説明

内圧吸収機構付き吐出容器

【課題】容器本体の強度を高める手段を施すことなく容器の内部の圧力変化を吸収して、使用前に容器本体が変形するのを回避できる内圧吸収機構付き吐出容器を提供する。
【解決手段】内容液を吐出する吐出器11が装着キャップ17を介して容器本体12の口首部13に取り付けられた吐出容器10において、内容液を収容して吐出器11を取り付けた後に吐出容器10が使用されるまでの間、容器10の内部の圧力変化を吸収する内圧吸収機構24を備える容器10であって、内圧吸収機構24は、内筒体25及び外筒体26からなるハウジング部27と、ハウジング部27の内部に気密に配置されて上下方向にスライド移動する摺動ピストン部材28とからなる。ハウジング部27は、上端係止部29を口首部13に係止して、内筒体25に吐出器11の縦方向流路21を挿通した状態で口首部13に設けられ、上端にこれの内部を外気と連通させる空気開口30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内圧吸収機構付き吐出容器に関し、特に、容器本体に内容液を収容して吐出器を取り付けた後に吐出容器が使用されるまでの間、容器の内部の圧力変化を吸収する機構を備える内圧吸収機構付き吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばポンプディスペンサー、トリガーズプレイヤー等の吐出器を容器本体の口首部に取り付けてなる種々の吐出容器が、例えば洗浄剤や化粧料等を収容する容器として多用されている。これらの吐出容器は、例えばポンプヘッドを押圧したり、ハンドル操作部に把持力を加えることにより、容器本体の内部から内容液を汲み上げて、液状、噴霧状、泡状等の状態でノズル部から吐出させる。また、内容液を汲み上げる際に負圧になった容器本体に、例えば押圧力や把持力の開放時に空気孔や空気弁を介して空気を送り込むことによって、容器本体が変形するのを防止する。
【0003】
一方、このような吐出容器では、容器の使用前の流通、販売、保管等がなされている間に、容器本体の内部に空気を送り込むための空気孔や空気弁が開放された状態になると、流入する空気によって内容液が変質したり劣化したりするおそれがある。このため、容器の使用前における内容液の変質や劣化を防止するべく、吐出器に設けられた空気孔や空気弁を介した外気への通気路を遮断した状態で吐出容器を製造し、内容液を容器の内部に封入して吐出容器の流通、販売、保管等を行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−87259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばポンプディスペンサー、トリガーズプレイヤー等の吐出器を備える吐出容器は、容器本体に内容液を注入した後に、容器本体の口首部に吐出器を取り付けて内容液を容器の内部に封入する工程を経ることによって製造される。製造時に内容液を封入した吐出容器は、例えば内容液の温度変化や、容器のヘッドスペース部に残存する空気中の酸素が内容液に溶け込むこと等を原因として、内部が減圧状態となり、これによって容器本体に減圧変形が生じやすくなる。すなわち、特に収容される内容液が粘度の高いものである場合には、温度を高くして粘性を抑制した状態で内容液が容器本体に注入収容されるので、収容された内容液が室温まで冷却されるのに伴ってその容積を縮小することにより、容器の内部が負圧になって容器本体に減圧変形を生じる場合がある。また、内容液は、脱気処理された後に容器に封入されると、容器のヘッドスペース部に残存する空気中の酸素の一部が脱気された内容液に吸収されて溶け込むことにより、容器の内部が負圧になって容器本体に減圧変形を生じる場合がある。
【0005】
このような容器本体の減圧変形を防止する手段として、従来より、容器本体の肉厚を厚くすることによって容器本体の強度を高めたり、補強用のリブを形成することによって容器本体の強度を高める方法や、単純なオーバル形状に容器本体を形成して強度を高める方法等が採用されていた。しかしながら、このような容器本体の強度を高める方法では、肉厚を大きくすると樹脂量が多くなって不経済になると共に、環境対応への要望に反することになる。補強用のリブを設けると、容器本体の外周面に凹凸が形成されてストレッチラベルやシュリンクラベルを取り付け難くなる。オーバル形状では、単純な形状になり過ぎて他の容器との差別化を図り難くなる。
【0006】
本発明は、容器本体の強度を高める手段を特に施すことなく、容器の内部の圧力変化を効果的に吸収して、使用前の容器の容器本体に減圧変形や加圧変形が生じるのを回避することのできる内圧吸収機構付き吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内容液を吐出する吐出器が装着キャップを介して容器本体の口首部に取り付けられた吐出容器において、容器本体に内容液を収容して吐出器を取り付けた後に吐出容器が使用されるまでの間、容器の内部の圧力変化を吸収するための機構を備える内圧吸収機構付き吐出容器であって、 前記内圧吸収機構は、同心状に配置された内筒体及び外筒体からなるハウジング部と、該ハウジング部の内部に気密に接触した状態で配置されて上下方向にスライド移動する摺動ピストン部材とからなり、前記ハウジング部は、上端係止部を前記口首部に係止して、前記内筒体の内側に吐出器の縦方向流路を挿通した状態で前記口首部から下方に延設して設けられ、且つ前記ハウジング部の上端にこれの内部を外気と連通させる空気開口を備える内圧吸収機構付き吐出容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の内圧吸収機構付き吐出容器によれば、容器本体の強度を高める手段を特に施すことなく、容器の内部の圧力変化を効果的に吸収して、使用前の容器の容器本体に減圧変形や加圧変形が生じるのを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係る吐出容器10は、内容液を吐出する吐出器11として、例えばポンプディスペンサーが容器本体12の口首部13に装着された、いわゆるポンプディスペンサー容器である。ポンプディスペンサー11は、その基本的な構成として、従来のポンプディスペンサーと同様に、吸引パイプ14を介して内容液を上方に吸引するための吸引弁15aを有するシリンダ部15と、吸引した内容液を例えば液状のまま吐出する吐出ヘッド16aを備えるピストン部16とからなり、例えば1000〜50000mPa・s程度の高粘度の液体洗浄剤が収容されている。
【0010】
ポンプディスペンサー11は、装着キャップ17を介して容器本体12の口首部13に装着され、容器10の使用時には、例えばシリンダ部15の内部に設けられたスプリング部材18の付勢力に抗して吐出ヘッド16aを下方に押圧することにより、ピストン部16の摺動弁19をシリンダ部15の内周面に沿って摺動させる。これによって、蓄液室20の容積を減少させつつシリンダ部15の内部に蓄積された内容液を加圧して、ボール弁16bを開放させながら吐出ヘッド16aに送り出すことにより、吐出ヘッド16aから内容液を吐出させる。また、ポンプディスペンサー11は、吐出ヘッド16aの押圧を解除することにより、スプリング部材18の作用によってピストン部16が上方に押し上げられて蓄液室20が負圧になる。これによって、吸引弁15aを介して吸引パイプ14から内容液が蓄液室20に吸引される。また、例えば装着キャップ17の上方に突出して設けられたガイドステム22と、ポンプディスペンサー11の縦方向流路21の一部を構成するピストン部16の送り出しパイプ16cとの間の隙間を経て、シリンダ部15の上端部に形成した通気孔23から外気が流入することにより、容器本体11の内部が負圧になるのを回避して、容器本体11の減圧変形を防止する。
【0011】
一方、ポンプディスペンサー容器10は、例えば容器10の使用前に内部に空気が流入して内容液が変質したり劣化したりするのを防止するために、或いは容器10の使用前にピストン部16の吐出ヘッド16aを容器本体12の口首部13から上方になるべく突出させないように保持して、収納や取扱いを容易にするために、例えば吐出ヘッド16aを押し下げ、装着キャップ17の上方に設けた雄ネジ壁34に、吐出ヘッド16aの下部に設けた雌ネジ筒16dを螺合締着した状態で製造される。これによって、ガイドステム22と送り出しパイプ16cとの間の隙間、及び通気孔23を介した容器10の内部への外気の流入が遮断され、内容液が容器10に封入される。したがって、例えば高粘度の液体洗浄材が、例えば40℃程度に加温されて粘度を抑制した状態で容器本体12に注入収容されたり、脱気処理された後に容器本体12に収容されていると、収容された内容液が室温まで冷却されたり、ヘッドスペース部に残存する空気中の酸素の一部が脱気された内容液に溶け込むことにより、内容液を封入した容器10の内部が減圧状態になって、容器本体12に減圧変形が生じる場合がある。
【0012】
本実施形態のポンプディスペンサー容器10では、容器10の内部の圧力変化を吸収する内圧吸収機構24を備えることにより、容器本体12に内容液を収容してポンプディスペンサー11を取り付けた後にポンプディスペンサー容器10が使用されるまでの間、容器本体11に上述のような減圧変形が生じるのを効果的に防止することが可能になる。
【0013】
すなわち、本実施形態の内圧吸収機構付き吐出容器としてのポンプディスペンサー容器10は、内容液として例えば液体洗浄剤を吐出するポンプディスペンサー11が装着キャップ17を介して容器本体12の口首部13に取り付けられた容器10であって、容器本体12に内容液を収容してポンプディスペンサー11を取り付けた後にポンプディスペンサー容器10が使用されるまでの間、容器10の内部の圧力変化として例えば減圧を吸収するための内圧吸収機構24を備える。そして、内圧吸収機構24は、図2及び図3に示すように、同心状に配置された内筒体25及び外筒体26からなるハウジング部27と、ハウジング部27の内部に気密に接触して配置されて上下方向にスライド移動する摺動ピストン部材28とからなる。またハウジング部27は、上端係止部としての係止フランジ29を容器本体12の口首部13の上端に係止して、ポンプディスペンサー11の縦方向流路21の一部を構成するシリンダ部15を内筒体25の内側に挿通した状態で、口首部13から下方に延設して設けられ、且つハウジング部27の上端にこれの内部を外気と連通させる空気開口としての空気孔30が設けられる。
【0014】
本実施形態では、容器本体12の口首部13は、例えば25〜50mm程度の内径を有する。また口首部13の内側に配置されるポンプディスペンサー11のシリンダ部15は、例えば10〜20mm程度の外径を備える。したがって、口首部13の内側には、例えば15〜30mm程度の巾のスペース部が、シリンダ部15の周囲に全周に亘って形成される。このスペース部を有効利用して、内筒体25及び外筒体26からなるハウジング部27が、内筒体25の内側にシリンダ部15を配置した状態で取り付けられる。
【0015】
ハウジング部27は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等からなるのプラスチック成形品である。ハウジング部27の内筒体25は、例えば12〜25mm程度の外径を有しており、外筒体26は、例えば15〜28mm程度の外径を有している。内筒体25と外筒体26は、ハウジング部27の上端開口を閉塞するリングプレート部31を介して一体成形される。これによって、内筒体25の内側がシリンダ部15を挿通させる円形の貫通穴となった、例えば40〜80mm程度の長さの二重円筒形状のハウジング部27が形成される。なお、ハウジング部27の長さや内筒体25と外筒体26との間の間隔等は、容器10の製造後に予想される内圧変化に応じて適宜設定することができる。例えば500ml程度の容積の容器本体12に対して、減圧と共に摺動ピストン部材28を上端から下方にスライド移動させて20mL程度の体積変化に対応できるように、ハウジング部27の中空内部の大きさを設定することができる。
【0016】
また、ハウジング部27の上端には、外筒体26から外側に張り出して、円環プレート状の係止フランジ29が、リングプレート部31よりも一段高く配置されて一体成形されている。一段高くなった係止フランジ29の内側には、断差部分に囲まれるようにして、ポンプディスペンサー11のシリンダ部15の上部から外側に張り出して設けられた嵌め込みフランジ32が、位置決めされるようにして装着される。
【0017】
さらに、ハウジング部27の上端開口を閉塞するリングプレート部31には、周方向の適宜の位置に、ハウジング部27の内部を外気と連通させる空気孔30が上下に貫通して設けられている。さらにまた、リングプレート部31の上面には、空気孔30から係止フランジ29との断差部分まで切り欠くことにより、通気溝33が切り欠き形成されている。これらによって、ポンプディスペンサー11が装着キャップ17を介して容器本体12の口首部13に装着された際に、ハウジング部27の内部の摺動ピストン部材28よりも上方部分を、空気孔30及び通気溝33を経た後、係止フランジ29と嵌め込みフランジ32との間の隙間を通過し、さらに装着キャップ17の天面開口17a(図3参照)の開口縁部とハウジング部27の周面との隙間を介して外気と連通させる、通気路Pを形成する(図2参照)。したがって、容器10内の減圧に伴ってハウジング部27の内部で摺動ピストン部材28が下方に移動する際に、通気路Pを介して外気から摺動ピストン部材28の上方に空気を送り込むことにより、摺動ピストン部材28をスムーズに移動させることが可能になる。
【0018】
ハウジング部27の内部で上下方向に摺動可能に配置される摺動ピストン部材28は、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(L−LDPE)等からなるプラスチック成形品である。摺動ピストン部材28は、ハウジング部27の円環状の中空断面に沿って周方向に連続する円環帯状の平面形状を備える。また摺動ピストン部材28は、例えば内側密着フランジ28aと、外側密着フランジ28bとを中央リブ28cを介して連結した形状に一体成形され、略H形の断面形状を有する。摺動ピストン部材28は、内側密着フランジ28aの上下の端部を内筒体25に気密に接触させると共に、外側密着フランジ28bの上下の端部を外筒体26に気密に接触させた状態で、内筒体25及び外筒体26の周面に沿って上下にスライド移動可能に装着される。
【0019】
内側密着フランジ28aと外側密着フランジ28bが内筒体25や外筒体26の周面に気密に接触することにより、摺動ピストン部材28を挟んだ上方部分と下方部分との間の空気の流通を遮断した状態で、ハウジング部27の内部で摺動ピストン部材28が上下に摺動する。また、摺動ピストン部材28は、容器10の内部に内圧変化が生じていな状態では、自然落下しない程度の摩擦力を内筒体25や外筒体26の周面との間に保持した状態で、ハウジング部27の上部に配置される。さらに、本実施形態では、内筒体25や外筒体26の下端部からハウジング部27の中空内部に突出して、例えば係止リブからなるストッパー35が設けられている。ストッパー35に係止されることにより、摺動ピストン部材28がハウジング部27から下方に脱落するのを防止する。
【0020】
上述の構成の内圧吸収機構24を備える本実施形態の吐出容器10としてのポンプディスペンサー容器は、当該ポンプディスペンサー容器10を製造する際に、例えば加温され且つ脱気処理された高粘度の液体洗浄剤を所定量容器本体12に注入して収容した後に、装着キャップ17を用いて、容器本体12の口首部13にポンプディスペンサー11と内圧吸収機構24とを取り付ける。
【0021】
すなわち、口首部13の上端に円環リング状の止水パッキン36を配設し、口首部13にハウジング部27を挿入して、これの係止フランジ29を止水パッキン36を挟み込むようにしつつ口首部13の上端に載置する。また、ポンプディスペンサー11に装着キャップ17と吸引パイプ14とを装着した状態で、ポンプディスペンサー11のシリンダ部15を、ハウジング部27の内筒体25の内側に挿入すると共に、これの嵌め込みフランジ32をハウジング部27の上端の係止フランジ29で囲まれる断差凹部に嵌め込むことによって位置決めする。この状態で、装着キャップ17の内周面に設けられた雌ネジを容器本体12の口首部13の外周面に設けられた雄ネジに螺合して締着することにより、ポンプディスペンサー11のシリンダ部15と内圧吸収機構24とが、容器本体12の口首部13に安定した状態で固定される(図2参照)。
【0022】
このような固定状態のシリンダ部15は、嵌め込みフランジ32よりも上方部分が、装着キャップ17の天面開口17aを介して、雄ネジ壁34を嵌着させるための嵌着部37として上方に突出する。この嵌着部37には、外周面の接合用凹凸部に係合させて、外周面に雄ネジを備える雄ネジ壁34が嵌着固定される(図1参照)。またこれによって、雄ネジ壁34を上下に貫通して上方に突出するガイドステム22が、雄ネジ壁34の中央部分に配置されて固定される。このガイドステム22には、ピストン部16の送り出しパイプ16cが挿通され、吐出ヘッド16aの押し下げによるピストン部16の上下動を案内する。
【0023】
そして、本実施形態によれば、ポンプディスペンサー容器10は、吐出ヘッド16aを押し下げて、装着キャップ17の上方に設けた雄ネジ壁34に吐出ヘッド16aの下部に設けた雌ネジ筒16dを螺合締着した状態で製造される。これによって、ガイドステム22と送り出しパイプ16cとの間の隙間、及び通気孔23を介した容器10の内部への外気の流入が遮断されて、内容液が容器10に封入された状態となる。一方、内容液として収容される粘度の高い液体洗浄剤は、加温され且つ脱気処理された後に容器本体12に注入されて、常温への冷却やヘッドスペース部の酸素が吸引されることにより、製造されてから使用されるまでの間、容器10の内部が減圧状態になる。本実施形態によれば、容器本体12の強度を高める手段を特に施すことなく、このような容器10の内部の圧力変化を効果的に吸収して、使用前の容器10の容器本体12に減圧変形が生じるのを効果的に回避することが可能になる。
【0024】
すなわち、本実施形態の吐出容器10は、容器本体12に内容液を収容してポンプディスペンサー11を取り付けた後に吐出容器10が使用されるまでの間、容器10の内部の圧力変化を吸収するための内圧吸収機構24を備えており、この内圧吸収機構24は、内筒体25及び外筒体26からなるハウジング部27と、ハウジング部27の内部に気密に接触した状態で配置される摺動ピストン部材28とからなり、且つハウジング部27の上端にこれの内部を通気路Pを介して外気と連通させる空気孔30が設けられている。したがって、容器10の内部が減圧状態になるのに伴って、空気孔30から摺動ピストン部材28よりも上方部分のハウジング部27に空気を送り込みつつ、気密な状態を保持したまま、摺動ピストン部材28を下方にスムーズにスライド移動させることにより、容器10の内部の圧力変化を効果的に吸収することが可能になる。これによって、収容された内容液が変質したり劣化したりするのを防止しつつ、使用前の容器10の容器本体12に減圧変形が生じるのを効果的に回避することが可能になる。
【0025】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、内容液を吐出する吐出器は、ポンプディスペンサーである必要は必ずしも無く、容器本体の口首部に取り付けて、内容液を液状、噴霧状、泡状等の状態でノズル部から吐出させる、トリガーズプレイヤー等のその他の種々の吐出器であっても良い。また、収容される内容液は、高粘度の液体洗浄剤である必要は必ずしもなく、化粧料等その他の種々の内容液や、低粘度の内容液であっても良い。さらに、内圧吸収機構は、摺動ピストン部材をハウジング部の上部に配置して、容器の内部の減圧変化を吸収するものの他、摺動ピストン部材をハウジング部の下部に配置して、容器の内部の加圧変化を吸収するものや、摺動ピストン部材をハウジング部の中央部に配置して、容器の内部の減圧変化及び加圧変化の双方を吸収するもの等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る内圧吸収機構付き吐出容器を、右半分を断面図として示す側面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る内圧吸収機構付き吐出容器の構成を説明する要部断面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る内圧吸収機構付き吐出容器の構成を説明する要部分解図である。
【符号の説明】
【0027】
10 ポンプディスペンサー容器(吐出容器)
11 ポンプディスペンサー(吐出器)
12 容器本体
13 容器本体の口首部
15 シリンダ部
16 ピストン部
16a 吐出ヘッド
16b ボール弁
16c 送り出しパイプ
16d 雌ネジ筒
17 装着キャップ
18 スプリング部材
19 摺動弁
20 蓄液室
21 縦方向流路
22 ガイドステム
23 通気孔
24 内圧吸収機構
25 内筒体
26 外筒体
27 ハウジング部
28 摺動ピストン部材
29 係止フランジ(上端係止部)
30 空気孔(空気開口)
31 リングプレート部
32 嵌め込みフランジ
34 雄ネジ壁
35 ストッパー
P 通気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を吐出する吐出器が装着キャップを介して容器本体の口首部に取り付けられた吐出容器において、容器本体に内容液を収容して吐出器を取り付けた後に吐出容器が使用されるまでの間、容器の内部の圧力変化を吸収するための機構を備える内圧吸収機構付き吐出容器であって、
前記内圧吸収機構は、同心状に配置された内筒体及び外筒体からなるハウジング部と、該ハウジング部の内部に気密に接触した状態で配置されて上下方向にスライド移動する摺動ピストン部材とからなり、
前記ハウジング部は、上端係止部を前記口首部に係止して、前記内筒体の内側に吐出器の縦方向流路を挿通した状態で前記口首部から下方に延設して設けられ、且つ前記ハウジング部の上端にこれの内部を外気と連通させる空気開口を備える内圧吸収機構付き吐出容器。
【請求項2】
前記吐出器はポンプディスペンサーである請求項1記載の内圧吸収機構付き吐出容器。
【請求項3】
前記吐出器の取り付け時に前記摺動ピストン部材が前記ハウジング部の上端部分に配設され、前記内圧吸収機構は、前記摺動ピストン部材を下方に移動させて前記容器本体の内部の減圧変化を吸収する請求項1又は2に記載の内圧吸収機構付き吐出容器。
【請求項4】
前記ハウジング部の下端部に、前記摺動ピストン部材の下方への脱落を防止するストッパーを備える請求項1〜3のいずれかに記載の内圧吸収機構付き吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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