説明

内燃機関における冷却水通路装置

【課題】装置内の冷却水の流れを円滑にすると共に、装置全体を薄型化(小型化)し得る冷却水通路装置を提供すること。
【解決手段】冷却水通路装置10は、それぞれ個別に成形された複数の樹脂成形体31,32を接合することにより形成されると共に、一対のエンジンヘッドからの冷却水をそれぞれ取り込む一対の冷却水取り込み管11,12と、当該冷却水取り込み管に続く立上り管17,18をそれぞれ介して前記各立上り管の間に中央路19が形成され、前記中央路に連通してラジエータへの連通管21が形成されている。前記中央路19の中心を通る線をAとし、前記各立上り管の中心を通る線をそれぞれBとした時、前記線Aに対して前記各線Bはそれぞれ両外側に向かう鈍角になされ、前記中央路を挟んで前記立上り管がそれぞれ両外側に傾斜状態に成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関内に形成された流体通路とラジエータとの間で冷却水を循環させることにより、内燃機関(以下、エンジンともいう。)の冷却を行う冷却装置に好適に用いられる冷却水通路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエンジン冷却装置においては、内燃機関内に形成された流体通路とラジエータとの間で冷却水を循環させることで、エンジンの冷却を行うだけでなく、冷却水を暖房用のヒータコアを備えたヒータ循環流路に供給するようにもなされており、さらに昨今においてはエンジンからの冷却水をATFウォーマやEGRクーラにも利用する形態のものも提案されている。
【0003】
したがって、前記したように各部に冷却水を循環もしくは供給するために、個々に分岐管を用いて配管を接続する必要が生ずる。したがって、エンジンルーム内における配管が複雑となり、エンジンのメンテナンス性を悪化させるという問題を招来させる。
【0004】
そこで、前記した各管の接続を簡素化するために、エンジンの冷却水吐出口に直結し、内部にサーモバルブを収容して、各管の接続口を集約させた冷却水通路装置が次に示す先行技術文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平4−16610号公報
【0006】
ところで、前記特許文献に開示された冷却水通路装置においては、V型エンジンの一対のバンクにそれぞれ直結して冷却水を取り込み、これらを集合させる集合管やバイパス通路、またラジエータヘの冷却水の送出口、ラジエータからの冷却水の取り込み口、さらにウォータポンプへの配管接続口などを備えるなど、相当に複雑な構成になされている。
【0007】
このような冷却水通路装置においては、全体を金属素材を用いて成形するようになされるため、成形加工が容易ではなく、成型加工においてコストアップを招き、また重量の増加を招く等の問題点を抱えている。
【0008】
そこで、本件出願人は冷却水通路装置の全体を合成樹脂を利用して成形し、樹脂成形の容易性を生かして、軽量化ならびにコストダウンを図ることができる冷却水通路装置について、先に特願2009−41771として出願している。
【0009】
本件出願人が先に出願した冷却水通路装置によると、必要な部分には十分な加工精度を得ることができると共に、装置に加わる応力を装置全体で吸収・分散させることができ、エンジンの熱膨張による応力およびエンジンと前記装置との熱膨張係数の差異による締結部のズレにも効果的に対処することが可能となる。
【0010】
図9および図10は、本件出願人が先に出願した冷却水通路装置の例を示すものである。なお図9は装置が第1と第2ボディーに分離されている状態(両者の接合前の状態)を背面側から見た斜視図であり、図10は接合後の装置を正面から見た状態で示している。
【0011】
先に出願した図9および図10に示す冷却水通路装置10においては、V型エンジンにおける左右のエンジンヘッドから吐出される冷却水をそれぞれ取り込む一対の冷却水取り込み管11,12が第1ボディ31側に設けられ、冷却水を集合させる中央路19、前記中央路19を介したラジエータへの連通管21等が第2ボディ32側に設けられている。そして、樹脂成形された第1ボディ31と第2ボディ32は、例えば溶着手段により接合されて、冷却水通路装置10が形成されている。
【0012】
ところで、先に提案した冷却水通路装置10においては、一対の冷却水取り込み管11,12は、垂直方向に立ち上がる立上り管17,18に連通され、この立上り管17,18を介して水平方向に形成された前記中央路19に連通するように構成されている。
【0013】
すなわち、通路装置10における前記中央路19の中心を通る線をAとし、これが水平状態になされる場合においては、前記立上り管17,18の中心を通る線Bは、前記線Aに対して直角に立ち上がって垂直状態になされる。また一対の冷却水取り込み管11,12の中心を通る線Cは、前記線Bに対してさらに直角に屈曲されて水平状態になされる関係となる。
【0014】
したがって、前記した構成の冷却水通路装置10によると冷却水の流れは、線C→B→Aの順にそれぞれほぼ直角に屈曲されつつ、ラジエータへの連通管21に向かって流れ出ることになる。それ故、装置10内を通過する冷却水は、複数の直角な屈曲部内に沿った複雑な流れとなる。このために、冷却水の流れに抵抗が発生し、これが冷却水の流量に影響を与え、エンジン全体の冷却能力に影響を及ぼすという問題を抱えることになる。
【0015】
また、先に提案した冷却水通路装置10においては、前記したとおり一対の冷却水取り込み管11,12からラジエータへの連通管21に至る流路が、連続してほぼ直角に屈曲された構成になされているので、必然的に装置10の全体が大型化する。このために、エンジンと前記装置10との熱膨張係数の差異による応力の発生度合いが大きく、これを吸収するための別の工夫も必要となる。
【0016】
さらに、前記した構成の冷却水通路装置10においては、樹脂成形された第1ボディ31と第2ボディ32とを接合させるための接合部分を一巡する長さが長くなり、接合部分における水漏れに対する信頼性を確保するために、格別な工夫も必要であるなど、いくつかの改良の余地が残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
この発明は、先に提案した冷却水通路装置について、前記したような課題を解消するためにさらに改良を加えたものであり、装置内の冷却水の流れを円滑にすると共に、装置全体を薄型化(小型化)し、かつ前記した第1ボディと第2ボディとを接合させるための接合部分の長さを短縮させることで、接合部分の信頼性も十分に確保することができる冷却水通路装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記した課題を解決するためになされた本発明にかかる内燃機関における冷却水通路装置は、内燃機関内に形成された流体通路とラジエータとの間で冷却水の循環流路を形成した内燃機関の冷却装置において用いられ、前記内燃機関の冷却水出口部と前記ラジエータの冷却水入口部との間に設けられる冷却水通路装置であって、前記冷却水通路装置は、それぞれ個別に成形された複数の樹脂成形体を接合することにより形成されると共に、前記内燃機関における一対のエンジンヘッドからの冷却水をそれぞれ取り込む一対の冷却水取り込み管と、当該冷却水取り込み管に続く立上り管をそれぞれ介して前記各立上り管の間に中央路が形成されると共に、前記中央路に連通してラジエータへの連通管が形成されており、前記中央路の中心を通る線をAとし、前記各立上り管の中心を通る線をそれぞれBとした時、前記線Aに対して前記各線Bはそれぞれ両外側に向かう鈍角になされ、前記中央路を挟んで前記立上り管がそれぞれ両外側に傾斜状態に成形されていることを特徴とする。
【0019】
この場合、好ましくは、前記一対の冷却水取り込み管およびラジエータへの連通管は、前記複数の樹脂成形体のうちの1つの樹脂成形体において、一体に成形された構成にされる。
【0020】
加えて、前記樹脂成形体が、第1ボディと第2ボディとによる2つの樹脂成形体により構成され、前記第1ボディと第2ボディとの接合面が、前記線Aに沿う面に平行となるように形成されていることが望ましい。
【0021】
また、好ましい一つの形態においては、前記各立上り管の間に挟まれた前記中央路の長さ方向の中央部において、前記ラジエータへの連通管が形成された構成において、前記一対の冷却水取り込み管を左右にして冷却水通路装置を平面視したとき、前記一方の冷却水取り込み管の中心を通る線Cと、前記線Aとが鈍角になされ、前記他方の冷却水取り込み管の中心を通る線Cと、前記線Aとが鋭角になされ、かつ前記一方および他方の冷却水取り込み管の中心を通る各線Cが、互いに平行状態になされるように成形される。
【0022】
さらに、前記一対の冷却水取り込み管の開口をそれぞれ取り巻くようにして鍔状の締結部が形成され、それぞれの締結部には、ボルト挿通用の締結孔が形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
前記した構成の内燃機関における冷却水通路装置によると、中央路の中心を通る線をAとし、各立上り管の中心を通る線をそれぞれBとした時、前記線Aに対して前記各線Bはそれぞれ両外側に向かう鈍角になされ、前記中央路を挟んで前記立上り管がそれぞれ両外側に傾斜状態になされた構成にされる。
【0024】
この構成により、一対の冷却水取り込み管より前記中央路に至る流水経路は、屈曲部を少なくさせることができるので、冷却水通路装置内の冷却水の流れを円滑にすることが可能となる。これにより、冷却水の流量の減少によるエンジン全体の冷却能力に影響を及ぼす問題を解消することができる。
【0025】
また、前記線Aに対して前記各線Bはそれぞれ両外側に向かう鈍角になされているので、例えばV型エンジンの熱膨張と、これに取り付けられる冷却水通路装置の熱膨張の差を吸収するたわみ量を装置全体に持たせることが可能となり、装置の一部のみに応力が加わるのを避けることができる。また前記した構成によると装置全体も薄型化(小型化)することが可能となる。
この場合、先に出願した冷却水通路装置に用いられる各立上り管の長さと同等の長さをもたせつつ、冷却水取り込み管および立上り管により、前記した熱膨張の差を効果的に吸収することができる。
【0026】
さらに各立上り管の間に形成される中央路の長さ方向の寸法を短縮することができるので、前記中央路部分で樹脂成形体を接合する構成とした場合には、その接合部分の長さが短縮され、前記接合部分における水漏れに対する信頼性を向上させることに寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかる冷却水通路装置の第1の実施の形態を示した上面図である。
【図2】図1示す装置の前半部を破断して示した断面図である。
【図3】本発明にかかる冷却水通路装置の第2の実施の形態を示した上面図である。
【図4】図3示すX−X線より矢印方向に見た断面図である。
【図5】第2の実施の形態を示す正面図である。
【図6】同じく背面図である。
【図7】同じく底面図である。
【図8】同じく底面側の第2ボディーを取り外した状態の底面図である。
【図9】先に提案した冷却水通路装置を第1と第2ボディーに分離した状態で示す斜視図である。
【図10】同じく正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明にかかる冷却水通路装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。まず、図1および図2は、本発明にかかる冷却水通路装置の第1の実施の形態を示すものである。なお、この実施の形態においてはV型エンジンに装着され、V型エンジンの左右のエンジンヘッドからの冷却水を、前記装置10において集合させるように構成した例にしたがって説明する。
【0029】
図1および図2に示すように、冷却水通路装置10は、V型エンジンにおける左右のエンジンヘッドからの冷却水をそれぞれ取り込む一対の冷却水取り込み管11,12がそれぞれ同一方向に向くようにして成形されており、前記一対の冷却水取り込み管11,12の開口部を取り巻くようにして鍔状の締結部(フランジ)13,14が形成されている。そして、前記締結部13,14には、左右のエンジンヘッドに装置10を締結させるためのボルト挿通孔15が形成されている。
【0030】
前記一対の冷却水取り込み管11,12には、これに続く立上り管17,18がそれぞれ連続して形成されており、各立上り管17,18の間に冷却水を集合させる中央路19が、前記立上り管17,18に連通して形成されている。そして、図1および図2に示す第1の実施の形態においては、前記中央路19の長さ方向のほぼ中央部において、中央路19に連通するようにしてラジエータへの連通管21が形成されている。このラジエータへの連通管21は、図1に示されたように前記一対の冷却水取り込み管11,12と同一方向に向くようにして形成されている。
【0031】
また、前記冷却水通路装置10における前記中央路19に連通するようにして形成された前記ラジエータへの連通管21とは反対面において、上向きに屈曲されるようにして連通管23が形成されている。この連通管23は、車室内暖房用の熱交換器として用いられる図示せぬヒータコア部に冷却水を供給するために用いられる。
【0032】
また、前記ヒータコアへの連通管23の基端部には、水温センサ24が配置されており、さらに前記一方の冷却水取り込み管11には、垂直方向に向くようにしてスロットルボディへの連通管25が形成されている。
【0033】
以上説明した各部材は、第1ボディ31としての1つの樹脂成形体によって一体に形成されており、第1ボディ31の下底部において第2ボディ32としての樹脂成形体が、第1ボディ31に接合されて冷却水通路装置10を構成している。すなわち、この第1の実施の形態においては、第2ボディ32は第1ボディ31の下底部において、前記中央路19を閉塞する偏平状に形成されたいわば蓋体として機能するようになされている。
前記した構造とすることにより、冷却水通路装置10のねじり強度も向上させることができる。そして、蓋体は比較的単純な構成になされているので、寸法精度の検査管理も容易にすることができる。
【0034】
なお、前記第1ボディ31と第2ボディ32は、一つの好ましい手段として、両者の接合部を重ね合わせた状態で溶着接合し、一つの筐体状になされた冷却水通路装置10が形成される。そして両者の接合部は好ましくは振動溶着が用いて結合されるが、レーザ光を利用した溶着手段も利用することができ、その他ボルトによる螺合、接着剤等を用いて互いに接合することもできる。
【0035】
前記した実施の形態においては、図2に示すように前記中央路19の中心を通る線をAとし、前記各立上り管17,18の中心を通る線をそれぞれBとした時、前記線Aに対して前記各線Bはそれぞれ両外側に向かう鈍角になされ、前記中央路19を挟んで前記立上り管17,18がそれぞれ両外側に傾斜状態に成形されている。なお、前記立上り管17,18の両外側への傾斜角度は、V型エンジンの一対のヘッドのバンク角に一致させることが望ましいが、必ずしもこれに限られるものではない。
【0036】
前記した構成によると、発明の効果の欄に記載したとおり、先に提案した図9および図10に示す装置に比較して、装置内の冷却水の流れを円滑にすることができ、またエンジンの熱膨張と冷却水通路装置の熱膨張の差を吸収するたわみ量を装置全体に持たせることが可能となり、これにより装置の機械的な強度を増加させることができる。
【0037】
また、中央路19の長さ方向の寸法(図2に示す線A方向の寸法)を短縮できるので、図に示す実施の形態のように、第1ボディ31と第2ボディ32との接合面が、前記線Aに沿う面に平行となるように形成される構成においては、第1ボディ31と第2ボディ32の接合部分の総延長を短縮することができ、前記接合部分における水漏れに対する信頼性を向上させることも可能となる。
【0038】
前記した接合部分の総延長を短縮できる場合には、例えばレーザ光を利用した溶着手段を利用することができ、これによると溶着時間の短縮化、溶着バリの削減、ならびに製造時間の短縮化を図ることができる。
【0039】
加えて、前記した一対の冷却水取り込み管11,12およびラジエータへの連通管21等を含む装置の主要部は第1ボディ31側に成形されている。このように寸法精度を確保しなければならない部材を一方に集約させた構成にされているので、第1ボディ31側において精度を管理することで、装置全体の精度を確保することができる。
また、前記した構成にすることで、部品単体での受入れ検査時の精度の確認、溶着後の精度の確認などの工数を削減することができ、精度の管理ポイントを容易にすることができる。
【0040】
さらに、前記した第1の実施の形態においては、一対の冷却水取り込み管11,12を左右にして装置10を平面視した図1に示す状態において、一方(図示の右側)の冷却水取り込み管11の中心を通る線Cと、前記中央路19の中心を通る線Aとの交差角度が鈍角になされ、他方(図示の左側)の冷却水取り込み管12の中心を通る線Cと、前記線Aとの交差角度が鋭角になされると共に、前記一対の冷却水取り込み管11,12の中心を通る前記各線Cが、互いに平行状態になされるように成形されている。
【0041】
この構成によると、一対の冷却水取り込み管11,12を経由して前記中央路19内に流入する冷却水の進行路にオフセットを生じさせることができる。したがって、冷却水取り込み管11,12から流入した冷却水の衝突の度合いを低減されせることができ、冷却液の流れを円滑にすることに寄与できる。
【0042】
次に図3〜図8は、本発明にかかる冷却水通路装置の第2の実施形態を示すものである。なお図3〜図8に示す第2の実施形態においては、すでに説明した図1および図2に示す各部と同一の機能を果たす部分を同一符号で示しており、したがってその詳細な説明は省略する。また、図3〜図8の各図においては代表的な部分について符号を付け、他は適宜省略している。
【0043】
この第2の実施の形態においては、ラジエータへの連通管21は中央路19における一端部側、すなわち図4に示すように中央路19と冷却水取り込み管12の接続部に連通するようにして、前記中央路19の長手方向の延長線方向に向って形成されている。また、この実施の形態においては、図7に示されているように蓋体として機能する第2ボディ32に、EGRクーラへの連通管27が形成されている。
【0044】
この第2の実施の形態においても例えば図4に示したように、中央路19の中心を通る線をAとし、各立上り管17,18の中心を通る線をそれぞれBとした時、前記線Aに対して前記各線Bはそれぞれ両外側に向かう鈍角になされ、前記中央路19を挟んで前記立上り管17,18がそれぞれ両外側に傾斜状態に成形されている。
【0045】
この構成によれば、装置10内の冷却水の流れを円滑にすることができるなど、すでに説明した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。また前記した構成によると、中央路19の長さ方向の寸法が短縮され、中央路19が長さ方向に過剰に突出することはないので、例えば図4〜図6に示されたように鍔状のフランジ13,14に形成されたボルト挿通孔15の位置を、冷却水取り込み管11,12を中央にしたほぼ正三角形の均等位置に形成することができる。
【0046】
すなわち、中央路19が長さ方向に過剰に突出することにより、工具が挿入しにくいなどボルトの装着操作に支障を来たし、これを避けるために不均等な位置にボルト挿通孔15をそれぞれ形成せざるを得ないという問題を解消させることができる。
【0047】
また、鍔状のフランジ13,14に形成されたボルト挿通孔15の位置を、冷却水取り込み管11,12を中央にしたほぼ正三角形の均等位置に形成することができるので、鍔状のフランジ13,14とエンジンヘッドとの間のシール面にかかる面圧を均一にすることができ、両者の間のシール性を向上させることができる。
【0048】
なお、以上説明した実施の形態においては、冷却水通路装置10をV型エンジンに装着する場合に基づいて説明したが、この発明にかかる冷却水通路装置10は、これに限らず例えば水平対向型エンジン、または直列型エンジンにも採用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 冷却水通路装置
11,12 冷却水取り込み管
13,14 締結部(フランジ)
15 ボルト挿通孔
17,18 立上り管
19 中央路
21 ラジエータへの連通管
23 ヒータコアへの連通管
24 水温センサ
25 スロットルボディへの連通管
27 EGRクーラへの連通管
31 第1ボディ
32 第2ボディ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関内に形成された流体通路とラジエータとの間で冷却水の循環流路を形成した内燃機関の冷却装置において用いられ、前記内燃機関の冷却水出口部と前記ラジエータの冷却水入口部との間に設けられる冷却水通路装置であって、
前記冷却水通路装置は、それぞれ個別に成形された複数の樹脂成形体を接合することにより形成されると共に、前記内燃機関における一対のエンジンヘッドからの冷却水をそれぞれ取り込む一対の冷却水取り込み管と、当該冷却水取り込み管に続く立上り管をそれぞれ介して前記各立上り管の間に中央路が形成されると共に、前記中央路に連通してラジエータへの連通管が形成されており、
前記中央路の中心を通る線をAとし、前記各立上り管の中心を通る線をそれぞれBとした時、前記線Aに対して前記各線Bはそれぞれ両外側に向かう鈍角になされ、前記中央路を挟んで前記立上り管がそれぞれ両外側に傾斜状態に成形されていることを特徴とする冷却水通路装置。
【請求項2】
前記一対の冷却水取り込み管およびラジエータへの連通管は、前記複数の樹脂成形体のうちの1つの樹脂成形体において、一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載された冷却水通路装置。
【請求項3】
前記樹脂成形体が、第1ボディと第2ボディとによる2つの樹脂成形体により構成され、前記第1ボディと第2ボディとの接合面が、前記線Aに沿う面に平行となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載された冷却水通路装置。
【請求項4】
前記各立上り管の間に挟まれた前記中央路の長さ方向の中央部において、前記ラジエータへの連通管が形成された構成において、前記一対の冷却水取り込み管を左右にして冷却水通路装置を平面視したとき、前記一方の冷却水取り込み管の中心を通る線Cと、前記線Aとが鈍角になされ、前記他方の冷却水取り込み管の中心を通る線Cと、前記線Aとが鋭角になされ、かつ前記一方および他方の冷却水取り込み管の中心を通る各線Cが、互いに平行状態になされるように成形されていることを特徴とする請求項1に記載された冷却水通路装置。
【請求項5】
前記一対の冷却水取り込み管の開口をそれぞれ取り巻くようにして鍔状の締結部が形成され、それぞれの締結部には、ボルト挿通用の孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載された冷却水通路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−231722(P2011−231722A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103998(P2010−103998)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000228741)日本サーモスタット株式会社 (52)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)