説明

具材と多孔質性可食部材からなるスナック菓子、及びその製造方法

【課題】具材そのものの風味や食感を楽しむことができ、手軽に食することができるようにしたスナック菓子を提供する。
【解決手段】小片状をした具材と、複数の小孔を備えた多孔質性可食部材とを、質量比において前記具材が前記多孔質性可食部材よりも多くなるように配合し、これらを混合してスナック生地を調整する。このスナック生地は、所望の形状に成形した後、電子レンジ等により加熱する。スナック生地の成形は、たとえば、全体的に均一な厚みを有する平板状に薄く伸ばすことにより行う。また、スナック生地の調整時、スナック生地の成形終了後、スナック生地の加熱中又は加熱後、の何れか1以上において少なくとも1回以上所望の調味を施す。これにより、具材と多孔質性可食部材とが一体化したスナック菓子を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具材として含まれる様々な食材の風味や食感を楽しむことができ、手軽に食することができるようにしたスナック菓子とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スナック菓子の多くは、一般的に、米や小麦粉、トウモロコシ、ジャガイモでんぷん等の穀物粉を主原料とし、これに水を加えて蒸し練りしたものを冷却・硬化させ、さらに、成型し、乾燥させた生地を、油揚げや焙焼等の加熱膨化処理を行った後、調味液や調味パウダー等で味付けすることにより製造している。このようなスナック菓子は、手軽に食べられる便益さから、子供や女性のおやつは勿論のこと、男性でもお酒のおつまみとして多く食されている。
【0003】
ところが、スナック菓子において、穀物粉を主原料として蒸し練りした生地以外の生地を用いたものは未だない。また、様々な具材を原料として用い、その風味や食感を楽しむことができるようにしたものも未だない。すなわち、従来知られているスナック菓子は、蒸し練りした穀物粉生地を用いたものであるか、もしくは具材そのものを薄くして生地として用いたものである。また、穀物粉以外に他の原料を用いた(加えた)スナック菓子として、ビタミン類やミネラルといった栄養素が豊富である海藻や野菜、魚介類などの具材を他の原料として用いたものはあるが、何れも上述した穀物粉を主原料として蒸し練りしたものである。ゆえに、たとえ海藻や野菜等の具材を原料の一部として用いたとしても、主原料とする穀物粉に練り込まれることで、具材の風味や食感に乏しいものになってしまうとともに、含まれる具材の栄養素を十分に得ることができない。
【0004】
特に、四方を海で囲まれた我が国では、欧米と異なり昔から海藻を食用にする習慣がある。たとえば、コンブは、だし取りや煮物、佃煮の素材として用いられている。ワカメは、汁物や煮物、酢の物の具材として用いられている。ヒジキは、煮付けの素材として用いられている。もづくは、酢の物の具材として用いられている。海苔は、乾燥させたり、佃煮や汁物の具材としたりして用いられている。テングサは、寒天や心太として用いられている。さらに、多くの海藻が、刺身の盛り合わせのツマとして用いられている。したがって、このような海藻等の具材を主成分として含むスナック菓子が提案されれば、食事以外のおやつとしてビタミン類やミネラルといった栄養素を手軽に得ることができる。
【0005】
そこで、食物繊維が多く、ビタミン類及びミネラルが豊富である一方でノンカロリーであるといった利点を有する海藻を原料として用いたスナック菓子の提案がいくつかなされている。
【0006】
たとえば、昆布や若布等の褐藻類を、アルカリイオン水又は無機水酸化物若しくは有機酸のアルカリ塩の水溶液に接触させることにより軟化処理を施した後、乾燥処理に供することでスナックフーズとしたものがある(特許文献1参照)。
また、ペースト状とした海藻とカルシウム凝固性食用高分子物質とを混和して作成した粘性の液体を薄く延ばし、これにカルシウム塩水溶液をかけてゲル化させ、生成した薄膜状成形物を加熱乾燥・真空乾燥することにより、油脂を一切使わないで、サクサクとしたクリスピー感を持つチップ状の海藻スナックとしたものもある(特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1及び2に記載の方法では、スナック菓子の主成分となる海藻の加工・処理が煩わしく、簡単に製造することができない。しかも、このような海藻の加工・処理は、海藻の特徴を失わせるようなものであって、海藻(すなわち、具材)そのものの風味や食感を楽しむことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−315541号公報
【特許文献2】特開2003−310179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、具材そのものの風味や食感を楽しむことができ、手軽に食することができるようにしたスナック菓子を提供することを目的とする。
また、本発明は、具材の処理に手間が掛からず、簡単にスナック菓子を製造することを可能とした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係るスナック菓子は、小片状をした具材と、複数の小孔を備えた多孔質性可食部材とを主原料とし、加熱による水分の蒸発によってこれらが一体化したスナック菓子であって、前記具材は、加熱前の質量比において前記多孔質性可食部材よりも多く配合されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に係るスナック菓子は、請求項1に記載のスナック菓子であって、前記多孔質性可食部材は、パン粉であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に係るスナック菓子は、請求項1又は2に記載のスナック菓子であって、全体的に均一な厚みを有する平板状であることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に係るスナック菓子の製造方法は、小片状をした具材と、複数の小孔を備えた多孔質性可食部材とを、質量比において前記具材が前記多孔質性可食部材よりも多くなるように配合し、これらを混合してスナック生地を調整し、このスナック生地を加熱することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に係るスナック菓子の製造方法は、請求項4に記載のスナック菓子の製造方法であって、前記スナック生地の調整時に、穀物粉をさらに加えることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6に係るスナック菓子の製造方法は、請求項4に記載のスナック菓子の製造方法であって、前記スナック生地の調整時に、水分をさらに加えることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項7に係るスナック菓子の製造方法は、請求項4乃至6の何れか1項に記載のスナック菓子の製造方法であって、前記スナック生地の加熱は、所望の形状に成形してから行うことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項8に係るスナック菓子の製造方法は、請求項4乃至7の何れか1項に記載のスナック菓子の製造方法であって、前記スナック生地の加熱は、二回に分けて行うことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項9に係るスナック菓子の製造方法は、請求項7又は8に記載のスナック菓子の製造方法であって、前記スナック生地の成形は、平板状となるように薄く延ばし、前記スナック生地の加熱は、電子レンジで行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項10に係るスナック菓子の製造方法は、請求項8に記載のスナック菓子の製造方法であって、前記スナック生地の成形は、平板状となるように薄く延ばし、前記スナック生地の加熱は、電子レンジで行った後、オーブンもしくはホットプレートで行うことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項11に係るスナック菓子の製造方法は、請求項4乃至10の何れか1項に記載のスナック菓子の製造方法であって、前記スナック生地の調整時、前記スナック生地の成形終了後、前記スナック生地の加熱中又は加熱後、の何れか1以上において少なくとも1回以上所望の調味を施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のスナック菓子は、小片状をした具材と、複数の小孔を備えた多孔質性可食部材とを主原料とし、加熱による水分の蒸発によってこれらが一体化したスナック菓子であって、具材が、加熱前の質量比において多孔質性可食部材よりも多く配合されている。すなわち、本発明のスナック菓子は、可食部材部分は、加熱されることで含有水分が蒸発して複数の孔部が生じたものとなっている。一方、具材部分は、加熱されることで含有水分が蒸発して濃縮し、具材特有の風味と食感が得られるものとなっている。また、具材と結着した可食部材部分は、気泡が含まれているような微細な空洞部を多数有する多孔質立体構造層となっている。ゆえに、このスナック菓子は、咀嚼によって多孔質性可食部材が備える小孔が容易に破壊されることで、サクサクとしたクリスピーな食感が得られ、口解けが良いと共に、咀嚼によって、多孔質性可食部材よりも多く配合されている具材の風味が口内に拡がるものとなる。
【0022】
したがって、具材そのものの食感を楽しむことができるスナック菓子とすることができ、手軽に食することができる。しかも、調味液や調味パウダー等で味付けすることにより製造したスナック菓子とは明らかに異なり、喫食した後に、具材の風味が口の中に残るとともに、香りが鼻を抜け、その後味を十分に楽しむことができるものとなる。
【0023】
また、本発明のスナック菓子の製造方法は、小片状をした具材と、複数の小孔を備えた多孔質性可食部材とを、質量比において具材が多孔質性可食部材よりも多くなるように配合し、これらを混合する。そうすると、多孔質性可食部材が具材の水分を吸収して糊化(α化)し、この糊性によって具材と多孔質性可食部材とが一体化されたスナック生地が成形される。そして、このスナック生地を加熱すると、具材より水分が蒸発して、この具材と可食部材とが結着して一体化した具材入りスナック菓子を製造することができる。
【0024】
したがって、具材の処理に手間が掛からず、簡単にスナック菓子を製造することを可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態の一例を説明する。
本発明のスナック菓子は、電子レンジやオーブン、鉄板(ホットプレート)等で加熱することにより製造されるものであって、小片状をした具材と、多孔質性可食部材とを主原料として構成されている。
【0026】
具材は、風味や食感を楽しむことができる大きさをした穀物粉以外の食材であれば、特に限定されない。したがって、たとえば、トマト、にんじん、ほうれん草、ピーマン等の緑黄色野菜や、キャベツ、きゅうり、はくさい、大根、たまねぎ等の淡色野菜を含む野菜類、さつまいもやじゃがいもを含む芋類、いちご、バナナ、りんご、柑橘類を含む果実類、きのこ類、等を挙げることができる。また、具材には、タンパク質を多く含む食材も用いることができる。このタンパク質を多く含む食材としては、たとえば、アサリ、ハマグリ、ホタテ、アオヤギ、シジミ、トリ貝、ホッキ貝、ミル貝等の貝や、イワシ、マグロ、真タラ等の魚の他、海藻や小エビ等を含む魚介類、及び牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、羊肉、ウサギ肉、シカ肉、クジラ肉といった肉類等を挙げることができる。さらに、具材は、大豆、落花生、リョクトウ、インゲンマメ、ヒヨコマメ、ソラマメ、小豆といった豆類としても良い。
【0027】
また、具材は、予め調味が施されたものや、乾燥されたものであっても良い。具材が乾燥されたものの場合、製造前に予め加水して、もしくは製造時に加水して用いる。これらの具材は、何れか1種に限定されることなく、これらを2種以上混合したものとすることができる。ゆえに、インゲンの胡麻和えや、チリビーンズ、もつ煮込み、といった惣菜等であっても、具材として用いることができる。
【0028】
また、具材は、それぞれの種類に応じて形状が異なるので大きさは限定されないが、スナック生地の調整や加熱等といった製造し易さを考慮すると、少なくとも1辺の大きさが2〜3mm以下のものとすると望ましい。ゆえに、大きな具材は、ミキサやフードプロセッサを用いて小さく粉砕(切断)したものとすると良い。
【0029】
したがって、具材を加熱することで、具材から水分が蒸発し、濃縮された具材の風味と食感を楽しむことができる。たとえば、生の海藻類や野菜類といった含水量の多い具材は、水分が蒸発することでパリパリとした食感を有するものとなる。また、果物類などの糖分の多い具材は、水分が蒸発することで粘性が生じ、固形状をしたジャムのような食感を有するものとなる。さらに、魚介類や肉類といったタンパク質系の具材は、水分が蒸発することで干物や燻製のような適度な歯ごたえを有するものとなる。
【0030】
一方、多孔質性可食部材は、具材の加熱前に既に膨張、硬化しているものであって、複数の小孔を備えている。すなわち、多孔質性可食部材は、気泡が含まれているような微細な空洞部を多数有する多孔質立体構造層を有している。また、多孔質性可食部材は、吸水することで糊性を生じるものである。このような多孔質性可食部材としては、たとえば、パン粉を挙げることができる。
【0031】
このパン粉は、乾燥させたパンを細かく砕いたものでも良く、乾燥させていない生のパンをフードプロセッサ等で砕いたもの(いわゆる、生パン粉)でも良く、特に限定されない。ただし、生パン粉を用いた場合、サクサクとしたクリスピーな食感を有するスナック菓子を製造する際に多くの加熱時間を要することから、短時間で製造したい場合には、予め乾燥させたパン粉を用いるのが望ましい。
【0032】
そして、これらの具材と多孔質性可食部材とを、質量比において具材が多孔質性可食部材よりも多くなるように配合し、これらを混合してスナック生地を調整した後、このスナック生地を所望の形状に成形してから、電子レンジやオーブン、鉄板等を用いて加熱する。
【0033】
スナック生地の調整においては、具材の含水量に応じて、穀物粉をさらに加えるものとすると良い。すなわち、含水量が多く水分の滲出が多い具材の場合、穀物粉を加えることで多孔質性可食部材の吸水量を抑え、多孔質性可食部材が備える小孔が破壊されてしまうことを抑制できると共に、多孔質性可食部材の糊化による具材との結着力が弱まってしまうことを防止して結着し易いものとすることができる。また、穀物粉を加えることで生地の固さの調整を行うこともできる。このような穀物粉としては、たとえば、米粉や小麦粉のほか、トウモロコシ粉、でんぷん粉等を挙げることができる。
【0034】
また、スナック生地の調整においては、具材の含水量に応じて、水分をさらに加えるものとすると良い。すなわち、含水量が少なく水分の滲出が少ない具材の場合、水分を加えることで多孔質性可食部材が吸水して糊化し易くなり、具材との結着がし易くなる。この水分は、水であっても良いし、含水量の高い具材でも良い。また、予め具材に水分を含ませたものであっても良い。
【0035】
このように、具材と多孔質性可食部材とは、多孔質性可食部材の吸水により生じる糊性によって互いに結着したものとなっている。そして、具材と多孔質性可食部材とは、加熱による水分の蒸発によってこれらが一体化したものとなる。
【0036】
調整されたスナック生地は、そのまま適量に小分けして加熱されるものとしても良いが、全体的に均一な厚みを有する平板状となるように薄く延ばし成形してから加熱すると良い。すなわち、スナック生地に含まれる水分量が多く、ドロドロとした水っぽい状態の場合、適量に小分けすることで自然と平たく広がって略平板状をしたものとなり、加熱による火の通りが良いものとすることができる。
【0037】
また、スナック生地がペースト状であってホットプレートを用いて加熱する場合、プレート(金属の板)の上にスナック生地を絞り出し、片面を焼成後、ひっくり返してその上からヘラやコテ(別の金属の板)等で押さえて厚さ1〜5mmの範囲で圧縮し、95〜150℃の焦げない温度範囲で焼成する。
一方、スナック生地に含まれる水分量が少なく、パテ状をした状態の場合、適量に小分し、塊のままでは、加熱による火の通りが不十分なものとなってしまう。ゆえに、この場合は全体的に均一な厚みを有する平板状となるように成形してから加熱することで、加熱による火の通りが良いものとすることができる。しかも、加熱されることで製造されたスナック菓子は、指で摘まみ易く、かつ、食べ易い(口へ入れ易い)ものとなる。
【0038】
このような平板状としたスナック生地の加熱においては、電子レンジを用いると望ましい。これは、オーブンやホットプレート等を用いて平板状としたスナック生地を加熱した場合、スナック生地の中心付近が上方に盛り上がった(反り返った)ものとなり、均一に加熱することができなくなってしまう虞を有するためである。しかも、電子レンジを用いることで、火傷や火災の原因となる火を使わないで安全に、かつ簡単で手軽に誰でも素早く製造することが出来るものとなる。なお、電子レンジを用いた加熱の場合、スナック生地の載置場所による加熱むらを抑制するために、加熱途中でスナック生地の載置場所を移動(変更)すると良い。
【0039】
また、スナック生地の加熱は、二回に分けて行うと良い。すなわち、電子レンジやオーブン、ホットプレート等の加熱手段には、それぞれに応じて様々な特徴があり、一度の加熱や、単一の加熱手段だけでは、効率良く、適切に加熱できない場合がある。たとえば、電子レンジを用いてスナック生地を加熱する場合、スナック生地の中心部分から加熱されて周辺部分に加熱不足が生じるため、スナック生地全体を均一に加熱することが難しく、加熱むら(水分の蒸発むら)が生じてしまう虞があり、適切に加熱することができない場合がある。特に、スナック生地中に油分や糖分が多いと、スナック生地の周辺部分の温度が効率良く上がり、均一にきれいに加熱することができるが、プレーン(調味成分なし)や塩分を含むと、スナック生地の周辺部分に水分が残ってしまい、均一にきれいに加熱することができない。
【0040】
一方、オーブンやホットプレートを用いてスナック生地を加熱する場合、スナック生地全体を均一に加熱することができるものの、スナック生地の加熱に多くの時間を要してしまい、効率良く製造することができない。しかも、オーブンやホットプレートを用いた加熱の場合、スナック生地の周辺部分から加熱されて生地の収縮がはじまり、中央付近が膨らみ加熱されにくくなってしまう一方、周辺部分が過加熱される虞があり、膨らむ部分を押さえ付けなければ均一にきれいに加熱することができない。
【0041】
ゆえに、スナック生地を一度加熱した後、冷ましてから再度スナック生地の加熱を行うようにする。これにより、スナック生地の加熱むら(水分の蒸発むら)が解消され、スナック生地全体を均一に加熱したサクサクとしたクリスピーな食感を有するスナック菓子を製造することができる。
【0042】
また、この際、一度目の加熱手段と二度目の加熱手段とは同じでも良いが、具材等に応じて加熱手段を変えることで、効率良くスナック菓子を製造することができるものとなる。具体的には、たとえば一度目の加熱と二度目の加熱を何れも電子レンジによって行っても良いが、一度目に電子レンジを用いて加熱を行い、二度目にオーブンやホットプレートを用いて加熱を行うと、作業性が良く、全体的に均一に加熱されたスナック菓子を製造することができる。このような加熱手段を変えた二度の加熱では、一度目の電子レンジを用いた加熱により、スナック生地に含まれるデンプン質(可食部材成分)が、水分の蒸発によって小さい孔が多数形成された多孔質になる。このとき、スナック生地に含まれるタンパク質も水分の蒸発によって収縮する。また、二度目のオーブン等を用いた加熱により、スナック生地に含まれるタンパク質(具材成分)が、電子レンジを用いた加熱による収縮からさらに収縮する。これにより、デンプン質とタンパク質との間での収縮差が生じ、具材と可食部材との間に大きい隙間が生じてカリッとしたスナック菓子となる。しかも、二度目の加熱をオーブンやホットプレートを用いて行うことで、具材や多孔質性可食部材(パン粉)が適度に焦げて香ばしい風味を醸し出すものとすることかができる。
なお、スナック生地の加熱は、一度目の電子レンジを用いた加熱によって蒸す作用を行った後、オーブン等を用いて焼成する方法が望ましいが、スナック菓子を量産するのであれば、電子レンジに代えて蒸す作用を蒸し装置を用いたものとしても良い。
【0043】
また、このように二回に分けて加熱を行う場合、一回目の加熱時間を二回目の加熱時間より多くすると良い。すなわち、一回目の加熱によって大まかに水分を取り除くと共に、その余熱によっても冷ます時に水分を取り除くが、それでも未だ十分に取り除けないで残っている所の水分を、二回目の加熱によって取り除くものである。
ゆえに、具体的には、たとえば、一回目の加熱で全加熱時間の8割程度を行い、二回目の加熱で残りの2割程度を行うようにする。このような水分の取り除き方は、電子レンジを用いた加熱において特に望ましい。
【0044】
本発明のスナック菓子では、具材に十分な調味が施されていない場合、調味成分をさらに含んだものとしても良い。すなわち、スナック生地の調整時(具材と可食部材との混合時)、スナック生地の成形終了後、スナック生地の加熱中又は加熱後、の何れか1以上において少なくとも1回以上所望の調味を施すものとする。
【0045】
この調味成分としては、たとえば、塩や砂糖(黒砂糖やグラニュー糖を含む)、醤油、みりんの他、好みに応じて、ガーリックやオニオン、胡椒、山椒、唐辛子、辛子、わさび、生姜、タイム、ローズマリー、クローブ、コリアンダー、フェンネル等といった香辛料、チーズを用いることができる。
【0046】
また、調味成分と共に、たとえば、胡麻、胡桃、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、麻の実、エゴマ、ひまわり,かぼちゃ、松の実、スイカ、コーヒー豆、カカオ豆、大豆、小豆、ささげ、インゲン豆、そら豆などの種子類をそのまま又は砕いたものを加えても良い。このような種子類を用いることで、具材や多孔質性可食部材とは異なる食感や風味を醸し出させることができる。
【0047】
また、本発明のスナック菓子においては、所望により食用油脂を含むものとしても良い。食用油脂を含むことで、熱の通りが良くなると共に、味にコクがでるものとなる。また、食用油脂が含まれると、酸化されにくいので日持ちが良くなり、味が劣化し難くなる。
【0048】
また、食用油脂としては、たとえば、サラダ油、オリーブ油、菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、胡麻油、ピーナッツ油、サフラワー油、ヒマワリ油、あまに油、ホホバ油、クレープシード油、スクアラン等といった常温で流動状の食用油や、たとえば、乳脂肪、ヤシ油、パーム油、牛脂、豚脂、カカオ脂、ショートニング、マーガリン等といった常温で固形状の食用脂が望ましい。
【0049】
本実施の形態では、本発明の理解を容易にするため、具材として、海藻を用いたスナック菓子(以下、「海藻チップス」という。)を、電子レンジで加熱することにより製造する場合を例に説明する。
【0050】
海藻は、昆布やわかめ、ひじき、もづく、アラメといった褐藻類、アサクサノリやテングサといった紅藻類、アオサ、アオノリ、といった緑藻類など海藻ならどんなものでも良く、特に限定されるものではない。
この海藻は、加熱前の質量比において、たとえば、最大80質量%程度を含むものとすることができるが、アオサのように特有の臭いが強い海藻の場合、喫食時のことを考慮し、配合量を少なめにすると良い。
【0051】
また、海藻は、非乾燥物(すなわち、生のもの)又は乾燥物を水や湯で戻した含水物とすると良い。すなわち、海藻が水分を含むことで柔らかく、薄片状等、所望の形状に成形し易くなると共に、加熱によって海藻に含まれる水分が膨張し、海藻の細胞壁を破壊し易いように弱めることができるからである。これにより、加熱によってさらに水分が抜けて硬化した海藻は、パリパリとして柔らかく食べ易い(咀嚼し易い)ものとなる。
【0052】
まず、パン粉と食用油脂を混ぜ合わせてパテ状の可食部材を調整する。なお、本発明では、上述したように、食用油脂は含まなくても良いが、食用油脂が含まれると望ましいので、ここでは食用油脂を含んだ場合について説明する。
【0053】
次いで、この可食部材を海藻に塗布するか、又は可食部材と海藻と混合してスナック生地を調整する。海藻は、種類や保存の仕方によって形状が様々である。ゆえに、海藻の形状が薄片状である場合、可食部材を少なくとも海藻の一面に塗布するものとすれば良い。また、海藻の形状が小片状又は繊維状をしたものの場合、可食部材と海藻と混合するものとすれば良い。
【0054】
その後、このスナック生地を所望の形状に成形する。スナック生地は、その後の加熱を電子レンジで行う場合、薄く延ばして全体的に均一な厚みを有する平板状となるように成形すると、火の通りや良くなり望ましい。
そして、このスナック生地を、所定時間加熱すると、すぐに喫食することが出来る海藻チップスを簡単に製造することができる。
【0055】
以上のように製造された海藻チップス生地は、海藻の形状が薄片状である場合、多孔質性可食部材が、電子レンジでの加熱後に少なくとも海藻の一面に結着したものとなっている。一方、海藻の形状が小片状又は繊維状をしたものの場合、多孔質性可食部材が、電子レンジでの加熱後に複数の海藻片を一つにまとめるようにバインダーとして結着したものとなっている。
【0056】
したがって、この海藻チップス生地を喫食すると、多孔質性可食部材は、食したときにサクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りとなり、しかも柔らかくすぐに噛み砕けるので、口の中で唾液によってすぐに溶けるような感覚を有するものとなる。一方、具材である海藻は、パリパリとした食感を有し、喫食した後にその香りが口の中に残ると共に、十分にその風味を楽しむことができるものとなる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例では、多孔質性可食部材として何れもパン粉を用い、電子レンジを用いて加熱した場合を例に述べる。
【実施例1】
【0058】
第1の実施例は、具材として野菜(菜の花)を用いた場合の例である。
まず、菜の花を2〜3mm幅の小片状に刻み、予め加熱して前処理を施した。次いで、この菜の花73.0質量%と、パン粉24.3質量%、調味料として塩0.3質量%、及びゴマ2.4量%を混合し、パン粉が菜の花の水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第1のスナック生地を調整した。
引き続き、この第1のスナック生地40gを3〜4mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を成形した。
【0059】
そして、この第1のスナック生地を、1kWの電子レンジで2分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は菜の花がパリパリになるまで加熱されており、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、喫食した後に菜の花の香りが口の中に残り、菜の花の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例2】
【0060】
第2の実施例は、具材として果実(バナナ)を用いた場合の例である。
まず、2〜3mm幅の厚さにスライスしたバナナ75質量%と、パン粉25質量%とを混合することで、パン粉がバナナの水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第2のスナック生地を調整した。
次いで、この第2のスナック生地40gを、2〜3mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を成形した。
【0061】
そして、この第2のスナック生地を、1kWの電子レンジで2分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は粗熱が取れるとバナナがパリパリになるまで加熱されたものとなり、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、喫食した後にバナナの甘さが口の中に残り、バナナの風味を十分に楽しむことができた。
【実施例3】
【0062】
第3の実施例は、具材として生の海藻(もづく)を用いると共に、さらに食用油脂を用いた場合の例である。
まず、パン粉25質量%、食用油脂として菜種油を5質量%、及び調味料として醤油2.1質量%を混合し、パン粉が菜種油と醤油を吸収することで糊化された粘性を有するやや硬いパテ状の可食部材を調整した。
次いで、海藻として生のもづく67.9質量%と、調整した可食部材とを混合してパテ状とし、その40gを2〜3mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状の第3のスナック生地を成形した。
【0063】
そして、この第3のスナック生地を、1kWの電子レンジで2分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子はもづくがカリカリになるまで加熱されており、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、喫食した後にもづくの香りが口の中に残り、もづくの風味を十分に楽しむことができた。
【実施例4】
【0064】
第4の実施例は、具材として乾燥した海藻(ひじき)を用いると共に、さらに食用油脂を用いた場合の例である。
まず、パン粉53.4質量%、食用油脂としてコーン油を5質量%、調味料として醤油1.3質量%及び、塩0.3質量%を混合し、パン粉がコーン油と醤油を吸収することで糊化された粘性を有するやや硬いパテ状の可食部材を調整した。
次いで、海藻として乾燥ひじきを水で戻し、フードカッターで細かくペーストに近い状態にしたひじき40質量%と、調整した可食部材とを混合してパテ状とし、その40gを2〜3mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状の第4のスナック生地を成形した。
【0065】
そして、この第4のスナック生地を、1kWの電子レンジで2分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子はひじきがカリカリになるまで加熱されており、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、喫食した後にひじきの香りが口の中に残り、ひじきの風味を十分に楽しむことができた。
【実施例5】
【0066】
第5の実施例は、具材として乾燥した海藻(わかめ)を用いると共に、穀物粉として米粉を用いた場合の例である。
まず、水で戻した乾燥わかめを2〜3mm幅の小片状に刻んだ。次いで、このわかめ68.1質量%と、パン粉27.3質量%、米粉2.3質量%、及びゴマ2.3量%を混合し、パン粉と米粉がわかめの水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第5のスナック生地を調整した。
引き続き、この第5のスナック生地40gを3〜4mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を成形した。
【0067】
そして、この第5のスナック生地を、1kWの電子レンジで2分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子はわかめがパリパリになるまで加熱されており、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、喫食した後にわかめの香りが口の中に残り、わかめの風味を十分に楽しむことができた。
【実施例6】
【0068】
第6の実施例は、具材として魚(カタクチイワシ)を用いると共に、さらに穀物粉として小麦粉を用いた場合の例である。
まず、カタクチイワシの頭、内臓、骨、及び尻尾を取り除き、1〜2mm幅の小片状に切断した。次いで、このカタクチイワシ73.7質量%と、パン粉17.2質量%、小麦粉7.4質量%、調味料として塩0.7質量%及び、粗引きコショー1.0質量%を混合し、パン粉と小麦粉がカタクチイワシの水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第6のスナック生地を調整した。
引き続き、この第6のスナック生地40gを2〜3mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を作成した。
【0069】
そして、この第6のスナック生地を、1kWの電子レンジで2分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子はカタクチイワシがパリパリになるまで加熱されており、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、喫食した後にカタクチイワシの香りが口の中に残り、カタクチイワシの風味を十分に楽しむことができた。
【実施例7】
【0070】
第7の実施例は、具材として魚(マグロ)を用いると共に、さらに穀物粉として小麦粉を用いた場合の例である。
まず、マグロの切り身を2〜3mm幅の小片状に切断した。次いで、このマグロ73.0質量%と、パン粉19.5質量%、小麦粉2.4質量%、調味料として塩0.2質量%と、コショー2.0質量%、及びゴマ2.9質量%を混合し、パン粉と小麦粉がマグロの水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第7のスナック生地を作成した。
引き続き、この第7のスナック生地40gを2〜3mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を作成した。
【0071】
そして、この第7のスナック生地を、1kWの電子レンジで2分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子はマグロが干物のような適度な歯ごたえを有する一方、多孔質性可食部材がサクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとなり、異なる食感を楽しむことができた。しかも、喫食した後にマグロの香りが口の中に残り、マグロの風味を十分に楽しむことができた。
【実施例8】
【0072】
第8の実施例は、具材として肉(牛肉)を用いると共に、さらに穀物粉としておからを用いた場合の例である。
まず、生の牛肉を2〜3mm幅の小片状に切断した。次いで、この牛肉59.2質量%と、パン粉23.6質量%、おから14.8質量%、調味料として塩0.3質量%、及びコショー2.1質量%を混混合し、パン粉とおからが牛肉の水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第8のスナック生地を作成した。
引き続き、この第8のスナック生地40gを1〜2mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を作成した。
【0073】
そして、この第8のスナック生地を、1kWの電子レンジで50秒間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は牛肉が乾肉のような適度な歯ごたえを有する一方、多孔質性可食部材がサクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとなり、異なる食感を楽しむことができた。しかも、喫食した後に牛肉の香りが口の中に残り、牛肉の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例9】
【0074】
第9の実施例は、具材として二種類の海藻を用いると共に、さらに穀物粉としてライ麦粉を用いた場合の例である。
まず、ひじきの乾燥物61.6質量%を水で戻し、フードカッターで細かくペーストに近い状態にし、芽ひじきの乾燥物12.3質量%を水で戻したものをそのまま加えて、具材としての海藻を準備した。次いで、この海藻に、パン粉22.2質量%、ライ麦粉2.5質量%、調味料として塩2.5質量%、及びゴマ0.7質量%を混合し、パン粉とライ麦粉がこれら海藻の水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第9のスナック生地を作成した。
引き続き、この第9のスナック生地40gを2〜3mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を作成した。
【0075】
そして、この第9のスナック生地を、1kWの電子レンジで2分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は粗熱が取れると二種類のひじきが共にカリカリになるまで加熱されたものとなり、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、喫食した後にひじきの香りが口の中に残り、ひじきの風味を十分に楽しむことができた。
【0076】
なお、上記実施例は何れも、製造時間を短縮することができると共に、簡単で誰にでも容易に製造することができる利点から、電子レンジを用いて加熱した場合を示したが、オーブンや鉄板を用いて加熱した場合であっても、電子レンジを用いて加熱した場合と同様に加熱することができるものである。引き続き、オーブン及び鉄板(ホットプレート)を用いて加熱した場合の実施例を述べる。
【実施例10】
【0077】
第10の実施例は、具材として野菜(菜の花)を用いると共に、オーブンで加熱した場合の例である。
まず、菜の花を2〜3mm幅の小片状に刻み、予め加熱して前処理を施した。次いで、この菜の花73.0質量%と、パン粉24.3質量%、調味料として塩0.3質量%、及びゴマ2.4量%を混合し、パン粉が菜の花の水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第10のスナック生地を調整した。
【0078】
そして、この第10のスナック生地40gを3〜4mmの厚さに薄く延ばし、160℃の温度に設定したオーブンの中で30分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は菜の花がパリパリになるまで加熱されたものとなり、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、スナック生地がオーブンによって焼かれることで香ばしいものとなり、喫食した後に菜の花の香りが口の中に残り、菜の花の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例11】
【0079】
第11の実施例は、具材として海藻(わかめ)を用いると共に、穀物粉として米粉を用い、さらにオーブンで加熱した場合の例である。
まず、水で戻したわかめを2〜3mm幅の小片状に刻んだ。次いで、このわかめ68.1質量%と、パン粉27.3質量%、米粉2.3質量%、及びゴマ2.3量%を混合し、パン粉と米粉がわかめの水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第11のスナック生地を調整した。
【0080】
そして、この第11のスナック生地40gを3〜4mmの厚さに薄く延ばし、160℃の温度に設定したオーブンの中で30分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子はわかめがパリパリになるまで加熱されたものとなり、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、スナック生地がオーブンによって焼かれることで香ばしいものとなり、喫食した後にわかめの香りが口の中に残り、わかめの風味を十分に楽しむことができた。
【実施例12】
【0081】
第12の実施例は、具材として野菜(菜の花)を用いると共に、鉄板(ホットプレート)上で加熱した場合の例である。
まず、菜の花を2〜3mm幅の小片状に刻み、予め加熱して前処理を施した。次いで、この菜の花73.0質量%と、パン粉24.3質量%、調味料として塩0.3質量%、及びゴマ2.4量%を混合し、パン粉が菜の花の水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第12のスナック生地を調整した。
【0082】
そして、この第12のスナック生地40gを、160℃の温度に設定した鉄板上に3〜4mmの厚さに薄く延ばして25分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は電子レンジの場合よりも菜の花がパリパリになるまで加熱されたものとなり、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、スナック生地が鉄板によって焼かれることで香ばしいものとなり、喫食した後に菜の花の香りが口の中に残り、菜の花の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例13】
【0083】
第13の実施例は、具材として海藻(わかめ)を用いると共に、穀物粉として米粉を用い、さらにオーブンで加熱した場合の例である。
まず、水で戻したわかめを2〜3mm幅の小片状に刻んだ。次いで、このわかめ68.1質量%と、パン粉27.3質量%、米粉2.3質量%、及びゴマ2.3量%を混合し、パン粉がわかめの水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第13のスナック生地を調整した。
【0084】
そして、この第13のスナック生地40gを、160℃の温度に設定した鉄板(ホットプレート)上に3〜4mmの厚さに薄く延ばして25分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は電子レンジの場合よりもわかめがパリパリになるまで加熱されたものとなり、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、スナック生地が鉄板によって焼かれることで香ばしいものとなり、喫食した後にわかめの香りが口の中に残り、わかめの風味を十分に楽しむことができた。
【0085】
また、上記実施例は何れも、単一の加熱手段によって一度だけの加熱処理した場合を示したが、異なる加熱手段によって二度加熱処理することで、好ましいスナック生地を製造することができる。引き続き、一度目の加熱手段と、二度目の加熱手段とを変えて、二度加熱処理を行った場合の実施例を述べる。
【実施例14】
【0086】
第14の実施例は、具材として海藻(海苔)を用い、一度目の加熱を電子レンジによって行うと共に、二度目の加熱をオーブンで行った場合の例である。
まず、乾燥海苔6.3質量%へ、水56.2質量%を加えておく。次いで、これにパン粉37.5質量%を加え、混合してパテ状の第14のスナック生地を調整した。
引き続き、この第14のスナック生地40gを、2〜3mmの厚さに薄く延ばして、平板状のスナック生地を成形した。
【0087】
そして、この第14のスナック生地を、1kWの電子レンジで1分30秒間加熱した後、粗熱を取ってから160℃の温度に設定したオーブンの中で10分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は全体的にパリパリになるまで加熱されており、食べると柔らかくすぐに噛み砕け、サクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとすることができた。しかも、スナック生地がオーブンによって焼かれることで香ばしいものとなり、喫食した後に海苔の香りが口の中に残り、海苔の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例15】
【0088】
第15の実施例は、具材として魚(真鱈)を用い、一度目の加熱を電子レンジによって行うと共に、二度目の加熱をオーブンで行った場合の例である。
まず、真鱈の切り身を2〜3mm幅の小片状に切断した。次いで、この真鱈69.7質量%と、パン粉29.9質量%、調味料として塩0.2質量%、及びコショー0.2質量%を混合し、パン粉が真鱈の水分を吸収することで糊化された粘性を有するパテ状の第15のスナック生地を作成した。
引き続き、この第15のスナック生地40gを2〜3mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を作成した。
【0089】
そして、この第15のスナック生地を、1kWの電子レンジで1分30秒間加熱した後、粗熱を取ってから160℃の温度に設定したオーブンの中で5分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は真鱈が干物のような適度な歯ごたえを有する一方、多孔質性可食部材がサクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとなり、異なる食感を楽しむことができた。しかも、スナック生地がオーブンによって焼かれることで香ばしいものとなり、喫食した後に真鱈の香りが口の中に残り、真鱈の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例16】
【0090】
第16の実施例は、具材として豆類(エンドウ豆)を用い、第14及び15の実施例と同様に、一度目の加熱を電子レンジによって行うと共に、二度目の加熱をオーブンで行った場合の例である。
塩ゆでエンドウ豆51.7量%と、水34.5質量%を合わせ、ミキサで粉砕した後、パン粉13.8質量%を加えて良くかき混ぜることで糊化された粘性を有するパテ状の第16のスナック生地を作成した。
引き続き、この第16のスナック生地4gを1.5mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を複数作成した。
【0091】
そして、この第16のスナック生地をオーブンシート上に並べ、1kWの電子レンジで2分間加熱した後、粗熱を取ってから130℃の温度に設定したオーブンの中で40分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は多孔質性可食部材がサクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとなった。しかも、スナック生地がオーブンによって焼かれることで香ばしいものとなり、エンドウ豆の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例17】
【0092】
第17の実施例は、具材として野菜(インゲン)の惣菜を用い、一度目の加熱を電子レンジによって行うと共に、二度目の加熱をオーブンで行った場合の例である。
まず、インゲンと人参、すり胡麻、白胡麻、砂糖、食塩、醤油、カツオだし等を原料として用い、インゲンの胡麻和えを調理した。次いで、このインゲンの胡麻和え55.6量%と、水22.2質量%を合わせ、ミキサで粉砕した後、パン粉22.2質量%を加えて良くかき混ぜることで糊化された粘性を有するパテ状の第17のスナック生地を作成した。
引き続き、この第17のスナック生地4gを1.5mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を複数作成した。
【0093】
そして、この第17のスナック生地をオーブンシート上に並べ、1kWの電子レンジで2分間加熱した後、粗熱を取ってから130℃の温度に設定したオーブンの中で40分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は多孔質性可食部材がサクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとなった。しかも、スナック生地がオーブンによって焼かれることで香ばしいものとなり、インゲンと胡麻の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例18】
【0094】
第18の実施例は、具材として豆類(インゲン豆)と肉類(豚肉)の惣菜を用い、一度目の加熱を電子レンジによって行うと共に、二度目の加熱をオーブンで行った場合の例である。
まず、インゲン豆と豚肉、トマト、玉ねぎ、チリパウダー、グリーンチリ、ハラペーニョペッパ、トウモロコシ澱粉、食塩、砂糖、醸造酢、香料等を原料として用い、豆と豚肉の煮込みであるポークチリビーンズを調理した。なお、ポークチリビーンズは、予め調理された市販の缶詰を用いても良い。次いで、このポークチリビーンズ56.8量%と、水25.0質量%を合わせ、ミキサで粉砕した後、パン粉18.2質量%を加えて良くかき混ぜることで糊化された粘性を有するパテ状の第18のスナック生地を作成した。
引き続き、この第18のスナック生地4gを1.5mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を複数作成した。
【0095】
そして、この第18のスナック生地をオーブンシート上に並べ、1kWの電子レンジで2分間加熱した後、粗熱を取ってから130℃の温度に設定したオーブンの中で40分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は多孔質性可食部材がサクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとなった。しかも、スナック生地がオーブンによって焼かれることで香ばしいものとなり、インゲン豆と豚肉の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例19】
【0096】
第19の実施例は、具材として肉類(豚もつ肉)と野菜(大根、人参)等の惣菜を用い、一度目の加熱を電子レンジによって行うと共に、二度目の加熱をオーブンで行った場合の例である。
まず、豚もつ肉、大根、人参、こんにゃく、みそ等を原料として用い、豚もつ煮込みを調理した。次いで、この豚もつ煮込み64.1量%と、水12.8質量%を合わせ、ミキサで粉砕した後、パン粉23.1質量%を加えて良くかき混ぜることで糊化された粘性を有するパテ状の第19のスナック生地を作成した。
引き続き、この第19のスナック生地4gを1.5mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を複数作成した。
【0097】
そして、この第19のスナック生地をオーブンシート上に並べ、1kWの電子レンジで2分間加熱した後、粗熱を取ってから130℃の温度に設定したオーブンの中で40分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は多孔質性可食部材がサクサクとした軽い口当たりをしたクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとなった。しかも、スナック生地がオーブンによって焼かれることで香ばしいものとなり、みそで煮込まれた豚もつ肉の風味を十分に楽しむことができた。
【実施例20】
【0098】
第20の実施例は、具材として野菜(インゲン)の惣菜を用いると共に、一度目の加熱を鉄板(ホットプレート)によって行うと共に、二度目の加熱をオーブンで行った場合の例である。
まず、第20の実施例と同様に、インゲンと人参、すり胡麻、白胡麻、砂糖、食塩、醤油、カツオだし等を原料として用い、インゲンの胡麻和えを調理した。次いで、このインゲンの胡麻和え55.6量%と、水22.2質量%を合わせ、ミキサで粉砕した後、パン粉22.2質量%を加えて良くかき混ぜることで糊化された粘性を有するパテ状の第20のスナック生地を作成した。
引き続き、この第20のスナック生地15gを1.5mmの厚さに薄く延ばして成形し、平板状のスナック生地を複数作成した。
【0099】
そして、この第20のスナック生地を、100℃の温度に設定した鉄板(テフロン加工が施されたホットプレート)上に敷き、表裏両面を1分間ずつ焼成した後、130の温度に昇温した鉄板上で表裏両面を1分間ずつ焼成し、さらに、130℃の温度に設定したオーブンの中で20分間加熱処理し、スナック菓子を製造した。その結果、このスナック菓子は多孔質性可食部材がカリカリとした非常にクリスピー感に富んだ歯触りを有するものとなった。しかも、スナック生地がオーブンによって焼かれることで香ばしいものとなり、インゲンと胡麻の風味を十分に楽しむことができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小片状をした具材と、複数の小孔を備えた多孔質性可食部材とを主原料とし、加熱による水分の蒸発によってこれらが一体化したスナック菓子であって、前記具材は、加熱前の質量比において前記多孔質性可食部材よりも多く配合されていることを特徴とするスナック菓子。
【請求項2】
前記多孔質性可食部材は、パン粉であることを特徴とする請求項1に記載のスナック菓子。
【請求項3】
全体的に均一な厚みを有する平板状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスナック菓子。
【請求項4】
小片状をした具材と、複数の小孔を備えた多孔質性可食部材とを、質量比において前記具材が前記多孔質性可食部材よりも多くなるように配合し、これらを混合してスナック生地を調整し、このスナック生地を加熱することを特徴とするスナック菓子の製造方法。
【請求項5】
前記スナック生地の調整時に、穀物粉をさらに加えることを特徴とする請求項4に記載のスナック菓子の製造方法。
【請求項6】
前記スナック生地の調整時に、水分をさらに加えることを特徴とする請求項4に記載のスナック菓子の製造方法。
【請求項7】
前記スナック生地の加熱は、所望の形状に成形してから行うことを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載のスナック菓子の製造方法。
【請求項8】
前記スナック生地の加熱は、二回に分けて行うことを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項に記載のスナック菓子の製造方法。
【請求項9】
前記スナック生地の成形は、平板状となるように薄く延ばし、前記スナック生地の加熱は、電子レンジで行うことを特徴とする請求項7又は8に記載のスナック菓子の製造方法。
【請求項10】
前記スナック生地の成形は、平板状となるように薄く延ばし、前記スナック生地の加熱は、電子レンジで行った後、オーブンもしくはホットプレートで行うことを特徴とする請求項8に記載のスナック菓子の製造方法。
【請求項11】
前記スナック生地の調整時、前記スナック生地の成形終了後、前記スナック生地の加熱中又は加熱後、の何れか1以上において少なくとも一回以上所望の調味を施すことを特徴とする請求項4乃至10の何れか1項に記載のスナック菓子の製造方法。

【公開番号】特開2011−254811(P2011−254811A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116326(P2011−116326)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(397003563)有限会社皆川商店 (5)
【Fターム(参考)】