説明

内視鏡、ガイド装置、ガイドワイヤおよび医療用デバイスガイドシステム

【課題】内視鏡画像によって処置具による処置の様子を容易に観察可能でありながら、内視鏡および処置具をそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に操作する。
【解決手段】心膜腔内において略U字形状に湾曲可能な可撓性を有するガイドワイヤ20と、該ガイドワイヤ20が挿入されるチャネル3が長手方向に形成された細長い挿入部2を備える内視鏡1と、チャネル3内に挿入されたガイドワイヤ20の基端側への移動を制限する移動制限機構50とを備える医療用デバイスガイドシステム100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡、ガイド装置、ガイドワイヤおよび医療用デバイスガイドシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、観察窓とチャネルの開口とを対向させて配置可能な内視鏡が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような内視鏡によれば、チャネルから出没させられた処置具が正面側から撮影される。すなわち、内視鏡画像において術部や処置具の先端が処置具の外套の影に隠れて見えなくなることなく、容易にかつ正確に処置具によって術部を処置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3432893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、心臓と該心臓を包む心膜との間の心膜腔内においては、前後方向に操作すれば足りる管腔内の場合と比べて内視鏡の複雑な操作が要求される。すなわち、特許文献1の内視鏡の場合、例えば、内視鏡のみを周方向に回転させたいときに処置具も共に回転してしまうなど、心膜腔内においては内視鏡と処置具とをそれぞれ所望の位置や姿勢に操作することが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、内視鏡画像によって処置具による処置の様子を容易に観察可能でありながら内視鏡と処置具とをそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に操作することができる内視鏡、ガイド装置、ガイドワイヤおよび医療用デバイスガイドシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、心膜腔内に挿入可能な細長い挿入部と、該挿入部に固定され、該挿入部の先端から前方に延びるガイドワイヤとを備える内視鏡を提供する。
本発明によれば、ガイドワイヤを心膜に貫通させて心膜腔内に挿入していくことにより、ガイドワイヤに追随させて内視鏡を心膜腔内に案内することができる。また、ガイドワイヤの先端側から処置具をガイドワイヤに沿って挿入することにより、処置具の先端が挿入部の先端に対向して配置されるので、内視鏡によって処置具による処置の様子を容易に観察できる。
【0007】
この場合に、内視鏡および処置具は、前後方向および周方向に互いに独立に操作可能であるので、これらの両方を所望の位置および姿勢に容易に操作することができる。また、挿入部にガイドワイヤを挿入するためのチャネルを不要にし、挿入部を細径化することができる。
【0008】
上記発明においては、前記挿入部は、その先端部が前記先端に向かって漸次径寸法が小さくなっていることが好ましい。
このようにすることで、挿入部を、ガイドワイヤが貫通した心膜の穿孔を徐々に押し広げながら容易に心膜に貫通させることができる。
【0009】
また、本発明は、心膜腔内に挿入可能であり、処置具が挿入されるルーメンが長手方向に形成された細長いチューブ部材と、該チューブ部材に固定され、該チューブ部材の先端から前方に延びるガイドワイヤとを備えるガイド装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、ガイドワイヤを心膜に貫通させて心膜腔内に挿入していくことにより、ガイドワイヤに追随させてチューブ部材を心膜腔内に案内することができる。また、ガイドワイヤの先端側から内視鏡の挿入部をガイドワイヤに沿って挿入することにより、挿入部の先端が処置具の先端に対向して配置されるので、内視鏡によって処置具による処置の様子を容易に観察できる。また、内視鏡および処置具は、前後方向および周方向に互いに独立に操作可能であるので、これらの両方を所望の位置および姿勢に容易に操作することができる。また、チューブ部材にガイドワイヤ用のルーメンを不要にし、チューブ部材を細径化することができる。
【0011】
また、本発明は、長手方向の途中位置において分岐した枝ワイヤを備えるガイドワイヤを提供する。
本発明によれば、枝ワイヤが分岐した位置を心膜腔内に配置し、両端および枝ワイヤの端からそれぞれ、内視鏡の挿入部および処置具を挿入することにより、合わせて3本以上の内視鏡および処置具の先端を心膜腔内において対向させて配置することがでる。また、内視鏡および処置具をそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に配置することができる。
【0012】
また、本発明は、内視鏡が備える挿入部およびガイド装置が備えるチューブ部材を心膜腔内において案内するガイドワイヤであって、長手方向の途中位置において所定の曲率で湾曲した凸形状に癖付けられ、前記挿入部または前記チューブ部材よりも低い可撓性を有するガイドワイヤを提供する。
【0013】
本発明によれば、凸部を心膜腔内に配置し、各端から内視鏡の挿入部とガイド装置のチューブ部材とをそれぞれ心膜腔に挿入することにより、挿入部の先端とチューブ部材の先端とが対向させられるので、チューブ部材内を介して心膜腔内に挿入された処置具による処置の様子を内視鏡によって容易に観察することができる。また、内視鏡と処置具とをそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に操作することができる。また、挿入部の先端またはチューブ部材の先端を凸部に配置することにより、これらの先端を心臓表面に対して角度をなして配置することができる。
【0014】
また、本発明は、内視鏡が備える挿入部およびガイド装置が備えるチューブ部材を心膜腔内において案内するガイドワイヤであって、長手方向の途中位置において、略U字形状に折り返した形状に癖付けられた第1の湾曲部と、該第1の湾曲部の一側が、他側に対して所定の角度で湾曲した形状に癖付けられた第2の湾曲部とを有し、前記第1の湾曲部および前記第2の湾曲部が、前記挿入部および前記チューブ部材よりも低い可撓性を有するガイドワイヤを提供する。
【0015】
本発明によれば、第1の湾曲部および第2の湾曲部を心膜腔内に配置し、両端から内視鏡の挿入部とガイド装置のチューブ部材とをそれぞれ第1の湾曲部または第2の湾曲部の位置まで挿入することにより、これらの先端部が心膜腔内において所定の角度をなして対向させられ、チューブ部材の先端から出没させられた処置具による処置の様子を内視鏡によって容易に観察できる。また、内視鏡と処置具とをそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に操作することができる。
【0016】
また、本発明は、心膜腔内において略U字形状に湾曲可能な可撓性を有するガイドワイヤと、該ガイドワイヤが挿入されるチャネルが長手方向に形成された細長い挿入部を備える内視鏡と、前記チャネル内に挿入された前記ガイドワイヤの基端側への移動を制限する移動制限機構とを備える医療用デバイスガイドシステムとを備える医療用デバイスガイドシステムを提供する。
【0017】
本発明によれば、心膜腔内に挿入したガイドワイヤの両端から挿入部および処置具をそれぞれ挿入することにより、挿入部および処置具の先端が心膜腔内において対向させられるので、内視鏡によって処置具による処置の様子を容易に観察できる。また、内視鏡と処置具とをそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に操作することができる。この場合に、移動制限機構によってチャネル内でのガイドワイヤの後退が制限されるので、拍動によってガイドワイヤが心膜腔内から抜けてしまうことを防ぐことができる。
【0018】
上記発明においては、前記移動制限機構が、前記チャネルの基端側に設けられ、前記ガイドワイヤの基端側の一部を固定する固定部を備えていてもよい。
このようにすることで、操作者が手元で容易にガイドワイヤの位置を固定することができる。
【0019】
また、上記発明においては、前記移動制限機構が、前記ガイドワイヤまたは前記チャネルの一方の途中位置において長手方向に沿って配列され半径方向に凹んだ複数の凹部と、前記ガイドワイヤまたは前記チャネルの他方に設けられ前記凹部と係合する凸部とを備えていてもよい。または、前記移動制限機構が、前記ガイドワイヤの途中位置に設けられた雄ネジ部と、前記チャネル内に設けられ前記雄ネジ部と噛み合う雌ネジ部とを備えていてもよい。
このようにすることで、ガイドワイヤに対する挿入部の長手方向の位置の微調整を容易にし、また、微調整した位置に安定に保持することができる。
【0020】
また、本発明は、心膜腔内において略U字形状に湾曲可能な可撓性を有するガイドワイヤと、該ガイドワイヤが挿入される第1のルーメンおよび処置具が挿入される第2のルーメンが長手方向に形成された細長いチューブ部材を備えるガイド装置と、前記第1のルーメン内に挿入された前記ガイドワイヤの基端側への移動を制限する移動制限機構とを備える医療用デバイスガイドシステムを提供する。
【0021】
上記発明においては、前記移動制限機構が、前記第1のルーメンの基端側に設けられ、前記ガイドワイヤの基端側の一部を固定する固定部を備えていてもよい。
また、上記発明においては、前記移動制限機構が、前記ガイドワイヤまたは前記ルーメンの一方の途中位置において長手方向に沿って配列され半径方向に凹んだ凹部と、前記ガイドワイヤまたは前記ルーメンに設けられ前記凹部と係合する凸部とを備えていてもよい。または、前記移動制限機構が、前記ガイドワイヤの途中位置に設けられた雄ネジ部と、前記ルーメン内に設けられ前記雄ネジ部と噛み合う雌ネジ部とを備えていてもよい。
【0022】
また、本発明は、心膜腔内において略U字形状に湾曲可能な可撓性を有するガイドワイヤと、該ガイドワイヤが挿入される第1のルーメンおよび処置具が挿入される第2のルーメンが長手方向に形成され可撓性を有する細長いチューブ部材を備えるガイド装置とを備え、前記第1のルーメンが、長手方向に間隔を空けて配置され前記ガイドワイヤが挿入される貫通部を有し、前記ガイドワイヤが、長手方向の途中位置に、前記貫通部の孔径よりも大きな外径寸法を有するストッパを備える医療用デバイスガイドシステムを提供する。
【0023】
本発明によれば、心膜腔内に挿入したガイドワイヤの両端から挿入部および処置具をそれぞれ挿入することにより、挿入部および処置具の先端が心膜腔内において対向させられるので、内視鏡によって処置具による処置の様子を容易に観察できる。また、内視鏡と処置具とをそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に操作することができる。この場合に、チューブ部材の先端をストッパに突き当ててチューブ部材に長手方向の圧縮力を加えることにより、第1のチャネル内からガイドワイヤが露出された部分においてチューブ部材を湾曲させることができる。
【0024】
また、本発明は、心膜腔内において略U字形状に湾曲可能な可撓性を有するガイドワイヤと、前記心膜腔内に挿入可能であり、前記ガイドワイヤが挿入されるチャネルが長手方向に形成された細長い挿入部を備える内視鏡と、前記心膜腔内に挿入可能であり、前記ガイドワイヤが挿入される第1のルーメンおよび処置具が挿入される第2のルーメンが長手方向に形成された細長いチューブ部材を備えるガイド装置とを備え、前記ガイドワイヤが、長手方向の途中位置に、前記内視鏡の被写界深度に応じた間隔を空けて設けられ、前記チャネルおよび前記第1のルーメンの各先端側の開口の口径よりも大きな外径を有する2つのストッパを有する医療用デバイスガイドシステムを提供する。
【0025】
本発明によれば、心膜腔内に挿入したガイドワイヤの両端から挿入部および処置具をそれぞれ挿入することにより、挿入部および処置具の先端が心膜腔内において対向させられるので、内視鏡によって処置具による処置の様子を容易に観察できる。また、内視鏡と処置具とをそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に操作することができる。この場合に、挿入部およびチューブ部材をそれぞれストッパに突き当たる位置まで挿入することにより、チューブ部材の先端から出没させられた処置具に内視鏡画像の焦点が合う位置に、挿入部およびチューブ部材を配することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、内視鏡画像によって処置具による処置の様子を容易に観察可能でありながら、内視鏡および処置具をそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に操作することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る医療用デバイスガイドシステムの全体構成図である。
【図2】図1の固定部の構成の一例を示す図であり、(a)ガイドワイヤを解放している状態と(b)ガイドワイヤを固定している状態とを示している。
【図3】図1のガイド装置の先端部分に形成された湾曲部の動作を説明する図であり、(a)略直線上に延伸した状態および(b)湾曲した状態をそれぞれ示している。
【図4】図1のガイドワイヤに設けられたストッパを示す図である。
【図5】図4のストッパの位置まで挿入された内視鏡およびガイド装置の位置関係を説明する図である。
【図6】心臓の患部の位置とガイドワイヤの湾曲形状との関係を説明する図である。
【図7】心臓の患部の位置とガイドワイヤの湾曲形状とのもう1つの関係を説明する図である。
【図8】図1の医療用デバイスガイドシステムを使用した医療用デバイスガイド方法のシース挿入ステップおよびガイドワイヤ挿入ステップを説明する図である。
【図9】図1の医療用デバイスガイドシステムした医療用デバイスガイド方法の捕捉ステップを説明する図である。
【図10】図1の医療用デバイスガイドシステムした医療用デバイスガイド方法の引き抜きステップを説明する図である。
【図11】図1の医療用デバイスガイドシステムした医療用デバイスガイド方法の対向ステップを説明する図である。
【図12】(a)挿入部またはチューブの一方が心臓表面の溝に嵌った状態を示す図および(b)他方を操作することにより一方を溝から抜け出させるための方法を説明する図である。
【図13】途中位置に磁石が設けられたガイドワイヤを心膜腔内に略U字形状に配置する方法を説明する図である。
【図14】1本のシースを使用してガイドワイヤを心膜腔内に略U字形状に配置する方法を説明する図である。
【図15】先端にガイドワイヤを備えた内視鏡の変形例の構成を示す図である。
【図16】先端にガイドワイヤを備えた内視鏡のもう1つの変形例の構成を示す図である。
【図17】図15の内視鏡において、挿入部の先端にガイドワイヤを着脱可能に設けた構成の一例を示す図である。
【図18】(a)ループ状の凸部を有するガイドワイヤの変形例を示す図と、(b)(a)のガイドワイヤの使用方法を説明する図である。
【図19】(a)半円状の凸部を有するガイドワイヤの変形例を示す図と、(b)(a)のガイドワイヤの使用方法を説明する図である。
【図20】半円状の凸部を有するガイドワイヤのもう1つの変形例を示す図である。
【図21】解除機構の構成の一例を示す図である。
【図22】図21の解除機構の作用を説明する図であり、(a)凸部が歯列と係合している状態および(b)凸部が歯列との係合が解除された状態を示している。
【図23】第1の湾曲部と第2の湾曲部を備えるガイドワイヤの変形例を示す図である。
【図24】図23のガイドワイヤの使用方法を説明する図である。
【図25】図23のガイドワイヤのもう1つの使用方法を説明する図である。
【図26】枝ワイヤを備えるガイドワイヤの使用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の一実施形態に係る内視鏡1、ガイド装置10、ガイドワイヤ20及びこれらを備える医療用デバイスガイドシステム100、ならびに、該医療用デバイスガイドシテム100を用いた医療用デバイスガイド方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る医療用デバイスガイドシステム100は、図1に示されるように、内視鏡1と、処置具30を案内するガイド装置10と、内視鏡1およびガイド装置10を案内するガイドワイヤ20と、内視鏡1およびガイド装置10がそれぞれ挿入される筒状の2本のシース40とを備えている。
【0029】
内視鏡1は、正面方向の視野Fを観察する直視型であり、心膜腔A内に挿入可能な細長い挿入部2と、該挿入部2の長手方向に沿って貫通形成されガイドワイヤ20が挿入されるチャネル3と、挿入部2の先端面に設けられた観察窓4とを備えている。内視鏡1は、観察窓4を介して集光した外部からの光を図示しない光学系によって撮像する。撮像された画像の情報はケーブル5を介してモニタ(図示略)に表示される。
【0030】
内視鏡1のチャネル3の基端側には、ガイドワイヤ20の位置を固定する固定部(移動制限機構)50が備えられている。固定部50は、例えば、図2(a)に示されるように、チャネル3内と連通しチャネル3内に向かって漸次先細に形成された開口部51と、該開口部51内に挿入され略中心に孔52が貫通形成されたゴム栓53と、該ゴム栓53に固定されたキャップ54とを備えている。キャップ54は、図示しないネジ機構によって開口部51に取り付けられている。操作者が、孔52にガイドワイヤ20を挿入した状態でキャップ54を閉める方向に回転させることにより、ゴム栓54が開口部51内に挿入され、図2(b)に示されるように、すぼまった孔52の内面によってガイドワイヤ20が締め付けられるようになっている。
【0031】
ガイド装置10は、心膜腔A内に挿入可能な細長いチューブ(チューブ部材)11を備えている。該チューブ11は、長手方向に沿って貫通形成された第1のルーメン12および第2のルーメン13を有している。第1のルーメン12にはガイドワイヤ20が挿入され、第2のルーメン13には処置具30が挿入される。
【0032】
チューブ11は、図3(a)に示されるように、先端側の一部において側面に溝14が形成されている。これにより、第1のルーメン12が先端側の途中位置まで形成されており、ガイドワイヤ20の一部がチューブ11の外側に露出されている。つまり、溝14が形成された部分は他の部分よりも高い可撓性を有する。また、チューブ11は、先端にガイドワイヤ20が貫通させられる貫通部15を有している。
【0033】
これにより、図3(b)に示されるように、チューブ11の先端面を第1のストッパ(後述)21に突き当てた状態でチューブ11をさらに押して、または、ガイドワイヤ20を引っ張って長手方向の圧縮力をチューブ11に加えることにより、溝14が形成された部分が容易に湾曲するようになっている。つまり、溝14が形成された部分によって湾曲部16が構成されている。このように湾曲部16を湾曲させた状態において、処置具30はチューブ11の長手方向に対して斜め方向に第1のルーメン12内から出没させられる。したがって、処置具30によって心臓B表面から比較的深い位置に対しても容易に処置を行うことができる。例えば、処置具30として注射器を使用するときに、心臓B表面から比較的深い位置に薬剤を注射することができる。
【0034】
ガイドワイヤ20は、図4に示されるように、途中位置に長手方向に間隔を空けて配置された第1のストッパ21および第2のストッパ22を備えている。第1のストッパ21はチャネル3の内径よりも大きな外径を有し、第2のストッパ22はチューブ11の貫通部15の内径よりも大きな外径を有している。第1のストッパ21と第2のストッパ22との間の間隔は、第2のルーメン13内から出没させられた処置具30に内視鏡1の焦点が合うように、内視鏡1の被写界深度に応じて決定されている。
【0035】
これにより、ガイドワイヤ20の各端から該ガイドワイヤ20に沿って各ストッパ21,22に突き当たる位置まで挿入された挿入部2およびチューブ11は、図5に示されるように、適切な観察距離を空けて配されることとなる。この状態において挿入部2の先端面に設けられた観察窓4および照明窓(図示略)やチューブ11の第2のルーメン13の開口が各ストッパ21,22によって覆われることがないように、第1のストッパ21および第2のストッパ22の外径はそれぞれ設計されている。
【0036】
また、ガイドワイヤ20は、心臓Bの患部の位置に応じて長手方向の途中位置が略U字形状に予め癖付けられている。例えば、患部Cが心臓Bの前壁に存在するときは、図6に示されるように、ガイドワイヤ20が前壁の途中で折り返すように、比較的大きな曲率で湾曲した略U字形状に癖付けられる。一方、患部Cが心臓Bの後壁に存在するときは、図7に示されるように、ガイドワイヤ20が心臓Bの外側を略一周して折り返すようによう、比較的小さな曲率で湾曲した略U字形状に癖付けられている。
【0037】
これにより、操作者がガイドワイヤ20を心膜腔A内に挿入したときに、ガイドワイヤ20を容易に所望の経路に沿って配置することができる。また、ガイドワイヤ20の癖付ける湾曲形状を変更するだけで患部Bの位置を容易に選択することができる。
ガイドワイヤ20の癖付けた形状が心膜腔A内においてより正確に再現されるように、ガイドワイヤ20の少なくとも途中位置の一部が形状記憶合金からなっていてもよい。
【0038】
また、ガイドワイヤ20は、少なくとも癖付けられた部分においては、挿入部2およびチューブ11よりも低い可撓性を有している。これにより、ガイドワイヤ20に沿って挿入部2およびチューブ11を挿入したときにガイドワイヤ20が撓んで形状が変化してしまうことなく、挿入部2およびチューブ11をガイドワイヤ20によって確保した所望のルートに正確に沿って案内することができる。なお、図6および図7においてストッパ21,22の図示は省略されている。
【0039】
次に、このように構成された医療用デバイスガイドシステム100を用いた医療用デバイスガイド方法について、図8〜図11を参照して説明する。
本実施形態に係る医療用デバイスガイド方法は、ガイドワイヤ20を心膜腔A内において略U字形状に配置するU字形成ステップS1と、ガイドワイヤ20に沿って挿入部2およびチューブ11を心膜腔A内にそれぞれ挿入する内視鏡挿入ステップS2およびガイド装置挿入ステップS3と、挿入部2の先端とチューブ11の先端とを対向させて配置する対向ステップS4とを備えている。
【0040】
U字形成ステップS1は、患者の体表Dから心膜腔A内に挿入された2本のシース40内を介してガイドワイヤ20および把持具60を心膜腔A内に挿入し、X線透視画像で観察しながらガイドワイヤ20および把持具60を操作することにより行われる。
具体的には、まず、シース40を剣状突起下から体内に挿入し、心尖近傍において心膜Eの異なる位置に貫通させて心膜腔A内に挿入する(シース挿入ステップ)。
【0041】
次に、図8に示されるように、一方のシース40内を介してガイドワイヤ20を、他方のシース40内を介して把持具60をそれぞれ心膜腔A内に挿入する(ガイドワイヤ挿入ステップ)。把持具60は、ガイドワイヤ20を容易に把持可能なデバイスであればよく、例えば、鉗子、スネア、バスケットなどが好適に用いられる。次に、図9に示されるように、ガイドワイヤ20の先端部を把持具60によって把持する(捕捉ステップ)。次に、把持具60を、ガイドワイヤ20を把持したままの状態で他方のシース40内を介して体外に引き抜く(引き抜きステップ)。
【0042】
以上の手順により、図10に示されるように、ガイドワイヤ20は、両端が体外に配置され、途中位置が心膜腔A内において予め癖付けられ略U字形状に配置される。次に、ガイドワイヤ20の各端から各シース40内を介して挿入部2およびチューブ11を心膜腔A内へ挿入し、挿入部2およびチューブ11を第1または第2のストッパ21,22に突き当たる位置に配置する(対向ステップ)。これにより、図11に示されるように、挿入部2の先端面に設けられた観察窓4とチューブ11の先端面とが、適切な観察距離を空けて略正対させられる。
【0043】
挿入部2またはチューブ11をガイドワイヤ20に沿って走行させている途中で、図12(a)に示されるように、挿入部2またはチューブ11の一方が心臓B表面の溝Gに嵌ってしまったときは、他方を挿入方向に対して側方に操作する。これにより、図12(b)に示されるように、ガイドワイヤ20を介して一方が側方に引っ張られて、一方を溝G内から容易に抜け出させることができる。
【0044】
操作者は、モニタに表示される内視鏡画像を観察しながら、チューブ11の第2のルーメン13内を介して処置具30を心膜腔A内へ挿入する。このときに、操作者は、第2のルーメン13内から出没する処置具30を正面側から観察することとなる。すなわち、内視鏡画像内において、処置具30の外套によって処置具30の先端部や患部Bが覆い隠されてしまうことがない。したがって、操作者は、処置具30による患部Bの処置の様子を内視鏡画像で容易に観察しながら正確に処置することができる。
【0045】
この場合に、挿入部2および処置具30は、前後方向や周方向に互いに独立に操作可能である。従って、操作者は、例えば、内視鏡画像の視野を患部Bに固定したまま、処置具30の姿勢や前後方向の位置を調節したり、処置具30の位置を保持したまま挿入部2を移動させて視野を変更したりすることが可能となる。このように、挿入部2および処置具30をそれぞれ所望の位置および姿勢に容易に操作することができるという利点がある。また、挿入部2およびチューブ11用に別々のシース40を使用することにより各シース40として細いものが使用可能となる。すなわち、心膜Eに形成される各穿孔は小さくて済むので、これらの穿孔は手術後に容易に塞がれ、患者の負担を軽減することができる。
【0046】
なお、本実施形態において説明した、ガイドワイヤ20を心膜腔A内において略U字形状に配置する方法は一例であり、他の方法を用いてもよい。
【0047】
図13は、把持具60に代えてもう1つのガイドワイヤ201を使用する方法を説明する図である。ガイドワイヤ20,201は、途中位置に互いに磁気引力を発生させる磁石23a,23bを有している。各ガイドワイヤ20,201を途中位置で折り返し、折り返した部分を先頭にしてシース40内へ挿入する。そして、心膜腔A内において、磁石23a,23bの磁気引力によってガイドワイヤ20をもう1つのガイドワイヤ201で捕捉する。そして、もう1つのガイドワイヤ201をシース40内を介して体外に引き抜くことにより、ガイドワイヤ20が心膜腔A内において略U字形状に配置される。
【0048】
このようにすることで、心膜腔A内において比較的容易にガイドワイヤ20を見つけて捕捉することができる。また、心膜腔A内においてはガイドワイヤ20を側方へ操作することが困難であるが、ループ状になった各ガイドワイヤ20,201の各端を押し引きすることによって側方にも容易に各ガイドワイヤ20,201を操作することが可能となる。
【0049】
図14は、1本のシース40を使用する方法を説明する図である。この方法においては、挿入部2とチューブ11の両方を同時に挿入可能な内径を有するシース40が使用される。この場合、ガイドワイヤ20を途中位置で折り返し、折り返した位置を先頭にしてシース40内に挿入することにより、心膜腔A内においてガイドワイヤ20を探して補足する必要がなく、簡便な操作でガイドワイヤ20を略U字形状に配置することができる。
【0050】
また、他の例としては、把持具60に代えて把持具用のチャネルを有するもう1つの内視鏡を使用してもよい。例えば、もう1つの内視鏡を心膜腔A内に挿入し、内視鏡画像によってガイドワイヤを見つけた後、チャネル内を介して把持具を心膜腔A内に挿入してガイドワイヤを捕捉し、チャネル内を介して把持具およびガイドワイヤの一端を体外に引き抜く。このように内視鏡画像によって観察しながら操作することにより、X線透視画像によってガイドワイヤ20および把持具60の位置を確認しながらこれらを操作する場合と比べて、より容易にかつ確実に操作することができる。
【0051】
また、心膜腔A内においてガイドワイヤ20が所望の方向に向かって出没させられるように、シース40として、先端部が湾曲したものを使用してもよい。この場合、先端部が湾曲した2つのシースを、心膜腔内においてその先端面が互いに向き合うように配置することにより、一方のシースから出没させられたガイドワイヤを容易に他方のシース内へ誘導して体外に引き抜くことができる。
【0052】
また、本実施形態においては、内視鏡1として、図15または図16に示されるように、ガイドワイヤ20が挿入部2の先端に固定されたものを使用してもよい。このようにすることで、ガイドワイヤ20をシース40および心膜腔A内へ挿入したときにガイドワイヤ20の後を追って挿入部2も挿入される。つまり、ガイドワイヤ用のチャネル3が不要になるので、挿入部2を細径化することができる。また、心膜腔A内においてガイドワイヤ20を略U字形状に配置して一端を体外に引き抜いた後は、その一端を押し引きすることにより、挿入部2を容易に操作することができる。
【0053】
この場合、ガイドワイヤ20が貫通している心膜Eの小さな穿孔に挿入部2が容易に貫通するように、挿入部2の先端部は、先端に向かって漸次径寸法が小さくなる円錐状に形成される。例えば、図15に示されるように、ガラスなどの光学的に透明な部材からなる円錐状のキャップ6が先端部に設けられていてもよい。
【0054】
または、図16に示されるように、先端面が斜めに形成され、照明窓7の前方に円錐状の光学部材8が設けられていてもよい。符号9は、体外に配置された図示しない光源から照明光Lを導光する光ファイバを示している。この場合、観察窓4側の領域を効率良く照明するために、光学部材8の観察窓4と反対側の面は、照明光Lを反射するミラーになっていることが好ましい。また、光学部材8は、ミラーによって反射された照明光Lを均一に拡散するように、シリカ粒子等の光拡散剤を含んでいてもよい。
【0055】
挿入部2の先端部を図15または図16に示されるような構成にすることで、先端部の径寸法を大きくすることなく、視野Fと観察窓4および照明窓7との間の光路を確保することができる。
【0056】
図15および図16に示されるガイドワイヤ20は、挿入部2の先端に着脱可能に設けられていてもよい。このようにすることで、ガイドワイヤ20を、例えば、剛性、長さ、外径などの仕様の異なるものに容易に交換することができ、手術の内容に適したガイドワイヤ20を使用することが可能となる。
【0057】
ガイドワイヤ20を挿入部2の先端に着脱可能に取り付ける構成としては、例えば、図17(a),(b)に示されるように、キャップ6の先端部に雌ネジ9aが設けられ、雄ネジ9bの中心軸に沿って形成された貫通孔にガイドワイヤ20が移動可能に挿入される。雌ネジ9aは、基端側に向かって径寸法が小さくなっている。
【0058】
雄ネジ9bは、可撓性を有する材料からなるとともに周方向の一部に長手方向の切り込みが設けられることにより、通常の状態においては向かい合った側面が互いに平行となっているが(図17(a)参照。)、雌ネジ9aに噛み合うことにより、向かい合う側面が互いに近接するようになっている(図17(b)参照。)。貫通孔にガイドワイヤ20を挿入した状態で雄ネジ9bを雌ネジ9aに噛み合わせることにより、ガイドワイヤ20が雄ネジ9bの内面によって締め付けられてキャップ6に対して固定されるようになっている。
【0059】
また、ガイドワイヤ20は、挿入部2に代えてチューブ11の先端に固定されていてもよい。この場合には、ガイドワイヤ20に追随してチューブ11が心膜腔A内に挿入されるので、第1のルーメン12を不要にし、チューブ11の細径化を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態においては、ガイドワイヤ20として、2つのストッパ21,22を有するものを例示したが、これに代えて、途中位置に所定の曲率で凸形状に湾曲することによりなる凸部を有していてもよい。凸部24は、図18(a)に示されるように、ループ状になっていてもよく、図19(a)に示されるように、略半円状であってもよい。
このようにすることで、チューブ11の先端部は、凸部24において、図18(b)および図19(b)に示されるように、心臓B表面との間に間隔をあけて心臓B表面と角度をなして配置される。すなわち、湾曲部16を備えないチューブ11であっても、心臓B表面から比較的深い位置に対して処置を行うことができる。
【0061】
凸部24を備えた構成においては、図19(a)に示されるように、凸部24に雄ネジ部(移動制限機構)25が設けられ、第2のルーメン13内に雄ネジ部25と噛み合うと雌ネジ部(図示略、移動制限機構)が設けられていてもよい。このようにすることで、チューブ11を周方向に回転させることにより、位置および心臓B表面に対する角度を容易に微調整することができる。また、拍動にかかわらずチューブ11の位置を安定に保持することができる。
【0062】
または、雄ネジ部25と雌ネジ部に代えて、図20に示されるように、ラチェット機構、すなわち、凸部24に長手方向に配列された歯列(移動制限機構)26と、第2のルーメン13内に設けられ、歯列26の隣合う歯の間に形成された凹部と係合する凸部(図示略、移動制限機構)とを備えていてもよい。ラチェット機構を設ける場合は、後方への移動の制限を解除する解除機構が設けられていることが好ましい。
【0063】
解除機構は、例えば、図21に示されるように、第2のルーメン13内に収納され、先端部がその弾性によって半径方向外方に拡張可能なカテーテル70によって構成される。カテーテル70の先端部は、例えば、周方向に配列され、外側に反った形状に癖付けられた複数(図示する例では2つ)の切片70aから構成からされる。切片70aの先端は、鉤状に形成されることにより凸部を構成している。これにより、カテーテル70の先端部は、第2のルーメン13内においては、図22(a)に示されるように、略直線状となって切片70aの先端が歯列26の凹部と噛み合う。そして、カテーテル70の先端部は、第2のルーメン13内から出没させられることにより、図22(b)に示されるように、半径方向に拡張して歯列26から離れた位置に配置されることによりガイドワイヤ20を後退可能な状態にする。
【0064】
また、ガイドワイヤ20は、図23に示されるように、途中位置に、略U字形状に湾曲した第1の湾曲部27aと、該第1の湾曲部27aの一側が、他側に対して所定の角度で、図示する例では略90°で湾曲した第2の湾曲部27bとを備えていてもよい。このようなガイドワイヤ20によれば、挿入部2とチューブ11とをそれぞれ第1の湾曲部27aまたは第2の湾曲部27bにおいて突き当たる位置まで挿入することにより、挿入部2と処置具30とを所定の角度をなして配置することができる。すなわち、このようなガイドワイヤ20は、図24に示されるように、内視鏡1として、先端部の側面に観察窓4を有する側視型を使用する場合や、図25に示されるように、処置具30として、電極31が側面に設けられたアブレーションカテーテルなどを使用する場合に、好適に用いられる。
【0065】
また、本実施形態においては、1つの内視鏡1と1つのガイド装置10を使用する場合を例示したが、図26に示されるように、途中位置において少なくとも1本の枝ワイヤ20aを備えたガイドワイヤ20を使用して、合わせて3本以上の内視鏡1とガイド装置10とを使用してもよい。枝ワイヤ20aは、例えば、1本のガイドワイヤ20の途中位置に接続されたもう1本のワイヤによって構成される。このようにすることで、例えば、内視鏡1で観察しながら2つの処置具を同時に使用する場合でも、各処置具による処置の様子を容易に略正面側から容易に観察することができる。
【0066】
(付記)
なお、これらの実施形態から以下構成の発明が導かれる。
(付記項1)
ガイドワイヤを、両方の端部を心膜の外側に配置しつつ、途中位置を心膜腔内において略U字形状に湾曲させて配置するU字形成ステップと、該U字形成ステップにおいて前記心膜の外側に配置された一方の前記端部から前記ガイドワイヤに沿って内視鏡を前記心膜腔内に挿入する内視鏡挿入ステップと、前記U字形成ステップにおいて前記心膜の外側に配置された他方の前記端部から前記ガイドワイヤに沿ってガイド装置を前記心膜腔内に挿入するガイド装置挿入ステップと、前記内視鏡挿入ステップおよび前記ガイド装置挿入ステップによって前記心膜腔内に挿入された前記内視鏡および前記ガイド装置の各先端部を、前記ガイドワイヤの途中位置において対向させて配置する対向ステップとを備える医療用デバイスガイド方法。
【0067】
(付記項2)
前記内視鏡が、その先端から前方に延びるガイドワイヤを備え、前記U字形成ステップが、前記内視鏡が備える前記ガイドワイヤを使用して行われ、前記内視鏡挿入ステップが、前記U字形成ステップにおいて心膜腔内に挿入された前記ガイドワイヤに追随して前記内視鏡が心膜腔内に挿入されることにより行われる付記項1に記載の医療用デバイスガイド方法。
(付記項3)
前記ガイド装置が、その先端から前方に延びるガイドワイヤを備え、前記U字形成ステップが、前記ガイド装置が備える前記ガイドワイヤを使用して行われ、前記ガイド装置挿入ステップが、前記U字形成ステップにおいて心膜腔内に挿入された前記ガイドワイヤに追随して前記ガイド装置が心膜腔内に挿入されることにより行われる付記項1に記載の医療用デバイスガイド方法。
【0068】
(付記項4)
U字形成ステップが、体外から心膜腔内へ筒状のシースを挿入するシース挿入ステップと、前記シース内を介して心膜腔内へ前記ガイドワイヤおよび該ガイドワイヤを把持可能な把持具を挿入するガイドワイヤ挿入ステップと、前記心膜腔内において前記把持具によって前記ガイドワイヤを捕捉する捕捉ステップと、該捕捉ステップにおいて捕捉した前記ガイドワイヤとともに前記把持具を前記シース内を介して体外に引き抜く引き抜きステップとを備える付記項1に記載の医療用デバイスガイド方法。
【0069】
(付記項5)
前記シース挿入ステップが、2本のシースを前記心膜の異なる位置から前記心膜腔内に挿入し、前記ガイドワイヤ挿入ステップが、前記ガイドワイヤおよび前記処置具を、互いに異なるシース内を介して挿入する付記項4に記載の医療用デバイスガイド方法。
【0070】
(付記項6)
前記ガイドワイヤ挿入ステップが、途中位置に第1の磁石を有する前記ガイドワイヤと、前記把持具として途中位置に前記第1の磁石との間で磁気引力を発生させる第2の磁石を有するもう1つのガイドワイヤとを挿入し、前記捕捉ステップが、前記心膜腔内において前記第1の磁石および前記第2の磁石間の磁気引力によって、前記ガイドワイヤを前記もう1つのガイドワイヤによって捕捉する付記項4に記載の医療用デバイスガイド方法。
【0071】
(付記項7)
前記ガイドワイヤ挿入ステップおよび前記補足ステップが、X線透視画像によって前記ガイドワイヤおよび前記把持具を観察しながら行われる請求項4に記載の医療用デバイスガイド方法。
(付記項8)
前記ガイドワイヤ挿入ステップが、もう1つの内視鏡を心膜腔内に挿入し、該もう1つの内視鏡が有するチャネル内を介して前記把持具を心膜腔内に挿入し、前記補足ステップが、前記もう1つの内視鏡によって撮像された内視鏡画像によって前記ガイドワイヤおよび前記把持具を観察しながら行われる付記項4に記載の医療用デバイスガイド方法。
【0072】
(付記項9)
前記U字形成ステップが、先端部が湾曲した2つシースを、その先端面が互いに向きあうように心膜腔内に挿入するシース挿入ステップと、該シース挿入ステップにおいて心膜腔内に挿入された一方の前記シース内を介してガイドワイヤを心膜腔内に挿入した後、他方の前記シース内を介して前記ガイドワイヤを体外に引き抜くガイドワイヤ挿入ステップとを備える付記項1に記載の医療用デバイスガイド方法。
【符号の説明】
【0073】
1 内視鏡
2 挿入部
3 チャネル
4 観察窓
5 ケーブル
6 キャップ
7 照明窓
8 光学部材
9a 雄ネジ
9b 雌ネジ
10 ガイド装置
11 チューブ(チューブ部材)
12 第1のルーメン
13 第2のルーメン
14 溝
15 貫通部
16 湾曲部
20,201 ガイドワイヤ
20a 枝ワイヤ
21 第1のストッパ
22 第2のストッパ
23a,23b 磁石
24 凸部
25 雄ネジ部(移動制限機構)
26 歯列(移動制限機構)
27a 第1の湾曲部
27b 第2の湾曲部
30 処置具
31 電極
40 シース
50 固定部(移動制限機構)
51 開口部
52 孔
53 ゴム栓
54 キャップ
60 把持具
100 医療用デバイスガイドシステム
A 心膜腔
B 心臓
C 患部
D 体表
E 心膜
F 視野
G 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心膜腔内に挿入可能な細長い挿入部と、
該挿入部に固定され、該挿入部の先端から前方に延びるガイドワイヤとを備える内視鏡。
【請求項2】
前記挿入部は、その先端部が前記先端に向かって漸次径寸法が小さくなっている請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
心膜腔内に挿入可能であり、処置具が挿入されるルーメンが長手方向に形成された細長いチューブ部材と、
該チューブ部材に固定され、該チューブ部材の先端から前方に延びるガイドワイヤとを備えるガイド装置。
【請求項4】
長手方向の途中位置において分岐した枝ワイヤを備えるガイドワイヤ。
【請求項5】
内視鏡が備える挿入部およびガイド装置が備えるチューブ部材を心膜腔内において案内するガイドワイヤであって、
長手方向の途中位置において所定の曲率で湾曲した凸形状に癖付けられ、前記挿入部または前記チューブ部材よりも低い可撓性を有するガイドワイヤ。
【請求項6】
内視鏡が備える挿入部およびガイド装置が備えるチューブ部材を心膜腔内において案内するガイドワイヤであって、
長手方向の途中位置において、略U字形状に折り返した形状に癖付けられた第1の湾曲部と、該第1の湾曲部の一側が、他側に対して所定の角度で湾曲した形状に癖付けられた第2の湾曲部とを有し、
前記第1の湾曲部および前記第2の湾曲部が、前記挿入部および前記チューブ部材よりも低い可撓性を有するガイドワイヤ。
【請求項7】
心膜腔内において略U字形状に湾曲可能な可撓性を有するガイドワイヤと、
該ガイドワイヤが挿入されるチャネルが長手方向に形成された細長い挿入部を備える内視鏡と、
前記チャネル内に挿入された前記ガイドワイヤの基端側への移動を制限する移動制限機構とを備える医療用デバイスガイドシステム。
【請求項8】
前記移動制限機構が、前記チャネルの基端側に設けられ、前記ガイドワイヤの基端側の一部を固定する固定部を備える請求項7に記載の医療用デバイスシステム。
【請求項9】
前記移動制限機構が、前記ガイドワイヤまたは前記チャネルの一方の途中位置において長手方向に沿って配列され半径方向に凹んだ複数の凹部と、前記ガイドワイヤまたは前記チャネルの他方に設けられ前記凹部と係合する凸部とを備える請求項7に記載の医療用デバイスガイドシステム。
【請求項10】
前記移動制限機構が、前記ガイドワイヤの途中位置に設けられた雄ネジ部と、前記チャネル内に設けられ前記雄ネジ部と噛み合う雌ネジ部とを備える請求項7に記載の医療用デバイスガイドシステム。
【請求項11】
心膜腔内において略U字形状に湾曲可能な可撓性を有するガイドワイヤと、
該ガイドワイヤが挿入される第1のルーメンおよび処置具が挿入される第2のルーメンが長手方向に形成された細長いチューブ部材を備えるガイド装置と、
前記第1のルーメン内に挿入された前記ガイドワイヤの基端側への移動を制限する移動制限機構とを備える医療用デバイスガイドシステム。
【請求項12】
前記移動制限機構が、前記第1のルーメンの基端側に設けられ、前記ガイドワイヤの基端側の一部を固定する固定部を備える請求項11に記載の医療用デバイスガイドシステム。
【請求項13】
前記移動制限機構が、前記ガイドワイヤまたは前記ルーメンの一方の途中位置において長手方向に沿って配列され半径方向に凹んだ凹部と、前記ガイドワイヤまたは前記ルーメンに設けられ前記凹部と係合する凸部とを備える請求項11に記載の医療用デバイスガイドシステム。
【請求項14】
前記移動制限機構が、前記ガイドワイヤの途中位置に設けられた雄ネジ部と、前記ルーメン内に設けられ前記雄ネジ部と噛み合う雌ネジ部とを備える請求項11に記載の医療用デバイスガイドシステム。
【請求項15】
心膜腔内において略U字形状に湾曲可能な可撓性を有するガイドワイヤと、
該ガイドワイヤが挿入される第1のルーメンおよび処置具が挿入される第2のルーメンが長手方向に形成され可撓性を有する細長いチューブ部材を備えるガイド装置とを備え、
前記第1のルーメンが、長手方向に間隔を空けて配置され前記ガイドワイヤが挿入される貫通部を有し、
前記ガイドワイヤが、長手方向の途中位置に、前記貫通部の孔径よりも大きな外径寸法を有するストッパを備える医療用デバイスガイドシステム。
【請求項16】
心膜腔内において略U字形状に湾曲可能な可撓性を有するガイドワイヤと、
前記心膜腔内に挿入可能であり、前記ガイドワイヤが挿入されるチャネルが長手方向に形成された細長い挿入部を備える内視鏡と、
前記心膜腔内に挿入可能であり、前記ガイドワイヤが挿入される第1のルーメンおよび処置具が挿入される第2のルーメンが長手方向に形成された細長いチューブ部材を備えるガイド装置とを備え、
前記ガイドワイヤが、長手方向の途中位置に、前記内視鏡の被写界深度に応じた間隔を空けて設けられ、前記チャネルおよび前記第1のルーメンの各先端側の開口の口径よりも大きな外径を有する2つのストッパを有する医療用デバイスガイドシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−161365(P2012−161365A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21820(P2011−21820)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】