説明

全鋼製針布を形成するための実装装置

【課題】カードのカーディング・ドラム(シリンダ)のための全鋼製針布を形成するための全鋼製実装装置に関し、単純な方法で全鋼製針布を形成するための、高品質および高い工程安全性を有するプロファイル・ワイヤの装着ができる、全鋼製針布を提供する。
【解決手段】実装装置はプロファイル・ワイヤを案内するためのガイド装置28を備え、ガイド装置は2つのブレーキ顎板を含む角度調整装置32を備える。実装装置は少なくとも一つの長手方向の軸を有し、その廻りをガイド装置が回転できる。ガイド装置はモータを用いてばね力により、あるいは手動により回転でき、ガイド装置および角度調整装置はプロファイル・ワイヤの長さ方向に対して、それぞれ、水平方向に、直線方向に、垂直方向に調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードのカーディング・ドラム(シリンダ)またはカーディング構成要素のための全鋼製針布を形成するための全鋼製実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維技術では、繊維または繊維原料、例えばウール、綿等を分離、整列、例えば、均一におよび/または平行にするために、カーディング機械またはカーダー(簡単に:カードまたはけば立て機と呼ぶ)が、使用される。カーディング工程の製産物は、繊維ウェブである。この繊維ウェブは、整列された個々の繊維のゆるい集りからなり、不織布すなわち成形加工で作られた織物を形成するために用いられる。繊維は、タンブールとも呼ばれる、大きなカーディング・ドラムから取り出し手段を用いてはぎとられ、そしてまとめられる。
【0003】
ほとんどの場合、カード(カーディング機械)は、個々に外向きの尖った鋭い棘または歯が設けられた、多くの異なるカーディング・ドラムまたはローラを備える。使用目的により、単位面積当たりの鋭い先端の数は異なる。同様に、先端の形および配列は異なりうる。
【0004】
前述のカーディング・ドラム、例えばタンブール、のうちの少なくとも1つは、全鋼製針布を備える。当該針布は、カーディング・ドラム上へ応力をかけて巻回された、鋸歯状形状をもつプロファイル・ワイヤから成る。プロファイル・ワイヤは、フット(基部)および刃を有する。例えば、フットは、互いに平行である2つの側面を有する長方形の横断面をもち、円筒状のカーディング・ドラムの表面に対し当接する背部がある。刃は、例えば、半径方向外側に、鋸歯状形状を有する。渦巻線に沿って全体的に配置されるプロファイル・ワイヤは、好ましくは長手方向に応力をかけられている。その端部は、例えば、半田付け、溶接、または他の方法によりドラムに確実に取り付けられる。
【0005】
針布に要求されることの1つは、特に全鋼製針布に関することでは、可能な限りの長い有効寿命である。加えて、カーディング・ドラム上に設置されるプロファイル・ワイヤ、全鋼製針布は、以後に研ぎなおすことができるよう、努力がなされている。他に全鋼製針布に要求されることは、繊維への最小限の損傷そして最適な解繊維度、最適均質化および/または繊維フリース生産時の繊維の最適平行配列である。
【0006】
全鋼製針布を装着するために、実装装置が用いられる。例えば、このような実装装置は特許文献1から知られている。プロファイル・ワイヤが設けられたカーディング・ドラムは、ラックに収容され、あらかじめ特定された回転方向に駆動される。この際、プロファイル・ワイヤが定められた応力をもってカーディング・ドラム上に巻回されるように、プロファイル・ワイヤは制御され供給される。プロファイル・ワイヤの先端および終端は、半田付けによって、カーディング・ドラムに固定される。加えて、例えば、カーディング・ドラムが、給送スプールにあるよりさらに多くのプロファイル・ワイヤを必要とするときは、プロファイル・ワイヤの端部を互いに直接溶接して結ぶことが必要かもしれない。
【0007】
特許文献2および特許文献3は、回転速度制御装置および制御機器、例えばカードのカーディング・ドラム上に、カードから問題のカーディング・ドラムを取りはずさずにプロファイル・ワイヤを装着するための測定装置を開示する。
【0008】
基本的に、実装装置は、給送スプールから引き出されたプロファイル・ワイヤを案内して、必要とされる応力(バイアス)を生成する、制動および案内の各々の装置を備える。制動および案内装置は、カーディング・ドラムの長さ方向に摺動できるキャリッジとして、よく設計される。
【0009】
通常、プロファイル・ワイヤは、給送スプール上に横たわるように配置され、そこでは個々の層は、錆止め紙により分離される。この際、表現「横たわるような配置」は、プロファイル・ワイヤがその側面の1つに平たく置かれるよう配置されることを意味するものと理解される。したがって、プロファイル・ワイヤの歯は給送スプールの軸方向を基本的に指す。プロファイル・ワイヤを装着するとき、プロファイル・ワイヤはその長手方向の軸について約90度回転するので、当該ワイヤはカーディング・ドラム上に直立して巻回されことができ、鋸歯形状はほぼ半径方向を指す。
【0010】
全鋼製針布を生成するためにプロファイル・ワイヤを装着するときの、大きな1つの難題は、全鋼製針布が偏向する、あるいはカーディング・ドラムのすでに装着した部分に先端がかぶさるのを防止することである。一般に、据え付けたプロファイル・ワイヤは、ドラムがプロファイル・ワイヤですでに巻回された方向に、その先端が全鋼製針布にかぶさっていく傾向がある。ある工程条件では、プロファイル・ワイヤは、ワイヤをまだ装着されていないカーディング・ドラムの方向にも傾いていく。
【0011】
均質な繊維フリースを得るためには、カーディング・ドラムの表面がプロファイル・ワイヤで一様に装着されていることが不可欠である。カーディング・ローラに最適に装着されたプロファイル・ワイヤの中心平面または配列平面は、カーディング・ドラムの長手方向の軸を通って延びる平面に対して垂直である。カーディング・ドラムの、その損傷を受けたかまたは偏向したプロファイル・ワイヤで装着されたその表面上の部分または領域は、使用できない。従って、カーディング・ドラム上のいかなる傾いたプロファイル・ワイヤも再び巻き直されなければならない。カーディング・ドラム上のプロファイル・ワイヤの実装作業は実装装置の多くのパラメータの調整によって、影響をうける非常に複雑な工程であるので、プロファイル・ワイヤが実装運転の間、可塑的に変形したという理由で、普通、偏向したプロファイル・ワイヤは捨てられてしまう。この変形は、今度は実装パラメータに影響を及ぼし、安全で、経済的である取付工程は、より困難な状況下となる。結局、一度偏向したプロファイル・ワイヤは、巻き戻され、捨てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許第1399901号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102004004433号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102004055310号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、単純な方法で全鋼製針布を形成するための、高品質および高い工程安全性を有するプロファイル・ワイヤの装着ができる、全鋼製針布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1の全鋼製実装装置と、請求項15の方法により達成される。
【0015】
本発明の実装装置には、カーディング・ドラムに全鋼製針布を形成するためにプロファイル・ワイヤを案内するために設けられた案内装置が備えられている。案内装置は、プロファイル・ワイヤの角度アライメントを可能にするための角度調整装置に連通する。
【0016】
本発明の方法によれば、実装運転の間、プロファイル・ワイヤに、全鋼製針布が形成されているときに、当該ワイヤがいかなる回転力も示さないように、影響を及ぼす事が可能になる。この回転力が当該ワイヤを偏向させる理由である。
【0017】
結果的に、全鋼製針布を単純な方法で高品質に形成できる。特に、プロファイル・ワイヤの偏向傾向は抑制され、さもないと、これらの偏向傾向は潜在的に、全鋼製針布の渦巻の個々において偏向を生じる結果となる。全鋼製針布を取り付けるときの、典型的な欠陥、すなわち、カーディング・ドラムのすでに装着した部分上の当該針布の偏向または乗り上げは、したがって、防止される。最適に据え付けられたプロファイル・ワイヤの配列平面は、カーディング・ドラムの長さ方向を通る平面と直角をなす。本発明の角度調整装置によって、プロファイル・ワイヤの潜在的にある捻れは補正されることができ、プロファイル・ワイヤは、わずかに傾斜した形でカーディング・ドラムに供給される。任意には、プロファイル・ワイヤは、カーディング・ドラムを通る平面に対して、すなわち、当該ワイヤ(配列平面)の最適垂直な位置に対して、正または負の方向に捻られて供給されてもよい。
【0018】
特に、案内装置が出力開口部を有する自由に回転可能な角度調整装置を備えることは好都合である。この際、出力開口部の回転軸は、プロファイル・ワイヤの長手方向の軸に対応することが好ましい。プロファイル・ワイヤの長手方向の軸は、プロファイル・ワイヤのワイヤ進行方向に対応する。角度調整装置がプロファイル・ワイヤの長さ方向に直角に、すなわち、回転軸に加えて、回転可能に支持されることもできる。さらにまた、回転調整の選択肢に加えて、角度調整装置を直線方向に調整できる。このために、当該角度調整装置は、横方向の、すなわち、プロファイル・ワイヤの長さ方向に対して水平におよび/または垂直に、調整ができる案内手段または締め付け手段を備える。これらの複数の調整選択肢により、異なる直径を有するカーディング・ドラムに、接線方向の付加的な偏向なしで、プロファイル・ワイヤを装着することが可能となる。
【0019】
案内装置は、プロファイル・ワイヤの通過を減速するための制動装置も含むことが好ましい。これにより、カーディング・ドラムに装着されているときに、プロファイル・ワイヤは制御された応力に保たれることができ、全鋼製針布は所望の初期応力(初荷重)でカーディング・ドラムに設置される。
【0020】
加えて、案内装置は、それらの間にプロファイル・ワイヤを締めつけるために、互いに対して付勢されることができる、2つの圧力顎板を備える。ここで、圧力顎板はブレーキ顎板のような働きをし、当該顎板はプロファイル・ワイヤの側面に作用するのが好ましい。このようにして、プロファイル・ワイヤは、実装運転中、減速されることができ、そして、加えて、プロファイル・ワイヤに所望の角アライメントを確実に設けることができる。特に、カーディング・ドラム上の反対の捻れをもって巻回されるよう、当該プロファイル・ワイヤは回転させられる。
【0021】
制動装置の圧力顎板は、残りの実装装置に対して調節可能であるように配置された共通のキャリアに設けられることが好ましい。この際、角度調整装置は、残留する実装装置と関連してキャリアの軸周りの旋回角度または回転角の調整を許容する。
【0022】
角度調整装置は、所定の位置に係止されるように構成されるのが好ましい。例えば、止めねじ等が係止のために設けられてもよい。しかしながら、作動装置、例えば、自己抑制型の作動装置、例えばウォーム駆動を設けることもできる。駆動装置は手動によって、あるいはモータによる動力化された方法で調節可能なように設けられてもよい。
【0023】
角度調整装置、特にその支持体は、ばね力により調整されるかまたは選択された角度位置において、保持されうる。このため、当該装置には、対向する方向に作用する少なくとも2つのばね手段を含み、当該ばね手段は、応力ばねまたはコイルばねである。これらの2つのばねのばね常数の比によっては、角度調整装置は、1つの角度の設定でもよい。この角度は、ばね手段のばね力により許容される限り、プロファイル・ワイヤの回転の傾向を変えることによって変えることができる。
【0024】
案内装置に加えて、実装装置は、いくつかのアライメント・ローラを含むアライメント装置を備える。プロファイル・ワイヤがそれらの間を通過する。給送スプールから始まって、プロファイル・ワイヤは、好ましくは最初にアライメント装置を通して、そして続いて角度調整装置を備えた案内装置を通って、カーディング・ドラムに巻回されるために移動する。
【0025】
本発明の角度調整装置は、案内装置または実装装置と一体の構成要素であってよい。発明に係るプロファイル・ワイヤの調整を考慮したとき、案内装置または実装装置と別の、別々の装置が利用可能である必要はない。例えば実装作業のために必要とされるすべての機能、例えば、アライメント、制動およびプロファイル・ワイヤを捻ること、および他の機能は、1つの装置内で実行できる。
【0026】
実装装置は、全鋼製針布を備えたカーディング・ドラムと給送スプールを収容する実装機械の部分であってもよい。この実装機械の機械フレームは、互いに関連して給送スプール、カーディング・ドラムおよび実装装置を配置し、そしてカーディング・ドラムの回転駆動装置を引き継ぐ。しかしながら、カード内部でカーディング・ドラムにプロファイル・ワイヤを搬送するように、実装装置を構成することもできる。この場合、実装装置は、機械フレーム内に恒久的に設置されるかまたは機械フレームと関連して配置されたラックを備える。実装機械それ自体の内部で、またはカード内部で実装装置を構成することとは別に、当該ドラムの軸方向の全長に沿い、当該ドラムの全周囲上に徐々にプロファイル・ワイヤを巻回すことができるためには、実装装置は、全鋼製針布を備えたカーディング・ドラムに対し軸方向に移動することのできるキャリッジに設けられているのが好ましい。
【0027】
本発明の有利な実施態様のさらなる詳細は、図面、記載または請求項に由来する。記載は、本発明の本質的な態様および種々の状況に限定される。図面は、さらなる詳細を開示する。従って、それらは補完の参照すべきものとして使用されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】給送スプール、カーディング・ドラムおよび実装装置の側面の図。
【図2】全鋼製針布の形成のためのプロファイル・ワイヤの詳細の斜視図。
【図3】全鋼製針布を有するカーディング・ドラムの半径方向断面の詳細の図。
【図4】図1の給送スプール、実装装置およびカーディング・ドラムの平面図。
【図5】装着装置の上流側と下流側の、プロファイル・ワイヤの長手方向の捻れ関係を示す図。
【図6】図1および図4の実装装置の部分の詳細の組織的に配列された斜視図。
【図7】実装装置の角度調整装置の独立した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の角度調整装置の実施例の記載は、プロファイル・ワイヤが全鋼製針布上に隙間なく装着される実装工程に基づく。また、装着されたプロファイル・ワイヤの側面間に間隔が設けられることを必要とするような適用例は、知られている。本発明の角度調整装置の利点は、隙間なしの実装と同様にプロファイル・ワイヤが隙間をもってカーディング・ドラム上に装着される場合に役立つ。
【0030】
図1は、繊維原料のカーディングため、例えばカードの、カーディング・ドラム(シリンダ)を示す。カーディング・ドラム1は、そこに全鋼製針布2を備える。当該針布は、例えば、カーディング・ドラム1の生成表面上に隙間なく巻かれたプロファイル・ワイヤ3から成り、図3に示すように、当該プロファイル・ワイヤは、適切な長手方向の引っ張りをもってカーディング・ドラム1の生成表面4に対して当接する。従って、プロファイル・ワイヤ3は、渦巻線となる。図2に示すように、当該ワイヤは、通常例えば長方形の横断面を有するフット部5と、当該フット部から外側に放射状に伸びている刃部6とを有する。例えば、刃部6は歯が付けられ、したがってそれは鋸歯状プロファイルを有する。刃部6は、フット部5より狭いのが好ましい。フット部5は、好ましくは2つの平面側面7、8によって、そして刃部6から離れる方にある側に位置する背面によって、その範囲を決められる。プロファイル・ワイヤ3がカーディング・ドラム1に実装され、そして全鋼製針布が形成されたとき、プロファイル・ワイヤ3の個々の渦巻は、隙間なく巻かれ、互いにその側面同士が当接する。背面9は生成表面4上にある。
【0031】
カーディング・ドラム1にプロファイル・ワイヤ3を装着させるために、すなわち、全鋼製針布2を形成するためには、図1および4から明らかなように、プロファイル・ワイヤ3は給送スプール10から引き出されなければならず、そして可能ならば、制御された初期応力の下でカーディング・ドラム1上へ巻き取られる。プロファイル・ワイヤ3は、給送スプール10上にあって巻回される。プロファイル・ワイヤの側面7、8は、半径方向に対し直角に配向される。歯および刃部6は、それぞれ回転軸11に回転可能に支持された給送スプール10の軸方向を指す。
【0032】
全鋼製針布2を形成するために、プロファイル・ワイヤ3は、カーディング・ドラム1の軸方向について、プロファイル・ワイヤ3が渦巻どうし隙間なしに隣あうように、軸方向に案内されなければならない。加えて、プロファイル・ワイヤ3は、制御された初期応力に保たれなければならない。加えて、直立するように、すなわち、その長手方向の軸について、少なくとも90度捻られなければならない。プロファイル・ワイヤが給送スプール11にある時に有する予備捻れは、装着工程の間考慮されなければならない。プロファイル・ワイヤ3は、給送スプール10上でその側面7または8の一つが巻回されている一方、当該ワイヤが、カーディング・ドラム1に巻かれるときはワイヤの背部9が生成表面4に位置するようになる。実装装置12は、プロファイル・ワイヤ3が案内されるときに、上述の目的を達成するために設けられている。
【0033】
実装装置12は、カーディング・ドラム1の支持体14と同じく、スプール10の支持体13および実装装置の支持体15を備えた実装機械の部分であってもよい。支持体3〜14は、全く同一の機械フレームに設けられていてもよく、当該機械フレームは、床面46に設置され、当該床面に対して固定されている。これは、図1の陰影のついた領域で例示される。しかしながら、固定した付属物は、すでにカーディング・ドラム1のための支持体14を含むカード内部にあってもよい。カードに、またはその上に、一時的に設置されなければならないラックは、従って実装装置12の支持体15に、そして、任意に、もし必要であれば、給送スプール10の支持体にもなる。前述の場合の各々においては、支持体15は、実装装置12の側面の、および/または軸方向の、調整を実行するが、この調整は、実装運転の進行と整合して実行される必要がある。この調整は、図4の矢印16、17で示される。カーディング・ドラム1の回転と同期して実装装置12を動かす、付属の調整装置は示されてない。
【0034】
図6に示す実装装置12には、少なくとも一つの、給送スプール10から来るプロファイル・ワイヤ3を直立させるために設けられた、アライメント装置18が備えられている。このために、アライメント装置18には、ラック19に取り付けられたいくつかのアライメント・ローラ20、21、22、23、24と、同じく、任意に、追加のガイド・ローラ25、26、27が含まれる。アライメント・ローラ21〜24は、当該ワイヤがアライメント・ローラ21〜24の間を通過するときに、プロファイル・ワイヤ3の側面7、8に作用する。制動装置29、例えば2つのブレーキ顎板30、31(図7)を備えたガイド装置28がアライメント装置18に続く。
【0035】
本実施例では、ガイド装置28は、角度調整装置32で支えられている。この角度調整装置はアライメント装置18に対して、そしてホルダ33に対してガイド装置28を回転可能にする。このホルダは、当該アライメント装置に対して、長手方向の軸34について、固定されている。長手方向の軸34は、プロファイル・ワイヤ3に平行であるように、またはプロファイル・ワイヤと並んで整列配置されるように配向される。プロファイル・ワイヤ3は、長手方向の軸34に沿って動くことが好ましい。
【0036】
2つのブレーキ顎板30、31は、それらの間のプロファイル・ワイヤ3を締め付けるために設けられる。そのために、本実施例のブレーキ顎板の少なくとも1つのブレーキ顎板30は、そこからのブレーキ顎板31へ向かって、そしてそれから離れて、可動であるように支持される。ばね35によって、ブレーキ顎板30は、ブレーキ顎板31の方へ付勢される。ばね35の一端は、ブレーキ顎板30に当接し、当該ばねの他端は、キャリア・ラックの部分である反対側ベアリング36に当接する。このキャリア・ラックは、角度調整装置32によって、ホルダ33に対して長手方向の軸34の廻りに回転できる。ばね35を締め付けまたは緩めるために、ラックの外側または反対側ベアリング36に配置された手動調整デバイス37が設けられている。角度調整装置32は、例えば、ホルダ33を通って延びているブッシング38を含む。このように、ブッシング38は、長手方向の軸34と同心の旋回軸受けを構成する。ブレーキ装置29のキャリアは、示標41または他の標識に関係する表示器目盛40を有してもよい。示標41は、ホルダ33にしっかりと固定されうる。
【0037】
さらにまた、締め付け装置42が、所定の位置に角度調整装置32を締めつけるために設けられる。締め付け装置42は、例えば、つまみねじ、または他の手段であってもよい。あるいは、角度調整装置32の相対的な回転は、歯に係合するウォーム、または同様な手段によっても具体化できる。相対的な回転は、サーボモータの使用を場合と同様に、手動でも達成されうる。
【0038】
プロファイル・ワイヤ3の長手方向の軸34廻りの回転に加えて、長手方向の軸に対して直下に角度調整装置32を回転させることが可能である。このために、角度調整装置32は、締め付け手段44と案内手段43とを備える。締め付け手段44を解放すると、角度調整装置全体は、長手方向の軸45の廻りに、プロファイル・ワイヤ3の長さ方向と直角に、回転できる。さらにまた、締め付け手段44および、長手方向のガイド内に案内されるガイドピンとして設定されるガイド手段43は、角度調整装置32の垂直の、プロファイル・ワイヤ3の長さ方向に対して横方向の、線形調整を可能にする。加えて、角度調整装置32全体を線形ガイドに配置することが可能であり(図示されていない)、その線形ガイドは横の、プロファイル・ワイヤ3の長さ方向に対して直角方向の線形調整を可能にする。
【0039】
全鋼製針布は、以下のようにカーディング・ドラム1に装着される。
【0040】
最初に、プロファイル・ワイヤ3は実装装置12を通して、90度捻られながら案内されるので、プロファイル3の歯がカーディング・ドラム2対して基本的に半径方向に配向される。続いて、プロファイル・ワイヤ3の一端が、カーディング・ドラム1に取り付けられ、そしてカーディング・ドラム1の回転が徐々に始められる。この際、プロファイル・ワイヤ3は、実装装置12を通過して動く。ワイヤは、アライメント・ローラ20〜24を通過するが、そこで真っ直ぐに(矯正)されている。給送スプール10と実装装置12との間のその経路上で、ワイヤはすでに90度捻られている。従って、そのワイヤは、図4(左側)に示すような、その横たわった状態から、それが直立した状態に移動している。続いて、プロファイル・ワイヤ3は、ガイド装置28を通過して動く。ガイド装置28は、長手方向の軸34についてアライメント装置18に対して回転できる。図5に示されるように、プロファイル・ワイヤはこのように、第1ステップIの間、給送スプール10からアライメント装置18まで90度、そして第2ステップIIにおいて、ガイド装置28により、長手方向の軸34廻りにさらなる角度値により、回転する。この際、プロファイル・ワイヤ3は、ブレーキ顎板30、31の間で減速させられて案内され、ブレーキ顎板は、ステップIIに従い、当該ワイヤに所望の回転を与える。
【0041】
ブッシング38を通って自由に移動するプロファイル・ワイヤは、一定の反発能力を示す。従って、ステップIIIで、当該ワイヤは、その反発特性のため、 ブッシング38の下流側で捻り戻る。この結果、当該ワイヤは、ここで、その本来の位置に対してほぼ90度捻られている。結果的に、プロファイル・ワイヤIIIは、カーディング・ドラム1の生成表面4上に移動して、当該ワイヤの背部9がその生成表面上にその平面部分が来るように、横たわることができる。プロファイル・ワイヤ3の傾いた位置または偏向は、効果的に防止される。前述の手段を用いて、全鋼製針布の生産の際、特に狭い、特に高さのあるプロファイル・ワイヤでも安全に処理可能である。加えて、プロファイル・ワイヤ3の個々の渦巻が互いから距離を持つようにしてなる全鋼製針布の生産が可能である。
【0042】
本発明は改良された装着品質を有する全鋼製針布2を生成するための実装装置12に関する。実装装置12は、プロファイル・ワイヤ3を案内するためのガイド装置28を備える。ガイド装置28は、例えば、2つのブレーキ顎板30、31を含む角度調整装置32を備えてもよい。実装装置12は少なくとも一つの長手方向の軸34、45を有し、その廻りをガイド装置28が回転できる。ガイド装置28は、モータを用いて、ばね力により、あるいは手動により回転できる。加えて、ガイド装置28および角度調整装置32は、プロファイル・ワイヤ38の長さ方向に対して、それぞれ、水平方向に、直線方向に、そしてそれに直角な垂直方向に、調整できる。任意には、ガイド装置28は、独立したアライメント装置と同様に独立したブレーキ装置に置き換わることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 カーディング・ドラム
2 全鋼製針布
3 プロファイル・ワイヤ
4 生成表面
5 フット部(基部)
6 刃部
7,8 側面
9 背面
10 給送スプール
11 回転軸
12 実装装置
13〜15 支持体
16,17 矢印
18 アライメント配置
19 ラック
20〜24 アライメント・ローラ
25〜27 ガイド・ローラ
28 案内装置
29 制動装置
30,31 ブレーキ顎板
32 角度調整装置
33 ホルダ
34 縦軸、ワイヤ前進方向
35 ばね
36 反対側ベアリング
37 手動調整デバイス
38 ブッシング
40 表示器目盛
41 指標
42 締め付け装置
43 案内手段
44 締め付け手段
45 縦軸
46 床面





【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーディング・ドラム(1)上へ、ワイヤ進行方向(34)に沿ってプロファイル・ワイヤ(3)を案内するために設けられた案内装置(28)を備え、
当該案内装置(28)は、全鋼製針布(2)の当該プロファイル・ワイヤ(3)の角度アライメントを設定するための角度調整装置(32)を含み、
当該角度調整装置(32)は、調節可能であるように構成された、
全鋼製針布のための実装装置。
【請求項2】
前記角度調整装置(32)は、前記ワイヤ進行方向(34)について回転可能であるように支持される、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記角度調整装置(32)は、長手方向の軸(45)の廻りに回転可能であるように支持される、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項4】
前記角度調整装置(32)は、直線方向において、調節可能であるように支持される、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項5】
前記角度調整装置(32)は、締め付け装置(44)と案内装置(43)を備え、当該案内装置は、垂直方向に、長手方向の平面(34)に関し横断方向に、調整できる、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項6】
前記角度調整装置(32)は、水平方向に、長手方向の平面(34)に横断方向に、調節可能なように支持される、ことを特徴とする請求項4に記載の実装装置。
【請求項7】
前記案内装置(28)は、前記プロファイル・ワイヤ(3)の通過を抑制するための制動装置(29)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項8】
ブレーキ顎板(30、31)が共通キャリアに設けられ、当該キャリアは前記角度調整装置(32)に接続されている、ことを特徴とする請求項2に記載の実装装置。
【請求項9】
前記角度調整装置(32)は、選択されたおよび調整された角度位置を所定の位置に係止するための締め付け装置(42)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項10】
アライメント装置(18)が、前記案内装置(28)と給送スプール(10)との間に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項11】
前記アライメント装置(18)は、前記プロファイル・ワイヤ(3)が通過するいくつかのアライメント・ローラ(20〜24)を備える、ことを特徴とする請求項10に記載の実装装置。
【請求項12】
前記実装装置(12)は、ラックに接続され、カーディング・ドラム(1)に対し固定位置で当該ラックに係止されうる、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項13】
前記実装装置(12)は、前記カーディング・ドラム(1)を収容するための支持体(14)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項14】
前記実装装置(12)は、給送スプール(10)を収容するための支持体(11)を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項15】
全鋼製針布(2)を形成するためのカードのカーディング・ドラム(1)に、プロファイル・ワイヤ(3)を取り付ける方法であって、当該プロファイル・ワイヤは、2つの側面(7、8)および背部(9)を有し、当該背部(9)の反対側には歯を有する刃部(6)が設けられているものにおいて、
当該プロファイル・ワイヤの側面(7、8)のうちの1つは、給送スプール(10)上に巻回されて配置され、
当該プロファイル・ワイヤ(3)の当該背部(9)は、当該カーディング・ドラム(1)上に引張応力を加えられて巻回され、
当該プロファイル・ワイヤ(3)は、当該カーディング・ドラム(1)に巻回される前に、捻れを与えられ、当該捻れは、当該カーディング・ドラム(1)に装着されている当該プロファイル・ワイヤ(3)のアライメント平面から逸脱している、
プロファイル・ワイヤ(3)を取り付ける方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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