説明

入場前売券、前売券座席予約システム、サーバ、プログラム

【課題】 劇場前売券90のように予め割安な価格で購入することができ、しかも座席予約できる劇場前売券および前売券座席予約システムを提供する。
【解決手段】 座席予約付き前売券1には、前売券ID番号13およびスクラッチ(PINコード)15が印刷されており、座席予約発券システム100の管理サーバ51の座席予約手段53は、顧客端末31からのアクセスを受け、前売券ID番号13およびPINコード15を管理データベース57の前売券データ571を検索することにより特定し、鑑賞する劇場、日時等の選択画面を顧客端末31に提示し、座席予約処理を行い、予約番号711を決定させる。鑑賞当日には、劇場の窓口端末43または劇場端末45からのアクセスを受け、管理サーバ51の入場券発券手段55により、予約番号711に対応する座席指定付きの入場券3を発券する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映画の入場前売券、および、入場前売券に対する座席予約を可能にする前売券座席予約システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映画の鑑賞券には、図12に示すような劇場前売券90および当日券がある。
劇場前売券90は、図13に示すように、映画上映開始の数ヶ月前から販売される割安な券であり、劇場窓口等で販売される。図12に示すように、劇場前売券90はミシン目93により半券91が切り取れるようになっており、利用者は鑑賞当日に劇場窓口に持って行き、半券91と引き換えに入場券を得る。座席指定が行われる劇場では、この入場券に座席番号が印刷されている。
また、劇場前売券90の他に当日券がある。劇場前売券90を予め購入していない利用者は、鑑賞当日に劇場窓口に行き、当日券(または入場券)を購入する。座席指定が行われる劇場では、この当日券(または入場券)に座席番号が印刷されている。
【0003】
近年、映画館の座席予約券をインターネットを介して販売するシステムが提案され(特許文献1)、実用化されている。
このシステムは、利用者がパーソナルコンピューターや携帯電話からネットワークを介して予約センターに接続し、鑑賞する映画や劇場、日時を選択して座席予約を行い、鑑賞当日、利用者が映画館で予約者識別番号を提示することにより、座席指定された入場券を得るものである。
【特許文献1】特開2002−24465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のシステムでは、通常、上映開始の2日前からしか購入できないという問題がある。また、図13に示すように、このシステムで販売される鑑賞券は当日券扱いであり、割高であるという問題もある。さらに、上記システムでは、鑑賞券購入の決済はクレジットカードで行われるため、クレジットカードを所有していない客、例えば中学生や高校生等は利用できないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、劇場前売券90のように予め割安な価格で購入することができ、しかも座席予約できる劇場前売券および前売券座席予約システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するための第1の発明は、本券部と、切り離し可能な半券部を有する映画の入場前売券であって、少なくとも前記半券部に、前記入場前売券を特定し、座席予約を可能とする識別子と、スクラッチ隠蔽層で隠蔽され、不正使用を防止するPINコードと、が印刷されていることを特徴とする入場前売券である。
また、前記識別子は、少なくとも、実施される興行の識別子、および、発行前売券通し番号で構成される。
【0007】
本発明の入場前売券は、従来の劇場前売券と同様に、映画上映開始の数ヶ月前から劇場窓口等で割安な価格で販売され、映画上映前に印刷されている識別子、PINコードにより、入場前売券を特定可能とし、遠隔からの座席予約を可能にするものである。
PINコードをスクラッチ隠蔽層で隠蔽することにより、一度スクラッチ隠蔽層が削り取られた入場前売券は、既に座席予約が行なわれたと判断することにより、劇場窓口で複数回不正に座席指定付きの入場券を発券しないようにすることが可能である。
【0008】
第2の発明は、利用者端末と、ネットワークを介して利用者端末と接続されたサーバで構成され、映画の入場前売券の座席予約を行う前売券座席予約システムであって、前記入場前売券は、前記入場前売券を特定可能な識別子と、スクラッチ隠蔽層で隠蔽され、不正使用を防止するPINコードを有し、前記サーバは、前記入場前売券の対象となる劇場の情報と、前記入場前売券の識別子とPINコードからなる前売券情報を格納する記憶手段と、前記利用者端末からネットワークを介して送信される前記入場前売券の前記識別子および前記PINコードを受信し、前記記憶手段に格納されている前記識別子で特定される前記入場前売券の対象となる前記劇場の情報を前記利用者端末に送信し、前記利用者端末から送信される座席予約要求情報に従い予約座席を確定し、前記記憶手段に、前記予約座席の情報を格納する座席予約手段と、を有することを特徴とする前売券座席予約システムである。
前記識別子は、少なくとも、実施される興行の識別子、および、発行前売券通し番号で構成される。また、前記劇場の情報は、少なくとも、前記興行を実施する劇場の識別子、および、上映日時、および、座席の配置情報、および、空席情報である。さらに、前記座席予約要求情報は、少なくとも、劇場の識別子、上映日時である。
【0009】
上記の構成により、利用者が利用者端末からネットワークを介してサーバにアクセスし、識別子およびPINコードを利用者端末からサーバに送ることにより、サーバは、座席予約手段により、識別子を受信し、その識別子から興行を識別し、記憶手段から、興行が実施される劇場や上映日時、座席の配置情報、空席情報等を抽出して利用者端末に送り、利用者に座席予約要求情報を入力させ、予約座席を確定する。
【0010】
更に、前記座席予約手段は、前記予約座席の確定後に、予約番号を決定し、前記記憶手段に、前記予約座席の情報とともに格納する。
また、ネットワークを介して前記サーバと接続された劇場端末を有し、前記劇場端末は、入力された前記予約番号を、前記ネットワークを介して前記サーバに送信し、前記サーバは、前記記憶手段を検索し、受信した前記予約番号に対応する前記予約座席情報を抽出して、前記ネットワークを介して前記劇場端末に送信し、前記劇場端末は、受信した前記予約座席情報を入場券に印刷して発券する。
以上の構成により、利用者端末から座席予約処理を行った後、予約番号を決定しておき、利用者が鑑賞当日、予約番号と引き換えに、劇場端末から座席指定された入場券を受け取ることが可能になる。
【0011】
第3の発明は、利用者端末および劇場端末とネットワークを介して接続されたサーバであって、入場前売券の対象となる劇場の情報と、前記入場前売券の識別子とPINコードからなる前売券情報を格納する記憶手段と、前記利用者端末からネットワークを介して送信される前記入場前売券の前記識別子および前記PINコードを受信し、前記記憶手段に格納されている前記識別子で特定される前記入場前売券の対象となる前記劇場の情報を前記利用者端末に送信し、前記利用者端末から送信される座席予約要求情報に従い予約座席を確定し、予約番号を決定して、前記記憶手段に、前記予約座席の情報および予約番号を格納する座席予約手段と、前記劇場端末からネットワークを介して送信される前記予約番号を元に、前記座席予約手段により予約され、前記記憶手段に格納されている前記予約座席の情報を検索し、前記劇場端末から座席指定された入場券を発券させる入場券発券手段と、を有することを特徴とするサーバである。
第4の発明は、コンピュータを、請求項9記載のサーバとして機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者は割安な劇場前売券を予め購入しておき、鑑賞前に利用者端末から座席予約をすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の座席予約付き前売券1を示す図である。
図1(a)は、本実施の形態の座席予約付き前売券1の外観図、図1(b)は、図1(a)のスクラッチ15部分の断面図、図1(c)は、前売券ID番号の例を示す図、図1(d)は、スクラッチ15部分の説明図である。
【0014】
図1(a)に示すように、座席予約付き前売券1は、本券19と半券10の部分から成り、半券10を本券19から切り離すためのミシン目11が設けられている。
本券19には、例えば、映画の題名、および、映画のイメージ図、券名(例えば「前売+リザーブ券」、「座席予約付き劇場前売券」等)、価格(例えば1400円)等が印刷される。
【0015】
一方、半券10には、映画の題名、価格の他、座席予約に必要ないくつかの項目が印刷される。すなわち、前売券ID番号13、スクラッチ15(PINコード)である。また、座席予約をするときに利用者が携帯電話やパーソナルコンピューターからアクセスするためのアドレス(座席予約用ホームページ・アドレス17、ホームページ・アドレス2次元コード19)等も印刷される。
利用者は、印刷されているアドレス(座席予約用ホームページ・アドレス17やホームページ・アドレス2次元コード19のアドレス)にアクセスし、前売券ID番号13やPINコード15を入力することにより、映画鑑賞のための座席を予約することが可能になる。
【0016】
図1(b)は、図1(a)に示した座席予約付き前売券1のスクラッチ(PINコード)15部分の断面図である。用紙21上にはアドレス17、19、前売券ID番号13等の情報の印刷層である情報印刷層23、23’が設けられる。そして、PINコード15のような隠蔽を要する情報印刷層23’がスクラッチ隠蔽層25によって隠蔽される。
スクラッチ隠蔽層25は、コイン等で引っ掻いて除去する(スクラッチオフ)することができるスクラッチ性(剥離性)を有するインキ(スクラッチ)によるベタ印刷が情報印刷層23上に施される。
本実施の形態の座席予約付き前売券1の場合、PINコード15(例えば、4桁の数字‘aaaa’)がスクラッチ隠蔽層25で隠蔽され、PINコード15は、利用者がスクラッチを除去することにより初めて認知することが可能である。
【0017】
図1(c)は、半券10上に印刷されている前売券ID番号13の構成例を示す図である。例えば16桁の英数字で構成される。
例えば、最初の5桁‘xxxxx’は興行企業を示す企業ID131、次の2桁‘yy’は上映される作品の作品ID133、次の7桁‘zzzzzzz’は販売される座席予約付き前売券1の券の識別番号135、最後の2桁‘cc’はチェック・ディジット137である。
券の識別番号135は、印刷される全座席予約付き前売券1の通し番号であり、7桁あれば最大1000万枚分の座席予約付き前売券1を特定できる。
また、チェック・ディジット137は、利用者等が前売券ID番号13を入力した場合に、入力の間違いをチェックするのに使われる。
【0018】
図1(d)は、スクラッチ15部分の説明図である。利用者等は、座席予約の際にこのスクラッチ隠蔽層25をコイン等で剥がし、その下の情報印刷層23の情報(PINコード‘aaaa’)15’を読み、前売券ID番号13とともに入力して、座席予約処理を行う。座席予約処理については後述する。
PINコードをスクラッチ隠蔽層25で隠蔽することにより、一度スクラッチ隠蔽層を剥がした座席予約付き前売券1は、既に座席予約が完了しているものと見なし、例えば、劇場窓口等での再度の不正な座席予約を防止することができる。
【0019】
このような座席予約付き前売券1を設けることにより、図2に示すように、例えば、従来の劇場前売券(図12、図13参照)と同様に、劇場窓口等で上映期間の数ヶ月前から割安な価格(当日券が1800円のところ、例えば、座席予約付き前売券1は1400円)で購入でき、しかも、上映開始の例えば2日前から劇場窓口に出向くことなく座席予約を行うことが可能になる。
また、従来のインターネットによる座席指定当日券では、会員登録やクレジット決済が必要であるが、本実施の形態の座席予約付き前売券1によれば、会員登録およびクレジット決済なしで、座席予約を行うことが可能になる。
【0020】
図3は、前述の座席予約付き前売券1を使用する座席予約発券システム100のシステム構成図である。
図3(a)に示すように、座席予約付き前売券1は、顧客30により、例えば、映画館40の窓口41等で購入される。
【0021】
顧客30は、パーソナルコンピューターや携帯電話等の顧客端末31を使用して、図3(b)に示すように、座席予約を行う。
すなわち、顧客端末31は、ネットワーク60を介して管理センタ50の管理サーバ51に接続されている。ネットワーク60は、インターネット、携帯電話を含む一般公衆回線網あるいは専用回線網等のネットワークであって、インターネット接続サービスを提供する。
管理サーバ51は、座席予約手段53を有し、顧客端末31とネットワーク60を介してデータ送受信を行い、顧客30に座席予約機能を提供する。
座席予約手段53については後述する。
【0022】
更に、座席予約を行った顧客30は、図3(c)に示すように、例えば映画鑑賞の当日、映画館40の窓口端末43または劇場端末45で座席指定された入場券3を受け取る。
すなわち、映画館40の窓口端末43および劇場端末45は、ネットワーク60を介して管理センタ50の管理サーバ51に接続されている。
管理サーバ51は、入場券発券手段55を有し、窓口端末43または劇場端末45とネットワーク60を介してデータ送受信を行い、入場券3の発券機能を提供する。
入場券発券手段55については後述する。
【0023】
管理センタ50の管理サーバ51には、管理データベース57が接続されている。
管理データベース57には、前売券データ571、上映データ573、座席データ575等が格納される。
管理データベース57については後述する。
【0024】
図4は、管理サーバ51のハードウエア構成図である。
サーバ51は、管理センタ50等に設置されており、映画館40で上映される映画の座席予約処理および入場券の発券処理を管理する。
【0025】
サーバ51は、例えば、CPU201、メモリ203、記憶部204、表示部205、入力部206、出力部207、通信部208がシステムバス209を介して接続されて構成される。
【0026】
CPU201(Central Processing Unit)は、演算装置(四則演算や比較演算等)や、ハードウエアやソフトウエアの動作制御を行なう装置である。
【0027】
メモリ203は、RAM及びROM等のメモリである。RAM(Random Access Memory)は、ROM(Read Only Memory)や記憶部204から読み出されたOS(Operating System)のプログラム、アプリケーションプログラム等を記憶する。RAMはCPU201の主メモリやワークエリアとして機能する。
【0028】
記憶部204は、各種データを記憶する装置であり、例えばハードディスク装置である。記憶部204には、CPU201が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS等が格納される。また、管理データベース57はサーバ51の外部に接続されてもよいし、記憶部204内に設けてもよい。
前述の座席予約手段53および入場券発券手段55は、プログラムとして記憶部204に格納され、メモリ203のRAM(主メモリ)にロードされ、CPU201により実行される。
【0029】
表示部205は、表示装置であり、例えば、CRTモニタ、液晶パネルである。表示部205は、コンピュータのビデオ機能を実現するための論理回路(ビデオアダプタ等)を有する。
【0030】
入力部206は、各種データの入力装置であり、例えば、キーボード、マウス等である。出力部207は、各種データの出力装置であり、例えばプリンタである。各種メディアとのデータ入出力を行なうドライブ装置を入力部206及び出力部207として用いることもできる。
【0031】
通信部208は、ネットワーク60を介して外部装置と接続・通信する通信制御装置である。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信が可能である。管理サーバ51は、この通信部60により、ネットワーク60を介して、顧客30の顧客端末31、および、映画館40の窓口端末43および劇場端末45と接続される。
システムバス209は、各装置間の制御信号、データ信号等の授受を媒介する経路である。
【0032】
顧客端末31および映画館40の窓口端末43、劇場端末45のハードウエア構成は詳述しないが、図4に示したサーバ51のハードウエア構成と同様のパーソナルコンピューター等のコンピュータや携帯電話等で構成できる。携帯電話のばあいは、プリンタ等の出力部207を装備しない場合もある。
【0033】
図5、図6、図7は、それぞれ、管理センタ50の管理データベース57に格納される前売券データ571、上映データ573、座席データ575の構成例である。
【0034】
図5に示すように、例えば、前売券データ571は、販売される全座席予約付き前売券1についての前売り券ID13、PINコード15に加え、顧客30が顧客端末31からネットワーク60を介して管理サーバ51にアクセスして行う座席予約に関する座席予約情報70および決済情報80等で構成され、管理データベース57に格納される。
座席予約付き前売券1の前売券ID13とPINコードは、予め、管理データベース57の前売券データ571に格納される。前売券ID13は、例えば、興行企業の企業ID131、興行作品の作品ID133、券の識別番号135、チェック・ディジット137からなる。また、PINコード15は、各座席予約付き前売券1に印刷され、スクラッチ隠蔽層25で隠蔽されているコードが格納されている。
【0035】
一方、座席予約情報70は、顧客30により座席予約が実行された際に、管理サーバ51の座席予約手段53の処理により格納される。従って、座席予約が行われていない座席予約付き前売券1(例えば、図5の券の識別番号‘0000001’)については、座席予約情報70は格納されず、空白のままである。
座席予約情報70は、例えば、顧客30が座席予約を行った日時(予約日時)701、座席が予約された劇場の劇場ID703、上映日時705、劇場内に複数のスクリーンがある場合のスクリーンID707、座席番号707、予約番号711等である。予約番号711は、実際に座席が指定された入場券3を発券する際に、顧客30を識別するための番号であり、例えば、顧客30の電話番号等を予約番号711として設定する。予約番号711は、顧客30が決定した何らかの番号であってもよい。
【0036】
決済情報80は、座席予約付き前売券1が座席予約されたか否かを示すデータであり、例えば、座席予約が行われていない状態では前売券の料金である1400円が格納され、座席予約が完了すると、0円に更新される。これは、座席予約付き前売券1をプリペイドカードとした場合の方法である。すなわち、顧客30は、映画鑑賞のプリペイドカードとして座席予約付き前売券1を購入するので、前売券1には1400円の価値があり、座席予約が完了すると、既に使用されたとして前売券1の価値は0円とし、その情報を決済情報80として前売券データ571に格納する。
決済情報80は、これに限ることなく、座席予約が行われたか否かを判別できるデータであればよい。
【0037】
図6は、管理データベース57に格納される上映データ573の構成例である。
上映データ573は、例えば、座席予約付き前売券1の作品(作品ID133)が上映される劇場の情報(劇場ID703)や、映画館内に複数のスクリーンがある場合にスクリーンを識別するためのスクリーンID707、その作品の上映期間721、上映時刻723等である。
【0038】
図7は、管理データベース57に格納される座席データ575の構成例である。
座席データ575は、各劇場の各スクリーンの全座席について、各上映日、各上映時間の空席/予約済みの情報が格納される。
すなわち、座席データ575は、例えば、劇場ID703、スクリーンID707、座席731、空席情報733等からなる。
例えば、劇場ID703が‘A’のスクリーンID‘1’の座席は‘右’エリアと‘左’エリアがあり、それぞれ、座席番号‘A1’〜‘O25’の座席がある。そして、座席予約可能な8月3日〜8月5日までの各座席の空席情報がそれぞれ格納されている。
【0039】
図8は、座席予約手段53の処理の流れを示すフローチャート、図9は、座席予約手段53の処理に伴い、顧客端末31に表示される画面の例である。
顧客30は、パーソナルコンピューター、携帯電話等の顧客端末31から、座席予約付き前売券1の半券10上に印刷されている座席予約用ホームページ・アドレス17にネットワーク60を介してアクセスする。携帯電話の場合、ホームページ・アドレス2次元コード19を携帯電話の読み取り機能により読み取ることによりアクセスされる。
【0040】
まず、管理サーバ51は、顧客端末31からのアクセスを受け、ネットワーク60を介して処理選択画面を顧客端末31に送り、顧客端末31の表示部205に表示させる(ステップ101)。図9(a)の画面例1(301)は処理選択画面の例である。
例えば、座席予約付き前売券1を持っている場合には「座席予約付き前売券の座席をインターネットで予約する」を選択すればよい。「チケットをインターネットで購入する」は、座席予約付き前売券1を持っていない場合に、当日券をクレジット決済で購入する場合に選択される。
選択結果は、ネットワーク60を介して管理サーバ51に送信される。
【0041】
次に、管理サーバ51は、選択結果が座席予約付き前売券1の座席予約か否かを判定する(ステップ102)。
座席予約付き前売券1の座席予約でない場合(ステップ102のNo)、すなわち、例えば、図9(a)の「チケットをインターネットで購入する」が選択されていた場合には、その他の処理に移行して(ステップ120)、処理を終了する。この場合、管理サーバ51は、チケットのインターネット購入の手段を更に有し、当該手段により、処理が行われるが、本実施の形態の座席予約発券システム100には直接関与しないので、本明細書には記述しない。
【0042】
一方、座席予約付き前売券1の座席予約が選択された場合(ステップ102のYes)、顧客30に座席予約付き前売券1の前売券ID番号13およびPINコード15の入力画面をネットワーク60を介して顧客端末31に送り、顧客端末31の表示部205に表示させ、顧客30に入力させる(ステップ103)。
図9(b)の画面例2(302)は、入力画面の例である。
顧客30は、この入力画面の指示に従って、座席予約付き前売券1に印刷されている16桁の前売券ID番号13(例えば、‘xxxxxyy00003cc’)を入力し、さらに、PINコード15部分のスクラッチ隠蔽層25をコイン等で剥ぎ取って、PINコード15(例えば、‘1682’)を入力する。
入力データは、ネットワーク60を介して管理サーバ51に送信される。
【0043】
管理サーバ51は、前売券ID番号13およびPINコード15の入力データを受信し、管理データベース57の前売券データ571を検索する(ステップ104)。
【0044】
管理データベース57の前売券データ571に入力された前売券ID番号13とPINコード15が存在しない場合(ステップ105のNo)、すなわち、入力された前売券ID番号13(例えば、‘xxxxxyy00003cc’)が前売券データ571に存在しない、または、前売券ID番号13(例えば、‘xxxxxyy00003cc’)は存在するが入力されたPINコード15(例えば、‘1682’)が前売券データ571に格納されているPINコード15とは異なる場合、顧客端末31に再度入力を要求する画面(例えば、図9(c)の画面例3(303))を送信し、顧客端末31の表示部205に表示させ、前売券ID番号13およびPINコード15を再入力させる(ステップ130)。
【0045】
そして、管理サーバ51は、再度、前売券ID番号13およびPINコード15の入力データを受信し、管理データベース57の前売券データ571を検索し、同一の前売券データ571が存在するかを判定する(ステップ131)。
同一の前売券データ571が存在しない場合(ステップ131のNo)は、入力が適切ではないと判断して処理を終了する。
【0046】
一方、ステップ105で同一の前売券データ571が存在した場合(ステップ105のYes)および再度の入力により同一の前売券データ571が存在した場合(ステップ131のYes)には、管理サーバ51は、顧客端末31に、劇場および上映日時を送信し、顧客端末31の表示部205に表示させ、さらに、選択された劇場および上映日時のスクリーンについての座席の情報を表示し、座席を選択させる(ステップ106)。
【0047】
すなわち、管理サーバ51は、まず、入力された前売券ID番号13に含まれる企業ID131(‘xxxxx’)または/および作品ID133(‘yy’)を元に上映データ573を検索し、当該作品を上映予定で、座席予約を行える劇場(劇場ID:‘A’、‘B’、・・・、‘D’)を抽出し、図9(d)の画面例4(304)に示すように、劇場および座席予約日を選択させる画面をネットワーク60を介して顧客端末31に送り、顧客端末31の表示部205に表示させる。
顧客30が顧客端末31に表示された選択画面304から劇場(例えば、池袋)と座席予約日(例えば8月4日(月))を選択すると、選択内容がデータとしてネットワーク60を介して管理サーバ51に送信される。
【0048】
管理サーバ51は、座席予約を行う劇場と予約日の選択データを受信し、管理データベース57の上映データ573から当該劇場ID703(例えば、劇場ID‘B’の上映時刻723を抽出して、上映時刻の選択画面(例えば、図9(e)の画面例5(305))をネットワーク60を介して顧客端末31に送り、顧客30に座席予約を行う回の上映時刻を選択させる。
顧客30が顧客端末31に表示された選択画面305から上映時刻(例えば、10:00〜12:00)を選択すると、選択内容がデータとしてネットワーク60を介して管理サーバ51に送信される。
【0049】
管理サーバ51は、上映時刻の選択データを受信し、次に、管理データベース57の座席データ575を検索し、選択された劇場ID703(およびスクリーンID707)の座席情報731をネットワーク60を介して顧客端末31に送り、顧客30に、例えば、座席のエリア(例えば‘右側’、‘左側’等)を選択させる。
すなわち、例えば、図9(f)の画面例6(306)に示すような座席エリアを表示させ、顧客30に予約する座席エリアを選択させる。
【0050】
管理サーバ51は、管理データベース57の座席データ575を参照し、選択された座席エリアにある、当該上映日時の空席情報733から、予約可能な空席の座席を抽出し、当該座席番号のデータや座席エリアの情報を、例えば、図10(a)の画面例7(307)に示すような画面データとして顧客端末31に送り、顧客端末31に表示させ、その内容で予約をするか否かを選択させる(ステップ107)。
【0051】
顧客30がその内容で予約を行なわない場合(ステップ107のNo)は、ステップ106に戻り、再度、座席の予約処理を実行する。
顧客30がその内容で予約を行う場合(ステップ107のYes)は、管理サーバ51は、予約番号711を入力させる画面(例えば、図10(b)の画面例8(308))を顧客端末31に表示させ、顧客30に予約番号711を入力させる(ステップ108)。
予約番号711は、例えば、顧客30の電話番号等であり、顧客30が劇場に入場するための入場券を、鑑賞する当日に劇場で発券する際に、顧客30を特定するのに使用する。
【0052】
管理サーバ51は、次に、管理データベース57の前売券データ571に、ステップ101〜108で決定した予約情報、すなわち、予約日時701、劇場ID703、上映日時705、スクリーンID707、座席番号709、予約番号711を格納する(ステップ109)。
これにより、後に入場券を発券する際に、前売券データ571から予約番号711を検索することにより、予約した座席番号709が抽出され、座席指定付きの入場券を発券することが可能になる。
【0053】
最後に、管理データベース57の前売券データ571の決済情報を‘0’にして(ステップ110)、処理を終了する。決定情報を‘0’にすることにより、当該座席予約付き前売券1が既に座席予約済みであることを示すことが可能である。
【0054】
以上に説明した座席予約手段53は、1枚の座席予約付き前売券1についての座席予約方法であったが、同時に複数枚の座席予約付き前売券1についての座席予約を行えるようにしてもよい。
その場合は、ステップ103で複数枚の座席予約付き前売券1についての前売券ID番号13とPINコード15を入力させるようにすればよい。
【0055】
以上の処理により、顧客30は、予め買っておいた座席予約付き前売券1について、鑑賞日の数日前に座席を予約することが可能になる。
図3(c)に示したように、鑑賞当日には、顧客30は、鑑賞する劇場40に出向き、窓口41の窓口端末43または劇場端末45によって、座席が指定された入場券3を発券する。
【0056】
次に、管理サーバ51の入場券発券手段55について説明する。
図11は、入場券発券手段55の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、窓口端末43または劇場端末45からのアクセスを受ける(ステップ201のYes)。
【0057】
管理サーバ51は、次に、窓口端末43または劇場端末45に、予約番号711の入力を促す画面を表示させ、顧客30に予約番号711を入力させる(ステップ202)。
管理サーバ51は、顧客30により入力された予約番号711をキーに管理データベース57の前売券データ571を検索し、予約番号を照合する(ステップ203)。
前売券データ571に予約番号711が存在しない場合には(ステップ204のNo)、予約番号711の再入力を促す画面を窓口端末43または劇場端末45に表示させ、顧客30に再度予約番号711を入力させる(ステップ210)。再入力された予約番号711が前売券データ571に存在しない場合(ステップ211のNo)には、顧客30を特定できないと判断し、入場券を発券せずに処理を終了する。
【0058】
ステップ204およびステップ211で予約番号711が管理データベース57の前売券データ571に存在した場合には(ステップ204またはステップ211のYes)、予約番号711に対応する座席予約情報70を前売券データ571から抽出し、窓口端末43または劇場端末45に表示させ、顧客30に入場券を発券するか確認する(ステップ205)。
発券を選択した場合(ステップ206のYes)は、座席指定された入場券3を発券し、処理を終了する(ステップ207)。発券を選択しない場合(ステップ206のNo)は、そのまま処理を終了する。
【0059】
以上のように、入場券発券手段55により、座席予約手段53により予め予約しておいた座席が指定された入場券3を顧客30は得ることが可能になる。
【0060】
尚、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能であり、それらも、本発明の技術範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施の形態の座席予約付き前売券1の構成例を示す図
【図2】座席予約付き前売券1を説明する図
【図3】座席予約発券システム100のシステム構成例を示す図
【図4】管理サーバ51、端末31、43、45のハードウエア構成図
【図5】前売券データ571の構成を示す図
【図6】上映データ573の構成を示す図
【図7】座席データ575の構成を示す図
【図8】座席予約手段53の処理の流れを示すフローチャート
【図9】座席予約手段53の画面例を示す図
【図10】座席予約手段53の画面例を示す図
【図11】入場券発券手段55の処理の流れを示すフローチャート
【図12】従来の劇場前売券90の説明図
【図13】従来の鑑賞券の内容を説明する図
【符号の説明】
【0062】
1………座席予約付き前売券
3………入場券
13………前売券ID番号
15………スクラッチ(PINコード)
31………顧客端末
43………窓口端末
45………劇場端末
51………管理サーバ
53………座席予約手段
55………入場券発券手段
57………管理データベース
100………座席予約発券システム
571………前売券データ
573………上映データ
575………座席データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本券部と、切り離し可能な半券部を有する映画の入場前売券であって、
少なくとも前記半券部に、前記入場前売券を特定し、座席予約を可能とする識別子と、
スクラッチ隠蔽層で隠蔽され、不正使用を防止するPINコードと、
が印刷されていることを特徴とする入場前売券。
【請求項2】
前記識別子は、少なくとも、実施される興行の識別子、および、発行前売券通し番号で構成されることを特徴とする請求項1記載の入場前売券。
【請求項3】
利用者端末と、ネットワークを介して利用者端末と接続されたサーバで構成され、映画の入場前売券の座席予約を行う前売券座席予約システムであって、
前記入場前売券は、前記入場前売券を特定可能な識別子と、スクラッチ隠蔽層で隠蔽され、不正使用を防止するPINコードを有し、
前記サーバは、前記入場前売券の対象となる劇場の情報と、前記入場前売券の識別子とPINコードからなる前売券情報を格納する記憶手段と、
前記利用者端末からネットワークを介して送信される前記入場前売券の前記識別子および前記PINコードを受信し、前記記憶手段に格納されている前記識別子で特定される前記入場前売券の対象となる前記劇場の情報を前記利用者端末に送信し、前記利用者端末から送信される座席予約要求情報に従い予約座席を確定し、前記記憶手段に、前記予約座席の情報を格納する座席予約手段と、
を有することを特徴とする前売券座席予約システム。
【請求項4】
前記識別子は、少なくとも、実施される興行の識別子、および、発行前売券通し番号で構成されることを特徴とする請求項3記載の前売券座席予約システム。
【請求項5】
前記劇場の情報は、少なくとも、前記興行を実施する劇場の識別子、および、上映日時、および、座席の配置情報、および、空席情報であることを特徴とする請求項3または4記載の前売券座席予約システム。
【請求項6】
前記座席予約要求情報は、少なくとも、劇場の識別子、上映日時であることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の前売券座席予約システム。
【請求項7】
前記座席予約手段は、前記予約座席の確定後に、予約番号を決定し、前記記憶手段に、前記予約座席の情報とともに格納することを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の前売券座席予約システム。
【請求項8】
ネットワークを介して前記サーバと接続された劇場端末を更に有し、
前記劇場端末は、入力された前記予約番号を、前記ネットワークを介して前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記記憶手段を検索し、受信した前記予約番号に対応する前記予約座席情報を抽出して、前記ネットワークを介して前記劇場端末に送信し、
前記劇場端末は、受信した前記予約座席情報を入場券に印刷して発券することを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の前売券座席予約システム。
【請求項9】
利用者端末および劇場端末とネットワークを介して接続されたサーバであって、
入場前売券の対象となる劇場の情報と、前記入場前売券の識別子とPINコードからなる前売券情報を格納する記憶手段と、
前記利用者端末からネットワークを介して送信される前記入場前売券の前記識別子および前記PINコードを受信し、前記記憶手段に格納されている前記識別子で特定される前記入場前売券の対象となる前記劇場の情報を前記利用者端末に送信し、前記利用者端末から送信される座席予約要求情報に従い予約座席を確定し、予約番号を決定して、前記記憶手段に、前記予約座席の情報および予約番号を格納する座席予約手段と、
を有することを特徴とするサーバ。
【請求項10】
前記識別子は、少なくとも、実施される興行の識別子、および、発行前売券通し番号で構成されることを特徴とする請求項9記載のサーバ。
【請求項11】
前記劇場の情報は、少なくとも、前記興行を実施する劇場の識別子、および、上映日時、および、座席の配置情報、および、空席情報であることを特徴とする請求項9または請求項10記載のサーバ。
【請求項12】
前記座席予約要求情報は、少なくとも、劇場の識別子、上映日時であることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれかに記載のサーバ。
【請求項13】
ネットワークを介して、更に劇場端末に接続され、
前記劇場端末から送信される前記予約番号を元に、前記座席予約手段により予約され、前記記憶手段に格納されている前記予約座席の情報を検索し、前記劇場端末から座席指定された入場券を発券させる入場券発券手段と、
を有することを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれかに記載のサーバ。
【請求項14】
コンピュータを、請求項9乃至請求項13のいずれかに記載のサーバとして機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−152461(P2010−152461A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327255(P2008−327255)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】