説明

内燃機関用点火装置

【課題】奇数層に巻き回す構成の点火コイルでは1次コイルボビンに誘導凹部を形成するため、1次コイルの中心軸と鉄芯の中心軸が一致せず、鉄芯付近に加わる冷熱ストレスに偏りが生じ、最悪点火コイルの不具合の原因となる恐れがある。
【解決手段】1次コイルと2次コイルのうち、外側に配置されるコイルのボビンの内周面に突起を形成し、1次コイルと2次コイルのうち、内側に配置されるコイルのボビンの内周面に突起を形成し、中心鉄芯の中心軸と1次コイル、2次コイルの中心軸を一致させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用点火装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より内燃機関用点火装置は、ケースのコイル収容部に鉄芯と1次コイル、2次コイルを備えて構成され、ケース内に絶縁性樹脂を充填することで各部材を絶縁、固定している。これらの点火コイルの中にはボビンの一端に巻線の巻き始めと巻き終わりを有し、奇数層に巻き回した構成としているものがある。しかし、このような点火コイルではボビンの一端から他端まで引き出した巻線によってその後巻き回す巻線が突出し断線する恐れがある。そしてこのような状況においては例えば、特開2009−299552号公報(以下「特許文献1」)のような構成とすることが知られている。
【0003】
上記特許文献1の点火装置の1次コイルボビンの側面図を図6に示す。図6において特許文献1では、一次コイルボビン230の外周に巻線を巻き付けて形成した一次コイル、一次コイルを囲繞するように配設された二次コイル、および一次コイルボビン230内を挿通するように配設された鉄芯を有するトランスが外装ケース内に収納され、絶縁性樹脂が上記外装ケース内に充填、硬化されている。また、上記一次コイルボビン230は、上記巻線が巻き付けられる筒状の巻胴部240と、該巻胴部240の外周面上に軸方向に離間して相対して設けられ、巻線巻回空間を構成する第1鍔部260および第2鍔部270と、上記第1鍔部260の一部に形成された第1巻線方向転換突起と、上記第2鍔部270の一部に形成された第2巻線方向転換突起と、上記巻胴部240の上記第1鍔部260の軸方向外方位置に突設され、上記巻線の巻き始め端部が接続、固定される第1巻線固定部310と、上記巻胴部240の上記第1鍔部260の軸方向外方で、かつ上記第1巻線固定部310に対して周方向に離間した位置に突設され、上記巻線の巻終わり端部が接続、固定される第2巻線固定部と、上記第1巻線固定部310に接続、固定された上記巻線を案内して上記第1巻線方向転換突起の巻線巻回方向の前方から上記巻線巻回空間内に引き出す案内壁と、を備えている。さらに、上記巻線が、その巻き始め端部を上記第1巻線固定部310に接続、固定され、上記案内壁に案内されて上記巻線巻回空間内に引き出され、上記第1鍔部160の内壁面に沿って上記巻胴部の外周を約1周巻かれ、上記第1巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて該巻線巻回空間内に戻され、ついで該巻線巻回空間内を通って上記第2巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて該巻線巻回空間内に戻され、該巻胴部240の外周に奇数層巻き付けられた後該巻線巻回空間から引き出され、その巻終わり端部を上記第2巻線固定部に接続、固定されている。
【0004】
また、上記巻胴部240が四角形の筒状体に作製され、誘導凹部280が上記巻胴部240の1つの外周面の対角線上に位置するように当該外周面に形成され、上記第1巻線方向転換突起および上記第2巻線方向転換突起が上記誘導凹部280の両端部のそれぞれに対応するように形成され、上記巻線が上記第1
巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて上記誘導凹部280内を通って上記第2巻線方向転換突起に誘導されていることを特徴とする内燃機関用点火装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−299552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の点火装置では次のような問題が生じている。即ち、特許文献1の点火装置では、巻線が、その巻き始め端部を第1巻線固定部に接続、固定され、案内壁に案内されて巻線巻回空間内に引き出され、第1鍔部の内壁面に沿って巻胴部の外周を約1周巻かれ、第1巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて巻線巻回空間内に戻され、ついで誘導凹部内を通って第2巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて巻線巻回空間内に戻され、巻胴部の外周に奇数層巻き付けられた後巻線巻回空間から引き出され、その巻終わり端部を第2巻線固定部に接続、固定することによって、一次コイルを形成する1
層目の巻線に誘導凹部で誘導する巻線が突出部として作用がなくなり一次コイルを形成する1 層目の巻線に変形応力が作用しなくなり、巻線の断線を防止しているが、1次コイルボビンに誘導凹部を形成すると1次コイルの中心軸と鉄芯の中心軸が一致しないため、鉄芯付近に加わる冷熱ストレスに偏りが生じ、最悪点火コイルの不具合の原因となる恐れがある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、鉄芯付近に加わる冷熱ストレスの偏りを防ぎ、長寿命且つ信頼性の高い内燃機関用点火装置を提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、請求項1の発明においては、ケースと、当該ケース内に1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイルと2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルと中心鉄芯を備え、前記中心鉄芯を中心に前記1次コイルと前記2次コイルが同軸上に巻かれ、前記1次コイルと前記2次コイルの少なくとも一方のボビン軸方向の厚さが不均等なボビン壁面を持った構成とする内燃機関用点火装置において、前記中心鉄芯の中心軸と前記1次コイル及び前記2次コイルのコイルの中心軸を一致させることを特徴とする内燃機関用点火装置とする。
【0009】
上記構成においては、 前記1次コイルと前記2次コイルのうち、外側に配置されるコイルのボビンの内周面に第1の突起を形成してもよいし、前記1次コイルと前記2次コイルのうち、内側に配置されるコイルのボビンの外周面に第1の突起を形成してもよい。さらに、前記1次コイルと前記2次コイルのうち、外側に配置されるコイルのボビンの樹脂の厚さを不均一としてもよい。
【0010】
また、前記1次コイルと前記2次コイルのうち、内側に配置されるコイルのボビンの内周面に第2の突起を形成してもよいし、前記1次コイルと前記2次コイルのうち、内側に配置されるコイルのボビンの樹脂の厚さを不均一としてもよい。さらに、前記中心鉄芯の外周面に前記第2の突起を備えてもよい。
【0011】
また、前記1次コイルは前記1次ボビンの一端に巻き始めと巻き終わりを有し、前記1次ボビンに前記1次巻線を奇数層巻き回してもよいし、前記ケース内に1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイルと2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルと中心鉄芯からなる点火コイルをそれぞれ2個ずつ備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
上記の通り、1次コイルと2次コイルのうち、外側に配置されるコイルのボビンの内周面に突起を形成し、1次コイルと2次コイルのうち、内側に配置されるコイルのボビンの内周面に突起を形成し、中心鉄芯の中心軸と1次コイル、2次コイルの中心軸を一致させることで、鉄芯付近に加わる冷熱ストレスの偏りを防ぎ、長寿命且つ信頼性の高い内燃機関用点火装置が実現できる。また、リーン燃焼や成層燃焼では空燃比にばらつきがあることや点火プラグのくすぶりによって起こるミスファイアを防ぐためにケース内に2個の点火コイルを備えて多重点火させる点火装置においても、上記構成によって同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例とする点火装置の斜視図である。
【図2】図1の点火装置を矢印(A)方向から見たB-B断面図である。
【図3】本発明の実施例とする1次コイルと2次コイルの組み立て前の斜視図である。
【図4】本発明の実施例とする1次コイルと2次コイルの組み立て後の斜視図である。
【図5】図4のコイル部を矢印(C)方向から見た図である。
【図6】特許文献1の点火装置の1次コイルボビンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を示す実施例1を図1乃至図5に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の第1の実施例とする点火装置の斜視図を図1に、図1の点火装置を矢印(A)方向から見たB-B断面図を図2に、1次コイルと2次コイルの組み立て前の斜視図を図3に、1次コイルと2次コイルの組み立て後の斜視図を図4に、図4のコイル部を矢印(C)方向から見た図を図5に示す。
【0016】
図1乃至図5において、点火装置70の外形を形成するケース50は開口面を一面備える箱型とした一体成形で形成されている。また、当該ケース50には当該点火装置70を図示しないエンジンヘッドに取り付け固定するためのケース固定部52を当該ケース50の開口面と略垂直面の2箇所に形成している。さらに、当該ケース50の底面には、2次電圧を点火プラグに供給する高圧端子を備えるための高圧タワー54がエンジン上部に形成されたプラグホール内に向かって突出するように形成されている。
【0017】
また、前記ケース50のコイル収容部には、第1の点火コイル80及び第2の点火コイル90を備え、当該第1の点火コイル80及び当該第2の点火コイル90は複数の薄板を積層して構成された中心鉄芯30及び外装鉄芯31と、当該中心鉄芯30の外周に樹脂で形成された1次ボビン10の1次巻線巻付け部13外周に1次巻線12を50ターン前後巻き回した1次コイル14と、当該1次コイル14の外周に樹脂で形成された2次ボビン20の2次巻線巻付け部21外周に2次巻線22を3000ターン前後巻き回した2次コイル24とから構成されている。さらに、前記1次ボビン10の軸方向両端に前記1次巻線12の巻き崩れを防止するフランジ16を形成している。
【0018】
また、前記フランジ16の外周側面に前記1次ボビン10外周と前記2次ボビン20内周間に充填するモールド樹脂60の充填性を向上させる為のスリット18を形成し、当該スリット18は前記フランジ16の外周に90度の間隔で4箇所形成されている。さらに、当該スリット18は前記1次ボビン10の両端の前記フランジ16に形成されている。
【0019】
また、前記1次ボビン10の1次巻線巻付け部13に前記1次ボビン10の軸方向両端部を結ぶ誘導溝11を形成し、前記1次ボビン10の一端から巻き始めた前記1次巻線12は、当該誘導溝11を通って前記1次ボビン10の他端へ向かい、前記1次ボビン10の他端から一端に向かって1層目が巻き回され、前記1次巻線12は前記1次ボビン10の一端から他端に向かって2層目が巻き回され、前記1次ボビンの他端から一端に向かって3層目が巻き回され、前記1次ボビン10の一端で巻き終えている。さらに、前記誘導溝11は前記1次コイル14が前記ケース50に備えられた際に前記ケース50の底面側に近接する面に形成されている。
【0020】
また、前記誘導溝11が形成されていない面の前記1次ボビン10の軸方向の厚さをd1とし、前記誘導溝11が形成されている面の前記1次ボビン10の軸方向の厚さをd2とすると、d1とd2の関係はd1<d2となる。さらに、前記1次ボビン10内周面に第1の突起26を形成し、当該第1の突起26によって前記中心鉄芯30の中心軸と前記1次コイル14の中心軸を一致させるように前記中心鉄芯30を固定し、当該第1の突起26は前記1次ボビン10の前記誘導溝11が形成された面を除いた内周面の各1面に2箇所形成されている。
【0021】
また、前記2次ボビン20内周面に第2の突起27を形成し、当該第2の突起27によって前記中心鉄芯30の中心軸と前記2次コイル24の中心軸を一致させるように前記1次コイル14を固定している。さらに、当該第2の突起27は前記2次ボビン20の内周面の各1面に2箇所形成されている。
【0022】
また、前記2次コイル24の低圧側に2次低圧端子46を備え、前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記1次コイル14は当該2次低圧端子46と電気的に接続されている。さらに、前記2次コイル24の高圧側に2次高圧端子48を備え、前記ケース50内側底面に前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のそれぞれにケース側2次高圧端子38を備え、前記第1の点火コイル80の当該2次高圧端子48及び当該ケース側2次高圧端子38を電気的に接続し、前記第2の点火コイル90の当該2次高圧端子48及び当該ケース側2次高圧端子38を電気的に接続している。
【0023】
また、前記ケース50内には前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90への点火信号を供給するイグナイタ34を前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のそれぞれに備え、当該イグナイタ34は前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記1次コイル14と電気的に接続している。さらに、前記ケース50の側面にバッテリ及びECU、点火装置制御部から1次電圧若しくは点火信号を供給するコネクタ32を前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のそれぞれに1つずつ備えている。
【0024】
また、前記第1の点火コイル80側の前記コネクタ32は前記第1の点火コイル80の前記1次コイル14及び前記イグナイタ34と電気的に接続され、前記第2の点火コイル90側の前記コネクタ32は前記第2の点火コイル90の前記1次コイル14及び前記イグナイタ34と電気的に接続されている。さらに、前記ケース50の内側底面には、前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のどちらか一方の2次電圧が他方の点火コイルに流れるのを阻止するためのダイオード群40を前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90のそれぞれに備えている。
【0025】
また、前記ダイオード群40は3つのダイオードから構成されており、当該それぞれのダイオードはリード線44を備えており、当該リード線44を半田付けで接続することで当該それぞれのダイオードを電気的に接続している。さらに、前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記ダイオード群40のアノード端子側の前記リード線44は1つに結合され、前記高圧端子と電気的に接続している。
【0026】
また、前記第1の点火コイル80側の前記ダイオード群40のカソード端子側の前記リード線44は前記第1の点火コイル80側の前記ケース側2次高圧端子38と電気的に接続され、前記第2の点火コイル90側の前記ダイオード群40のカソード端子側の前記リード線44は前記第2の点火コイル90側の前記ケース側2次高圧端子38と電気的に接続されている。さらに、前記ケース50の内側底面には前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記ダイオード群40を埋め込むための溝部56を形成している。
【0027】
また、前記溝部56には前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90の前記ダイオード群40の前記リード線44を挟んで固定するための略U字型のリード線固定部58を形成し、前記ダイオード群40を構成するそれぞれのダイオードの両端に1箇所ずつ、合計で12箇所固定し、当該リード線固定部58の前記リード線44挿入口を面取りしている。さらに、前記溝部56は前記ダイオード群40及び当該リード線固定部58が前記ケース50の底面から出ない深さに形成されている。
【0028】
また、前記ケース50の内側底面には外周溝57が形成され、当該外周溝57は前記ダイオード群40及び前記リード線固定部58を埋め込んだ前記溝部56及び前記ケース側2次高圧端子38、前記高圧端子、前記リード線44の外周全周を囲うように形成されている。さらに、当該外周溝57は前記溝部56の幅の3分の1前後の幅で形成され、当該外周溝57は前記溝部56と等しい深さに形成されている。
【0029】
また、前記ケース50内には前記第1の点火コイル80と前記第2の点火コイル90間に発生するクラックの波及を防ぐために前記第1の点火コイル80に第1の隔壁55aを形成し、前記第2の点火コイル90に第2の隔壁55bを形成している。さらに、当該第1の隔壁55a及び当該第2の隔壁55bは前記第1の点火コイル80と前記第2の点火コイル90とを結ぶ直線上に形成されている。
【0030】
また、前記第1の隔壁55aは前記第1の点火コイル80の鉄芯クラックを封じ、前記第1の点火コイル80の前記鉄芯30の位置決めをするために前記第1の点火コイル80の前記鉄芯30の外周面に接する如く配置され、前記第2の隔壁55bは前記第2の点火コイル90の鉄芯クラックを封じ、前記第2の点火コイル90の前記鉄芯30の位置決めをするために前記第2の点火コイル90の前記鉄芯30の外周面に接するように配置されている。さらに、前記第1の隔壁55a及び前記第2の隔壁55bは前記鉄芯30の前記ケース50底面からの垂直方向の高さと等しい高さに形成されている。
【0031】
また、前記ケース50内には前記点火装置70の電気的絶縁及び各部材の物理的固定を実現する前記モールド樹脂60が充填されている。さらに、前記第1の点火コイル80及び前記第2の点火コイル90から出力される2次電圧は前記高圧端子から前記プラグホール内に収容された導電部材を介して前記点火プラグへ供給される。
【0032】
上記実施例1の変形例として、前記中心鉄芯30の中心軸と前記1次コイル14又は前記2次コイル24の少なくとも一方のコイルの中心軸を一致させてもよいし、前記1次コイル14と前記2次コイル24のうち、前記1次コイル14を外周に配置してもよい。また、前記第1の突起26は前記1次コイル14と前記2次コイル24のうち、外側に配置されるコイルのボビンの内側面に形成して前記中心鉄芯30の中心軸と前記1次コイル14の中心軸、前記2次コイル24の中心軸を一致させてもよいし、前記第1の突起26は前記1次コイル14と前記2次コイル24のうち、内側に配置されるコイルのボビンの外周面に形成して前記中心鉄芯30の中心軸と前記1次コイル14の中心軸、前記2次コイル24の中心軸を一致させてもよい。さらに、前記1次コイル14の前記1次巻線巻付け部13と前記2次コイル24の前記2次巻線巻付け部21のうち、外側に配置されるコイルのボビンの巻付け部の樹脂の厚さを変化させることで前記中心鉄芯30の中心軸と前記1次コイル14の中心軸、前記2次コイル24の中心軸を一致させてもよい。
【0033】
また、前記第2の突起27は前記1次コイル14と前記2次コイル24のうち、内側に配置されるコイルのボビンの内側面に形成して前記中心鉄芯30の中心軸と前記1次コイル14の中心軸、前記2次コイル24の中心軸を一致させてもよいし、前記中心鉄芯30の外周面に前記第2の突起27を備えて前記中心鉄芯30の中心軸と前記1次コイル14の中心軸、前記2次コイル24の中心軸を一致させてもよい。さらに、前記1次コイル14と前記2次コイル24のうち、内側に配置されるコイルのボビンの樹脂の厚さを変化させることで前記中心鉄芯30の中心軸と前記1次コイル14の中心軸、前記2次コイル24の中心軸を一致させてもよい。
【0034】
また、前記第1の突起26及び前記第2の突起27の形状及び形成位置、形成個数は前記中心鉄芯30の中心軸と前記1次コイル14の中心軸、前記2次コイル24の中心軸が一致する構成となるのであれば設計事情によって任意に変更してもよい。さらに、前記1次コイル14は3層巻きのコイルとしたが、奇数層又は偶数層に限らず設計事情によって任意に変更してもよい。
【0035】
また、前記誘導溝11は前記1次コイル14が前記ケース50に備えられた際に前記ケース50の底面側に近接する面に形成したが、設計事情によって任意の位置に変更しもよい。さらに、前記点火装置70を構成する前記1次ボビン10及び前記2次ボビン20の軸方向の厚さを不均等な構成としたボビンとしてもよい。
【0036】
また、上記実施例1では、前記ケース50内に前記1次コイル14と前記2次コイル24と前記鉄芯30からなる点火コイルをそれぞれ2個ずつ備えた多重点火型の点火装置を用いたが、前記ケース50内に点火コイルを1つ備えた点火装置に実施してもよいし、前記ケース50内のコイル収容部を前記プラグホール内に挿入するペン型の点火装置に実施してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10:1次ボビン
11:誘導溝
12:1次巻線
13:1次巻線巻付け部
14:1次コイル
16:フランジ
18:スリット
20:2次ボビン
21:2次巻線巻付け部
22:2次巻線
24:2次コイル
26:第1の突起
27:第2の突起
30:中心鉄芯
31:外装鉄芯
32:コネクタ
34:イグナイタ
38:ケース側2次高圧端子
40:ダイオード群
44:リード線
46:2次低圧端子
48:2次高圧端子
50:ケース
52:ケース固定部
54:高圧タワー
55a:第1の隔壁
55b:第2の隔壁
56:溝部
57:外周溝
58:リード線固定部
60:モールド樹脂
70:点火装置
80:第1の点火コイル
90:第2の点火コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、当該ケース内に1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイルと2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルと中心鉄芯を備え、
前記中心鉄芯を中心に前記1次コイルと前記2次コイルが同軸上に巻かれ、
前記1次コイルと前記2次コイルの少なくとも一方のボビン軸方向の厚さが不均等なボビン壁面を持った構成とする内燃機関用点火装置において、
前記中心鉄芯の中心軸と前記1次コイル及び前記2次コイルのコイルの中心軸を一致させることを特徴とする内燃機関用点火装置。
【請求項2】
前記1次コイルと前記2次コイルのうち、外側に配置されるコイルのボビンの内周面に第1の突起を形成したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
【請求項3】
前記1次コイルと前記2次コイルのうち、内側に配置されるコイルのボビンの外周面に第1の突起を形成したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
【請求項4】
前記1次コイルと前記2次コイルのうち、外側に配置されるコイルのボビンの樹脂の厚さを不均一としたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
【請求項5】
前記1次コイルと前記2次コイルのうち、内側に配置されるコイルのボビンの内周面に第2の突起を形成したことを特徴とする請求項2乃至4に記載の内燃機関用点火装置。
【請求項6】
前記1次コイルと前記2次コイルのうち、内側に配置されるコイルのボビンの樹脂の厚さを不均一としたことを特徴とする請求項1乃至4に記載の内燃機関用点火装置。
【請求項7】
前記中心鉄芯の外周面に前記第2の突起を備えたことを特徴とする請求項2乃至4に記載の内燃機関用点火装置。
【請求項8】
前記1次コイルは前記1次ボビンの一端に巻き始めと巻き終わりを有し、前記1次ボビンに前記1次巻線を奇数層巻き回したことを特徴とする請求項1乃至7に記載の内燃機関用点火装置。
【請求項9】
前記ケース内に1次ボビンに1次巻線を巻き回した1次コイルと2次ボビンに2次巻線を巻き回した2次コイルと中心鉄芯からなる点火コイルをそれぞれ2個ずつ備えたことを特徴とする請求項1乃至8に記載の内燃機関用点火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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