説明

内燃機関用吸気マニホールド

【課題】内燃機関用吸気マニホールドにおいて、複数の分岐管を流通する空気の流量を均一化する。
【解決手段】吸気マニホールド10は、複数の第1〜第4分岐管12、14、16、18と、該第1〜第4分岐管12、14、16、18の一端部がそれぞれ接続されるサージタンク20と、前記サージタンク20の長手方向に沿った一端部に設けられる吸入接続部22と、前記サージタンク20と並列に設けられるレゾナンスチャンバー24と、前記サージタンク20と前記レゾナンスチャンバー24とを連通する連通路36とを備える。そして、連通路36の開口部36aが、第1〜第4分岐管12、14、16、18の中で最も吸入接続部22側となる前記第1分岐管12の近傍に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に対して空気を供給するための複数の分岐管を有した内燃機関用吸気マニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、車両に搭載される内燃機関に接続され、該内燃機関の各シリンダ室に対して空気を供給可能な吸気マニホールドを提案している(特許文献1参照)。この吸気マニホールドは、内燃機関の各シリンダに接続される複数の分岐管と、各分岐管が接続され空気の供給されるサージタンクと、該サージタンクに隣接したレゾネータ室とを備え、前記サージタンクに形成された吸気入口管から該サージタンク内へと空気が導入された後、各分岐管へ分配されて内燃機関へと供給される。また、レゾネータ室に滞留された空気が、内燃機関の圧力振動によって通路を通じてサージタンク側へと供給され、各分岐管を通じて内燃機関の各シリンダ室へと流通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−91952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、複数の分岐管を流通する空気の流量の均一化を向上することが可能な内燃機関用吸気マニホールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するために、本発明は、内燃機関の各シリンダに対して接続される複数の分岐管と、前記分岐管が接続されるサージタンクと、前記サージタンクの側部に設けられスロットル装置から空気を前記サージタンク内へと導入する吸入口と、前記サージタンクに隣接して設けられ前記空気の一部が貯えられるレゾナンスチャンバーとを有する内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記サージタンクと前記レゾナンスチャンバーとを連通する連通路を備え、該連通路における前記サージタンク側の開口部が、複数の分岐管の中で内部を流通する前記空気の流量が最も少ない分岐管に隣接して設けられることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、複数の分岐管を有する内燃機関用吸気マニホールドにおいて、該分岐管の接続されるサージタンクとレゾナンスチャンバーとを連通する連通路が設けられ、前記サージタンクに接続される前記連通路の開口部を、複数の分岐管の中で前記空気の流量が最も少ない分岐管に隣接して設けている。
【0007】
従って、内燃機関の駆動作用下にレゾナンスチャンバーが特定の周波数域で共振した際、該レゾナンスチャンバーから連通路を通じてサージタンク側へと供給される空気を、前記空気の流量が最も少ない分岐管の近傍に供給することができる。その結果、吸入口から前記サージタンクへと供給される空気と、レゾナンスチャンバーから前記サージタンクへと供給される空気とを合わせることにより、複数の分岐管を流通するそれぞれの空気の流量の均一化の向上を図ることが可能となる。
【0008】
また、本発明は、内燃機関の各シリンダに対して接続される複数の分岐管と、前記分岐管が接続されるサージタンクと、前記サージタンクに設けられスロットル装置から空気を前記サージタンク内へと導入する吸入口と、前記サージタンクに隣接して設けられ、前記空気の一部が貯えられるレゾナンスチャンバーとを有する内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記サージタンクと前記レゾナンスチャンバーとを連通する連通路を備え、該連通路における前記サージタンク側の開口部は、前記吸入口の開口方向と前記分岐管の延在方向とが略平行に配置されている場合に、前記複数の分岐管の中で最も前記吸入口から離間した分岐管に隣接して設け、一方、前記吸入口の開口方向と前記分岐管の延在方向とが略直交して配置されている場合に、前記複数の分岐管の中で最も前記吸入口に近い分岐管に隣接して設けることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、複数の分岐管を有する内燃機関用吸気マニホールドにおいて、該分岐管の接続されるサージタンクとレゾナンスチャンバーとを接続する連通路が設けられ、前記サージタンクに接続される前記連通路の開口部を、前記吸入口の開口方向と前記分岐管の延在方向とが略平行に配置される場合に、前記複数の分岐管の中で最も前記吸入口から離間した分岐管に隣接して設け、一方、前記開口方向と前記延在方向とが略直交して配置される場合に、前記複数の分岐管の中で最も前記吸入口に近い分岐管に隣接して設けている。従って、内燃機関の駆動作用下にレゾナンスチャンバーが特定の周波数域で共振した際、該レゾナンスチャンバーから連通路を通じてサージタンク側へと供給される空気を、最も前記吸入口から離間した分岐管の近傍、又は、最も前記吸入口に近い分岐管の近傍のいずれか一方に供給することができる。その結果、吸入口からサージタンクへと供給される空気と、レゾナンスチャンバーから前記サージタンクへと供給される空気とを合わせることにより、複数の分岐管を流通するそれぞれの空気の流量の均一化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0011】
すなわち、分岐管の接続されるサージタンクとレゾナンスチャンバーとを連通する連通路を設け、前記サージタンクに接続される前記連通路の開口部を、複数の分岐管の中で前記空気の流量が最も少ない分岐管に隣接して設けることにより、内燃機関の駆動作用下にレゾナンスチャンバーが特定の周波数域で共振した際、該レゾナンスチャンバーから連通路を通じてサージタンク側へ供給される空気を、最も前記空気の流量が少ない分岐管近傍に供給することができるため、複数の分岐管をそれぞれ流通する空気の流量の均一化の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る内燃機関用吸気マニホールドの外観斜視図である。
【図2】図1に示す吸気マニホールドに対してカバーを取り外した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る内燃機関用吸気マニホールドについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0014】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る内燃機関用吸気マニホールドを示す。
【0015】
この内燃機関用吸気マニホールド10(以下、吸気マニホールド10という)は、車両等に搭載される、例えば、4つのシリンダ室を有する4気筒の内燃機関に設けられている。
【0016】
この吸気マニホールド10は、図1及び図2に示されるように、複数の第1〜第4分岐管12、14、16、18と、該第1〜第4分岐管12、14、16、18の一端部がそれぞれ接続されるサージタンク20と、前記サージタンク20の長手方向(矢印A、B方向)に沿った一端部に設けられる吸入接続部(吸入口)22と、前記サージタンク20と並列に設けられるレゾナンスチャンバー24と、前記サージタンク20及びレゾナンスチャンバー24を覆うように装着されるカバー部材26とを含む。なお、吸気マニホールド10は、例えば、樹脂製材料から形成される。
【0017】
第1〜第4分岐管12、14、16、18は、サージタンク20の長手方向(矢印A、B方向)に沿って互いに略等間隔離間して配置され、その一端部がサージタンク20に接続されて開口し、他端部が、図示しない内燃機関のシリンダヘッドに接続されている。なお、サージタンク20において最も吸入接続部22側(矢印A方向)に第1分岐管12が接続され、該吸入接続部22から離間する方向(矢印B方向)に向かって第2分岐管14、第3分岐管16及び第4分岐管18の順番で配置されている。
【0018】
サージタンク20は、所定容積を有した略長方形状のタンクであり、吸入接続部22から供給される空気が、前記サージタンク20を通じて第1〜第4分岐管12、14、16、18へとそれぞれ分配される。
【0019】
吸入接続部22は、サージタンク20の側方、すなわち、前記サージタンク20の長手方向(矢印A、B方向)に開口するように設けられ、例えば、前記サージタンク20へ供給される空気の供給量を調整するためのスロットルボディ(図示せず)が装着される。そして、図示しないエアクリーナを通過した空気が、スロットルボディによって流量調整された後、吸入接続部22を経てサージタンク20へと供給される。
【0020】
レゾナンスチャンバー24は、内燃機関の駆動作用下に生じる特定の周波数域で共振し、内燃機関の出力向上(例えば、トルク増加)等を目的として設けられる。このレゾナンスチャンバー24は、サージタンク20と同様に長手方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有し、内部に空気を滞留可能な空間部28を有する。
【0021】
この空間部28は、レゾナンスチャンバー24の長手方向(矢印A、B方向)に沿った中央部に形成される第1レゾ室30と、該第1レゾ室30の両側に形成される一組の第2レゾ室32a、32bと、該第2レゾ室32a、32bのさらに両側に設けられる一組の第3レゾ室34a、34bとから構成される。第1〜第3レゾ室30、32a、32b、34a、34bは、該レゾナンスチャンバー24内に膨出した第1〜第4分岐管12、14、16、18の外壁部によって分離されるが、該第1〜第4分岐管12、14、16、18とカバー部材26との間に設けられた隙間を通じて連通している。
【0022】
第1レゾ室30は、レゾナンスチャンバー24の長手方向(矢印A、B方向)と直交する高さ寸法H1が、第2及び第3レゾ室32a、32b、34a、34bの高さ寸法H2、H3に対して大きく形成されているため(H1>H2、H3)、前記第1レゾ室30の容積が、第2及び第3レゾ室32a、32b、34a、34bの容積に対して大きくなる。
【0023】
また、レゾナンスチャンバー24には、中央部に設けられた第1レゾ室30とサージタンク20の一端部側(矢印A方向側)の内壁面20aとを接続する連通路36が形成される。
【0024】
連通路36は、その一端部に形成された開口部36aがサージタンク20の内壁面20aに対して略直交するように接続され、他端部に向かって略直角に折曲された後、前記サージタンク20及びレゾナンスチャンバー24の長手方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さで延在し、前記他端部に形成された開口部36bが前記レゾナンスチャンバー24における第1レゾ室30の側方に接続される。
【0025】
本発明の実施の形態に係る内燃機関用吸気マニホールド10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0026】
先ず、内燃機関における各シリンダ室の吸気作用に伴って吸入接続部22からサージタンク20へと空気が流入し、前記サージタンク20内において第1〜第4分岐管12、14、16、18へとそれぞれ分配されて供給される。この際、吸入接続部22が、サージタンク20の長手方向(矢印A、B方向)に沿って開口し、且つ、第1分岐管12の近傍となる前記サージタンク20の一端部側(矢印A方向)に設けられているため、前記吸入接続部22から供給される空気は、該吸入接続部22から最も離れた第4分岐管18に最も多く供給され、該吸入接続部22に接近するにつれて、第3分岐管16、第2分岐管14、第1分岐管12の順番で供給量が減少していく。
【0027】
一方、サージタンク20に供給された空気の一部が、連通路36を通じてレゾナンスチャンバー24内に導入されて貯えられる。この際、空気は、レゾナンスチャンバー24を構成する第1〜第3レゾ室30、32a、32b、34a、34bにそれぞれ導入される。そして、第1〜第4分岐管12、14、16、18へと供給された空気が、内燃機関のシリンダヘッドを通じて各シリンダ内へと順次供給される。
【0028】
次に、内燃機関において出力向上を図る場合について説明する。この場合、内燃機関の駆動作用下に生じる圧力振動に起因し、特定の周波数域においてレゾナンスチャンバー24が共振する。これにより、連通路36の近傍でも共振が発生し、該共振が前記連通路36に沿って伝播していくことにより、開口部36aが接続された第1分岐管12近傍で最も共振の影響が大きく、前記第1分岐管12から第4分岐管18に向かって徐々に影響が小さくなっていく。そのため、レゾナンスチャンバー24から連通路36を通じてサージタンク20へと流入する空気が第1分岐管12の近傍に最も多く供給され、一方、前記連通路36の開口部36aから離間していくのに伴って、前記レゾナンスチャンバー24及び連通路36を介して供給される空気の供給量が、第2分岐管14、第3分岐管16、第4分岐管18の順番で徐々に少なくなっていく。
【0029】
これにより、サージタンク20に接続された第1〜第4分岐管12、14、16、18に対してレゾナンスチャンバー24から供給された空気がそれぞれ加えられることにより、吸入接続部22からサージタンク20を通じて第1〜第4分岐管12、14、16、18へとそれぞれ供給される空気の供給量に対して、レゾナンスチャンバー24から前記サージタンク20を通じて第1〜第4分岐管12、14、16、18へとそれぞれ供給される空気の供給量とがバランスし、その結果、前記第1〜第4分岐管12、14、16、18を流通する空気の流量を略同一とすることができる。そのため、内燃機関における各シリンダの吸気効率が高まり出力を向上させることが可能となる。すなわち、第1〜第4分岐管12、14、16、18を通じて内燃機関へと供給される各流量の均一化の向上を図ることが可能となる。
【0030】
なお、本発明に係る内燃機関用吸気マニホールドは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0031】
10…内燃機関用吸気マニホールド 12…第1分岐管
14…第2分岐管 16…第3分岐管
18…第4分岐管 20…サージタンク
22…吸入接続部 24…レゾナンスチャンバー
26…カバー部材 28…空間部
30…第1レゾ室 32a、32b…第2レゾ室
34a、34b…第3レゾ室 36…連通路
36a、36b…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の各シリンダに対して接続される複数の分岐管と、前記分岐管が接続されるサージタンクと、前記サージタンクの側部に設けられスロットル装置から空気を前記サージタンク内へと導入する吸入口と、前記サージタンクに隣接して設けられ前記空気の一部が貯えられるレゾナンスチャンバーとを有する内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記サージタンクと前記レゾナンスチャンバーとを連通する連通路を備え、該連通路における前記サージタンク側の開口部が、複数の分岐管の中で内部を流通する前記空気の流量が最も少ない分岐管に隣接して設けられることを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【請求項2】
内燃機関の各シリンダに対して接続される複数の分岐管と、前記分岐管が接続されるサージタンクと、前記サージタンクに設けられスロットル装置から空気を前記サージタンク内へと導入する吸入口と、前記サージタンクに隣接して設けられ、前記空気の一部が貯えられるレゾナンスチャンバーとを有する内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記サージタンクと前記レゾナンスチャンバーとを連通する連通路を備え、該連通路における前記サージタンク側の開口部は、前記吸入口の開口方向と前記分岐管の延在方向とが略平行に配置されている場合に、前記複数の分岐管の中で最も前記吸入口から離間した分岐管に隣接して設け、一方、前記吸入口の開口方向と前記分岐管の延在方向とが略直交して配置されている場合に、前記複数の分岐管の中で最も前記吸入口に近い分岐管に隣接して設けることを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−207586(P2012−207586A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73761(P2011−73761)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)