説明

共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物及びそれを含む接着剤組成物

【課題】改善した伸度性質を具えた共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物及び改善した初期粘着力、剥離強度、剪断保持力を具えた接着剤の作製に用いる接着剤組成物を提供する。
【解決手段】共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物及びそれを含む接着剤組成物を提供する。上述の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物は、10〜45重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ジブロック共重合体、10〜45重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素テーパードジブロック共重合体、及び10〜80重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素マルチブロック共重合体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物及びそれを含む接着剤組成物に関し、具体的に、本発明は伸度(elongation)性質を改善した共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物、及び改善された初期粘着力(initial tack)、剥離強度(peel strength)、剪断保持力(holding power)を具えた接着剤を作製するために用いる接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
工業ではよく共役ジエン(conjugated diene)−ビニル芳香族炭化水素(vinyl aromatic hydrocarbon)ブロック重合体を接着剤組成物の主要材料としており、これら接着剤組成物は例えばテープ、ラベル及びおむつ、女性用生理用品、外科手術用被覆物等の使い捨て式柔軟物品に応用され、粘着として用いられている。
【0003】
米国特許第5089550号(特許文献1)は、50〜85重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ジブロック共重合体及び15〜50重量%のビニル芳香族炭化水素−共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素トリブロック共重合体を含むブロック共重合体組成物を開示している。このブロック共重合体組成物は、接着剤組成物に使用することができる。
【0004】
米国特許第5112889号(特許文献2)は、A−B−Aブロック重合体、または例えばテーパードブロック共重合体(tapered block copolymer)或いは放射構造の(radial)ブロック共重合体の幾何形状のABブロック共重合体を含み、そのうちAブロックがスチレンまたはα−メチルスチレンから、Bブロックがイソプレン、ブタジエンまたはその水添物からそれぞれ得られる、感圧接着剤(pressure−sensitive adhesive)を開示している。
【0005】
米国特許第5420203号(特許文献3)は、まずアニオンに少なくとも一種類のビニル芳香族炭化水素及び少なくとも一種類の共役ジエンを重合し、活性(living)ブロック共重合体を形成し、続いてカップリング剤(coupling agent)を加えて上述の活性ブロック共重合体をカップリングし、その後さらに加熱方式でカップリングブロック共重合体をカップリングさせる、ブロック共重合体を形成する方法を開示している。
【0006】
米国特許第5510423号(特許文献4)は、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素のリニアブロック共重合体A−B−C−Dを開示しており、そのうち、AとDが主にビニル芳香族炭化水素ポリマーブロックであり、Bが主に共役ジエンポリマーブロックであり、CがBブロック中に出現する共役ジエン及びDブロック中に出現するビニル芳香族炭化水素のテーパードブロックを含むことを表し、そのうちCブロック中のビニル芳香族炭化水素がDブロックの方向に向かって徐々に増加する。このリニアブロック共重合体は、接着剤組成物に使用することができる。
【0007】
米国特許第5719226号(特許文献5)は、未水添または水添スチレン−ジアリルのトリブロック共重合体、及び未水添のスチレン−イソプレンジブロック共重合体から構成される混合物を含む、低粘度(viscosity)のホットメルト接着剤(hot melt adhesive)組成物を開示している。
【0008】
上述の特許文献1〜5は、いくつかの異なる組成のブロック共重合体及びそれを含む接着剤組成物を開示しており、異なる接着剤組成物は異なる特性の接着剤を形成し、さまざまな応用に適用されている。一般に、初期粘着力、剥離強度、剪断保持力等の性質は接着剤の応用において非常に重要であり、接着剤の適用範囲を増進するため、改善された初期粘着力、剥離強度、剪断保持力を具えた接着剤の作製に用いることができる接着剤組成物を提供することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5089550号明細書
【特許文献2】米国特許第5112889号明細書
【特許文献3】米国特許第5420203号明細書
【特許文献4】米国特許第5510423号明細書
【特許文献5】米国特許第5719226号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明的の目的は、プラスチック改質または接着剤の特性改良に用いることができる、改善した伸度性質を具えた共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物を提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、効果的に共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の製品の付加価値を高め、同時に共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の応用領域を大幅に拡大する、改善した初期粘着力、剥離強度、剪断保持力を具えた接着剤の作製に用いる接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述及びその他目的を達するため、本発明の提供する一つの実施態様の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物は、約10〜45重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ジブロック共重合体(di−block copolymer)、約10〜45重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素テーパードジブロック共重合体(tapered di−block copolymer)、及び約10〜80重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素マルチブロック共重合体(multi−block copolymer)を含む。
【0013】
本発明の別の実施態様の接着剤組成物は、100重量部の上述の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物、及び1〜700重量部の増粘剤を含む。
【0014】
本発明の上述及びその他目的、特徴、利点をより明確にするため、以下最良の実施例を挙げて詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一つの実施態様は主に、プラスチック改質または接着剤の特性の改良に用いることができる改善された伸度性質を具えた共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物を提供する。
【0016】
本発明の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物は、10〜45重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ジブロック共重合体と、10〜45重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素テーパードジブロック共重合体と、10〜80重量%の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素マルチブロック共重合体を含む。
【0017】
上述の各ブロック共重合体の重量%は共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物の重量を基準とする。一部の状況においては、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物がその性質を改善するための適量の添加剤を含むことができ、例えば保存に有利なように少量の抗酸化剤を添加することができる。
【0018】
上述のジブロック共重合体、テーパードジブロック共重合体、マルチブロック共重合体はそれぞれ共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーを重合させて成る。本発明において、共役ジエンモノマー(monomer)は、例えば、1,3−ブタジエン(1,3−butadiene)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン(2,3−dimethyl−1,3−butadiene)、3−ブチル−1,3−オクタジエン(3−butyl−1,3−octadiene)、イソプレン(isoprene)、ピペリレン(trans−1,3−pentadiene)、2−フェニル−1,3−ブタジエン(2−phenyl−1,3−butadiene)及びこれらの組み合わせから構成される群から選択することができ、ビニル芳香族炭化水素モノマーは、例えばスチレン(styrene)、α−メチルスチレン(α−methyl styrene)、p−エチルスチレン(p−ethyl styrene)、シクロヘキシルスチレン(cyclohexyl styrene)、p−メチルスチレン(p−methyl styrene)、o−メチルスチレン(o−methyl styrene)、m−メチルスチレン(m−methyl styrene)、1−ビニル−5−ヘキシルナフタレン(1−vinyl−5−hexyl naphthalene)、ビニルナフタレン(vinyl naphthalene)及びこれらの組み合わせから構成される群から選択することができるが、本発明は実際の必要性に応じてその他共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーを使用することができる。一つの実施態様において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ブロック共重合体は工業価値の高いブタジエン/スチレン共重合体またはイソプレン/スチレン共重合体とすることが最良である。
【0019】
共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ジブロック共重合体は共役ジエンポリマーブロック(polymer block)とビニル芳香族炭化水素ポリマーブロックから構成され、そのうち、上述の共役ジエンポリマーブロックは、共役ジエンモノマーを重合して成り、ビニル芳香族炭化水素ポリマーブロックはビニル芳香族炭化水素モノマーを重合して成る。一つの実施態様において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ジブロック共重合体は、重量平均分子量(weight−average molecular weight;Mw)約2×104 〜10×104 g/モルを有することができ、約4×104 〜8×104 g/モルがより好ましく、且つ約5×104 〜7.5×104 g/モルが最良である。共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ジブロック重合体は、ビニル芳香族炭化水素の含量約25〜50重量%を有することができ、約30〜45重量%がより好ましく、且つ約35〜40重量%が最良である。
【0020】
共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素テーパードジブロック共重合体は主にポリマーブロックとテーパードセグメント(tapered segment)を含む。一つの実施態様において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素テーパードジブロック共重合体のポリマーブロックは、ビニル芳香族炭化水素モノマーを重合して成り、テーパードセグメントは共役ジエンモノマーとビニル芳香族炭化水素モノマーを共重合して成る。別の実施態様において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素テーパードジブロック共重合体のテーパードセグメントの末端は、主にビニル芳香族炭化水素モノマー同士を重合して成ることが好ましい。他の実施態様において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素テーパードジブロック共重合体は重量平均分子量約2×104 〜10×104 g/モルを有することができ、約4×104 〜8×104 g/モルがより好ましく、且つ約5×104 〜7.5×104 g/モルが最良である。共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素テーパードジブロック共重合体はビニル芳香族炭化水素の含量約25〜55重量%を有することができ、約30〜50重量%がより好ましく、且つ約35〜45重量%が最良である。
【0021】
共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素マルチブロック共重合体は共役ジエンポリマーブロックとビニル芳香族炭化水素ポリマーブロックから構成される3ブロックまたは3ブロック以上の共重合体である。一つの実施態様において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素マルチブロック共重合体は重量平均分子量約5×104 〜20×104 g/モルを有することができ、約8×104 〜17×104 g/モルがより好ましく、且つ約10×104 〜15×104 g/モルが最良である。共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素マルチブロック共重合体はビニル芳香族炭化水素の含量約25〜50重量%を有することができ、約30〜45重量%がより好ましく、且つ約35〜40重量%が最良である。
【0022】
本発明の一つの実施態様に基づき提供される共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物は、重量平均分子量が2×104 〜20×104 g/モルであるものとすることができる。
【0023】
本発明の実施態様において、上述の重量平均分子量はWaters Pump 515ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)とRI Detector−2414検出器及びShodex Columnカラムを組み合わせて測定を行ったものである。0.02グラムの重合体の乾燥コロイド粒子を10ミリリットル(ml)のテトラヒドロフラン(THF)中に溶解させて溶液を作製し、70マイクロリットル(μl)のこの溶液をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に注入して測定を行い、重合体の重量平均分子量を得た。上述の「ビニル芳香族炭化水素の含量」は、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ブロック重合体の形成に用いるビニル芳香族炭化水素モノマーの総重量が共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ブロック共重合体を形成するすべてのモノマーの総重量に占める割合である。
【0024】
本発明の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ブロック共重合体中の各共役ジエンポリマーブロックは、同一または異なる共役ジエンモノマーから構成することができ、各ビニル芳香族炭化水素ポリマーブロックも同一または異なるビニル芳香族炭化水素モノマーから構成することができ、且つ各共役ジエンポリマーブロックとビニル芳香族炭化水素ポリマーブロックも工業製品の特性のニーズに基づいて組み合わせた共役ジエンモノマーまたはビニル芳香族炭化水素モノマーをそれぞれ使用し、共重合反応を行って形成することができる。
【0025】
一つの実施態様において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物は、溶液混合の方法を利用して形成することができる。この溶液混合の方法において、まず重合反応を利用して各異なる共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の重合体溶液を形成し、その後上述の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の重合体溶液を異なる割合で混合し、重合体混合溶液を形成する。続いて、この重合体混合溶液から溶剤を除去して乾燥させ、固体の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物を得る。
【0026】
重合反応を行うために用いる溶剤は、不活性有機溶剤が最良であり、例えば芳香族炭化水素、直鎖状または分枝状の炭化水素化合物、シクロアルキルエーテル、脂環式炭化水素類等を含むことができる。芳香族炭化水素の例としては、ベンゼン(benzene)、トルエン(toulene)、キシレン(xylene)、エチルベンゼン(ethyl benzene)等の有機溶剤を含むことができる。直鎖状の炭化水素化合物の例としては、ノルマルペンタン(n−pentane)、ノルマルヘキサン(n−hexane)、ノルマルヘプタン(n−heptane)、ノルマルオクタン(n−octane)、及びその他類似物を含むことができる。シクロアルキルエーテルの例としては、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran; THF)等を含むことができる。脂環式炭化水素類はシクロペンタン(cyclopentane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、メチルシクロペンタン(methyl cyclopentane)、シクロヘプタン(cycloheptane)、メチルシクロヘプタン(methyl cycloheptane)等を含むことができる。そのうちシクロヘキサン、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタンが最良の例である。
【0027】
共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ジブロック共重合体、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素テーパードジブロック共重合体、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素マルチブロック共重合体は、例えば使用アニオン重合法(anion polymerization)で形成することができ、有機リチウム化合物を触媒誘発剤として使用し、活性重合体を得、その分子鎖の末端にアニオン活性基を有するため、モノマーを加えた後、再度重合を行って分子鎖を成長させることができる。有機リチウム化合物の例としては、ノルマルプロピルリチウム(n−propyl lithium)、イソプロピルリチウム(isopropyl lithium)、ノルマルブチルリチウム(n−butyl lithium)、セカンダリブチルリチウム(sec−butyl lithium)、ターシャリーブチルリチウム(tert−butyl lithium)、ノルマルペンチルリチウム(n−pentyl lithium)、フェニルリチウム(phenyl lithium)、トリルリチウム(tolyl lithium)、及び二リチウムの炭化水素化合物等を含むことができ、そのうち二リチウムの炭化水素化合物は例えば1,4−二リチウム−ノルマルブタン(1,4−dilithium n−butane)、1,5−二リチウム−ペンタン(1,5−dilithiumpentane)、1,2−二リチウム−ジフェニルエタン(1,2−dilithium−diphenyl ethane)、1,4−二リチウム−1,1,4,4テトラフェニルブタン(1,4−dilithium−1,1,4,4−tetraphenyl butane)、1,3−二(1−リチウム−3メチルペンチル)ベンゼン (1,3−di(1−lithium−3−methylpentyl)benzene)、または1,4−二(1−リチウム−3メチルペンチル)ベンゼン (1,4−di(1−lithium−3−methylpentyl)benzene)を含むことができる。有機リチウム化合物の用量は一般に得ようとする重合体の分子量によって決定され、通常はモノマーの使用量の0.05〜5重量%の範囲内であり、全部のモノマー用量を基準とする。
【0028】
アニオン重合を行う反応温度は、約0℃〜150℃の温度範囲内とすることができる。反応温度が0℃より低い場合、有機溶剤は凝結して分離現象が生じる。反応温度が150℃より高い場合、重合体の分解の恐れが生じ、重合体の物性が低下する。このため、重合反応温度は約25℃〜120℃の間が好ましい。
【0029】
本発明の一つの実施態様において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の重合体溶液中に少量の酸化防止剤を加えると、共重合体の物性に影響しない状況下で保存できる。適用する酸化防止剤は、例えばヒンダードフェノール類(hindered phenolic)酸化防止剤及びその誘導体、亜リン酸エステル類(phosphite)酸化防止剤及びその誘導体またはその組み合わせ等を含むことができる。
【0030】
上述の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ブロック共重合体の各ブロック共重合体の重合体溶液または重合体混合溶液は、極性溶剤を添加して重合体を凝集させることができ、この極性溶剤は例えばメタノールまたはアセトンなど、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素ブロック共重合体の貧溶剤とすることができる。このほか、ブロック共重合体の重合体溶液または重合体混合溶液中の溶剤も熱水中で撹拌または直接加熱することで除去し、重合体を分離することができる。
【0031】
別の実施態様において、共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物は固体混合方法を利用して形成することができる。この固体混合方法は、まず異なる固体または溶融した共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体をそれぞれ準備し、プラスチックまたはゴム加工設備中で混練し、溶融混合を行う。続いて押出造粒を行い、粒状の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物を得る。
【0032】
混合温度は約100〜250℃の間とすることができ、かつブロック重合体の軟化点に基づいて調整することができる。例えば、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロックポリマーの混合温度は約100〜230℃の間とすることができ、約130〜200℃が好ましい。
【0033】
本発明の上述の実施態様で得られる共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物は、高価値を具えた熱可塑性エラストマー(Thermoplastic elastomer;TPE)であり、例えばプラスチック改質または接着剤の特性の改良に用いることができる。
【0034】
本発明の別の実施態様は上述の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物を含む接着剤組成物を提供する。この接着剤組成物は改善された初期粘着力、剥離強度、剪断保持力を具えた接着剤の作製に用いることができる。一つの実施態様において、接着剤組成物は100重量部の上述の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物と、1〜700重量部の増粘剤(tackifier)(100重量部の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物に対して)を含むことができる。
【0035】
一つの実施態様において、増粘剤は例えばビニル芳香族炭化水素ブロック重合体と相容性に優れたクマロンインデン樹脂(Coumarone−indene resin)、ポリインデン樹脂(poly−indene resin)、ポリスチレン樹脂(polystyrene resin)、ポリメチルインデン樹脂(poly(methyl indene) resin)、α−メチルスチレン樹脂(alpha−methylstyrene resin)、ビニルトルエン−α−メチルスチレン樹脂(vinyltoluene−alphamethylstyrene resin)またはその組み合わせ等を含むことができる。
【0036】
別の実施態様において、増粘剤は例えば共役ジエンブロック重合体と相容性に優れたC5炭化水素樹脂、水添C5炭化水素樹脂、スチレン系C9樹脂、C5/C9樹脂、スチレン系テルペン樹脂、全水添または部分水添のC9炭化水素樹脂、全水添または部分水添のポリテルペン(polyterpene)、ポリピネンテルペン樹脂(Poly(pinene terpene resin))、ロジンエステル(rosin esters)、ロジン誘導体またはこれらの組み合わせ等を含むことができる。
【0037】
さらに別の実施態様において、接着剤組成物はビニル芳香族炭化水素ブロック重合体と相容性に優れた増粘剤を含むことができ、且つさらに共役ジエンブロック重合体と相容性に優れた増粘剤を共に含むことができる。
【0038】
このほか、本発明の接着剤組成物はさらに、接着剤の粘着力及び加工性を改善するための1〜500重量部の加工油(Process oil)(100重量部の共役ジエン−ビニル芳香族炭化水素共重合体に対して)を含むことができる。一つの実施態様において、加工油は例えばナフテン油(naphthenic oil)、パラフィン油(paraffinic oil)、芳香族炭化水素油(aromatic oil)、天然油(natural oil)等またはその誘導体を含むことができるが、本発明はこれに限定されない。
【0039】
また、接着剤組成物は実際の必要性に応じてさらに、例えば塑化剤(plasticizer)等のその他の種類の添加剤を含むこともできる。
【0040】
以下、いくつかの実施例に基づいて本発明の方法、特徴、利点についてさらに説明するが、実施例の内容は本発明の範囲を限定せず、本発明の範囲は特許請求の範囲に準じる。
【実施例】
【0041】
(比較例1):カップリング法を用いたポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Aの作製
1860グラム(gram)のシクロヘキサン(THF 120ppm 含む)溶剤を、5リットルのオートクレーブ(autoclave)中に入れて55℃まで加熱した。100グラムのスチレンモノマーと9.74グラムの5重量%のノルマルブチルリチウムを順に加えて重合反応を開始させた。スチレンモノマーがほぼ完全に反応した後、210グラムのブタジエンモノマーを加えて、ブタジエンモノマーがほぼ完全に反応するまで重合反応を継続して行った。5.0グラムの8.74重量%のジメチルジクロロシラン(dimethyldichlorosilane)を加えてほぼ完全に反応するまでカップリング反応(coupling reaction)させ、重合体溶液を形成した。その後、0.7phr(parts per hundred rubber)の酸化防止剤(Phosphite系のIrgafos126とPhenolic系のIrganox1076の混合酸化防止剤)をこの重合体溶液中に加え、撹拌して均一に混合させた。
【0042】
上述の重合体溶液を撹拌した熱水の中にゆっくりと加え、溶剤を除去し、固体重合体顆粒(crumb)を含む水溶液を得た。この重合体顆粒をろ過し、100℃の熱空気で乾燥させ、ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Aのコロイド粒子を得た。ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Aはカップリング率約85%を有し、重量平均分子量は約11.8×104 g/モル、ポリスチレン含量は約29重量%であった。
【0043】
本発明の実施例において、重量平均分子量は0.02グラムの重合体の乾燥コロイド粒子を10ミリリットル(ml)のテトラヒドロフラン(THF)中に溶解させて溶液を作り、70マイクロリットル(μl)のこの溶液をゲル浸透クロマトグラフィー(Waters Pump 515、RI Detector−2414、Shodex Column)中に注入して測定を行った。
【0044】
(比較例2):連続重合法を用いたポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Bの作製
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体2aの重合体溶液を作製した。1885グラムのシクロヘキサン(THF 120ppm含む)溶剤を5リットルのオートクレーブ中に入れ、58℃まで加熱した。44.5グラムのスチレンモノマーと2.85グラムの15重量%のノルマルブチルリチウムを順に加えて重合反応を開始させた。スチレンモノマーがほぼ完全に反応した後、218グラムのブタジエンモノマーを加えて、ブタジエンモノマーがほぼ完全に反応するまで、重合反応を継続して行った。続いて44.5グラムのスチレンモノマーを加えてほぼ完全に反応するまで反応を行い、その後1.27グラムの水を加えて反応を終止させた。0.7phrの酸化防止剤(Phosphite系のIrgafos 126とPhenolic系のIrganox 1076の混合酸化防止剤)を加えて均一に撹拌し、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体2aの重合体溶液を得た。
【0045】
ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体2bの重合体溶液を作製した。1885グラムのシクロヘキサン(THF 120ppm含む)溶剤を5リットルのオートクレーブ中に入れ、58℃まで加熱した。89.0グラムのスチレンモノマーと4.2グラムの15重量%のノルマルブチルリチウムを順に加え、重合反応を開始させた。スチレンモノマーがほぼ完全に反応した後、218グラムのブタジエンモノマーを加え、ブタジエンモノマーがほぼ完全に反応するまで、重合反応を継続して行った。その後1.27グラムの水を加えて反応を終止させた。0.7phrの酸化防止剤(Phosphite系のIrgafos 126とPhenolic系のIrganox 1076の混合酸化防止剤)を加えて均一に撹拌し、ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体2bの重合体溶液を得た。
【0046】
上述のブロック共重合体2aと2bの重合体溶液は固形物(total solid)重量比82.3/17.7の割合で混合を行い、続いて、混合した重合体溶液を撹拌中の熱水の中にゆっくりと加え、溶剤を除去し、固体重合体顆粒を含む水溶液を得た。この重合体顆粒をろ過し、100℃の熱空気で乾燥させて、ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Bのコロイド粒子を得た。ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Bは、重量平均分子量約11.3×104 g/モル、及びポリスチレン含量約29重量%であった。
【0047】
アニオン重合法を用いたポリスチレン−ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1、ポリスチレン−ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体SBSの重合体溶液の作製。
【0048】
ポリスチレン−ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1の重合体溶液を作製した。1885グラムのシクロヘキサン(THF 120ppm含む)溶剤を5リットルのオートクレーブ中に入れ、55℃まで加熱した。116.7グラムのスチレンモノマーと3.2グラムの15重量%のノルマルブチルリチウムを順に加え、重合反応を開始させた。スチレンモノマーがほぼ完全に反応した後、190グラムのブタジエンモノマーを加え、ブタジエンモノマーがほぼ完全に反応するまで、重合反応を継続して行った。その後1.7グラムの水を加えて反応を終止させた。20分間撹拌した後、0.7phrの酸化防止剤(Phosphite系のIrgafos 126とPhenolic系のIrganox 1076の混合酸化防止剤)を加え、均一に撹拌し、ポリスチレン−ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1の重合体溶液を得た。ポリスチレン−ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1の重量平均分子量は約68000g/モル、ポリスチレン含量は約37.5重量%であった。
【0049】
ポリスチレン−ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2の重合体溶液を作製した。1885グラムのシクロヘキサン(THF 120ppm含む)溶剤を5リットルのオートクレーブ中に入れて、55℃まで加熱した。91.2グラムのスチレンモノマーと4.0グラムの15重量%のノルマルブチルリチウムを順に加え、重合反応を開始させた。スチレンモノマーがほぼ完全に反応した後、181.1グラムのブタジエンモノマーを加え、重合反応を継続して行い、反応温度が65〜70℃に到達したら、33.8グラムのスチレンモノマーを加え、継続して反応を行った。反応完了後、2.0グラムの水を加えて反応を終止させた。20分間撹拌した後、0.7phrの酸化防止剤(Phosphite系のIrgafos 126とPhenolic系のIrganox 1076の混合酸化防止剤)を加えて均一に撹拌し、ポリスチレン−ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2の重合体溶液を得た。ポリスチレン−ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2の重量平均分子量は約68000g/モル、ポリスチレン含量は約40.5重量%であった。
【0050】
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体SBSの重合体溶液を作製した。1885グラムのシクロヘキサン(THF 120ppm含む)溶剤を5リットルのオートクレーブ中に入れて55℃まで加熱した。50.7グラムのスチレンモノマーと2.59グラムの15重量%のノルマルブチルリチウムを順に加え、重合反応を開始させた。スチレンモノマーがほぼ完全に反応した後、205.7グラムのブタジエンモノマーを加えて重合反応を継続して行い、反応温度が最高に達した後、10分間反応を継続し、ブタジエンモノマーをほぼ完全に反応させた。50.7グラムのスチレンモノマーを加え、スチレンモノマーをほぼ完全に反応させた。その後、1.3グラムの水を加えて反応を終止させた。20分間撹拌した後、0.7phrの酸化防止剤(Phosphite系のIrgafos 126とPhenolic系のIrganox 1076の混合酸化防止剤)を加えて均一に撹拌し、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体SBSの重合体溶液を得た。ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体SBSの重量平均分子量は約127000g/モル、ポリスチレン含量は約37.5重量%であった。
【0051】
(比較例3):ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Cの作製
上述のポリスチレン−ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1とポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体SBSの重合体溶液を固形物重量比65/35の割合で混合し、均一な重合体混合溶液を得た。この重合体混合溶液を撹拌中の熱水中にゆっくりと加えて溶剤を除去し、固体重合体顆粒を含む水溶液を得た。この重合体顆粒をろ過し、100℃の熱空気で乾燥させ、スチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Cのコロイド粒子を得た。
【0052】
(比較例4):ポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Dの作製
作製したポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2及びポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBSの重合体溶液を固形物重量比65/35の割合で室温下において60分間均一に撹拌し、均一な重合体混合溶液を得た。この重合体混合溶液を撹拌中の熱水中にゆっくりと加えて溶剤を除去し、固体重合体顆粒を含む水溶液を得た。この重合体顆粒をろ過し、100℃の熱空気で乾燥させ、スチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Dのコロイド粒子を得た。
【0053】
(実施例1)
ポリスチレン-ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Eの作製
作製したポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1、ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2、及びポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBSの重合体溶液を固形物重量比35/28/37の割合で混合し、60分間撹拌して、均一な重合体混合溶液を得た。この重合体混合溶液を撹拌中の熱水中にゆっくりと加えて溶剤を除去し、固体重合体顆粒を含む水溶液を得た。この重合体顆粒をろ過し、100℃熱空気で乾燥させて、スチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Eのコロイド粒子を得た。
【0054】
(実施例2)
ポリスチレン-ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Fの作製
ポリスチレン-ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Fの作製方法は、その重合体混合溶液がポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1、ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBSの重合体溶液を固形物重量比40/23/37の割合で加え、混合して成ることを除き、スチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Eと同じとした。
【0055】
(実施例3)
ポリスチレン-ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Gの作製
ポリスチレン-ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Gの作製方法は、その重合体混合溶液がポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1、ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBSの重合体溶液を固形物重量比30/33/37の割合で加え、混合して成ることを除き、スチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Eと同じとした。
【0056】
(実施例4)
ポリスチレン-ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Hの作製
アニオン重合法を用いたポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1(H)、ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2(H)、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBS(H)の重合体溶液の作製
【0057】
ポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1(H)重合体溶液を作製した。1885グラム(gram)のシクロヘキサン(THF 120ppm含む)溶剤を5リットルのオートクレーブ中に入れて、55℃まで加熱した。92.1グラムのスチレンモノマーと7.2グラムの15重量%のノルマルブチルリチウムを順に加え、重合反応を開始させた。スチレンモノマーがほぼ完全に反応した後、215グラムのブタジエンモノマーを加え、ブタジエンモノマーがほぼ完全に反応するまで、重合反応を継続して行った。その後1.7グラムの水を加えて反応を終止させた。20分間撹拌した後、0.7phrの酸化防止剤(Phosphite系のIrgafos 126とPhenolic系のIrganox 1076の混合酸化防止剤)を加えて均一に撹拌し、ポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1(H)の重合体溶液を得た。ポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1(H)の重量平均分子量は約30000g/モル、ポリスチレン含量は約30重量%であった。
【0058】
ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2(H)の重合体溶液を作製した。1885グラム(gram)のシクロヘキサン(THF 120ppm含む)溶剤を5リットルのオートクレーブ中に入れて、55℃まで加熱した。67.2グラムのスチレンモノマーと7.2グラムの15重量%のノルマルブチルリチウムを順に加え、重合反応を開始させた。スチレンモノマーがほぼ完全に反応した後、215グラムのブタジエンモノマーを加え、重合反応を継続して行い、反応温度が65〜70℃に到達したら、24.9グラムのスチレンモノマーを加え、重合反応を継続して行った。重合反応が完了した後、2.0グラムの水を加えて反応を終止させた。20分間撹拌した後、0.7 phrの酸化防止剤(Phosphite系のIrgafos 126とPhenolic系のIrganox 1076の混合酸化防止剤)を加えて均一に撹拌し、ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2(H)の重合体溶液を得た。ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2(H)の重量平均分子量は約30000g/モル、ポリスチレン含量は約30重量%であった。
【0059】
ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SB−1
(H)の重合体溶液を作製した。1885グラム(gram)のシクロヘキサン(THF 120ppm含む)溶剤を5リットルのオートクレーブ中に入れて55℃まで加熱した。46.1グラムのスチレンモノマーと3.5グラムの15重量%のノルマルブチルリチウムを順に加え、重合反応を開始させた。スチレンモノマーがほぼ完全に反応した後、218グラムのブタジエンモノマーを加え、重合反応を継続して行い、反応温度が最高に達した後、10分間反応を継続させ、ブタジエンモノマーをほぼ完全に反応させた。46.1グラムのスチレンモノマーを加え、スチレンモノマーをほぼ完全に反応させた。その後、1.3グラムの水を加えて反応を終止させる。20分間撹拌した後、0.7phrの酸化防止剤(Phosphite系のIrgafos 126とPhenolic系のIrganox 1076の混合酸化防止剤)を加えて均一に撹拌し、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBS(H)の重合体溶液を得た。ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBS(H)の重量平均分子量は約60000g/モル、ポリスチレン含量は約30重量%であった。
【0060】
上述のポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1(H)、ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2(H)、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBS(H)はすべてポリスチレン含量約30重量%を有した。作製したポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1(H)、ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2(H)、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBS(H)の重合体溶液を固形物重量比10/10/80の割合で60分間撹拌して均一に混合し、均一な重合体混合溶液を得た。この重合体混合溶液を撹拌中の熱水中にゆっくりと加えて溶剤を除去し、固体重合体顆粒を含む水溶液を得た。この重合体顆粒をろ過し、100℃の熱空気で乾燥させて、スチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体Hのコロイド粒子を得た。
【0061】
重合体A〜Hの基本物性のテスト
上述で作製したスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体の重合体A〜Hの乾燥コロイド粒子を加熱したローラーで圧延、プレスを行い、2mmの厚さの試料片とし、その後ダンベル状の3号カッターでダンベル形試料片にカットした後、25℃の温度及び65%の相対湿度下でInstron引張試験機を用いASTM D 412の方法(引張速度: 500mm/分)に従い伸度率の基本物性テストを行った。測定結果を表1に示す。
【0062】
重合体A〜Hで接着剤組成物を作製し、接着剤の特性をテスト
100グラムの上述のスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体A〜Hの乾燥コロイド粒子を120グラムのP100と60グラムのS−125の増粘剤(P100は全水添ポリテルペン樹脂系、S−125はポリピネンテルペン樹脂系に属し、初光石油化学公司から購入)、85グラムのSemi−paraffinic oil(韓国S−Oil社から購入)、及び1グラムの酸化防止剤Irganox−1076(Ciba Geigy社から購入)をそれぞれ混合し、接着剤組成物を得た。各接着剤組成物を180℃の温度下で150rpmの回転速で2時間撹拌し、ホットメルト接着剤を作製した。
【0063】
作製したホットメルト接着剤は、Hot Melt Coater Cheminstruments−HLCL1000型のコーターを利用して、138℃の温度下で、ホットメルト接着剤をOPPフィルム(コーターのローラーの間隙は0.208mm)に塗布してテープを製作し、このテープに対しChatillon DFM 10型の初期粘着力試験装置を利用してPSTC−16の方法に従い初期粘着力試験を行い、Instron 4464型の剥離強度試験装置を利用してPSTC−101の方法に従い剥離強度試験を行い、さらにCheminstruments RT−10型を利用してPSTC−107の方法に従い60℃剪断保持力の測定を行った。結果を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
表1を参照すると、ポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1/SB−1(H)、ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2/SB−2(H)、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBS/SBS(H)を含む重合体E、F、G、Hはすべて改善された伸度特性を具え、プラスチックの改質に適している。
【0066】
このほか、表1に示すように、カップリング法で作製した重合体Aを含む接着剤の初期粘着力は劣っている。ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレンブロック共重合体2aとポリスチレン-ポリブタジエンブロック共重合体2bを混合した重合体B、ポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1とポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBSを混合した重合体C、またはポリスチレン--ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2とポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBSを混合した重合体Dを含んで形成した接着剤の初期粘着力も劣っている。
【0067】
表1に示すように、異なる割合でポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1、ポリスチレン-ポリブタジエンテーパードジブロック共重合体SB−2、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBSを混合して作製した重合体E、F、Gで形成した接着剤は改善された初期粘着力を具えている。また、重合体H中に含まれるポリスチレン-ポリブタジエンジブロック共重合体SB−1(H)、ポリスチレン-ポリブタジエン-テーパードジブロック共重合体SB−2(H)、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレントリブロック共重合体SBS(H)がそれぞれ有する重量平均分子量とビニル芳香族炭化水素の含量割合、及び共重合体SB−1(H)、SB−2(H)、SBS(H)の混合割合は重合体E、F、Gと異なるが、重合体Hを含む接着剤も改善された初期粘着力を具えている。
【0068】
このため、表1に基づき、本発明の実施例が提供する重合体E、F、G、Hを接着剤組成物に混合すると、効果的に接着剤の初期粘着力、剥離強度、剪断保持力を高め、接着剤の適用範囲を増進することができる。
【0069】
本発明について上述のように最良の実施例を開示してきたが、これらは本発明を制限するものではなく、関連技術を熟知した者であれば、本発明の要旨と範囲を逸脱することなく、変更や修飾が可能であるため、本発明の保護範囲は後付の特許請求の範囲に準じる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジエン‐ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物であって、
第1の共役ジエンモノマーと第1のビニル芳香族炭化水素モノマーを重合して成る10〜45重量%のジブロック共重合体と、
第2の共役ジエンモノマーと第2のビニル芳香族炭化水素モノマーを重合して成る10〜45重量%のテーパードジブロック共重合体と、
第3の共役ジエンモノマーと第3のビニル芳香族炭化水素モノマーを重合して成る10〜80重量%のマルチブロック共重合体と、
を含むことを特徴とする、共役ジエン‐ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物。
【請求項2】
前記第1の共役ジエンモノマー、前記第2の共役ジエンモノマー、前記第3の共役ジエンモノマーが、1,3‐ブタジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、3‐ブチル‐1,3‐オクタジエン、イソプレン、ピペリレン、2‐フェニル‐1,3‐ブタジエン及びこれらの組み合わせから構成される群からそれぞれ選択され、前記第1のビニル芳香族炭化水素モノマー、前記第2のビニル芳香族炭化水素モノマー、前記第3のビニル芳香族炭化水素モノマーが、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐エチルスチレン、シクロヘキシルスチレン、p‐メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、1‐ビニル‐5‐ヘキシルナフタレン、ビニルナフタレン及びこれらの組み合わせから構成される群からそれぞれ選択されることを特徴とする、請求項1に記載の共役ジエン‐ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物。
【請求項3】
前記共役ジエン‐ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物の重量平均分子量が2×104〜20×104 g/モルであることを特徴とする、請求項1または2に記載の共役ジエン‐ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物。
【請求項4】
前記ジブロック共重合体の重量平均分子量が2×104〜10×104 g/モル.であり、前記テーパードジブロック共重合体の重量平均分子量が2×104〜10×104 g/モルであり、前記マルチブロック共重合体の重量平均分子量が5×104〜20×104 g/モルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン‐ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物。
【請求項5】
前記ジブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素の含量が25〜50重量%であり、前記テーパードジブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素の含量が25〜55重量%であり、前記マルチブロック共重合体のビニル芳香族炭化水素の含量が25〜50重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の共役ジエン‐ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物。
【請求項6】
前記テーパードジブロック共重合体の末端が前記第2のビニル芳香族炭化水素モノマー同士を重合して成ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の共役ジエン‐ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物。
【請求項7】
接着剤組成物であって、
100重量部の請求項1〜6のいずれかに記載した共役ジエン‐ビニル芳香族炭化水素共重合体の混合物と、
1〜700重量部の増粘剤と、
を含むことを特徴とする、接着剤組成物。
【請求項8】
前記増粘剤が、クマロンインデン樹脂、ポリインデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルインデン樹脂、α‐メチルスチレン樹脂、ビニルトルエン‐α‐メチルスチレン樹脂、C5炭化水素樹脂、水添C5炭化水素樹脂、スチレン系C9樹脂、C5/C9樹脂、スチレン系テルペン樹脂、全水添または部分水添のC9炭化水素樹脂、全水添または部分水添のポリテルペン、ポリピネンテルペン樹脂、ロジンエステル、ロジン誘導体、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項7に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
さらに1〜500重量部の加工油を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の接着剤組成物。

【公開番号】特開2011−127089(P2011−127089A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136806(P2010−136806)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(510168117)ティーエスアールシー コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】