操作内容が割り当てられていない領域が入力された場合、文字を確定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力パネルを使用することにより文字を入力する入力補助装置、入力補助方法、入力補助プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナル・コンピュータからはキーボードにより文字入力することが一般的だが、たとえば携帯電話やタブレットPCなど、入力できるキーの数が限られているもので文字入力する場合、この限られた数のキーを複数回入力させることにより文字入力させるものがある。また、この入力パネルの操作にあたり、画面に入力パネルを表示してこの入力パネル内で指示することにより文字入力するものがある。こうした入力パネルにおいて、たとえば「あ」を3回押して「う」を表示させる構成にすることにより、入力パネルに必要なキーの数を削減している(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−234651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特に同じ行に属する文字を連続して入力したい場合に、通常はカーソル操作などにより文字を確定するための位置をクリックしなければならない。したがって、マウスポインタをカーソルの位置に移動する必要があり、そこで手間が発生するのでユーザーはわずらわしさを感じる。また、マウスポインタの移動にわずかではあっても時間がかかるので、文字入力に時間がかかってしまうという問題が一例として挙げられる。また、カーソルの位置や入力する文字の位置から目が離れてしまった場合に、わずかではあっても探す手間が発生し、テンポよく入力することができないという問題が一例として挙げられる。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、マウスポインタを必要以上に移動させることなく入力文字を確定させることができる入力補助装置、入力補助方法、入力補助プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる入力補助装置は、文字入力を含む操作内容を各領域に割り当てた入力パネルを表示する表示手段と、前記表示手段によって表示された入力パネルへの入力を受け付ける操作入力手段と、前記操作入力手段によって同一の文字が連続して入力された場合、入力された文字の属する行で現在の文字を循環させ、前記操作入力手段によって先に入力された文字に続いて先に入力された文字と異なる次の文字が入力された場合、先に入力された文字で確定して次の文字が属する行で次の文字を循環させる循環入力手段と、前記循環入力手段によって文字が循環した後に、前記操作入力手段によって前記入力パネル中の操作内容が割り当てられていない領域が入力された場合、前記現在の文字で確定させる文字確定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この請求項1の発明によれば、所定の文字が入力された後に、入力パネル中の操作内容が割り当てられていない領域を入力することにより現在の文字を確定させることができる。それにより、マウスポインタの操作を最小限にしながら入力した文字を確定することができる。したがって、文字入力に伴うわずらわしさを軽減し、文字入力に要する時間を短縮することができる。
【0008】
また、請求項2の発明にかかる入力補助装置は、請求項1に記載の発明において、前記循環入力手段または前記文字確定手段によって確定された文字からなる文字列について単語を確定し、確定した単語を前記ウィンドウのテキスト入力部分に入力する単語確定手段を備えることを特徴とする。
【0009】
この請求項2の発明によれば、入力された文字列を単語として確定してテキスト入力部分に移すことができる。そして、文字入力にともなう手間および時間を最小限にして文字を入力し、入力した文字を、たとえば予測候補、変換候補、または入力した文字列そのものを単語として確定して出力することができる。
【0010】
また、請求項3の発明にかかる入力補助装置は、請求項1または2に記載の発明において、前記文字確定手段は、マウスがクリックされたときのマウスポインタの位置に、クリック時の処理が割り当てられていない場合、前記循環入力手段によって循環された現在の文字で確定することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明によれば、処理が割り当てられていない位置にマウスポインタをおいてクリックした場合に、文字を確定することができる。それにより、マウスポインタを必要以上に操作することなく文字を確定することができ、文字入力にともなう手間や時間を最小限にすることができる。
【0012】
また、請求項4の発明にかかる入力補助装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記文字確定手段は、マウスがクリックされたときのマウスポインタの位置に、クリック時の処理が割り当てられていないとともに、前記循環入力手段によって文字が循環されていない場合、文字の確定処理を実行しないことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明によれば、文字が循環していない間の不要な文字の確定処理の実行を回避することができる。
【0014】
また、請求項5の発明にかかる入力補助装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記表示手段は、ウィンドウのテキスト入力部分がマウスポインタによって指示された場合に、前記入力パネルを表示することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明によれば、必要な場合にのみ入力パネルを表示させるので、必要以上に画面を占拠することが回避できる。
【0016】
また、請求項6の発明にかかる入力補助装置は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記文字確定手段は、前記循環入力手段によって文字が循環した後に、前記操作入力手段によって前記入力パネル中の確定操作が割り当てられた領域が入力された場合、前記現在の文字で確定させることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明によれば、確定操作が割り当てられた領域を入力することによっても文字を確定させることができる。したがって、使用者は、所望の領域への入力によって文字を確定させることができる。
【0018】
請求項7の発明にかかる入力補助方法は、文字入力を含む操作内容を各領域に割り当てた入力パネルを表示する表示工程と、前記表示工程によって表示された入力パネルへの入力を受け付ける操作入力工程と、前記操作入力工程によって同一の文字が連続して入力された場合、入力された文字の属する行で現在の文字を循環させ、前記操作入力工程によって先に入力された文字に続いて先に入力された文字と異なる次の文字が入力された場合、先に入力された文字で確定して次の文字が属する行で次の文字を循環させる循環入力工程と、前記循環入力工程によって文字が循環した後に、前記操作入力工程によって前記入力パネル中の操作内容が割り当てられていない領域が入力された場合、前記現在の文字で確定させる文字確定工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
この請求項7の発明によれば、所定の文字が入力された後に、入力パネル中の操作内容が割り当てられていない領域を入力することにより現在の文字を確定させることができる。それにより、マウスポインタの操作を最小限にしながら入力した文字を確定することができる。したがって、文字入力に伴うわずらわしさを軽減し、文字入力に要する時間を短縮することができる。
【0020】
請求項8の発明にかかる入力補助プログラムによれば、請求項7に記載の入力補助方法をコンピュータに実行させることができる。
【0021】
また、請求項9の発明にかかるコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、請求項8に記載の入力補助プログラムをコンピュータが読み出して実行することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる入力補助装置、入力補助方法、入力補助プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体によれば、所定の文字が入力された後に、入力パネル中の操作内容が割り当てられていない領域を入力することにより現在の文字を確定させることができる。それにより、マウスポインタの操作を最小限にしながら入力した文字を確定することができる。したがって、文字入力に伴うわずらわしさを軽減し、文字入力に要する時間を短縮することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる入力補助装置、入力補助方法、入力補助プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態)
図1は、この発明の実施の形態による入力補助装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図中、CPU101は装置全体を制御する。ROM102は基本入出力プログラムを記憶する。RAM103はCPU101のワークエリアとして使用される。
【0025】
また、HDD(ハードディスクドライブ)104はCPU101の制御にしたがってHD(ハードディスク)105に対するデータのリード/ライトを制御する。HD105はHDD104の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する。また、FDD(フレキシブルディスクドライブ)106はCPU101の制御にしたがってFD(フレキシブルディスク)107に対するデータのリード/ライトを制御する。FD107は、着脱自在であり、FDD106の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する。
【0026】
また、CD−RWドライブ108はCPU101の制御にしたがってCD−RW(または、CD−R、CD−ROM)109に対するデータのリード/ライトを制御する。CD−RW109は着脱自在であり、CD−RWドライブ108の制御にしたがって書き込まれたデータを記憶する。ディスプレイ110はカーソル、メニュー、ウィンドウ、あるいは文字や画像などの各種データを表示する。
【0027】
また、キーボード111は文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備える。マウス112は各種指示の選択や実行、処理対象の選択、マウスポインタの移動などを行う。また、ネットワークI/F113は、通信ケーブル114を介してLANやWANなどのネットワークに接続され、当該ネットワークとCPU101とのインターフェースとして機能する。バス120は上記各部を接続する。
【0028】
図2は、この発明の実施の形態にかかる入力補助装置の構成を機能的に示すブロック図である。入力補助装置は、表示部210、操作入力部220、循環入力部230、文字確定部240、単語確定部250によって構成される。以上の各構成は、図1に示したCPU101が、ROM102からプログラムを読み出し、RAM103をワークエリアとして使用することにより実現される。
【0029】
表示部210は、ウィンドウを表示する。このウィンドウには、テキストフィールド211が含まれる。テキストフィールド211は、キーボード111によって文字を入力する領域である。ここで、表示部210は、ウィンドウのテキストフィールド211がマウスポインタによって指示された場合に、入力パネル212を表示する。この入力パネル212には、文字入力を含む操作内容が各領域に割り当てられている。ここで表示されて入力パネル212を介して入力することにより、マウス112による文字入力を可能にする。
【0030】
操作入力部220は、表示部210によって表示された入力パネル212への操作入力を受け付ける。マウス112を使ってマウスポインタを操作して所望の位置でクリックされた場合に、操作入力部220は入力パネル212への入力を受け付ける。すなわち入力パネル212は複数の領域によって構成され、この領域のいずれかにマウスポインタをあててクリックすることにより、入力パネル212に対する操作を実行する。このとき、マウスポインタがあてられた位置に対応した操作を実行する。
【0031】
循環入力部230は、操作入力部220によって同一の文字が連続して入力された場合、入力されるごとに入力された文字の属する行で文字を循環させる。一方、操作入力部220によって先に入力された文字に続いて異なる文字が入力された場合、先に入力された文字で確定して次の文字が属する行で文字を循環させる。たとえば、「あ」を入力した場合、入力されるたびに「あ」行で文字を循環させる。また、「あ」行を循環させているときに、引き続いて「か」を入力させたとする。このとき、「あ」行について循環している位置が「う」の場合、この文字を「う」で確定して、次の文字について、「か」行について確定するまで循環させる。
【0032】
このように文字選択をクリック操作によって循環させる場合について説明したが、マウスで左クリックと右クリックの両方が操作できるものの場合、上述の循環操作を左クリックによって実行することができる。その一方で、右クリック操作により、入力した文字を一文字削除することもできる。それにより、誤った文字を入力した場合でも、削除キーの位置までマウスポインタを移動して、再び修正入力する文字のキーの位置までマウスポインタを戻す必要がなくなる。それにより、削除操作に伴うマウスポインタの操作を最小限にすることができる。したがって、削除操作によるわずらわしさを軽減し、文字を削除して適切な文字を入力し直すのに要する時間を短縮することができる。
【0033】
右クリック操作については削除操作を割り当てる場合を説明したが、文字選択を上述の順送りの形で循環させるだけではなく、右クリック操作により逆送りの形で循環させる操作を割り当てることもできる。たとえば、「あ」「い」「う」・・、と左クリックによって循環させる一方で、右クリックした場合は、「う」「い」「あ」・・、と逆に循環させる。このように左右クリックで前後に循環させることができるので、選択する文字が行き過ぎた場合でも、元に戻して選択することができる。それにより、必要以上にクリックし続けることによるストレスをなくすことができ、また文字入力における時間を短縮することもできる。
【0034】
文字列235は、この循環入力部230または文字確定部240の操作によって文字を確定していくことにより作成される。単語として確定するまでは文字の入力が受け付けられる。そして、作成された文字列に入力された文字を続けていくことにより文字列235が作られる。そして単語として確定された場合、文字列235は単語としてテキストフィールド211に送られ消去される。単語として確定しない場合でも、入力パネル212の操作処理が終了させられた場合、文字列235は消去される。
【0035】
文字確定部240は、操作入力部220によって所定の文字が入力された後に、入力パネル212中の操作が特定されていない位置に入力操作がされた場合、所定の文字の入力操作について文字を確定させる。入力パネル212には、「あ」「か」などの文字ボタンや、改行や文字種の変更などの制御項目が並んでいる。この文字ボタンや制御項目はすき間なく並んでいるのではなく、後述するが、それぞれ間を空けた状態で並べられている。
【0036】
この間が空けられている位置は文字ボタンでも制御項目でもないので、クリックしても文字を入力するわけでも入力した文字について処理を要求するわけでもない。一方で、「やや」など、同一の行に属する文字を連続して入力したい場合があり、この場合文字を1つずつ確定する必要がある。そこで、この実施の形態では、この間が空けられている位置をクリックすることにより現在循環させている文字を確定させる。この文字を確定させる処理は、循環させることにより文字入力する場合に頻繁に必要となる一方、確定ボタンまでマウスポインタを移動させるのは、特に回数が多くなると煩雑である。この実施の形態ではこの煩雑さを除去することができるので、文字入力の操作が快適になる。なお、この間が空けられた位置における確定処理は、文字が循環している場合だけであり、文字が循環していない間は入力を受け付けない。本来、処理が割り当てられている領域ではないからである。
【0037】
文字確定部240は、マウス112がクリックされたときのマウスポインタの位置に、クリック時の処理が特定されていない場合、循環入力部230によって循環された現在の位置で文字を確定する。一方、マウス112がクリックされたときのマウスポインタの位置に、クリック時の処理が特定されていない場合でも、操作入力部220によって文字の操作入力がされていない場合は、文字の確定処理を実行しない。確定すべき文字が存在しないからである。
【0038】
単語確定部250は、循環入力部230または文字確定部240によって確定された文字からなる文字列について単語を確定し、確定した単語をウィンドウのテキスト入力部分に入力する。まず、入力された文字列が「あかさ」であった場合について説明する。
【0039】
ここで、入力パネル212の文字列そのものをクリックした場合、この「あかさ」を単語として確定してテキストフィールド211に入力する。また、「あかさ」に対する変換候補の1つは「赤さ」であり、ここで入力パネル212に表示されている「赤さ」をクリックした場合、この「赤さ」を単語として確定してテキストフィールド211に入力する。また、「あかさ」に対する予測候補の1つは「赤坂」であり、ここで入力パネル212に表示されている「赤坂」をクリックした場合、この「赤坂」を単語として確定してテキストフィールド211に入力する。テキストフィールド211に文字列235を単語として入力した後は、入力された文字列235は消去する。
【0040】
図3は、入力パネルの概要を説明する説明図である。ここで、入力パネル212は、ウィンドウ310に重なる形で表示されるが、ウィンドウ310の外側に移動させることもできる。入力パネル212は、ダイアル入力部320、未確定テキスト枠340、予測変換候補表示部350、予測指示部360、変換指示部370によって構成される。
【0041】
入力パネル212のポップアップについて説明する。まず、ウィンドウ310中のテキストフィールド211にマウスポインタを移動し、そこでクリックすると、入力パネル212をポップアップする。ポップアップされた入力パネル212については、マウスポインタを使って指示することにより入力を実行する。入力パネル212内の各部をクリックした場合、クリックした位置に示された内容について処理を実行する。クリックしたままの状態でマウス112を移動した場合、マウス112の移動に沿って入力パネル212の表示位置を移動する。
【0042】
マウスポインタを入力パネル212の外側においてクリックした場合、入力パネル212を閉じる。また、ウィンドウ310で表示されているブラウザ画面をスクロールさせた場合も、入力パネル212を瞬時に消去する。また、ユーザー操作によりテキストフィールド211へのフォーカスを失わせない場合、マウスポインタが入力パネル212から離れた場合、タイマー(図示しない)を作動させて、一定時間経過した後に入力パネル212を消去させることもできる。このようにタイマーを使用した場合、マウスポインタを再びテキストフィールド211に近づけた場合、入力パネル212を再度表示させることができる。この場合、入力途中の文字列は、消去することなく元の状態から再開させる。
【0043】
入力パネル212をポップアップした段階では単語フィールドには、文字が何も入力されていないので予測変換候補表示部350には、変換候補は表示されず、予測候補だけが表示されている。このとき、予測候補として、何も文字が入力されていない段階で予測される単語を選択して表示する。
【0044】
入力パネル212の右側は、ダイアル入力部320である。ダイアル入力部320には文字および入力制御の各部が並べられている。文字入力部330には、「あ・か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ」、の各部が表示されている。この各部をマウスポインタを使ってクリックしていくと、その文字の列に属する範囲内で文字を順番に表示する。
【0045】
すなわち、「あ」を押すと「あ」が表示され、もう一度「あ」を押すと、今度は「い」が表示される。このようにして「う」「え」「お」「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」と順番に表示し、再び「あ」に戻る。「あ」に戻った後は、「い」から再び同様に繰り返していく。また、「か・さ・た・な・は・ま・や・ら・わ」の場合でも、「あ」の場合と同様に、順番に表示していく。たとえば「か」の場合、「き」「く」・・と表示していく。
【0046】
ここで、他の行の文字を指定する場合、直前の文字を確定する。たとえば、「あ」行を操作することにより「う」が表示されている。ここで次に「わ」を押した場合、「う」は決定した文字であるとして未確定テキスト枠340内に入力される。そして、次に「わ」行について文字を選択する。「わ」行を繰り返し押すことにより、選択中の文字が、決定した「う」の次に未決定文字として未確定テキスト枠340に表示される。この文字は、「→」ボタンを押すことにより決定することができる。たとえば、「やや」というように同じ行にある文字を入力する場合があり、その場合は1文字ずつ決定する必要があるからである。
【0047】
ここで、ダイアル入力部320中の文字が表示されていないところをクリックした場合でも、文字を決定することができる。以上のように決定した文字は、順番に未確定テキスト枠340内に表示される。しかし単語として確定されるまではテキストフィールド211には写されない。また、未確定テキスト枠340内に文字を入力している間に入力パネル212の外側が押された場合、文字列235は消去される。すなわち、文字列235は、未確定テキスト枠340内に表示されていても単語としては確定せず、消去される。
【0048】
ここで、ダイアル入力部320の下部の「かな」「英字」「数字」「記号」を入力することにより、ダイアル入力部320に表示される文字の候補が変更される。図3は、ひらがなが選択されている場合を示しているが、「英字」を選択した場合は、「abc」などの英文字が表示される。「数字」を選択した場合は、「123」などの数字が表示される。「記号」を選択した場合は、「“‘^」などの記号が表示される。
【0049】
入力パネル212の上部は未確定テキスト枠340である。未確定テキスト枠340には、マウスポインタによる文字入力を受け付けたときに、入力された文字をここに表示する。たとえば、「あいう」と入力した場合、この未確定テキスト枠340には「あいう」と入力される。この未確定テキスト枠340には、キーボード111からの入力は受け付けず、キーボード111から入力された文字は、そのままテキストフィールド211に入力される。
【0050】
この未確定テキスト枠340には、ダイアル入力部320への入力により入力された文字が表示される。この未確定テキスト枠340に入力された文字列235にしたがって、予測変換候補表示部350に表示される単語が決定される。予測候補を表示するよう設定されている場合、予測変換候補表示部350に予測候補を表示する。変換候補を表示するよう設定されている場合、予測変換候補表示部350に変換候補を表示する。ここで、未確定テキスト枠340をクリックした場合、変換候補または予測候補を単語として選択せずにこの未確定テキスト枠340に入力された文字列235を単語として確定してテキストフィールド211に移す。そしてこの場合、文字列235は消去される。
【0051】
入力パネル212の左側は予測変換候補表示部350で、変換候補または予測候補となる単語を表示し、選択入力を受け付ける。この予測変換候補表示部350の上部には、予測指示部360と変換指示部370がある。最初の段階では予測候補が表示されているが、変換指示部370をマウスポインタでクリックすると、変換候補が表示される。変換候補が表示されているときに予測指示部360をマウスポインタでクリックすると、予測候補が表示される。
【0052】
変換指示部370が指定されている場合、変換候補が表示されるが、変換候補は未確定テキスト枠340に表示された文字列に該当する単語が選択されて表示される。すなわち、未確定テキスト枠340に表示された文字列の読みと一致する単語の一覧が表示される。たとえば、「あい」と入力した場合、「愛」「相」「藍」・・と、該当する単語が表示される。
【0053】
一方、予測指示部360が指定されている場合、予測候補が表示されるが、予測候補は未確定テキスト枠340に表示された文字列から予測される単語が表示される。この予測候補は、未確定テキスト枠340に表示された文字列を含む単語を、使用される頻度などに基づいて順番に並べて表示する。たとえば、「あい」と入力した場合、「あい」「相手」「相変わらず」・・と、該当する単語が表示される。
【0054】
ここで、予測変換候補表示部350に表示された単語から、マウスポインタでクリックすることにより、特定の予測候補または変換候補を選択する。そして予測候補または変換候補が特定された場合、その選択された予測候補または変換候補をテキストフィールド211に入力し、未確定テキスト枠340に表示されている文字列235を消去する。また、ダイアル入力部320の改行キーを入力した場合も同様に、未確定テキスト枠340に表示された文字列235を単語として、テキストフィールド211に入力する。このように、確定を伴う選択入力がされた場合、選択された単語をテキストフィールド211に入力し、未確定テキスト枠340を表示して次の文字または単語の入力を受け付ける。
【0055】
図4は、入力パネルの操作処理を説明するフローチャートである。まず、入力パネル212をポップアップさせる(ステップS401)。すなわち、ウィンドウ310のテキストフィールド211がフォーカスを持っている場合に、このテキストフィールド211をマウスポインタで指したとき、表示部210は、入力パネル212をポップアップして表示させる。
【0056】
次に、操作入力部220は、入力を受け付ける(ステップS402)。すなわち、操作入力部220は、入力パネル212に示される各部をマウスポインタで指してクリックされたか否かを確認し、クリックされた位置の文字や命令を入力として受け付ける。
【0057】
次に、入力は文字列235の作成処理か否かを判定する(ステップS403)。すなわち、操作入力部220によって受け付けられた入力が、文字入力や文字の消去など文字列235の作成に関する処理か否かを判定する。文字列235の作成処理の場合(ステップS403:Yes)、文字列235の作成処理を実行する(ステップS404)。文字列235の作成処理の詳細は、図5において説明する。実行後、ステップS402に戻る。
【0058】
文字列235の作成処理でない場合(ステップS403:No)、表示されている単語がクリックされたか否かを判定する(ステップS405)。表示されている単語としては、予測変換候補表示部350内の予測候補または変換候補がある。また、未確定テキスト枠340に表示された文字列235もある。ここでは、これらのいずれかがクリックされたか否かを判定する。
【0059】
表示されている単語がクリックされた場合(ステップS405:Yes)、クリックした単語を選択する(ステップS406)。予測候補の1つが選択された場合、選択された予測候補を単語として選択する。変換候補の1つが選択された場合、選択された変換候補を単語として選択する。文字列235が選択された場合、文字列235を単語として選択する。
【0060】
そして、選択した単語をテキストフィールド211に移し(ステップS407)、文字列235を消去する(ステップS408)。すなわち、未確定テキスト枠340に入力されていた文字列235を消去する。そして、ステップS402に戻る。
【0061】
表示されている単語がクリックされたのではない場合(ステップS405:No)、入力が改行だったか否かを判定する(ステップS409)。改行の場合(ステップS409:Yes)、テキストフィールド211に改行を入力し(ステップS410)、一連の処理を終了する。テキストフィールド211内に改行を入力するので、たとえば検索サイトの場合、テキストフィールド211にすでに入力されている単語にしたがって検索を実行することになる。テキストフィールド211が複数行の場合、現在の位置から改行を実行することになる。
【0062】
改行でない場合(ステップS409:No)、入力パネル212の外をクリックしたか否かを判定する(ステップS411)。入力パネル212の外をクリックしていない場合は(ステップS411:No)、その他の処理を実行して(ステップS412)、ステップS402に戻る。入力パネル212の外をクリックした場合は(ステップS411:Yes)、入力パネル212の処理を途中終了する操作なので、文字列235に関して単語の入力などの処理は実行せず、一連の処理を終了する。
【0063】
図5は、文字列の作成処理を説明するフローチャートである。このフローチャートで説明される処理は、図4のステップS403において文字列235の作成処理に関する入力がされた場合に開始し、ステップS404で示される文字列235の作成処理を詳細に説明したものである。このフローチャートで示される処理が終了したあとは、図4のステップS402に戻り、処理を繰り返す。
【0064】
まず、この処理が文字の入力であるか否かを判定する(ステップS501)。文字の入力の場合(ステップS501:Yes)、入力文字を特定する(ステップS502)。すなわち、入力される文字はダイアル入力部320に示されるように、「あ、か、さ、・・」などの様々な文字があるが、これらのうちどの文字が入力されたかを特定する。
【0065】
次に、文字入力の結果が、同一文字の繰り返し入力であるか否かを判定する(ステップS503)。同一文字の繰り返し入力の場合(ステップS503:Yes)、同じ行で文字を循環する(ステップS504)。たとえば、前に「あ」が入力されて現在の文字が「い」のときにさらに「あ」が入力された場合、次の文字に循環させることにより、現在の文字を「う」にする。そして、一連の処理を終了する。同一文字の繰り返し入力ではない場合(ステップS503:No)、ステップS510に進む。
【0066】
一方、この処理が文字の入力でないと判定された場合(ステップS501:No)、この処理が文字種の選択であるか否かを判定する(ステップS505)。文字種の選択の場合(ステップS505:Yes)、入力パネル212の表示項目を変更し(ステップS506)、一連の処理を終了する。
【0067】
この処理が文字種の選択でないと判定された場合(ステップS505:No)、この処理がクリアまたは全クリアであるか否かを判定する(ステップS507)。この処理がクリアまたは全クリアであると判定された場合(ステップS507:Yes)、文字のクリアを実行する(ステップS508)。ここでクリアが選択されている場合は、入力された文字列235から1文字消去する。ここで全クリアが消去されている場合は、文字列235の全部を消去する。そして、一連の処理を終了する。
【0068】
この処理がクリアまたは全クリアではないと判定された場合(ステップS507:No)、この処理において、入力パネル212内の未指定部分をクリックしたか否かを判定する(ステップS509)。未指定部分とは、ボタンとボタンの間などの処理内容が指定されていない領域である。未指定部分をクリックしていない場合(ステップS509:No)、一連の処理を終了する。未指定部分をクリックした場合(ステップS509:Yes)、入力文字を決定し(ステップS510)、一連の処理を終了する。
【0069】
以上説明したように、入力補助装置、入力補助方法、入力補助プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体によれば、入力パネルへの文字入力において、未指定領域、すなわち操作内容が割り当てられていない領域をクリックすることにより文字を確定することができる。ここで、入力した文字のたとえばすぐ横をクリックして、そして再び元の文字をクリックすることにより、マウスポインタをほとんど動かすことなく文字を入力していくことができる。したがって、入力に必要な時間を短縮でき、マウス移動に伴うわずらわしさも軽減できる。またクリックするために、カーソル移動や入力する文字の位置を探すということも必要がなくなり、テンポよく入力パネルを操作できるようになる。
【0070】
なお、本実施の形態で説明した入力補助方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかる入力補助装置、入力補助方法、入力補助プログラムおよびコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、マウスを操作することにより入力パネルから文字入力させるコンピュータにおいて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明の実施の形態にかかる入力補助装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる入力補助装置の構成を機能的に示すブロック図である。
【図3】入力パネルの概要を説明する説明図である。
【図4】入力パネルの操作処理を説明するフローチャートである。
【図5】文字列の作成処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD
105 HD
106 FDD
107 FD
108 CD−RWドライブ
109 CD−RW
110 ディスプレイ
111 キーボード
112 マウス
113 ネットワークI/F
114 通信ケーブル
210 表示部
220 操作入力部
230 循環入力部
240 文字確定部
250 単語確定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字入力を含む操作内容を各領域に割り当てた入力パネルを表示する表示手段と、
前記表示手段によって表示された入力パネルへの入力を受け付ける操作入力手段と、
前記操作入力手段によって同一の文字が連続して入力された場合、入力された文字の属する行で現在の文字を循環させ、前記操作入力手段によって先に入力された文字に続いて先に入力された文字と異なる次の文字が入力された場合、先に入力された文字で確定して次の文字が属する行で次の文字を循環させる循環入力手段と、
前記循環入力手段によって文字が循環した後に、前記操作入力手段によって前記入力パネル中の操作内容が割り当てられていない領域が入力された場合、前記現在の文字で確定させる文字確定手段と、
を備えることを特徴とする入力補助装置。
【請求項2】
前記循環入力手段または前記文字確定手段によって確定された文字からなる文字列について単語を確定し、確定した単語をウィンドウのテキスト入力部分に入力する単語確定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の入力補助装置。
【請求項3】
前記文字確定手段は、マウスがクリックされたときのマウスポインタの位置に、クリック時の処理が割り当てられていない場合、前記循環入力手段によって循環された現在の文字で確定することを特徴とする請求項1または2に記載の入力補助装置。
【請求項4】
前記文字確定手段は、マウスがクリックされたときのマウスポインタの位置に、クリック時の処理が割り当てられていないとともに、前記循環入力手段によって文字が循環されていない場合、文字の確定処理を実行しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の入力補助装置。
【請求項5】
前記表示手段は、ウィンドウのテキスト入力部分がマウスポインタによって指示された場合に、前記入力パネルを表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の入力補助装置。
【請求項6】
前記文字確定手段は、前記循環入力手段によって文字が循環した後に、前記操作入力手段によって前記入力パネル中の確定操作が割り当てられた領域が入力された場合、前記現在の文字で確定させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の入力補助装置。
【請求項7】
文字入力を含む操作内容を各領域に割り当てた入力パネルを表示する表示工程と、
前記表示工程によって表示された入力パネルへの入力を受け付ける操作入力工程と、
前記操作入力工程によって同一の文字が連続して入力された場合、入力された文字の属する行で現在の文字を循環させ、前記操作入力工程によって先に入力された文字に続いて先に入力された文字と異なる次の文字が入力された場合、先に入力された文字で確定して次の文字が属する行で次の文字を循環させる循環入力工程と、
前記循環入力工程によって文字が循環した後に、前記操作入力工程によって前記入力パネル中の操作内容が割り当てられていない領域が入力された場合、前記現在の文字で確定させる文字確定工程と、
を含むことを特徴とする入力補助方法。
【請求項8】
請求項7に記載の入力補助方法をコンピュータに実行させることを特徴とする入力補助プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の入力補助プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−338490(P2006−338490A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164085(P2005−164085)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)
【Fターム(参考)】