説明

具材分離フィルム付菓子

【課題】水分を含んだ具材を乾燥した2枚の外皮で包んだ菓子で、具材の水分が外皮に移行しないようにした菓子を提供する。
【解決手段】具材分離フィルム付菓子1は、具材30は上側外皮10との間で水分を通さない上側分離フィルム40により分離され、具材30は下側外皮20との間で水分を通さない下側分離フィルム50により分離されており、上側分離フィルム40は上側外皮10と下側外皮20の合わせ部の一端側で上側外皮10と下側外皮20の外側に指で摘まめる広さで食み出しており、下側分離フィルム50は上側分離フィルム40が食み出している側の反対側で上側外皮10と下側外皮20の合わせ部から外側に指で摘まめる広さで食み出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分を含んだ具材を乾燥した2枚の外皮で包んだ菓子で、具材の水分で外皮が水分を含まないようにした菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、米や小麦等の穀物を粉状や粒状にしたものに、水分と補助的に砂糖、塩、卵、香辛料等を適当に加えて作った生地を、丸や四角等の適当な形に伸ばし、やや凹状に成型して焼き上げた外皮を2枚一組とし、この2枚の外皮の間に餡、ジャム、クリーム等の水分を含んだ柔らかい具材を包み込んで食する菓子には、色々な種類のものが存在している。
【0003】
このような菓子は、外皮があることで餡等の具材に水分が含まれていても手を汚すことなく食べられるという利点がある。また、基本的に味の薄い外皮と、間に包まれた甘味や酸味等の味付けの濃い具材を口の中で混ぜ合わせて味わうことができるという利点もある。そのため、最中のような日本古来の和菓子ばかりでなく、洋菓子ではシュークリームのように、元々1枚の外皮を2分割して間にクリームを包み込む方式など、様々な種類の菓子が考えられてきた。
【0004】
特に口に含んだ場合、最初に、外皮が焼き上げられて乾燥していることでサクサクした食感があり、噛みこむに連れて水分を含んだ具材の粘り気の食感が加わることが、このような菓子の魅力であり、そのため外皮が水分を含んだ具材によって湿って柔らかくならないようにするための様々な工夫がされていた。
【0005】
例えば、最中の場合には、水分を含んだ具材である餡については、通常の餡よりも水分の含有率をできるだけ下げ、外皮に湿り気を与えないような方法は、従来から行われていた。また、先行技術文献で開示されている発明においても、外皮である皮30と具材である餡26を別々の収容凹部16と皮収容凹部18が設けられた容器12に入れ、食べる直前に皮30の中に餡26を入れて最中の形態とするという発明(特許文献1)や、具材である水分を含む食用粘稠体1をチューブ状の防湿用フィルム4に納め保護カバー5で食用外皮2の割れを防ぎつつ、食用粘稠体1から防湿フィルム4を引き抜いて分離させる発明(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−19369号公報
【特許文献2】特開2002−238472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、水分を含んだ具材の水分の含有率を下げると、餡の場合は砂糖の含有量を多くすることになり、味が濃くなりすぎるのでくどく感じる場合があり、粘り気も強くなりすぎるので食感が悪くなるという問題があった。
【0008】
特許文献1の容器入り最中の発明においては、これを最中として食べる際には、容器12の遮蔽シート42を取り去り、収容凹部16から餡26を容器12の皮収容凹部18の1枚の皮30側に容器12の折曲げ容易部14で折り曲げて移し替え、餡26が乗った一枚の皮30を皮収容凹部18から取り出し、その後もう一枚の皮30を皮収容凹部18から取り出して、餡26が乗った皮30の上に被せるという手順が必要である。この手順から分かるように、面倒な手順が必要となり、餡26が乗った皮30を皮収容凹部18から取り出す場合には手を汚す場合もあるという問題があった。
【0009】
特許文献2の防湿機能付き食品の発明においては、食用外皮2の合わせ目から出ている食用粘稠体1の防湿用フィルム4の一端側を包装袋7と共に切り取り、防湿用フィルム4と包装袋7の反対側の端が密着されているものを保護カバー5の隙間であるフィルム引出用通孔6から引き抜くという手順が必要である。この防湿用フィルム4の一端側を包装袋7と共に切り取る場合の切り取り方が悪いと、引き抜けないまたは引き抜き難くなるという問題がある。また、防湿用フィルム4と食用粘稠体1は密着された状態で封入されているのだから、防湿用フィルム4が隙間から引き出されるという食用粘稠体1に密着した状態で引き抜くことは、かなり力が必要になるという問題があった。これは、食用外皮2が割れないように力を加えるようにするため、保護カバー5があることからも、引き抜くためにかなりの力が必要であるということが分かる。よって、保護カバー5があっても、防湿用フィルム4と包装袋7の反対側の端が密着されているものを、フィルム引出用通孔6から引き抜くという作業は、かなり難しいという問題があった。
【0010】
また、特許文献1及び特許文献2のような発明を実施するためには、皮や食用外皮、餡や食用粘稠体をかなり複雑な方法で密閉する工程が必要であり、専用の機械設備を用いて行わないと実施するには難しいという問題があった。
【0011】
なお、生産後すぐに販売し、消費期限が5日以内で管理される生菓子で、食感が良くなるようにやや水分の多い具材を用いた生菓子の場合は、数分程度の短時間であっても、乾燥した外皮に水分を含んだ具材から水分が移る現象は発生し、乾燥した外皮と、水分を含んだ具材とのそれぞれの食感が得られるためには、製造後すぐに食べるか、外皮と具材を別々の容器に分けて、食べる前に外皮に具材を入れて食べる必要があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段が講じられている。
【0013】
第1発明の具材分離フィルム付菓子は、吸湿性を有する上側外皮と、吸湿性を有する下側外皮と、前記上側外皮と前記下側外皮の間に包まれた水分を含んだ具材からなる菓子において、前記具材は、前記上側外皮との間で、水分を通さない上側分離フィルムにより分離され、前記具材は前記下側外皮との間で、水分を通さない下側分離フィルムにより分離されており、前記上側分離フィルムは、前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部の一端側で前記上側外皮と前記下側外皮の外側に指で摘まめる広さで食み出しており、前記下側分離フィルムは前記上側分離フィルムが食み出している側の反対側で、前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部から外側に指で摘まめる広さで食み出している。
【0014】
第2発明の具材分離フィルム付菓子は、吸湿性を有する上側外皮と、吸湿性を有する下側外皮と、前記上側外皮と前記下側外皮の間に包まれた水分を含んだ具材からなる菓子において、前記具材は、前記上側外皮との間で、水分を通さない上側分離フィルムにより分離され、前記具材は前記下側外皮との間で、水分を通さない下側分離フィルムにより分離されており、前記上側分離フィルムは、前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部の一端側で前記上側外皮と前記下側外皮の外側に前記上側外皮の外面を覆うことができる広さで食み出しており、前記下側分離フィルムは、前記上側分離フィルムが食み出している側の反対側で、前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部から外側に前記下側外皮の外面を覆うことができる広さで食み出している。
【発明の効果】
【0015】
以上のような技術的手段が講じられていることにより、以下の効果を有する。
【0016】
第1発明によれば、具材は上側外皮との間で水分を通さない上側分離フィルムにより分離され、また前記具材は下側外皮との間でも水分を通さない下側分離フィルムにより分離されている。前記上側分離フィルムは、前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部の一端側で前記上側外皮と前記下側外皮の外側に指で摘まめる広さで食み出しており、前記下側分離フィルムは前記上側分離フィルムが食み出している側の反対側で、前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部から外側に指で摘まめる広さで食み出していることにより、具材の水分は上側分離フィルムと下側分離フィルムがあることにより上側外皮と下側外皮に移ることができず、具材分離フィルム付菓子の作りたての食感を維持することができ、同時に、この具材分離フィルム付菓子を食べる直前に上側外皮を片手で押さえ、他方の手で上側分離フィルムを具材分離フィルム付菓子から抜き、その後下側分離フィルムを抜くという方法で、簡単に具材分離フィルム付菓子から上側分離フィルムと下側分離フィルムを除いて食べることが出来るという効果を有する。
【0017】
第2発明によれば、具材は上側外皮との間で水分を通さない上側分離フィルムにより分離され、前記具材は下側外皮との間で水分を通さない下側分離フィルムにより分離されている。また前記上側分離フィルムは、前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部の一端側で前記上側外皮と前記下側外皮の外側に前記上側外皮の外面を覆うことができる広さで食み出しており、前記下側分離フィルムは、前記上側分離フィルムが食み出している側の反対側で、前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部から外側に、前記下側外皮の外面を覆うことができる広さで食み出していることにより、具材の水分は上側分離フィルムと下側分離フィルムで上側外皮と下側外皮に移ることがないので具材分離フィルム付菓子の作りたての食感を維持することができ、上側分離フィルムの食み出している部分で上側外皮の外面を覆い、下側分離フィルムの食み出している部分で下側外皮の外面を覆うという具材分離フィルム付菓子外周全体の包装も可能となり、同時に、この具材分離フィルム付菓子を食べる直前に上側外皮を片手で押さえ、他方の手で上側分離フィルムを具材分離フィルム付菓子から抜き、その後下側分離フィルムを抜くという方法で、簡単に具材分離フィルム付菓子から上側分離フィルムと下側分離フィルムを除いて食べることが出来るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る実施例1を説明するための具材分離フィルム付菓子1の分解図である。
【図2】実施例1の具材分離フィルム付菓子1の外観である。
【図3】実施例1の具材分離フィルム付菓子1の包装する前の外観である。
【図4】本発明に係る他実施例を説明するための具材分離フィルム付菓子2の分解図である。
【図5】実施例2の具材分離フィルム付菓子2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明を実施する形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の具材分離フィルム付菓子1の概略について図1を用いて説明する。具材分離フィルム付菓子1を和菓子の最中において実施する場合の例であり、説明を容易にするため分解した形態として図1のようになっており、上側外皮10、下側外皮20、具材30、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50に分かれている。なお、最中を例として説明しているが、外皮に小麦粉を焼き上げたものを使用し、具材をクリーム、ゼリーやアイスクリーム等に変えた洋菓子の場合も同様に実施できる。

【0021】
上側外皮10と下側外皮20は、米粉を加水して生地を作り、これを成型して焼き上げた、皿または椀の形状としたものであり、上側外皮10と下側外皮20はともに同一のものを上下に使用しているが、説明の便宜上、上側外皮10と下側外皮20とに区別して説明している。
【0022】
具材30は最中であるので餡であり、小豆や白隠元豆等に砂糖を加えて煮たものである。上側外皮10と下側外皮20の凹部を合わせてできる空間に食み出すことなく収まる程度の大きさとしている。なお、上側外皮10と下側外皮20の凹部を合わせてできる空間に、できるだけ満遍なく収まるように具材30の量を調整する方が、具材分離フィルム付菓子1の商品価値としては高まるのが一般的ではあるが、平面状の上側分離フィルム40と平面状の下側分離フィルム50の間に具材30を納めるので、満遍なく収まるようにすると、具材30が上側分離フィルム40と下側分離フィルム50の間から外に食み出すことになり、逆に美観としての商品価値は下がる。そこで、上側外皮10と下側外皮20の凹部を合わせてできる空間の10〜40パーセント程度の隙間ができる様に具材30の量は調整される。
【0023】
上側分離フィルム40と下側分離フィルム50は、水分を通過させない性質、所謂防湿性を有するオリエントポリプロピレン、ポリプロピレン、ビニール、ポリエチレン、防湿セロファン等の合成樹脂等の平面状のフィルムであり、手で摘まみ引っ張っても破れることがない程度以上の厚み(材質により異なるが、例えば、25マイクロメートルの厚み)を有している。広さは上側外皮10と下側外皮20とが合わされる面よりも内部に入り込む余裕を見込んだ広さに、上側外皮10と下側外皮20が合わさった時に、外側に指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分41、51を追加したものである。上側分離フィルム40と下側分離フィルム側50は共に同一のものを上下に使用するのであるが、説明の便宜上、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50とに区別して説明している。
【0024】
具材分離フィルム付菓子1の製造方法を説明する。下側分離フィルム50の指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分51を除く下側分離フィルム50の略中央に、具材30を載せる。下側分離フィルム50の上に載った具材30の上に、上側分離フィルム40の指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分41を除く上側分離フィルム40の略中央に、具材30が来るように上側分離フィルム40を具材30の上に載せる。この場合、下側分離フィルム50の指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分51と、上側分離フィルム40の指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分41は逆向き(対向する向き)になる様にする。その後、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50で挟まれた具材30を下側外皮20の載せ、その上に上側外皮10をかぶせて図2の形状としている。
【0025】
図2では、具材分離フィルム付菓子1は、上側外皮10と下側外皮20が合わさった中央に膨らみを持つ円盤状の外観で、右側に上側分離フィルム40の指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分41があり、左側に、下側分離フィルム50の指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分51が食み出した状態となっている。なお、指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分41、51は左右が逆となっても良いが、説明の便宜上、左右を指定している。
【0026】
実際に販売する場合には、図2の具材分離フィルム付菓子1を平紙、袋状や箱状の包装材に包んだ状態となる。そこで、指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分41、51が周囲に出た状態では美観や、包装時の作業上好ましくないので、図3のように紙や合成樹脂のフィルムの輪にした帯60を具材分離フィルム付菓子の周りに巻きつけても良い。実施例1の場合には、上側外皮10と下側外皮20と具材30とは完全に防湿性があるように分離することはできないが、生菓子等の製造から5日以内に消費する菓子の場合には、十分に上側外皮10と下側外皮20と、具材30との防湿性を保つことができる。
【0027】
図2の包装材を除いた具材分離フィルム付菓子1を食べる方法について説明すると、最初に上側外皮10の上側を片手(例えば左手)で押さえ、空いた方の手(例えば右手)で上側分離フィルム40の指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分41を摘まみ、右方向に右手で引っ張り、具材分離フィルム付菓子1から上側分離フィルム40を完全に除く。次に上側外皮10の上側を片手(例えば右手)で押さえ、空いた方の手(例えば左手)で下側分離フィルム50の指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分51を摘まみ左方向に引っ張り、具材分離フィルム付菓子1から下側分離フィルム50を完全に除く。
【0028】
上側分離フィルム40を右側から、下側分離フィルム50を左側から(置き方や、製造手順で逆になっても良い。)引き抜いて除くというように、具材分離フィルム付菓子1の両側から上下の上側分離フィルム40と下側分離フィルム50を逆の方向(対向する方向)に引き抜くことで、具材30から、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50の離脱が容易に行われる。そして、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50が除かれた具材分離フィルム付菓子1を、消費者が食べることになる。
【0029】
これは、具材30の上側に上側分離フィルム40が粘着しており、具材30の下側に下側分離フィルム50が粘着しているが、具材30から上側分離フィルム40の接触面へ粘着力として働く下向きの力が、上側分離フィルム40に加わる右横方向の力により接触面全体で対抗することはできず、上側分離フィルム40の接触面の右側から順次離れていくことになる。そのため小さな力で上側分離フィルム40を完全に抜き取ることができる。同様に、具材30から下側分離フィルム50の接触面へ粘着力として働く上向きの力が、下側分離フィルム50に加わる左横方向の力により接触面全体で対抗することはできず、下側分離フィルム50の接触面の左側から順次離れていくことになるため、小さな力で下側分離フィルム50を完全に抜き取ることができる。
【0030】
仮に、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50を同じ方向から同時に引き抜けるように、上側外皮10と下側外皮20の合わせ目から、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50の指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分41、51を同じ方向に食み出させている場合を説明する。指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分41、51の2枚が合わさっている状態で、手で同時に引っ張ると、具材30は上側分離フィルム40と下側分離フィルム50の両方に挟まれた状態で力が加わることになる。具材30は上側分離フィルム40と下側分離フィルム50とに粘着したままの状態で、手で引かれる側の一方向に移動し、具材30と、上側分離フィルム40および下側分離フィルム50との接触面は接触面広さを維持し続け、具材30が上側外皮10と下側外皮20の合わせ目の内側にぶつかることになり、かえって具材30を上側分離フィルム40と下側分離フィルム50が巻き込むようになることが発生するので接触面の接触広さは増大し、上側分離フィルム40および下側分離フィルム50は、具材分離フィルム付菓子から引き抜き難いものとなる。
【0031】
なお、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50を、具材分離フィルム付菓子1から同時に引き抜いても同じ効果が得られるが、通常、具材分離フィルム付菓子1を食べる場合の包装からの取り出しは、一人で行うのであるから、一人が上側分離フィルム40と下側分離フィルム50を同時に具材分離フィルム付菓子1から引き抜こうとしても、具材分離フィルム付菓子1の両側に上側分離フィルム40と下側分離フィルム50の食み出している部分があるので、同時に引き抜くことは難しいものとなると考えられる。
【0032】
また、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50を具材分離フィルム付菓子1から引き抜く操作は、簡単な手順であり、ほとんど説明は不要と考えられるが、消費者の便宜のため、上側分離フィルム40下側分離フィルム50の食み出した部分に手順を印刷して、上側分離フィルム40と下側分離フィルム50を抜き去って食べていただくように注意を促す方法や、具材分離フィルム付菓子1の包装紙に手順書や注意書を記載するようにしても良い。
【実施例2】
【0033】
本発明の他の実施例である具材分離フィルム付菓子2の概略について図4を用いて説明する。具材分離フィルム付菓子2を和菓子の最中において実施した場合の例で、説明を容易にするため分解した形態として図4のようになっている。上側外皮10、下側外皮20、具材30、上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aに分かれている。なお、具材分離フィルム付菓子2は実施例1の具材分離フィルム付菓子1と、上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aが異なるだけであるので、同一の部分は同一の符号を付けて説明を省略する。
【0034】
上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aは、水分を通過させない性質、所謂防湿性を有するオリエントポリプロピレン、ポリプロピレン、ビニール、ポリエチレン、防湿セロファン等の合成樹脂等の平面状のフィルムであり、手で摘まみ引っ張っても破れることがない程度以上の厚み(材質により異なるが、例えば、25マイクロメートルの厚み)を有している。広さは上側外皮10と下側外皮20とが合わされる面よりも内部に入り込む余裕を見込んだ広さであり、上側外皮10と下側外皮20が合わさった場合、外側に上側外皮10の外面を覆うことができる広さで食み出した半外面覆い部分41aと、下側外皮20の外面を覆うことができる広さで食み出した半外面覆い部分51aを追加したものである。上側分離フィルム40aと下側分離フィルム側50aは共に同一のものを上下に使用するのであるが、説明の便宜上、上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aとに区別して説明している。
【0035】
図4および図5を用いて具材分離フィルム付菓子2の製造方法を説明すると、下側分離フィルム50aの半外面覆い部分51aを除く下側分離フィルム50aの略中央に具材30を載せる。下側分離フィルム50aの上に載った具材30の上に、上側分離フィルム40aの半外面覆い部分41aを除く上側分離フィルム40aの略中央に具材30が来るように上側分離フィルム40を具材30の上に載せる。この場合、下側分離フィルム50aの半外面覆い部分51aと、上側分離フィルム40aの半外面覆い部分41aは逆向き(対向する向き)になる様にする。
【0036】
その後、上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aで挟まれた具材30を下側外皮20の載せ、その上に上側外皮10をかぶせる。そして、上側外皮10の外面を半外面覆い部分41aで覆い、下側外皮20の外面を半外面覆い部分51aで覆う。この場合に上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aは折り目42、52を逆にして二つ折りの状態となる。そして、上側分離フィルム40の上側外皮10に挟まれた部分から食み出している部分と半外面覆い部分41aの周囲を合わせ、合わせた周囲を熱で圧着(図5のAの位置)する。同様に下側分離フィルム50の下側外皮20に挟まれた部分から食み出している部分と半外面覆い部分51aの周囲を合わせ、合わせた周囲を熱で圧着(図5のAの位置)する。この場合の圧着方法は手で圧着(図5のAの位置)部分を簡単に引き剥がして平面状にできる程度の圧着方法にする。
【0037】
なお、上側分離フィルム40aと、下側分離フィルム50aとを袋状にして、これに上側外皮10と下側外皮20をいれることでも同様の形状とし、最後に袋の開口部を圧着することによっても可能である。図5では、具材分離フィルム付菓子2が上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aにより覆われた状態を示している。そして、上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aの折り目42、52が逆向きになるようにする。なお、実際に販売する場合には、図5の具材分離フィルム付菓子2を平紙、袋状や箱状の包装材に包んだ状態となる。実施例2の場合には、上側外皮10を上側分離フィルム40aで、下側外皮20を下側分離フィルム50aで、具材30を包装材で密閉することができるので、生菓子以外の長期保存の場合でも防湿性を保つことができる。
【0038】
図5の包装材を除いた具材分離フィルム付菓子2を食べる方法について説明すると、最初に上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aの圧着(図のAの位置)部分を引き剥がす。次に上側外皮10の上側を片手(例えば左手)で押さえ、空いた方の手(例えば右手)で上側分離フィルム40aの半外面覆い部分41aを摘まみ、右方向に右手で引っ張り、具材分離フィルム付菓子2から上側分離フィルム40aを完全に除く。そして上側外皮10の上側を片手(例えば右手)で押さえ、空いた方の手(例えば左手)で下側分離フィルム50aの半外面覆い部分51aを摘まみ左方向に引っ張り、具材分離フィルム付菓子2から下側分離フィルム50aを完全に除く。
【0039】
上側分離フィルム40aを右側から、下側分離フィルム50aを左側から(置き方や、製造手順で逆になっても良い)引き抜いて除くというように、具材分離フィルム付菓子2の両側から上下の上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aを逆の方向(対向する方向)に引き抜くことで、具材30から上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aの離脱が容易に行われる。そして、上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aが除かれた具材分離フィルム付菓子1を消費者が食べることになる。
【0040】
上側分離フィルム40aと下側分離フィルム50aが具材分離フィルム付菓子2から簡単に引き抜ける理由は実施例1と同様であるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0041】
1、2:具材分離フィルム付菓子
10:上側外皮
20:下側外皮
30:具材
40、40a:上側分離フィルム
41、51:指で摘まめる程度以上の広さの食み出し部分
41a、51a:半外面覆い部分
42、52:折り目
50、50a:下側分離フィルム
60:帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿性を有する上側外皮と、吸湿性を有する下側外皮と、前記上側外皮と前記下側外皮の間に包まれた水分を含んだ具材からなる菓子において、前記具材は前記上側外皮との間で水分を通さない上側分離フィルムにより分離され、前記具材は前記下側外皮との間で水分を通さない下側分離フィルムにより分離されており、前記上側分離フィルムは前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部の一端側で前記上側外皮と前記下側外皮の外側に指で摘まめる広さで食み出しており、前記下側分離フィルムは前記上側分離フィルムが食み出している側の反対側で前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部から外側に指で摘まめる広さで食み出していることを特徴とする具材分離フィルム付菓子。
【請求項2】
吸湿性を有する上側外皮と、吸湿性を有する下側外皮と、前記上側外皮と前記下側外皮の間に包まれた水分を含んだ具材よりなる菓子において、前記具材は前記上側外皮との間で水分を通さない上側分離フィルムにから分離され、前記具材は前記下側外皮との間で水分を通さない下側分離フィルムにより分離されており、前記上側分離フィルムは前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部の一端側で前記上側外皮と前記下側外皮の外側に前記上側外皮の外面を覆うことができる広さで食み出しており、前記下側分離フィルムは前記上側分離フィルムが食み出している側の反対側で前記上側外皮と前記下側外皮の合わせ部から外側に前記下側外皮の外面を覆うことができる広さで食み出していることを特徴とする具材分離フィルム付菓子。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−143172(P2012−143172A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2672(P2011−2672)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(500067237)有限会社道福 (1)
【Fターム(参考)】